JPWO2005056512A1 - 重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、アダマンタンジオール類と重合性不飽和カルボン酸とをモノエステル化反応させると、モノマーとして有用なヒドロキシアダマンチルエステル類が得られる。該モノマーは極性が高い水酸基を有するので、他のモノマーとその配合割合を変えて共重合すると、種々の極性のレジスト材料が得られる。このレジスト材料の有する極性の大きさは、溶媒に対する溶解性等のレジスト材料の極性に起因する種々の物性に影響を与える。従って、該モノマーの配合割合を制御することにより、物性がコントロールされた特徴のあるレジスト材料が得られる。
従来、このような重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類(以下、単に「重合性アダマンチルエステル類」ともいう)の製造方法としては、アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸ハライドとを反応させる方法(特開2000−119220号公報)や、硫酸等の酸触媒及び重合禁止剤の存在下で、アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを縮合させる方法(特開昭63−33350号公報)が知られている。
しかしながら、前者の方法を用いて、アダマンタンジオール類の1つの水酸基のみをエステル化したヒドロキシアダマンチルエステル類を得ようとする場合は、目的とするモノエステル類の他に副成物としてジエステル類が相当量生成してしまう。その結果、モノエステル類の収率が相対的に低くなるという問題がある。これに対し、後者の方法は、各種重合性アダマンチルエステル類を高収率で製造できるという特徴を有している。従って、上記ヒドロキシアダマンチルエステル類の製造においても、ジエステル類(副成物)の生成が少なく、高収率でモノエステル類(目的化合物)を得ることができる。
このように酸触媒を用いる後者の方法は、重合性アダマンチルエステル類の製造方法として優れたものである。しかし、該方法においては、分子量が300〜5000程度の不純物成分(以下、該不純物成分を「オリゴマー不純物」ともいう)の生成が避けられない。
該オリゴマー不純物を含む重合性アダマンチルエステル類は、これを重合して得られる重合体の物性(溶媒に対する溶解性や耐熱性など)に悪い影響を与える可能性がある。従って、特に電子材料の用途に重合性アダマンチルエステル類を用いる場合は、上記オリゴマー不純物の混入が厳しく制限される。
このオリゴマー不純物は、一般にガスクロマトグラフィー(GC)による分析では確認することが困難で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって初めて確認されるものである。そしてオリゴマー不純物を多く含む重合性アダマンチルエステル類からこの不純物を除去することは非常に困難である。例えば、晶析により重合性アダマンチルエステル類を精製しようとしても、オリゴマー不純物を多く含む重合性アダマンチルエステル類は結晶化し難い。このため、精製に長時間を要したり単離収率が著しく低下したりするという問題がある。
このオリゴマー不純物の生成(副成)を抑制するため、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の含有量が少ないアダマンタンジオール類を原料に用いて重合性アダマンチルエステル類を製造する方法(例えば、特開2001−106650号公報)が知られている。しかし、該方法においては反応温度を高温に保つ必要がある。このため、熱重合によるオリゴマー不純物の生成は避けられず、その結果オリゴマー不純物の生成に対する抑制効果は必ずしも満足のいくものではない。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行ってきた。その結果、アダマンタノール類と反応させる反応原料として重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物を用いると、例えば10〜60℃といった低い温度で反応をさせる場合でも、実用上問題の無い速度で反応が進行することを見いだした。そして、低い反応温度で反応させることにより、上記特開2001−106650号公報に記載された方法による高温下の熱重合によるオリゴマー不純物の生成(副成)を避けられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、酸触媒及び重合禁止剤の存在下に、重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、アダマンタノール類とを反応させるエステル化工程を含むことを特徴とする重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法である。
本発明によれば、オリゴマー不純物の生成を高度に抑制した状態で、重合性アダマンチルエステル類を高い収率、且つ高い選択率で製造することが可能である。オリゴマー不純物の含有量が少ない重合性アダマンチルエステル類は溶媒に対する溶解性に優れ、更にこれを用いて製造する重合体は耐熱性に優れている。従って、本発明は、耐熱性高分子等の機能性材料や、レジスト等の電子材料などを製造する際に使用する原料モノマーの製造方法として極めて有用である。
(アダマンタノール類)
本発明において使用する、反応原料のアダマンタノール類としては、アダマンタン骨格を構成する炭素原子に少なくとも1個の水酸基が結合した公知のアダマンタン化合物が制限なく使用できる。入手の容易性の観点から下記(1)
(式中、R1、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子、水酸基、または低級アルキル基を示し、R1乃至R4のうち少なくとも1つは水酸基である。)
で示される化合物が好適である。
ここで、式(1)のR1、R2、R3およびR4のうち、水酸基以外の何れかが低級アルキル基である場合における当該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のものが挙げられる。これらの中でもメチル基が工業的利用分野が広い点で特に好ましい。
前記式(1)で示されるアダマンタノール類の内、好適な化合物を具体的に例示すれば、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、1,4−アダマンタンジオール、2−メチル−1,3−アダマンタンジオール、2−エチル−1,3−アダマンタンジオール、3−メチル−1−アダマンタノール、3−エチル−1−アダマンタノール、5−メチル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−1,3−アダマンタンジオール、5−プロピル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジエチル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−7−メチル−1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール等を挙げることができる。
式(1)で示される化合物のなかでも、R1乃至R3のうちの少なくとも1つが水酸基である化合物が好ましく、少なくとも2つが水酸基である化合物がより好ましい。
特に、得られる重合性アダマンチルエステル類の有用性の観点等から、アダマンタノール類としては下記式(2)
(式中、R5およびR6は、各々独立に、水素原子または低級アルキル基である。)
で示されるアダマンタンジオール類が好ましく、1,3−アダマンタンジオールおよび5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールが特に好ましい。
