JP2926108B2 - 建築構造物 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、地震、風等により生じる建築構造物の振動
をおさえることができる建築構造物に関するものであ
る。
をおさえることができる建築構造物に関するものであ
る。
[従来の技術] 建築構造物は中高層ビルであれ超高層ビルであれ強風
や地震動などの水平力に対して安全でかつ住人にとって
不快でないような応答をするべく設計する必要がある。
や地震動などの水平力に対して安全でかつ住人にとって
不快でないような応答をするべく設計する必要がある。
従来のビルにおいては、水平力に対し柱・梁によるフ
レームとしての剛性やブレース・耐震壁などによる剛性
によってただ単に耐える(=変形が過大にならず、生ず
る力が限界値以下である)よう設計されてきた。その結
果最大応答は建築構造物自体の減衰に強く依存し、その
値は高々鉄骨造で1〜2%、RC造で5%程度である。
レームとしての剛性やブレース・耐震壁などによる剛性
によってただ単に耐える(=変形が過大にならず、生ず
る力が限界値以下である)よう設計されてきた。その結
果最大応答は建築構造物自体の減衰に強く依存し、その
値は高々鉄骨造で1〜2%、RC造で5%程度である。
それではあまりに効率が悪いので、近年になりチュー
ンドマスダンパー方式やチューンドスロッシングダンパ
ー方式と呼ばれるダイナミックダンパーが超高層ビルや
観光タワーなどに使われるようになってきた。その原理
は、建築構造物の固有振動数に非常に近い固有振動数を
持つ小さな付加バネーマスーダンパー系を建築構造物に
取付け、建築構造物の振動エネルギーをこの付加系に導
きそこでエネルギー吸収することにより、建築構造物の
みかけの減衰を増大させようとするものである。この方
式には、付加系のマス(質量)は大きいほど効果は高
いが様々な制約のためあまり大きくできない、最上階
の最も価値の高いスペースが犠牲になる、地震時には
付加系の振幅が大きくなりすぎるので使えないかまたは
効率が悪化する、一次固有振動数に対してしか効果が
ない等の問題がある。
ンドマスダンパー方式やチューンドスロッシングダンパ
ー方式と呼ばれるダイナミックダンパーが超高層ビルや
観光タワーなどに使われるようになってきた。その原理
は、建築構造物の固有振動数に非常に近い固有振動数を
持つ小さな付加バネーマスーダンパー系を建築構造物に
取付け、建築構造物の振動エネルギーをこの付加系に導
きそこでエネルギー吸収することにより、建築構造物の
みかけの減衰を増大させようとするものである。この方
式には、付加系のマス(質量)は大きいほど効果は高
いが様々な制約のためあまり大きくできない、最上階
の最も価値の高いスペースが犠牲になる、地震時には
付加系の振幅が大きくなりすぎるので使えないかまたは
効率が悪化する、一次固有振動数に対してしか効果が
ない等の問題がある。
もっと直接に建築構造物全体の減衰を増大させる方法
として、ブレース・耐震壁など水平耐力部材に何らかの
減衰機構を組込む方式も多く提案されている。この方法
には、層間相対変位または速度に依存しているので一
つのユニットで吸収するエネルギーが非常に小さく、十
分な減衰をえるためには非常に多くのユニットを取付け
る必要がある、コスト高である、メンテナンスが面
倒、建築構造物重量が増大する等の問題がある。
として、ブレース・耐震壁など水平耐力部材に何らかの
減衰機構を組込む方式も多く提案されている。この方法
には、層間相対変位または速度に依存しているので一
つのユニットで吸収するエネルギーが非常に小さく、十
分な減衰をえるためには非常に多くのユニットを取付け
る必要がある、コスト高である、メンテナンスが面
倒、建築構造物重量が増大する等の問題がある。
上記の問題を解決した制振システムとして、参考文献
(特公平2−1946)のようにワイヤーをZ字状に繰り返
し左右に張り回す方式のものが既に提案されている。
(特公平2−1946)のようにワイヤーをZ字状に繰り返
し左右に張り回す方式のものが既に提案されている。
当該制振システムは、第29図に示すように、一連のワ
イヤー2の両端を高層建築物1の上階層に固定すると共
にそのワイヤー2の中間部を高層建築物1の下階層に位
置させ、かつ高層建築物1の各階層における柱と梁の接
合部のそれぞれに滑車3を備えて、前記ワイヤー2の一
端から中間部までの間の一方側半分は、上方から下方へ
ほぼ同じ方向に傾斜する傾斜部と、ほぼ水平の水平部と
を順次繰り返して成すように前記それぞれの滑車3に架
け渡し、前記ワイヤー2の他端から中間部までの間の他
方側半分は、上方から下方へ前記ワイヤー2の一方側半
分の傾斜部とは逆の方向に傾斜する傾斜部と、ほぼ水平
の水平部とを順次繰り返して成すように前記それぞれの
滑車3に架け渡し、高層建築物1の基礎に、前記ワイヤ
ー2の中間部の変位を抑制するダンパを装備したことを
特徴としたものである。
イヤー2の両端を高層建築物1の上階層に固定すると共
にそのワイヤー2の中間部を高層建築物1の下階層に位
置させ、かつ高層建築物1の各階層における柱と梁の接
合部のそれぞれに滑車3を備えて、前記ワイヤー2の一
端から中間部までの間の一方側半分は、上方から下方へ
ほぼ同じ方向に傾斜する傾斜部と、ほぼ水平の水平部と
を順次繰り返して成すように前記それぞれの滑車3に架
け渡し、前記ワイヤー2の他端から中間部までの間の他
方側半分は、上方から下方へ前記ワイヤー2の一方側半
分の傾斜部とは逆の方向に傾斜する傾斜部と、ほぼ水平
の水平部とを順次繰り返して成すように前記それぞれの
滑車3に架け渡し、高層建築物1の基礎に、前記ワイヤ
ー2の中間部の変位を抑制するダンパを装備したことを
特徴としたものである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来技術においては以下に掲げる問題
点があった。
点があった。
滑車3と滑車3の間のワイヤーが必要なのでその分重
量が増えるしコストが高くなるという問題点。
量が増えるしコストが高くなるという問題点。
滑車と滑車の間のワイヤーも斜めの部分のワイヤーと
同じ張力を受け同じ割合で伸びるので、建築構造物に生
じた水平変位を基礎部に伝達する過程で、ワイヤーの伸
びによる損失が大きくなるという問題点。
同じ張力を受け同じ割合で伸びるので、建築構造物に生
じた水平変位を基礎部に伝達する過程で、ワイヤーの伸
びによる損失が大きくなるという問題点。
沢山の滑車を必要とするのでその分重量が増え、コス
トが高くなるという問題点。
トが高くなるという問題点。
沢山の滑車における摩擦損失が有るので、建築物に生
じた水平変位によりワイヤーに生じる引張力を基礎部に
伝達する過程で、減衰装置へ入力する前記引張力の損失
が大きくなるという問題点。
じた水平変位によりワイヤーに生じる引張力を基礎部に
伝達する過程で、減衰装置へ入力する前記引張力の損失
が大きくなるという問題点。
各階における滑車と滑車との間のワイヤー(水平方向
に延在するワイヤー)により係る梁材が軸方向に圧縮力
を受けるので、梁材の補強が必要であるという問題点。
に延在するワイヤー)により係る梁材が軸方向に圧縮力
を受けるので、梁材の補強が必要であるという問題点。
機構が複雑なのでメンテナンスに手間がかかるという
問題点。
問題点。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであ
り、その課題とするところは、従来技術に比べて、コス
トを低減し、引張材(ワイヤー)の延びを減少し、引張
力の損失を減少し、梁材の補強を不要とし、かつメンテ
ナンスの手間を軽減することができる建築構造物を提供
する点にある。
り、その課題とするところは、従来技術に比べて、コス
トを低減し、引張材(ワイヤー)の延びを減少し、引張
力の損失を減少し、梁材の補強を不要とし、かつメンテ
ナンスの手間を軽減することができる建築構造物を提供
する点にある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、複数の階を有する建屋と、当該建屋に端部
を固定した一連の引張材と、当該引張材に生じる引張力
