JP5573039B2 - 固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接触抵抗値が低く、かつ耐食性に優れる固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼およびその製造方法に関するものである。
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、CO2を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池はH2とO2から電気化学反応によって電気を発生させるもので、その基本構造はサンドイッチのような構造を有しており、電解質膜(イオン交換膜)、2つの電極(燃料極および空気極)、O2(空気)とH2の拡散層および2つのセパレータから構成される。そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池および固体高分子形燃料電池等が開発されている。
これらの燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池は、他の燃料電池に比べて、
(a) 発電温度が80℃程度であり、格段に低い温度で発電ができる、
(b) 燃料電池本体の軽量化、小型化が可能である、
(c) 短時間で立上げができ、燃料効率、出力密度が高い
等の利点を有している。
このため、固体高分子形燃料電池は、電気自動車の搭載用電源、家庭用または業務用の定置型発電機、携帯用の小型発電機として、今日最も注目されている燃料電池である。
固体高分子形燃料電池は、高分子膜を介してH2とO2から電気を取り出すものであり、図1に示すように、膜−電極接合体1を、ガス拡散層2,3(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータ4,5によって挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)とし、セパレータ4とセパレータ5との間に起電力を生じさせるものである。
なお、膜−電極接合体1は、MEA(Membrance-Electrode Assembly)と呼ばれていて、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数数10μm〜数100μmである。また、ガス拡散層2,3は、膜−電極接合体1と一体化される場合も多い。
固体高分子形燃料電池を前述した用途に適用する場合、上記のような単セルを直列に数十〜数百個つないで燃料電池スタックを構成して使用している。
ここに、セパレータ4,5には、
(A) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(B) 発生した電子を運ぶ導電体、
(C) O2(すなわち空気)とH2が流れる空気流路、水素流路、
(D) 生成した水やガスを排出する排出路
としての機能が求められる。
さらに、固体高分子型燃料電池を実用に供するためには、耐久性や電気伝導性に優れたセパレータを使用する必要がある。
耐久性に関しては、電気自動車の搭載用電源として使用する場合は、約5000時間と想定されている。また、家庭用の定置型発電機等として使用する場合は、約40000時間と想定されている。
したがって、セパレータには、長時間の発電に耐えられる耐食性が要求される。その理由は、腐食によって金属イオンが溶出すると電解質膜のプロトン伝導性が低下するからである。
また、電気伝導性に関しては、セパレータとガス拡散層との接触抵抗ができるだけ小さいことが望まれる。その理由は、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が大きいと、固体高分子型燃料電池の発電効率が低下するからである。つまり、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が小さいほど、発電特性が優れている。
現在までに、セパレータとしてグラファイトを用いた固体高分子型燃料電池が実用化されている。このグラファイトからなるセパレータは、接触抵抗が比較的小さく、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら、グラファイト製のセパレータは、衝撃によって破損しやすいので、小型化が困難なだけでなく、空気流路、水素流路を形成するための加工コストが高いという欠点がある。グラファイトからなるセパレータが有するこれらの欠点は、固体高分子型燃料電池の普及を妨げる原因になっている。
そこで、セパレータの素材として、グラファイトに替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼やチタン、チタン合金等を素材とするセパレータの実用化に向けて、種々の検討がなされている。
たとえば、特許文献1には、スタンレス鋼またはチタン合金等の不動態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかしながら、不動態皮膜の形成は、接触抵抗の上昇を招くことになり、発電効率の低下につながる。このため、これらの金属素材は、グラファイト素材と比べて接触抵抗が大きく、しかも耐食性が劣る等の改善すべき問題点が指摘されていた。