(重合性不飽和カルボン酸)
本発明において用いる反応原料の重合性不飽和カルボン酸としては、重合性不飽和基を有するカルボン酸が制限なく使用できる。得られる重合性アダマンチルエステル類の有用性の観点等から、下記式(3)
(式中、R7は、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。)
で示される化合物を使用するのが好適である。
置換基としては、シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5個のアルコキシ基等が挙げられる。
R7で示される置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状の重合性不飽和炭化水素基のいずれでもよく、これらのうち好適な基を具体的に例示すれば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ブタジエニル基等の炭素数が2〜5のアルケニル基を挙げることができる。
本発明で好適に使用できる重合性不飽和カルボン酸を具体的に例示すれば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸および2,4−ペンタジエン酸等の炭素数2〜6個の重合性不飽和カルボン酸を挙げることができる。これら化合物の中でも生成物の有用性の観点から、アクリル酸またはメタクリル酸が特に好適である。
なお、従来公知の方法により、酸触媒を用いてアダマンタノール類のエステル化を行う場合、重合性不飽和カルボン酸としてアクリル酸を使用すると、他の重合性不飽和カルボン酸を使用する場合に比べ、生成物中にオリゴマー不純物が多量に生じる傾向が強い。これに対し、本発明方法によれば、オリゴマー不純物の生成が効率よく抑制される。このため、重合性不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用いても、上記の問題が生じ難い。従って、アクリル酸を使用してエステル化反応を行う場合は、本発明方法の利点がより顕著に発揮される。
(重合性不飽和カルボン酸無水物)
重合性不飽和カルボン酸無水物としては、重合性不飽和基を有するカルボン酸無水物が制限なく使用できる。しかし、得られる重合性アダマンチルエステル類の有用性の観点等から下記式(4)
(式中、R8は、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。)
で示される化合物を使用するのが好適である。
R8の置換基としては、シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5個のアルコキシ基等が挙げられる。
R8で示される、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状の重合性不飽和炭化水素基のいずれでもよく、これらのうち好適な基を具体的に例示すれば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ブタジエニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基を挙げることができる。
本発明で好適に使用できる重合性不飽和カルボン酸無水物を具体的に例示すれば、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、ビニル酢酸無水物、クロトン酸無水物、4−ペンテン酸無水物、4−メチル−4−ペンテン酸無水物、5−ヘキセン酸無水物、2,4−ペンタジエン酸無水物等の炭素数が6〜12の重合性不飽和カルボン酸無水物を挙げることができる。また必要に応じて、混合酸無水物を用いてもよい。これらの化合物の中でも生成物の有用性の観点から、アクリル酸無水物またはメタクリル酸無水物が特に好適である。
本発明においては、重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物をアダマンタノールとの反応に使用する。重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物の組み合わせは特に限定されないが、単一の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類を得ようとする場合には、同一の重合性不飽和基を有する重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物を使用する。例えば、重合性不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用いる場合には、重合性不飽和カルボン酸無水物としてはアクリル酸無水物を使用する。同様に、重合性不飽和カルボン酸としてメタクリル酸を用いる場合には、重合性不飽和カルボン酸無水物としてはメタクリル酸無水物を用いる。
本発明方法において、上記重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物の混合物の使用量は特に限定されず、原料となるアダマンタノール類の有する水酸基の数や、目的とするエステル化の程度によって適宜決定すればよい。用いる原料の無駄を少なくし、高収率かつ高選択率で目的物を得るためには以下のようにすることが好ましい。
即ち、アダマンタノール類が1分子中にn個の水酸基を有する場合、これら水酸基n個の全部をエステル化するには、原則として重合性不飽和カルボン酸の使用量は、アダマンタノール類1モルに対して、nモルあればよい。しかし、本発明方法においては、該重合性不飽和カルボン酸に反応溶媒としての役割を兼ねさせ、その他の溶媒を使用しない形態が好ましい。従って、重合性不飽和カルボン酸は、nモルよりも多く使用することが好ましい。一方、重合性不飽和カルボン酸の使用量が多すぎると、アダマンタノール類及び重合性酸無水物の反応系内における濃度が低くなり、反応効率が低下する場合がある。従って、重合性不飽和カルボン酸の使用量は、アダマンタノール類1モルに対して35モル以下が好ましく、25モル以下がより好ましく、20モル以下が特に好ましい。
同様に、重合性不飽和カルボン酸無水物の使用量は、アダマンタノール類1モル当たりnモル有ればよい。しかし、反応時間の短縮のため、またはオリゴマー不純物の副成を抑制する目的で反応温度の低下を図るため、重合性不飽和カルボン酸無水物をnモルよりも多少過剰に使用しても良い。この場合、重合性不飽和カルボン酸無水物の使用量は、4×nモル以下とすることが好ましく、2×nモル以下とすることがより好ましく、1.5×nモル以下とすることがさらに好ましい。
より具体的には、例えば、水酸基を1個有するアダマンタノール類を用いてモノエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が1〜35モル、好ましくは1〜25モル、特に好ましくは1〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が1〜4モル、より好ましくは1〜2モル、特に好ましくは1〜1.5モル、最も好ましくは1モルと、の混合物を使用するとよい。
同様に、水酸基を2個有するアダマンタノール類を用いてジエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が2〜35モル、好ましくは2〜25モル、特に好ましくは2〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が2〜8モル、より好ましくは2〜4モル、特に好ましくは2〜3モル、最も好ましくは2モルと、の混合物を使用するとよい。
水酸基を3個有するアダマンタノール類を用いてトリエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が3〜35モル、好ましくは3〜25モル、特に好ましくは3〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が3〜12モル、より好ましくは3〜6モル、特に好ましくは3〜4.5モル、最も好ましくは3モルと、の混合物を使用するとよい。
