JP2019135220A - L−カルノシン及びその誘導体の製造方法 - Google Patents

L−カルノシン及びその誘導体の製造方法 Download PDF

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嘉寛 横尾
吉貴 清家
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吉貴 清家
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Abstract

【課題】安全かつ簡便な方法で、高純度のL−カルノシンを製造する方法。【解決手段】式(1)で示される保護L−カルノシン誘導体の製造方法であって、前記保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることを特徴とする、保護L−カルノシン誘導体の製造方法。前記保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことによる、L−カルノシンの製造方法。[式中、R1は、特定の構造を有する保護アミノエチル基;R2、R3は、水素、又はアミノ基の保護基;R4は、水素、又はカルボキシル基の保護基。]【選択図】なし

Description

本発明はL−カルノシン及びその誘導体の新規な製造方法に関する。
下記式
Figure 2019135220
で示されるL−カルノシンは、組織修復促進作用、免疫調整作用、抗炎症作用を有していることから、医薬品や健康食品などの需要が高まっている。また、該L−カルノシンは、容易に金属とキレート結合をつくることから、亜鉛と錯形成したポラプレジンクなどの抗潰瘍薬、味覚障害治療薬へ応用されている。
L−カルノシンは、通常、以下の方法で合成されている。具体的には、L−ヒスチジン又はその誘導体と、シアノ酢酸エステルとを反応させる方法(例えば、特許文献1参照)、L−ヒスチジン又はその誘導体とN−トリフルオロアセチル誘導体とを反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)、又は、L−ヒスチジン誘導体とN−フタロイル誘導体とを反応させる方法(特許文献2参照)が知られている。その他、N−カルベメート保護−カルボキシ無水物とL−ヒスチジンメチルエステルとをカップリングする方法(非特許文献2参照)も知られている。
しかしながら、前記従来方法では、以下の点で改善の余地があった。例えば、特許文献1に記載の方法では、比較的高温(例えば、120℃)で反応させても、反応収率の点で十分とは言えず、尚改善の余地があった。また、この方法では、シアノ基を有するL−カルノシン前駆体を、水素還元によって該シアノ基をアミノ基にするため、製造コストが比較的高くなる傾向にある点でも課題があった。
また、非特許文献1に記載の方法では、活性化剤としてニトロフェノールを使用しており、ニトロフェノールを除去するための精製工程が必要となり、後処理工程が煩雑になるという点で改善の余地があった。さらに、原料となるN−トリフルオロアセチル誘導体が高価であり、工業的な生産を考えると他原料での製造が望まれていた。
また、特許文献2の方法は、N−フタロイル−β−アラニンの酸クロライドと、保護基としてトリメチルシリル基を有するL−ヒスチジン誘導体とを反応させるものである。該反応においては、該酸クロライドから副生する塩化水素により、該L−ヒスチジン誘導体のトリメチルシリル基の脱保護が生じ易く、多数の生成物が混在するため、精製が困難となる点、またトリメチルシリル基の脱保護を抑制させるためには、反応を厳密に制御しなければならない点で課題があった。
また、非特許文献2の方法では、N−カルベメート保護−カルボキシ無水物を合成するために多くの工程が必要であり、工程が煩雑になる点及び経済的な観点から尚改善の余地があった。
上記課題に鑑み本発明者らは、N−保護−β−アラニン誘導体とL−ヒスチジン誘導体とを反応させて保護L−カルノシン誘導体を検討した結果、N−保護−β−アラニン誘導体の酸無水物又は、N−保護β−アラニン誘導体とピバロイルクロライドとで得られる混合酸無水物とL−ヒスチジン誘導体とを反応させることで、高収率で保護L−カルノシン誘導体が得られることを見出した。
しかしながら、かかる方法においても、得られた保護L−カルノシン誘導体中に未反応のN−保護−β−アラニン誘導体等が残存しており、かかるN−保護−β−アラニン誘導体は、保護L−カルノシン誘導体からL−カルノシンを製造する過程において、β−アラニンへと変換されており、L−カルノシンから、β−アラニン等の不純物を取り除くことが困難であることを見出した。特にL−ヒスチジン誘導体が高価であることから、N−保護−β−アラニン誘導体を過剰に使用した場合には多量のN−保護−β−アラニン誘導体が含有することから、該N−保護−β−アラニン誘導体の除去するための精製方法の確立が必要であった。
国際公開WO2001/64638号パンフレット 中国公開公報CN101284862
Russ. J. General Chem. 2007, 7 7(9), 1576 J. Org. Chem. 2010,75,7107.
