JP3821693B2 - 交通振動用制振三階建て住宅 - Google Patents

交通振動用制振三階建て住宅 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交通振動などにより発生する振動を低減する住宅に関する技術である。より詳しくは、交通振動を低減するための住宅の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、人口の密集化および土地の高騰等により、市街地の狭小地に2世代3世代住宅を目的とした三階建て住宅が建設される傾向がある。人口の密集化は、交通量の増加を招き、建物の振動公害が深刻な問題となってきている。振動公害は主に、建設作業、工場、事業所、道路交通、鉄道等を発生源とするものである。これらの振動は、大きいものではないが、この振動が建物に伝達されることにより、建物内の住人に違和感を与える場合がある。
従来は、TMDというのは、屋上階に、装置として、別に質点とバネと減衰材より構成されるものを設置することにより、交通振動や風による振動を吸収していた。このような、振動を低減する方法としては、特開2001−40904号公報に示すものが知られている。またこの他には、特開平09−013740に示す如く、基礎と構造物の間に減衰装置を配するものや、特開平10−169243に示す如く建物の屋上に振動制御を配置するものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2001−40904号公報に示す技術においては、屋上階に、制振装置を配設するものであり、建物とは別に制振装置を必要とするものである。このため、建物において、装置を配設する空間を確保する必要がある。また、制振装置の定期的なメンテナンスが必要となる。このため、設置およびメンテナンスにコストがかかる。
【0004】
特開平09−013740号公報に示す技術では、建物全体を免震化しているために、交通振動のような微振動に対して効果を発揮させるためには剛性を小さくする必要があり、微風に対しても建物が変形(移動)することとなり居住性をかえってそこねてしまい、地震による建物への負荷を軽減できても、交通振動などの振動公害に適応するのは困難である。さらに、既存の住宅に配設することが困難であり、特に交通振動が問題となるであろう住宅密集地に建設された住宅に配設することは不可能である。
【0005】
さらに、特開平10−169243号公報に示す技術では、ビルなどの質量の大きな建物の振動制御を行うことを目的としており、住宅のようなビルよりはるかに質量の小さい建物において、特に交通振動等の振動を除去することは対象とされていない。また、設置するには装置そのもののコストのみならず場所の確保、梁の補強、装置の養生など余分なコストがかなりの割合で必要となる。上記のように、従来の技術では立地条件に左右されず、自由な居住空間の設計ができ、住人が快適に生活を行える住宅を建設するのは困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための構成を説明する。
本発明は、最上階の本体そのものを、TMD(Tuned Mass Damper )のMASSとするものである。住宅の固有周期に対する振動の増幅を、基本の構造計画の段階で解消可能とするものであり、中低層建物の一般的な設計手法として、広く応用可能である。
【0007】
請求項1においては、三階建て住宅の三階部分における、支持重量に対する水平方向の剛性を、交通振動による変位の範囲である50μまでとして、該振動の変位が50μより小さい振動域においては、下階より剛性を小さく構成し、振動の変位が50μを越える大きな振動域においては、三階部分の剛性・強度共に通常設計の充分な剛性とし、三階部分自体を交通振動制振用の重量体として用いるものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、三階建て住宅の三階部分の外装を、パネル(31)およびフレーム(32)により構成して、梁(12・6)に取付金具(33)を介して取り付ける構成とし、該フレーム(32)にボルトを介して取付金具(33)係止すべく構成し、該フレーム(32)と取付金具(33)間にスペーサを配設し、該スペーサにより外装の振動を可能とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、内装を構成する壁および間仕切り(40)を、梁12と梁6間に配設し、間仕切り(40)と梁(12)の接続部分(41)や、間仕切り(40・40)の接続部分(42)に低摩擦のすべり材を配設し、垂直方向の力に対して支持を行うが、水平方向の振動に対して剛性を示さない構成とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したものである。
【0010】
