JP4823546B2 - イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents

イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、種々の機能性ポリマー材料の製造に有用なイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法に関する。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、種々の機能性ポリマーを製造する際に用いられる有用な化合物である。
従来、このようなイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を製造する方法としては、(メタ)アクリル酸とアミノアルコールのエステルの塩とホスゲンとを反応させる方法、あるいは、イソプロペニルオキサゾリンとホスゲンとを反応させる方法が一般的であった。しかしながら、このような方法では、副反応として(メタ)アクリロイル基の二重結合への付加反応が生じることや、二重結合を有したまま反応等を行うため重合によるロスが発生するなどの問題点があった。
また、他の方法として、イソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を脱塩化水素して、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1には、3−クロロプロピオン酸イソシアナトエチルエステルを、弱塩基性の3級アミンであるキノリンを用いて脱塩化水素することにより、アクリロイルオキシエチルイソシアネートを製造する例が示されているだけである。そして、この特許文献1に示されている方法では、アクリロイルオキシエチルイソシアネートとキノリンの沸点の差が小さいため、減圧蒸留による分離が困難であった。また、脱塩化水素が高温(160℃)で行われていることから、生成したアクリロイルオキシエチルイソシアネートの重合反応を抑制するため、大量の重合防止剤を添加する必要があった。以上の点から、特許文献1に記載の方法も、工業的に満足のいく方法ではなかった。
さらに、従来の方法では、生成物中に加水分解性塩素が多く残留するといった問題点も有していた。加水分解性塩素が、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体中に多く含まれていると、これを原料として各種用途に用いた場合に悪影響が生じるおそれがあるため、生成物中に含まれる加水分解性塩素の量を低減することが求められている。
米国特許2,821,544号公報
本発明の課題は、工業的に有利で温和な条件で、イソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を脱塩化水素して、加水分解性塩素の残留量が少ないイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の塩基性窒素化合物を用いて、イソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を脱塩化水素することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成をするに至った。
すなわち本発明は、以下の事項に関する。
[1]下記一般式(1)で表されるイソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を、第3級窒素を有する塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素することにより、下記一般式(2)で表されるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を製造する方法であって、
該塩基性窒素化合物の第3級窒素が、芳香環基以外の基を少なくとも1つ有することを特徴とするイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
Cl−CH2−CHR1−COO−R2−NCO ・・・(1)
CH2=CR1−COO−R2−NCO ・・・(2)
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基、または、炭素数3〜6のシクロアルキレン基の前後に炭素数0〜3のアルキレン基を有する炭化水素基を示す。)
[2]前記塩基性窒素化合物の沸点が、生成物の(メタ)アクリル酸エステル誘導体の沸点よりも低いことを特徴とする[1]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[3]前記塩基性窒素化合物がトリアルキルアミンであることを特徴とする[1]または[2]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[4]前記塩基性窒素化合物が反応溶媒に溶解しない化合物であることを特徴とする[1]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[5]前記反応溶媒に溶解しない塩基性窒素化合物が、第3級窒素を有するイオン交換樹脂であることを特徴とする[4]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[6]前記脱塩化水素が40〜120℃の温度で行われることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[7]前記脱塩化水素後に、残留している塩基性窒素化合物を蒸留により除去することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[8]前記R2が、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基であることを特
徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[9]前記R2が、−CH2−CH2−または−CH2−CH2−CH2−であることを特徴とする[8]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[10]前記脱塩化水素の際に、前記式(1)で表されるイソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を含む溶液中のアルカリ分解性塩素1モルに対して、前記塩基性窒素化合物を0.5〜10モル当量の範囲で用いることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[11]単蒸留により生成物を単離したときの加水分解性塩素の濃度が300ppm以
下であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とするイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体。
[13]加水分解性塩素の濃度が300ppm以下であることを特徴とする[12]に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体。
[14]下記一般式(2)で表されるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体および加水分解性塩素を含む溶液を、芳香環基以外の基を少なくとも1つ有する第3級窒素を含む塩基性窒素化合物で処理することを特徴とする加水分解性塩素を低減する方法。
CH2=CR1−COO−R2−NCO ・・・(2)
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基、または、炭素数3〜6のシクロアルキレン基の前後に炭素数0〜3のアルキレン基を有する炭化水素基を示す。)
本発明によれば、工業的に有利で温和な条件で、イソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を脱塩化水素して、加水分解性塩素の残留量が少ないイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を、高収率で製造することができる。
また、本発明の製造方法で得られるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、ビニル重合性二重結合とイソシアネート基を同一分子内に有することから、他の不飽和化合物、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレートなどの(メタ)アクリレート類またはスチレン類などと共重合させことにより、イソシアネート基を有する機能性ポリマー材料を製造することや、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基のような活性水素を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーと、イソシアネート基とを反応させて不飽和結合を導入し、紫外線、電子線、熱などにより硬化する材料を製造することができる。
したがって、上記のような材料を用いたレジスト、粘着剤、フィルムなどとして、電子材料、歯科材料、医療分野、塗料または各種接着剤などの様々な用途に有用である。
以下、本発明に係るイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロ」とは、アクリロまたはメタクリロを意味する。
本発明に係るイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法は、下記一般式(1)で表わされる、イソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体(以下「化合物(1)」ともいう。)を、特定の塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素する方法である。
Cl−CH2−CHR1−COO−R2−NCO ・・・(1)
本発明に係る製造方法により得られる、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、式(2)で表される化合物(以下「化合物(2)」ともいう。)であ
る。
CH2=CR1−COO−R2−NCO ・・・(2)
式(1)および(2)中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基、または、炭素数3〜6のシクロアルキレン基の前後に炭素数0〜3のアルキレン基を有する炭化水素基を示す。
上記R2は、好ましくは炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基であり、よ
り好ましくは−CH2−CH2−(エチレン基)、−CH2−CH2−CH2−(プロピレン
基)であり、特に好ましくは−CH2−CH2−(エチレン基)である。
上記化合物(1)の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法によって得ることができる。たとえば、3−クロロプロピオン酸クロライド誘導体とアミノアルコール塩酸塩とを反応させて得られる、下記一般式(3)で表わされる3−クロロプロピオン酸アミノエステル誘導体の塩(以下「化合物(3)」ともいう。)と、ホスゲンなどのジハロゲノカーボネートとを反応させることにより得ることができる。
Cl−CH2−CHR1−COO−R2−NH2・プロトン酸 ・・・(3)
式(3)中、R1およびR2は、式(1)および(2)中のR1およびR2と同義である。また、式(3)中に示したプロトン酸は、特に限定されないが、後の反応で塩化水素が発生することを考慮すれば、塩酸塩としておくことが好ましい。
式(3)において、R1が水素であり、R2がエチレン基である3−クロロプロピオン酸(2−アミノエチル)エステル塩酸塩は、たとえば、下記式(4)で表わされる3−クロロプロピオン酸クロライドと2−アミノエタノールの塩酸塩とを反応させることにより得られる。
Cl−CH2−CH2−COCl ・・・(4)
上記3−クロロプロピオン酸(2−アミノエチル)エステル塩酸塩以外の化合物(3)も同様の方法で製造可能である。また、上記化合物(3)は、(メタ)アクリル酸アミノ
エステルの塩に塩化水素を付加することによっても得られるが、原料中に二重結合を含まない化合物を用いて製造する方法が、重合反応が生じるおそれがないことから、工業的に好ましい。