水酸基を4個有するアダマンタノール類を用いてテトラエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が4〜35モル、好ましくは4〜25モル、特に好ましくは4〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が4〜16モル、より好ましくは4〜8モル、特に好ましくは4〜6モル、最も好ましくは4モルと、の混合物を使用するとよい。
1分子中に多数の水酸基を有するアダマンタノールをエステル化する場合、反応は、まずモノエステル化反応がジエステル化反応やトリエステル化反応等の高次エステル化反応に優先して進行し、モノエステル化反応がほぼ完了するとジエステル化反応が進行し、次いでトリエステル化反応が進行するようである。従って、エステル化反応において、重合性不飽和カルボン酸又は重合性不飽和カルボン酸無水物を多少過剰に使用しても、反応時間を短縮したり、反応温度を低下させることによりエステル化の程度を調節でき、その結果任意のエステル化度の目的化合物を得ることができる。
例えば、アダマンタノール類として分子中に複数(n個(nは2〜4の整数を示す。))の水酸基を有するポリオールを使用し、分子内の水酸基n個の内のm個(mは1〜(n−1)の整数を示す)をエステル化することにより、分子内に(n−m)個の水酸基を有する重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類を選択的に製造することもできる。
この場合は、分子内にn個の水酸基を有するアダマンタノール類と、重合性不飽和カルボン酸と前記n個の水酸基を有するアダマンタノール類1モルに対してmモル〜(m+0.8)モル、好ましくはmモル〜(m+0.5モル)、更に好ましくはmモル〜(m+0.2モル)、特に好ましくはmモルの重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、を反応させる。
また重合性不飽和カルボン酸の使用量は、前記したのと同様の理由により、アダマンタノール類1モルに対してm〜35モル使用することが好ましく、m〜25モル使用することがより好ましく、m〜20モル使用することが特に好ましい。
より具体的には、例えば、水酸基を2、3又は4個有するアダマンタノール類を用いてモノエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が1〜35モル、好ましくは1〜25モル、特に好ましくは1〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が1〜1.8モル、好ましくは1〜1.5モル、より好ましくは1〜1.2モル、特に好ましくは1モルと、の混合物を用いるとよい。
同様に、水酸基を3又は4個有するアダマンタノール類を用いてジエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が2〜35モル、好ましくは2〜25モル、特に好ましくは2〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が2〜2.8モル、好ましくは2〜2.5モル、より好ましくは2〜2.2モル、特に好ましくは2モルと、の混合物を用いるとよい。
水酸基を4個有するアダマンタノール類を用いてトリエステル類を製造する場合は、該アダマンタノール類1モルに対して、重合性不飽和カルボン酸が3〜35モル、好ましくは3〜25モル、特に好ましくは3〜20モルと、重合性不飽和カルボン酸無水物が3〜3.8モル、好ましくは3〜3.5モル、より好ましくは3〜3.2モル、特に好ましくは3モルと、の混合物を用いるとよい。
重合性不飽和カルボン酸と、重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物として、上記したような範囲のものを用いることにより、副成物の低減と、反応操作の容易さとの双方が容易に達成できる。
なお、重合性不飽和カルボン酸無水物は比較的容易に水と反応、分解して2当量の重合性不飽和カルボン酸を生じる。従って、アダマンタノール類や重合性不飽和カルボン酸などの原料中に、不純物として水が混入している場合には、上記重合性不飽和カルボン酸無水物の使用量は、水により分解された量を除いて計算することが好ましい。
従来の製造方法による場合は、目的とする重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類以外にオリゴマー不純物が多く副成する。またはエステル化度の異なる複数の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類が同時に生成し、特定のエステル化度の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類のみを選択性よく製造することができない。このため、従来はオリゴマー不純物の副成を抑制しながら高収率で分子内に水酸基を少なくとも1個有する重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類を製造する事は困難である。本発明の製造方法によれば、上記問題は解消される。
(酸触媒)
本発明の製造方法において、上記“アダマンタノール類”と、“重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物”との反応は、酸触媒の存在下に実施される。
酸触媒としては、酸触媒として機能することが知られている公知の酸が何ら制限なく使用できる。具体的には、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸等の酢酸類等が好ましい。これらの強酸中でもメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、硫酸又はこれらの混合物が特に好ましい。これらの酸触媒は、副成物の生成を抑制する効果が高く、価格も安価であるので、好ましいものである。
酸触媒の使用量は、特に制限がないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなる。酸触媒の使用量は、多すぎると副反応が起きて、目的化合物の収率が低下する。従って、酸触媒の使用量は、エステル化反応に使用するアダマンタノール類の質量を基準として0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
(重合禁止剤)
一般的に、酸触媒の存在下で重合性不飽和カルボン酸を用いてエステル化反応を行うと、重合性不飽和カルボン酸が重合してオリゴマー不純物の生成量が多くなる。
このオリゴマーの生成を避けるため、本発明の製造方法においては、反応温度を好ましくは70℃以下に保つと共に、反応を重合禁止剤の存在下で行う。重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤から有効なものを適宜選択して使用すればよい。
本発明において好適に使用できる重合禁止剤を例示すれば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物;ベンゾキノン、ナフトキノン等のキノン系化合物;フェノチアジン、アニリン等のアミン系化合物;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のニトロキシラジカル系化合物;ジチオカルバミン酸銅等の銅化合物;イオウ化合物;リン化合物;酸素;住友化学(株)製商品名「スミライザーGM」[化合物名:2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート]、住友化学(株)製商品名「スミライザーTP−D」[化合物名:ペンタエリスリトール テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)]、住友化学(株)製商品名「スミライザーWX−R」[化合物名:4,4´−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)]等が挙げられる。
