JP2520038B2 - 免震鉄骨梁 - Google Patents

免震鉄骨梁

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JP2520038B2
JP2520038B2 JP2032657A JP3265790A JP2520038B2 JP 2520038 B2 JP2520038 B2 JP 2520038B2 JP 2032657 A JP2032657 A JP 2032657A JP 3265790 A JP3265790 A JP 3265790A JP 2520038 B2 JP2520038 B2 JP 2520038B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、特に長大スパンの構造物に用いて有効な
免震鉄骨梁に関するものである。
[従来の技術] 従来、長大スパンの構造物では、第10図に示すように
上弦材1、下弦材2、ラチス材3により組み立てられた
鉄骨梁4を柱等の構造体5,5間に架け渡し、鉄骨梁4の
側面の両端にガセットプレート6を取り付け、これらの
鉄骨梁4,4,…間に屋根材や床材7を架け渡す構造が一般
的である。この鉄骨梁4としては、上弦材と下弦材との
間のウェブにラチス材をジグザグ状に挿入したラチス梁
や、上弦材と下弦材との間のウェブにラチス材を三角形
状に挿入したトラス梁が代表的なものである。この鉄骨
梁4は、目的に適合した室内空間を自由に構築でき、増
築にも容易に対応できる等の様々の利点を有することか
ら、イベントホール、体育館、長大橋、生産施設等の大
規模の構造物に広く用いられている。
鉄骨梁4では、構造設計の段階で長期、短期応力(M,
N,Q)に対する長期、短期強度を求め、さらに床の振動
等を検討し、最適の鉄骨梁の仕様を決定する。ここで構
造物として不具合が生じる可能性があれば、鉄骨梁4の
許容応力を再検討し鉄骨の剛性等の諸特性を改良するこ
とになる。
ところで、鉄骨梁4は地震等の外部からの加振に対し
て構造減衰が小さく、構造物の振動を小さくすることが
できないという構造状の欠点を有しており、こお鉄骨梁
4に地震や暴風等により発生する振動を長期に亙って免
震する対策を施すことは非常に難しく、早急に改善する
必要があった。
そこで、構造物の床面に発生する上下振動を抑制する
免震梁として、最近では、鋼板を略Σ形に折り曲げた形
鋼からなる梁材のフランジの内側面に、振動減衰性能の
高い粘弾性体層を2枚の鋼板で挾持して構成した制振ユ
ニットを取り付けた制振梁や、長尺の矩形状の粘弾性体
層を2本のみぞ形鋼のそれぞれの背面で挾持して断面を
H形とし、一体に構成した制振H型鋼が提供されてい
る。
上記の制振梁や制振H型鋼は、構造物の床面に発生す
る振動エネルギーを振動減衰性能の高い粘弾性体層で吸
収することにより、構造物に発生する振動を抑制しよう
とするものである。
[発明が解決しようとする課題] ところで、従来の制振梁では、略Σ形に折り曲げた形
鋼に制振ユニットを直接貼着する構成となっているた
め、粘弾性体層に加わる変形が小さく、微振動を押さえ
ることはできるが少し大きな振動になると効果が小さく
なるという欠点があった。また、特殊な構造を取らざる
を得ないために、通常多用されるH型鋼やI型鋼を用い
ることができ難く、汎用生に欠けるという欠点があっ
た。また、成形や加工が難しく特殊な技術が必要となる
事や、従来多用されているH型鋼やI型鋼の鋼材と断面
の形状が異なるために設計し難い等の様々な問題点があ
った。
また、制振H型鋼では、粘弾性体層を2本のみぞ形鋼
で垂直に挾持しているので、粘弾性体層は水平方向の振
動を吸収するには非常に有効であるが、上下方向の振動
を吸収するには不適当である。したがって、水平方向の
制振効果は十分期待できるが上下方向の制振効果はあま
り期待することができないという欠点があった。また、
加工が難しくなることから、生産効率が上がらず高価な
ものとなる等の欠点があった。
この発明の目的は、以上の様な様々な問題点を解決す
