JPH1193458A - 建物の振動制御方法および制震構造 - Google Patents

建物の振動制御方法および制震構造

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JPH1193458A
JPH1193458A JP25722297A JP25722297A JPH1193458A JP H1193458 A JPH1193458 A JP H1193458A JP 25722297 A JP25722297 A JP 25722297A JP 25722297 A JP25722297 A JP 25722297A JP H1193458 A JPH1193458 A JP H1193458A
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武仁 手塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震波の周期成分や制震機構の特性や位置な
どの影響を受けずに建物本体の振動応答を低減すること
のできるような建物の振動制御方法および制震構造を提
供する。 【解決手段】 建物3において、コンクリート板(付加
質量体)10を積層ゴム(弾性体)9により弾性的に支
持される状態で設け、これにより、コンクリート板10
を、建物本体4に対して少なくとも水平方向に相対変位
可能に配置しておく。建物3に水平振動が作用した際に
は、コンクリート板10が建物本体4と同方向に変位す
るようにコンクリート板10を振動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の振動特性を
調整して、これにより、特に地震時における建物の安全
性を向上させるための建物の振動制御方法、およびそれ
に用いる制震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、地震時における建物の安
全性を高めるために、建物にある種の構造や機構を設け
ることによって、建物の振動特性を調整することが、近
年盛んに行われるようになっている。
【0003】このような構造や機構の例としては、建物
の基礎部分に積層ゴムを介装することによって、建物の
固有周期を長周期化する免震構造や、建物の各所に設置
されて、建物の振動エネルギーを吸収するエネルギー吸
収機構、あるいは、建物の振動エネルギーを付加質量の
運動エネルギーに変換する質量効果機構等が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような免震構造においては、地震波において長周期成分
が卓越する場合には、建物の安全性を確保できない懸念
がある。また、建物中にエネルギー吸収機構や質量効果
機構を配置する場合には、建物中においてこれらの機構
が設置される位置や、これらの機構と建物との動特性の
違いによって、得られる効果に大きな違いが生じること
となる。
【0005】本発明は、上記のような事情に鑑みなされ
たものであり、地震波の周期成分や制震機構の特性や位
置などの影響を受けずに建物本体の振動応答を低減する
ことのできるような建物の振動制御方法および制震構造
を提供することをその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、建物に対し、付加質量体と付加
質量体の建物本体に対する相対変位を規制するための弾
性体とを設けておき、地震により建物が水平振動する際
には、付加質量体を建物本体と同方向に変位させて、こ
れら建物本体および付加質量体を、あたかも鞭が振られ
るかのように振動(以下、ホイッピング現象という。)
させることとし、これにより、地震の建物に対する入力
エネルギーをこれら付加質量体および弾性体の部分に集
中させて、その結果として、建物本体に対する地震入力
エネルギーを低減化するようにした。以下に、その原理
について若干の説明を加えておく。
【0007】まず、建物の特性を簡単に表現するため
に、建物本体の全質量をm1とし、さらに、建物本体の
動的特性を等価なバネ(バネ定数:k1)で置き換えて
表す。また、建物本体に設置される付加質量体の質量を
2とし、付加質量体の建物本体に対する相対変位を規
制するための弾性体のバネ定数をk2とする。これによ
り、建物本体および付加質量体によって構成される振動
系は、図8に示すように、質点A,Bおよびバネp,q
によって、模式的に表されることとなる。
【0008】図8において、振動系1の応答は、各々の
固有振動形uの影響度合いを表す刺激係数βと固有振動
形uとの積である刺激関数βuにより求められる。ホイ
ッピング現象が最大限に発揮されるのは、刺激関数βu
が極値をとるときの固有振動であって、このとき、
【数13】 の条件式により、ホイッピング現象発生時の固有振動形
iは、式(14)に示すように求められる。また、式
(14)を用いて、ホイッピング現象発生時の刺激係数
βiは、式(14)に示すように求められる。
【数14】
【数15】 ここに、質量比m=m2/m1
【0009】また、質点Aの変位で基準化した固有振動
形を{u 1}Tとして、固有振動の共役性は、式(1
6)および(17)で与えられる。
【数16】
【数17】 ここに、
【数18】
【数19】
【0010】ホイッピング現象発生時の式(14)の固
有振動を式(16)および(17)式に代入することに
より、図8に示した振動系1における質点q(質量
2)に関する振動諸元が、式(20)のように得られ
