JP2019121567A - 集電体 - Google Patents

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Tadashi Inaba
忠司 稲葉
充明 加藤
Mitsuaki Kato
充明 加藤
実海 西村
Miu Nishimura
実海 西村
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Aisin Corp
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

【課題】ステンレス鋼基板の表面に導電性酸化物からなるコート膜が形成された集電体において、接触抵抗の低減とCr放出の抑制を高いレベルで両立させること。【解決手段】集電体10は、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板12と、基板12の表面に形成されたコート層20とを備えている。コート層20の内、電極30との接合面側に形成された主領域22は、電極30との接合面に形成された接合領域24と、電極30との非接合面に形成された非接合領域26とを備えている。接合領域24は、La(Ni1-xAx)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦x≦0.9)を含む第1領域24aと、(MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)を含むスピネル酸化物を含む第2領域24bに分割されている。さらに、接合領域24の総面積(Se)と、第1領域24aの総面積(S1)との間、0.1≦S1/Se≦0.9の関係が成り立つ。【選択図】図1

Description

本発明は、集電体に関し、さらに詳しくは、高温型燃料電池に用いられる集電体に関する。
高温型燃料電池の集電体には、従来、LaCrO3のような酸化物が用いられていた。しかし、近年、高温型燃料電池の動作温度を低下させる技術が開発されたこと、高温での耐酸化性に優れたステンレス鋼が開発されたことなどから、集電体として安価なステンレス鋼が用いられるようになってきた。しかし、ステンレス鋼はCrを含むため、
(a)集電体の表面に高抵抗のCr23が形成される、
(b)大気と反応してCr含有ガスが発生し、電極劣化を誘発させる
などの課題がある。そのため、ステンレス鋼の表面を導電性の高い酸化物でコーティングする方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、
(a)MnCo24(d50=1μm、比表面積=2.3m2/g)、及びLiNO3を含む油性スラリーを作製し、
(b)Crを含む耐熱合金からなる板体の表面に油性スラリーを塗布し、
(c)水素を含む窒素雰囲気下において、板体を800℃で2時間還元処理し、
(d)空気雰囲気下において、板体を800℃で12〜24時間焼成する
固体酸化物形燃料電池用インターコネクタへの保護膜コーティング方法が開示されている。
同文献には、
(A)LiNO3は、MnCo24の低温焼結助剤として機能する点、及び
(B)LiNO3添加量が2モル%である場合、断面に比較的大きな孔が観察されるのに対し、LiNO3添加量が3モル%では、断面に細孔がまばらに観察される点
が記載されている。
非特許文献1、2には、
(a)MnCo24スピネル酸化物のスラリーに焼結助剤としてLiNO3を加え、
(b)スクリーン印刷によりFe−Crフェライト系合金の表面にスラリーを塗布し、
(c)還元雰囲気下においてスピネルでコートされた試料を800℃で2時間焼成し、
(d)さらに大気中において試料を850℃で10時間焼成する
SOFC用インターコネクタの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)MnCo24スピネルは、低温において十分に緻密化しないのに対し、LiNO3を添加すると緻密なスピネルコーティングが得られる点、及び
(B)Fe−Crフェライト系合金の表面にMnCo24スピネルコーティングを施すと、酸化増量が減少する点
が記載されている。
非特許文献3には、フェライト系ステンレス鋼の表面に、MnxCoyFe3-x-y4粉末を溶射する方法が開示されている。
同文献には、
(A)ステンレス鋼表面のCr23とMnxCoyFe3-x-y4とが反応してMn3-zCrz4が生成する点、及び
(B)Cr23より電気導電率の高いMn3-zCrz4の形成により、ASR(Area Specific Resistance)が改善される点、
