JP2015122303A - 固体酸化物形燃料電池用金属部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属部材と金属部材表面に形成するめっき層との剥離を防止しつつ、且つ、Cr蒸発を抑制可能な固体酸化物形燃料電池用金属部材を提供する。【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼板上にめっき層を有する固体酸化物形燃料電池用金属部材であって、前記めっき層は、フェライト系ステンレス鋼鈑側からNiめっき層、Cuめっき層、Mnめっき層の順に形成されており、且つ、前記Niめっき層の厚さが100nm以下である固体酸化物形燃料電池用金属部材。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、セパレータ、インターコネクタ、集電体等の固体酸化物形燃料電池用金属部材に関するものである。
固体酸化物形燃料電池は、600〜1000℃程度の高温で作動するため、その発電効率が高いこと、SO、NO、COの発生量が少ないこと、負荷の変動に対する応答性が良いこと、燃料多様性に対応できること、コンパクトであること等の優れた特徴を有するため、火力発電の代替としての大規模集中型、都市近郊分散配置型、及び自家発電用分散電源、自動車等の補助電源等の幅広い発電システムへの適用が期待されている。その中で、セパレータ、インターコネクタ、集電体等の固体酸化物形燃料電池用の部材には、当初、作動温度の主流が1000℃程度の高温であったため、耐酸化性、電気伝導性、及び、電解質・電極に近い熱膨張係数等の特性を要求されることからセラミックスが多く用いられてきた。
しかし、セラミックスは加工性が悪く、高価であること、また、近年、固体酸化物形燃料電池の作動温度が低下し、600〜900℃程度になってきたことから、例えば、セパレータの部材等にはセラミックスより安価で、かつ加工性が良く、耐酸化性の優れた金属部材を用いる検討が盛んに行われている。
前述の固体酸化物形燃料電池用に用いられる金属部材には、優れた耐酸化性が求められ、本願出願人も特開2007−16297号公報(特許文献1)、特開2005−320625号公報(特許文献2)、WO2011/034002号パンフレット(特許文献3)、WO2012/144600号パンフレット(特許文献4)等として、耐酸化性に優れるフェライト系ステンレス鋼を提案している。
ところで、上述した金属部材を用いる場合、その金属部材は高温での耐酸化性と電気伝導性を両立するためにCrを含有するものである。Crを含有する金属部材は高温での使用中、表面にCrの酸化被膜を形成し、これにより耐酸化性と電気伝導性を担保している。しかし、Crの酸化被膜からCrが蒸発し、固体酸化物形燃料電池の空気極と電解質との界面でCrが反応することで固体酸化物形燃料電池の発電性能が劣化するCr被毒と呼ばれる課題がある。そのため、Cr被毒を防ぐ方法として金属部材に酸化物をコーティングすることで金属部材からのCr蒸発を抑制することが検討されている。
代表的なコーティングとしては特にMnまたはCoの少なくとも1種を含有する酸化物を利用する例が良く知られており、例えば、特表平11−501764号公報(特許文献5)にはMnを含む酸化物を金属部材上に形成したコーティングが提案されている。
この特許文献5に記載のコーティング層は、金属部材表面に形成されるCrスピネル層上にMn、Fe、Co、およびNiから成る群から選択される少なくとも1種の金属Mを含んで成る酸化物表面層が形成されるものである。また、特許文献5で記されるコーティングの方法は、以下に示す種々の方法で行うとするものである。