請求項4においては、請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、三階部分のブレース(52)はX状のロッドと枠体により構成されており、ロッドの端部が枠体に接続され、該接続部においてロッドの一端に長孔を設け、該長孔に枠体に固設されているピンを挿入することによりロッドと枠体を接続し、ピンが長孔の縁に当接しない限り、ロッドが枠体の変形に対して抵抗力を発揮しない構成とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
図1(a)は交通振動域における建物の構成を示す模式図、図1(b)は交通振動域より大きい変位域における建物の構成を示す模式図、図2は建物構造による制振作用の構成を示す模式図、図3は建物構造のモデリング構成を示す図、図4はシミュレーションに用いた入力波の構成を示す図、図5は入力波に対する住宅の振動応答結果を示す図、図6は建物最上階の剛性と変位の関係を示す図、図7は建物の梁と柱の構成を示す図、図8は外壁の構成を示す模式図、図9は外壁の取り付け構成を示す図、図10は内壁の構成を示す図、図11はブレース構造における構成を示す図である。
【0012】
図1に示すごとく、本発明においては、建物の最上階を柔構造とし、建物に伝達される振動の制振を行おうものである。建物は、交通振動の変動域においては、図1(a)に示すごとく、三層部分が柔構造を取るものであり、それ以上の変動域(地震等)においては十分な剛性を取るものである。(図1(b))中低層建物の実施例として、図1に示す3階建住宅の骨組構造を用いて説明する。
3階建住宅は、地面4上に構成され、一階部分1、二階部分2および三階部分3、そして基礎5により構成されている。一階部分1は床部8、柱10、梁7により構成されるものである。二階部分2は梁7、柱9、梁6により構成されている。そして、三階部分3は梁6、柱11、梁12により構成されている。一階部分1および二階部分2は、交通振動域において充分な剛性が維持されており、中地震動に対して、ひび割れも生じない程度に安全に、さらに、設備配管やカーテンウォールなどの非構造部材に被害の生じないよう過大な変形はしない構成となっている。そして、大地震に対しては、強度的に充分に安全に設計されている。もしくは、大地震に対して大変形や多少の破壊は生じても人命の安全が守られるように構成されているものである。一階部分1および二階部分2において、接合される梁と柱はその接合部において充分な剛性を有するものである。一階部分1および二階部分2における充分な剛性を有する接合形式は特に限定されるものでない。充分な剛性を維持可能な従来の接合形式を利用することが可能である。
【0013】
三階部分3は図1(a)、(b)に示すごとく、一定の振動領域(振幅域)においては剛性が小さく、その域を越える領域においては充分な剛性が維持される構成となっている。三階部分3においては、梁12と柱11の接合部分の剛性が一定範囲において小さく、梁6と柱11の接合部分の剛性も同様に構成されているものである。すなわち、三階部分3を構成する構造部材の各接合部の剛性が、一定範囲の振動に対しては低く設定されており、この振動範囲を超えるものに対しては通常剛性に設定されているものである。
【0014】
次に、三階部分3の制振構成について、図2を用いて説明する。
地面より交通振動のような微小な振動が建物に伝達されると、一階部分1および二階部分2を介して振動が、三階部分3に伝達される。三階部分3は前述のごとく、一階部分1および二階部分2より剛性が低く構成されているため、三階部分3に振動が吸収される。そして、三階部分3において振動を吸収するとともに、建物に伝達される振動を抑えるものである。このように建物を構成することにより、最上階以外の構成を変更することなく、建物の制振を行うことができる。最上階部分をパッシブ(受動)式の制振装置とすることにより、制振にかかる費用を軽減でき、メンテナンスの手間を軽減できるものである。
【0015】
次に、建物の制振効果を示すシミュレーション結果について説明する。
まず、制振効果のシミュレーションを行うべく、建物を質量体と支持体により構成されるモデルに置き換える。建物の各層(階)を質量体と、支持体とするものである。質量体には大きさ(高さ、幅など)はなく、重さがある。支持体には重さがなく、弾性剛性および高さがある。そして、多層の建物を質量体と支持体を上方に向け交互に重ねたものとするものである。支持体は地面もしくは各層の質量体に固定されているものである。すなわち、質量体は各層を構成する部材の質量の総和であり、
【0016】
図3に示すごとく、三階建ての建物は、3つの質量体22・24・26と3つの支持体21・23・25より構成されるモデルに置き換えられるものである。質量体22・24・26はそれぞれ、一階部分1、二階部分2、三階部分3の支持する質量を示すものである。そして、支持体21・23・25はそれぞれ、一階部分1、二階部分2、三階部分3の剛性を有するものである。
【0017】
数値解析上のモデルの構成例について、図4(a)を用いて説明する。
