JP4818069B2 - 耐熱性導電部材、燃料電池用合金部材及び燃料電池用集電部材並びにセルスタック、燃料電池 - Google Patents

耐熱性導電部材、燃料電池用合金部材及び燃料電池用集電部材並びにセルスタック、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、Crを含有する合金の表面を被覆層により被覆してなる耐熱性導電部材、燃料電池用合金部材及び燃料電池用集電部材並びにセルスタック、燃料電池に関する。
次世代エネルギーとして、近年、例えば、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
固体電解質形燃料電池は、複数の燃料電池セルを電気的に接続したセルスタックを収納容器内に収容して構成され、燃料電池セルの燃料極側に燃料ガス(水素)を流し、空気極側に空気(酸素)を流して600〜900℃の高温で発電される。燃料電池セル間を電気的に接続するためには、従来からフェルト状や板状の集電部材が用いられている。
このような集電部材としては、導電率の高い合金が採用され、さらに高温下で使用されることから、耐熱合金が望ましく採用され、このような導電率の高い耐熱合金として、Crを10〜30質量%含有する合金が一般的に用いられる。
しかしながら、Crを含有する合金からなる集電部材を燃料電池セル間に介装し、複数の燃料電池セルを電気的に接続した場合、燃料電池を長期間発電させると、集電部材中のCrが集電部材の外部に拡散してしまい、拡散したCrは空気極と固体電解質との界面に達し、活性を劣化させてしまう。この現象はいわゆるCr被毒といわれ、燃料電池セルの発電能力低下をまねく結果につながることとなる。
このようなCr被毒を防止するため、従来、Crを含有する合金の表面をMn、Fe、Co、Niで被覆することが行われている(特許文献1参照)。
特表平11−501764号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように、Cr含有合金の表面をMn、Fe、Co、Niで被覆した場合、この被覆層によりCr含有合金からのCrの拡散をある程度抑制することができるものの、未だCrの拡散量が多いという問題があった。
本発明は、Cr拡散が殆どない耐熱性導電部材、燃料電池用合金部材及び燃料電池用集電部材並びにセルスタック、燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の耐熱性導電部材は、Fe−Cr系合金またはNi−Cr系合金からなるとともに、Mnを含有する耐熱性合金の表面を、Znを含む被覆層により被覆してなるとともに、前記耐熱性合金と前記被覆層との間に、Zn及びMnを含有する酸化物からなる中間層が形成されていることを特徴とする。
本発明の耐熱性導電部材では、Crを含有する合金、特に合金がCr及びMnを含有する場合には、Znを含む被覆層を所定温度にて熱処理することにより、ZnOからなる被覆層と、この被覆層と合金との界面に、Zn及びMnを含有する酸化物からなる中間層が形成される。
この中間層のZn及びMnを含有する酸化物は、スピネル構造、コランダム構造、ウルツ鉱構造及び岩塩構造のうち少なくとも一種、またはこれらと類似の構造を有する金属酸化物である。特には、Zn及びMnを含有する酸化物は、(Zn,Mn)Mn及びZnO−MnO固溶体のうち少なくとも一種から形成される。この中間層には、Feを含有することもある。
このような中間層は熱力学的に安定であるためにCrが固溶し難く、合金から被覆層へのCrの拡散が抑制されると考えられる。このメカニズムによれば、合金にさらにFeが含有される場合においても、Feは中間層に固溶するが、Crは固溶しにくいために、合金から被覆層へのCrの拡散が抑制される。
本発明の耐熱性導電部材は、前記合金の表面にZnを含有する膜を形成し、熱処理して、前記合金の表面に、前記中間層、前記被覆層を順次形成してなることを特徴とする。本発明では、Mn、Crを含有する合金の表面に、Zn、ZnOを含有する膜を形成し、熱処理することにより、合金中のMnと膜中のZnが反応して緻密質な中間層を形成し、その表面にZnOを含有する被覆層を形成することができる。