を吸収するように介在させた減衰装置とを備え、地震、
風等により建屋に生じる振動が引張材を介して減衰装置
に伝達されて抑制される構成の建築構造物であって、前
記引張材を、前記減衰装置を挟んで一方側半分と、他方
側半分とが1箇所において交叉するように前記建屋に架
け渡すとともに、該引張材を複数設け、それら複数の引
張材を当該建屋の互いに異なる階に対してそれぞれ固定
し、それら引張材のそれぞれに対して前記減衰装置を介
在させてなるものである。
を固定した一連の引張材と、当該引張材に生じる引張力
を吸収するように介在させた減衰装置とを備え、地震、
風等により建屋に生じる振動が引張材を介して減衰装置
に伝達されて抑制される構成の建築構造物であって、前
記引張材を、前記減衰装置を挟んで一方側半分と、他方
側半分とが1箇所において交叉するように前記建屋に架
け渡すとともに、該引張材を複数設け、それら複数の引
張材を当該建屋の互いに異なる階に対してそれぞれ固定
し、それら引張材のそれぞれに対して前記減衰装置を介
在させてなるものである。
[作用] 従来技術に比べて引張材の長さを減少させる(例え
ば、引張材の角度が45゜のとき従来技術に比べて60%以
下の長さとする)。このことより引張材の延びが減少す
るとともに、機構が簡略化しメンテナンスの手間が低減
する。
ば、引張材の角度が45゜のとき従来技術に比べて60%以
下の長さとする)。このことより引張材の延びが減少す
るとともに、機構が簡略化しメンテナンスの手間が低減
する。
引張材を斜張するので、引張材を水平方向に張設した
場合に比べて梁に生じる軸方向圧縮力を低減させる。
場合に比べて梁に生じる軸方向圧縮力を低減させる。
単に一点において交叉するようにしているので、従来
技術に比べて滑車の数を減少させる。このことより滑車
による引張材に生じる引張力の摩擦損失が減少し、その
結果減衰装置への引張力の入力の減少を防止する。
技術に比べて滑車の数を減少させる。このことより滑車
による引張材に生じる引張力の摩擦損失が減少し、その
結果減衰装置への引張力の入力の減少を防止する。
各引張材はそれが固定された階の振動を減衰装置に伝
達するから、それら複数の引張材および減衰装置により
建屋の一次振動のみならず高次振動も減衰させ得る。
達するから、それら複数の引張材および減衰装置により
建屋の一次振動のみならず高次振動も減衰させ得る。
[実施例] 以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に
説明する。ただし、本実施例に記載されている構成部品
の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的
な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに
限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎな
い。
説明する。ただし、本実施例に記載されている構成部品
の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的
な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに
限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎな
い。
(実施例1) まず、実施例1に係る建築構造物Aの構成について第
1図ないし第5図を用いて説明する。
1図ないし第5図を用いて説明する。
当該建築構造物Aは、第1図に示すように32階建の高
層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の各外壁11におい
て端部を固定した3本のワイヤー20(引張材)と、当該
ワイヤー20に生じる引張力を吸収するように前記各ワイ
ヤー20の中間部に各別に介在させた3機の鉛プラグ入り
積層ゴム30(減衰装置)とを備えたものである。
層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の各外壁11におい
て端部を固定した3本のワイヤー20(引張材)と、当該
ワイヤー20に生じる引張力を吸収するように前記各ワイ
ヤー20の中間部に各別に介在させた3機の鉛プラグ入り
積層ゴム30(減衰装置)とを備えたものである。
前記各ワイヤー20は、前記鉛プラグ入り積層ゴム30を
挟んで一方側半分と、他方側半分とが建築構造物Aの正
面視における幅方向中央の1箇所において交叉するよう
に前記建屋10に斜設したものである。さらに詳しく説明
すると、一連のワイヤー20の両端を屋上階の左端と右端
とに固定し(以下、ワイヤー20の端部を固定した部分を
「固定部40」と称する。)、このワイヤー20の一端から
中間部までの片側半分はその点から直接、基礎部14の上
記固定部40と反対側の下側端部に取り付けられた導入部
滑車41に斜めに架け渡し、そこでさらに地下室に取り付
けられた水平部滑車42により水平に架け渡し、前記ワイ
ヤー20の他端から中間部までの半分も固定部40から直
接、基礎部14の固定部40と反対側の下側端部に取り付け
られた導入部滑車41に斜めに架け渡し、そこでさらに地
下室に取り付けられた水平部滑車42により水平に架け渡
し、こうして右からと左から架け渡されたワイヤー20を
繋ぐ形のワイヤー20中間部において鉛プラグ入り積層ゴ
ム30を介在させ、適度な張力を与えたものである。ま
た、1次振動だけでなく高次振動においても減衰効果が
得られるように、16階、24階及び屋上階に固定部40を設
けワイヤー20を張っている。なお、水平線とワイヤー20
とのなす角度が大きくなると、ワイヤー20張力と水平力
の間の変換効率が悪化するので、前記なす角は出来るだ
け小さい方(水平に近い方)が望ましい。そのため実施
例1においては、24階の固定部40と基礎部14に設置され
た導入部滑車41を直接結合し、その角度を保って、屋上
階の固定部40と8階に設置された導入部滑車41、及び16
階の固定部40と基礎の中間位置に設置された導入部滑車
41を結合している。
挟んで一方側半分と、他方側半分とが建築構造物Aの正
面視における幅方向中央の1箇所において交叉するよう
に前記建屋10に斜設したものである。さらに詳しく説明
すると、一連のワイヤー20の両端を屋上階の左端と右端
とに固定し(以下、ワイヤー20の端部を固定した部分を
「固定部40」と称する。)、このワイヤー20の一端から
中間部までの片側半分はその点から直接、基礎部14の上
記固定部40と反対側の下側端部に取り付けられた導入部
滑車41に斜めに架け渡し、そこでさらに地下室に取り付
けられた水平部滑車42により水平に架け渡し、前記ワイ
ヤー20の他端から中間部までの半分も固定部40から直
接、基礎部14の固定部40と反対側の下側端部に取り付け
られた導入部滑車41に斜めに架け渡し、そこでさらに地
下室に取り付けられた水平部滑車42により水平に架け渡
し、こうして右からと左から架け渡されたワイヤー20を
繋ぐ形のワイヤー20中間部において鉛プラグ入り積層ゴ
ム30を介在させ、適度な張力を与えたものである。ま
た、1次振動だけでなく高次振動においても減衰効果が
得られるように、16階、24階及び屋上階に固定部40を設
けワイヤー20を張っている。なお、水平線とワイヤー20
とのなす角度が大きくなると、ワイヤー20張力と水平力
の間の変換効率が悪化するので、前記なす角は出来るだ
け小さい方(水平に近い方)が望ましい。そのため実施
例1においては、24階の固定部40と基礎部14に設置され
た導入部滑車41を直接結合し、その角度を保って、屋上
階の固定部40と8階に設置された導入部滑車41、及び16
階の固定部40と基礎の中間位置に設置された導入部滑車
41を結合している。
前記各固定部40には、実施例2(第11図)において掲
げるピンを用いたもの等、本発明を実施するうえで好適
なものを用いればよい。
げるピンを用いたもの等、本発明を実施するうえで好適
なものを用いればよい。
前記導入部滑車41は第2図に示すように、柱16・梁17
接合部にその軸が外壁11と垂直に(水平方向に)取り付
