JP4587374B2 - 硝酸エステルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、医薬中間体として有用な硝酸エステルの製造方法に関する。
3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピランのようなベンゾピラン骨格の3位にニトラト基が結合した硝酸エステルは、循環系疾患治療剤として用いられるニプラジロール等の重要中間体である。このような硝酸エステル化合物の製造方法としては、3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピランのようなベンゾピラン骨格の3位に水酸基を有するアルコールをアセトニトリル中で硝酸アセチルと反応させる方法(特許文献1参照)、及び上記アルコールをスルホン酸エステルへ誘導した後に、有機四級アンモニウム硝酸塩と反応させることによりエステル交換を行なう方法(特許文献2参照)が知られている。
特公平1−53245号公報 特公昭61−15847号公報
ところが、前者の方法においては、収率が例えば27%と低いばかりでなく、高純度の硝酸エステルを単離するには、操作が煩雑なカラムクロマトグラフィーによる分離・精製を行なう必要があった。また、後者の方法においては、収率は比較的高いものの、反応が多段反応となるため、次段の反応を行なうためにはその前段で得られた中間体(例えばスルホン酸エステル)を精製しなければならず、また、反応試剤として使用する有機四級アンモニウムを別途調製しなければならないため、工程が多くなり操作も煩雑であるとい問題があった。更に、後者の方法においては、単離した目的物(硝酸エステル)中には遊離したスルホン酸が残存し易いため、得られた目的物には、臭気や着色があったり、保存中に劣化したりする(保存安定性の低下)という問題が発生することがあった。
そこで、本発明は、原料となるアルコールから簡便且つ効率的に目的物である硝酸エステルを得る方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、原料となるアルコールを硝酸アセチルと反応させる方法において、反応を尿素の存在下に特定溶媒中で行なった場合には、反応工程を増加させることなく、かつ、反応の収率及び選択性、並びに生成物の保存安定性等を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(1)
Figure 0004587374
(式中、Rはベンジル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メチル基またはエチル基である。)
で示される硝酸エステルを製造するための方法であって、
下記式(2)
Figure 0004587374
{式中、Rは、前記式(1)におけるRと同義である。}
で示されるアルコールと硝酸アセチルとを、尿素の存在下、キシレン、トルエン、ベンゼン及びアニソールからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族系有機溶媒中で反応させる反応工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明の製造方法によれば、原料アルコールから、スルホン酸エステル体のような中間体を経ることなく、簡便な合成ステップで目的物である硝酸エステルを高収率・高選択率で合成することがでる。このため、本発明の製造方法における反応で得られる目的物の粗体は目的物の含有量が多いものとなるので、晶析という簡便な方法で精製することが可能となる。
本発明の製造方法では、医薬中間体として有用な前記式(1)で示される硝酸エステルを製造する。前記式(1)におけるRはベンジル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メチル基またはエチル基である。
本発明の製造方法の目的物の内、好適な化合物を具体的に例示すると、3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−メトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−t−ブトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−アセチルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−メトキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−エトキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピランを挙げることができる。
本発明の製造方法では、前記式(2)で示されるアルコールと硝酸アセチルとを尿素の存在下、芳香族系有機溶媒中で反応させて目的物である前記式(1)で示される硝酸エステル製造する。反応を尿素の非存在下で行なった場合には収率及び選択率の向上効果が得られない。また、反応を尿素の存在下で行なった場合でも反応溶媒として芳香族系有機溶媒以外の有機溶媒を用いた場合には、収率及び選択率の向上効果が得られない。
本発明の製造方法では、原料として前記式(2)で示されるアルコール(以下、単に原料アルコールともいう。)を使用する。式(2)中のRは、目的物である硝酸エステルの構造を示す式(1)中のRと同義である。
