JP2004217540A - 没食子酸配糖体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、没食子酸エステル配糖体および没食子酸配糖体の合成法に関する。没食子酸配糖体類は毛髪用化粧料あるいは皮膚外用剤などの分野において有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
近年、没食子酸の誘導体はクリームや乳液などの皮膚外用剤や、ヘアメイク剤やジェルなどの毛髪処理剤などの分野への応用が期待されている。特に没食子酸エステル2配糖体は、没食子酸メチルエステルとペンタアセチルグルコースとをルイス酸により縮合してから、メタノール中でナトリウムメチラートを作用させることによりグルコース部分の脱アセチル化を行うことで得ることができる旨記載されているが、詳細な製造条件は記載されていない(特許文献1の製造例2参照)。加えて、目的生成物を単離するに当たっては、目的生成物も副生する多量の無機塩も水溶性が高くそれらを分離するのが困難であるため、カラムクロマトグラフィーを用いて精製しているが、カラムクロマトグラフィーを用いた精製は、コスト、操作性、所用時間の問題で工業的生産には不適切である。
【0003】
また、脱アシル化を行う場合には、ナトリウムアルコラート等の金属アルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基といったような各種塩基を用いることは一般的には知られているが、いずれも塩基をアシル基に対して理論当量以上用いるのが普通である。
【0004】
【特許文献1】特開2000−319116号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、没食子酸配糖体類を工業上の使用が容易な助剤の存在下、工業上簡便な操作により効率的に製造できる方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、没食子酸エステル配糖体における糖類部分の水酸基の脱アシル化を行うに当たり、対象となるアシル基のモル数に対して理論当量未満の塩基でも反応が進行し、収率よく目的物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、下記一般式(1)
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を示し、Xは、水酸基が部分的又は全部アシル基で保護されている、単糖類、二糖類又はオリゴ糖残基を示す。)で表される化合物を、該化合物における置換基X中のアシル基のモル数に対して等モル量未満の塩基で処理し、糖部分の脱アシル化を行うことを特徴とする下記一般式(2)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、Yはアシル基が除去された、単糖類、二糖類又はオリゴ糖類残基を示し、Rは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(一般式(1)で表される化合物)
上記一般式(1)で表される化合物は、没食子酸エステル類と糖類とをルイス酸を用いて縮合すると言った公知の方法により合成することができる。
【0012】
ここでRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基;アリル基、メタリル基、ビニル基などのアルケニル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基などのアラルキル基;又はフェニル基、ナフチル基などのアリール基である。
【0013】
上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリール基としては、炭素数が15以下のものが好ましく、より好ましくは10以下である。
このうち上記Rとして好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基である。
Xは下記Yで説明されているような単糖類、二糖類及びオリゴ糖類の水酸基が一部又は全部アシル化されているものであり、上記アシル基としては、水酸基の保護基として一般的なものであれば特に限定されないが、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トリメチルアセチル基、クロロアセチル基又はレブリノイル(CH3COCH2CH2CO−)基等が挙げられる。このうちアシル基としては、副生物の除去という観点から、炭素数1〜3のアシル基が好ましく、特に好ましくはアセチル基である。
【0014】
糖部分の水酸基のアシル化されている量は、化合物の使用目的に応じて任意に決定されるが、一般式(1)で表される化合物の合成のし易さという点では、通常、糖類部分の水酸基は全て保護されていることが好ましく、特には全てアシル化されているのが好ましい。
Yは、グルコース、マンノース、ガラクトース、リボースなどの単糖類;マルトース、セロビオース、ラクトースなどの二糖類;アミロース、セルロースのようなオリゴ糖残基などが挙げられ、このうち好ましくはグルコースである。
【0015】
またこれらの糖類は分子内に複数個の不斉炭素を有するため数多くの立体異性体が存在するが、本反応においてはその立体化学に関して特に限定するものではなく、あらゆる立体異性体を使用することができる。また糖の1位の立体異性体についてもα体、β体のどちらのアノマー体でも本反応に供することができる。このうち、上記Yとして好ましくはβ−D−グルコースである。
【0016】
(塩基)
一般式(1)で表される没食子酸誘導体にアルコールの存在下で作用させる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩;カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;1,1−ジメトキシヒドラジン、DBN、DBU、キノリンなどの有機塩基;塩基性イオン交換樹脂等、一般的に脱アシル化用いられるようなものであれば特に限定されないが、強塩基が好ましく、無機塩基がより好ましい。このうち好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウムであり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムである。
【0017】
本反応において塩基は、一般式(1)で表される化合物における置換基X中のアシル基のモル数に対して等モル量未満の量、好ましくは0.8倍モル以下、より好ましくは0.5倍モル以下、更に好ましくは0.4倍モル以下、特に好ましくは0.3倍モル以下、最も好ましくは0.2倍モル以下の範囲で用いられる。但し、塩基の量が少なすぎても反応時間が長くなりすぎる等の難点が出てくる可能性があるため、通常、0.001倍モル以上、好ましくは0.005倍モル以上、より好ましくは0.01倍以上の範囲で用いられる。