けられ、鉛直面内で自由に回転できるようになってい
る。さらにワイヤー20の張力により生ずる力が柱16・梁
17接合部を局所的に変形させたりしないように補強プレ
ート43によって補強している。
接合部にその軸が外壁11と垂直に(水平方向に)取り付
けられ、鉛直面内で自由に回転できるようになってい
る。さらにワイヤー20の張力により生ずる力が柱16・梁
17接合部を局所的に変形させたりしないように補強プレ
ート43によって補強している。
前記水平部滑車42については第3図に、基礎部14(地
下階)に設置された水平部滑車42の詳細を示す。滑車は
取付プレート44に取り付けられている。当該取付プレー
ト44は非常に厚く補強された壁に埋め込まれたアンカー
(図示略)により柱16に取り付けられており、前記導入
部滑車41から鉛直下方に張られたワイヤー20を水平に方
向転換し、鉛プラグ入り積層ゴム30に導いている。
下階)に設置された水平部滑車42の詳細を示す。滑車は
取付プレート44に取り付けられている。当該取付プレー
ト44は非常に厚く補強された壁に埋め込まれたアンカー
(図示略)により柱16に取り付けられており、前記導入
部滑車41から鉛直下方に張られたワイヤー20を水平に方
向転換し、鉛プラグ入り積層ゴム30に導いている。
前記鉛プラグ入り積層ゴム30は、第4図及び第5図に
示すように幅方向中央に所定間隔を介して4つの孔を設
けてなるゴムと鋼板を交互に積み重ねてそれらを加硫接
着して積層ゴム31とし、さらに前記孔に円柱形の鉛プラ
グ32を埋め込み、積層ゴム31の剪断変形がそのまま鉛の
剪断変形となるようにしたもので、基礎部14に設けられ
ている。この鉛プラグ入り積層ゴム30は鉛直荷重を受け
ないので、第4図に示すように平面視略長方形のものを
用いている。前記積層ゴム31及び鉛プラグ32は鋼製のト
ッププレート33と同じく鋼製のベースプレート34に固着
され、当該ベースプレート34は床スラブ15にアンカーさ
れた取付ボルト35によりと固定されている。前記トップ
プレート33には、その両端部に取付てある平面視コの字
状の取付金具38を介してワイヤー20が取り付けられ、地
震、風等に起因する建築構造物Aの水平方向の動き(主
として、前記トッププレート33の長手方向の動き)が、
トッププレート33に伝達される。ワイヤー20の取付方法
は、左右それぞれの取付金具38に巻着し、締付用ボルト
36とナット37とにより締結されている。
示すように幅方向中央に所定間隔を介して4つの孔を設
けてなるゴムと鋼板を交互に積み重ねてそれらを加硫接
着して積層ゴム31とし、さらに前記孔に円柱形の鉛プラ
グ32を埋め込み、積層ゴム31の剪断変形がそのまま鉛の
剪断変形となるようにしたもので、基礎部14に設けられ
ている。この鉛プラグ入り積層ゴム30は鉛直荷重を受け
ないので、第4図に示すように平面視略長方形のものを
用いている。前記積層ゴム31及び鉛プラグ32は鋼製のト
ッププレート33と同じく鋼製のベースプレート34に固着
され、当該ベースプレート34は床スラブ15にアンカーさ
れた取付ボルト35によりと固定されている。前記トップ
プレート33には、その両端部に取付てある平面視コの字
状の取付金具38を介してワイヤー20が取り付けられ、地
震、風等に起因する建築構造物Aの水平方向の動き(主
として、前記トッププレート33の長手方向の動き)が、
トッププレート33に伝達される。ワイヤー20の取付方法
は、左右それぞれの取付金具38に巻着し、締付用ボルト
36とナット37とにより締結されている。
次に、前記建築構造物Aの作用について説明する。
前記固定部40は、前記各ワイヤー20の両端部を建屋10
に固定する。
に固定する。
前記導入部滑車41は、斜設した前記ワイヤー20の張設
方向を鉛直方向に転換する。
方向を鉛直方向に転換する。
前記水平部滑車42は、鉛直方向に延在する前記ワイヤ
ー20の張設方向を水平方向に転換する。
ー20の張設方向を水平方向に転換する。
前記ワイヤー20は、建屋10の振動により生じた引張力
を前記導入部滑車41と前記水平部滑車42とを介して前記
鉛プラグ入り積層ゴム30に伝達する。
を前記導入部滑車41と前記水平部滑車42とを介して前記
鉛プラグ入り積層ゴム30に伝達する。
前記鉛プラグ入り積層ゴム30は、前記ワイヤー20が左
右どちらかに引張られるとトッププレート33が引っ張ら
れそれに伴って積層ゴム31及び鉛プラグ32が剪断変形す
る。前記鉛プラグ32は第6図(イ)に示すように完全弾
塑性型の履歴ループを有しており、わずかな変形に対し
ても履歴によるエネルギー吸収を行う。例えば、長さ18
0cm、幅60cm、高さ27cm(9層)のもので約150tの減衰
効果がある。なお、第6図(イ)は鉛プラグ32の履歴特
性を示す図、第6図(ハ)は鉛プラグ入り積層ゴム30の
履歴特性を示す図である。このように前記鉛プラグ入り
積層ゴム30は、前記ワイヤー20に生じた引張力と釣り合
うことによりワイヤー20の移動を抑制し、ひいては建屋
10の振動を減衰する。
右どちらかに引張られるとトッププレート33が引っ張ら
れそれに伴って積層ゴム31及び鉛プラグ32が剪断変形す
る。前記鉛プラグ32は第6図(イ)に示すように完全弾
塑性型の履歴ループを有しており、わずかな変形に対し
ても履歴によるエネルギー吸収を行う。例えば、長さ18
0cm、幅60cm、高さ27cm(9層)のもので約150tの減衰
効果がある。なお、第6図(イ)は鉛プラグ32の履歴特
性を示す図、第6図(ハ)は鉛プラグ入り積層ゴム30の
履歴特性を示す図である。このように前記鉛プラグ入り
積層ゴム30は、前記ワイヤー20に生じた引張力と釣り合
うことによりワイヤー20の移動を抑制し、ひいては建屋
10の振動を減衰する。
次に、前記建築構造物Aの作動原理について第7図を
用いて説明する。なお、第7図に示す建築構造物Aにお
いては、理解を容易にすべく鉛プラグ入り積層ゴム30を
1つ、ワイヤー20を1本に簡略化する。
用いて説明する。なお、第7図に示す建築構造物Aにお
いては、理解を容易にすべく鉛プラグ入り積層ゴム30を
1つ、ワイヤー20を1本に簡略化する。
今、建築構造物Aが、地震力または風力を受けて振動
し、ある瞬間に釣り合い位置(第7図における点線で示
す位置)から第7図における実線で示す位置に変形した
とする。この結果建築構造物Aの右上部と左下部の間の
相対距離が増大し、よって右上固定部40から左下方向に
張られたワイヤー20は引っ張られ、その変位は導入部滑
車41と水平部滑車42とに架け渡された引張側ワイヤー20
aにより鉛プラグ入り積層ゴム30に伝えられる。当該引
張側ワイヤー20aはその張力により弾性変形し、固定部4
0と導入部滑車41との間の相対変位のうち幾分かを吸収
するが、大部分は鉛プラグ入り積層ゴム30に対する入力
となる。鉛プラグ入り積層ゴム30は入力変位もしくは入
力速度に比例した減衰力を発生しワイヤー20の張力と釣
り合う。こうして建築構造物Aの右方向への変形に対
し、ワイヤー20と鉛プラグ入り積層ゴム30によってその
変形を抑える方向に力が発生し、当該力が建築構造物A
に作用する。一方、建築構造物Aの左上部と右上部の間
の相対距離は減少するので、鉛プラグ入り積層ゴム30か
ら水平部滑車42と導入部滑車41とを経て反対側の左上固
定部40に至る部分の圧縮側ワイヤー20bには大きな張力
は働かず、ただ引張側ワイヤー20aに引かれるまま、た
るみを生ずることなく移動する。
し、ある瞬間に釣り合い位置(第7図における点線で示
す位置)から第7図における実線で示す位置に変形した
とする。この結果建築構造物Aの右上部と左下部の間の
相対距離が増大し、よって右上固定部40から左下方向に
張られたワイヤー20は引っ張られ、その変位は導入部滑
車41と水平部滑車42とに架け渡された引張側ワイヤー20
aにより鉛プラグ入り積層ゴム30に伝えられる。当該引
張側ワイヤー20aはその張力により弾性変形し、固定部4
0と導入部滑車41との間の相対変位のうち幾分かを吸収
するが、大部分は鉛プラグ入り積層ゴム30に対する入力
となる。鉛プラグ入り積層ゴム30は入力変位もしくは入
力速度に比例した減衰力を発生しワイヤー20の張力と釣
り合う。こうして建築構造物Aの右方向への変形に対