これら重合禁止剤は2種以上組み合わせて使用してもよい。
重合禁止剤の使用量は、重合を抑制する効果および過剰使用防止の観点から、重合性不飽和カルボン酸の質量を基準として0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましい。
(有機溶媒)
重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、アダマンタノール類との反応は、有機溶媒の存在下又は非存在下の何れの条件下でも行なうことができる。しかしながら、アダマンタノール類の中には、有機溶媒に対する溶解性が低いものが存在する。この場合は、有機溶媒を使用して反応を行うと、反応速度が小さくなる場合がある。また、アダマンタノール類に対する溶解度が高い有機溶媒を用いる場合でも反応原料の濃度が低くなるため、反応速度が小さくなる傾向がある。更に、望ましくない副反応が起る場合もある。従って、本発明における上記反応は有機溶媒が反応液中に10質量%以下、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下の状態で行うことが好ましく、特に有機溶媒の非存在下で行なうことが好ましい。
なお、前記したように重合性不飽和カルボン酸は溶媒としての機能を兼ねることがある。この場合、該重合性不飽和カルボン酸はここでいう有機溶媒には含まない。また、反応で使用するその他の反応原料(重合性不飽和カルボン酸無水物、酸触媒および重合禁止剤)もここでいう有機溶媒には含まない。
(反応方法)
重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、アダマンタノール類とを反応させる方法は、特に制限がない。例えば室温で反応容器内に所定量の各原料化合物を導入した後、反応温度を制御しながら攪拌する方法があげられる。各原料化合物の導入順序は特に限定されないが、オリゴマー不純物の生成量を低減させるため、酸触媒は最後に添加することが好ましい。また反応は、加圧下、減圧下、常圧下の何れの条件でも行なうことができるが、簡便性から常圧下で行なうのが好適である。
反応温度は、70℃以下が好ましく、10〜60℃がより好ましく、20〜50℃が更に好ましい。反応温度を上記温度範囲に保つことにより、効率よくオリゴマー不純物の生成を抑制でき、またエステル化反応中に生成する水を重合性不飽和カルボン酸無水物と反応させて除去できる。
本発明の製造方法においては重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物とを併用し、これらの混合物とアダマンタノール類とを反応させることにより、70℃以下の低温でも十分な反応速度で反応が進行する。その結果、熱重合に起因するオリゴマー不純物の生成(副成)が高度に抑制される。
反応時間は、その他の反応条件に応じて反応進行程度を確認しながら適宜決定すればよい。通常、反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。この反応時間で反応させることにより十分な転化率で目的化合物を得ることができる。
(目的化合物の単離)
上記反応方法で得られる反応液から目的化合物である重合性不飽和アダマンチルエステル類を単離する方法は特に限定されない。好ましい方法は、抽出工程、晶析工程、吸着処理工程等の処理工程を含む処理方法により目的化合物を単離する方法である。
具体的には、例えば次のような方法が好ましい。
即ち、反応終了後、得られた反応液に有機溶媒を添加し、目的化合物を抽出する。次いで、アルカリ水溶液を添加して反応液に残存する重合性不飽和カルボン酸を中和すると共に、残存する重合性不飽和カルボン酸無水物を不飽和カルボン酸に分解してこれを中和する。その後、前記有機溶媒相を水で洗浄し、有機溶媒相を水相と分離する。洗浄は、水相が中性になるまで数回行う。次いで、必要に応じて吸着剤を用いて吸着処理を行なった後、溶媒を溜去し、更に乾燥することにより粗体(通常、目的化合物である重合性アダマンチルエステルが80質量%以上含まれている。)を得る。
上記目的化合物の単離操作においては、晶析(再結晶)、減圧蒸留、水蒸気蒸留、昇華精製等の公知の方法でさらに精製することにより、高純度の目的化合物が得られる。なお上記目的化合物は、液体の場合と、固体の場合とがあり、上記精製法はこれらの性状に応じて適宜選択すればよい。多くの場合、水酸基を一つも有さないモノエステルは液体であり、他は固体である。
(抽出工程)
前記の重合性不飽和アダマンチルエステル類を単離する方法において、抽出溶媒として使用する有機溶媒は特に制限はされない。濃縮の容易さ、抽出操作の容易さから以下に記載する溶媒が好ましい。
即ち、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジt−ブチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等が例示できる。
これらの中でも、特に抽出溶媒としては、エステル類が好ましい。エステル類の中でも、重合性不飽和アダマンチルエステル類の溶解度が大きく、且つ中和工程での分解もおきにくい点で特に酢酸イソブチルが好ましい。
抽出に用いる上記有機溶媒の使用量は特に制限がない。重合性不飽和アダマンチルエステル類の溶解度の大きさと、濃縮の容易さを考慮すれば、有機溶媒の使用量は原料のアダマンタノール類に対し、0.1〜100質量倍、特に0.5〜50質量倍が好ましい。
(中和工程)
目的化合物の単離に際しては、反応液に残存する重合性不飽和カルボン酸を中和すると共に、残存する重合性不飽和カルボン酸無水物を重合性不飽和カルボン酸に分解し、更にこの分解して生成する重合性不飽和カルボン酸を中和した状態で目的化合物を単離することが好ましい。この中和工程は、上記抽出工程の後に行うことが好ましい。
該中和工程は、具体的には、重合性不飽和アダマンチルエステル類を含む溶液(以下、抽出液ともいう)にアルカリ水溶液を添加して行う。ここで、使用するアルカリ水溶液には公知のものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等が挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は特に制限されず、通常5〜50%の水溶液を使用することができる。また、中和は水層及び有機層のpHが5〜9、好ましくは6〜8、特に7になるように行なうのが好ましい。その後、有機相を水で洗浄し、有機相と水相とを分離する。また、有機層と水層の分離が困難である場合には、食塩水等を使用して分離を容易にしても良い。
(吸着工程)
本発明の目的化合物は本来無色である。しかし、上記抽出工程及び中和工程を経て得られる溶液から溶媒を除去して得られる化合物は着色している場合が多い。また、この着色は晶析工程によっても完全に取除くことが困難である。従って、この着色を取除くために、吸着剤で脱色処理をすることが好ましい。
吸着工程においては、公知の吸着剤が使用できる。具体的に、活性炭処理、シリカゲル処理、活性アルミナ処理等がある。吸着剤の使用量は特に制限されず、原料のアダマンタノール類に対して0.001〜2質量倍、好ましくは0.005〜1質量倍、特に0.01〜0.5質量倍使用するのが好ましい。また、吸着処理時間は特に制限はされないが、通常0.5〜48時間で十分に処理できる。また、吸着処理時の温度も特に制限されず、通常0〜50℃で十分に処理できる。