有機または無機媒体に保持された酸化物スラリーの塗装(painting)、熱(hot)または冷(cold)基材上への酸化物のスラリー吹付(slurry-spraying)、熱基材上へのM金属塩の噴霧熱分解(spray-pyrolysis)、溶射(flame-spraying)、溶液吹付(solution-spraying)、流れコーティング(flow-coating)、M金属塩への基材の浸漬および加熱(適切な厚みが得られるまで繰り返す必要がある場合もある)、スクリーン印刷(screen-printing)、電着(electrolytic-deposition)、電気泳動付着(electro-phoretic-deposition)、酸化物標的からの物理的または化学的蒸発、標的からの酸化物層のスパッタリング(sputtering)(例えば、RF)、静電吹付(electrostatic-spraying)、プラズマ吹付(plasma-spraying)、レーザー法、例えば、電気めっき、無電解めっき、スパッタリング(例えば、DCマグネトロン)、蒸発またはスラリーコーティングなどによる金属の蒸着、それに続くより高い温度での酸化、イオンビーム蒸発(ion-beam-evaporation)、が開示される。
特開2007−016297号公報 特開2005−320625号公報 WO2011/034002号パンフレット WO2012/144600号パンフレット 特表平11−501764号公報
この特許文献5では、表面酸化層、Crスピネル層自体が有する特性が考慮されているものである。また、特許文献5で開示されるコーティング層の形成方法の中には、金属部材上にめっき法でコーティング層を形成すると、剥離し易い元素があるが、コーティング層の剥離の問題については何等検討がなされていない。
また、表面酸化層となる元素の中には、燃料電池として使用中の高温下において、金属部材に拡散を生じ、その拡散によって金属部材の金属組織を変化させるおそれがあるものがある。しかしながら、コーティング層を形成する元素と、金属部材との拡散については、何等検討がなされていない。
本発明の目的は、金属部材と金属部材表面に形成するめっき層との剥離を防止しつつ、且つ、Cr蒸発を抑制可能な固体酸化物形燃料電池用金属部材を提供することである。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
すなわち本発明は、フェライト系ステンレス鋼板上にめっき層を有する固体酸化物形燃料電池用金属部材であって、前記めっき層は、フェライト系ステンレス鋼鈑側からNiめっき層、Cuめっき層、Mnめっき層の順に形成されており、且つ、前記Niめっき層の厚さが100nm以下である固体酸化物形燃料電池用金属部材である。
好ましくは、前記Niめっき層の厚さは2〜10nmである固体酸化物形燃料電池用金属部材である。
更に好ましくは、前記Cuめっき層の厚さが0.1〜5.0μm、前記Mnめっき層の厚さが0.1〜5.0μmである固体酸化物形燃料電池用金属部材である。
更に好ましくは、前記Cuめっき層の厚さと前期Mnめっき層の厚さが、
(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦1
である固体酸化物形燃料電池用金属部材である。
本発明によれば、固体酸化物形燃料電池用金属部材とその金属部材表面に形成するめっき層との剥離を防止することができる。また、本発明によれば、Cr蒸発をより確実に抑制することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用金属部材断面の電子顕微鏡写真である。 本発明の固体酸化物形燃料電池用金属部材断面の透過電子顕微鏡写真である。 本発明例と比較例の固体酸化物形燃料電池用金属部材のCr蒸発試験結果である。 本発明例のCuめっき層とMnめっき層との厚さを変更した固体酸化物形燃料電池用金属部材のCr蒸発試験結果である。
上述したように、本発明の重要な特徴は、図1及び図2に示すように、フェライト系ステンレス鋼板1上に、フェライト系ステンレス鋼鈑側からNiめっき層2、Cuめっき層3、Mnめっき層4が、この順に形成されていることである。
Niめっき層は、フェライト系ステンレス鋼板とCuメッキ層の間にあって、両者の密着性を向上させるものである。Niめっき層が存在しない場合、固体酸化物形燃料電池の使用環境である600〜1000℃に曝された時、Cuめっき層とフェライト系ステンレス鋼板とに剥離が生じる可能性がある。