し、ワイヤー20と鉛プラグ入り積層ゴム30によってその
変形を抑える方向に力が発生し、当該力が建築構造物A
に作用する。一方、建築構造物Aの左上部と右上部の間
の相対距離は減少するので、鉛プラグ入り積層ゴム30か
ら水平部滑車42と導入部滑車41とを経て反対側の左上固
定部40に至る部分の圧縮側ワイヤー20bには大きな張力
は働かず、ただ引張側ワイヤー20aに引かれるまま、た
るみを生ずることなく移動する。
反対に、次の瞬間には水平に左方向に変形したとする
と、建築構造物Aの左上部と右下部の間の相対距離が増
大し、よって左上固定部40から右下方向に張られたワイ
ヤー20は引っ張られ、その変位は導入部滑車41と水平部
滑車42を経て鉛プラグ入り積層ゴム30に伝えられ、鉛プ
ラグ入り積層ゴム30は入力変位もしくは入力速度に比例
した減衰力を発生しワイヤー20の張力と釣り合う。こう
して建築構造物Aの左方向への変形に対し、右方向への
振動抑制力が発生する。一方、ワイヤー20の、右上固定
部40から左下方向に張られた部分は圧縮側ワイヤー20b
となり、たるみを生ずることなく移動する。
と、建築構造物Aの左上部と右下部の間の相対距離が増
大し、よって左上固定部40から右下方向に張られたワイ
ヤー20は引っ張られ、その変位は導入部滑車41と水平部
滑車42を経て鉛プラグ入り積層ゴム30に伝えられ、鉛プ
ラグ入り積層ゴム30は入力変位もしくは入力速度に比例
した減衰力を発生しワイヤー20の張力と釣り合う。こう
して建築構造物Aの左方向への変形に対し、右方向への
振動抑制力が発生する。一方、ワイヤー20の、右上固定
部40から左下方向に張られた部分は圧縮側ワイヤー20b
となり、たるみを生ずることなく移動する。
次に、以上のように構成した建築構造物Aの効果につ
いて説明する。
いて説明する。
従来技術に比べてワイヤー20の長さを減少させ、ま
た、このことよりワイヤー20の延びが減少するととも
に、機構が簡略化するのでメンテナンスの手間を低減す
ることができるとともに、引張力を斜めに斜張するの
で、水平方向に延在すワイヤー20による軸方向圧縮力を
低減することができ、さらに単に一点において交叉する
ようにしているので、従来技術に比べて滑車の数を減少
することができ、このことより滑車によるワイヤー20に
生じる引張力の摩擦損失を減少し、その結果鉛プラグ入
り積層ゴム30への引張力の入力の減少を軽減することが
できる。
た、このことよりワイヤー20の延びが減少するととも
に、機構が簡略化するのでメンテナンスの手間を低減す
ることができるとともに、引張力を斜めに斜張するの
で、水平方向に延在すワイヤー20による軸方向圧縮力を
低減することができ、さらに単に一点において交叉する
ようにしているので、従来技術に比べて滑車の数を減少
することができ、このことより滑車によるワイヤー20に
生じる引張力の摩擦損失を減少し、その結果鉛プラグ入
り積層ゴム30への引張力の入力の減少を軽減することが
できる。
また、上記のように、屋上階、24階及び16階に設けた
固定部40と基礎部14とをそれぞれ各ワイヤー20により直
接つないでいるので、小さな建築構造物Aの振幅に対し
ても、大きな、ワイヤー20の移動量が得られる。すなわ
ち各固定部40と基礎部14との相対変位そのものを取り出
すことができる。これにより、鉛プラグ入り積層ゴム30
に対する入力が大きくなり、少ない鉛プラグ入り積層ゴ
ム30で効率よくエネルギー吸収することが可能となる。
固定部40と基礎部14とをそれぞれ各ワイヤー20により直
接つないでいるので、小さな建築構造物Aの振幅に対し
ても、大きな、ワイヤー20の移動量が得られる。すなわ
ち各固定部40と基礎部14との相対変位そのものを取り出
すことができる。これにより、鉛プラグ入り積層ゴム30
に対する入力が大きくなり、少ない鉛プラグ入り積層ゴ
ム30で効率よくエネルギー吸収することが可能となる。
また、ワイヤー20を一箇所において交差するように張
設したことにより、ワイヤー20にたるみを生じないよう
にするとともに、履歴ダンパーを用いたときに残留変形
が生ずるたびにその分だけ釣合い点が移動し減衰機構の
動かなくなる領域が拡大していくという問題を解決でき
る。
設したことにより、ワイヤー20にたるみを生じないよう
にするとともに、履歴ダンパーを用いたときに残留変形
が生ずるたびにその分だけ釣合い点が移動し減衰機構の
動かなくなる領域が拡大していくという問題を解決でき
る。
また、屋上階のみならず24階及び16階にも固定部40を
設けているので一次振動のみならず高次振動をも減衰す
ることができる。
設けているので一次振動のみならず高次振動をも減衰す
ることができる。
また、前記各ワイヤー20は、前記鉛プラグ入り積層ゴ
ム30を挟んで一方側半分と、他方側半分とが建築構造物
Aの正面視における幅方向中央の1箇所において交叉す
るように前記建屋10に架け渡してなるので、左右方向の
振動(例えば、第1図を示す紙面の左右方向の振動)に
対して均等に減衰効果を得ることができる。
ム30を挟んで一方側半分と、他方側半分とが建築構造物
Aの正面視における幅方向中央の1箇所において交叉す
るように前記建屋10に架け渡してなるので、左右方向の
振動(例えば、第1図を示す紙面の左右方向の振動)に
対して均等に減衰効果を得ることができる。
なお、本実施例においては減衰装置として鉛プラグ入
り積層ゴム30を用いているが本発明の範囲をそれに限定
する趣旨ではなく、本発明においては他のもの、例え
ば、回転式減衰装置50、オイルダンパー、あるいはそれ
らの組み合わせ等、本発明を実施するうえで好適なもの
を用いることができる。前記回転式減衰装置50は第8図
及び第9図に示すように、その上部に位置する同軸プー
リー51と、下部に位置する基体52とからなるものであ
る。前記同軸プーリー51は前記ワイヤー20の中間部を2
重ないし3重に巻着しており、ワイヤー20の移動量に応
じて回転するものである。前記基体52は、その下面を基
礎部14の床に固定しており、前記同軸プーリー51と装置
下部との間に相対運動が生ずるものである。この間に粘
性体(ゴム状物質)53を満たしておけば、運動の向きと
反対方向に力が発生する。この力により建築構造物Aの
エネルギーは最終的には粘性体の熱エネルギーとなって
消費される。
り積層ゴム30を用いているが本発明の範囲をそれに限定
する趣旨ではなく、本発明においては他のもの、例え
ば、回転式減衰装置50、オイルダンパー、あるいはそれ
らの組み合わせ等、本発明を実施するうえで好適なもの
を用いることができる。前記回転式減衰装置50は第8図
及び第9図に示すように、その上部に位置する同軸プー
リー51と、下部に位置する基体52とからなるものであ
る。前記同軸プーリー51は前記ワイヤー20の中間部を2
重ないし3重に巻着しており、ワイヤー20の移動量に応
じて回転するものである。前記基体52は、その下面を基
礎部14の床に固定しており、前記同軸プーリー51と装置
下部との間に相対運動が生ずるものである。この間に粘
性体(ゴム状物質)53を満たしておけば、運動の向きと
反対方向に力が発生する。この力により建築構造物Aの
エネルギーは最終的には粘性体の熱エネルギーとなって
消費される。
また、前記鉛プラグ入り積層ゴム30は平面視長方形を
してなるが、本発明の範囲をそれに限定する趣旨ではな
く、本発明においては他の形状、例えば、平面視円形
等、本発明を実施するうえで好適な形状のものを用いる
ことができる。
してなるが、本発明の範囲をそれに限定する趣旨ではな
く、本発明においては他の形状、例えば、平面視円形
等、本発明を実施するうえで好適な形状のものを用いる
ことができる。
また、引張材としてワイヤー20を用いているが、本発
明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、本発明におい
ては他のもの、例えば鋼製ロッド等、本発明を実施する
うえで好適なものを用いることができる。
明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、本発明におい
ては他のもの、例えば鋼製ロッド等、本発明を実施する