が記載されている。
上述したように、ステンレス鋼基板を高温で保持すると、ステンレス鋼の成分であるCrがガスとなって放出される。このCr含有ガスは、カソード劣化を引き起こす原因となる。従って、固体酸化物形燃料電池用の集電体(インターコネクタ)には、Cr含有ガスの放出を抑えることが求められる。そのため、従来から、ステンレス鋼基板の表面を緻密で低抵抗のコート材で被覆することが行われている。
インターコネクタのコート材として、近年、広く検討されている(Mn,Co)34系材料は、Cr放出の低いコート層を形成することができる。しかし、接触抵抗は高く、SOFCの高出力化に対応するためには、接触抵抗の低減が課題である。一方、LaNiO3系材料のコート材は、接触抵抗が低いものの、Cr放出量は(Mn,Co)34系材料に比べるとやや大きく、(Mn,Co)34系材料のレベルには至っていない。従って、接触抵抗の低減とCr放出の抑制を高いレベルで両立することが課題となっている。
特開2009−152016号公報
Journal of Power Sources 196, 7251(2011) Electrochemistry, 80, 155(2012) 燃料電池、12, 64(2013)
本発明が解決しようとする課題は、ステンレス鋼基板の表面に導電性酸化物からなるコート膜が形成された集電体において、接触抵抗の低減とCr放出の抑制を高いレベルで両立させることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る集電体は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記集電体は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
前記基板の表面に形成されたコート層と
を備えている。
(2)前記コート層の内、前記電極との接合面側に形成された主領域は、
前記電極との接合面に形成された接合領域と、
前記電極との非接合面に形成された非接合領域と
を備えている。
(3)前記接合領域は、
La(Ni1-xx)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦x≦0.9)を含む第1領域と、
(MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)を含むスピネル酸化物を含む第2領域
に分割されており、
前記接合領域の総面積(Se)と、前記第1領域の総面積(S1)との間に次の式(1)の関係が成り立つ。
0.1≦S1/Se≦0.9 ・・・(1)
La(Ni1-xx)O3系材料は、接触抵抗は低いが、Cr放出量は多い。一方、(MnzCo3-z)O4系材料は、Cr放出量は少ないが、接触抵抗は高い。そのため、電極との接合領域を、La(Ni1-xx)O3系材料を主成分とする第1領域と、(MnzCo3-z)O4系材料を主成分とする第2領域に分割し、かつ、S1/Se比を最適化すると、接触抵抗の低減とCr放出の抑制を高いレベルで両立させることができる。
本発明に係る集電体の断面模式図である。 図2(A)は、実施例1〜5、7で作製した集電体の模式図である。図2(B)は、実施例6で作製した集電体の模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 集電体]
図1に、本発明に係る集電体の断面模式図を示す。図1において、集電体10は、以下の構成を備えている。
(1)集電体10は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板12と、
基板12の表面に形成されたコート層20と
を備えている。
(2)コート層20の内、電極30との接合面側に形成された主領域22は、
電極30との接合面に形成された接合領域24と、
電極30との非接合面に形成された非接合領域26と
を備えている。
(3)接合領域24は、
La(Ni1-xx)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦x≦0.9)を含む第1領域24aと、
(MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)を含むスピネル酸化物を含む第2領域24b
に分割されており、
接合領域24の総面積(Se)と、第1領域24aの総面積(S1)との間に次の式(1)の関係が成り立つ。
0.1≦S1/Se≦0.9 ・・・(1)
[1.1. 基板]