本発明の燃料電池用合金部材は、前記耐熱性導電部材を燃料電池用として用いたことを特徴とする。このような燃料電池用合金部材では、合金から被覆層へのCrの拡散が抑制され、燃料電池の特性劣化を防止することができる。
本発明の燃料電池用集電部材は、燃料電池セルからの集電を行う集電部材が、前記燃料電池用合金部材からなることを特徴とする。このような燃料電池用集電部材では、良好な導電性を有するとともに、Crを含有する合金からなる集電部材からのCrの拡散が抑制され、Crが空気極と固体電解質との界面に達し、活性を劣化させることを防止できる。
本発明のセルスタックは、複数の燃料電池セル間に、前記燃料電池用集電部材を介装して、電気的に接続してなることを特徴とする。また、前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが、導電性セラミック材料により接合され、電気的に接続されていることを特徴とする。さらに、前記燃料電池用集電部材と前記導電性セラミック材料との間には、前記ZnOと前記導電性セラミック材料の混合層が形成されていることを特徴とする。また、前記被覆層は、前記中間層よりも多孔質であることを特徴とする。
このようなセルスタックでは、仮に、導電性セラミック材料の熱膨張係数が被覆層より高い場合であっても、混合層の存在により、導電性セラミック材料と被覆層との間の熱膨張差による応力を緩和することができ、また被覆層は多孔質であるためさらに熱膨張差による応力を緩和することができ、燃料電池セルと燃料電池用集電部材間の電気的接続信頼性を向上することができる。一方、上記のようにして作製された中間層は緻密質であるため、合金中のCrは蒸発し難くなる。
本発明の燃料電池は、上記セルスタックを収納容器内に収納してなることを特徴とする。
このような燃料電池により、電圧低下の少ない長期信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。
本発明によれば、Crを含有する合金からのCrの拡散を著しく抑制でき、例えば、Crが空気極と固体電解質との界面に達する、いわゆるCr被毒を防止でき、燃料電池の経時的な発電能力低下を抑えることができる。
図1は本発明の燃料電池用集電部材20を示す斜視図であり、図2及び図3は図1に示す集電部材20の被覆層の被覆状態を示す説明図であって、図2(a)は図1に示すA−A線断面図、図2(b)は(a)の一部を拡大して示す断面図、図3は図1に示すB−B線断面図である。
本発明の燃料電池用集電部材20は、図1に示すように、例えば耐熱性合金の板を櫛刃状に加工し、隣り合う刃を交互に反対側に折り曲げて構成されている。この集電部材20は、Crを含有する合金からなる集電本体201の表面に、Znを含む材料からなる被覆層202が設けられて構成されている。集電本体201の全表面はZnを含む被覆層202により被覆されている。尚、本発明の燃料電池用集電部材は、図1に示すような形状のものに限定されるものではなく、例えば、円筒状、メッシュ状のものであっても良い。
集電本体201としては、導電性及び耐熱性の高いCrを10〜30質量%含有する合金、例えばFe−Cr系合金、Ni−Cr系合金等が採用され、特にMnを含有するものである。また、被覆層202は、Znを含む材料、例えば、ZnOからなるものである。
また、本発明の燃料電池用集電部材は、集電本体201と被覆層202との間に、緻密質な中間層203が形成されている。この中間層203は、集電本体201に、被覆層202を形成するための、例えば、ZnOを含有するペーストを塗布し、所定温度で熱処理することにより、集電本体201の成分と反応し、緻密質な層である中間層203、中間層203よりも多孔質な被覆層202を形成することができる。尚、図2(a)、図3では、中間層203の記載を省略した。
集電本体201のCrはガス化し、少しでも空隙があるとその空隙から拡散してしまうので、この中間層203は、集電本体201の表面全面に、かつより緻密に設けられる必要がある。被覆層202は、ディッピング(被覆層用ペースト中に集電本体201を浸漬する浸漬塗布法)またはメッキや蒸着などの方法により被覆される。