L−カルノシンは、前記の通り、医薬品にも適用されており、その適用範囲は広い。そのため、なるべく安全かつ簡便な方法で、純度よく製造することができれば、その工業的利用価値はさらに高くなる。
したがって、本発明の目的は、安全かつ簡便な方法で、高純度のL−カルノシンを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、保護L−カルノシン誘導体が酸性水溶液に可溶であるのに対し、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物は酸性水溶液に対する溶解性が極めて低く、有機溶媒に可溶であるという知見を得た。そこで保護L−カルノシン誘導体を製造後の精製方法について検討を進めた結果、保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液を得た後、該酸性水溶液と有機溶媒を接触させることで、高純度の保護L−カルノシン誘導体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2019135220
{式中、Rは、下記式(1a)で示される基、
Figure 2019135220
(式中、Rは、アミノ基の保護基である。)
および下記式(1a’)で示される基
Figure 2019135220
から選ばれる保護アミノエチル基であり、
、Rは水素原子、またはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子、またはカルボキシル基の保護基である。}
で示される保護L−カルノシン誘導体の製造方法であって、
前記式(1)で示される保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることを特徴とする、保護L−カルノシン誘導体の製造方法である。
本発明は以下の様態をとることができる。
(1)前記式(1)におけるR,R,Rが水素原子であること。
(2)下記式(2)
Figure 2019135220
{式中、Rは、前記式(1)と同義であり、Rは、水酸基、ハロゲン原子、
および下記式(2’)
Figure 2019135220
(式中、mは0又は1の整数であり、R、R、およびRは、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、mが0である場合、R、R、およびRの少なくとも2つの基が炭素数1〜6のアルキル基である。)}
で示されるN−保護−β−アラニン誘導体と、下記式(3)
Figure 2019135220
(式中、R、R、Rは前記式(1)と同義である)
で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより前記式(1)記載の保護−Lカルノシン誘導体を得ること。
(3)前記式(2)で示されるN−保護−β−アラニン誘導体1モルに対し、前記式(3)で示されるL−ヒスチジン誘導体を0.25〜0.99モル用いること。
さらに、本発明の第2の発明は、上記方法により保護L−カルノシン誘導体を製造した後、得られた保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことにより、下記式
Figure 2019135220
で示されるL−カルノシンを製造する方法である。
本発明の製造方法によれば、該保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることで、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物を除去することが可能であり、高純度の保護L−カルノシン誘導体を取得できる。特に保護L−カルノシン誘導体の製造において、N−保護−β−アラニン誘導体とピバロイルクロライドとで得られる混合酸無水物等、N−保護−β−アラニン誘導体を活性化させる中間体を経由して保護L−カルノシン誘導体を製造した場合には、該中間体由来の不純物も副生するがこれらも本発明の製造方法において容易に除去できるため高純度の保護L−カルノシン誘導体を取得できる。上記のとおり本発明の製造方法によって得られる保護L−カルノシン誘導体は高純度であるため、さらなる精製操作を行うことなく、保護L−カルノシン誘導体の脱保護を行うことにより、容易に高純度のL−カルノシンを製造することができる。
本発明の製造方法は、下記式(1)
Figure 2019135220
{式中、Rは、下記式(1a)で示される基、
Figure 2019135220
(式中、Rは、アミノ基の保護基である。)
および下記式(1a’)で示される基
Figure 2019135220
から選ばれる保護アミノエチル基であり、
、Rは水素原子、またはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子、またはカルボキシル基の保護基である。}
で示される保護L−カルノシン誘導体(以下、単に「保護L−カルノシン誘導体」とも言う)を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることが特徴である。保護L−カルノシン誘導体が酸性水溶液に可溶であるのに対し、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物は酸性水溶液に対する溶解性が極めて低く、有機溶媒に可溶であるため、保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることによって、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物が有機溶媒に溶解されるため、その結果、酸性水溶液に溶解している保護L−カルノシン誘導体の純度が向上するものと推測される。