ることができ、かつ、省スペース、低コストを図ること
が可能で、構造物の水平方向及び上下方向の振動を効果
的に抑制することができる免震鉄骨梁を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] この発明は、上記課題を解決するために、次の様な免
震鉄骨梁を採用した。すなわち、請求項1記載の免震鉄
骨梁としては、上弦材、下弦材、ラチス材により組み立
てられた鉄骨梁において、前記上弦材と下弦材のいずれ
か一方に、それら弦材の一部を構成して鉄骨梁の振動を
抑制するためのダンパーを弦材と同軸的に設けてなる構
成としている点に特徴がある。
また、請求項2記載の免震鉄骨梁としては、上弦材、
下弦材、ラチス材により組み立てられた鉄骨梁におい
て、前記上弦材と下弦材のいずれか一方のフランジ表面
に、板状の粘弾性体の両面に金属板が貼着された粘弾性
部材が装着され、しかも、前記各金属板はそれぞれの固
定位置が前記フランジ表面の長手方向に異なるように該
フランジ表面に固定されている構成とした点に特徴があ
る。
また、請求項3記載の免震鉄骨梁としては、上弦材、
下弦材、ラチス材により組み立てられた鉄骨梁におい
て、前記上弦材と下弦材のいずれか一方に請求項1記載
のダンパーを弦材と同軸的に設け、前記上弦材と下弦材
のいずれか一方に請求項2記載の粘弾性部材を装着して
なる構成としている点に特徴がある。
[作用] この発明に係る免震鉄骨梁においては、地震や機械振
動等の外力により長大スパンの構造物に水平振動や上下
振動が発生した場合、次の様な作用を有する。すなわ
ち、請求項1記載の免震鉄骨梁においては、上弦材と下
弦材のいずれか一方に、弦材と同軸的に設けられたダン
パーは、地震等により鉄骨梁に発生する水平方向の振動
を強制的に受ける。ダンパーはこの振動を受けて作動す
ることにより、上記の振動エネルギーを吸収し、水平方
向の振動を抑制する。
また、請求項2記載の免震鉄骨梁においては、上弦材
と下弦材のいずれか一方のフランジ表面に装着された粘
弾性部材は、地震等の振動エネルギーにより鉄骨梁に発
生する上下方向の振動を強制的に受ける。粘弾性部材を
構成する各金属板はそれぞれの固定位置が前記フランジ
表面の長手方向に異なるように該フランジ表面に固定さ
れているので、上下方向の振動に対応して各金属板が変
形し、これにつれて間に挟まれた粘弾性体も変形し、前
記振動エネルギーを吸収し、上下方向の振動を抑制す
る。
また、請求項3記載の免震鉄骨梁においては、上弦材
と下弦材のいずれか一方に、弦材と同軸的に設けられた
請求項1記載のダンパーは、地震等により構造物に発生
する水平方向の振動を強制的に受ける。このダンパーは
この振動を受けて作動することにより、上記の振動エネ
ルギーを吸収し、水平方向の振動を抑制する。また、鉄
骨梁の弦材に装着された請求項2記載の粘弾性部材は、
地震等により発生する上下方向の振動を強制的に受け
る。この上下方向の振動に対応して各金属板が変形し、
これにつれて間に挟まれた粘弾性体も変形し、前記振動
エネルギーを吸収し、上下方向の振動を抑制する。
[実施例] 以下、この発明の各態様を図面に示す実施例に基づい
て説明する。
[第1実施例] 第1図および第2図はこの発明の請求項1記載の一実
施例である第1実施例を示す図である。図において、符
号11はこの発明による免震鉄骨梁である。
免震鉄骨梁11は、長大スパンの構造物の床構造を構成
する鉄骨梁12に適用したものであり、複数の免震鉄骨梁
11,11…を対向する柱等の構造体13,13間に掛け渡し、免
震鉄骨梁11,11相互間に床材を掛け渡すことで、構造物
の床を構成している。
免震鉄骨梁11は、その要部がH型鋼あるいはCT形鋼等
からなる上弦材14、下弦材15と、これらを連結する鋼材
(例えば、山形鋼やH形鋼等)からなるラチス材16によ
りラチス構造に組まれて構成されている。下弦材15の端
部17にはダンパー18が同軸的に取り付けられている。
ダンパー18は、下弦材15の端部17と構造体13の側面19