なお、吸着工程においては、抽出溶媒を他の溶媒に交換して吸着処理を行っても良い。溶媒を交換して吸着処理を行なう場合は、抽出溶媒で吸着処理をおこなっても十分な精製が行なえない場合である。通常は抽出溶媒を用いて吸着処理を行なった方が、製造工程が短縮されるので好ましい。交換する溶媒は、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系の比較的低極性の溶媒からメタノール、アセトニトリル、水等の比較的高極性の溶媒まで、公知の溶媒が制限なく使用できる。
(晶析工程)
目的化合物は多くの場合、常温で固体である。従って、このような場合は、溶媒を除去して得られる粗体を有機溶媒により溶解後再結晶させる晶析工程により、さらに粗体を精製することが好ましい。晶析工程は吸着剤で処理する吸着処理工程の後に行うことが好ましい。
晶析に使用する有機溶媒は粗体を溶解する溶媒であれば特に制限されない。晶析後に純度が高い重合性不飽和アダマンチルエステル類が得られること、入手が容易であること等の理由で、以下に記載する溶媒が好ましい。
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジt−ブチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等。
これら有機溶媒は2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら溶媒の中で、晶析をするのに必要な溶媒量が少なくても良い点でエーテル類がより好ましく、ジイソプロピルエーテルが特に好ましい。晶析操作における有機溶媒の使用量は特に制限がない。重合性不飽和アダマンチルエステル類の溶解度を考慮し、純度と回収率とのバランスを考慮すると、原料のアダマンタノール類に対し、0.1〜10質量倍、特に0.5〜5質量倍使用するのが好ましい。または、得られる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の粗体を基準とする場合は、該粗体に対し、0.1〜15質量倍、特に0.5〜10質量倍使用するのが好ましい。
(重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類)
上記方法で製造できる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類(目的化合物)は、アダマンタノール類と、重合性不飽和カルボン酸及び/又は重合性不飽和カルボン酸無水物との反応生成物である。したがって、上記方法で得られる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類は、使用する原料化合物に応じた化学構造を有する。
使用するアダマンタノール類がジオール類、トリオール類等のポリオール類である場合には、これらの原料化合物を用いて製造される重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類は、モノエステル類だけでなく、ジエステル類、トリエステル類等の高次エステル化されたものもある。
上記方法で製造される重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類のうち、下記式(5)で示される化合物は産業上の有用性の観点等から、好ましいものである。
{式中、R9、R10、R11およびR12は、各々独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、または下記式(6)
(式中、R13は、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。)
で示される基であり、R9、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つは上記式(6)で示される基である。}
R13としては、前記R7及び/又はR8と同様である。
このような重合性アダマンチルエステル類としては、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−アダマンチルアクリレート、2−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、4−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、4−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−エチル−1−アダマンチルアクリレート、3−エチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−エチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−エチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−プロピル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−プロピル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル=2−エチルプロペノエート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル=2−プロピルプロペノエート、3−ヒドロキシ−5,7−ジメチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5,7−ジメチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5,7−ジエチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5,7−ジエチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−エチル−7−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−エチル−7−メチル−1−アダマンチルメタクリレート等のアダマンチルモノエステル類;1,3−ビスアクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビスメタクリロイルオキシアダマンタン、5−ヒドロキシ−1,3−ビスアクリロイルオキシアダマンタン、5−ヒドロキシ−1,3−ビスメタクリロイルオキシアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ビスアクリロイルオキシアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ビスメタクリロイルオキシアダマンタン等のアダマンタンジエステル類;1,3,5−トリスアクリロイルオキシアダマンタン、1,3,5−トリスメタクリロイルオキシアダマンタン等のアダマンタントリエステル類等が挙げられる。
これら化合物のうち特に、下記式(7)
(式中、R14、R15は、各々独立に、水素原子または低級アルキル基であり、R16は、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。)
で示される3−ヒドロキシアダマンチルモノエステル類が好ましい。
R16としては、前記R7及び/又はR8と同様である。
上記化合物のうち、特に、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5,7−ジメチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5,7−ジメチル−1−アダマンチルメタクリレートが好ましい。
[実施例1]