脱塩化水素は、通常、塩基性化合物を共存させることにより行われる。このような塩基性化合物としては、一般的に塩基性の窒素を有する化合物が用いられるが、該窒素上に水素原子が残っていると、原料および目的物のイソシアネート基と反応するおそれがあり、収率が低下することや窒素原子の塩基性が消失することがある。
したがって、本発明の製造方法においては、第3級窒素を有する塩基性窒素化合物を用いる。
ここでいう「第3級窒素を有する塩基性窒素化合物」とは、前述のように窒素上に水素原子が残っていない窒素化合物を指す。しかしながら、窒素原子が芳香環の一部を形成しているような、たとえば、キノリンなどの弱塩基性窒素化合物は、塩基性が不充分であり、本発明の脱塩化水素を効率的に行うには好ましくない。また、窒素原子に結合した基が全て芳香環基であるような、たとえば、トリフェニルアミンなどの窒素化合物も同様に好ましくない。なお、ここでいう「芳香環基」は、その環上に置換基を有していてもよく、また、芳香環基と同様の共役系を有する複素環なども含む。
本発明の製造方法の鍵反応である脱塩化水素反応を行う際に用いられる「第3級窒素を
有する塩基性窒素化合物」は、該窒素が少なくとも1つの芳香環基以外の基、たとえば、アルキル基と結合していることが必要である。より好ましくは、芳香環基は1つ以下である。また、窒素原子に結合している複数の基が互いに結合して環状構造を形成してもよいが、その結果前述のキノリンのように塩基性が低下するような構造は除く。
上記のような塩基性窒素化合物としては、たとえば、種々のトリアルキルアミン、窒素原子に結合した2つまたは3つのアルキル基が互いに結合して環状構造を形成している化合物(環の中に、酸素、硫黄、他の窒素原子などを有していてもよい。)、窒素原子に結合している基の1つが芳香環基であるアミン(例えば、N,N−ジアルキルアニリン、N,N−ジアルキルアミノピリジン等)などが挙げられる。
具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルジアミノメタン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、テトラメチル−1,3−ジアミノブタン、テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルモルフォリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノエン(DBN)、2,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、三級窒素を有するイオン交換樹脂などが挙げられる。
これらの中では、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。また、上記塩基性窒素化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における脱塩化水素は、上記のようにして化合物(1)を合成した際の反応液をそのまま用いて実施してもよく、あるいは、上記のようにして合成した化合物(1)を、蒸留などの方法により精製してから実施してもよい。なお、工業的な面を考慮すれば、前者の方法は、工程を削減できるなどの利点を有している。
上記脱塩化水素により得られた化合物(2)を含む生成物中に、塩基性窒素化合物が残留していると、該化合物(2)の重合反応が進行する原因となり得ることから、蒸留により分離精製することが好ましい。
したがって、本発明で用いられる塩基性窒素化合物は、生成物の(メタ)アクリル酸エステル誘導体よりも低い沸点を有することが、高い精度で分離する上で望ましく、好ましくは、生成物と塩基性窒素化合物の沸点の差が20℃以上、より好ましくは30℃以上であることが望ましい。たとえば、生成物がアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;200℃)の場合は、180℃よりも低い沸点の塩基性窒素化合物が好ましく、メタアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;211℃)の場合は、190℃よりも低い沸点の塩基性窒素化合物が好ましい。
また、塩基性窒素化合物を分離するためには、塩基性窒素化合物が、反応に使用する溶媒に溶解しないものでもよい。このような塩基性窒素化合物としては、たとえば、高分子の塩基性窒素化合物からなるイオン交換樹脂が挙げられる。
上記脱塩化水素は、理論的には、上記化合物(1)1モルに対して上記塩基性窒素化合物を1モル当量用いることで行うことができる。なお、塩基性窒素化合物を過剰に用いて
もよいが、条件によっては残余の塩基性窒素化合物が重合反応を促進するおそれがある。一方、塩基性窒素化合物の使用量が過少の場合は、上記化合物(1)が残存し、反応が完結しないおそれがある。特に、イソシアネート化の際に発生した塩化水素などに由来するアルカリ分解性塩素が反応液中に多く含まれている場合は、このような状況になりやすい。
したがって、目的物である上記化合物(2)の単離収率が最大となる塩基性窒素化合物の使用量の最適値は、その反応条件などにより異なってくる。特に、上記化合物(1)を合成した際の反応液から該化合物(1)を分離精製することなく、該反応液をそのまま用いて脱塩化水素を行う場合は、さらに多くの要素が関連してくるため、塩基性窒素化合物の最適値を求めることが困難である。
このような場合は、たとえば、上記反応液中のアルカリ分解性塩素量を測定し、その測定量に応じて塩基性窒素化合物の使用量を決定することが望ましい。具体的には、上記アルカリ分解性塩素量を測定し、該アルカリ分解性塩素1モルに対して、塩基性窒素化合物を0.5〜10モル当量、好ましくは0.8〜5.0モル当量、さらに好ましくは0.9〜2.0モル当量の範囲で用いて脱塩化水素を行うことにより、高い単離収率でイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を得ることができる。なお、本明細書における「アルカリ分解性塩素」とは、後述する分析条件で定量できる塩素のことをいう。
また、上記化合物(1)を合成した際の反応液を蒸留などにより精製処理してから脱塩化水素を行う場合は、得られた化合物(1)1モルに対して塩基性窒素化合物を0.5〜10モル当量、好ましくは0.8〜5.0モル当量、さらに好ましくは0.9〜2.0モル当量の範囲で用いることができる。