ディッピングの場合、被覆層202の厚みは、5〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。ディッピング時のエアーの巻き込みなどにより空隙が生じる場合があるが、厚みを5μm以上とすることにより、エアーの巻き込みなどにより空隙発生を防止でき、50μm以下とすることにより、集電本体201との熱膨張差により被覆層202に発生する応力を最小限に抑制することができ、被覆層202作製も容易とすることができ、さらに、導電性低下も抑制できる。
一方、メッキの場合、被覆層202の厚みは、3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。厚みを3μm以上とすることにより、集電本体201全面に容易に被覆層202を形成することができ、30μm以下とすることにより、集電本体201との熱膨張差により被覆層202に発生する応力を最小限に抑制することができ、被覆層202作製も容易とすることができる。
また中間層203の厚みは100μm以下、特に50μm以下、より好ましくは0.1〜10μmが望ましい。この範囲内であれば、集電金属との熱膨張係数差により応力が発生することがなく、クラックが発生しない。
また、メッキにより被覆層202を形成する場合は、ディッピングより緻密に形成できるため、より薄層の被覆層202を形成できるという点から望ましい。
集電本体201への被覆層202の形成は、メッキの場合はZn層からなる被覆層202が形成され、ディッピングによる場合は、被覆層用ペースト中に分散される粉末にもよるが、Zn層、ZnO層等からなる被覆層を形成でき、熱処理により、或いは発電時の加熱により、前記中間層203を生成し、ZnO層からなる被覆層202を形成できる。
中間層203は、スピネル構造、コランダム構造、ウルツ鉱構造及び岩塩構造のうち少なくとも一種、またはこれらと類似の構造を持つ金属酸化物である。特に、主に(Zn,Mn)Mnからなるもので、ZnO−MnO固溶体を含有していても良い。また、中間層203には、Feを含有する場合があり、このFeは、例えば、(Zn,Mn)MnまたはZnO−MnO固溶体に固溶する。
尚、集電部材を導電性とするためには、純粋な(Zn,Mn)Mn、ZnOは絶縁性であるため、中間層203、被覆層202の厚みを極力薄くしないと、一定温度において所望の導電性を有することは困難である。しかしながら、実際は、純粋な(Zn,Mn)Mnからなる中間層203、純粋なZnOからなる被覆層202とはならず、何らかの元素を含有し、例えば、熱処理時に集電基材201の成分が中間層203、被覆層202に拡散したり、被覆層202を形成するための原料中に存在する不純物により、中間層203、被覆層202の導電率が高くなるため、その分も考慮すると、純粋な(Zn,Mn)Mnからなる中間層203、純粋なZnOからなる被覆層202の厚みよりも厚くしてもある一定の導電性を有する。
以上のように構成された燃料電池用集電部材では、下記のような作用効果を発揮できる。即ち、固体電解質形燃料電池では発電させるために600〜1000℃程度の高温とする必要があり、集電部材20も600〜1000℃の高温下で使用されることとなるが、このとき集電本体201からはCrがCrガスとなって拡散しようとする。しかしながら、集電本体201の表面にZnOからなる被覆層202が設けられた本発明の場合には、中間層203によりCrの外部への拡散が抑制できる。
本発明者によれば、理由は明確ではないが、集電本体201から拡散したCrは、集電本体201と中間層203との界面付近において、Crの膜を形成するが、熱力学的な安定性により中間層203にCrが固溶しにくいZn−Mn−O化合物層が生成し、緻密な中間層203が形成されるために、合金から被覆層202へCrが拡散せずに、Crガスが中間層203よりも外部に拡散することを抑制でき、燃料電池セルの空気極と固体電解質との界面にまで達するのを防止することができる。上記メカニズムによれば、集電本体201にさらにFeが含有される場合においても、Feは中間層に固溶するが、Crは固溶しにくいために、同様にCr飛散が抑制される。さらに、これらの反応は拡散律則であり、温度、時間に依存すると考えられるため、使用用途によって被覆するZnOの厚さを制御することができ、結果としてCrの飛散を抑制し、いわゆるCr被毒を防止できる。