1000mlの四つ口フラスコ内に、1,3−アダマンタンジオール50.0g(0.298mol)、アクリル酸200g(2.778mol、1,3−アダマンタンジオールの9.3倍モル量)、アクリル酸無水物37.6g(0.298mol、1,3−アダマンタンジオールの1倍モル量)、フェノチアジン1.0g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.5g(1,3−アダマンタンジオールに対して1質量%)を入れ、50℃で4時間加熱攪拌した。反応液は、当初、1,3−アダマンタンジオールの不溶分により、懸濁状態を呈していたが、反応の進行に従って、徐々に透明な均一溶液へと変化していった。反応液は、薄い褐色であった。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した。反応液に抽出溶媒として酢酸イソブチル200gを加えて目的物を抽出し、得られた有機相を分別した。有機相に20質量%の水酸化ナトリウム水溶液620gを滴下して有機相を洗浄後、10質量%食塩水200mlで有機相を更に洗浄し、その後純水200mlで洗浄した。溶媒を溜去して、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体を得た。この粗体を250gのn−ヘプタンに50℃で溶解し、3℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させた。結晶をろ別して39g(収率59%)の淡黄色固体を得た。この固体を水素炎イオン化検出器を備えたGC及び示差屈折率検出器を備えたGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量(GC純度)は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例2〜4]
酸触媒を表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様に操作した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を同重量(200g)、アクリル酸無水物の代わりにメタクリル酸無水物45.9g(0.298mol、1,3−アダマンタンジオールの1倍モル量)を使用して、実施例1と同様に操作した。晶析後、42g(収率60%)の淡黄色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例6〜8]
酸触媒を表2に示すものに変更した以外は実施例5と同様に操作した。その結果を表2に示す。
[実施例9]
アクリル酸無水物75.1g(0.596mol、1,3−アダマンタンジオールの2倍モル量)を使用し、n−ヘプタンの代わりにメタノールを晶析溶媒として使用した以外は、実施例1と同様に操作した。晶析後、54g(収率66%)の淡黄色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による1,3−ビスアクリロイルオキシアダマンタンの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例10〜12]
酸触媒を表3に示すものに変更した以外は実施例9と同様に操作した。その結果を表3に示す。
[実施例13]
メタクリル酸無水物91.8g(0.596mol、1,3−ジアダマンタンジオールの2倍モル量)を使用し、n−ヘプタンの代わりにメタノールを晶析溶媒として使用する以外は、実施例5と同様に操作した。晶析後、62g(収率68%)の淡黄色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による1,3−ビスメタクリロイルオキシアダマンタンの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例14〜16]
酸触媒を表4に示すものに変更した以外は実施例13と同様に操作した。その結果を表4に示す。
[実施例17]
1000mlの四つ口フラスコ内に、1−アダマンタノール50.0g(0.329mol)、アクリル酸100g(1.389mol、1−アダマンタノールの4.2倍モル量)、アクリル酸無水物41.5g(0.329mol、1−アダマンタノールの1倍モル量)、フェノチアジン0.5g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.5g(1−アダマンタノールに対して1質量%)を入れた。50℃で4時間加熱攪拌した。得られた反応液は、薄い褐色であった。
反応後、反応液を室温まで冷却し、酢酸イソブチル100gを加えた。これに20質量%の水酸化ナトリウム水溶液345gを滴下し有機相を洗浄した。更に、10質量%の食塩水100mlで有機相を洗浄後、純水100mlで洗浄した。有機相を減圧蒸留し、47g(収率69%)の無色透明の液体を得た。この液体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による1−アダマンチルアクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例18〜20]
酸触媒を表5に示すものに変更した以外は実施例17と同様に操作した。
その結果を表5に示す。
[実施例21]
実施例17において、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を100g使用し、アクリル酸無水物の代わりにメタクリル酸無水物50.7g(0.329mol、1−アダマンタノールの1倍モル量)を使用する以外は実施例17と同様に操作した。減圧蒸留後、52g(収率72%)の無色透明の液体を得た。この液体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による1−アダマンチルメタクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例22〜24]
酸触媒を表6に示すものに変更した以外は実施例21と同様に操作した。結果を表6に示す。
[実施例25]
実施例1と同様に操作して反応液を得た。実施例1と同様にして酢酸イソブチルを用いて抽出操作を行い、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。この溶液に、活性炭5g(原料の1,3−アダマンタンジオールの0.1質量倍)を入れ、室温で3時間攪拌を行なった。その後、活性炭をろ別し、透明な3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。ヒドロキノンモノメチルエーテル0.25g(原料の1,3−アダマンタンジオールに対して0.5質量%)を酢酸イソブチル溶液に加えた後、減圧濃縮して3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体を得た。3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体にジイソプロピルエーテル100g(原料の1,3−アダマンタンジオールの2質量倍)を投入し、40℃で溶解させた。この溶液の温度を3℃まで徐々に下げて結晶を析出させた。熟成後ろ過して39g(収率59%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例26〜28]
重合禁止剤を表7に示すものに変更した以外は、実施例25と同様に操作した。得られた結果を表7に示す。
[実施例29〜32]
酸触媒を表8に示すものに変更した以外は、実施例25と同様に操作した。得られた結果を表8示す。
[実施例33]
実施例5と同様に操作して反応液を得た。実施例5と同様にして抽出操作を行い、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。この溶液に、活性炭5g(原料の1,3−アダマンタンジオールの0.1質量倍)を加え、室温で3時間攪拌を行なった。