る。また、付加質量体を設置する前の建物本体の固有周
期をT0とすると、付加質量体を設置したときのホイッ
ピング発生時の固有周期T1は、式(21)で与えられ
る。
【数20】
【数21】 ここに、
【数22】
【数23】
【数24】
【0011】質量比をm=0.05とした場合に、バネ比k
の関数として刺激関数βuの分布を図9のグラフに示
す。このグラフから、式(20)のバネ条件が満足され
るときに刺激関数βuは、極値をとることが理解でき
る。
【0012】このように、付加質量体においてホイッピ
ング現象を生じるための条件が式(20)および(2
2)で表せられるため、逆に、式(20)および(2
2)に示したような条件で、または、それに近い条件で
付加質量体および弾性体の諸元を設定しておけば、付加
質量体に対してホイッピング現象を生じさせることがで
きる。
【0013】次に、ホイッピング現象が発生した際に、
上記の建物本体および弾性体においてどのようにエネル
ギーが分布するかについてを説明する。ここでは、エネ
ルギー分布の検討を明確化するために、エネルギー消費
のない非減衰の弾性振動を考える。この場合には、地震
入力エネルギーがバネのポテンシャルエネルギーに等し
くなり、図8に示した振動系1におけるバネq,pのポ
テンシャルエネルギーU2,U1は、以下の式(25)お
よび(26)により求められる。
【数25】
【数26】 ここに、 R0:質点Aに対して質点Bを設けない場合の質点Aの
応答 R1,R2:質点Aに対して質点Bを設けた場合のR0
対する応答変位の比
【0014】質量比をm=0.05と仮定して、バネ比kの
関数として、式(25)および(26)に示したポテン
シャルエネルギーU1,U2とk10 2との比を求めたの
が、図10に示したグラフである。図10に示したグラ
フによれば、バネ比kがk=0(m=0)とk=1(m
=∞)の場合には、バネpが全てのポテンシャルエネル
ギーを負担して、バネqのポテンシャルエネルギーは0
となるが、式(20)を満足するホイッピング現象発生
時には、各々のバネp,qのポテンシャルエネルギーが
地震入力エネルギーを等分することになる。したがっ
て、建物本体、付加質量体および弾性体からなる系に意
図的にホイッピング現象を発生させることにより、付加
質量体および弾性体に地震エネルギーの約半分までを集
中化させることが可能である。また、一般に、応答はエ
ネルギーの平方根に比例するので、この場合、建物の応
答を70%程度に低減することが可能である。
【0015】本発明は、以上のような原理に基づき建物
本体の振動の低減化を図るものであり、そのために以下
に示すような手段を採用している。すなわち、請求項1
記載の建物の振動制御方法は、建物において、付加質量
体を建物本体に対して少なくとも水平方向に相対変位可
能に設けるとともに、該建物本体側に、該相対変位を弾
性的に規制する弾性体を固定しておき、前記建物に水平
振動が作用した際には、該付加質量体が前記建物本体と
同方向に変位するように該付加質量体を振動させること
を特徴とする。
【0016】この建物の振動制御方法においては、上記
のように、建物本体に設けた付加質量体がを建物本体と
同方向に変位させることにより、付加質量体および弾性
体に、建物本体の振動エネルギーを集中させることがで
き、これにより建物本体の振動応答の低減化を図ること
が可能となる。
【0017】請求項2記載の建物の振動制御方法は、請
求項1記載の建物の振動制御方法であって、前記付加質
量体の質量および前記弾性体のバネ定数を、以下の
(1)ないし(3)の条件式を満たすように設定してお
くことによって、前記建物に水平振動が作用した際に、
前記付加質量体を前記建物本体と同方向に変位させるこ
とを特徴とする。
【数27】
【数28】
【数29】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量 m2:前記付加質量体の質量
【0018】上記のような構成とされるため、この建物
の振動制御方法によれば、地震時に、付加質量体が建物
本体と同方向に変位して、これにより付加質量体と建物
本体とが、あたかも鞭が振られるように振動する「ホイ
ッピング現象」を、最大限に発揮させることができる。
【0019】請求項3記載の建物の振動制御方法は、請
求項1または2記載の建物の振動制御方法であって、前
記弾性体を弾塑性材料により形成しておき、前記相対変
位が生じた際には、該弾性体を塑性変形させて、前記付
加質量体の振動エネルギーを吸収させることを特徴とす
る。
【0020】この建物の振動制御方法においては、弾性
体が塑性変形して建物本体の振動エネルギーを吸収する
ことにより、さらなる制震効果を期待することができ
る。
【0021】請求項4記載の制震構造は、建物本体に設
けられた弾性体と、該弾性体によって支持された構造体
とを備えてなり、該弾性体のバネ定数および該構造体の
質量は、以下の(4)ないし(6)の条件式を満たすよ
うに設定されていることを特徴とする。
【数30】
【数31】
【数32】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量 m2:前記構造体の質量
【0022】この制震構造においては、上記のような条
件で弾性体および構造体の諸元が設定されるため、地震
時には、構造体および建物本体からなる系において、ホ
イッピング現象を生じることとなる。
【0023】請求項5記載の制震構造は、請求項4記載
の制震構造であって、前記構造体は、建物の塔屋である
ことを特徴とする。この制震構造は、建物に通常設置さ