さらにこの中間層は緻密であるため、物理的にも気化した酸化Crガスが通過しにくい。
尚、上記形態では、櫛歯状の集電部材20について説明したが、本発明では、集電部材の形状は限定されるものではなく、種種の形状を採用することができる。
(セルスタック、燃料電池)
本発明の集電部材20を用いて作製したセルスタック、燃料電池について説明する。図4に燃料電池セルを、図5に燃料電池セル同士を集電部材20により電気的に接続したセルスタックを示す。
本発明の燃料電池用集電部材20は、図5に示すように、図4の燃料電池セル1間に配置され、複数の燃料電池セル1を電気的に接続して本発明のセルスタックが構成されている。先ず、燃料電池セル1について説明する。
燃料電池セル1は、図4に示すように、内部に幅方向に適当な間隔で設けられ、複数の燃料ガス通路16が軸長方向に延設された中空平板状の支持基板10を備え、この支持基板10上に各種の部材が設けられた構造を有している。
支持基板10は多孔質、導電性であり、横断面が平坦部と平坦部の両端の弧状部とからなっている。平坦部の対向する一対の面の一方とその両側の弧状部を覆うように多孔質な燃料極層2が設けられており、さらに、この燃料極層2を覆うように、緻密質な固体電解質層3が積層されており、この固体電解質層3の上には、燃料極層2に対応するように、多孔質な導電性セラミック材料からなる空気極層4が積層されている。また、燃料極層2及び固体電解質層3が積層されていない平坦部の他方の面には、緻密なインターコネクタ5が形成されている。このインターコネクタ5の表面には、空気極材料層14が形成されている。尚、この空気極材料層14については必ずしも形成する必要はない。図4から明らかな通り、燃料極層2及び固体電解質層3は、インターコネクタ5の両サイドにまで延びており、支持基板10の表面が外部に露出しないように構成されている。
このような構造の燃料電池セル1では、燃料極層2の空気極層4と対面している部分が燃料極として作動して発電する。即ち、空気極層4の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持基板10内のガス通路16に燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより、空気極層4で下記式(1)の電極反応を生じ、また燃料極層2の燃料極となる部分では例えば下記式(2)の電極反応を生じることによって発電する。
空気極: 1/2O+2e → O2− (固体電解質) …(1)
燃料極: O2− (固体電解質)+ H → HO+2e…(2)
かかる発電によって生成した電流は、支持基板10に取り付けられているインターコネクタ5を介して集電される。
このような複数の燃料電池セルの間には、図5に示すように、本発明の集電部材20が介装され、電気的に接続され、これによりセルスタックが構成されている。即ち、一方の燃料電池セル1の空気極層4に集電部材20が導電性セラミック材料からなる多孔質な導電性接合材25により接合され、また集電部材20は、隣設する他方の燃料電池セル1の空気極材料層14に導電性接合材25により接合され、これにより、複数の燃料電池セル1が電気的に直列に接続され、セルスタックが構成されている。導電性接合材25としては、通常、空気極材料として用いられる、例えばLa−Co系等の導電性ペロブスカイト型複合酸化物や、Ag、Ag−Pd等が用いられる。
図6は、集電部材20と導電性接合材25との間に、集電部材20の被覆層202を形成するZnOと導電性セラミック材料との混合層27が形成されている。導電性接合材25を構成する、例えばLa−Co系等の導電性ペロブスカイト型複合酸化物は、熱膨張係数が15×10−6/℃程度であり、集電部材20の被覆層202を形成するZnOは7×10−6/℃程度であり、その熱膨張係数差が大きいが、混合層27が形成されているため、各材料の熱膨脹差で発生する応力を緩和することができる。この混合層27の厚みは、応力緩和という点から5μm以上が望ましい。また、導電性接合材25を用いずに、この混合層27を空気極、インターコネクタに直接接合しても良い。