さらに該方法で得られた保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことにより、高純度なL−カルノシンを高収率で製造することができる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
<保護L−カルノシン誘導体>
本発明の製造方法における、保護L−カルノシン誘導体とは前記式(1)で示される化合物である。前記式(1)において、R、Rは水素原子、またはアミノ基の保護基である。ここで、本発明の製造方法におけるアミノ基の保護基とは、窒素原子上の水素に置換して所定反応中にアミノ基を不活性化する基であり、所定反応後、脱保護によりアミノ基が形成される基である。かかるアミノ基の保護基として特に制限はなく、公知の保護基を使用することができる。具体的には、メチル基、エチル基等のアルキル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のシリル系保護基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等が挙げられる。これらの中でも、製造コスト、反応速度の観点から、R、Rは水素原子であることが最も好ましい。またR、Rとしてアミノ基の保護基を用いる場合には、酸性条件下で容易に脱保護されることから、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のシリル系保護基であることが好ましく、トリメチルシリル基を用いることが特に好ましい。
は水素原子、またはカルボキシル基の保護基である。ここで、本発明の製造方法におけるカルボキシル基の保護基とは、カルボキシル基の酸素に結合した水素に置換して、所定反応中にカルボキシル基を不活性化する基であり、所定反応後、脱保護により水酸基が形成される基である。かかるカルボキシル基の保護基として具体的には、メチル基、エチル基等のアルキル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のシリル系保護基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等が挙げられる。これらの中でも、製造コスト、精製のしやすさから、Rは水素原子であることが最も好ましい。またRとしてカルボキシル基の保護基を用いる場合には、酸性条件下で容易に脱保護されることから、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のシリル系保護基であることが好ましくい。特にトリメチルシリル基は、酸性条件下で容易に脱保護されるため、該保護L−カルノシン誘導体を精製後に、保護L−カルノシン誘導体におけるR、R、Rの脱保護反応を行う必要がないため、特に好適に使用することができる。
また本発明の製造方法に好適に使用できる保護L−カルノシン誘導体に特に制限はないが、上記保護L−カルノシン誘導体の中でも、製造コストの観点から、R、R、Rの全てが水素原子である物が最も好ましい。
前記式(1a)において、Rは、アミノ基の保護基である。使用されるアミノ基の保護基としては特に制限はなく、アミノ酸のアミノ基の保護基として公知の保護基を使用することができる。かかる保護基として具体的には、前記R、Rにおける保護基の他に、置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、又はホルミル基等が挙げられる。
この中でも、脱保護反応が容易であるという観点から、t−ブトキシカルボニル基、又は置換基を有してもよいベンジルオキシカルボニル基が好ましい。ベンジルオキシカルボニル基が有する置換基とは、ベンジルオキシカルボニル基のフェニル基が有する置換基である。該置換基としては、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。中でも、保護基の導入が容易である点、保護基導入剤の入手が容易である点から、非置換のベンジルオキシカルボニル基であることが、最も好ましい。
、R、Rはいずれも公知のアミノ基を制限なく使用できるが、得られる保護L−カルノシン誘導体の純度を考慮すると、Rは、R、Rとは異なった保護基であることが好ましく、製造コストの観点から、R、Rは水素原子であることが好ましく、Rはベンジルオキシカルボニル基であることが好ましい。
上記保護L−カルノシン誘導体は、公知の方法によって製造すればよい。具体的には、前記特許文献、又は非特許文献に記載の方法や、N−保護−β−アラニン又はその誘導体とL−ヒスチジン又はその誘導体との縮合反応(カップリング反応)による製造方法等が挙げられる。上記縮合反応として具体的には、活性エステル法、(混合)酸無水物法、アジド法、N,N−ジシクロへキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール等のカップリング試薬を用いる方法等が挙げられる。これらの縮合反応の中でも、使用する試薬が安価で高収率で保護L−カルノシン誘導体が得られることから、(混合)酸無水物法により保護L−カルノシン誘導体により製造することが好ましい。(混合)酸無水物法により保護L−カルノシン誘導体により製造する方法については後述する。
<酸性水溶液>
本発明の製造方法における酸性水溶液としては、該水溶液のpHが酸性であればよいが、得られる前記保護L−カルノシン誘導体の純度を考慮すると、前記酸性水溶液のpHを0〜4の範囲とすることが好ましく、特に1〜3の範囲にすることがさらに好ましい。酸性水溶液の使用量としては、保護L−カルノシン誘導体が溶解する量であれば良く、通常保護L−カルノシン誘導体1質量部あたり2〜10容量部あれば十分である。