れる塔屋を利用して形成することができる。
【0024】請求項6記載の制震構造は、建物本体に設
けられて互いに平行に配置される複数の第一のレール
と、これら第一のレールに直交するように配置されると
ともに、該第一のレールにより、該第一のレールの延在
方向に相対変位可能に支持される複数の第二のレール
と、該第二のレールにより、該第二のレールの延在方向
に相対変位可能に支持される付加質量体と、前記建物本
体側に固定されるとともに、該付加質量体を水平方向か
ら囲むように設けられた反力壁とを備えてなり、前記付
加質量体および前記反力壁は、弾性体を介して連結さ
れ、該弾性体のバネ定数および付加質量体の質量は、以
下の(7)ないし(9)の条件式を満たすように設定さ
れていることを特徴とする。
【数33】
【数34】
【数35】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量、 m2:前記付加質量体の質量。
【0025】この制震構造においては、付加質量体と弾
性体の諸元が上記のように設定されているため、地震時
には、付加質量体が建物本体と同方向に変位することに
より、建物の振動エネルギーの一部を付加質量体に集中
させることが可能である。
【0026】請求項7記載の制震構造は、建物本体が地
盤上に立設された下層階と、該下層階上に支持された中
間階と、該中間階上に支持された上層階とを備えた構成
とされ、前記中間階は、その剛性が前記下層階および前
記上層階に比較して小とされるとともに、その動的特性
と等価なバネ定数が、以下の(10)ないし(12)の
条件式を満たすように形成されていることを特徴とす
る。
【数36】
【数37】
【数38】 ここに、k1:前記下層階の動的特性と等価なバネ定
数、 k2:前記中間階の動的特性と等価なバネ定数、 m1:前記下層階の全質量、 m2:前記上層階の全質量。
【0027】この制震構造においては、中間階が上記の
ように形成されるために、中間階において建物本体への
地震入力エネルギーを吸収することができる。また、中
間階によって支持される上層階を鞭振り振動させること
により、地震入力エネルギーを上層階の振動エネルギー
として集中させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る建物の振動制
御方法および制震構造の第一ないし第四の実施の形態
を、それぞれ図面を参照して説明する。 [第一の実施の形態]図1は、本発明の第一の実施の形
態を示す図であり、図中、符号3は、建物を表す。図中
に示すように、建物3は、建物本体4と、建物本体4の
屋上5に対して設けられた制震構造7とを備えて構成さ
れている。また、制震構造7は、屋上5に対して設置さ
れた複数の積層ゴム9,9,…と、積層ゴム9,9,…
上に設置されたコンクリート板(付加質量体)10とか
ら構成されている。
【0029】これらコンクリート板10および積層ゴム
9,9,…は、建物本体4の動的特性と等価なバネ定数
をk1、積層ゴム9,9,…のバネ定数をk2、建物本体
4の全質量をm1、コンクリート板10の質量をm2とし
たとき、以下の条件式(39)〜(41)を満たすよう
に形成されている。
【数39】
【数40】
【数41】
【0030】このように、コンクリート板10および積
層ゴム9,9,…の諸元を式(39)〜(41)に示す
ように設定しておくことにより、地震発生時には、建物
本体4およびコンクリート板10においてホイッピング
現象が発生し、建物本体4および積層ゴム9,9,…
は、あたかも鞭が振られるかのように振動することとな
る。
【0031】これにより、地震による建物本体4への入
力エネルギーの一部を、積層ゴム9,9,…の変形によ
るポテンシャルエネルギーおよびコンクリート板10の
運動エネルギーに変換することができ、したがって、建
物本体4の地震による振動応答を低減させることができ
る。
【0032】上述の建物の振動制御方法によれば、付加
質量体としてのコンクリート板10と積層ゴム9,9,
…とからなる制震構造7を、建物本体4に付加しておく
ことによって、地震入力エネルギーが制震構造7に集中
するように建物3の振動特性をあらかじめ調整してお
き、これにより建物本体4の地震時の振動応答を低減す
ることとされている。したがって、これにより得られる
制震効果は、従来用いられてきた免震構造や制震構造か
ら得られる制震効果と異なり、地震波の周期成分による
影響や建物と制震構造の配置や動特性の違いに依存する
ことがない。これにより、従来に比較して、より安定し
た制震効果を得ることが可能である。
【0033】また、この際、式(39)〜(41)を満
たすように、コンクリート板10および積層ゴム9,
9,…の諸元を設定しておけば、建物本体4および制震
構造7において、ホイッピング現象を最大限に発揮させ
ることが可能であり、これにより、建物本体4におい
て、地震による振動応答のより一層の低減化を図ること
ができる。
【0034】また、上述の制震構造7においては、コン
クリート板10および積層ゴム9,9,…の諸元が、式
(39)〜(41)を満たすように設定されているた
め、制震構造7と建物本体4とが一体となって鞭を振る
ように振動するホイッピング現象が最大限に発揮される
こととなり、これにより建物本体4において優れた振動
応答の低減効果を得ることが可能となる。また、この制
震構造7は、単に、建物本体4の屋上に設置されるのみ
で制震効果を発揮することが可能であるため、建物の基
礎や内部等に設置される従来の免震構造や制震構造に比