このようなセルスタックは、図示しないが燃料ガスが供給されるマニホールドに配置され、マニホールド内に供給された燃料ガスが燃料電池セル1のガス通路16内を上方に通過していくことになる。
燃料電池は、上記したセルスタックを収納容器内に収容し、この収納容器に、都市ガス等の燃料ガスを供給する燃料ガス導入管、空気を供給するための空気導入管を配設することにより構成される。
尚、上記形態では、本発明の燃料電池用合金部材を、耐熱性と導電性を要求される集電部材20として用いた場合について説明したが、収納容器内に収容される他の耐熱性合金からなる部品、例えば、上記したマニホールド用として、また改質器用として、さらには収納容器の壁材として用いることができる。
また、本発明の耐熱性導電部材を燃料電池用として用いた場合について説明したが、例えば、酸素センサのリード部等の高温雰囲気で導電性を有するもの、具体的には、従来高温雰囲気で導電性を示すものとして使用されていたPtの代用として使用することができる。因みに、酸素センサ等のリード部では、高温で導電性を確保するため、Pt等の貴金属を用いており、高価であったが、本発明の耐熱性導電部材を用いることにより、安価とすることができる。さらに、自動車用のエンジン、排気ガス管、焼却炉、焼成炉、給湯器の熱交換部等に、本発明の耐熱性導電部材を用いることができる。
まず、平均粒径0.6μmのZnO粉末、平均粒径0.4μmのFe粉末、平均粒径0.5μmのCo粉末、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、アクリル系バインダーと、希釈材としてのミネラルスピリッツとを重量比で100:5:72になるように調合し、被覆層のディッピング液を作製した。
この後、厚さ0.4mmで幅20mm、長さ120mmのFe−Cr系耐熱性合金板(Fe75質量%含有、残部Cr、Mn、Ni含有)からなる集電本体を、ディッピング液との濡れ性を高めるべく、大気中1050℃で熱処理し、この後、ディッピング液中に浸漬し、集電本体全面に塗布し、乾燥させた。この後、130℃で1時間、500℃で2時間脱バインダー処理した後、ZnO粉末を用いた被覆層では1050℃で2時間、炉内で焼付を行い、厚みが15μmの被覆層を形成した。作製された被覆層はZnOから構成されていた。
尚、Fe粉末、Co粉末、NiO粉末を用いた被覆層についても1050℃で2時間、炉内で焼付を行い、厚みが15μmの被覆層を形成した。
そして、平均粒径0.5μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末(LSCF)と、アクリル系バインダーと、グリコール系溶剤を添加して得られたスラリー中に、被覆層が形成された集電部材を浸漬し、被覆層表面に、厚さ15μmのLSCF膜を形成し、テストピース(試料)を作製した。
このテストピースを、作製後、及び850℃で20%水蒸気を含む大気雰囲気に100時間晒した後、LSCF膜の断面をEPMA(波長分散型X線マイクロアナライザー)により確認した。EPMAの分析は日本電子製のJXA−8100を用い、測定条件として、加圧電圧15kV、プローブ電流2.0×10−7A、分析エリア50μm×50μmとした。また、分光結晶をLiFとした。被覆層とLSCF層との界面からLSCF層側に10μmのところで、Crの含有量に比例するカウントを測定し、その結果を表1に記載する。また、Feからなる被覆層でのCrのカウントを基準とし、1.0とし、それぞれの被覆層のCrのカウントとの比を求め、表1中の括弧内に記載した。
尚、LSCF膜は、Crと容易に反応して反応生成物を形成するため、被覆層から外部にCrが拡散した場合には、必ずLSCF膜でCrの反応生成物を形成する。従って、LSCF膜の断面中におけるCrのカウントが小さいほど、被覆層から外部へのCr拡散量が少ないことになる。
また、試料No.2の集電部材と被覆層との界面部を詳細に分析するために、FIB(収束イオンビーム加工装置)を用いて切り出した界面部をTEM(透過電子顕微鏡)分析した。TEMの分析には日本電子製のJEM2010Fを用い、加速電圧200kVで観察し、そのTEM写真(6000倍)を図7(a)に、TEM写真(3万倍)、電子回折像(ZnMn)を図7(b)に記載した。