との間に介装され、下弦材15と構造体13双方にピン接合
で取り付けられ、下弦材15の一部を構成している。
ダンパー18は、例えば、オイルダンパーからなるもの
で、第2図に示すように円筒状のシリンダ部20と水平方
向へ移動自在なピストン部21とから構成されており、ピ
ストン部21の一端部22に設けられたオリフィス23をシリ
ンダ部20内の高粘性の粘性体24が移動する際に生じる抵
抗力を利用するものである。
シリンダ部20の一端部25には、定オリフィス26が設け
られ、定オリフィス26に隣接して調圧弁27が設けられて
いる。また、シリンダ部20の他端部28には第1の逆止弁
29が設けられている。また、ピストン部20の一端部30に
も第2の逆止弁31が設けられている。
ここで、免震鉄骨梁11の作用等について説明する。
地震や機械振動等の外力により長大スパンの構造物に
水平振動や上下振動が発生すると、免震鉄骨梁11の下弦
材15に取り付けられたダンパー18は、地震等により構造
物に発生する水平方向の振動を強制的に受ける。ダンパ
ー18のシリンダ部20とピストン部21は、この振動により
互いに離間する方向と互いに近接する方向への作動を繰
り返す。
シリンダ部20がピストン部21と互いに離間しつつある
場合には、シリンダ部20とピストン部21の間の空間部分
32に充満した粘性体24が定オリフィス26及び調圧弁27を
通って空間部分32から排出され、同時にシリンダ部20と
ピストン部21の間の空間部分33に第1の逆止弁29を通っ
て粘性体24が侵入する。
また、シリンダ部20がピストン部21と互いに近接しつ
つある場合には、空間部分33に充満した粘性体24がオリ
フィス23間を通って空間部分32に侵入する。粘性体24は
高粘性のためオリフィス23間を通過する際に大きな抵抗
力を生じ、この抵抗力がシリンダ部20とピストン部21の
近接を阻止する様に働く。したがって、ダンパー18に加
えられた振動エネルギーは粘性体24に吸収され、水平方
向の振動が抑制される。
ここで、免震鉄骨梁11に掛かる応力について第3図
(a)〜(b)に基づき説明する。
柱等の2つの構造体間に掛け渡された免震鉄骨梁11
に、長期応力が発生する場合、免震鉄骨梁11は同図
(a)に示す様に、端部A,Bと中心部Pの上下方向の振
動の向きが相反する様に正弦波状の振動をする。
また、免震鉄骨梁11に地震や機械振動等により応力が
発生する場合、免震鉄骨梁11は同図(b)に示す様に、
端部Aと端部Bの上下方向の振動の向きが相反する様に
振動する。
また、免震鉄骨梁11に短期応力が発生する場合、免震
鉄骨梁11は同図(c)に示す様に端部Aと端部Bと中心
部Pの上下方向の振動の向きが不揃いな不定形の波動で
振動する。
ここで、外部からの振動により免震鉄骨梁11に発生す
る引張力Tと圧縮力Cは、梁の有効成Jと曲げモーメン
トMを用いて次式で表される。
T=−C=M/J したがって、鉄骨梁に生じる引張力Tと圧縮力Cは、梁
の有効成Jと曲げモーメントMから計算により求めるこ
とができる。
以上詳細に説明した様に、免震鉄骨梁11は鉄骨梁12の
下弦材15に、その下弦材15の一部を構成し鉄骨梁12の振
動を抑制するためのダンパー18を下弦材15と同軸的に取
り付けた構成としたので、外部からの振動によりダンパ
ー18のシリンダー20内部の粘性体24がピストン部21のオ
リフィス23を移動する際に抵抗力を生じ、この抵抗力が
振動の水平方向の成分を打ち消し振動を有効に抑制する
ことができる。また、ダンパー18はバネ剛性を持たない
ために微少振幅領域においても減衰効果を発揮すること
ができ、構造物の水平方向に対する免震、防振効果を実
現することができる。また、免震鉄骨梁11は、梁成内に
納めることができるので、余分な高さを必要とせず階高
を高くしなくて済む。
また、免震鉄骨梁11は、構造物の梁に装備する構造に
なっているので、従来の構造物に対しても容易に適用可
能となり、施工性をたかめ、施工位置の自由度を高める
ことができる。
なお、ダンパー18の取り付け位置は、エネルギー吸収