較して、容易に建物に対して設置できる。また、この制
震構造7は、既存建築物の耐震安全性の増強工事に用い
る場合には、建物内部の間取りに影響を与えることなく
設置することが可能であり、なおかつ、設置にあたっ
て、建物内部の日常活動を阻害するようなことがない。
【0035】[第二の実施の形態]次に、本発明の第二
の実施の形態を図2を参照して説明する。なお、図2に
おいて、上記第一の実施の形態と共通する構成について
は、同符号を付し、その説明を省略する。
【0036】図2に示す制震構造12は、上記第一の実
施の形態における制震構造7において用いられる付加質
量体を、コンクリート板10の代わりに、建物3に設置
される塔屋13としたものである。
【0037】図中に示すように、塔屋13の基礎部分1
3aと建物本体4側との間には、金属製のバネ14が介
装されている。このバネ14は、建物本体4の質量をm
1、塔屋13の質量をm2、建物本体4の動的特性と等価
なバネ定数をk1、バネ14のバネ定数をk2とした場合
に、バネ定数k2が、上記第一の実施の形態と同様の式
(39)〜(41)の条件を満たすように形成されてい
る。
【0038】このように、式(39)〜(41)に示し
たような条件を満たすバネ14を用いて、建物本体4の
上に制震構造12を形成しておくことによって、地震発
生時には、建物本体4および制震構造12においてホイ
ッピング現象が発生し、これらは、あたかも鞭が振られ
るかのように振動することとなる。
【0039】これにより、地震による建物本体4への入
力エネルギーの一部を、塔屋13の運動エネルギーおよ
びバネ14のポテンシャルエネルギーとして変換させる
ことができ、これにより、建物本体4の地震による振動
応答が低減される。
【0040】さらに、上記の制震構造12においては、
バネ14が金属製とされていることから、大規模な地震
が発生した際には、バネ14が塑性変形して、建物3に
対する地震入力エネルギーの一部を吸収することが可能
である。これによって、建物本体4の地震による振動応
答がさらに低減される。
【0041】このように、本実施の形態の建物の振動制
御方法によっても、上記第一の実施の形態における建物
の振動制御方法と全く同一の効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態においては、バネ14を金属製と
しておき、強大な地震が発生した場合には、バネ14が
弾塑性履歴を受け、建物3の振動エネルギーの一部を吸
収するように作用させることにより、上記の効果をより
一層顕著なものとすることができる。
【0042】また、このようにバネ14を構成しておく
ことによって、地震時に、建物3において破損が生じる
部位を、バネ14の部分に特定することができる。した
がって、例えば、この建物の振動制御方法を、保有水平
耐力が不足する建物に対して適用した場合には、従来の
ように、建物の耐力を増強させるために、建物の各所の
耐力が不足する部分に耐震要素を付加するなどの作業が
必要なくなる。これにより、本方法を用いて、耐震改修
工事の著しい合理化を達成することが可能となる。ま
た、このように、建物3において破損が生じる部位が予
め特定されているため、大規模な地震が生じた際にも、
復旧工事を極めて容易に行うことができる。
【0043】さらに、この制震構造12においては、上
述の制震構造7と同様の効果を得ることができるだけで
なく、付加質量体として塔屋13を用いるために、建物
に設置する際に、特別な装置や構造を必要としない。
【0044】[第三の実施の形態]次に、本発明の第三
の実施の形態を図3および図4を参照して説明する。な
お、これらの図においても、上記第一および第二の実施
の形態と共通する構成については、同符号を付し、その
説明を省略することとする。
【0045】図3,4は、それぞれ本実施の形態の制震
構造16を側方および上方から見た図である。図中に示
すように、制震構造16は、鉄筋コンクリート造の建物
本体4の屋上5から第一、第二のレール18,18,
…、19,19,…、および支持台20を介して支持さ
れた付加質量体21と、屋上5に固定されるとともに、
付加質量体21を囲むように設けられた反力壁22と、
付加質量体21および反力壁22の間に介装された金属
製のバネ23,23,…とから概略構成されている。
【0046】これら図中に示すように、第一のレール1
8,18,…は、建物本体4の屋上5に固定されるとと
もに、互いに平行に配置されている。また、支持台20
と第一のレール18,18,…との間には、滑車25,
25,…が介装されており、これにより、支持台20
は、第一のレール18,18,…に沿って移動可能とさ
れている。
【0047】また、第二のレール19,19,…は、支
持台20上に固定されており、付加質量体21を滑車2
6,26,…を介して支持する構成とされている。これ
により、付加質量体21は、第二のレール19,19,
…に沿って移動可能な構成とされている。したがって、
付加質量体21は、建物本体4に対して互いに直交する
二方向に相対変位可能とされるとともに、この相対変位
をバネ23,23,…が規制する構成とされている。
【0048】さらに、これら付加質量体21およびバネ
23,23,…は、建物本体4の質量をm1、付加質量
体21の質量をm2、建物本体4の動的特性と等価なバ
ネ定数をk1、バネ14のバネ定数をk2とした場合に、
質量m2およびバネ定数k2が、上記第一、第二の実施の
形態と同様の式(39)〜(41)の条件を満たすよう
に形成されている。