本発明で使用する原料アルコールのうち好適なものを具体的に例示すれば、3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−メトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−t−ブトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−ベンジルオキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−アセチルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−メトキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−エトキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピランを挙げることができる。これらの中でも、収率の高さ及び副生成物が生成し難いという観点から、3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−8−メトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピランを使用するのが好ましい。
本発明で使用する硝酸アセチルとしては、工業的又は試薬として入手可能なものが特に制限なく使用できるが、硝酸アセチルは、湿度、温度等に鋭敏であるため、反応に使用する直前に合成したものを使用するのが好ましい。硝酸アセチルは、無水酢酸と硝酸又は発煙硝酸とを反応させることにより容易に合成することができる。
硝酸アセチルの使用量は、選択性が向上し、経済的であるという理由から原料アルコール1モルに対して0.2〜20モル、特に0.5〜10モル使用するのが好適である。
本発明で使用する尿素としては、工業的又は試薬として入手可能なものが特に制限なく使用できる。尿素の使用量は、選択性の向上という理由から原料アルコール1モルに対して0.0001〜20モル、特に0.0005〜10モル使用するのが好適である。
本発明で反応溶媒として使用する芳香族系有機溶媒は、芳香族性を有し、反応物(たとえば反応原料や生成物)に対して不活性反応温度で液体である化合物であって、キシレン、トルエン、ベンゼン及びアニソールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。これら芳香族系有機溶媒の使用量は、使用する原料アルコールの総質量100質量部に対して10〜10000質量部、特に20〜8000質量部であるのが好適である。


本発明の製造方法において、原料アルコールと硝酸アセチルとを尿素の存在下に芳香族系有機溶媒中で反応させる方法は、芳香族系溶媒中でこれら化合物を混合する方法であれば特に限定されない。該反応は、例えば(i)原料アルコール及び尿素を含む芳香族系有機溶媒溶液を調製し、得られた溶液に硝酸アセチル或いはその溶液を添加する、又は(ii)原料アルコール及び必要に応じて尿素を含む芳香族系有機溶媒溶液を調製し、得られた溶液に尿素及び硝酸アセチル或いはそれらを含む溶液を添加する、ことにより好適に行なうことができる。このとき、前記したように硝酸アセチルとしては使用直前に調製したものを使用するのが好適である。
硝酸アセチルの調製は以下のようにして好適に行なうことができる。即ち、先ず不活性ガス或いはドライエアーで置換した反応容器に所定量(必要な硝酸アセチルを製造するのに十分な量)の無水酢酸を導入し、不活性ガス又はドライエアー雰囲気下で液温を所定の温度(通常は−78〜40℃、好ましくは−40〜20℃)に調節する。次に、この反応容器内に硝酸又は発煙硝酸を添加する。このとき硝酸若しくは発煙硝酸は、無水酢酸1モルに対して1モル未満、好ましくは0.2〜0.95モルとするのが好ましい。これは、硝酸若しくは発煙硝酸は無水酢酸とほぼ定量的に反応する(無水酢酸1モルに対して1モルの割合で反応する)が、硝酸又は発煙硝酸が未反応の状態で残っていると、原料アルコールと硝酸アセチルとの反応の際に硝酸又は発煙硝酸が共存することになり選択率が低下するので、これを避けるためである。硝酸又は発煙硝酸の添加に際しては、安全性の観点から反応液の温度が40℃以下となるように制御することが好ましい。滴下終了後、−40〜40℃の範囲で10分以上攪拌することにより、硝酸アセチルを調製することができる。なお、生成した硝酸アセチルの分解を抑制する目的で、硝酸又は発煙硝酸を添加する前の無水酢酸には尿素(例えば最終的に生成する硝酸アセチル1モルに対して0.0001〜20モル、特に0.0005〜10モル使用するのが好適である。)を添加しておくのが好ましい。尿素が消費された場合は、逐次添加して補充しても良い。
原料アルコールと硝酸アセチルとの反応は、不活性ガス又は乾燥エアー雰囲気中で行なうことが好ましい。また、収率及び選択性の観点から、反応温度は−78〜50℃、特に−40〜40℃とするのが好ましく、−40〜20℃とするのが最も好ましい。さらに、反応は、大気圧下、減圧下、加圧下の何れで行なってもよいが、特別な装置を必要とする事無く、操作も簡便であることから大気圧下で行なうのが好ましい。また、反応に際しては、攪拌を行なうのが好ましい。反応の終了は、少量の反応液を経時的にサンプリングし、これをガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどを用いて分析することにより確認することができる。前記(i)又は(ii)の方法で反応を行なう場合、反応温度にもよるが、硝酸アセチルの添加が終了してから0.5〜10時間ほどで反応は終了する。