また、酸性水溶液とするために使用する酸は特に制限される物ではなく、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、塩化水素、硫酸、硝酸等の無機酸を使用することができる。またこれらの酸は水溶液として使用することもできる。好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸など無機酸が挙げられる。中でも価格、精製の容易さから、塩酸を用いることが最も好ましい。酸の使用量としては、酸性水溶液が所望のpHとなるまで添加すれば十分である。
<有機溶媒>
本発明の製造方法において保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と接触させる有機溶媒は特に制限される物ではないが、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物を有機溶媒に溶解せしめて保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液から除去することを考慮すると、水と混和しない有機溶媒を使用することが好ましい。かかる有機溶媒としては、有機合成反応後の分液操作に用いられる有機溶媒が好適に挙げられる。好適な有機溶媒として具体的には、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、水よりも比重の重い有機溶媒を用いると、反応容器の下部から、上記不純物が含有された有機溶媒を取り出すことができるため、操作性の観点から特に好適である。かかる有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒が挙げられる。
有機溶媒の使用量としては、N−保護−β−アラニン誘導体等の不純物を有機溶媒に溶解せしめて保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液から除去することができる量であれば良く、製造装置の容量等を勘案して適宜決定すれば良い。通常、有機溶媒/水の体積比が0.1〜10の範囲で、より好ましくは0.3〜5の範囲で、特に好ましくは0.5〜2の範囲で使用すれば十分である。
<保護L−カルノシン誘導体の製造方法>
本発明の製造方法では、保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と有機溶媒を接触させる。保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と有機溶媒との接触方法については、特に制限されるものではなく、製造装置や製造スケール等を勘案して適宜決定すれば良い。保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と有機溶媒との接触方法について具体的には、保護L−カルノシン誘導体の水溶液を調製後、該水溶液を酸性にした後、有機溶媒を添加する方法、有機溶媒に、予め調製した保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液を添加する方法、或いは、保護L−カルノシン誘導体の水と有機溶媒との混合溶液を調製し、該混合溶液に酸を添加して酸性水溶液とする方法等が挙げられる。また、上記製造方法において、保護L−カルノシン誘導体を製造した場合、反応後の溶液から調製を行っても良い。例えば、反応後、保護L−カルノシン誘導体の有機溶媒溶液となっている場合には、酸性水溶液を接触させればよい。或いは、保護L−カルノシン誘導体の製造を水又は水と有機溶媒の混合溶媒で行った場合には、必要に応じて有機溶媒を除去した後、酸を添加して酸性水溶液とすれば良い。また、反応終了後の溶液が酸性となっている場合には、そのまま有機溶媒と接触させれば良い。
保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と有機溶媒を接触させる際には必要に応じて攪拌しても良く、さらに空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、乾燥空気雰囲気下のいずれの雰囲気下で行っても良く、大気圧下、減圧下、加圧下のいずれかの雰囲気下で実施してもよい。
保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液と有機溶媒とを接触させる際の温度については特に制限されず、製造条件を勘案して適宜決定すれば良い。保護L−カルノシン誘導体の安定性の観点から0〜80℃の範囲が好ましく、10〜50℃の範囲がさらに好ましく、20〜30℃の範囲が最も好ましい。
本発明において、該酸性水溶液と該有機溶媒の分離方法に特に制限はなく、公知の方法を使用できる。具体的には、該酸性水溶液と該有機溶媒を攪拌混合した溶液を、静置することにより、該酸性水溶液と該有機溶媒とを分層し、一方の溶液を取り除けばよい。ジクロロメタンやクロロホルムなどの、水よりも比重の重い有機溶媒を用いた場合、反応容器の下部から、該有機溶媒を取り出すことができる。反応容器に残った保護L−カルノシン誘導体の酸性水溶液は保管することもできるが、そのまま脱保護反応に付すことができる。また酢酸エチル等の水よりも比重の軽い溶媒を用いた場合、該酸性水溶液を反応容器から取り出し、保管することができる。また反応容器から、脱保護反応を行う反応容器へ直接取出すこともでき、その場合、そのまま脱保護反応に付すことができる。
<保護L−カルノシン誘導体の製造;(混合)酸無水物法>
本発明において、前述したとおり上記式(1)で示される保護L−カルノシン誘導体を製造する方法は特に制限されるものではないが、使用する試薬が安価で高収率で保護L−カルノシン誘導体が得られることから、(混合)酸無水物法により保護L−カルノシン誘導体により製造することが好ましい。