効率の最も良い位置が好ましく、したがって応力の大き
い下弦材の両端とするのが望ましい。
[第2実施例] 第4図ないし第7図はこの発明の請求項2記載の一実
施例である第2実施例を示す図である。図において、符
号41はこの発明による免震鉄骨梁である。
この免震鉄骨梁41は、長大スパンの構造物の床構造に
適用したものであり、免震鉄骨梁41を柱等の対向する構
造体間に掛け渡し、複数の免震鉄骨梁41,41相互間に床
材を掛け渡すことで、構造物の床を構成している。
免震鉄骨梁41は、第4図に示す様にその要部がH型鋼
からなる上弦材42、下弦材43と、これらを連結するL型
鋼からなるラチス材44によりラチス構造に組まれて構成
されており、下弦材43の下フランジ45の下面45aには粘
弾性部材46が装着されている。
また、第5図に示す様に長尺の鋼板49を2枚のL型鋼
50,50で挾持したものを上弦材51及び下弦材52とし、上
弦材51の鋼板49と下弦材52の鋼板49をL型鋼からなるラ
チス材53で連結してラチス構造に組まれた免震鉄骨梁54
もある。この免震鉄骨梁54においても、上記の免震鉄骨
梁41と同一の粘弾性部材46が下弦材52の下フランジ55の
下面55aに装着されている。
ここで、免震鉄骨梁41に装着された粘弾性部材46につ
いて第6図及び第7図に基づいて説明する。
粘弾性部材46は、振動減衰性能の高い矩形状の板状の
粘弾性体61の両面に矩形状の2枚の金属板62,63を貼着
し一体としたものである。金属板62,63は、例えば、鋼
板からなるものである。粘弾性部材46は、下フランジ45
の下面45aにそれぞれの面の長手方向の向きが一致する
ように装着され、金属板62の一端部62aがボルト64及び
ナット65により、また金属板63の一端部63aがボルト66
及びナット67により下フランジ45の下面45aにそれぞれ
固定されている。
粘弾性体61としては、金属板62,63が構造物の床面に
発生する上下振動により相対移動させられた際に、それ
らの相対移動を許容しつつ、かつ、抑制する性質をもつ
ものであればよく、例えば、アスファルトとゴムとの混
合物、合成ゴム、天然ゴム、軟質樹脂、シリコン系粘弾
性体等が好適に用いられる。また、金属板62,63間に介
装する粘弾性体61の形状については、施工性の点から考
えると板状にすることが望ましい。
上記のように構成された免震鉄骨梁41の作用等につい
て説明する。
地震や機械振動等の外力により長大スパンの構造物の
床面に上下振動が発生した場合、免震鉄骨梁41の下弦材
43が変形することにより粘弾性部材46を取り付けた2点
間に相対移動が生じ、免震鉄骨梁41に装着された粘弾性
部材46の金属板62,63間にも同様の相対移動が生じる。
粘弾性体61は、この相対移動により上下方向に周期的に
伸縮を繰り返す。粘弾性体61の周期的な変形により構造
物に与えられた振動エネルギーを吸収し、振動を抑制す
る。
免震鉄骨梁41は、下弦材43の下フランジ45の下面45a
に、粘弾性体61の両面に金属板62,63をそれぞれ貼着し
一体とした粘弾性部材46を装着してなる構造であるか
ら、梁材に発生する上下振動に対して梁材の減衰効果を
大きくすることができ、粘弾性部材46の装着面積を変え
ることにより減衰能の調整が可能となり、最適な減衰を
得ることができる。したがって、梁材に発生する上下振
動を速やかに抑制することができる。また、一般に使用
される鋼材への適用が容易となり、汎用性に優れ、設計
上の困難も解消される。また、下フランジ45の下面45a
は最も変形が大きい部位であるので、粘弾性部材46の上
下方向の制振効果が十分大きくなる。
免震鉄骨梁41は、構造物の構造体相互間に架設する構
造となっているので、従来の構造物に対しても容易に適
用可能となる。
この実施例では板状とした粘弾性体61を用いているの
で、粘弾性体61の形状設定や取り扱いが容易となり、施
工性を高め、施工位置の自由度を高めることができる。
なお、上記の実施例においては、下弦材43の下フラン
ジ45の下面45aに粘弾性部材46をボルトで固定した構成