反応終了後に得られる反応液は、酸性であるため、塩基を用いてこれを中和し、必要に応じて水洗した後に、溶媒を除去することにより目的物である硝酸エステルの粗体を得ることができる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が使用できる。操作性の観点から、炭酸水素ナトリウムの水溶液を添加して中和するのが好適である。中和の終了は、水層のpHが6以上となることで確認することができる。中和終了後の反応液の洗浄(水洗)は、水又は食塩水を用いて行なうことができる。中和後、又は必要に応じて行なう洗浄後、有機層を分離し、溶媒を留去することにより、目的物の粗体を回収することができる。通常、この粗体は、褐色の油状物として得られる。なお、中和操作や洗浄操作に於いては、操作終了後の有機層と水層との分離をし易くするために抽出溶媒として非水溶性の酢酸エチル等の有機溶媒を添加してもよい。
従来の製造方法では、粗体中に含まれる目的物の含有率が低いため、高純度の目的物を得るためにはカラムクロマトグラフィーを行なう必要があった。これに対し、本発明の製造方法で得られた粗体においては、目的物の含有割合が多いため、晶析による精製が可能である。
晶析による精製は、上記粗体に水溶性の有機溶媒を添加し攪拌することにより目的物の結晶を析出させ、これを分離回収することにより行なうことができる。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフランが使用できるが、結晶化速度の観点から、メタノール、エタノール、2−プロピルアルコールを使用するのが好ましい。晶析を行なう際の液温は、−40〜40℃の範囲から適宜選択すればよい。また、攪拌時間も0.001〜24時間の範囲から適宜選択ればよい。結晶が析出した反応液から結晶を固液分離する方法としては、加圧ろ過、減圧濾過、デカンテーション、遠心分離ろ過等が採用できる。固液分離後、得られた結晶は、必要に応じて晶析溶媒として使用したのと同じ水溶性有機溶媒で洗浄した後、乾燥することにより高純度の目的物を得ることができる。乾燥方法としては、天日干、減圧乾燥、加圧乾燥、風乾、棚式乾燥、コニカル乾燥、遠心分離乾燥、温風乾燥等の公知の乾燥方法が特に制限なく使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた3000ml四つ口ガラス容器を準備し、容器内を窒素で置換した後に容器内に窒素雰囲気下で原料アルコールである3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン34g及び尿素0.1gを導入した。次いで、窒素雰囲気下で容器内にトルエン600mlを導入して、攪拌することにより原料アルコール及び尿素を溶解させ、液温が−5℃になるまで攪拌下に冷却した。
これとは別に、攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた200ml四つ口ガラス容器を準備し、これに窒素雰囲気下で無水酢酸38.3gおよび尿素0.1gを導入し、液温が−5℃になるように攪拌下に冷却した。その後、液温を−5℃に維持しながら、無水酢酸と尿素の混合液に発煙硝酸24.1gを2時間以上かけて滴下した。滴下終了後、液温を20℃に昇温し、この温度で30分攪拌して硝酸アセチルを調製した。
このようにして調製した硝酸アセチルを、前記3000mlの反応容器中の原料アルコール及び尿素のトルエン溶液に、液温が−5℃を維持するようにして2時間かけて滴下した。滴下終了後、−5℃でさらに1時間攪拌して反応を完結させた。反応終了の確認は、サンプリングした反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析することにより行なった。
反応終了後、反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液500mlを加えてよく攪拌下後に、酢酸エチル500mlを加えて攪拌後静置することにより有機層と水層を分離し、有機層を回収した。回収した有機層に10%炭酸水素ナトリウム水溶液200mlを加え、攪拌後静置して有機層と水層とを分離し、水層のpHが6以上であることを確認した。その後、有機層を回収し、20%食塩水200mlで2回洗浄を行なった。洗浄後に得られた有機層から酢酸エチル及び反応溶媒を留去することにより、褐色油状の粗体を得た。得られた粗体にメタノール20mlを加え−5℃で2時間攪拌すると結晶が析出したので、ろ過することにより結晶を回収し、得られた結晶を40℃で12時間真空乾燥することにより、精製品32.4gを得た。得られた精製品についてHPLC分析したところ、該精製品は3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピランであることが確認された。また、HPLC分析の結果、該精製品の純度(ピーク面積基準)は99%であることが判明した。精製品の回収量及び純度から計算される3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピランの単離収率(原料アルコールのモル数基準)は88モル%であった。
実施例2
実施例1においてトルエンの代わりにキシレンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応及び後処理を行ない、純度99%(ピーク面積基準)の3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン30.8gを得た(収率84モル%(原料アルコールのモル数基準))。
実施例3
実施例1においてトルエンの代わりにアニソールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応及び後処理を行ない、純度99%(ピーク面積基準)の3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン29.9gを得た(収率82%モル%(原料アルコールのモル数基準))。
実施例4