【0049】このように、式(39)〜(41)に示し
たような条件を満たす付加質量体21、およびバネ2
3,23,…を用いて、建物本体4の上に制震構造16
を形成しておくことにより、地震発生時には、付加質量
体21は、建物本体4と同方向に変位し、付加質量体2
1および建物本体4においては、ホイッピング現象が発
生することとなる。
【0050】これにより、地震による建物本体4への入
力エネルギーの一部を、付加質量体21の運動エネルギ
ーおよびバネ23,23,…のポテンシャルエネルギー
にて変換させることができ、これにより、建物本体4の
地震による振動応答が低減される。
【0051】さらに、大規模な地震が発生した際には、
バネ23,23,が塑性変形することによって、地震入
力エネルギーの一部を吸収し、建物本体4の地震による
振動応答をさらに低減するように作用する。
【0052】このように、本実施の形態における建物の
振動制御方法および制震構造16によっても、上記第一
および第二の実施の形態と同様の効果を得ることが可能
である。特に、本実施の形態の制震構造16において
は、上記のような構成とされるため、保守点検が容易で
あり、また、装置自体のコストを安価とすることができ
る。さらに、この制震構造16においては、バネ23,
23,…の交換を容易に行うことができるために、万
一、ひび割れ等を原因として建物本体4の動的特性が変
化したとしても、建物本体4の固有周期等の動的特性を
測定し直し、バネ23,23,…を最適なものに交換し
直すことによって、常にその制震効果を維持することが
可能である。
【0053】[第四の実施の形態]次に、本発明の第四
の実施の形態を図5を参照して説明する。図5に示す制
震構造30は、建築物の建物本体32を構成する架構3
3に対して適用されたものである。
【0054】建物本体32は、地盤G上に立設された下
層階35と、下層階35上に支持された中間階36と、
中間階36上に位置する上層階37とから構成されてい
る。中間階36においては、架構33を構成する柱3
8,38,…の中間に積層ゴム39,39,…からなる
免震装置40,40,…が設けられている。また、これ
ら免震装置40,40,…が設けられることにより、中
間階36の剛性は、上層階37および下層階35に比較
して小さいものとされている。
【0055】さらに、中間階36の剛性は、下層階35
の動的特性と等価なバネ定数をk1、中間階36の動的
特性と等価なバネ定数をk2、下層階35の全質量を
1、上層階37の全質量をm2とした場合に、k2が、
第一ないし第三の実施の形態と同様の式(39)〜(4
1)の条件を満たすように設定されている。また、免震
装置40,40,…は、中間階36に設置された際に、
上記のような条件を実現するように、その性能が設定さ
れている。
【0056】このように、建物本体32において、剛性
の小さい中間階36を設けた場合には、中間階36にお
いて大変形が許容されることにより、中間階36が建物
本体32への地盤Gからの地震入力エネルギーを吸収す
るように作用することとなり、したがって、中間階36
より上に位置する上層階37には、地震入力エネルギー
の伝播が殆どない。
【0057】特に、中間階36の剛性が、式(39)か
ら(41)を満たすように設定されているために、上層
階37においては、ホイッピング現象が生じ、したがっ
て上層階37は、地震時には下層階35と同方向に鞭を
振るように振動するとともに、全体として剛体的な運動
をすることとなる。これにより上層階37において、そ
の内部にひずみ等が発生することを避けることができ
る。
【0058】さらに、このように剛性の小さい中間階3
6を設けることにより、建物本体32の固有周期が長周
期化されることとなる。したがって、地震波が、長周期
成分が卓越しないような特性を持つ場合には、建物本体
32に対する地震入力エネルギーを低減することがで
き、これにより、建物本体32の応答を低減させること
ができる。
【0059】また、この制震構造30においては、地震
による被害を特定層(中間階36)に対して集中するこ
とができるために、あらかじめ中間階36を特定の用途
等に使用するようにしておくことによって、地震による
損害を最小限とすることができる。
【0060】また、上層階37の応答を著しく低減する
ことができるために、上層階37を構成する躯体の断面
を一般の場合に比較して小さくして、建設コストの経済
化を図ることも可能である。
【0061】さらに、本実施の形態における免震装置4
0,40,…は、建物本体32の中間階36に設けられ
るため、建築物の基礎に免震装置を介装する基礎免震の
場合に比較して、鉛直方向の軸力負担能力の小さいもの
を用いることができ、これにより免震装置40,40,
…の設置に係るコストを低減化することが可能である。
【0062】なお、この制震構造30においては、将来
発生が予想される地震波のスペクトル特性を勘案しなが
ら、建物本体32の応答が最小化するように、建物本体
32における中間階36の位置を決定するようにするこ
とも可能である。
【0063】以上において、本発明の第一ないし第四の
実施の形態を説明したが、これらの実施の形態におい
て、建物の振動制御方法の詳細や、建物本体4および制
震構造7,12,16,30の各部の構造や材料等につ
いて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の構成を採用
するようにしても構わない。例えば、上記の実施の形態
において、バネ14やバネ23,23,…の材料は金属
製であるとしたが、その代わりに、他の弾塑性材料を使