基板12は、Fe−Cr系ステンレス鋼(又は、フェライト系ステンレス鋼)からなる。基板12の組成は、燃料電池の使用温度域において十分な耐熱性を示すものである限りにおいて、特に限定されない。また、基板12の形状も特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状を選択することができる。
基板12を構成するFe−Cr系ステンレス鋼としては、例えば、
(a)Fe−0.02%C−0.50%Mn−0.26%Ni−21.97%Cr−0.22%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(b)Fe−0.03%C−0.47%Mn−0.26%Ni−22.14%Cr−0.20%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(c)Fe−0.02%C−0.48%Mn−0.33%Ni−22.04%Cr−0.20%Zr−0.08%La合金、
(d)Fe−0.01%C−0.18%Si−0.20%Mn−22.1%Cr−0.09%Al−1.20%Mo−0.23%Nb−0.19%Ti合金、
(e)Fe−0〜0.12%C−0〜0.75%Si−0〜1.00%Mn−16.00〜18.00%Cr−0〜0.040%P−0〜0.030%S合金、
(f)Fe−24.0%Cr−0.03%C−0.8%Mn−0.5%Si−0.5%Al−0.5%Cu−0.2%Ti−0.2%La−0.02%S−0.05%P合金、
(g)Fe−0.02%C−0.08%Si−0.46%Mn−0.34%Ni−21.8%Cr−0.05%Al−0.19%Zr−0.05%La合金、
(h)Fe−0.03%C−0.01%Si−0.27%Mn−0.38%Ni−23.8%Cr−0.01%Al−0.25%Zr−0.09%La−1.98%W合金、
(i)Fe−0.03%C−0〜0.01%Si−0.27%Mn−0.37%Ni−23.7%Cr−0.01%Al−0.28%Zr−0.07%La−1.80%W−0.94%Cu合金、
などがある。
[1.2. コート層]
コート層20は、通常、基板12の全面に形成される。
本発明において、「主領域22」とは、基板12の全面に形成されたコート層20の内、電極30との接合面側に形成された領域をいう。
「接合領域24」とは、主領域22の内、電極30との接合面に形成された領域をいう。接合領域24は、さらに、第1領域24aと第2領域24bに分割されている。
「非接合領域26」とは、主領域22の内、電極30との非接合面に形成された領域をいう。
[1.2.1. 第1領域]
第1領域24aは、La(Ni1-xx)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦x≦0.9)(以下、単に「LNA」ともいう)を含む。LNAは、導電性酸化物の中でも、接触抵抗が小さいため、第1領域24aの材料として好適である。
LNAに含まれるNiの量が過剰になると、導電性が低下する。従って、xは、0.1以上である必要がある。xは、好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.3以上である。
同様に、Niの量が少なすぎると、導電性が低下する。従って、xは、0.9以下である必要がある。xは、好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.7以下である。
第1領域24aは、LNAのみからなるものでも良く、あるいは、他の材料が含まれていても良い。但し、第1領域24aに含まれるLNAの含有量が少なくなりすぎると、接触抵抗が増大する。従って、第1領域24aに含まれるLNAの含有量は、50wt%以上が好ましい。LNAの含有量は、好ましくは、70wt%以上、さらに好ましくは、90wt%以上である。
他の材料としては、例えば、(MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)、Zn(CoxMn1-x)24(0<x<1)、(CoxNi3-x)O4(0<x<3)などがある。
[1.2.2. 第2領域]
第2領域24bは、(MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)を含むスピネル酸化物(以下、単に「MCO」ともいう)を含む。MCOは、LNAに比べて接触抵抗が大きいが、Cr放出量を抑制する作用が大きい。そのため、MCOは、第2領域24bの材料として好適である。