【0018】
(溶媒)
本発明の脱アシル化反応においては、通常、溶媒が用いられる。用いる溶媒としては、脱アシル化反応に一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、アルコール系溶媒が好ましい。このうち、脱アシル化により副生するカルボン酸エステルの除去のし易さから炭素数1〜6の低級アルコールが好ましく、特にメタノール、エタノール又はプロパノールが好ましい。溶媒の使用量は一般式(1)で表される化合物の重量に対し、通常、1倍容量以上、好ましくは3倍容量以上、より好ましくは5倍容量以上の範囲で用いられるが、溶媒量が多すぎても釜効率等の点で問題があるため、100倍容量以下、好ましくは30倍容量以下、より好ましくは20倍容量以下の範囲で用いられる。
【0019】
(反応様式)
本発明の脱アシル化反応を行うに当たっては、反応試剤の投入方法・順序に特に制限はなく、例えば一般式(1)で表される没食子酸誘導体又はそのアルコール溶液に塩基のアルコール溶液を添加する方法、一般式(1)で表される没食子酸誘導体のアルコール溶液に塩基を無溶媒で添加する方法等、任意の方法をとることができるが、一般式(1)で表される没食子酸誘導体又はそのアルコール溶液に塩基のアルコール溶液を添加する方法が工業的には好ましい。
【0020】
本発明における脱アシル化反応においては、通常、常圧で行うが、脱アシル化反応中に副生するカルボン酸エステル類の留去を同時に行う場合には減圧下で実施することもできる。その反応圧力は1mmHg〜常圧の範囲で任意に設定することができる。
反応温度は、圧力にも依存するが、常圧の場合には通常、0℃以上、好ましくは10℃以上である。また反応温度の上限としては、常圧の場合、通常、溶媒の還流温度以下であれば特に限定されない。
【0021】
反応時間は反応温度やスケール、並びに、副生するカルボン酸エステルの留去の有無や留去条件にも依存するが、通常、10分間以上、好ましくは30分間以上反応を行う。また、一般的には24時間以内、好ましくは12時間以内で反応は終了する。
(カルボン酸エステル類の除去)
本発明の脱アシル化反応において副生するカルボン酸エステルは、脱アシル化反応を行うとともに留去を行う又は脱アシル化反応後に留去工程を設ける、若しくは、引き続き行われる加水分解反応時に留去を行うといったいずれかの方法で留去されるのが好ましいが、加水分解反応前までに留去を完了させておくのがより好ましく、特に塩基の量を減らした場合に平衡の問題等により反応速度が低下することがあり得るため、脱アシル化反応中に留去する方が反応時間をより短縮できることから最も好ましい。
【0022】
カルボン酸エステル類を除去する方法としては、常圧または減圧での蒸留操作により行うのが好ましく、その条件としては、どの工程でカルボン酸エステル類の蒸留を行うかにより任意に設定すればよい。
最も好ましい反応様式としては、常圧または減圧での蒸留操作のできる反応装置を用い、一般式(1)で表される没食子酸誘導体にアルコールの存在下で理論当量未満の塩基を作用させると同時に、あるいは所望の反応温度に到達させるまでの間に、あるいは所望の反応温度に到達後、所望の反応時間が経過してからのいずれかの状態で留去を開始する方法が挙げられる。その時反応系内へ窒素ガスを流通させ、カルボン酸エステルの留出を加速してもよい。このとき、カルボン酸エステルの留出に伴って反応系内のアルコールも同時に留出することがあり、必要に応じて、留出分を補充するためにアルコールを適宜添加してもよい。
【0023】
上記反応終了後、塩基を中和してから一般的な単離精製手法を用いることにより、本発明の没食子酸エステル配糖体類を得ることができるが、上記単離精製を行うことなく、引き続き加水分解工程に供するのが好ましい。
(加水分解工程)
上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行うことにより、一般式(3)で表される没食子酸配糖体を効率よく製造することもできる。
【0024】
本加水分解反応においては、一般的なエステル基の加水分解方法に準じて行えばよいが、上記脱アシル化反応後の反応液に、水を添加することにより行われ、この場合、必要に応じて塩基も追加添加して行う。
上記加水分解時に用いられる塩基としては、上記脱アシル化で挙げられたのと同様のものが挙げられる。ここで、加水分解反応に使用する塩基は、脱アシル化反応に使用する塩基と、同じであっても違っていてもよいが、同じである方が好ましい。
【0025】
本加水分解反応における塩基の使用量は、通常、一般式(2)で表される没食子酸エステル配糖体のフェノール基にトラップされるため、一般式(2)で表される化合物のモル数に対して、通常、2倍モル量以上、好ましくは2.2倍モル量以上用いられる。但し、あまり多すぎると反応終了後に副生する塩との分離に手間がかかるため、通常、5倍モル量以下、好ましくは4倍モル量以下、特に好ましくは3倍モル量以下の範囲で用いられる。
【0026】
上述の脱アシル化反応および加水分解反応の両工程において使用された塩基は、最終の単離操作時に酸により中和され副生塩を形成する。酸としてイオン交換樹脂などの固体酸を用いる場合には、その塩は不溶物として容易にろ別可能であるが、通常、塩酸などの無機酸を使用するため、その副生塩は反応溶媒中に溶解されることとなる。従って、塩基の量を過剰にすればするほど、加水分解後に副生する塩量も増えることとなり、一般式(3)で表される化合物の晶析単離操作において、塩の混入などの問題が生じるおそれがある。よって塩基の使用量は、必要最低限とする方が好ましい。
【0027】
また、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合には、脱アシル化反応時に添加した塩基の量を勘案し、反応液中のトータルの塩基の量が上記範囲となるように添加する量を調節する必要がある。
さらに、脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合において、脱アシル化反応時に加水分解工程で使用する塩基量も合わせて添加することも可能である。ただし、この添加方法の場合、脱アシル化によって生成するカルボン酸エステルによる塩基の失活、加水分解の反応時間の長時間化、並びに、反応性低下によりさらに追加の塩基が必要になるなどのおそれがあるので、加水分解反応の仕込み時に所望量の塩基を追加添加する方が好ましい。
【0028】