本発明の製造方法における脱塩化水素は、上記塩基性窒素化合物の存在下、ある程度の温度に保つことによりなされる。反応温度は、高温であると生成物の化合物(2)が重合するおそれがあるので、40〜120℃、好ましくは40〜100℃であることが望ましい。
反応時間は、反応温度、塩基性窒素化合物の塩基性の強さなどにより異なるが、通常、10分〜40時間程度、好ましくは30分〜30時間である。
反応には、イソシアネート基と反応しない溶媒、たとえば、トルエン、キシレン等の炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;塩化メチレン等の塩素系溶剤などの非プロトン性溶媒を用いることができる。溶媒についても生成物より沸点が低いものが好ましい。
脱塩化水素後は、生成した塩酸塩を除去してもよい。除去方法としては、ろ過が一般的である。反応に溶媒を用いると、生成した塩酸塩を除去する際に、作業性、取り扱い性などの面で有利である。また、水に対する溶解度が低い溶媒中で反応を行った場合は、生成した塩酸塩を水で抽出してもよい。その場合、目的物の分解を減少させる目的で、過剰の塩基性窒素化合物を中和した後に抽出を行うことが好ましい。
脱塩化水素後、必要に応じて塩酸塩を除去し、残余の塩基性窒素化合物を分離した後、さらに上記化合物(2)を、蒸留、結晶化、抽出、カラム処理などの方法、好ましくは蒸留により単離する。
上記化合物(2)を単離するための蒸留の操作および装置は特に限定されないが、精留、還流装置があるものが好ましい。また、薄膜蒸留装置を使用することもできる。蒸留の
温度は、不要な熱履歴を回避するために低い方が好ましく、通常、釜内温度で120℃以下で実施される。蒸留時、生成物の重合を防止する目的として、系内に不活性ガスで薄められた酸素や一酸化窒素を供給してもよい。
上記のようにして単離することにより、加水分解性塩素の含有量が300ppm以下のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体が高収率で得られる。
また、必要に応じてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を上記塩基性窒素化合物で処理することにより、加水分解性塩素を低減させることができる。このときの塩基性窒素化合物は、加水分解性塩素1モルに対して0.1〜10モル当量、好ましくは0.2〜5モル当量、さらに好ましくは0.3〜2モル当量の範囲の量で用いることができる。
上記処理は、上記塩基性窒素化合物の存在下、ある程度の温度に保つことによりなされる。処理温度は、高温であると上記エステル誘導体が重合するおそれがあるので、10〜120℃、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは10〜80℃であることが望ましい。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されることはない。
本実施例において、アルカリ分解性塩素および加水分解性塩素の測定は以下のようにして行った。
(アルカリ分解性塩素)
300ml共栓付三角フラスコに試料約0.5gを正確に量り取り、メタノール/精製水混合液(容量比:70/30)100mlを加えた後、30%水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えた。この三角フラスコに冷却管を取り付けて80℃の水浴で1時間加熱還流させた後、室温まで冷却した。次いで、得られた溶液を200mlメスフラスコに移液し、精製水でメスアップした。その液10mlを正確に200mlビーカーに取り、精製水100mlを加え、(1+1)硝酸1mlを添加し、1/50規定硝酸銀溶液を用いて電位差滴定をし、アルカリ分解性塩素の濃度を求めた。なお、電位差滴定は、自動滴定装置(平沼産業社製「COM−550」)を用いて行った。
(加水分解性塩素)
100mL三角フラスコに試料5gを量り取り、メタノール35mLおよび水15mLを加えた。この三角フラスコに還流冷却器を取り付けて80℃の水浴で30分間加熱還流させた後、室温まで冷却した。次いで、得られた溶液について、1/100規定硝酸銀溶液を用いて電位差滴定を行い、加水分解性塩素の濃度を求めた。
《合成例1》3−クロロプロピオン酸クロライドの合成
温度計、冷却管、ガス供給管、撹拌装置を取り付けた四口フラスコにアクリル酸50g、ジメチルホルムアミド1gを入れ、70℃に加熱し、ホスゲン100gを10時間かけて供給した。供給終了後、過剰のホスゲンを除去した後、減圧下蒸留した(60℃/3kPa)。初留分5gを別にし、3−クロロプロピオン酸クロライドを主留分として50g得た(収率80%)。
《合成例2》3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルの合成
温度計、冷却管、ガス供給管、撹拌装置を取り付けた四口フラスコにトルエン250mL、2−アミノエタノール25g(0.41mol)を入れ、90℃に加熱し、塩化水素ガスを約20g供給した。次いで、合成例1で得られた3−クロロプロピオン酸クロライ
ド59g(0.46mol)を90分かけて滴下し、90℃で1時間加熱した。その後、ホスゲン80g(0.81mol)を4時間かけて供給した。次いで、溶存ホスゲンおよびトルエンを除去した後、蒸留(105〜110℃/0.7kPa)を行い、3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル59g(0.33mol)を得た(収率81%)。
《合成例3》3−クロロ−2−メチルプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルの合成
合成例1においてアクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロライドを合成した。次に、得られた3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロライドを用いたこと以外は、合成例2と同様の方法で3−クロロ−2−メチルプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルを合成した。