としたが、この構成は下弦材43と粘弾性部材46とが一体
となる構成であればよく、例えば、下弦材43に粘弾性部
材46を直接貼着したり、プレートを介して装着した構成
としてもよい。
また、上記の実施例では、粘弾性部材46は粘弾性体61
の両面に金属板62,63をそれぞれ貼着した構成とした
が、粘弾性体61と金属板62,63を、例えば、金属板62、
粘弾性体61、金属板63、粘弾性体61、金属板62、…の順
のように交互に複数枚積み重ね一体とした構成としても
よい。
また、粘弾性部材46の取り付け位置は、エネルギー吸
収効率の最も良い位置が好ましく、したがって下弦材の
長手方向の相対移動の最も大きい下フランジの平坦部の
中心部とするのが望ましい。
[第3実施例] 第8図及び第9図はこの発明の請求項3記載の一実施
例である第3実施例を示す図である。
第8図に示す構造物71は、柱等の構造体72,72間に、
上記第1実施例記載の鉄骨梁12の下弦材15の両端部73,7
3に上記第1実施例記載のダンパー18,18をこの下弦材15
と同軸的に取り付け、この下弦材15の下フランジの下面
74の中央部に上記第2実施例記載の粘弾性部材46を装着
した免震鉄骨梁75を掛け渡したものである。
また、第9図に示す構造物81は、柱等の構造体82,82
間に、上記の構成からなる免震鉄骨梁75を上下方向に複
数掛け渡し、多層構造としたものである。
なお、鉄骨梁12、ダンパー18、粘弾性部材46それぞれ
の構成、作用、効果等については上記実施例に記載した
ものと全く同一であるから、ここでは説明を省略する。
これらの構造物71,81では、免震鉄骨梁75の下弦材15
にこの下弦材15と同軸的にダンパー18が取り付けられて
いるので、構造物71,81に発生する振動の水平方向の成
分を打ち消し、振動を有効に抑制することができる。ま
た、下弦材15の下フランジの下面74の中央部に粘弾性部
材46が装着されているので、構造物に発生する振動の上
下方向の成分を打ち消し、振動を有効に抑制することが
できる。
したがって、これらの構造物71,81では、発生する振
動の上下方向の成分と水平方向の成分を効率良く抑制す
ることができ、これらの構造物71,81全体の免震効果を
さらに向上させることができ、大地震が発生した場合で
も、構造物全体が振動し難く耐震性が向上し、また、構
造物の振動は速やかに減衰することとなる。よって、
窓、壁、屋根材等の二次部材も破壊され難くなり、人に
不安感を与えることがなく、構造物内部の設備機器類も
損傷を受け難くなる。また、梁の制振効果が向上するの
で、さらに長大なるスパンの構造物を構築することが可
能になる。
[発明の効果] この発明の請求項1記載の免震鉄骨梁は、上弦材、下
弦材、ラチス材により組み立てられた鉄骨梁において、
前記上弦材と下弦材のいずれか一方に、それら弦材の一
部を構成して鉄骨梁の振動を抑制するためのダンパーを
弦材と同軸的に設けることとしたので、ダンパーの有す
る抵抗力により構造物に発生する振動の水平方向の成分
を打ち消し、振動を有効に抑制することができる。ま
た、ダンパーはバネ剛性を持たないために微少振幅領域
においても減衰効果を発揮することができ、構造物の水
平方向に対する免震、防振効果を実現することができ
る。また、免震鉄骨梁は、梁成内に納めることができる
ので、余分な高さを必要とせず階高を高くしなくて済
む。また、免震鉄骨梁は、構造物の梁に装備する構造に
なっているので、従来の構造物に対しても容易に適用可
能となり、施工性をたかめ、施工位置の自由度を高める
ことができる。
また、請求項2記載の免震鉄骨梁は、上弦材、下弦
材、ラチス材により組み立てられた鉄骨梁において、前
記上弦材と下弦材のいずれか一方のフランジ表面に、板
状の粘弾性体の両面に金属板が貼着された粘弾性部材が
装着され、しかも、前記各金属板はそれぞれの固定位置
が前記フランジ表面の長手方向に異なるように該フラン
ジ表面に固定することとしたので、梁材に発生する上下
振動に対して梁材の減衰効果を大きくすることができ、