本反応に用いられる溶媒としては水が挙げられ、その使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して等モル以上であればよい。ここで、上記水の他に、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン;アセトニトリル等の反応に不活性な溶媒が混合していてもよく、通常、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合には、アルコール系溶媒が混入することとなる。このとき反応途中の析出などによる操作上の問題を回避するため、上記の必要水量を含む加水分解反応に使用する溶媒の全量は、一般式(2)で表される化合物の重量に対し、通常、1倍容量以上、好ましくは3倍容量以上、より好ましくは5倍容量以上の範囲で反応を行う。ただし溶媒量が多すぎても釜効率等の点で問題があるため、100倍容量以下、好ましくは30倍容量以下、より好ましくは20倍容量以下である。
【0029】
反応温度としては、上記脱アシル化反応と同様の温度が挙げられ、具体的には、通常、0℃以上、好ましくは10℃以上である。また反応温度の上限としては、常圧の場合、通常、溶媒の還流温度以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下で設定される。
反応時間は反応温度やスケールにも依存するが、通常、10分間以上、好ましくは30分間以上反応を行う。また、一般的には12時間以内、好ましくは3時間以内で反応は終了する。
(このように変更しておきました。)
(単離工程)
上述の方法で得られる没食子酸配糖体は、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる精製等、通常の単離精製操作を組み合わせることにより単離することができるが、工業的には酸性化し遊離カルボン酸とした後に晶析により単離するのが好ましい。
【0030】
以下に、遊離カルボン酸とした後に晶析により単離する方法について詳述する。
上記加水分解反応終了後に、系内で生成した没食子酸塩に作用させる酸としては、塩酸、硫酸等の鉱酸;スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂;ゼオライト;タングステン酸、モリブデン酸を含むヘテロポリ酸、固体酸触媒等が挙げられ、このうち、塩酸又は硫酸、若しくは、スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂が好ましい。
【0031】
酸の使用量は系内で生成した没食子酸塩が遊離カルボン酸になるための必要量以上であればよいが、特に、反応液のpHが4.0以下、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下になるように酸を添加することが好ましい。
ここで、塩酸又は硫酸は、コストの面から好ましいが、無機塩が副生するため、これらの無機塩を結晶化し濾別する、または、目的物のカルボン酸を結晶化し濾取するといった没食子酸配糖体との分離操作が必要となる。一方、スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂の場合、無機塩との分離の操作を必要としないという操作上の利点がある。
【0032】
一般式(3)で表される没食子酸配糖体を晶析することを考慮し、没食子酸塩に酸を作用させるときの溶媒としては水を用いるのが好ましい。通常、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行った場合には、アルコール系溶媒が混入することとなるが、アルコール系溶媒は酸性化によって副生する中性塩の溶解度を低下させ目的物の析出を阻害するおそれがあるため、酸を作用させる前、好ましくは加水分解反応中に共存するアルコール系溶媒を可能な限り留去しておくのが好ましい。
【0033】
酸を作用させる時の没食子酸塩の水溶液中の濃度は、没食子酸塩の重量と溶媒体積の百分率で、通常0.5〜50%(重量/体積)、好ましくは1〜20%(重量/体積)である。
一般式(3)で表される没食子酸配糖体は、上記のように酸を作用させることにより反応液から析出してくる結晶を濾取することにより単離精製することができる。その際に、回収率を向上させる目的で、反応液を冷却する、没食子酸配糖体の溶解度の低い溶媒を加える、又は、反応溶媒を一部留去した後に没食子酸配糖体の溶解度の低い溶媒を加える、などの方法を、単独又は複数を組み合わせて用いることもできる。
【0034】
その際に用いられる溶解度の低い溶媒としては、エタノール、プロパノール等のアルコール系化合物、テトラヒドロフラン;アセトニトリル;酢酸エチル等のエステル系化合物が挙げられる。
晶析の実施形態としては、副生する塩の種類により異なり、例えば、副生塩が一般式(3)で表される没食子酸配糖体より水又は貧溶媒に溶解しやすい場合には、そのまま目的とする没食子酸配糖体を析出させればよいが、副生塩が一般式(3)で表される没食子酸配糖体より水又は貧溶媒に溶解しにくい場合には、予め、副生塩を析出分離した後の液体から目的とする没食子酸配糖体を析出させ留方法が採られる。そのため、上述の溶解度の低い溶媒の使用量は、副生塩の種類によって異なり、没食子酸配糖体と共に副生塩が析出しないような量に適宜調整する必要がある。
【0035】
没食子酸配糖体を晶析させるときの温度は、通常、40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下である。但し、あまり温度が低すぎると結晶の粒径や不純物の巻き込み、副生塩との分離の点で問題があるため、通常、−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上の範囲で行われる。
得られた結晶はろ過、洗浄、乾燥という通常の後処理操作により製品とするが、水;メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、THF等の任意の有機溶媒;又は、水とこれらの有機溶媒の混合物を縣洗溶媒として使用して得られる結晶を洗浄しても良いし、必要に応じて、再結晶により精製することも可能である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
マグネット撹拌器、滴下ロート、トの字管、リービッヒ冷却器、減圧アダプタ−及び温度計を付した200mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル16.89g(20.0mmol)、水酸化ナトリウム0.80g(20.0mmol)及びメタノール168.8mLを仕込み、室温で30分撹拌し薄茶色溶液とした。内温64℃に昇温し同温でメタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させながら4時間反応させた。途中2時間後にメタノール42mLを追加した。149.9gの留出物を得たが、その中にはメタノール140.7g及び酢酸メチル9.2gが含まれていた。
【0037】