《合成例4》粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルの合成
温度計、冷却管、ガス供給管、撹拌装置を取り付けた四口フラスコにトルエン1200mL、2−アミノエタノール131g(2.15mol)を入れ、90℃に加熱し、塩化水素ガスを約93g供給した。次いで、合成例1で得られた3−クロロプロピオン酸クロライド300g(2.37mol)を90分かけて滴下し、90℃で1時間加熱した。その後、ホスゲン373g(3.77mol)を4時間かけて供給した。次いで、溶存ホスゲンを除去して粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルを含む液を1100g得た。
得られた液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルの濃度は28.6%であった。したがって、上記製法により得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは314.6g(1.77mol)であった(収率82%)。また、得られた粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液中に含まれているアルカリ分解性塩素量を測定したところ8.33%であった。
<実施例1>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル59g、トリエチルアミン(沸点;89.4℃)50g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。次いで、過剰のトリエチルアミンおよびトルエンを留去した後、蒸留(62〜67℃/0.7kPa)してアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;200℃)41g(0.29mol)を得た(収率87%)。なお、この時の加水分解性塩素は170ppmであった。
<実施例2>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル60g(0.34mol)、トリプロピルアミン(沸点;156.5℃)70g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。過剰のトリプロピルアミンおよびトルエンを留去した後、蒸留(62〜67℃/0.7kPa)してアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;200℃)39g(0.28mol)を得た(収率82%)。なお、この時の加水分解性塩素は200ppmであった。
<実施例3>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナト
エチル)エステル60g(0.34mol)、テトラメチルエチレンジアミン(沸点;158〜160℃)28.5g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。過剰のテトラメチルエチレンジアミンおよびトルエンを留去した後、蒸留(62〜67℃/0.7kPa)してアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;200℃)41g(0.29mol)を得た(収率86%)。なお、この時の加水分解性塩素は230ppmであった。
<実施例4>
トルエン500mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル60g(0.34mol)、乾燥した強塩基性イオン交換樹脂200gを三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、イオン交換樹脂をろ過した。トルエンを留去した後、蒸留(62〜67℃/0.7kPa)してアクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;200℃)41g(0.29mol)を得た(収率86%)。なお、この時の加水分解性塩素は270ppmであった。
<実施例5>
トルエン250mL、合成例3で得られた3−クロロ−2−メチルプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル66g(0.34mol)、トリエチルアミン(沸点;89.4℃)50g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、75℃で30hr加熱撹拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。過剰のトリエチルアミンおよびトルエンを留去した後、蒸留(75〜78℃/0.7kPa)してメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(沸点;211℃)37g(0.24mol)を得た(収率70%)。なお、この時の加水分解性塩素は220ppmであった。
<実施例6>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(3−イソシアナトプロピル)エステル66g(0.34mol)、トリエチルアミン(沸点;89.4℃)50g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。過剰のトリエチルアミンおよびトルエンを留去した後、蒸留(72〜75℃/0.7kPa)してアクリロイルオキシプロピルイソシアネート(沸点;230℃)35g(0.23mol)を得た(収率66%)。なお、この時の加水分解性塩素は250ppmであった。
<比較例1>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル60g(0.34mol)、キノリン(沸点;237.7℃)63g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、アクリロイルオキシエチルイソシアネートの生成は認められなかった。
<比較例2>