一方、Niめっき層が必要以上に厚い場合、Niがフェライト系ステンレス鋼板に拡散し、フェライト系ステンレス鋼板の表層近傍のNi濃度が高まることから、鋼板がオーステナイトに変態するおそれがある。固体酸化物形燃料電池に用いられる鋼板は隣接する電極や電解質材料との熱膨張係数の差が小さいことが求められ、このためフェライト系ステンレス鋼板が用いられている。鋼板のオーステナイト化により電極、電解質材料との熱膨張係数の差が大きくなり、結果として鋼板と電極、電解質材料との剥離が発生するおそれがある。このためNiめっき層の厚さは100nm以下(0を含まない)とする。
好ましいNiめっき層の厚さの上限は50nmである。なお、前述の剥離防止効果及び拡散防止効果をより確実なものとするには、Niめっき層の厚さを2〜10nmとするのが好ましい。なお、Niめっき層の厚さが数nmになる場合は、その厚さの測定は図2に示すように透過型電子顕微鏡を用いて任意の5〜10点を測定し、その平均を求めると良い。
次に、前述のNiめっき層上に形成されたCuめっき層は、固体酸化物形燃料電池の使用環境において、後述する上層のMnめっき層と反応して酸化膜を形成するためのものである。Cuめっき層はフェライト系ステンレス鋼板との密着性に劣るため、Niめっき層の上層に形成する必要がある。また後述のようにMnはCu、Ni、Feのいずれとも固溶拡散するが、CuはNi及びMnにのみ固溶する。このため薄いNiめっき層を形成する本発明においては、Cuめっき層のCuは、殆どMnめっき層に拡散させることができる。
なおCuめっき層の膜厚はCuとMnとが反応して形成する酸化膜の狙いとなる組成に応じて適宜形成することができる。しかし、Cuめっき層が極度に薄い場合は、狙いの酸化膜の形成が難しくなる場合がある。また逆に、極度に厚い場合はめっき膜の膜応力が高くなりすぎて剥離を生じる場合がある。そのため、好ましいCuめっき層の厚さの下限は0.1μmであり、好ましいCuめっき層の厚さの上限を5.0μmとすると良い。更に好ましい厚さの下限は0.3μmであり、更に好ましい厚さの下限は0.5μmである。好ましい上限は3.0μmである。
Mnめっき層は固体酸化物形燃料電池の使用環境において、上述した下層のCuめっき層と反応して酸化膜を形成する。MnはFe、Cu、Niのいずれとも固溶拡散しやすい金属である。さらにCu中のMnの拡散速度よりも、Ni中のMnやFe中のMnの拡散速度の方が速い。このことから、例えば、従来技術では考慮されていない、めっき層の順序が問題となる。例えばフェライト系ステンレス鋼板側からNiめっき層、Mnめっき層、Cuめっき層の順に形成した固体酸化物形燃料電池用金属部材は、固体酸化物形燃料電池の使用環境においてMnめっき層が下層のNiめっき層ならびにフェライト系ステンレス鋼板へと拡散してしまい、所望のCuとMnの酸化膜を形成することができなくなる。
従ってMnめっき層はCuめっき層の上層に形成する必要がある。
なお、Mnめっき層の厚さはCuとMnとが反応して形成する酸化膜の狙いとなる組成に応じて適宜形成することができる。しかしMnめっき層が極度に薄い場合は狙いの酸化膜の形成が難しく、また逆に極度に厚い場合はめっき膜の膜応力が高くなりすぎて剥離を生じる場合がある。そのため、好ましいMnめっき層の厚さの下限は0.1μmであり、好ましいMnめっき層の厚さの上限を5.0μmとすると良い。更に好ましい厚さの下限は0.3μmであり、更に好ましい厚さの下限は0.5μmである。好ましい上限は3.0μmである。
なお、Mnめっき層や前述のCuめっき層の厚さの測定は、図1に示すように走査型電子顕微鏡を用いて任意の5〜10点を測定し、その平均値を求めるのが良い。
上述したようにCuめっき層とMnめっき層との厚さはCuとMnとが反応して形成する酸化膜の狙いとなる組成に応じて適宜形成することができるが、それぞれの膜厚は次の関係を満足することが好ましい。
(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦1
CuはMnと比べて酸化しにくく、Cuめっき層の厚さがMnめっき層の厚さよりも大きい場合、十分に酸化が進行せずCr蒸発を抑制する効果が低くなる。そのため(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦1とする。好ましくは(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦0.6であり、より好ましくは(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦0.2である。