続いて室温まで冷却し得られた茶色オイルに、水80.8mL及び水酸化ナトリウム1.28g(32mmoL)を添加し、内温が80℃になるよう昇温し同温で反応させながら、反応液中に残存するメタノールなどを含む液体を留出させた。2時間後室温まで冷却してから、系内を35mmHgまで減圧し、内温35℃で減圧留去させながら30分反応した。34.2gの留出物を得たが、その中にはメタノール26.1gと水8.1gが含まれていた。また1H−NMR分析により、反応液中にメタノールおよび酢酸メチルが残存していないことを確認した。
【0038】
反応液を室温に冷却後、35%濃塩酸4.6mL(52.1mmoL)をゆっくりと加え、系内を酸性化しpH2に調整した。室温で撹拌しながら、種晶として純品の3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸1.0mgを添加、同温で1.5時間撹拌したところ白色沈殿が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水10mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸8.94g(18.1mmoL)を白色結晶として得た。収率90%、純度93.9%(電位差滴定法)、含水分6.8重量%であった。
【0039】
実施例2
マグネット撹拌器、滴下ロート、トの字管、リービッヒ冷却器、減圧アダプタ−及び温度計を付した200mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル16.89g(20.0mmol)、水酸化ナトリウム0.80g(20.0mmol)及びメタノール211mLを仕込み、室温で30分撹拌し薄茶色溶液とした。内温が64℃となるように昇温し、反応器気相部に窒素ガスを50mL/minの流速で流通させながら、同温でメタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させ反応させた。1時間後反応液を室温まで冷却してから、系内を125mmHgまで減圧し、内温30℃で減圧留去させながらさらに1時間反応した。146.6gの留出物を得たが、その中にはメタノール141.1g及び酢酸メチル9.2gが含まれていた。
【0040】
続いて室温まで冷却し得られた茶色オイルに、水140mL及び水酸化ナトリウム1.28g(32mmoL)を添加し、系内を75mmHgまで減圧し、内温35℃で残存するメタノールなどを含む液体を減圧留去させながら4時間反応した。その間に51.2gの留出物を得た。その留出物はメタノール25.8gと水25.4gが含まれていた。反応液に水25mLを加え、留出した水分を補充した。また反応液の1H−NMR分析によりメタノールおよび酢酸メチルが残存していないことを確認した。
【0041】
室温に冷却後、強酸性イオン交換樹脂SK1BH(2meq/mL)47.5mLをゆっくりと加え、系内を酸性化しpH2に調整した。水80mLを加え、室温で1時間撹拌後、樹脂をろ別した。室温で1時間撹拌したところ白色沈殿が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水10mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸7.99g(16.2mmoL)を白色結晶として得た。収率81%、純度96.8%(電位差滴定法)、含水分7重量%であった。
【0042】
さらにろ液を約20%重量まで濃縮後、室温で1時間撹拌すると白色結晶が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水6mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸1.7g(3.4mmoL)を白色結晶として得た。収率17%、純度98.9%(LC絶対検量線法)。
実施例3
マグネット撹拌子、滴下ロート、温度計、抜き出しコック付きジムロートコンデンサーを付した50mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル0.42g(0.5mmol)、水酸化リチウム1水和物84mg(2mmol)及びメタノール20mLを仕込み、加熱してリフラックスし、メタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させながら30分反応させた。反応液の液量がほぼ一定になるように、途中、メタノール計20mLを適宜追加した。
【0043】
続いて、反応系に水1mLを添加し、内温70℃にて1時間、さらに水1mLを追加して1時間反応させた。
反応液を室温まで冷却した後、35%濃塩酸を加え、系内を酸性化しpH2に調整した。室温で撹拌しながら、エタノール5mL、更に種晶として純品の3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸触媒量を加えたところ、白色沈殿が析出した。この沈殿をろ取し、エタノールで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸0.13g(0.26mmoL)を白色結晶として得た。収率53%、純度98.0%(LC絶対検量線法)であった。
【0044】
比較例1
50mlフラスコ中に3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル1.69g(2mmoL)、エタノール6mL及び20%ナトリウムエチラートエタノール溶液6.5mL(16.6mmoL)を加え内温73℃にて2時間反応させた。引き続き、エタノールおよび酢酸エチルを留去した後、エタノール6mL、水4mLおよび10%水酸化ナトリウム水溶液2mL(5mmoL)を加え63℃となるように加温し3時間反応させた。反応終了後、氷水冷却下、濃硫酸を加えて反応系を酸性化、析出した固体を濾別した。得られた粗結晶に水7mLを加えて縣洗した後、結晶を濾取、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸を含む結晶2.35gを得たが、この結晶の大部分は硫酸ナトリウムであり、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸の含有量はLC絶対検量法により13重量%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、工業上の使用が容易な助剤の存在下、工業上簡便な操作により高純度のジグリコシル化没食子酸誘導体を効率的に製造することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、没食子酸エステル配糖体および没食子酸配糖体の合成法に関する。没食子酸配糖体類は毛髪用化粧料あるいは皮膚外用剤などの分野において有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