用するようにしても構わない。また、免震装置40の構
成は、積層ゴム39に限定されるものでなく、他の材料
等を使用するようにしてもよい。
【0064】なお、以下に、本発明による建物の制震効
果を示すために行った動的解析の結果についてを説明す
る。この動的解析は、現存する11階建ての建物をモデ
ルとし、原建物の屋上に付加質量体を設けた場合、
原建物の中間階の剛性を低減した場合、についてそれぞ
れ解析を行なったものである。以下にこれらの解析結果
をそれぞれ説明する。 原建物の屋上に付加質量体を設けた場合 以下の表1は、原建物を11質点系モデルと考えた場合
の各質点重量とバネ定数を示したものである。
【表1】
【0065】また、建物本体をこのようにモデル化した
場合の、各モード次数における建物本体の固有周期Tお
よび刺激係数βの値を、表2に示す。
【表2】 この質点系において、地震波(EL Centro1940 NS ; 継
続時間30秒)が作用した場合の弾性応答は、ベースシ
ヤQ=2.708×104(t)と計算される。
【0066】一方、この質点系を一質点系とみなした場
合、固有周期の次数をn=1〜5としたときの、建物本
体の動的特性を表す等価なバネのバネ定数k1は、
【数42】 となる。
【0067】この建物本体の最上階に、バネを介して付
加質量体を設置するとする。質量比mをm=0.1とし
た場合には、式(39)〜(41)の条件を満たすよう
な付加質量体の質量m2および付加質量体に設置される
バネのバネ定数k2は、以下のように表せられることと
なる。
【数43】
【数44】 この付加質量体を設けた12質点系に対して、地震波
(EL Centro1940 NS ;継続時間30秒)が作用した場合
の弾性応答は、ベースシヤQ=1.871×10
4(t)と計算される。これは、上述の原建物モデルに
おけるベースシャQの約69%となる。
【0068】以上の計算結果から分かるように、式(3
9)〜(41)を満たすような付加質量体を建物の屋上
に設置することによって、弾性振動の範囲で応答せん断
力を69%に低減することができる。
【0069】また、建物に3%程度の減衰があり、付加
質量体を支持するバネ(バネ定数k2)が塑性率2程度
の弾塑性履歴をする(等価減衰定数で31.8%程度)
と仮定すると、付加質量体・建物本体系で5.4%程度
の等価減衰となる。このバネの塑性履歴によるエネルギ
ー吸収効果(ダンピング効果)を、
【数45】 (α:ダンピング効果による低減係数、h:弾塑性履歴
に等価な減衰定数)により評価すると、ダンピング効果
による低減係数:αは、
【数46】 となり、その結果、建物本体に対して作用する地震力
は、0.69×0.77=0.53となって、おおよそ
半減することとなる。
【0070】 原建物の中間階の剛性を低減した場合 次に、において表1として示した原建物において、重
量をほぼ等分する6階の剛性を低減させた場合の例につ
いて説明する。表1において示した原建物において、5
階までの建物部分の動的特性は、重量W 1が、W1=2943
0t、バネ定数k1が、k1=147.1t/cmとなる。したがっ
て、式(39)ないし(41)の条件式を満たすような
6階部分のバネ定数k2は、k2=75.7t/cmとなる。
【0071】このように6階部分の剛性を低減した建物
の固有一次周期T1を、6階以上の建物重量とバネ定数
1とから概算すると、T1=4.1secとなり、原建物の固
有一次周期(T1=0.78sec)に対して5倍近い長周期化
が図られることになる。
【0072】また、この建物に対して、地震波(EL Cen
tro1940 NS および八戸港湾1968NS)が作用した場合の
地震応答解析結果を示すのが、以下の表3および図6,
7である。
【表3】 表3は、それぞれの地震波が作用した際に、原建物によ
る質点系モデル、および原建物の6階部分の剛性を低減
した(6階を脆弱層とした)場合の質点系モデルの双方
におけるポテンシャルエネルギーを比較したものであ
る。これによれば、いずれの地震の際にも、6階部分の
剛性を低減した場合には、地震入力エネルギーが1/3〜1
/4に低減している。
【0073】また、図6および7は、地震波が作用した
際の各階における最大応答変位および最大応答せん断力
の解析結果を、原建物モデルおよび6階に脆弱層を設け
た場合のモデルとで比較したグラフである。これによれ
ば、いずれの地震波においても、6階を脆弱層とした場
合は、そうでない場合に比較して、6階以上の上層階に
おける最大応答せん断力が著しく低減されている。ま
た、6階以下の下層階においても、6階を脆弱層とした
場合は、そうでない場合に比較して、最大応答変位およ
び最大応答せん断力の双方が低減されていることがわか
る。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る建
物の振動制御方法によれば、建物本体に対して設けられ
た付加質量体が、建物に水平振動が作用した際に、建物
本体と同方向に変位するように振動することとなるた
め、付加質量体を特に大きく変位させるように諸条件を
設定しておくことにより、建物本体の振動エネルギーを
付加質量体の運動エネルギーおよび弾性体のポテンシャ
ルエネルギーとして集中させることができ、これにより
建物本体の振動応答を良好に低減化することが可能であ
る。さらに、この方法により得られる制震効果は、従来
用いられてきた免震構造や制震構造から得られる制震効
果と異なり、地震波の周期成分による影響や建物と制震
構造の配置や動特性の違いに依存することがないため、