また、特許文献2には、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかしながら、薄い金めっきではピンホールの発生を防止することが困難であり、逆に厚い金めっきではコストの問題が残る。
さらに、特許文献3には、フェライト系ステンレス鋼基材にカーボン粉末を分散付着させて、電気伝導性を改善(すなわち接触抵抗を低下)したセパレータを得る方法が開示されている。しかしながら、カーボン粉末を用いた場合も、セパレータの表面処理には相応のコストがかかることから、依然としてコストの問題が残っている。
上記の問題の解決策の一つとして、耐食性基材の表面に、スズまたはスズ合金を被覆したセパレータが提案されている(例えば、特許文献4,5,6)。
しかしながら、上記したセパレータは、使用開始直後の接触抵抗性には問題ないものの、使用に伴って接触抵抗が次第に増大するところに問題を残していた。
特開平8-180883号公報 特開平10-228914号公報 特開2000-277133号公報 特開平11-126620号公報 特表WO00-03446号公報 特開2001-307747号公報
上述したとおり、従来は、安価で、耐食性に優れ、しかも使用環境下で長時間にわたって接触抵抗が小さいセパレータは存在せず、その開発が望まれていた。
また、特に最近では、従来にも増して接触抵抗値の低減が叫ばれており、実使用環境下で接触抵抗:10mΩ・cm2未満のものが求められている。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、セパレータの使用環境下で接触抵抗を低く保持でき、また耐久性にも優れた固体高分子形燃料電池用セパレータとして好適なステンレス鋼を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成するために、セパレータの使用環境下で接触抵抗の増加を抑制できる皮膜を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
Snめっきは、金めっき比べて、はるかに易くコストの点で有利であるが、上述したとおり、実使用に供した場合、次第に接触抵抗が増大し、長時間の使用に耐え得ない。
そこで、Snめっきを施したステンレス鋼のセパレータ使用環境下での挙動について調査したところ、セパレータの使用環境下ではSnが酸化してSnO2を形成し、このSnO2の形成量が増大すると接触抵抗が増加することが明らかとなった。
そこで、次に発明者らは、上記の問題の解決に取り組んだ。
その結果、酸洗処理によって不動態皮膜を除去したステンレス鋼の表面に、Sn層を形成たのち、このSn層を溶融し、その状態で一定時間保持して下地ステンレス鋼中のFeとSnを合金化させ、表面にFeSn2を積極的に形成させて、未反応のSn量を極力低減してやると、その分セパレータ使用環境下で形成されるSnO2の量が減少する結果、接触抵抗を低い値に保持できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.ステンレス鋼の表面に、薄膜X線回折測定によるFeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)とSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)の比FeSn2/Snが10以上を満足するSn系皮膜を有し、
電位を1.0V(vs.SHE)に10000秒保持した後の接触抵抗が10mΩ・cm 2 未満で、かつ電位を1.0V(vs.SHE)に10000秒保持したときの電流密度が1μA/cm 2 未満であることを特徴とする固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼。
2.ステンレス鋼に酸洗処理を施して、表面の不動態皮膜を除去し、ついで表面に膜厚:0.1〜3μmのSn層を形成したのち、該Sn層を溶融し、その状態で10×[Sn層の膜厚(μm)]〜30分間保持する合金化熱処理を施すことを特徴とする固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
3.前記Sn層の膜厚が0.1〜0.4μmであることを特徴とする前記2に記載の固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
本発明によれば、セパレータの使用環境下で接触抵抗を低く保持でき、また耐久性にも優れた固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を安価に得ることができる。