下記式(2)
Figure 2019135220
{式中、Rは、前記式(1)と同義であり、Rは、水酸基、ハロゲン原子、
および下記式(2’)
Figure 2019135220
(式中、mは0又は1の整数であり、R、R、およびRは、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、mが1である場合、R、R、およびRの少なくとも2つの基が炭素数1〜6のアルキル基である。)}
で示されるN−保護−β−アラニン誘導体と、下記式(3)
Figure 2019135220
(式中、R、R、Rは前記式(1)と同義である)
で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより前記式(1)記載の保護L−カルノシン誘導体を得る方法である。
前記式(2’)で示される化合物において、特に制限されるものではないが、mが0である場合、t−ブチル基であることが好ましく、mが1である場合、エトキシカルボニル基、イソブチルカルボニル基であることが好ましい。
上記反応は、水溶媒、有機溶媒中で実施することができ、前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記L−ヒスチジン誘導体、及び塩基を溶解する溶媒を用いることが好ましい。本発明において、塩基、及び水の存在下、前記N−保護−β−アラニン誘導体とL−ヒスチジン誘導体とを反応させるには、これらの反応容器内(反応系内)で混合攪拌すればよい。これら成分を反応系内に導入する方法は、特に制限されるものではなく、以下の方法を採用できる。
例えば必要に応じて溶媒(水を含む)で希釈した各成分を同時に反応系内に導入して攪拌混合する方法を採用することができる。また、前記N−保護−β−アラニン誘導体、又はL−ヒスチジン誘導体の一方の原料を必要に応じて溶媒と一緒にあらかじめ反応系内に入れておき、必要に応じて溶媒で希釈した他方の原料を反応系内に添加して攪拌混合する方法を採用することができる。さらには、両方の原料を必要に応じて溶媒と一緒に予め反応系内に入れておき、必要に応じて溶媒で希釈した塩基を反応系内に添加して攪拌混合する方法を採用することもできる。中でも、最終的に得られる保護L−カルノシン誘導体の収量を向上させ、後処理工程を容易にするためには、L−ヒスチジン誘導体、及び塩基を必要に応じて溶媒と一緒に予め反応系内に入れておき、必要に応じて溶媒で希釈した前記酸無水物を反応系内に添加して攪拌混合する方法を採用することが好ましい。
上記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;重曹、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸セシウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウムの水酸化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン等が挙げられる。中でも、反応の制御のしやすさ、除去のしやすさなどを考慮すると、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン等を使用することが好ましい。
塩基の使用量、および配合方法は特に制限されるものではないが、前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記L−ヒスチジンとの反応においては、反応系内が塩基性である方が、反応が進行しやすい傾向にあるため、反応系内のpHが7〜15であることが好ましく、8〜14であることがさらに好ましく、9〜13であることが最も好ましい。該反応では、反応が進行するに従い、反応系内のpHが酸性へ傾く。そのため、塩基を反応系内に追加して、該反応系内のpHを調整してもよい。追加する塩基は、水溶液の状態で使用することが好ましい。塩基の水溶液を使用する場合には、反応の制御のしやすさから、該水溶液のpHを9〜10とすることが好ましい。
そのため、塩基の絶対量(合計量)は、反応系内における条件で適宜決定すればよいが、後工程での除去を考慮すると、前記N−保護−β−アラニン誘導体1モルに対して、1〜4モルとすることが好ましく、1〜2モルとすることがさらに好ましい。徐々に塩基を追加する場合、反応系内に添加した塩基の全使用量が前記範囲を満足するようにすることが好ましい。
本発明においては、水もしくは有機溶媒を使用することが好ましい。溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応系内のpHが7〜15、好ましくは9〜14で満足するような量を使用することが好ましい。そのため、溶媒の絶対量(合計量)は、適宜決定すればよいが、反応を効率よく行うためには、下記の量とすることが好ましい。水のみを反応媒体として使用する場合には、水の使用量は前記N−保護−β−アラニン誘導体1gに対して、0.5〜100mlとすることが好ましく、1〜20mlとすることがさらに好ましい。有機塩基の水溶液を徐々に反応系内に追加する場合には、反応系内に添加した水の全使用量が、前記範囲を満足するようにすることが好ましい。なお、この水の量は、塩基の水溶液に使用される水の量を含むものである。
本発明において、溶媒として有機溶媒を使用することもできる。有機溶媒を使用する場合、該有機溶媒は前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記L−ヒスチジン誘導体との反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではない。好適な有機溶媒を例示すると、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等のヘテロ原子含有溶媒などが挙げられる。これら有機溶媒は単独で用いてもよく、複数組み合わせてもよく、また水と組み合わせて使用してもよい。水と組み合わせて使用する場合、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる溶媒と水との組み合わせが好ましい。