本方法によれば、従来に比較して、より安定した制震効
果を得ることが可能である。
【0075】請求項2に係る建物の振動制御方法によれ
ば、付加質量体の質量および弾性体のバネ定数を、付加
質量体および建物本体が一体となって鞭を振るように振
動するために最適な条件に設定しておくことによって、
建物に対する地震入力エネルギーの付加質量体および弾
性体への集中を最大限とすることができ、これにより請
求項1に係る発明を良好に実現することができる。
【0076】請求項3に係る建物の振動制御方法によれ
ば、弾性体を弾塑性材料により形成しておき、付加質量
体および建物本体に相対変位が生じた際には、弾性体を
塑性変形させて、付加質量体の運動エネルギーを吸収さ
せることとされているために、これにより、建物本体の
振動エネルギーも結果的に吸収されることとなり、請求
項1および2に係る発明により得られる制震効果を、よ
り一層顕著なものとすることができる。さらに、このよ
うな方法を用いることによって、地震時に、建物におい
て破損が生じる箇所を弾性体の部分にあらかじめ特定す
ることができ、これによって、地震後の破損箇所の復旧
工事を容易に行うことができる。
【0077】請求項4に係る制震構造は、建物本体に設
けられた弾性体と、弾性体によって支持された構造体と
を備えた構成とされるとともに、これら弾性体のバネ定
数および構造体の質量が、構造体および建物本体が一体
となって同方向に鞭を振るように振動するために最適な
条件に設定されているために、地震時には、建物の振動
エネルギーの一部を、構造体の振動エネルギーおよび弾
性体のポテンシャルエネルギーとして最大限に集中させ
ることができ、これにより、地震波の周期成分による影
響や建物と制震構造の配置や動特性の違いに影響を受け
ることなく、優れた制震効果を得ることができる。
【0078】請求項5に係る制震構造は、建物本体に設
けられる構造体として、建物の塔屋が利用されるため、
通常の建物において容易に設置することが可能である。
また、地震時に塔屋および弾性体が破損したとしても、
建物に通常設置される塔屋を利用して形成することがで
きる。
【0079】請求項6に係る制震構造においては、第
一、第二のレールにより、付加質量体が直交する二方向
に変位可能となるように支持されるとともに、付加質量
体と、それを囲むように設けられた反力壁との間に弾性
体が介装され、さらに、これら弾性体のバネ定数および
付加質量体の質量が、付加質量体および建物本体が鞭を
振るように同方向に振動するために最適な条件に設定さ
れていることにより、地震時には、建物の振動エネルギ
ーの一部を、構造体の振動エネルギーおよび弾性体のポ
テンシャルエネルギーに最大限に集中させることがで
き、これにより、地震波の周期成分による影響や建物と
制震構造の配置や動特性の違いに影響を受けることな
く、優れた制震効果を得ることができる。また、この制
震構造は、上記のような構成とされるために、保守点検
が容易であり、装置自体のコストを安価とすることがで
きる。さらに、弾性体の交換を容易に行うことができる
ために、万一、ひび割れ等を原因として建物本体の動的
特性が変化したとしても、建物本体の固有周期等の動的
特性を測定し、弾性体を最適なものに交換し直すことに
よって、常にその制震効果を維持することが可能であ
る。
【0080】請求項7に係る制震構造においては、建物
本体の中間階が、下層階および上層階に比較して剛性の
小さい構造とされるとともに、下層階および上層階が、
鞭を振るように同方向に振動するために最適な条件に設
定されている。これにより地震時には、中間階が大変形
して、建物本体への地震エネルギーを吸収するように作
用することとなり、したがって、上層階への地震入力エ
ネルギーの伝播を減少させることができる。さらに、上
層階が全体として剛体的に振動することとなるために、
上層階においては、その内部にひずみ等が発生すること
が避けられる。 また、中間階により、建物本体の固有
周期が長周期化されるため、地震波が、長周期成分が卓
越しないような特性を持つ場合には、建物本体に対する
地震入力エネルギーを低減することができ、これによ
り、建物本体の応答を低減させることができる。また、
この制震構造においては、地震による被害を特定層(中
間階)に対して集中することができるために、あらかじ
め中間階を特定の用途等に使用するようにしておくこと
によって、地震による損害を最小限とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態である制震構造が
適用された建物を示す正面図である。
【図2】 本発明の第二の実施の形態を模式的に示す制
震構造の正面図である。
【図3】 本発明の第三の実施の形態を模式的に示す制
震構造の側面図である。
【図4】 同、平面図である。
【図5】 本発明の第四の実施の形態を示す制震構造の
斜視図である。
【図6】 本発明の制震構造による制震効果を示すため
の図であって、前記制震構造が適用された建物に地震波
が作用したと仮定した場合の建物各階の最大応答変位の
解析結果を示すグラフである。
【図7】 同、建物各階の最大応答せん断力の解析結果
を示すグラフである。
【図8】 本発明の原理を示すための図であって、建物
本体に付加質量体を設けた場合に、付加質量体および建
物本体により構成される振動系を模式的に示す図であ
る。
【図9】 図8に示した振動系において、バネ比k(=
2/k1)の関数として刺激関数βuの分布を示した場
合の一例を示すグラフである。
