JP2002226474A - ラクトン環を含有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents

ラクトン環を含有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法

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JP2002226474A
JP2002226474A JP2001027645A JP2001027645A JP2002226474A JP 2002226474 A JP2002226474 A JP 2002226474A JP 2001027645 A JP2001027645 A JP 2001027645A JP 2001027645 A JP2001027645 A JP 2001027645A JP 2002226474 A JP2002226474 A JP 2002226474A
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Kenji Kobayashi
憲兒 小林
Yoshihisa Mizutani
能久 水谷
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル
誘導体を高い収率で効率よく製造できる、工業的に有利
な製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、ラクトン環含有(メタ)アク
リル酸エステル誘導体の製造方法であって、(A)下記
式(1) 【化1】 (式中記載のヒドロキシル基はアダマンタン環の橋頭位
に結合している)で表されるヒドロキシアダマンタノン
類と(メタ)アクリル酸又はその反応性誘導体とを反応
させて、下記式(2) 【化2】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
(メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
位に結合している)で表される(メタ)アクリル酸エス
テル誘導体を生成させる工程、及び(B)前記工程で生
成した式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル
誘導体と、有機過酸とを反応させて、下記式(3) 【化3】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
(メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
位に結合している)で表されるラクトン環含有(メタ)
アクリル酸エステル誘導体を生成させる工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性樹脂などの
機能性高分子の原料や、医薬、農薬その他の精密化学品
の原料などとして有用な、ラクトン環含有(メタ)アク
リル酸エステル誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラクトン環含有(メタ)アクリル
酸エステル誘導体の製造方法として、(1)ヒドロキシ
アダマンタノン類を有機過酸と反応させるBaeyer
−Villiger型反応によりラクトン環を形成さ
せ、生成したラクトンを単離した後、(2)(メタ)ア
クリル酸等を用いてエステル化させる方法が知られてい
る。具体例としては、特開2000−122294号公
報において、(1)5−ヒドロキシ−2−アダマンタノ
ンをメタクロロ過安息香酸と反応させてラクトンを生成
させた後、(2)アクリル酸クロリドによりエステル化
させる方法が提示されている。
【0003】しかし、この方法においては、工程(1)
で得られたラクトンの水への溶解度が高いため、反応混
合液からラクトンを分離、精製する操作が煩雑となって
しまう。具体的には、工程(2)のエステル化反応を進
める前処理として、工程(1)の反応後、得られたラク
トンを含む反応混合液中に残存する酢酸などの有機酸を
除去するために、反応混合液をアルカリ水で中和して有
機酸塩とし、分離する操作が行われる。このとき生成さ
せた有機酸塩は水洗などの方法で容易に除去され得る
が、実際にはラクトンの水への溶解度が高いため、他の
方法、例えば、ラクトンを大量の溶剤(酢酸エチル等)
に溶解して不溶の有機酸塩を濾過により分離する、又
は、酢酸エチルなどの溶剤へ溶解後、少量の水を添加
し、有機酸塩水溶液として分離をする等の方法が採用さ
れている。
【0004】しかしながら、ラクトンを含む反応混合液
から有機酸塩を完全に除去することが困難であるため、
続いて行われるエステル化反応、特に脱水エステル化反
応において、触媒である硫酸が有機酸塩と中和反応を起
こしてしまい、反応時間が非常に長くなる、あるいは、
有機酸エステル体が生成する等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体
を高い収率で効率よく製造できる、工業的に有利な製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、鋭意検討した結果、ヒドロキシアダマ
ンタノン類を、(メタ)アクリル酸などでエステル化さ
せた後、得られた(メタ)アクリル酸エステル誘導体と
有機過酸とを反応させることで、対応するラクトン環含
有(メタ)アクリル酸エステル誘導体を高い収率で効率
よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、(A)下記式(1)
【化4】 (式中記載のヒドロキシル基はアダマンタン環の橋頭位
に結合している)で表されるヒドロキシアダマンタノン
類と(メタ)アクリル酸又はその反応性誘導体とを反応
させて、下記式(2)
【化5】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
(メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
位に結合している)で表される(メタ)アクリル酸エス
テル誘導体を生成させる工程、及び(B)前記工程で生
成した式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル
誘導体と、有機過酸とを反応させて、下記式(3)
【化6】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
(メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
位に結合している)で表されるラクトン環含有(メタ)
アクリル酸エステル誘導体を生成させる工程から成るラ
クトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造
方法を提供する。
【0008】上記方法においては、ヒドロキシアダマン
タノン類が5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンであ
り、工程(A)によって、5−(メタ)アクリロイルオ
キシ−2−アダマンタノンを生成させ、次いで、工程
(B)によって、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4
−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン
−5−オンを生成させる方法が好ましい。
【0009】なお、本明細書では、「アクリル」と「メ
タクリル」とを「(メタ)アクリル」、「アクリロイ
ル」と「メタクリロイル」とを「(メタ)アクリロイ
ル」と総称する場合がある。
【0010】
【発明の実施の形態】[工程(A)]本発明の製造法に
おいて、工程(A)では、前記式(1)で表されるヒド
ロキシアダマンタノン類と(メタ)アクリル酸又はその
反応性誘導体とを反応させて、前記式(2)で表される
(メタ)アクリル酸エステル誘導体を生成させる。
【0011】前記式(1)に記載のヒドロキシル基はア
ダマンタン環の橋頭位に結合している。すなわち、前記
式(1)で表されるヒドロキシアダマンタノン類は、下
記式(1a)及び(1b)の2種の何れかである。
【化7】
【0012】ヒドロキシアダマンタノン類と(メタ)ア
クリル酸又はその反応性誘導体との反応は、より具体的
には、例えば、(1)ヒドロキシアダマンタノン類に、
必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存
在下、(メタ)アクリル酸クロリド等の(メタ)アクリ
ル酸ハライドや(メタ)アクリル酸無水物などの(メ
タ)アクリル酸の活性な反応性誘導体を反応させたり、
(2)ヒドロキシアダマンタノン類に、エステル交換触
媒の存在下、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)ア
クリル酸エステルを反応させたり、(3)ヒドロキシア
ダマンタノン類を、強酸の存在下で(メタ)アクリル酸
と反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステル
誘導体を製造できる。これらの方法における反応条件
は、通常のエステル製造法と同様である。なお、反応の
際、重合を抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエ
ーテルなどの重合禁止剤や酸素を導入することもでき
る。
【0013】上記の方法の中でも、(1)及び(3)の
方法が収率や操作性等の点で好ましい。(1)の方法に
おいて、(メタ)アクリル酸の活性な反応性誘導体の使
用量は、ヒドロキシアダマンタノン類1モルに対して、
例えば1〜10モル程度の範囲で適宜選択できる。この
方法で用いる塩基としては、例えば、アルカリ金属(例
えばナトリウム、カリウムなど)の水酸化物、炭酸塩、
炭酸水素塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウ
ム、カルシウムなど)の水酸化物、炭酸塩などの無機塩
基;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基などが挙
げられる。好ましくは、トリエチルアミンなどの有機塩
基が用いられる。塩基の使用量は、ヒドロキシアダマン
タノン類1モルに対して、例えば0〜10モル、好まし
くは1〜2モル程度である。
【0014】(3)の方法において、(メタ)アクリル
酸の使用量は、ヒドロキシアダマンタノン類1モルに対
して、例えば1〜10モル程度の範囲で適宜選択でき
る。この方法で用いる強酸としては、例えば、塩酸、硫
酸、硝酸、リン酸などの無機酸;メタンスルホン酸、エ
タンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベン
ゼンスルホン酸、t−トルエンスルホン酸等のスルホン
酸;強酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。強酸の使
用量は、ヒドロキシアダマンタノン類100重量部に対
して、例えば0.1〜15重量部、好ましくは1〜12
重量部程度である。前記(3)の方法では、反応速度を
速めるため、副生する水を共沸蒸留等により留去しつつ
反応を進行させるのが好ましい。共沸溶媒として、例え
ば、トルエン等を使用できる。
【0015】上記反応により、前記式(1a)又は(1
b)で表されるヒドロキシアダマンタノン類からは、そ
れぞれ下記式(2a)又は(2b)で表される(メタ)
アクリル酸エステル誘導体が得られる。
【化8】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す)
【0016】本発明では、前記ヒドロキシアダマンタノ
ン類の中でも、前記式(1a)で表される5−ヒドロキ
シ−2−アダマンタノンが好ましく用いられる。この場