MCOは、ステンレス鋼から放出されたCrと反応し、基板12とコート層20との界面にCoyCr3-y4(0.1≦y≦2.9)からなるCo−Cr系酸化物層を形成する。Co−Cr系酸化物は、Cr23やMnCr23に比べて抵抗が低いため、集電体10の接触抵抗の増大を抑制することができる。
MCOに含まれるCo量が多くなるほど、導電性が高くなる。従って、yは、2.5以下が好ましい。yは、好ましくは、2.3以下、さらに好ましくは、2.0以下である。
さらに、y=0であるMCO、すなわち、Co34は、MCOに比べると導電性ではやや劣るが、メッキ法等で簡易に空隙率の低い膜を作製できるという利点がある。
第2領域24bは、MCOのみからなるものでも良く、あるいは、他の材料が含まれていても良い。但し、第2領域24bに含まれるMCOの量が少なくなりすぎると、Cr放出量を抑制する作用が低下する。従って、第2領域24bに含まれるMCOの含有量は、50wt%以上が好ましい。MCOの含有量は、好ましくは、70wt%以上、さらに好ましくは、90wt%以上である。
[1.2.3. 面積比(S1/S)]
接合領域24の総面積(Se)と、第1領域24aの総面積(S1)との間に次の式(1)の関係が成り立つ。
0.1≦S1/Se≦0.9 ・・・(1)
面積比(S1/S)は、接触抵抗及びCr放出量に影響を与える。S1/Seが小さくなりすぎると、接触抵抗が増大する。従って、S1/Seは、0.1以上である必要がある。S1/Seは、好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.3以上である。
一方、S1/Seが大きくなりすぎると、Cr放出量が増大する。従って、S1/Seは、0.9以下である必要がある。S1/Seは、好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.7以下である。
[1.2.4. 第1領域の位置]
第1領域24aは、接合領域24の外周部に形成されていても良い。しかし、第1領域24aは、第2領域24bに比べてCr放出量が多いので、第1領域24aの一部が雰囲気中に曝露されると、Cr放出量が増大するおそれがある。そのため、第1領域24aは、接合領域24の内部に形成されているのが好ましい。
[1.2.5. 第1領域の数]
接触抵抗の大きさは、第1領域24aの総面積で決まる。そのため、第1領域24aの数は、特に限定されない。すなわち、接合領域24内には、1個の第1領域24aを備えていても良く、あるいは、複数個の第1領域24aを備えていても良い。
[1.2.6. 非接合領域、及び主領域以外の領域]
コート層20の内、非接合領域26、及び主領域22以外の領域(すなわち、基板12の側面、及び電極30とは反対側の面)の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
非接合領域26、及び主領域22以外の領域は、Cr放出量にのみ影響を与える。そのため、これらの領域には、Cr放出量の少ない材料を用いるのが好ましい。また、製造工程を簡略化するためには、これらの領域には、第2領域24bと同一の材料を用いるのが好ましい。
[2. 集電体の製造方法]
本発明に係る集電体の製造方法は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板の表面に、コート層前駆体(第1領域前駆体及び/又は第2領域前駆体)を形成するコーティング工程と、
前記基板を還元雰囲気下において熱処理する還元工程と、
前記基板を酸化雰囲気下において焼成し、コート層(第1領域及び/又は第2領域)を得る焼成工程と
を備えている。
なお、本発明において、コート層は、少なくとも2つの材料、すなわち、第1領域の主成分であるLNAと、第2領域の主成分であるMCOを含む。
そのため、コート層の形成に際しては、
(a)先に第1領域前駆体のコーティング、還元及び焼成を行い、次いで第2領域前駆体のコーティング、還元及び焼成を行う第1の方法、
(b)先に第2領域前駆体のコーティング、還元及び焼成を行い、次いで第1領域前駆体のコーティング、還元及び焼成を行う第2の方法、
(c)同時に第1領域前駆体及び第2領域前駆体をコーティングし、次いでこれらを同時に還元及び焼成する第3方法
のいずれの方法を用いても良い。
[2.1. コーティング工程]
まず、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板の表面に、コート層前駆体(第1領域前駆体及び/又は第2領域前駆体)を形成する(コーティング工程)。コーティング方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