燃料電池の基本構造を示す模式図である。 薄膜X線回折測定によるFeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)とSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)の比FeSn2/Snと分極後の接触抵抗値との関係を示したグラフである。 接触抵抗の測定要領を示した図である。 各種試料の電流密度(1.0V,10000秒保持後の電流密度)を比較して示したグラフである。 分極前の試料のSnピーク強度とFeSn2ピーク強度の関係を示したグラフである。 分極前の試料のSnピーク強度と分極後のSnO2ピーク強度の関係を加熱処理の有無で比較して示したグラフである。 薄膜回折X線測定における分極後のSnO2ピーク強度と分極後の接触抵抗の関係を加熱処理の有無で比較して示したグラフである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、基材として用いるステンレス鋼に特に制限はなく、従来から公知の、例えばSUS447J1、SUSXM27、SUS444およびSUS436Lなどを好適に使用することができる。特にCrを30質量%程度含有するSUS447J1は、耐食性が高いので、厳しい耐食性が要求される環境下で使用される固体高分子形燃料電池用セパレータ材料としてとりわけ有利に適合する。
さて、上記したようなステンレス鋼はいずれも、表面に不動態皮膜を有しているので、本発明では、まず酸洗処理を施して、ステンレス鋼表面の不動態皮膜を除去する。
というのは、かような不動態皮膜が残存していると、その後にSn層を形成したのち、加熱処理によってSn層と下地ステンレス鋼のFeとを反応させて、表面にFeSn2を形成しようとしても、上記の反応が進まないからである。
酸洗に使用する酸の種類は、不動態皮膜を除去するものであれば、ふっ酸、硝酸、硫酸、塩酸などの酸、あるいはこれらを混合した酸を使用できるが、中でも硝弗酸(硝酸:6質量%、弗酸:3質量%)が安定して不動態皮膜を除去することができるため好ましい。
酸洗処理により不動態皮膜を除去したステンレス鋼の表面に、Sn層を形成する。Sn層の形成手段については、特に制限はなく、電気めっき、溶融めっき、蒸着およびスパッタリングなどが適用可能であるが、電気めっきによる方法は、生産性の観点や膜厚の制御が容易であることからより有利である。また、Snを電気めっきする場合のめっき浴は、メタンスルホン酸浴や硫酸浴、硼ふっ酸浴などのいずれも使用できるが、浴の管理が容易である点で、メタンスルホン酸浴がとりわけ好適である。
ついで、加熱により、表面のSn層を溶融し、その状態で一定時間保持して、Snと下地ステンレス鋼のFeとを反応させてFeSn2を形成する。このSn層の溶融・保持を行う加熱処理に際しては、表面のSn層を極力下地ステンレス鋼のFeと反応させて、FeSn2を主成分とするSn系皮膜とし、該皮膜中にSnを極力残存させないようにすることが重要である。というのは、該皮膜中にSnが残存した場合、セパレータの使用環境下で酸化してSnO2を形成し、このSnO2の形成量が増大すると接触抵抗が増加するからである。
図2に、Sn系皮膜中のFeSn2量が分極後(セパレータ使用環境下)の接触抵抗値に及ぼす影響について調べた実験結果を示す。図中、横軸は、薄膜X線回折測定によるFeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)とSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)の比FeSn2/Snで示す。
なお、薄膜X線回折測定は、理学電機製ロータフレックス(RU-300)を使用して次の条件で行った。
・使用X線:Cu-Kα(波長=15.4178nm)
・KΒ線の除去:グラファイト単結晶モノクロメータ
・管電圧・管電流:55kV・250mA
・X線入射角度:2.0°
・スキャニングスピード:4°/min
・サンプリングインターバル:0.020°
・D.S.スリット:0.2mm
・R.S.スリット:5.0mm
・検出器:シンチレーションカウンター、積算回数:1回
図2に示す実験は、次のようにして行った。
図3に示すように2枚の試験片8を両面から同じ大きさの3枚のカーボンペーパ9(東レ製TGP-H-120)で交互に挟み、さらに銅板に金めっきを施した電極10を接触させ、単位面積当たり10 kgf/cm2(=9.8 MPa)の圧力をかけて2枚のセパレータ間の抵抗を測定し、接触面積を乗じ、さらに接触面数(=2)で除した値を接触抵抗値とした。なお、測定は位置を変えて4ヶ所で行ない、その平均値を示した。ここに、試料の電位を1.0V(vs. SHE)に10000秒保持した後の接触抵抗を以下の基準で評価した。
○:接触抵抗10mΩ・cm2未満
×:接触抵抗10mΩ・cm2以上
図2に示したとおり、分極後の接触抵抗を接触抵抗10mΩ・cm2未満にするためには、分極前のFeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)とSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)の比FeSn2/Snを10以上とする必要があることが分かる。
この発明において、FeSn2/Sn比を10以上とするために必要なSn層溶融後の保持時間は、Sn層の厚みに応じて保持時間(min)≧10×Sn層厚み(μm)とすることが好ましい。
また、固体分子型燃料電池(PEFC)起動停止時はカソード側(空気極側)の電位が上昇し、電位が1.0V(vs.SHE)付近、温度は80℃、pHは3程度と厳しい環境となる。そのため、セパレータの使用環境下での接触抵抗が低いことに加え、使用環境下での安定性に優れていることも必要である。