合、工程(A)により、対応する(メタ)アクリル酸エ
ステル誘導体として、前記式(2a)で表される5−
(メタ)アクリロイルオキシ−2−アダマンタノンが得
られる。
【0017】なお、反応で生成した(メタ)アクリル酸
エステル誘導体は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、
晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手
段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精
製できる。
【0018】より具体的には、例えば、反応生成物をア
ルカリ水と有機溶媒とを用いた抽出操作に供し、有機溶
媒層から(メタ)アクリル酸エステル誘導体を回収する
工程や反応生成物をエーテルなどの溶媒を用いた晶析操
作に供し、(メタ)アクリル酸エステル誘導体を結晶と
して回収する工程などを設けることにより、(メタ)ア
クリル酸エステル誘導体を効率よく分離精製できる。
【0019】抽出操作で用いるアルカリ水としては、例
えば、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ金属水酸
化物水溶液、炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ金属
炭酸塩水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液などのアルカ
リ金属炭酸水素塩水溶液などが挙げられる。アルカリ水
中のアルカリ濃度は、アルカリの種類によっても異なる
が、一般には0.5〜40重量%程度、好ましくは1〜
15重量%程度である。
【0020】抽出操作で用いる有機溶媒としては、トル
エンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環
式炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ルなどのエーテル類;塩化メチレンなどのハロゲン化炭
化水素;酢酸エチルなどのエステル;これらの混合溶媒
などが例示される。好ましい有機溶媒には、トルエンな
どの芳香族炭化水素などが含まれる。
【0021】アルカリ水と有機溶媒とを用いた抽出操作
により、未反応のヒドロキシアダマンタノン類や副生物
などを効率よく除去することができる。
【0022】晶析操作において晶析溶媒として用いるエ
ーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル等の脂肪族エーテル;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等の環状エーテルなどが挙げられる。好
ましくは、ジイソプロピルエーテルなどの脂肪族エーテ
ルが用いられる。
【0023】この晶析操作により、高純度の(メタ)ア
クリル酸エステル誘導体を結晶として得ることができ
る。
【0024】[工程(B)]工程(B)では、前記工程
(A)で生成した(メタ)アクリル酸エステル誘導体
と、有機過酸とを反応させて、前記式(3)で表される
ラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体を生
成させる。
【0025】有機過酸としては、過ギ酸、過酢酸、トリ
フルオロ過酢酸、過プロピオン酸、m−クロロ過安息香
酸、過安息香酸などが挙げられる。有機過酸は平衡過酸
(例えば、平衡過ギ酸、平衡過酢酸等)であってもよ
い。すなわち、例えば、ギ酸、酢酸などの有機酸と過酸
化水素とを組み合わせて用い、系内で対応する有機過酸
を生成させてもよい。平衡過酸を用いる場合、触媒とし
て、硫酸などの強酸を少量添加してもよい。
【0026】有機過酸の使用量は、例えば、反応に用い
る(メタ)アクリル酸エステル誘導体1モルに対して、
0.8〜2モル程度、好ましくは0.9〜1.5モル程
度、さらに好ましくは0.95〜1.2モル程度であ
る。
【0027】前記過酸化水素としては、純粋な過酸化水
素を用いてもよいが、取扱性の点から、通常、適当な溶
媒、例えば水に希釈した形態(例えば、30重量%過酸
化水素水)で用いられる。
【0028】過酸化水素の使用量は、反応に用いる(メ
タ)アクリル酸エステル誘導体1モルに対して、例えば
0.9〜5モル程度、好ましくは0.9〜3モル程度、
さらに好ましくは0.95〜2モル程度である。
【0029】反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われ
る。前記溶媒としては、例えば、t−ブチルアルコール
などのアルコール;クロロホルム、ジクロロメタン、
1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ベ
ンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オ
クタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂
環式炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリ
ル;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの鎖状又
は環状エーテル;酢酸エチルなどのエステル;酢酸など
の有機酸;水などが挙げられる。これらの溶媒は1種
で、又は2種以上混合して用いられる。
【0030】反応温度は、反応速度及び反応選択性を考
慮して適宜選択できるが、一般には0〜100℃程度、
好ましくは10〜60℃程度である。反応はバッチ式、
セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよ
い。
【0031】上記反応により、前記式(2a)又は(2
b)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体から