コーティング方法としては、例えば、
(a)粉末、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板をスラリーに浸漬するディップコート法、
(b)粉末、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板表面にスラリーを塗布するスクリーン印刷法、
(c)粒子を高速で噴射するエアロゾルデポジション法、
などがある。
なお、第1領域と第2領域を個別に形成する場合において、先に基板の表面全面に一方の領域を形成した時には、他方の領域を形成する前に、先に形成した領域の一部を除去し、基板表面を露出させる必要がある。
コート膜の形成においては、還元・焼成を行うことによっても作製できるが、静水圧プレス処理と焼成を繰り返すことによっても緻密性の高いコート膜を形成することができる。静水圧プレス処理は、粒子間距離を縮めると共に、粒子同士の接触面積を増加させることができ、焼結性を向上させることができるためである。焼成前の静水圧プレス処理も効果を発揮するが、焼成後にさらに処理を行うとより効果的である。
LNAを主成分とするコート膜においては、還元・焼成を行う手法と、静水圧プレスを用いる手法とを比べると、緻密性は同レベルである。一方、MCOを主成分とするコート膜では、還元・焼成を行う手法の方が緻密性は高い。
[2.2. 還元工程]
次に、コート層前駆体(第1領域前駆体及び/又は第2領域前駆体)が形成された基板を還元雰囲気下において熱処理する(還元工程)。還元処理は、コート層前駆体の焼結性を向上させるために必要である。LNA、MCOなどの導電性酸化物を含むコート層前駆体を還元処理すると、酸化物粒子が還元され、部分的に金属が生成する。この金属がコート層の焼結を促進させると考えられている。
還元は、水素雰囲気下において、コート層前駆体が形成された基板を熱処理することにより行う。熱処理温度が低すぎると、導電性酸化物の還元が不十分となる。従って、熱処理温度は、400℃以上が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、500℃以上、さらに好ましくは、600℃以上である。
一方、熱処理温度が高すぎると、導電性酸化物の粒子が粗大化し、コート層の焼結性を低下させる。従って、熱処理温度は、850℃以下が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、830℃以下、さらに好ましくは、800℃以下である。
熱処理時間は、熱処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、熱処理温度が高くなるほど、短時間で還元処理が完了する。最適な熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、通常、2〜24時間である。
なお、静水圧プレス処理を用いてLNAコート膜を形成する場合は、必ずしも還元処理を行う必要はない。プレス・焼成を繰り返すことにより、緻密性を向上できるからである。
[2.3. 焼成工程]
次に、還元処理後の基板を酸化雰囲気下において焼成する(焼成工程)。これにより、コート層前駆体が焼結し、コート層(第1領域及び/又は第2領域)となる。
焼成温度が低すぎると、焼結が不十分となる。従って、焼成温度は、600℃以上が好ましい。焼成温度は、好ましくは、650℃以上である。
一方、焼成温度が高すぎると、基板の酸化が進行し、ASRが増加する。従って、焼成温度は、900℃以下が好ましい。焼成温度は、好ましくは、850℃以下である。
焼成時間は、焼成温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、焼成温度が高くなるほど、短時間で焼結が完了する。最適な焼成時間は、焼成温度にもよるが、通常、1〜24時間である。
[3. 作用]
La(Ni1-xx)O3系材料は、接触抵抗は低いが、Cr放出量は多い。一方、(MnzCo3-z)O4系材料は、Cr放出量は少ないが、接触抵抗は高い。そのため、電極との接合領域を、La(Ni1-xx)O3系材料を主成分とする第1領域と、(MnzCo3-z)O4系材料を主成分とする第2領域に分割し、かつ、S1/Se比を最適化すると、接触抵抗の低減とCr放出の抑制を高いレベルで両立させることができる。
(実施例1〜7、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1.1. 実施例1]
[A. MCOコート層の作製]