図4(a)において、支持体21・23・25の長さはそれぞれ一層・二層・三層の高さに相当する。そして、支持体21・23・25の剛性は、それぞれ一層・二層・三層の各層(階)水平剛性の和に相当するものである。質量体22・24・26の質量は、一層・二層・三層の質量に相当するものである。一層の質量および支持剛性は図1の柱10および梁7等により構成される部分のものであり、二層の質量および支持剛性は柱9および梁6・7等により構成される部分のものである。そして、三層の質量および支持剛性は柱11および梁6・12等により構成される部分のものである。実際には、これらに外壁や内壁などの影響を考慮してモデル化を行うものである。なお、図4(a)に示す表は、従来の建物をモデル化した場合の構成を示すものである。
【0018】
次に、このモデルの効果を検証するための入力波について説明する。
このモデルの固有振動数に対応した定常波を入力し、モデルの振動状態をシミュレートするものである。入力波として用いるものは、2つであり、一つは建物の固有振動数である『sinwave3.5』、そして固有振動数の二倍の振動数を有する『sinwave7.5』である。建物は、その建物の固有振動数が伝達される場合に、最も揺れが大きく増幅するものである。このため、入力波として、本モデルの固有振動3.5Hzに一致した『sinwave3.5』、および、その倍の振動数の『sinwave7.5』を用いる。これにより、最も増幅し易い不利な波での効果および、常識範囲で入力波が最も大きくずれた場合での挙動を見るものである。
【0019】
シミュレーションは、前述の建物のモデルにおいて、3層部分の支持体(図3)25の剛性を変化させ、揺れの状態を見るものである。図5に示す結果は、3層目の水平方向の剛性を示す支持体25の剛性を減少させたものについてそれぞれ揺れの状態を調べたものである。水平方向の弾性剛性を1倍(通常設計)、4/ 5倍、3/ 5倍、2/ 5倍、1.5/5倍、1/ 5倍、0.5/5倍、0.1/5倍としたものについて、加速度振幅の増幅量および変位の増幅量を調べた。図5(a)は二層目(3階床)における加速度振幅の増幅量結果を示すものである。縦軸は水平方向における増幅の割合を示すものである。図5(b)は二層目(3階床)における変位増幅度を示すものである。縦軸は増幅の割合を示すものである。図5(a)および図5(b)において、横軸のNoは、図5(c)に示すごとく、No1は水平方向の弾性剛性を1倍にしたもの、No2は4/ 5倍に、No3は3/ 5倍に、No4は2/ 5倍に、No5は1.5/5倍に、No6は1/ 5倍に、したもの、No7は0.5/5倍に、No8は0.1/5倍にしたものである。なお、図5(c)においてK3 は三層目の支持体25の剛性を示すものである。
【0020】
図5に示すごとく、三層目(三階部分)の支持剛性を低くすることにより、二層目(3階床)に伝達される振動を大幅に低減できることがわかる。変位も大幅に低減できる。
【0021】
図5に示すごとく、三階部分の剛性を五分の三以下とすることにより、制振効果が出始める。特に剛性を五分の一とすることにより、振動を効果的に低減可能である。また、このシュミュレートは、固有振動数である入力波『sinwave3.5』において最も効果が発揮され、固有振動数の二倍の振動数を有する『sinwave7.5』においても悪影響のないことを証明するものである。このため、交通振動に、建物の固有振動が含まれていても、建物の揺れを低減することが可能となる。図4(a)に示す支持剛性を有する建物において、三階部分の剛性を五分の二以下とすることにより、充分な制振効果を得ることができるものである。
【0022】
本発明における、三階部分の剛性の低減は、交通振動などの振動領域において行うものであり、地震などの大きな揺れに対しては、充分な剛性を示すものである。すなわち、図6に示すごとく、三階部分の剛性は、振動域に対して可変である。振動の変位が小さい域においては、剛性を小さくするものである。そして、それを越す大きな振動域においては剛性、強度共に充分なものとするものである。図6においては、交通振動による変位の範囲を50μとしている。しかし、本発明は、交通振動を最上階部分により吸収し、居住者の感じる揺れを低減するものである。このため、変位の範囲を特に限定するものではなく、交通振動により最上階を構成する部材が変位する範囲において各部の剛性を低減するものである。
【0023】
次に、制振住宅の構成について、より詳しく説明する。
図7に示す鉄骨造の建物においては、最上部の梁12と最上階の柱11の接続部および、二階部分の梁6と柱11の接続部においても、一定範囲の振動に対して接続部の剛性が低くなるように構成するものである。
【0024】
接続部の剛性の低減方法としては、交通振動などの振幅の範囲で遊びを持たせて接続する方法を取ることが可能である。遊び範囲においては剛性が低く、遊びの範囲を越える変位に対しては充分な剛性を示すことが可能となるものである。また、遊びを持たせる接続部の箇所を調節することにより、交通振動などの小さい振動域における剛性を調節することが可能である。さらに、接続部に剛性の低いスペーサを配設して、一定範囲の振動に対して接続部の剛性を低く構成することも可能である。これにより、建物に伝達される交通振動などを低減でき、居住性を向上できるものである。
【0025】
次に、制振住宅における外装の構成について、図8を用いて説明する。