また、TEM−EDS(エネルギー分散型X線分光分析装置)を用いて集電部材と被覆層との界面に生成した中間層の元素分析を行い、Cr、Zn、Mnの分布結果を、図8に示した。これらの結果から得られた界面の模式図を図9に示す。3万倍のTEM写真から中間層にはボイドがなく、緻密であることを確認した。また、合わせて電子回折像とTEM−EDSの解析結果から中間層はZnMnであり、Feが固溶していた。さらに、被覆層は、ZnOからなり、Fe及びMnが固溶していた。
この表1からわかるように、Fe粉末で被覆層を形成した試料No.3では、作製後、被覆層とLSCF層との界面からLSCF層側へ10μmの地点でのCrの量が、カウント数で20であった。これをカウント比1.0とした場合、拡散防止層の無いLSCF層だけのもの(試料No.1)が1.8であり、Co粉末、NiO粉末を用いた被覆層(試料No.4、5)でもそれぞれFe粉末を用いたものとほぼ同等であった。
これに対し、本発明のZnO粉末を被覆層に用いたもの(試料No.2)は0.1と少ないことが判る。また850℃、20%水蒸気を含む大気下で100時間曝した後でも、カウント比が0.1と小さく、本発明の燃料電池用合金部材ではCr拡散が非常に小さいことが判る。
図4に示す燃料電池セルを3本配列させ、3本の燃料電池セル間に実施例1の試料No.2の集電部材(図1〜図3)をそれぞれ介装し、実施例1で用いたLSCFで集電部材と燃料電池セルの空気極、インターコネクタ表面の酸素極材料層にそれぞれ接合し、図5に示すようなセルスタックを作製した。
このセルスタックを750℃に加熱し、燃料電池セルの燃料ガス通路に燃料利用率が75%となる量の水素を供給した。また、燃料電池セルの周囲に空気を30L/min供給し、このときの電流密度は3000A/mとした。2つの集電部材にそれぞれ電圧測定端子を接合し、中央の燃料電池セルの出力を測定したところ、660mVであった。
本発明の被覆層が被覆された集電部材の一例を示す斜視図である。 (a)は図1に示すA−A線に沿った断面図、(b)は、(a)の拡大断面図である。 図1に示すB−B線に沿った断面図である。 燃料電池セルの断面斜視図である。 本発明の燃料電池セルスタックの説明図である。 集電部材の被覆層と導電性接合材との間に混合層を形成した断面図である。 試料No.2のTEM写真である。 試料No.2のCr、Zn、Mnの分布図である。 試料No.2の集電部材と被覆層との界面の模式図である。
符号の説明
20・・・集電部材
27・・・混合層
201・・・集電本体
202・・・被覆層
203・・・中間層

Claims (8)

  1. Fe−Cr系合金またはNi−Cr系合金からなるとともに、Mnを含有する耐熱性合金の表面を、Znを含む被覆層により被覆してなるとともに、前記耐熱性合金と前記被覆層との間に、Zn及びMnを含有する酸化物からなる中間層が形成されていることを特徴とする耐熱性導電部材。
  2. 前記合金の表面にZnを含有する膜を形成し、熱処理して、前記合金の表面に、前記中間層、前記被覆層を順次形成してなることを特徴とする請求項記載の耐熱性導電部材。
  3. 請求項1又は2に記載の耐熱性導電部材を燃料電池用として用いたことを特徴とする燃料電池用合金部材。
  4. 燃料電池セルからの集電を行う集電部材が、請求項記載の燃料電池用合金部材からなることを特徴とする燃料電池用集電部材。
  5. 複数の燃料電池セル間に、請求項記載の燃料電池用集電部材を介装して、前記複数の燃料電池セルを電気的に接続してなることを特徴とするセルスタック。
  6. 前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが、導電性セラミック材料により接合され、電気的に接続されていることを特徴とする請求項記載のセルスタック。
  7. 前記燃料電池用集電部材と前記導電性セラミック材料との間には、前記ZnOと前記導電性セラミック材料の混合層が形成されていることを特徴とする請求項記載のセルスタック。
  8. 請求項乃至のうちいずれかに記載のセルスタックを収納容器内に収納してなることを特徴とする燃料電池。
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