有機溶媒、及び水を含む媒体を使用する場合、該媒体の使用量は、前記N−保護−β−アラニン誘導体1gに対して、0.5〜100mlであることが好ましく、1〜20mlであることが好ましい。この際、特に制限されるものではないが、有機溶媒と水(全水の量)との体積比(有機溶媒量/全水量)は1〜10となることが好ましく、2〜5となることがより好ましい。
前記N−保護−β−アラニン誘導体とL−ヒスチジン誘導体との反応温度は、特に制限されるものではないが、反応時間、収量、不純物副生の抑制などを考慮すると、−30〜70℃とすることが好ましく、さらには−10〜40℃とすることが好ましい。
反応時間は、原料の消費量、保護L−カルノシン誘導体の生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜96時間であれば十分であり、好ましくは0.5〜24時間である。
反応雰囲気も、特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、大気圧雰囲気下で実施することが好ましい。
<L−カルノシンの製造;保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応>
本発明の製造方法のよって得られた保護L−カルノシン誘導体からL−カルノシンを製造するには、保護基を脱保護してやればよい。保護基を脱保護する方法は特に制限される物ではなく、公知の方法を採用できる。
保護基を脱保護するためには、酸処理を行う方法、パラジウム触媒存在下、水素弦を存在させる方法、アミンを接触させる方法が挙げられる。これらの方法は、Rに含まれる保護基の種類に応じて選択すればよい。
<L−カルノシンの製造;酸を使用して保護基を脱保護する場合>
例えば、Rが、前記式(1a)で示され、且つ式(1a)のRがt−ブトキシカルボニル基である場合には、酸によって脱保護反応を行うことが好ましい。
使用する酸は、特に制限されるものではなく、塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸が好ましい。また、これらの酸は、水溶液の状態で反応系内に導入することができる。
酸の使用量は特に制限されるものではないが、前記保護L−カルノシン誘導体1モルに対して、酸を0.1〜100モル使用することが好ましい。中でも前記L−カルノシン誘導体と酸を接触させる反応系内のpHが−1以上4未満であることが好ましい。前記反応系内のpHは、使用する酸全量を反応系内に導入した際のpHの範囲である。
<L−カルノシンの製造;パラジウム系触媒/水素源を使用して保護基を脱保護する場合>
例えば、Rが、前記式(1a)で示され、且つ式(1a)のRが置換基を有してもよいベンジルオキシカルボニル基、又はフルオレニルオキシカルボニル基である場合には、パラジウム系触媒/水素源を使用して脱保護反応を行うことが好ましい。
本発明においては、脱ベンジル化等を実施できる、公知のパラジウム系触媒を使用することができる。具体的には、1〜30質量%(好ましくは1〜20質量%)のパラジウムを担持したパラジウム炭素触媒、パラジウム硫酸バリウム触媒、パラジウム炭酸カルシウム触媒、パラジウムブラック触媒が挙げられる。
該パラジウム系触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、前記保護L−カルノシン誘導体100質量部に対して0.001〜20質量部(金属量換算)であれば十分である。好ましいパラジウム触媒としては、市販のものを使用することができ、例えば、Sigma Aldrich社、Alfa Aesar社、Johnson Matthey社、N.E.CHEMCAT社のパラジウム炭素触媒が挙げられる。これらのパラジウム炭素触媒の中でも、パラジウム等の触媒成分が溶媒中に溶出し難いものが特に好適に使用できる。
本脱保護反応は、水素存在下で実施することが好ましい。水素ガスを使用する場合には、反応系内の水素圧0.5〜100気圧とすることが好ましく、1〜30気圧とすることがさらに好ましく、1〜20気圧とすることが特に好ましい。
パラジウム系触媒を使用する場合、水素ガス存在下、溶媒中で前記L−カルノシン誘導体(I)とパラジウム触媒とを混合攪拌することが好ましい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒、1、4−ジオキサン、THF、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、水を使用することができる。これらの溶媒は、単独で使用することもできるし、複数種類の混合溶媒として使用することもできる。上記の溶媒の中でも、操作性を考慮すると、アルコール、水、又はアルコールと水との混合溶媒を使用することが好ましい。混合溶媒を使用する場合には、特に制限されるものではないが、アルコールと水との体積比は、23℃において、0.01〜1000の範囲とすることが好ましい。
また溶媒の使用量も、特に制限されるものではなく、通常であれば、前記保護L−カルノシン誘導体1gに対して、該媒体を1〜100ml使用することが好ましい。