近年、没食子酸の誘導体はクリームや乳液などの皮膚外用剤や、ヘアメイク剤やジェルなどの毛髪処理剤などの分野への応用が期待されている。特に没食子酸エステル2配糖体は、没食子酸メチルエステルとペンタアセチルグルコースとをルイス酸により縮合してから、メタノール中でナトリウムメチラートを作用させることによりグルコース部分の脱アセチル化を行うことで得ることができる旨記載されているが、詳細な製造条件は記載されていない(特許文献1の製造例2参照)。加えて、目的生成物を単離するに当たっては、目的生成物も副生する多量の無機塩も水溶性が高くそれらを分離するのが困難であるため、カラムクロマトグラフィーを用いて精製しているが、カラムクロマトグラフィーを用いた精製は、コスト、操作性、所用時間の問題で工業的生産には不適切である。
【0003】
また、脱アシル化を行う場合には、ナトリウムアルコラート等の金属アルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基といったような各種塩基を用いることは一般的には知られているが、いずれも塩基をアシル基に対して理論当量以上用いるのが普通である。
【0004】
【特許文献1】特開2000−319116号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、没食子酸配糖体類を工業上の使用が容易な助剤の存在下、工業上簡便な操作により効率的に製造できる方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、没食子酸エステル配糖体における糖類部分の水酸基の脱アシル化を行うに当たり、対象となるアシル基のモル数に対して理論当量未満の塩基でも反応が進行し、収率よく目的物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、下記一般式(1)
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を示し、Xは、水酸基が部分的又は全部アシル基で保護されている、単糖類、二糖類又はオリゴ糖残基を示す。)で表される化合物を、該化合物における置換基X中のアシル基のモル数に対して等モル量未満の塩基で処理し、糖部分の脱アシル化を行うことを特徴とする下記一般式(2)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、Yはアシル基が除去された、単糖類、二糖類又はオリゴ糖類残基を示し、Rは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(一般式(1)で表される化合物)
上記一般式(1)で表される化合物は、没食子酸エステル類と糖類とをルイス酸を用いて縮合すると言った公知の方法により合成することができる。
【0012】
ここでRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基;アリル基、メタリル基、ビニル基などのアルケニル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基などのアラルキル基;又はフェニル基、ナフチル基などのアリール基である。
【0013】
上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリール基としては、炭素数が15以下のものが好ましく、より好ましくは10以下である。
このうち上記Rとして好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基である。
Xは下記Yで説明されているような単糖類、二糖類及びオリゴ糖類の水酸基が一部又は全部アシル化されているものであり、上記アシル基としては、水酸基の保護基として一般的なものであれば特に限定されないが、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トリメチルアセチル基、クロロアセチル基又はレブリノイル(CH3COCH2CH2CO−)基等が挙げられる。このうちアシル基としては、副生物の除去という観点から、炭素数1〜3のアシル基が好ましく、特に好ましくはアセチル基である。
【0014】
糖部分の水酸基のアシル化されている量は、化合物の使用目的に応じて任意に決定されるが、一般式(1)で表される化合物の合成のし易さという点では、通常、糖類部分の水酸基は全て保護されていることが好ましく、特には全てアシル化されているのが好ましい。
Yは、グルコース、マンノース、ガラクトース、リボースなどの単糖類;マルトース、セロビオース、ラクトースなどの二糖類;アミロース、セルロースのようなオリゴ糖残基などが挙げられ、このうち好ましくはグルコースである。
【0015】
またこれらの糖類は分子内に複数個の不斉炭素を有するため数多くの立体異性体が存在するが、本反応においてはその立体化学に関して特に限定するものではなく、あらゆる立体異性体を使用することができる。また糖の1位の立体異性体についてもα体、β体のどちらのアノマー体でも本反応に供することができる。このうち、上記Yとして好ましくはβ−D−グルコースである。
【0016】
(塩基)
一般式(1)で表される没食子酸誘導体にアルコールの存在下で作用させる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩;カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;1,1−ジメトキシヒドラジン、DBN、DBU、キノリンなどの有機塩基;塩基性イオン交換樹脂等、一般的に脱アシル化用いられるようなものであれば特に限定されないが、強塩基が好ましく、無機塩基がより好ましい。このうち好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウムであり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムである。
【0017】
本反応において塩基は、一般式(1)で表される化合物における置換基X中のアシル基のモル数に対して等モル量未満の量、好ましくは0.8倍モル以下、より好ましくは0.5倍モル以下、更に好ましくは0.4倍モル以下、特に好ましくは0.3倍モル以下、最も好ましくは0.2倍モル以下の範囲で用いられる。但し、塩基の量が少なすぎても反応時間が長くなりすぎる等の難点が出てくる可能性があるため、通常、0.001倍モル以上、好ましくは0.005倍モル以上、より好ましくは0.01倍以上の範囲で用いられる。
【0018】
(溶媒)