うえで好適なものを用いることができる。
また、ワイヤー20を外壁11部に取り付けることを想定
しているが、内部のエレベータ・機械室等を配置するコ
ア部分の内壁に沿って配置することも可能である。その
場合内壁の一方の面(例えば外側)に右上から左下に張
られたワイヤー20を配置し、もう一方の面(例えば内
側)に左上から右下に張られたワイヤー20を配置すれば
よい。いずれの場合にもワイヤー20を張った面に対し直
交する方向(面外方向)の建築構造物Aの曲げ変形(例
えばはらみだしのような変形)に対してワイヤー20が建
築構造物Aに接触しないよう、十分なクリアランスを取
る。
しているが、内部のエレベータ・機械室等を配置するコ
ア部分の内壁に沿って配置することも可能である。その
場合内壁の一方の面(例えば外側)に右上から左下に張
られたワイヤー20を配置し、もう一方の面(例えば内
側)に左上から右下に張られたワイヤー20を配置すれば
よい。いずれの場合にもワイヤー20を張った面に対し直
交する方向(面外方向)の建築構造物Aの曲げ変形(例
えばはらみだしのような変形)に対してワイヤー20が建
築構造物Aに接触しないよう、十分なクリアランスを取
る。
また、導入部滑車41と水平部滑車42を一つの滑車で兼
ねることも可能である。また滑車に直接回転式の鉛プラ
グ入り積層ゴム30を組み込むことにより、水平に架け渡
されたワイヤー20に取りつく鉛プラグ入り積層ゴム30を
設置しないことも可能である。
ねることも可能である。また滑車に直接回転式の鉛プラ
グ入り積層ゴム30を組み込むことにより、水平に架け渡
されたワイヤー20に取りつく鉛プラグ入り積層ゴム30を
設置しないことも可能である。
また、建屋10各部にも取付けた場合には高次振動数に
対しても効果がある。つまり振動モードの腹と筋に相当
する部分を結合すればそのモードに対して効率よく制振
できる。
対しても効果がある。つまり振動モードの腹と筋に相当
する部分を結合すればそのモードに対して効率よく制振
できる。
なお、例えば第17図において低層部に固定したワイヤ
ーのように、固定位置によってはワイヤーを交叉させる
ことが不可能であったり不都合であることも想定される
が、そのような場合、本発明においては一部のワイヤー
を交叉させずに架け渡すことを妨げるものではない。
ーのように、固定位置によってはワイヤーを交叉させる
ことが不可能であったり不都合であることも想定される
が、そのような場合、本発明においては一部のワイヤー
を交叉させずに架け渡すことを妨げるものではない。
(実施例2) 次に、本発明の一実施例である実施例2について第10
図ないし第13図を用いて詳細に説明する。
図ないし第13図を用いて詳細に説明する。
実施例2に係る建築構造物Aは、第10図に示すよう
に、28階建の高層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の
各外壁11において端部を固定した3本のワイヤー20から
なるワイヤー20群と、当該ワイヤー20群に生じる引張力
を吸収するように前記各ワイヤー20の中間部に各別に介
在させてなる3機の鉛プラグ入り積層ゴム30とを備えた
ものである。
に、28階建の高層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の
各外壁11において端部を固定した3本のワイヤー20から
なるワイヤー20群と、当該ワイヤー20群に生じる引張力
を吸収するように前記各ワイヤー20の中間部に各別に介
在させてなる3機の鉛プラグ入り積層ゴム30とを備えた
ものである。
前記ワイヤー20群を構成する3本のワイヤー20は、一
連のワイヤー20の、前記鉛プラグ入り積層ゴム30を挟ん
で一方側半分と、他方側半分とが建築構造物Aの正面視
における幅方向中央の1箇所において交叉するように前
記建屋10に斜設してなるものである。さらに詳しく説明
すると、前記ワイヤー20群を構成する各ワイヤー20は、
屋上階、22階及び16階に設けられた固定部40に端部を各
別に固定してあり、基礎部14の1階部分に設けられた導
入部滑車41に架け渡し張設方向を鉛直方向に変換し、基
礎部14内部に取り込まれ、さらに、水平部滑車42に架け
渡し張設方向を水平方向に変換するように架け渡し、中
間部に前記鉛プラグ入り積層ゴム30を介在させ、適度な
張力を与えたものである。したがって、前記ワイヤー20
群には右上から左下に斜設したものと左上から右下に斜
設したものとがある。
連のワイヤー20の、前記鉛プラグ入り積層ゴム30を挟ん
で一方側半分と、他方側半分とが建築構造物Aの正面視
における幅方向中央の1箇所において交叉するように前
記建屋10に斜設してなるものである。さらに詳しく説明
すると、前記ワイヤー20群を構成する各ワイヤー20は、
屋上階、22階及び16階に設けられた固定部40に端部を各
別に固定してあり、基礎部14の1階部分に設けられた導
入部滑車41に架け渡し張設方向を鉛直方向に変換し、基
礎部14内部に取り込まれ、さらに、水平部滑車42に架け
渡し張設方向を水平方向に変換するように架け渡し、中
間部に前記鉛プラグ入り積層ゴム30を介在させ、適度な
張力を与えたものである。したがって、前記ワイヤー20
群には右上から左下に斜設したものと左上から右下に斜
設したものとがある。
前記各固定部40は第11図に示すように、柱16・梁17接
合部において外壁11に垂直に(水平方向に)固定された
固定ピン45を備え、当該固定ピンにより前記各ワイヤー
20の端部を固定するものである。屋上階に設けてある固
定部40は屋上階の左端と右端とにそれぞれ設けられ、22
階と16階に設けられた固定部40は、張設すべき両ワイヤ
ー20の水平線とのなす角が、屋上階から張設されたワイ
ヤー20の水平線とのなす角と同一の角度となる位置に設
けられている。
合部において外壁11に垂直に(水平方向に)固定された
固定ピン45を備え、当該固定ピンにより前記各ワイヤー
20の端部を固定するものである。屋上階に設けてある固
定部40は屋上階の左端と右端とにそれぞれ設けられ、22
階と16階に設けられた固定部40は、張設すべき両ワイヤ
ー20の水平線とのなす角が、屋上階から張設されたワイ
ヤー20の水平線とのなす角と同一の角度となる位置に設
けられている。
さらに実施例2においては前記各ワイヤー20群の交点
には、滑車を用いた接触防止装置46をワイヤー20群の交
点に介挿している。当該接触防止装置46は、第12図及び
第13図に示すように正面視菱形の鋼製板状体46aに前記
各ワイヤを架け渡すことができるように複数のプーリー
46bを両面に設けてあるものである。
には、滑車を用いた接触防止装置46をワイヤー20群の交
点に介挿している。当該接触防止装置46は、第12図及び
第13図に示すように正面視菱形の鋼製板状体46aに前記
各ワイヤを架け渡すことができるように複数のプーリー
46bを両面に設けてあるものである。
水平部滑車42、導入部滑車41、鉛プラグ入り積層ゴム
30及びその設置方法等の構成については実施例1と同様
の構成となっている。
30及びその設置方法等の構成については実施例1と同様
の構成となっている。
前記建築構造物Aは上記のごとき構成となっているの
で、実施例1に係る建築構造物Aと同様の、鉛プラグ入
り積層ゴム30の作動原理を奏し、作用効果を得ることが
できる。
で、実施例1に係る建築構造物Aと同様の、鉛プラグ入
り積層ゴム30の作動原理を奏し、作用効果を得ることが
できる。
さらに実施例2においては、前記ワイヤー20群の交点
に接触防止装置46を介装しているので前記各ワイヤー20
の摩耗を防ぐことができる。
に接触防止装置46を介装しているので前記各ワイヤー20
の摩耗を防ぐことができる。
なお、実施例2では前記ワイヤー20群を建屋10の外壁
11部に取り付けることを想定しているが、内部のエレベ
ータ・機械室等を配置するコア部分の内壁に沿って配置
することも可能である。斯かる場合においては、内壁の
一方の面に右上から左下に張られたワイヤー20を配置
し、もう一方の面に左上から右下に張られたワイヤー20
を配置すればよい。
11部に取り付けることを想定しているが、内部のエレベ
ータ・機械室等を配置するコア部分の内壁に沿って配置