パラジウム系触媒を使用してRに含まれる脱保護反応を行うに際し、反応系内へ前記保護L−カルノシン誘導体、パラジウム系触媒、および水素を導入する手順は、特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて溶媒で希釈した前記保護L−カルノシン誘導体、必要に応じて該溶媒に分散させたパラジウム系触媒を同時に反応系内に導入し、さらに、水素ガスを反応系内に導入して攪拌混合する方法が挙げられる。またいずれか一方を必要に応じて溶媒に希釈(分散)して先ず反応系内へ入れておき、必要に応じて溶媒で希釈(分散)したもう一方を反応系内へ添加して、水素ガスを反応系内に導入して攪拌混合する方法が挙げられる。本反応において、反応圧力は制限されるものではなく、大気圧下、減圧下、加圧下のいずれの圧力下で反応を実施してもよい。反応性、操作性を考慮すると、大気圧下もしくは加圧下で実施することが好ましい。
また、前記には水素ガスを使用した場合の例を示したが、蟻酸、蟻酸塩など水素ガスを発生する化合物を使用することもできる。その場合、反応雰囲気は特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下のいずれの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、大気圧下で反応を実施することが好ましい。
該脱保護反応を行う際の反応温度は、特に制限されるものではなく、反応時間、収量、不純物副生の抑制等を考慮すると、−10〜200℃とすることが好ましく、さらに好ましくは10〜120℃とすることが好ましい。
脱保護反応の反応時間は、特に制限されるものではないが、原料の消費量、L−カルノシンの生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜200時間あれば十分であり、好ましくは0.2〜150時間である。
<L−カルノシンの精製方法>
以上のような方法により、下記式
Figure 2019135220
で示されるL−カルノシンが製造できる。脱保護反応(後は、公知の方法に従いL−カルノシン、またはその塩を取り出すことができる。例えば、抽出、再結晶、カラム精製などの方法により、L−カルノシン又はその塩を分離精製することができる。この際、塩基、水で洗浄することにより、L−カルノシン塩はL−カルノシンとすることができる。
L−カルノシンを精製する場合には、以下の方法を採用することが好ましい。具体的には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)溶媒で再結晶することが好ましい。該アルコールは、水を含んでいてもよい。L−カルノシンを該再結晶溶媒で溶解させる際の温度は、特に制限されるものではないが、20〜120℃で行うことが好ましく、さらに30〜80℃で行うことが好ましい。この際、再結晶溶媒の使用量は、溶解させる対象物(L−カルノシンを含む対象物)1gに対して、1〜50mlとすることが好ましく、さらに5〜20mlとすることが好ましい。また、結晶を析出させる際の温度は、−10〜100℃が好ましく、さらに−5〜50℃が好ましい。得られた結晶は、公知の方法で乾燥すればよい。以上のような方法に従えば、比較的柔和な条件であっても、純度の高いL−カルノシンを容易に得ることができる。
以下、本発明を、実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本願発明にかかる保護L−カルノシン誘導体の化学純度の測定は、HPLC法を用いて以下の条件で行った。
装置:ウォーターズ社製2695
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)
検出波長:210nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラ
フィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの
移動相A: アセトニトリル
移動相B:1%リン酸水溶液
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を下記表1のように変えて濃度勾配制御する。
カラム温度:35℃付近の一定温度
注入量:5μL
サンプル濃度:0.5mg/mL
Figure 2019135220
また、L−カルノシン誘導体の化学純度の測定は、HPLC法を用いて以下の条件で行った。
装置:ウォーターズ社製2695
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)
検出波長:210nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラ
フィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの
移動相A: アセトニトリル
移動相B:リン酸水素二カリウム26.1g、1−デカンスルホン酸ナトリウム3.
7gを蒸留水3000mLに溶解させ、リン酸でpH3.0に調整
移動相の送液:移動相A:移動相B=22:78
カラム温度:35℃付近の一定温度
注入量:10μL
サンプル濃度:0.5mg/mL
実施例1<N−保護−β−アラニン誘導体の製造例>
以下の反応式に従い式(1’)で示されるN−保護−β−アラニン誘導体を製造した。
大気下において、N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニン;20g、89.6mmol)、トリエチルアミン(有機塩基;9.0g、89.6mmol)、およびアセトニトリル(140mL)を含む混合溶液を準備し、該溶液を1℃以下まで冷却した。該冷却した溶液中に、ピバロイルクロリド(10.8g、89.6mmol)、およびアセトニトリル(60mL)を含む溶液を、反応液中の温度が10℃以下を維持するように、15分間かけて滴下した。滴下後の反応液の温度(0〜10℃)を維持したまま、30分間攪拌を行った。撹拌後、減圧濾過により、析出した固体を取り除き、酸無水物の溶液を得た。