活性炭をろ別し、透明な3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。酢酸イソブチル溶液に、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.25g(原料の1,3−アダマンタンジオールに対して0.5質量%)を加え、減圧濃縮して3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの粗体を得た。粗体にジイソプロピルエーテル100g(原料の1,3−アダマンタンジオールの2質量倍)を投入し、40℃に加温して溶解させた。3℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させた。熟成後結晶をろ過して41g(収率58%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例34〜36]
重合禁止剤を表9に示すものに変更した以外は実施例33と同様に操作した。得られた結果を表9に示す。
[実施例37〜39]
反応温度と反応時間とを表10に示す様に変更した以外は、実施例25と同様に操作した。得られた結果を表10に示す。
[実施例40〜42]
反応温度と反応時間とを表11に示す様に変更した以外は、実施例33と同様に操作した。得られた結果を表11に示す。
[実施例43]
1000mlの四つ口フラスコ内に、1,3,5−アダマンタントリオール36.8g(0.20mol)、アクリル酸294g(4.08mol、1,3,5−アダマンタントリオールの20.4倍モル量)、アクリル酸無水物25.2g(0.20mol、1,3,5−アダマンタントリオールの1倍モル量)、フェノチアジン1.47g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.37g(1,3,5−アダマンタントリオールに対して1質量%)を入れ、50℃で10時間加熱攪拌した。反応液は、当初、1,3,5−アダマンタントリオールの不溶分により、懸濁状態を呈していた。しかし、反応の進行に従って、徐々に透明な均一溶液へと変化していった。反応液は、薄い褐色であった。
反応後、反応液を室温まで冷却した。反応液に抽出溶媒として酢酸イソブチル400gを加えた。これに、20質量%水酸化ナトリウム水溶液860gを滴下して有機相を洗浄した。10質量%食塩水200ml、次いで純水200mlで有機相を洗浄し、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。
この溶液に、活性炭3.7g(原料の1,3,5−アダマンタントリオールの0.1質量倍)を加え、室温で3時間攪拌を行なった。その後活性炭をろ別し、透明な3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。その後、酢酸イソブチル溶液にヒドロキノンモノメチルエーテル0.18g(原料の1,3,5−アダマンタントリオールに対して0.5質量%)を加え、減圧濃縮して3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体を得た。この粗体にジイソプロピルエーテル110.4g(原料の1,3,5−アダマンタントリオールの3質量倍)を投入し、40℃に加熱して溶解させた。3℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させた。熟成後、結晶をろ過して19g(収率40%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例44〜46]
酸触媒を表12に示す様に変更した以外は、実施例43と同様に操作した。得られた結果を表12に示す。
[実施例47]
実施例43において、アクリル酸の代りにメタクリル酸をアクリル酸と同質量の294g、アクリル酸無水物の代りにメタクリル酸無水物を30.8g(0.20mol、1,3,5−アダマンタントリオールの1倍モル量)使用して、実施例47と同様に操作した。晶析後、20g(収率40%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有率は99%であり、オリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例48〜50]
酸触媒を表13に示すものに変更した以外は、実施例47と同様に操作した。得られた結果を表13に示す。
[実施例51]
1000mlの四つ口フラスコ内に、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール39.2g(0.20mol)、アクリル酸156.8g(2.18mol、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールの10.9倍モル量)、アクリル酸無水物25.2g(0.20mol、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールの1倍モル量)、フェノチアジン0.78g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.39g(5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールに対して1質量%)を入れ、50℃で5時間加熱攪拌し、薄い褐色の反応液を得た。
反応後、反応液を室温まで冷却し、抽出溶媒として酢酸イソブチル160gを加えた。反応液に20質量%水酸化ナトリウム水溶液860gを滴下し有機相を洗浄した。10質量%食塩水200ml、次いで純水200mlで有機相を洗浄し、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールの酢酸イソブチル溶液を得た。
この溶液に、活性炭3.9g(原料の5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールの0.1質量倍)を入れ、室温で3時間攪拌を行なった。その後、活性炭をろ別し、透明な5,7−ジメチル−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの酢酸イソブチル溶液を得た。
この溶液にヒドロキノンモノメチルエーテル0.20g(原料の5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールに対して0.5質量%)を入れ、減圧濃縮して5,7−ジメチル−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体を得た。粗体にジイソプロピルエーテル78.4g(原料の5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオールの2質量倍)を投入し、40℃に加温して溶解した。3℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させた。熟成後、ろ過して30g(収率60%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による5,7−ジメチル−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は99%であり、オリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例52]
実施例51において、アクリル酸の代りにメタクリル酸156.8g、アクリル酸無水物の代りにメタクリル酸無水物30.8g(0.20mol、5,7−ジメチル−1,3アダマンタンジオールの1倍モル量)を使用する以外は実施例51と同様に操作した。晶析後、34g(収率64%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による5,7−ジメチル−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有率は99%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は0.1質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例53]