そこで、次に、セパレータの使用環境下での安定性について調査を行った。
なお、使用環境下での安定性は、次のようにして評価した。
試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極に飽和KCl Ag/AgClを用いて試料の電位を1.0V(vs. SHE)に10000秒保持したときに流れる電流値を測定した。電流値が小さいほどセパレータ使用環境で安定ということができ、10000秒後の電流値を下記の基準で評価した。
○:電流密度1μA/cm2未満
×:電流密度1μA/cm2以上
板厚:0.2mmのステンレス鋼SUS447J1を使用して、温度:60℃の硝弗酸(硝酸:6質量%、弗酸:3質量%)で酸洗処理した後、ROHM and HAAS社製 メタンスルホン酸すずめっき浴 RONASTAN TP浴を使用して、pH:0.2〜0.4、温度:45℃、電流密度:5A/dm2の条件でめっき時間を調整して、ステンレス鋼SUS447J1の表面に厚さ0.1〜1.0μmのSn層を形成した。その後、熱処理炉(東京理化精機製作所製)を用い、Arガス雰囲気中、250℃で5min保持する加熱処理を行った。その他、Sn層を形成しなかった試料、また同様のSn層を形成したが加熱処理は実施しなかった試料を作製した。
得られた各種試料の電流密度(1.0V,10000秒保持後の電流密度)について調べた結果を、図4に示す。
なお、Snめっき後、加熱処理を施した場合に、Snめっき厚みが0.1μm のときのFeSn2/Sn比は52、0.4μm のときのFeSn2/Sn比は12、0.6μm のときのFeSn2/Sn比は4、1.0μmのときのFeSn2/Sn比は1であった。
図4に示したとおり、加熱処理後のFeSn2/Sn比が10以上では電流密度が1μA/cm2未満となり、セパレータの使用環境したでの安定性が高いと判断できる。
次に、薄膜X線回折測定により測定した、Sn膜厚ごとの、分極前表面のSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)、FeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)および分極後のSnO2ピーク強度(cps:2θ=26.3°)について、分極前の試料のSnピーク強度とFeSn2ピーク強度の関係を図5に、また分極前の試料のSnピーク強度と分極後のSnO2ピーク強度の関係を加熱処理の有無で比較して図6に示す。
図5に示したとおり、本発明に従う加熱処理によってFeSn2が形成され、Sn膜厚が薄くなるほど表面のSn量が減少し、FeSn2量が多くなっていることが分かる。
また、図6に示したとおり、加熱処理の有無にかかわらず、分極前の表面Sn量が多いと分極後に生成するSnO2量が多くなっていることが分かる。
セパレータ使用環境では、次式(1)に示される電気化学なアノード反応によってSnO2が形成されると考えられる。
Sn + 2H2O → SnO2 + 4H+ + 4e- --- (1)
薄膜回折X線測定における分極後のSnO2ピーク強度と分極後の接触抵抗の関係について調べた結果を図7に示す。
同図に示したとおり、分極後の表面SnO2量が多いと分極後の接触抵抗が大きくなっていることが分かる。SnO2は比較的電気抵抗の小さな酸化物であるが、生成量が多くなると接触抵抗の増大を引き起こしていることが分かる。
図7の結果から、分極後の接触抵抗は分極後の表面SnO2量で決定されると考えられ、従って分極後の接触抵抗を低くするためには、分極後に表層に形成するSnO2量を少なくする必要がある。
このためには、図5および図6に示したように、Sn膜形成後、加熱処理を行って表面にFeSn2を形成させ、分極前の表面Sn量を小さくすることが重要である。
上記したように、Sn膜形成後、加熱処理を行って表面にFeSn2を形成させるには、Sn膜厚が薄い方がより好ましく、従ってSn層の膜厚としては0.1〜0.4μm程度とすることが好適である。
なお、膜厚は0.1〜0.4μmの範囲に限られることなく、0.4μmを超えて厚くしてもかまわないが、その場合には、Sn層溶融後の保持時間を長くして、十分にFeSn2を形成する必要がある。
なお、本発明の加熱処理については、熱処理炉に入れることや、鋼板に電流を流して板を発熱させる通電加熱による方法で行うことができる。いずれの方法においても、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。酸化性雰囲気で行うと、表面にSn酸化物が形成されて、接触抵抗が高くなる場合があり、この場合は表面に形成したSn酸化物を酸洗等の方法で除去する必要がある。
いずれにしても、在炉時間や通電時間を調整して、FeSn2の形成量をFeSn2/Sn比で10以上とすることが肝要である。
実施例1