トルエン250mL、合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル60g(0.34mol)、ピリジン(沸点;115〜116℃)38.8g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、50℃で6時間加熱撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、アクリロイルオキシエチルイソシアネートの生成は認められなかった。
<比較例3>
米国特許2,821,544号公報に記載されている実施例1と同様の条件で、以下の操作を行った。合成例2で得られた3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)
エステル60g(0.34mol)、キノリン(沸点;237.7℃)63g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、160℃で1時間加熱撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは消失し、アクリロイルオキシエチルイソシアネートの生成が認められた。反応液は粘性のある黒褐色のほぼ均一の液体であった。そのまま真空下で蒸留したところ留分が10g得られ、粘調な液体が残った。留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られた留分は、アクリロイルオキシエチルイソシアネートとキノリンの混合物であり(比率約5:4)、純度の良いアクリロイルオキシエチルイソシアネートは得られなかった。
<比較例4>
合成例3で得られた3−クロロ−2−メチルプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル66g(0.34mol)、キノリン(沸点;237.7℃)63g(0.49mol)を三口フラスコに入れ、160℃で1時間加熱撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−クロロ−2−メチルプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは減少し、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの生成が認められた。反応液は粘性のある黒褐色のほぼ均一の液体であった。そのまま真空下で蒸留したところ留分が18g得られ、粘調な液体が残った。留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られた留分は、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとキノリンの混合物であり(比率約5:6)、純度の良いメタクリロイルオキシエチルイソシアネートは得られなかった。
<実施例7>
合成例4で得られた粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液111.5gを500mlフラスコに仕込み、フェノチアジン0.20gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.20gを添加した。なお、このときの粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液中に含まれるアルカリ分解性塩素の量は9.29g(0.26mol)であり、3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルの量は31.9g(0.18mol)であった。さらに、トリエチルアミン26.5g(0.26mol)を1.5時間かけて滴下した。次いで、60℃で8時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分をろ過にて分離し、固形分をトルエンで洗浄した。
得られた溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、アクリロイルオキシエチルイソシアネート23.4g(0.166mol、収率92.2%)が得られたことを確認した。なお、残留3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは2.1%であった。
<実施例8>
合成例4で得られた粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液111.5gを500mlフラスコに仕込み、フェノチアジン0.20gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.20gを添加した。さらに、トリエチルアミン25.4g(0.25mol)を1.5時間かけて滴下した。次いで、60℃で8時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分をろ過にて分離し、固形分をトルエンで洗浄した。
得られた溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、アクリロイルオキシエチルイソシアネート23.6g(0.167mol、収率93.0%)が得られたことを確認した。なお、残留3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは5.0%であった。
<実施例9>
合成例4で得られた粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液111.5gを500mlフラスコに仕込み、フェノチアジン0.20gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.20gを添加した。さらに、トリエチルアミン39.8g(0.39mol)を1.5時間かけて滴下した。次いで、60℃で8時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分をろ過にて分離し、固形分をトルエンで洗浄した。
得られた溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、アクリロイルオキシエチルイソシアネート22.3g(0.158mol、収率87.7%)が得られたことを確認した。なお、残留3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは0.3%であった。