Figure 2019135220
実施例2<N−保護−β−アラニン誘導体とL−ヒスチジンとの反応(保護L−カルノシン誘導体の製造)>
以下の反応式に従い式(1’)で示されるN−保護−β−アラニン誘導体を合成し、次いで、該N−保護−β−アラニン誘導体とL−ヒスチジンとを反応させて、式(3p1)で示される保護L−カルノシン誘導体を製造した。
Figure 2019135220
L−ヒスチジン(10.8g、72.1mmol)、水(100mL)の水溶液に、水酸化ナトリウム(3.2g、79.3mmol)を加え、該水溶液を5℃まで冷却した。L−ヒスチジンのアルカリ水溶液に、実施例1で調製したN−保護−β−アラニン誘導体のアセトニトリル溶液を、反応液の温度が0〜10℃の範囲となるように滴下した。滴下後、温度を0〜10℃に保ち22時間撹拌した。得られた反応液をHPLCで確認した結果、保護L−カルノシン誘導体の純度は69.51%、N−保護−β−アラニン誘導体(N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニン)の含量は22.31%であった。
実施例3<保護L−カルノシン誘導体製造後の後処理>
実施例2で調製した溶液にpHが3になるように35%塩酸を加え、塩化メチレン20mLを加え、25℃で30分間撹拌した。撹拌後、30分間静置し、有機層と水層を分液した。分液後の有機層、水層をHPLCで測定し、保護L−カルノシン誘導体の純度は87.13%、N−保護−β−アラニン誘導体の含量は1.96%であった。
実施例4<保護L−カルノシン誘導体製造後の後処理>
実施例2で調製した溶液にpHが6になるように35%塩酸を加え、塩化メチレン20mLを加え、25℃で30分間撹拌した。撹拌後、30分間静置し、有機層と水層を分液した。分液後の有機層、水層をHPLCで測定し、保護L−カルノシン誘導体の純度は76.36%、N−保護−β−アラニン誘導体の含量は14.10%であった。
比較例1<保護L−カルノシン誘導体製造後の後処理>
実施例2で調製した溶液にpHが10になるようにトリエチルアミンを加え、塩化メチレン20mLを加え、25℃で30分間撹拌した。撹拌後、30分間静置し、有機層と水層を分液した。分液後の有機層、水層をHPLCで測定し、保護L−カルノシン誘導体の純度は73.79%、N−保護−β−アラニン誘導体の含量は17.17%であった。
実施例5<保護L−カルノシン誘導体からL−カルノシンを製造する方法>
実施例3で得た保護L−カルノシン誘導体の水溶液にPd/C(154mg、0.036mmol、5%Pd,50%Wet)を加え、水素5気圧下で25℃、24時間撹拌した。撹拌後、減圧濃縮により水を留去し、エタノール(140mL)を加えて、L−カルノシンを結晶化させた後、5℃に冷却し、18時間撹拌した。析出した結晶を濾過、乾燥することによりL−カルノシン(12.2g、収率:75%:L−ヒスチジンからの収率、純度:99.79%)を白色固体として得た。

Claims (5)

  1. 下記式(1)
    Figure 2019135220
    {式中、Rは、下記式(1a)で示される基、
    Figure 2019135220
    (式中、Rは、アミノ基の保護基である。)
    および下記式(1a’)で示される基
    Figure 2019135220
    から選ばれる保護アミノエチル基であり、
    、Rは水素原子、またはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子、またはカルボキシル基の保護基である。}
    で示される保護L−カルノシン誘導体の製造方法であって、
    前記式(1)で示される保護L−カルノシン誘導体を含有する酸性水溶液と有機溶媒とを接触させることを特徴とする、保護L−カルノシン誘導体の製造方法。
  2. 前記式(1)におけるR,R,Rが水素原子である請求項1記載の保護L−カルノシン誘導体の製造方法
  3. 下記式(2)
    Figure 2019135220
    {式中、Rは、前記式(1)と同義であり、Rは、水酸基、ハロゲン原子、
    および下記式(2’)
    Figure 2019135220
    (式中、mは0又は1の整数であり、R、R、およびRは、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、mが1である場合、R、R、およびRの少なくとも2つの基が炭素数1〜6のアルキル基である。)}
    で示されるN−保護−β−アラニン誘導体と、
    下記式(3)
    Figure 2019135220
    (式中、R、R、Rは前記式(1)と同義である)
    で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより前記式(1)記載の保護−Lカルノシン誘導体を得る請求項1又は2記載の保護L−カルノシン誘導体の製造方法。
  4. 前記式(2)で示されるN−保護−β−アラニン誘導体1モルに対し、前記式(3)で示されるL−ヒスチジン誘導体を0.25〜0.99モル用いる請求項3記載の保護L−カルノシン誘導体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により保護L−カルノシン誘導体を製造した後、得られた保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことにより、下記式
    Figure 2019135220
    で示されるL−カルノシンを製造する方法。
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