本発明の脱アシル化反応においては、通常、溶媒が用いられる。用いる溶媒としては、脱アシル化反応に一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、アルコール系溶媒が好ましい。このうち、脱アシル化により副生するカルボン酸エステルの除去のし易さから炭素数1〜6の低級アルコールが好ましく、特にメタノール、エタノール又はプロパノールが好ましい。溶媒の使用量は一般式(1)で表される化合物の重量に対し、通常、1倍容量以上、好ましくは3倍容量以上、より好ましくは5倍容量以上の範囲で用いられるが、溶媒量が多すぎても釜効率等の点で問題があるため、100倍容量以下、好ましくは30倍容量以下、より好ましくは20倍容量以下の範囲で用いられる。
【0019】
(反応様式)
本発明の脱アシル化反応を行うに当たっては、反応試剤の投入方法・順序に特に制限はなく、例えば一般式(1)で表される没食子酸誘導体又はそのアルコール溶液に塩基のアルコール溶液を添加する方法、一般式(1)で表される没食子酸誘導体のアルコール溶液に塩基を無溶媒で添加する方法等、任意の方法をとることができるが、一般式(1)で表される没食子酸誘導体又はそのアルコール溶液に塩基のアルコール溶液を添加する方法が工業的には好ましい。
【0020】
本発明における脱アシル化反応においては、通常、常圧で行うが、脱アシル化反応中に副生するカルボン酸エステル類の留去を同時に行う場合には減圧下で実施することもできる。その反応圧力は1mmHg〜常圧の範囲で任意に設定することができる。
反応温度は、圧力にも依存するが、常圧の場合には通常、0℃以上、好ましくは10℃以上である。また反応温度の上限としては、常圧の場合、通常、溶媒の還流温度以下であれば特に限定されない。
【0021】
反応時間は反応温度やスケール、並びに、副生するカルボン酸エステルの留去の有無や留去条件にも依存するが、通常、10分間以上、好ましくは30分間以上反応を行う。また、一般的には24時間以内、好ましくは12時間以内で反応は終了する。
(カルボン酸エステル類の除去)
本発明の脱アシル化反応において副生するカルボン酸エステルは、脱アシル化反応を行うとともに留去を行う又は脱アシル化反応後に留去工程を設ける、若しくは、引き続き行われる加水分解反応時に留去を行うといったいずれかの方法で留去されるのが好ましいが、加水分解反応前までに留去を完了させておくのがより好ましく、特に塩基の量を減らした場合に平衡の問題等により反応速度が低下することがあり得るため、脱アシル化反応中に留去する方が反応時間をより短縮できることから最も好ましい。
【0022】
カルボン酸エステル類を除去する方法としては、常圧または減圧での蒸留操作により行うのが好ましく、その条件としては、どの工程でカルボン酸エステル類の蒸留を行うかにより任意に設定すればよい。
最も好ましい反応様式としては、常圧または減圧での蒸留操作のできる反応装置を用い、一般式(1)で表される没食子酸誘導体にアルコールの存在下で理論当量未満の塩基を作用させると同時に、あるいは所望の反応温度に到達させるまでの間に、あるいは所望の反応温度に到達後、所望の反応時間が経過してからのいずれかの状態で留去を開始する方法が挙げられる。その時反応系内へ窒素ガスを流通させ、カルボン酸エステルの留出を加速してもよい。このとき、カルボン酸エステルの留出に伴って反応系内のアルコールも同時に留出することがあり、必要に応じて、留出分を補充するためにアルコールを適宜添加してもよい。
【0023】
上記反応終了後、塩基を中和してから一般的な単離精製手法を用いることにより、本発明の没食子酸エステル配糖体類を得ることができるが、上記単離精製を行うことなく、引き続き加水分解工程に供するのが好ましい。
(加水分解工程)
上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行うことにより、一般式(3)で表される没食子酸配糖体を効率よく製造することもできる。
【0024】
本加水分解反応においては、一般的なエステル基の加水分解方法に準じて行えばよいが、上記脱アシル化反応後の反応液に、水を添加することにより行われ、この場合、必要に応じて塩基も追加添加して行う。
上記加水分解時に用いられる塩基としては、上記脱アシル化で挙げられたのと同様のものが挙げられる。ここで、加水分解反応に使用する塩基は、脱アシル化反応に使用する塩基と、同じであっても違っていてもよいが、同じである方が好ましい。
【0025】
本加水分解反応における塩基の使用量は、通常、一般式(2)で表される没食子酸エステル配糖体のフェノール基にトラップされるため、一般式(2)で表される化合物のモル数に対して、通常、2倍モル量以上、好ましくは2.2倍モル量以上用いられる。但し、あまり多すぎると反応終了後に副生する塩との分離に手間がかかるため、通常、5倍モル量以下、好ましくは4倍モル量以下、特に好ましくは3倍モル量以下の範囲で用いられる。
【0026】
上述の脱アシル化反応および加水分解反応の両工程において使用された塩基は、最終の単離操作時に酸により中和され副生塩を形成する。酸としてイオン交換樹脂などの固体酸を用いる場合には、その塩は不溶物として容易にろ別可能であるが、通常、塩酸などの無機酸を使用するため、その副生塩は反応溶媒中に溶解されることとなる。従って、塩基の量を過剰にすればするほど、加水分解後に副生する塩量も増えることとなり、一般式(3)で表される化合物の晶析単離操作において、塩の混入などの問題が生じるおそれがある。よって塩基の使用量は、必要最低限とする方が好ましい。
【0027】
また、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合には、脱アシル化反応時に添加した塩基の量を勘案し、反応液中のトータルの塩基の量が上記範囲となるように添加する量を調節する必要がある。
さらに、脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合において、脱アシル化反応時に加水分解工程で使用する塩基量も合わせて添加することも可能である。ただし、この添加方法の場合、脱アシル化によって生成するカルボン酸エステルによる塩基の失活、加水分解の反応時間の長時間化、並びに、反応性低下によりさらに追加の塩基が必要になるなどのおそれがあるので、加水分解反応の仕込み時に所望量の塩基を追加添加する方が好ましい。
【0028】
本反応に用いられる溶媒としては水が挙げられ、その使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して等モル以上であればよい。ここで、上記水の他に、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン;アセトニトリル等の反応に不活性な溶媒が混合していてもよく、通常、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行う場合には、アルコール系溶媒が混入することとなる。このとき反応途中の析出などによる操作上の問題を回避するため、上記の必要水量を含む加水分解反応に使用する溶媒の全量は、一般式(2)で表される化合物の重量に対し、通常、1倍容量以上、好ましくは3倍容量以上、より好ましくは5倍容量以上の範囲で反応を行う。ただし溶媒量が多すぎても釜効率等の点で問題があるため、100倍容量以下、好ましくは30倍容量以下、より好ましくは20倍容量以下である。