次に、本発明でフェライト系ステンレス鋼板を用いる理由について説明する。
固体酸化物形燃料電池用金属部材は700〜900℃程度で使用されるものであり、固体酸化物形燃料電池の電極や電解質との熱膨張係数の差が大きすぎると、金属部材と電極との接触が不十分になったり、電極や電解質の破壊につながる恐れがある。例えば電解質に用いられるセラミックスの熱膨張係数は11×10−6/℃程度であることから、熱膨張係数が16×10−6/℃程度となるオーステナイト系合金よりも熱膨張係数が12×10−6/℃程度であるフェライト系合金が好都合である。
また、基材(フェライト系ステンレス鋼板)単独でも700〜900℃程度の温度範囲において十分な耐酸化性や電気伝導性を有する必要がある。基材の耐酸化性が十分でない場合、700〜900℃程度での使用中に基材が異常酸化を示す場合がある。また基材の高温での電気伝導性が十分でない場合、コーティングを施しても電気伝導性は改善されないため、固体酸化物形燃料電池用金属部材として好ましくない。そのため、本発明の固体酸化物形燃料電池用金属部材の基材は、質量%でC:0.1%以下、N:0.1%以下、O:0.01%以下、Al:0.15%以下、Si:0.15%以下、Mn:0.1〜1.0%、Cr:20.0〜25.0%、Ni:0%を超えて1.0%以下、Cu:2.0%以下、La:0.02〜0.12%、Zr:0.01〜0.5%、La+Zr:0.03〜0.6%、W:3.0%以下、残部Fe及び不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板を用いることがより好適である。
なお本発明の固体酸化物形燃料電池用金属部材はプレス加工に代表される種々の塑性加工を施して使用することができる。そのため、基材となるフェライト系ステンレス鋼板が極度に厚い場合、適切な加工が困難になるばかりか、最終的に使用される固体酸化物形燃料電池の大型重量化を招く。また一方、フェライト系ステンレス鋼板が極度に薄い場合、使用中に基材の異常酸化を招く恐れがある。このため基材のフェライト系ステンレス鋼板の厚さは0.1〜3mmであることが好適である。より好ましい厚さの上限は1mm以下である。
以上説明する本発明の固体酸化物形燃料電池用金属部材の好ましい製造方法としては、所望の厚さに圧延したフェライト系ステンレス鋼板を用いて、そのフェライト系ステンレス鋼板上にNiめっき層、Cuめっき層、Mnめっき層の順に形成することである。
フェライト系ステンレス鋼板とすることで、コイルから巻出しつつめっき層を形成し、めっき層を形成したフェライト系ステンレス鋼板を巻取る、所謂、coil−to−coilで連続的にめっき層を形成することが可能となる。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
表1に示す組成の厚さが1mmのフェライト系ステンレス鋼板を用意した。Cr蒸発測定用の試験片寸法として10mm(w)×10mm(l)となるように切断し、試験片の表面を#1000のエメリー紙で研磨した。
前述の1mm(t)×10mm(w)×10mm(l)のフェライト系ステンレス鋼板の試料に、まず5nm厚狙いのNiストライクめっきを施し、その後、2μm厚狙いのCuめっきと1.7μm厚狙いのMnめっきを順次行って固体酸化物形燃料電池用金属部材とした。図1及び図2に本発明例のめっき形成ままでの断面を観察した電子顕微鏡写真を示す。
図1及び図2から、ほぼ狙い通りの厚さのめっき層がフェライト系ステンレス鋼鈑1側からNiめっき層2、Cuめっき層3、Mnめっき層4の順に形成されていることが分る。
続いてCr蒸発試験にてめっき膜の特性を評価した。