は、下記式(3a)、(3b)又は(3c)で表される
ラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体が得
られる。
【化9】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す)
【0032】本発明では、前記(メタ)アクリル酸エス
テル誘導体の中でも、前記式(2a)で表される5−
(メタ)アクリロイルオキシ−2−アダマンタノンが好
ましく用いられる。この場合、工程(B)により、対応
するラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体
として、前記式(3a)で表される1−(メタ)アクリ
ロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン−5−オンが得られる。
【0033】反応で生成したラクトン環含有(メタ)ア
クリル酸エステル誘導体は、例えば、濾過、濃縮、蒸
留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーな
どの分離手段により、又はこれらを組み合わせることに
より分離精製できる。
【0034】好ましい分離精製法では、反応生成物をア
ルカリ水と有機溶媒とを用いた抽出操作に供し、有機溶
媒層からラクトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘
導体を回収する工程を含む。
【0035】抽出操作で用いるアルカリ水としては、前
記(メタ)アクリル酸エステル誘導体の抽出に使用する
アルカリ水として列記したアルカリ水を用いることがで
きる。アルカリ水中のアルカリ濃度は、アルカリの種類
によっても異なるが、一般には0.5〜40重量%程
度、好ましくは1〜15重量%程度である。
【0036】抽出操作で用いる有機溶媒としては、前記
(メタ)アクリル酸エステル誘導体の抽出に使用する有
機溶媒として列記した有機溶媒を用いることができる。
好ましい有機溶媒には、酢酸エチルなどのエステルなど
が含まれる。また、抽出溶媒として反応溶媒を用いるこ
ともできる。
【0037】アルカリ水と有機溶媒とを用いた抽出操作
により、未反応物や副生物などを効率よく除去すること
ができる。
【0038】こうして得られたラクトン環含有(メタ)
アクリル酸エステル誘導体は感光性樹脂等の機能性材料
の原料や、医薬、農薬等の精密化学品の原料などとして
使用できる。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば、有機酸塩の残留
等による反応の阻害がないため、エステル化反応の反応
時間が短縮できる。また、中間生成物が水に溶解しにく
く有機溶媒に溶解しやすいので、抽出水洗時に水層へロ
スしにくくなり、精製工程が簡略化できることから、ラ
クトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体を高い
収率で効率よく製造できる。従って、本発明の方法は工
業的な製造方法として極めて有用である。
【0040】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、生成物の純度及び収率はガスク
ロマトグラフィーにより求めた。
【0041】実施例1 滴下ロート、凝縮器及び攪拌機を備えたフラスコに5−
ヒドロキシ−2−アダマンタノン100g(0.60モ
ル)、テトラヒドロフラン500g及びトリエチルアミ
ン79g(0.78モル)を入れ、攪拌しながら50℃
まで昇温し、内温を45〜55℃に制御しながら、滴下
ロートからアクリル酸クロライド65g(0.72モ
ル)を約1時間かけて滴下した。その後、50℃で10
時間熟成反応を行った。熟成反応の後、反応液を室温ま
で冷却し、水50gを添加し、過剰のアクリル酸クロラ
イドを分解した。さらにトルエン500gを加え、10
重量%炭酸ソーダ水溶液で中和した後、静置分液した。
有機層を取り出し、有機層と同量の10重量%食塩水及
びイオン交換水で順次洗浄した。得られた有機層をロー
タリーエバポレーターにて減圧濃縮したところ、純度9
5%の5−アクリロイルオキシ−2−アダマンタノンを
110g得た。収率は79%であった。
【0042】実施例2 滴下ロート、凝縮器及び攪拌機を備えたフラスコに、実
施例1の方法で得られた5−アクリロイルオキシ−2−
アダマンタノン50g(0.22モル)、酢酸エチル1
50gを入れ、攪拌しながら45℃まで昇温し、内温を
45〜55℃に制御しながら、滴下ロートから過酢酸溶
液57.4g(過酢酸30.0重量%、0.23モル)
を約1時間かけて滴下した。その後、50℃で3時間熟
成反応を行った。熟成反応の後、反応液を室温まで冷却
し、10重量%NaOH水溶液で中和した後、静置分液
した。有機層を取り出し、有機層と同量のイオン交換水
で2度洗浄した。得られた有機層をロータリーエバポレ
ーターにて減圧濃縮し、目的の5−アクリロイルオキシ
−2−アダマンタノンの粗液を45g得た。これを、シ
リカゲル(商品名「ワコーゲルC−200」、和光純薬
(株)製)を充填したカラムで、n−ヘキサン:酢酸エ
チル=3:1を溶離液として精製した。留分をロータリ
ーエバポレーターにて減圧濃縮したところ、純度99%
の1−アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ
[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オンを36g
得た。収率は71%であった。
【0043】実施例3 滴下ロート、凝縮器、デカンター及び攪拌機を備えたフ
ラスコに5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン100g
(0.60モル)とメタクリル酸104g(1.20モ
ル)硫酸5.9g、トルエン500gを仕込み、トルエ