粘弾性部材の装着面積を変えることにより減衰能の調整
が可能となり、最適な減衰を得ることができる。したが
って、梁材に発生する上下振動を速やかに抑制すること
ができる。また、一般に使用される鋼材への適用が容易
となり、汎用性に優れ、設計上の困難も解消される。ま
た、下弦材の下フランジの下面は最も変形が大きい部位
であるので、粘弾性部材の上下方向の制振効果が十分大
きくなる。また、免震鉄骨梁は、構造物の柱等の構造体
相互間に架設する構造となっているので、従来の構造物
に対しても容易に適用可能となる。
また、請求項3記載の免震鉄骨梁は、上弦材、下弦
材、ラチス材により組み立てられた鉄骨梁において、前
記上弦材と下弦材のいずれか一方に請求項1記載のダン
パーを弦材と同軸的に設け、前記上弦材と下弦材のいず
れか一方に請求項2記載の粘弾性部材を装着することと
したので、構造物に発生する振動の上下方向の成分と水
平方向の成分を効率良く抑制することができ、構造物全
体の免震効果をさらに向上させることができる。したが
って、大地震が発生した場合でも、構造物全体が振動し
難く耐震性が向上し、また、構造物の振動は速やかに減
衰することとなる。よって、窓、壁、屋根材等の二次部
材も破壊され難くなり、人に不安感を与えることがな
く、構造物内部の設備機器類も損傷を受け難くなる。ま
た、梁の制振効果が向上するので、さらに長大なるスパ
ンの構造物を構築することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図はこの発明の請求項1記載の一実施
例を示す免震鉄骨梁の図であって、第1図は免震鉄骨梁
の部分側面図、第2図はダンパーの一部を破断した側面
図、第3図(a)〜(c)は免震鉄骨梁の振動様式を示
す説明図である。 第4図ないし第7図はこの発明の請求項2記載の一実施
例を示す免震鉄骨梁の図であって、第4図はH型鋼の弦
材を有する免震鉄骨梁の断面図、第5図はL型鋼からな
る弦材を有する免震鉄骨梁の断面図、第6図は下弦材の
粘弾性部材装着部分の側面図、第7図は第6図のII-II
線に沿う断面図である。 第8図及び第9図はこの発明の請求項3記載の一実施例
を示す免震鉄骨梁の図であって、第8図は免震鉄骨梁を
適用した構造物の正面図、第9図は免震鉄骨梁を適用し
た多層の構造物の正面図である。 第10図は従来の鉄骨梁を適用した構造物の正面図であ
る。 11……免震鉄骨梁、12……鉄骨梁、14……上弦材、15…
…下弦材、16……ラチス材、18……ダンパー、41……免
震鉄骨梁、42……上弦材、43……下弦材、44……ラチス
材、46……粘弾性部材、51……上弦材、52……下弦材、
53……ラチス材、54……免震鉄骨梁、61……粘弾性体、
75……免震鉄骨梁。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上弦材、下弦材、ラチス材により組み立て
    られた鉄骨梁において、前記上弦材と下弦材のいずれか
    一方に、それら弦材の一部を構成して鉄骨梁の振動を抑
    制するためのダンパーを弦材と同軸的に設けることを特
    徴とする免震鉄骨梁。
  2. 【請求項2】上弦材、下弦材、ラチス材により組み立て
    られた鉄骨梁において、前記上弦材と下弦材のいずれか
    一方のフランジ表面に、板状の粘弾性体の両面に金属板
    が貼着された粘弾性部材が装着され、しかも、前記各金
    属板はそれぞれの固定位置が前記フランジ表面の長手方
    向に異なるように該フランジ表面に固定されていること
    を特徴とする免震鉄骨梁。
  3. 【請求項3】上弦材、下弦材、ラチス材により組み立て
    られた鉄骨梁において、前記上弦材と下弦材のいずれか
    一方に請求項1記載のダンパーを弦材と同軸的に設け、
    前記上弦材と下弦材のいずれか一方に請求項2記載の粘
    弾性部材を装着してなることを特徴とする免震鉄骨梁。
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