【0029】
反応温度としては、上記脱アシル化反応と同様の温度が挙げられ、具体的には、通常、0℃以上、好ましくは10℃以上である。また反応温度の上限としては、常圧の場合、通常、溶媒の還流温度以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下で設定される。
反応時間は反応温度やスケールにも依存するが、通常、10分間以上、好ましくは30分間以上反応を行う。また、一般的には12時間以内、好ましくは3時間以内で反応は終了する。
(このように変更しておきました。)
(単離工程)
上述の方法で得られる没食子酸配糖体は、濃縮、カラムクロマトグラフィーによる精製等、通常の単離精製操作を組み合わせることにより単離することができるが、工業的には酸性化し遊離カルボン酸とした後に晶析により単離するのが好ましい。
【0030】
以下に、遊離カルボン酸とした後に晶析により単離する方法について詳述する。
上記加水分解反応終了後に、系内で生成した没食子酸塩に作用させる酸としては、塩酸、硫酸等の鉱酸;スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂;ゼオライト;タングステン酸、モリブデン酸を含むヘテロポリ酸、固体酸触媒等が挙げられ、このうち、塩酸又は硫酸、若しくは、スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂が好ましい。
【0031】
酸の使用量は系内で生成した没食子酸塩が遊離カルボン酸になるための必要量以上であればよいが、特に、反応液のpHが4.0以下、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下になるように酸を添加することが好ましい。
ここで、塩酸又は硫酸は、コストの面から好ましいが、無機塩が副生するため、これらの無機塩を結晶化し濾別する、または、目的物のカルボン酸を結晶化し濾取するといった没食子酸配糖体との分離操作が必要となる。一方、スルホン酸基を有する酸性イオン交換樹脂の場合、無機塩との分離の操作を必要としないという操作上の利点がある。
【0032】
一般式(3)で表される没食子酸配糖体を晶析することを考慮し、没食子酸塩に酸を作用させるときの溶媒としては水を用いるのが好ましい。通常、上記脱アシル化工程で得られる化合物を単離することなく、引き続き加水分解を行った場合には、アルコール系溶媒が混入することとなるが、アルコール系溶媒は酸性化によって副生する中性塩の溶解度を低下させ目的物の析出を阻害するおそれがあるため、酸を作用させる前、好ましくは加水分解反応中に共存するアルコール系溶媒を可能な限り留去しておくのが好ましい。
【0033】
酸を作用させる時の没食子酸塩の水溶液中の濃度は、没食子酸塩の重量と溶媒体積の百分率で、通常0.5〜50%(重量/体積)、好ましくは1〜20%(重量/体積)である。
一般式(3)で表される没食子酸配糖体は、上記のように酸を作用させることにより反応液から析出してくる結晶を濾取することにより単離精製することができる。その際に、回収率を向上させる目的で、反応液を冷却する、没食子酸配糖体の溶解度の低い溶媒を加える、又は、反応溶媒を一部留去した後に没食子酸配糖体の溶解度の低い溶媒を加える、などの方法を、単独又は複数を組み合わせて用いることもできる。
【0034】
その際に用いられる溶解度の低い溶媒としては、エタノール、プロパノール等のアルコール系化合物、テトラヒドロフラン;アセトニトリル;酢酸エチル等のエステル系化合物が挙げられる。
晶析の実施形態としては、副生する塩の種類により異なり、例えば、副生塩が一般式(3)で表される没食子酸配糖体より水又は貧溶媒に溶解しやすい場合には、そのまま目的とする没食子酸配糖体を析出させればよいが、副生塩が一般式(3)で表される没食子酸配糖体より水又は貧溶媒に溶解しにくい場合には、予め、副生塩を析出分離した後の液体から目的とする没食子酸配糖体を析出させ留方法が採られる。そのため、上述の溶解度の低い溶媒の使用量は、副生塩の種類によって異なり、没食子酸配糖体と共に副生塩が析出しないような量に適宜調整する必要がある。
【0035】
没食子酸配糖体を晶析させるときの温度は、通常、40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下である。但し、あまり温度が低すぎると結晶の粒径や不純物の巻き込み、副生塩との分離の点で問題があるため、通常、−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上の範囲で行われる。
得られた結晶はろ過、洗浄、乾燥という通常の後処理操作により製品とするが、水;メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、THF等の任意の有機溶媒;又は、水とこれらの有機溶媒の混合物を縣洗溶媒として使用して得られる結晶を洗浄しても良いし、必要に応じて、再結晶により精製することも可能である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
マグネット撹拌器、滴下ロート、トの字管、リービッヒ冷却器、減圧アダプタ−及び温度計を付した200mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル16.89g(20.0mmol)、水酸化ナトリウム0.80g(20.0mmol)及びメタノール168.8mLを仕込み、室温で30分撹拌し薄茶色溶液とした。内温64℃に昇温し同温でメタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させながら4時間反応させた。途中2時間後にメタノール42mLを追加した。149.9gの留出物を得たが、その中にはメタノール140.7g及び酢酸メチル9.2gが含まれていた。
【0037】
続いて室温まで冷却し得られた茶色オイルに、水80.8mL及び水酸化ナトリウム1.28g(32mmoL)を添加し、内温が80℃になるよう昇温し同温で反応させながら、反応液中に残存するメタノールなどを含む液体を留出させた。2時間後室温まで冷却してから、系内を35mmHgまで減圧し、内温35℃で減圧留去させながら30分反応した。34.2gの留出物を得たが、その中にはメタノール26.1gと水8.1gが含まれていた。また1H−NMR分析により、反応液中にメタノールおよび酢酸メチルが残存していないことを確認した。