交通振動の振動域において、外装の取り付けによる剛性の変化も振動伝達の要因となるものである。このため、交通振動の領域において、最上階の外装の取り付けにより生じる剛性を低減することにより最上階部分の剛性を低下させて振動を低減するものである。すなわち、最上階部分の外装を、交通振動などの微小振動領域においても充分にロッキングできる構成とする。これにより、外装の取り付けが、交通振動域における建物の剛性に寄与することなく、最上階部分の低い剛性が保持できる。
【0026】
他の階の外装は、交通振動領域においても、一定な剛性で取り付けられている。すなわち、図8(a)に示すごとく、交通振動域においては最上階部分(三階部分3)の外装がロッキングする。ロッキングさせる手段としては特に限定するものではなく、外装の取り付け構造によりロッキングさせる。そして、中地震や大地震などの地震の発生時には、建物の他(二階部分2および一階部分1)の外装もロッキングし、外装の破損を低減するものである。最上階以外の外装は、交通振動などの振幅の小さい振動域に対しては建物の剛性を維持する部材として剛に作用し、地震時にはロッキングする。
【0027】
最上階部分3の取り付け構造としては、外装を遊嵌する部材を介して外装を建物の躯体構造に取り付けるものである。これにより、外装は遊嵌されている部材と干渉しない範囲においてロッキング(振動)可能である。
【0028】
次に、外装の取り付け構成の一例について説明する。
図9に示す例において、外装はパネル31およびフレーム32により構成されている。外装は、梁12および梁6に取付金具33を介して取り付けられるものである。このような構成において、最上階部分の外装のフレーム32に挿嵌されたボルトを取り付け金具33により係止する。この場合、フレーム32と取付金具33間にスペーサを配設する。そして、スペーサにより外装のロッキングを容易にさせる。最上階より下層の外装においては、外装のスペーサなしで、止め付けることにより、プレート担面の面摩擦により微小な振動に対しては剛接合となり、大変形時にはロッキングする構造となる。
【0029】
次に、制振住宅における内装の構成について、図10を用いて説明する。
交通振動の振動域において、内装の取り付け剛性は、建物の躯体構造の剛性と、外装の取り付け剛性とともに、振動伝達の要因となるものである。内装を構成する壁および間仕切りを例にとり説明する。壁及び間仕切りは層(階)を構成する梁間に配設されるものであり、各層(階)の剛性に寄与するものである。そいて、交通振動などの振幅に小さい振動領域において、この剛性により振動伝達の特性が異なるものである。
【0030】
最上階に配設される内装の取り付け剛性を、交通振動による変位域において、低減する。これにより、最上階における交通振動の吸収効率を向上することが可能となる。内装を構成する壁および間仕切りは、梁12と梁6間に配設されるものである。このため、間仕切り40と梁12の接続部分41や、間仕切り40・40の接続部分42の剛性を交通振動の変位域において低減することにより最上階の剛性を低減し、居住者への交通振動などの影響を低減するものである。
【0031】
接続部分41・42の剛性低減方法としては、接続部に低摩擦のすべり材を配設し、垂直方向の力に対して支持を行うが、水平方向の振動に対して剛性を示さない構造とすることが可能である。なお、一定範囲を超す変位に対しては間仕切り40の動きが規制される構成とするものである。内装を構成する壁においても同様に、接続部の剛性を低減し、交通振動による影響を低減することができる。
【0032】
交通振動域のような微振動の領域にあっては、振動物性を支配するのは躯体構造のみではなく、外装、内装による影響も無視できない。このため、最上階の剛性を調整するうえで、躯体構造、外装および内装を調節することが重要である。また、他の階の部分については、従来の構成とすることが可能であり、コストのかからないように振動の増幅を低減することが可能である。
【0033】
次に、図11を用いて、ブレース構造における剛性の調節方法について説明する。
この場合において、交通振動のような微少な振動の領域においては作用するブレースの遊び部分を設けることにより、剛性を調節することが可能であり、最上階の剛性を低減することができるものである。図11において、建物にはブレース51・51・・が配設されており、該ブレース51・51・・により躯体構造が構成されるものである。そして、最上階にはブレース52が配設されるものである。ブレース52は交通振動などの変位に対しては構造体としての抵抗力を発揮しない構成となっている。
【0034】
そして、地震など、交通振動の変位域を越えるものに対しては、他のブレース51と同様に建物の剛性に寄与するものである。
【0035】