上記NiとCuとMnとをめっきしたフェライト系ステンレス鋼板を本発明例1とした。比較例1としてめっきを施さない状態でのフェライト系ステンレス鋼板を用いた。比較例2としてめっきを施さない状態のフェライト系ステンレス鋼板に850℃で500時間の酸化を施したCr蒸発測定用の試験片を用いた。Cr蒸発試験は1mm×10mm×10mmの試験片上にアルミナ製のセラミックスリング(外径13mm、内径9mm、高さ1.6mm)を載せ、さらにリング内に市販のランタンストロンチウムマンガナイト(以下、LSMと表記する)粉末0.2gを摺り切りで載せ、10%加湿空気中にて850℃で30時間加熱を行った。なお使用したLSMはランタンオキサイドを58質量%、マンガンオキサイドを33質量%、ストロンチウムオキサイドを9質量%含有しており、Crは含有していないことを試験前に確認した。加熱後にICP発光分析にて試験片上に載せたLSM粉末全量中のCr濃度を分析し、試験片からのCr蒸発量を評価した。図3に比較例1のCr蒸発量を1とした時の本発明例1と比較例1及び2のCr蒸発試験結果を示す。
本発明例1のフェライト系ステンレス鋼板は、最もCr蒸発量が少なくなる結果が得られた。一般にフェライト系ステンレス鋼板からのCr蒸発量は酸化処理を施さない状態で最も多くなり、酸化処理が長くなるほどCr蒸発量が減少する傾向がある。本発明で規定するめっき層の構成を有するフェライト系ステンレス鋼板は850℃×500時間の酸化を施した試料よりもCr蒸発量が少なく、十分なCr蒸発抑制効果が得られることが確認された。
続いて、前述の1mm(t)×10mm(w)×10mm(l)のフェライト系ステンレス鋼板の試料に、まず5nm厚狙いのNiストライクめっきを施し、その後、CuめっきとMnめっきの厚さを表2のような組み合わせで施し、固体酸化物形燃料電池用金属部材とした。
続いて、上記同様のCr蒸発試験法にて本発明例2〜6の特性を評価した。図4に比較例1のCr蒸発量を1としたときの本発明例のCr蒸発試験結果を示す。
本発明例2〜6のようにCuめっきとMnめっきとを施した固体酸化物形燃料電池用金属部材はいずれも比較例1に比べてCr蒸発量が少ないことがわかる。さらに、(Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦1となる本発明例2、3、4のCr蒸発量が特に抑制されていることがわかる。
なお本発明例1〜6のいずれの試験片においても各種試験中に基材からのめっき層の剥離は観察されず、良好な密着性を有することが確認された。
本発明はNiめっき層、Cuめっき層、Mnめっき層からなるコーティングを形成することで金属部材からのCr蒸発を抑制することが可能であり、固体酸化物形燃料電池用金属部材として好適である。また本発明は高温での耐酸化性に優れる金属部材であり、金属基材を棒鋼、線材、薄板、帯材、粉末、粉末焼結体、多孔質体、等の種々の形状に加工した後にめっき層を形成することで、熱交換器などの耐酸化性を要求される金属部材としても使用することができる。
1.フェライト系ステンレス鋼板
2.Niめっき層
3.Cuめっき層
4.Mnめっき層

Claims (4)

  1. フェライト系ステンレス鋼板上にめっき層を有する固体酸化物形燃料電池用金属部材であって、前記めっき層は、フェライト系ステンレス鋼板側からNiめっき層、Cuめっき層、Mnめっき層の順に形成されており、且つ、前記Niめっき層の厚さが100nm以下であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用金属部材。
  2. 前記Niめっき層の厚さが2〜10nmであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用金属部材。
  3. 前記Cuめっき層の厚さが0.1〜5.0μm、前記Mnめっき層の厚さが0.1〜5.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池用金属部材。
  4. 前記Cuめっき層の厚さと前記Mnめっき層の厚さが、
    (Cuめっき層の厚さ)/(Mnめっき層の厚さ)≦1
    であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固体酸化物形燃料電池用金属部材。

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