【図10】 図8に示した振動系において、バネ比kの
関数としてバネpおよびqのポテンシャルエネルギーと
基準値:k10 2との比を表した場合の一例を示すグラ
フである。
【符号の説明】
3 建物 4 建物本体 5 屋上 7 制震構造(第一の実施の形態) 9 積層ゴム 10 コンクリート板 12 制震構造(第二の実施の形態) 13 塔屋 14 バネ 16 制震構造(第三の実施の形態) 18 第一のレール 19 第二のレール 21 付加質量体 22 反力壁 23 バネ 30 制震構造(第四の実施の形態) 32 建物本体 35 下層階 36 中間階 37 上層階

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物において、付加質量体を建物本体に
    対して少なくとも水平方向に相対変位可能に設けるとと
    もに、該建物本体側に、該相対変位を弾性的に規制する
    弾性体を固定しておき、 前記建物に水平振動が作用した際には、該付加質量体が
    前記建物本体と同方向に変位するように該付加質量体を
    振動させることを特徴とする建物の振動制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の建物の振動制御方法であ
    って、 前記付加質量体の質量および前記弾性体のバネ定数を、
    以下の(1)ないし(3)の条件式を満たすように設定
    しておくことによって、前記建物に水平振動が作用した
    際に、前記付加質量体を前記建物本体と同方向に変位さ
    せることを特徴とする建物の振動制御方法。 【数1】 【数2】 【数3】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
    数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量 m2:前記付加質量体の質量
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の建物の振動制御
    方法であって、 前記弾性体を弾塑性材料により形成しておき、前記相対
    変位が生じた際には、該弾性体を塑性変形させて、前記
    付加質量体の振動エネルギーを吸収させることを特徴と
    する建物の振動制御方法。
  4. 【請求項4】 建物本体に設けられた弾性体と、該弾性
    体によって支持された構造体とを備えてなり、 該弾性体のバネ定数および該構造体の質量は、以下の
    (4)ないし(6)の条件式を満たすように設定されて
    いることを特徴とする制震構造。 【数4】 【数5】 【数6】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
    数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量 m2:前記構造体の質量
  5. 【請求項5】 請求項4記載の制震構造であって、 前記構造体は、建物の塔屋であることを特徴とする制震
    構造。
  6. 【請求項6】 建物本体に設けられて互いに平行に配置
    される複数の第一のレールと、これら第一のレールに直
    交するように配置されるとともに、該第一のレールによ
    り、該第一のレールの延在方向に相対変位可能に支持さ
    れる複数の第二のレールと、該第二のレールにより、該
    第二のレールの延在方向に相対変位可能に支持される付
    加質量体と、前記建物本体側に固定されるとともに、該
    付加質量体を水平方向から囲むように設けられた反力壁
    とを備えてなり、 前記付加質量体および前記反力壁は、弾性体を介して連
    結され、 該弾性体のバネ定数および付加質量体の質量は、以下の
    (7)ないし(9)の条件式を満たすように設定されて
    いることを特徴とする制震構造。 【数7】 【数8】 【数9】 ここに、k1:前記建物本体の動的特性と等価なバネ定
    数、 k2:前記弾性体のバネ定数、 m1:前記建物本体の全質量 m2:前記付加質量体の質量
  7. 【請求項7】 建物本体が、地盤上に立設された下層階
    と、該下層階上に支持された中間階と、該中間階上に支
    持された上層階とを備えた構成とされ、 前記中間階は、その剛性が前記下層階および前記上層階
    に比較して小とされるとともに、その動的特性と等価な
    バネ定数が、以下の(10)ないし(12)の条件式を
    満たすように形成されていることを特徴とする制震構
    造。 【数10】 【数11】 【数12】 ここに、k1:前記下層階の動的特性と等価なバネ定
    数、 k2:前記中間階の動的特性と等価なバネ定数、 m1:前記下層階の全質量 m2:前記上層階の全質量
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JP2006250261A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Sus Corp 付加重錘型制振装置
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JP2014141825A (ja) * 2013-01-24 2014-08-07 Starts Cam Kk 制震建物及び制震建物の設計方法
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