【0038】
反応液を室温に冷却後、35%濃塩酸4.6mL(52.1mmoL)をゆっくりと加え、系内を酸性化しpH2に調整した。室温で撹拌しながら、種晶として純品の3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸1.0mgを添加、同温で1.5時間撹拌したところ白色沈殿が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水10mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸8.94g(18.1mmoL)を白色結晶として得た。収率90%、純度93.9%(電位差滴定法)、含水分6.8重量%であった。
【0039】
実施例2
マグネット撹拌器、滴下ロート、トの字管、リービッヒ冷却器、減圧アダプタ−及び温度計を付した200mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル16.89g(20.0mmol)、水酸化ナトリウム0.80g(20.0mmol)及びメタノール211mLを仕込み、室温で30分撹拌し薄茶色溶液とした。内温が64℃となるように昇温し、反応器気相部に窒素ガスを50mL/minの流速で流通させながら、同温でメタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させ反応させた。1時間後反応液を室温まで冷却してから、系内を125mmHgまで減圧し、内温30℃で減圧留去させながらさらに1時間反応した。146.6gの留出物を得たが、その中にはメタノール141.1g及び酢酸メチル9.2gが含まれていた。
【0040】
続いて室温まで冷却し得られた茶色オイルに、水140mL及び水酸化ナトリウム1.28g(32mmoL)を添加し、系内を75mmHgまで減圧し、内温35℃で残存するメタノールなどを含む液体を減圧留去させながら4時間反応した。その間に51.2gの留出物を得た。その留出物はメタノール25.8gと水25.4gが含まれていた。反応液に水25mLを加え、留出した水分を補充した。また反応液の1H−NMR分析によりメタノールおよび酢酸メチルが残存していないことを確認した。
【0041】
室温に冷却後、強酸性イオン交換樹脂SK1BH(2meq/mL)47.5mLをゆっくりと加え、系内を酸性化しpH2に調整した。水80mLを加え、室温で1時間撹拌後、樹脂をろ別した。室温で1時間撹拌したところ白色沈殿が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水10mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸7.99g(16.2mmoL)を白色結晶として得た。収率81%、純度96.8%(電位差滴定法)、含水分7重量%であった。
【0042】
さらにろ液を約20%重量まで濃縮後、室温で1時間撹拌すると白色結晶が析出した。沈殿をろ取し、5℃に冷却した水6mLで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸1.7g(3.4mmoL)を白色結晶として得た。収率17%、純度98.9%(LC絶対検量線法)。
実施例3
マグネット撹拌子、滴下ロート、温度計、抜き出しコック付きジムロートコンデンサーを付した50mL三口フラスコに、3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル0.42g(0.5mmol)、水酸化リチウム1水和物84mg(2mmol)及びメタノール20mLを仕込み、加熱してリフラックスし、メタノールおよび生成する酢酸メチルを留去させながら30分反応させた。反応液の液量がほぼ一定になるように、途中、メタノール計20mLを適宜追加した。
【0043】
続いて、反応系に水1mLを添加し、内温70℃にて1時間、さらに水1mLを追加して1時間反応させた。
反応液を室温まで冷却した後、35%濃塩酸を加え、系内を酸性化しpH2に調整した。室温で撹拌しながら、エタノール5mL、更に種晶として純品の3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸触媒量を加えたところ、白色沈殿が析出した。この沈殿をろ取し、エタノールで洗浄した後、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸0.13g(0.26mmoL)を白色結晶として得た。収率53%、純度98.0%(LC絶対検量線法)であった。
【0044】
比較例1
50mlフラスコ中に3,5−ビス−O−(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシル)没食子酸メチルエステル1.69g(2mmoL)、エタノール6mL及び20%ナトリウムエチラートエタノール溶液6.5mL(16.6mmoL)を加え内温73℃にて2時間反応させた。引き続き、エタノールおよび酢酸エチルを留去した後、エタノール6mL、水4mLおよび10%水酸化ナトリウム水溶液2mL(5mmoL)を加え63℃となるように加温し3時間反応させた。反応終了後、氷水冷却下、濃硫酸を加えて反応系を酸性化、析出した固体を濾別した。得られた粗結晶に水7mLを加えて縣洗した後、結晶を濾取、減圧乾燥し、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸を含む結晶2.35gを得たが、この結晶の大部分は硫酸ナトリウムであり、3,5−ビス−O−グルコシル没食子酸の含有量はLC絶対検量法により13重量%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、工業上の使用が容易な助剤の存在下、工業上簡便な操作により高純度のジグリコシル化没食子酸誘導体を効率的に製造することが可能となる。
Claims (5)
- 脱アシル化反応をアルコール溶媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 脱アシル化反応において副生するカルボン酸エステル類の留去を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- アシル基がアセチル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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2003
- 2003-01-10 JP JP2003004520A patent/JP2004217540A/ja active Pending
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