<実施例10>
合成例4で得られた粗3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステル液111.5gを500mlフラスコに仕込み、フェノチアジン0.20gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.20gを添加した。さらに、トリエチルアミン63.6g(0.62mol)を1.5時間かけて滴下した。次いで、60℃で8時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分をろ過にて分離し、固形分をトルエンで洗浄した。
得られた溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、アクリロイルオキシエチルイソシアネート20.8g(0.147mol、収率81.7%)が得られたことを確認した。なお、残留3−クロロプロピオン酸(2−イソシアナトエチル)エステルは0.1%であった。
実施例7〜10における、アルカリ分解性塩素量に対する塩基性窒素化合物(トリエチルアミン)添加量の比率に基づく収率および残原料の結果を表1に示す。
Figure 0004823546
<実施例11>
メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを含有する液200g(加水分解性塩素含有量33000ppm、6.6g、0.19mol)およびトリエチルアミン19.1g(0.19mol)を三口フラスコに入れ、40℃で10時間加熱攪拌した後、室温まで冷却し、生成した塩酸塩をろ過した。蒸留(75〜78℃/0.7kPa)によりメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを得た。加水分解性塩素を測定すると1092ppmであった。
<比較例5>
メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを含有する液200g(加水分解性塩素含有量33000ppm、6.6g、0.19mol)を塩基性窒素化合物による処理をせずに蒸留(75〜78℃/0.7kPa)によりメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを得た。加水分解性塩素を測定すると5262ppmであった。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表されるイソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を、第3級窒素を有する塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素することにより、下記一般式(2)で表されるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を製造する方法であって、
    該塩基性窒素化合物の第3級窒素が、芳香環基以外の基を少なくとも1つ有することを特徴とするイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
    Cl−CH2−CHR1−COO−R2−NCO ・・・(1)
    CH2=CR1−COO−R2−NCO ・・・(2)
    (式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基、または、炭素数3〜6のシクロアルキレン基の前後に炭素数0〜3のアルキレン基を有する炭化水素基を示す。)
  2. 前記塩基性窒素化合物の沸点が、生成物の(メタ)アクリル酸エステル誘導体の沸点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  3. 前記塩基性窒素化合物がトリアルキルアミンであることを特徴とする請求項1または2に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  4. 前記塩基性窒素化合物が反応溶媒に溶解しない化合物であることを特徴とする請求項1に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  5. 前記反応溶媒に溶解しない塩基性窒素化合物が、第3級窒素を有するイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  6. 前記脱塩化水素が40〜120℃の温度で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  7. 前記脱塩化水素後に、残留している塩基性窒素化合物を蒸留により除去することを特徴とする請求項1〜3および6のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  8. 前記R2が、炭素数1〜10の分岐していてもよいアルキレン基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  9. 前記R2が、−CH2−CH2−または−CH2−CH2−CH2−であることを特徴とする請求項8に記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  10. 前記脱塩化水素の際に、前記式(1)で表されるイソシアネート基を有する3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を含む溶液中のアルカリ分解性塩素1モルに対して、前記塩基性窒素化合物を0.5〜10モル当量の範囲で用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
  11. 単蒸留により生成物を単離したときの加水分解性塩素の濃度が300ppm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
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