板厚:0.2mmのステンレス鋼SUS447J1、SUSXM27、SUS444、SUS436Lを使用して、温度: 60℃の硝弗酸(硝酸6質量%、弗酸3質量%)で酸洗処理した後、ROHM and HAAS社製メタンスルホン酸すずめっき浴 RONASTAN TP浴を使用して、pH:0.2〜0.4、温度:45℃、電流密度:5A/dm2の条件でめっき時間を調整して、ステンレス鋼SUS447J1、SUSXM27、SUS444、SUS436Lの表面に厚さ:0.1〜1.0μmのSn層を形成した。その後、熱処理炉(東京理化精機製作所製)を用い、Arガス雰囲気中、250℃で所定の時間保持する加熱処理を行った。
作製した試料のセパレータ使用環境下での接触抵抗変化と安定性について調べた結果を表1に示す。
なお、使用環境下での接触抵抗値は、次のようにして評価した。
図3に示すように2枚の試験片8を両面から同じ大きさの3枚のカーボンペーパ9(東レ製TGP-H-120)で交互に挟み、さらに銅板に金めっきを施した電極10を接触させ、単位面積当たり10 kgf/cm2(=9.8 MPa)の圧力をかけて2枚のセパレータ間の抵抗を測定し、接触面積を乗じ、さらに接触面数(=2)で除した値を接触抵抗値とした。なお、測定は位置を変えて4ヶ所で行ない、その平均値を示した。ここに、試料の電位を1.0V(vs. SHE)に10000秒保持した後の接触抵抗を以下の基準で評価した。
○:接触抵抗10mΩ・cm2未満
×:接触抵抗10mΩ・cm2以上
また、使用環境下での安定性は、次のようにして評価した。
試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極に飽和KCl Ag/AgClを用いて試料の電位を1.0V(vs. SHE)に10000秒保持したときに流れる電流値を測定した。電流値が小さいほどセパレータ使用環境で安定ということができ、10000秒後の電流値を下記の基準で評価した。
○:電流密度1μA/cm2未満
×:電流密度1μA/cm2以上
Figure 0005573039
同表に示したとおり、加熱処理により、FeSn2/Sn比を10以上とした場合には、10000秒後の電流密度が1μA/cm2以下となり、セパレータ環境での安定性が高いと判断できる。また、分極後の接触抵抗が10mΩ・cm2以下となり、セパレータ使用環境下において安定して低い接触抵抗であることが分かる。
実施例2
板厚:0.2mmのステンレス鋼SUS447J1、SUSXM27、SUS444、SUS436Lを使用して、温度: 60℃の硝弗酸(硝酸6質量%、弗酸3質量%)で酸洗処理した後、ROHM and HAAS社製メタンスルホン酸すずめっき浴 RONASTAN TP浴を使用して、pH:0.2〜0.4、温度:45℃、電流密度:5A/dm2の条件でめっき時間を調整して、ステンレス鋼SUS447J1の表面に厚さ:1〜3μmのSn層を形成した。その後、熱処理炉(東京理化精機製作所製)を用い、Arガス雰囲気中、250℃で所定の時間保持する加熱処理を行った。
作製した試料のセパレータ使用環境下での接触抵抗変化と安定性について調べた結果を表2に示す。また、表2には、試料を薄膜X線回折で調査した結果も併せて示す。
Figure 0005573039
同表に示したとおり、加熱処理により、FeSn2/Sn比を10以上とした場合には、10000秒後の電流密度が1μA/cm2以下となり、セパレータ環境での安定性が高いと判断できる。また、分極後の接触抵抗が10mΩ・cm2以下となり、セパレータ使用環境下において安定して低い接触抵抗であることが分かる。
本発明によれば、従来から使用されている金めっきステンレス製セパレータやグラファイト製セパレータと同等に接触抵抗が低くかつ耐食性に優れたセパレータを、低コストで得ることができる。また、従来の固体高分子形燃料電池では、耐久性を考慮して高価な金めっきステンレス製セパレータやグラファイト製セパレータを使用していたのに対し、本発明ではセパレータ用ステンレス鋼から製作した安価なセパレータを用いることができるので、固体高分子形燃料電池の製造コストを大幅に削減することができる。

Claims (3)

  1. ステンレス鋼の表面に、薄膜X線回折測定によるFeSn2ピーク強度(cps:2θ=34.7°)とSnピーク強度(cps:2θ=55.2°)の比FeSn2/Snが10以上を満足するSn系皮膜を有し、
    電位を1.0V(vs.SHE)に10000秒保持した後の接触抵抗が10mΩ・cm 2 未満で、かつ電位を1.0V(vs.SHE)に10000秒保持したときの電流密度が1μA/cm 2 未満であることを特徴とする固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼。
  2. ステンレス鋼に酸洗処理を施して、表面の不動態皮膜を除去し、ついで表面に膜厚:0.1〜3μmのSn層を形成したのち、該Sn層を溶融し、その状態で10×[Sn層の膜厚(μm)]〜30分間保持する合金化熱処理を施すことを特徴とする固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
  3. 前記Sn層の膜厚が0.1〜0.4μmであることを特徴とする請求項2に記載の固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
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