することも可能である。斯かる場合においては、内壁の
一方の面に右上から左下に張られたワイヤー20を配置
し、もう一方の面に左上から右下に張られたワイヤー20
を配置すればよい。
また、上記いずれの場合にもワイヤー20を張った面に
対し直交する方向(面外方向)の建築構造物Aの曲げ変
形(例えばはらみだしのような変形)に対してワイヤー
20が建築構造物Aに接触しないよう、十分なクリアラン
スを取るようにする。
対し直交する方向(面外方向)の建築構造物Aの曲げ変
形(例えばはらみだしのような変形)に対してワイヤー
20が建築構造物Aに接触しないよう、十分なクリアラン
スを取るようにする。
その他の変形例においても実施例2の実施を妨げない
ことを条件として適用することができる。
ことを条件として適用することができる。
(実施例3) 次に、本発明の一実施例である実施例3について第14
図ないし第16図を用いて詳細に説明する。
図ないし第16図を用いて詳細に説明する。
実施例3に係る建築構造物Aは、第14図に示すよう
に、中央にアトリウム・中庭・天蓋付き吹き抜き等の空
洞部12を持つ平面視において外輪郭四角形の22階建ての
高層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の各内壁13にお
いて端部を固定した3本のワイヤー20と、当該各ワイヤ
ー20に生じる引張力を吸収するように前記各ワイヤー20
の中間部に各別に介在させた3機の鉛プラグ入り積層ゴ
ム30とを備えたものである。
に、中央にアトリウム・中庭・天蓋付き吹き抜き等の空
洞部12を持つ平面視において外輪郭四角形の22階建ての
高層ビルであり、建屋10と、当該建屋10の各内壁13にお
いて端部を固定した3本のワイヤー20と、当該各ワイヤ
ー20に生じる引張力を吸収するように前記各ワイヤー20
の中間部に各別に介在させた3機の鉛プラグ入り積層ゴ
ム30とを備えたものである。
前記各ワイヤー20は、その両端部を前記建屋10の内壁
13に設けた固定部40に固定し、前記鉛プラグ入り積層ゴ
ム30を挟んで一方側半分と、他方側半分とが前記空洞部
12の正面視における幅方向中央の一点において交叉する
ように前記建屋10に斜設したものである。さらに詳しく
説明すると、屋上階、22階及び16階の内壁13の左縁部又
は右縁部に固定部40を設け、当該各固定部40に一連のワ
イヤー20の各端部を各別に固定し、前記空洞部12の反対
側にさし渡す形で斜設し、右縁部又は左縁部に設けた導
入部滑車41に架け渡し、さらに基礎部14に設けた水平部
滑車42を架け渡し、前記各ワイヤー20の中間部に鉛プラ
グ入り積層ゴム30を介在させ、適度な張力を与えたもの
である。
13に設けた固定部40に固定し、前記鉛プラグ入り積層ゴ
ム30を挟んで一方側半分と、他方側半分とが前記空洞部
12の正面視における幅方向中央の一点において交叉する
ように前記建屋10に斜設したものである。さらに詳しく
説明すると、屋上階、22階及び16階の内壁13の左縁部又
は右縁部に固定部40を設け、当該各固定部40に一連のワ
イヤー20の各端部を各別に固定し、前記空洞部12の反対
側にさし渡す形で斜設し、右縁部又は左縁部に設けた導
入部滑車41に架け渡し、さらに基礎部14に設けた水平部
滑車42を架け渡し、前記各ワイヤー20の中間部に鉛プラ
グ入り積層ゴム30を介在させ、適度な張力を与えたもの
である。
屋上階における前記固定部40は第15図に示すように、
柱16・梁17接合部隅角部において内壁13に垂直に(水平
方向に)固定された固定ピンにワイヤー20の一端が固定
されるようになっている。22階及び16階における固定部
40も同様の構成となっている。
柱16・梁17接合部隅角部において内壁13に垂直に(水平
方向に)固定された固定ピンにワイヤー20の一端が固定
されるようになっている。22階及び16階における固定部
40も同様の構成となっている。
前記導入部滑車41は、屋上階、22階及び16階に各別に
固定された3本のワイヤー20の端部を架け渡すことがで
きるように、第16図に示すごとく鉛直方向に列設されて
いる。
固定された3本のワイヤー20の端部を架け渡すことがで
きるように、第16図に示すごとく鉛直方向に列設されて
いる。
水平部滑車42、鉛プラグ入り積層ゴム30及びその設置
方法等については実施例1と同様の構成となっている。
方法等については実施例1と同様の構成となっている。
なお、本実施例では、空洞部12を有する建築構造物A
に適用しているので空洞部12内において自由にワイヤー
20を張ることができる。従って、例えば右上から左下へ
張られたワイヤー20を奇数番号の柱16に、左上から右下
へ張られたワイヤー20を偶数番号の柱16に取り付けると
いったことができる。また平面視において対角線に一致
するように上に張設することもできる。その他の作用効
果については実施例1と同様の作用効果となっている。
に適用しているので空洞部12内において自由にワイヤー
20を張ることができる。従って、例えば右上から左下へ
張られたワイヤー20を奇数番号の柱16に、左上から右下
へ張られたワイヤー20を偶数番号の柱16に取り付けると
いったことができる。また平面視において対角線に一致
するように上に張設することもできる。その他の作用効
果については実施例1と同様の作用効果となっている。
また、実施例2においては一の柱16にワイヤー20の端
部を固定しているが、本発明の範囲をそれに限定する趣
旨ではなく、それぞれ異なる柱16に端部を固定すること
もできる。斯かる場合においては固定部40を設けた各柱
16に1つの導入部滑車41を取り付ければよい。
部を固定しているが、本発明の範囲をそれに限定する趣
旨ではなく、それぞれ異なる柱16に端部を固定すること
もできる。斯かる場合においては固定部40を設けた各柱
16に1つの導入部滑車41を取り付ければよい。
また、その他の変形例においても実施例3の実施を妨
げないことを条件として適用することができる。
げないことを条件として適用することができる。
(減衰実験) 最後に、上記構成の建築構造物Aの減衰実験結果につ
いて説明する。本減衰実験は以下に掲げる3種類の実験
モデルを用いてシミュレーションを行ったものである。
いて説明する。本減衰実験は以下に掲げる3種類の実験
モデルを用いてシミュレーションを行ったものである。
(A)実験モデル 本減衰実験に係る実験モデルは、従来型の非制振建築
構造物A(以下、「ORI100」と表す。)、減衰装置とし
てダッシュポットによるワイヤー制振法を用いた建築構
造物A(以下、「DSP100」と表す。)及び減衰装置とし
て鉛入り積層ゴム30によるワイヤー制振法を用いた建築
構造物A(以下、LRB080と表す。)である。
構造物A(以下、「ORI100」と表す。)、減衰装置とし
てダッシュポットによるワイヤー制振法を用いた建築構
造物A(以下、「DSP100」と表す。)及び減衰装置とし
て鉛入り積層ゴム30によるワイヤー制振法を用いた建築
構造物A(以下、LRB080と表す。)である。
ORI100 ORI100はワイヤー制振法を用いた建築構造物Aとの比
較に用いる、S造28階建て(高さ約110m)、重量約4万
t、減衰定数2%、一次固有周期約3秒の建築構造物A
である。
較に用いる、S造28階建て(高さ約110m)、重量約4万
t、減衰定数2%、一次固有周期約3秒の建築構造物A
である。
ワイヤー制振法を用いた二つの建築構造物Aは、固有
値解析結果の振動モードの形状を考慮し、22階、15階、
8階と地表との間、並びに屋上階と8階との間をワイヤ
ー20により斜設し、ワイヤー20の中間部分に減衰装置を
取り付けたものである。
値解析結果の振動モードの形状を考慮し、22階、15階、
8階と地表との間、並びに屋上階と8階との間をワイヤ
ー20により斜設し、ワイヤー20の中間部分に減衰装置を
取り付けたものである。
LRB080 ワイヤー制振法を用いた建築構造物Aの実験モデルの
うち、LRB080は減衰装置として鉛プラグ入り積層ゴム30
を用いた建築構造物Aである。
うち、LRB080は減衰装置として鉛プラグ入り積層ゴム30
を用いた建築構造物Aである。