実施例1においてトルエンの代わりにベンゼンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応及び後処理を行ない、純度99%(ピーク面積基準)の3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン29.9gを得た(収率82%モル%(原料アルコールのモル数基準))。
比較例1
攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた3000ml四つ口ガラス容器を準備し、容器内を窒素で置換した後に容器内に窒素雰囲気下で原料アルコールである3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン34gを導入した。次いで、窒素雰囲気下で容器内にアセトニトリル600mlを導入して、攪拌することにより原料アルコール及び尿素を溶解させ、液温が−5℃になるまで攪拌下に冷却した。
これとは別に、攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた200ml四つ口ガラス容器を準備し、これに窒素雰囲気下でアセトニトリル66ml及び無水酢酸38.3gを導入し、液温が−5℃になるように攪拌下に冷却した。その後、液温を−5℃に維持しながら、無水酢酸と尿素の混合液に発煙硝酸24.1gを2時間以上かけて滴下した。滴下終了後、液温を20℃に昇温し、この温度で30分攪拌して硝酸アセチルのアセトニトリル溶液を調製した。
このようにして調製した硝酸アセチルを、前記3000mlの反応容器中の原料アルコールのアセトニトリル溶液に、液温が−5℃を維持するようにして2時間かけて滴下した。滴下終了後、−5℃でさらに1時間攪拌して反応を完結させた。反応終了の確認は、サンプリングした反応液をHPLC分析することにより行なった。
反応終了後、実施例1と同様にして後処理を行い粗体を得た。得られた粗体にメタノール20mlを加え−15℃で5時間攪拌下が結晶の析出はなかった。そこで、メタノールを留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行なった。その結果、純度98%(ピーク面積基準)の3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン8.1gが得られた(収率20モル%(原料アルコールのモル数基準))。
比較例2
攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた3000ml四つ口ガラス容器を準備し、容器内を窒素で置換した後に容器内に窒素雰囲気下で原料アルコールである3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ハイドロキシ−2H−1−ベンゾピラン34g及び尿素0.1gを導入した。次いで、窒素雰囲気下で容器内にアセトニトリル600mlを導入して、攪拌することにより原料アルコール及び尿素を溶解させ、液温が−5℃になるまで攪拌下に冷却した。
これとは別に、攪拌機、温度計、窒素注入管、コンデンサーを取り付けた200ml四つ口ガラス容器を準備し、これに窒素雰囲気下でアセトニトリル66ml及び無水酢酸38.3gを導入し、液温が−5℃になるように攪拌下に冷却した。その後、液温を−5℃に維持しながら、無水酢酸と尿素の混合液に発煙硝酸24.1gを2時間以上かけて滴下した。滴下終了後、液温を20℃に昇温し、この温度で30分攪拌して硝酸アセチルのアセトニトリル溶液を調製した。
このようにして調製した硝酸アセチルを、前記3000mlの反応容器中の原料アルコールのアセトニトリル溶液に、液温が−5℃を維持するようにして2時間かけて滴下した。滴下終了後、−5℃でさらに1時間攪拌して反応を完結させた。反応終了の確認は、サンプリングした反応液をHPLC分析することにより行なった。
反応終了後、実施例1と同様にして後処理を行い粗体を得た。得られた粗体にメタノール20mlを加え−15℃で5時間攪拌下が結晶の析出はなかった。そこで、メタノールを留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行なった。その結果、純度98%(ピーク面積基準)の3,4−ジヒドロ−8−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトラト−2H−1−ベンゾピラン8.1gが得られた(収率20モル%(原料アルコールのモル数基準))。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004587374
    (式中、Rはベンジル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メチル基またはエチル基である。)
    で示される硝酸エステルを製造するための方法であって、
    下記式(2)
    Figure 0004587374
    {式中、Rは、前記式(1)におけるRと同義である。}
    で示されるアルコールと硝酸アセチルとを、尿素の存在下、キシレン、トルエン、ベンゼン及びアニソールからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族系有機溶媒中で反応させる反応工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記反応工程で得られた前記硝酸エステルの粗体を晶析により精製する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
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