ン還流温度で12時間加熱し、副生する水を留去しつつ
反応(脱水エステル化反応)を行った。反応終了後、反
応液を室温まで冷却し、10重量%炭酸ソーダ水溶液で
中和した後、静置分液した。有機層を取り出し、有機層
と同量の10重量%食塩水及びイオン交換水で順次洗浄
した。得られた有機層をロータリーエバポレーターで2
50gになるまで減圧濃縮後、攪拌しながらジイソプロ
ピルエーテル250gを徐々に加えて、2℃まで冷却し
結晶を析出させた。結晶を濾過後、少量のジイソプロピ
ルエーテルでリンスし、乾燥させたところ、純度99%
の5−メタクリロイルオキシ−2−アダマンタノンを1
14g(0.44モル)得た。収率は81%であった。
【0044】実施例4 実施例3の方法で得られた5−メタクリロイルオキシ−
2−アダマンタノンを実施例2と同様の方法でラクトン
化させたところ、純度99%の1−メタクリロイルオキ
シ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウン
デカン−5−オンを40.0g得た。収率は72%であ
った。
【0045】比較例1 滴下ロート、凝縮器及び攪拌機を備えたフラスコに5−
ヒドロキシ−2−アダマンタノン100g(0.60モ
ル)、酢酸エチル300g、酢酸100gを入れ、攪拌
しながら40℃まで昇温し、内温を45〜55℃に制御
しながら、滴下ロートから30重量%過酢酸溶液160
gを約1時間かけて滴下した。その後、50℃で3時間
熟成反応を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却
し、10重量%苛性ソーダ水溶液を徐々に添加して中和
した。中和により析出した結晶を濾過後、60℃で24
時間減圧乾燥することにより、1−ヒドロキシ−4−オ
キサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5
−オンの粗結晶を90g得た。この結晶を、酢酸エチル
300gに再度溶解した後、イオン交換水50gで洗浄
後、静置分液させた。得られた有機層をロータリーエバ
ポレーターにて20gになるまで減圧濃縮後、2℃まで
冷却し結晶を析出させた。結晶を濾過後、少量の冷水で
リンスし、60℃で24時間乾燥させたところ、純度9
7%の1−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.
3.1.13,8]ウンデカン−5−オンを57g得た。
収率は51%であった。
【0046】比較例2 滴下ロート、凝縮器、デカンター及び攪拌機を備えたフ
ラスコに比較例1で得られた1−ヒドロキシ−4−オキ
サトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−
オン42g(0.23モル)、メタクリル酸100g
(1.16モル)、硫酸41g及びトルエン250gを
入れ、トルエン還流温度で50時間加熱し、副生する水
を留去しつつ反応(脱水エステル化反応)を行った。反
応終了後、反応液を室温まで冷却し、10重量%炭酸ソ
ーダ水溶液で中和した後、静置分液した。有機層を取り
出し、有機層と同量の10重量%食塩水及びイオン交換
水で順次洗浄した。得られた有機層をロータリーエバポ
レーターで50gになるまで減圧濃縮後、攪拌しながら
ジイソプロピルエーテル50gを徐々に加えて、2℃ま
で冷却し結晶を析出させた。結晶を濾過後、少量の冷ジ
イソプロピルエーテルでリンスし、50℃で5時間減圧
乾燥させたところ、純度98%の1−メタクリロイルオ
キシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウ
ンデカン−5−オンを26g得た。収率は45%であっ
た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記式(1) 【化1】 (式中記載のヒドロキシル基はアダマンタン環の橋頭位
    に結合している)で表されるヒドロキシアダマンタノン
    類と(メタ)アクリル酸又はその反応性誘導体とを反応
    させて、下記式(2) 【化2】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
    (メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
    位に結合している)で表される(メタ)アクリル酸エス
    テル誘導体を生成させる工程、及び(B)前記工程で生
    成した式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル
    誘導体と、有機過酸とを反応させて、下記式(3) 【化3】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式中記載の
    (メタ)アクリロイルオキシ基はアダマンタン環の橋頭
    位に結合している)で表されるラクトン環含有(メタ)
    アクリル酸エステル誘導体を生成させる工程から成るラ
    クトン環含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシアダマンタノン類が5−ヒド
    ロキシ−2−アダマンタノンであり、工程(A)によっ
    て、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2−アダマンタ
    ノンを生成させ、次いで、工程(B)によって、1−
    (メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ
    [4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オンを生成さ
    せる請求項1記載のラクトン環含有(メタ)アクリル酸
    エステル誘導体の製造方法。
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