前記鉛プラグ入り積層ゴム30は、基本的に鉛の塑性化
に伴う履歴吸収によってエネルギー吸収を行うものであ
り、減衰性能は鉛の断面積にほぼ比例する。本実験モデ
ルにおいては最大変位13.5cmの時124tの塑性耐力(水平
力に対する塑性域での限界の力、すなわち水平力が増加
することなく変位のみが増加するようになる力)となる
よう設計した。また、減衰特性については第5図に示す
ものと同様となっている。
に伴う履歴吸収によってエネルギー吸収を行うものであ
り、減衰性能は鉛の断面積にほぼ比例する。本実験モデ
ルにおいては最大変位13.5cmの時124tの塑性耐力(水平
力に対する塑性域での限界の力、すなわち水平力が増加
することなく変位のみが増加するようになる力)となる
よう設計した。また、減衰特性については第5図に示す
ものと同様となっている。
建屋10フレームの水平剛性は、張設したワイヤー20の
水平剛性に対する影響を考慮し、ORI100の80%に減じて
いる。その他の建屋10のサイズ、水平剛性等については
ORI100と同様としている。
水平剛性に対する影響を考慮し、ORI100の80%に減じて
いる。その他の建屋10のサイズ、水平剛性等については
ORI100と同様としている。
前記ワイヤー20は、直径10cmのワイヤー20の4本を1
組としてエネルギー吸収装置1台と結ぶ。LRBが150tの
塑性端力を経験する時、約1/4はワイヤー20の弾性変形
によって吸収される。
組としてエネルギー吸収装置1台と結ぶ。LRBが150tの
塑性端力を経験する時、約1/4はワイヤー20の弾性変形
によって吸収される。
DSP100 DSP100は、減衰装置としてオイルダンパーを用いた建
築構造物Aである。前記オイルダンパーは、前記鉛プラ
グ入り積層ゴム30と同様の減衰性能を有するものであ
る。建屋10の寸法、水平剛性、ワイヤー20等については
LRB080と同様の構成としている。
築構造物Aである。前記オイルダンパーは、前記鉛プラ
グ入り積層ゴム30と同様の減衰性能を有するものであ
る。建屋10の寸法、水平剛性、ワイヤー20等については
LRB080と同様の構成としている。
以上の条件から設定されたORI100,LRB080,DSP100の解
析用モデルの概念図を第18図(イ)ないし第18図(ハ)
に順次示す。
析用モデルの概念図を第18図(イ)ないし第18図(ハ)
に順次示す。
(B)実験結果 斯かるワイヤー制振法を用いた建築構造物Aの強震時
における性能を確認するため、設計用のスペクトル特性
を考慮した人工地震波を用いてシミュレーション解析し
た。その結果の一部を以下に示す。
における性能を確認するため、設計用のスペクトル特性
を考慮した人工地震波を用いてシミュレーション解析し
た。その結果の一部を以下に示す。
ORI100の地震応答の加速度・速度・変位各成分波形の
例を第19図に示す。同様に、DSP100の応答波形の例を第
20図に、LRB080の応答波形の例を第21図に示す。
例を第19図に示す。同様に、DSP100の応答波形の例を第
20図に、LRB080の応答波形の例を第21図に示す。
第19図ないし第21図に示すように、ORI100では地震動
が終わった後、徐々に減衰するが、100秒を越えても完
全には振動は収まらない。これに比べ、ワイヤー制振法
を用いた建築構造物Aは地震動が終わった後、急速に減
衰している。また、建築構造物A最大応答加速度と建築
構造物A最大応答変位の鉛直分布とは、第22図と第23図
とに示すように、LRB080及びDSP100ではORI100の半分以
下になっている。
が終わった後、徐々に減衰するが、100秒を越えても完
全には振動は収まらない。これに比べ、ワイヤー制振法
を用いた建築構造物Aは地震動が終わった後、急速に減
衰している。また、建築構造物A最大応答加速度と建築
構造物A最大応答変位の鉛直分布とは、第22図と第23図
とに示すように、LRB080及びDSP100ではORI100の半分以
下になっている。
同様にして強風時の応答特性も比較した。風向直行方
向の建築構造物Aの加速度・速度・変位応答波形をORI1
00、DSP100、LRB080の順に第24図ないし第26図に示す。
第24図ないし第26図に示すようにワイヤー制振法を用い
た建築構造物Aの応答波形の振幅はORI100の応答波形の
振幅よりも小さくなっており、制振効果が明らかであ
る。
向の建築構造物Aの加速度・速度・変位応答波形をORI1
00、DSP100、LRB080の順に第24図ないし第26図に示す。
第24図ないし第26図に示すようにワイヤー制振法を用い
た建築構造物Aの応答波形の振幅はORI100の応答波形の
振幅よりも小さくなっており、制振効果が明らかであ
る。
また、建築構造物A最大応答加速度と建築構造物A最
大応答変位との鉛直分布を、第27図と第28図とに示す。
第27図及び第28図に示すように、建築構造物A頂部の加
速度応答値を見ると、ORI100で約12GaLのものが、ワイ
ヤー20制振建築構造物Aでは6〜7GaLまで低下してい
る。
大応答変位との鉛直分布を、第27図と第28図とに示す。
第27図及び第28図に示すように、建築構造物A頂部の加
速度応答値を見ると、ORI100で約12GaLのものが、ワイ
ヤー20制振建築構造物Aでは6〜7GaLまで低下してい
る。
なお、実験モデルに係る減衰装置として、回転式減衰
装置50を用いることもできる。当該回転式減衰装置50
は、第8図及び第9図に示すように円形ドラムの間に注
入された粘性体の剪断粘性抵抗を利用したものであり、
実験式より最大速度31cm/secの時124tの減衰力となるよ
うな装置の直径は約1.3m高さは0.5mと求められる。前記
鉛プラグ入り積層ゴム30や、前記オイルダンパーと同様
の減衰効果を有する回転式減衰装置50であれば、上記実
験結果とほぼ同様の結果を得ることができる。
装置50を用いることもできる。当該回転式減衰装置50
は、第8図及び第9図に示すように円形ドラムの間に注
入された粘性体の剪断粘性抵抗を利用したものであり、
実験式より最大速度31cm/secの時124tの減衰力となるよ
うな装置の直径は約1.3m高さは0.5mと求められる。前記
鉛プラグ入り積層ゴム30や、前記オイルダンパーと同様
の減衰効果を有する回転式減衰装置50であれば、上記実
験結果とほぼ同様の結果を得ることができる。
[発明の効果] 本発明は、以上のように構成されているので以下に掲
げる効果を有する。
げる効果を有する。
従来技術に比べて引張材の長さを減少させ、また、こ
のことより引張材の延びが減少するとともに、機構が簡
略化するのでメンテナンスの手間を低減することができ
るとともに、引張力を斜めに斜張するので、水平方向に
延在す引張材による軸方向圧縮力を低減することがで
き、さらに単に一点において交叉するようにしているの
で、従来技術に比べて滑車の数を減少することができ、
このことより滑車による引張材に生じる引張力の摩擦損
失を減少し、その結果減衰装置への引張力の入力の減少
を軽減することができる。また、引張材を複数設けてそ
れら複数の引張材を互いに異なる階に対して固定するの
で、それら複数の引張材およびそれに介在させた複数の
減衰装置により建屋の一次振動のみならず高次振動をも
減衰させることができる。
のことより引張材の延びが減少するとともに、機構が簡
略化するのでメンテナンスの手間を低減することができ
るとともに、引張力を斜めに斜張するので、水平方向に
延在す引張材による軸方向圧縮力を低減することがで
き、さらに単に一点において交叉するようにしているの
で、従来技術に比べて滑車の数を減少することができ、
このことより滑車による引張材に生じる引張力の摩擦損
失を減少し、その結果減衰装置への引張力の入力の減少
を軽減することができる。また、引張材を複数設けてそ
れら複数の引張材を互いに異なる階に対して固定するの
で、それら複数の引張材およびそれに介在させた複数の
減衰装置により建屋の一次振動のみならず高次振動をも
減衰させることができる。
第1図ないし第7図は本発明の一実施例である実施例1
を示すものであり、第1図は建築構造物の概略構成図、
第2図は導入部滑車の正面図、第3図は水平部滑車の正
面図、第4図は鉛プラグ入り積層ゴムの平面図、第5図