実施例25において、アクリル酸無水物を45.0g(0.357mol、1,3−アダマンタンジオールの1.2モル倍量)使用する以外は実施例25と同様に操作した。晶析後、38g(収率57%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有率は99%であり、オリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
[実施例54]
実施例25において、塩化メチレンを5質量%含有するアクリル酸無水物を39.5g(0.298mol、1,3−アダマンタンジオールの1モル倍量)使用する以外は実施例25と同様に操作した。晶析後、39g(収率59%)の無色の固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有率は99%であり、オリゴマー不純物の含有量は0.2質量%(ポリスチレン換算)であった。
比較例1
ディーンスターク管を接続した1000mlの四つ口フラスコに、1,3−アダマンタンジオール50g(0.298mol)、トルエン250ml、アクリル酸64.4g(0.894mol、1,3−アダマンタンジオールの3倍モル量)、フェノチアジン1.0g(1,3−アダマンタンジオールに対して2質量%)、濃硫酸1.0g(1,3−アダマンタンジオールに対して2質量%)を入れ、窒素を流通させつつ、90℃で攪拌した。この間、発生した蒸気をコンデンサーで液化させ、ディーンスターク管で水を除去した後、フラスコ内に還流させた。15時間経過後1,3−アダマンタンジオールは懸濁状態であった。新たに濃硫酸を2.0g添加し、更に30時間反応させた。30時間経過後は、1,3−アダマンタンジオールの懸濁状態は消滅していた。しかし、フラスコ内部に大量の不溶物が付着しているのが認められた。実施例1と同様の後処理を行なったが、反応生成物は結晶化しなかった。この溶液を減圧濃縮すると、500gの粘稠体が得られた。得られた粘稠体をGC及びGPCにより分析した。GC分析による3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は74%であり、GPC分析によるオリゴマー不純物の含有量は6.0質量%(ポリスチレン換算)であった。
比較例2
1000mlの四つ口フラスコに、1,3−アダマンタンジオール50.0g(0.298mol)、アクリル酸21.5g(0.298mol、1,3−アダマンタンジオールの1倍モル量)、フェノチアジン1.0g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.5g(1,3−アダマンタンジオールに対して1質量%)を入れ、50℃で50時間攪拌した。
反応液は、当初から最後まで1,3−アダマンタンジオールの不溶分が懸濁したままの状態であった。目的とする3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートは得られなかった。
比較例3
比較例2で発生した反応液の懸濁状態を避けるために、溶媒としてトルエン200g(1,3−アダマンタンジオールの4質量倍)を加えた以外は比較例2と同様に操作した。しかし、反応液は当初から最後まで1,3−アダマンタンジオールの不溶分が懸濁した状態のままで、目的とする3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートは得られなかった。
比較例4
1000mlの四つ口フラスコに、1,3−アダマンタンジオール50.0g(0.298mol)、アクリル酸無水物37.6g(0.298mol、1,3−アダマンタンジオールの1倍モル量)、フェノチアジン1.0g(アクリル酸に対して0.5質量%)、濃硫酸0.5g(1,3−アダマンタンジオールに対して1質量%)を入れ、50℃で50時間攪拌した。
反応液は、当初から最後まで1,3−アダマンタンジオールの不溶分で懸濁した状態のままであった。目的とする3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートは得られなかった。
比較例5
比較例4で発生した反応液の懸濁状態を避けるために、溶媒としてトルエン200g(1,3−アダマンタンジオールの4質量倍)を加えた以外は比較例4と同様に操作した。しかし、反応液は当初から最後まで1,3−アダマンタンジオールの不溶分が懸濁した状態のままで、目的とする3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートは得られなかった。
Claims (10)
- 酸触媒及び重合禁止剤の存在下で、重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、アダマンタノール類とを反応させるエステル化工程を含むことを特徴とする重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
- 重合性不飽和カルボン酸と重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物が、アクリル酸とアクリル酸無水物との混合物又はメタクリル酸とメタクリル酸無水物との混合物である請求の範囲第1項に記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
- エステル化工程の反応を有機溶媒の非存在下に行う請求の範囲第1項に記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
- 分子中にn個(nは2〜4の整数)の水酸基を有するアダマンタノール類と、
重合性不飽和カルボン酸と前記n個の水酸基を有するアダマンタノール類1モルに対してm(mは1〜(n−1)の整数を示す)モル〜(m+0.8)モルの重合性不飽和カルボン酸無水物との混合物と、
を反応させて該n個の水酸基のうちm個の水酸基をエステル化することにより、分子内に水酸基を(n−m)個有する重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類を製造する請求の範囲第1項に記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。 - エステル化工程で得られる反応液から重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の粗体を抽出する抽出工程、及び該抽出工程で抽出された重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の粗体を晶析させる晶析工程を更に含む請求の範囲第1項に記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
- エステル化工程で得られる反応液から重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の粗体を抽出する抽出工程、該抽出工程で抽出した重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の粗体を吸着剤で処理する吸着処理工程、及び該吸着処理工程を経た粗体を晶析させる晶析工程を更に含む請求の範囲第1項に記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
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