すなわち、建物の最上階におけるブレース52の配設により、最上階部分の交通振動域における剛性を調節することが可能となるものである。交通振動域において剛性を発揮しないブレース52の構成の一例について説明する。ブレース52はX状のロッドと枠体により構成されており、ロッドの端部が枠体に接続されているものである。そして、接続部において、一定量のあそびを設けてロッドを枠体に接続するものである。例えば、ロッドの一端に長孔を設け、長孔に、枠体に固設されているピンを挿入することによりロッドと枠体を接続するものである。これにより、ピンが長孔の縁に当接しない限り、ロッドが枠体の変形に対して抵抗力を発揮しない構成となる。すなわち、一定の変位内においては剛性を発揮しない構成となる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1・2・3・4の如く、建物の最上階自体を、交通振動を吸収する制振装置とするので、新たにTMDなどの制振装置を配設する必要がなく、振動の増幅を自己制御的に抑えることができる。これにより、交通振動などの微振動や、室内における歩行、階段の昇降などによる環境振動などに対して、より良い居住環境を確保することができる。
【0037】
また、建物の最上階における、支持重量に対する水平方向の剛性を、下階より低くし、交通振動に対して、最上階自体を制振用の重量体として用いるので、新たにTMDなどの制振装置を配設する必要がなく、振動の増幅を自己制御的に抑えることができる。また、最上階部分の部材を流用するので、建物の設計上の自由度をTMDなどを配設する場合より向上可能である。
【0038】
また、建物の最上階における、支持重量に対する水平方向の剛性を、一定範囲の変位に対して、下階より低くし、他の範囲においては通常設計の剛性とし、最上階自体を制振用の重量体として用いるので、従来の建物の構成において容易に実現可能であり、施工にかかるコストを低減可能である。
また、これにより、風に対しての剛性および地震時の剛性を維持しながら、交通振動などの微振動に対しての制振効果を向上できるものである。
【0039】
また、最上階の居住性に関与しない床を重量体として、その挙動が建物全体の振動を吸振するので、建物における居住性を確保しながら、建物の一部を利用して制振効果を向上できる。このため、施工にかかるコストを低減するとともに、設計上の自由度を向上できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 建物の構成を示す模式図。
【図2】 建物構造による制振作用の構成を示す模式図。
【図3】 建物構造のモデリング構成を示す図。
【図4】 シミュレーションに用いた入力波の構成を示す図。
【図5】 入力波に対する住宅の振動応答結果を示す図。
【図6】 建物最上階の剛性と変位の関係を示す図。
【図7】 建物の梁と柱の構成を示す図。
【図8】 外壁の構成を示す模式図。
【図9】 外壁の取り付け構成を示す図。
【図10】 内壁の構成を示す図。
【図11】 ブレース構造における構成を示す図。
【符号の説明】
1 一階部分
2 二階部分
3 三階部分
4 地面
5 基礎
6・7・12 梁
8 床部
9・10・11 柱

Claims (4)

  1. 三階建て住宅の三階部分における、支持重量に対する水平方向の剛性を、交通振動による変位の範囲である50μまでとして、該振動の変位が50μより小さい振動域においては、下階より剛性を小さく構成し、振動の変位が50μを越える大きな振動域においては、三階部分の剛性・強度共に通常設計の充分な剛性とし、三階部分自体を交通振動制振用の重量体として用いることを特徴とする交通振動用制振三階建て住宅。
  2. 請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、三階建て住宅の三階部分の外装を、パネル(31)およびフレーム(32)により構成して、梁(12・6)に取付金具(33)を介して取り付ける構成とし、該フレーム(32)にボルトを介して取付金具(33)係止すべく構成し、該フレーム(32)と取付金具(33)間にスペーサを配設し、該スペーサにより外装の振動を可能とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したことを特徴とする交通振動用制振三階建て住宅。
  3. 請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、内装を構成する壁および間仕切り(40)を、梁12と梁6間に配設し、間仕切り(40)と梁(12)の接続部分(41)や、間仕切り(40・40)の接続部分(42)に低摩擦のすべり材を配設し、垂直方向の力に対して支持を行うが、水平方向の振動に対して剛性を示さない構成とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したことを特徴とする交通振動用制振三階建て住宅。
  4. 請求項1記載の交通振動用制振三階建て住宅において、三階部分のブレース(52)はX状のロッドと枠体により構成されており、ロッドの端部が枠体に接続され、該接続部においてロッドの一端に長孔を設け、該長孔に枠体に固設されているピンを挿入することによりロッドと枠体を接続し、ピンが長孔の縁に当接しない限り、ロッドが枠体の変形に対して抵抗力を発揮しない構成とし、50μ以下の交通振動による変位内においては剛性を発揮しないが、地震など50μの変位域を越えるものに対しては、他の階と同様に建物の剛性に寄与すべく構成したことを特徴とする交通振動用制振三階建て住宅。
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