は鉛プラグ入り積層ゴムの側面図、第6図(イ)は鉛プ
ラグの履歴特性を示す図、第6図(ロ)は積層ゴムの履
歴特性を示す図、第6図(ハ)は鉛プラグ入り積層ゴム
の履歴特性を示す図、第7図は建築構造物の作動原理を
示す図、第8図はその他の実施例に係る回転式減衰装置
の平面図、第9図はその他の実施例に係る回転式減衰装
置の側断面図、 第10図ないし第13図は本発明の他の実施例である実施例
2を示すもので、第10図は建築構造物の概略構成図、第
11図は固定部周辺の側面図、第12図は接触防止装置の正
面図、第13図は接触防止装置の側面図、 第14図ないし第16図は本発明の他の実施例である実施例
3を示すもので、第14図は建築構造物の概略構成図、第
15図は固定部周辺の側面図、第16図は導入部滑車周辺の
側面図、 第17図ないし第28図は減衰実験に係り、第17図は建築構
造物の概略構成図、第18図(イ)ないし第18図(ハ)は
建築構造物の解析用モデルを示す図、第19図ないし第21
図は各建築構造物における地震応答波形を示す図、第22
図は各建築構造物の地震による最大応答加速度を示す
図、第23図は各建築構造物の地震による最大応答変位を
示す図、第24図ないし第26図は各建築構造物Aにおける
風応答波形を示す図、第27図は各建築構造物の風による
最大応答加速度を示す図、第28図は各建築構造物の風に
よる最大応答変位を示す図、 第29図は従来例に係る建築構造物の概略構成図である。 A……建築構造物、 10……建屋、20……ワイヤー(緊張材)、 30……鉛プラグ入り積層ゴム(減衰装置)。
を示すものであり、第1図は建築構造物の概略構成図、
第2図は導入部滑車の正面図、第3図は水平部滑車の正
面図、第4図は鉛プラグ入り積層ゴムの平面図、第5図
は鉛プラグ入り積層ゴムの側面図、第6図(イ)は鉛プ
ラグの履歴特性を示す図、第6図(ロ)は積層ゴムの履
歴特性を示す図、第6図(ハ)は鉛プラグ入り積層ゴム
の履歴特性を示す図、第7図は建築構造物の作動原理を
示す図、第8図はその他の実施例に係る回転式減衰装置
の平面図、第9図はその他の実施例に係る回転式減衰装
置の側断面図、 第10図ないし第13図は本発明の他の実施例である実施例
2を示すもので、第10図は建築構造物の概略構成図、第
11図は固定部周辺の側面図、第12図は接触防止装置の正
面図、第13図は接触防止装置の側面図、 第14図ないし第16図は本発明の他の実施例である実施例
3を示すもので、第14図は建築構造物の概略構成図、第
15図は固定部周辺の側面図、第16図は導入部滑車周辺の
側面図、 第17図ないし第28図は減衰実験に係り、第17図は建築構
造物の概略構成図、第18図(イ)ないし第18図(ハ)は
建築構造物の解析用モデルを示す図、第19図ないし第21
図は各建築構造物における地震応答波形を示す図、第22
図は各建築構造物の地震による最大応答加速度を示す
図、第23図は各建築構造物の地震による最大応答変位を
示す図、第24図ないし第26図は各建築構造物Aにおける
風応答波形を示す図、第27図は各建築構造物の風による
最大応答加速度を示す図、第28図は各建築構造物の風に
よる最大応答変位を示す図、 第29図は従来例に係る建築構造物の概略構成図である。 A……建築構造物、 10……建屋、20……ワイヤー(緊張材)、 30……鉛プラグ入り積層ゴム(減衰装置)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 康裕 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 石井 透 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 南部 世紀夫 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 稲田 裕 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 清川 哲志 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−71746(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04H 9/02 - 9/02 311
Claims (1)
- 【請求項1】複数の階を有する建屋と、当該建屋に端部
を固定した一連の引張材と、当該引張材に生じる引張力
を吸収するように介在させた減衰装置とを備え、地震、
風等により建屋に生じる振動が引張材を介して減衰装置
に伝達されて抑制される構成の建築構造物であって、前
記引張材を、前記減衰装置を挟んで一方側半分と、他方
側半分とが1箇所において交叉するように前記建屋に架
け渡すとともに、該引張材を複数設け、それら複数の引
張材を当該建屋の互いに異なる階に対してそれぞれ固定
し、それら引張材のそれぞれに対して前記減衰装置を介
在させてなることを特徴とする建築構造物。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30304290A JP2926108B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 建築構造物 |
US07/786,395 US5259159A (en) | 1990-11-08 | 1991-11-01 | Construction having a damping device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30304290A JP2926108B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 建築構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04176974A JPH04176974A (ja) | 1992-06-24 |
JP2926108B2 true JP2926108B2 (ja) | 1999-07-28 |
Family
ID=17916227
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30304290A Expired - Fee Related JP2926108B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 建築構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2926108B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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---|---|---|---|---|
JP5048861B1 (ja) * | 2011-10-04 | 2012-10-17 | 独立行政法人建築研究所 | 建築物の制振装置 |
JP5149453B1 (ja) * | 2012-07-17 | 2013-02-20 | 株式会社免制震ディバイス | 構造物の制振装置 |
JP5399540B1 (ja) * | 2012-07-17 | 2014-01-29 | 株式会社免制震ディバイス | 構造物の制振装置 |
JP5695616B2 (ja) * | 2012-08-29 | 2015-04-08 | 太平電業株式会社 | ボイラの解体方法 |
JP2016199859A (ja) * | 2015-04-07 | 2016-12-01 | 株式会社グレイプ | 建物の補強構造 |
-
1990
- 1990-11-08 JP JP30304290A patent/JP2926108B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH04176974A (ja) | 1992-06-24 |
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