平均粒径:200nmのMn1.5Co1.54(以下、「MCO」という)、バインダ、可塑剤、エタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、MCOスラリーを作製した。ディップコート法にて、Fe−Cr系ステンレス鋼基板の全面にMCOスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、800℃で8時間焼成した。
[B. LNFコート層の作製]
MCOでコートされたステンレス鋼基板の電極接合部分に窓が開いたマスクを設置し、サンドブラストにて、MCOコート層を電極接合面積(Se)の10%分(除去部:1カ所)を除去した(図2(A)参照)。
次に、平均粒径:500nmのLaNi0.5Fe0.53(以下、「LNF」という)、バインダ、可塑剤、エタノール含有有機溶媒を用いて、上記MCOスラリーと同様の手法で、LNFスラリーを作製した。その後、除去した部分にLNFスラリーを流し込み、常温乾燥させた。さらに、静水圧プレス処理を施し、大気雰囲気下において、800℃で8hr焼成した。その後、再度、静水圧プレス処理を実施し、大気雰囲気において、800℃で8hr焼成した。
[1.1.2. 実施例2〜5]
MCOコート層の除去面積を
(a)20%(除去部:1カ所)(実施例2)、
(b)50%(除去部:1カ所)(実施例3)、
(c)80%(除去部:1カ所)(実施例4)、
(d)90%(除去部:1カ所)(実施例5)
とした以外は、実施例1と同様にして試料を作製した(図2(A)参照)。
[1.1.3. 実施例6]
MCOコート層の除去面積を50%(除去部:4カ所)とした以外は、実施例1と同様にして試料を作製した(図2(B)参照)。
[1.1.4. 実施例7]
LNFスラリーをLNFとMCOの混合スラリー(LNF:MCO(重量比)=8:2)に変え、MCOコート層の除去面積を50%(除去部:1カ所)とした以外は、実施例1と同様にして試料を作製した(図2(A)参照)。
[1.1.5. 比較例1]
ステンレス鋼基板の表面にMCOコート層のみを形成した。MCOコート層の形成方法は、実施例1と同一とした。
[2. 試験方法]
[2.1. 接触抵抗の測定]
各試料にPtリード線を取り付け、4端子法にて、大気中700℃の接触抵抗を測定した。
[2.2. Cr放出量の測定]
管状炉内に試料を設置し、850℃に加熱した後、加湿空気(50%)を100h流通させ、排気ガス中に含まれるCrをトラップ剤にて捕獲した。実験終了後、トラップ剤で捕獲したCr量を元素分析により評価した。Cr放出量は、比較例1を基準として相対値で示した。
[3. 結果]
表1に、結果を示す。表1より、以下のことが分かる。
(1)SOFCセル電極に、MCOコート部が全面接触する場合(比較例1)、接触抵抗は大きな値を示した。しかし、LNFコート部との接触面積を10%にすると、接触抵抗は大幅に低下した(実施例1)。さらにLNFコート部との接触面積を増加させると、接触抵抗は徐々に低下していった。
一方、Crの放出量は、LNFコート部との接触面積が増加すると、緩やかに増加する傾向が観られた。このことから、SOFCセル電極にLNFを一部接触させることにより、小さな接触抵抗と、低Cr放出とを両立できることがわかった。
(2)最適な接触面積として、10〜80%が良いことが実験的に明らかになった。
(3)SOFCセル電極とLNFの接触部は、必ずしも1カ所である必要はなく、複数箇所に分割して接触させても、類似の効果が得られることが分かった(実施例3、6)。
(4)Cr放出を抑えるために、LNFコート部にCrとの反応性があるMCOを導入しても、接触抵抗の低減効果は保持され、Cr放出も抑制できることが分かった(実施例7)。
Figure 2019121567
(実施例8、比較例2)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例8]
実施例3と同様にして、LNFコート部の接触面積が電極接合面積の50%(除去部:1カ所)である試料を作製した。
[1.2. 比較例2]
比較例1と同様の手法で、MCOコート基板を作製した後、有機バインダーを溶解させた溶液をディップコートした。乾燥後、電極接合面積(Se)の100%分(除去部:1カ所)を除去した。さらに、実施例7で作製した混合スラリー(LNF:MCO(重量比)=8:2)を用いて、電極接合部に混合スラリーをディップコートした。その後、乾燥、静水圧プレス処理を実施した。さらに、大気雰囲気下において、800℃で8hr焼成した。
なお、電極接合部以外にコートされた混合スラリーは、事前にコートされた有機バインダーにより密着力は弱く、容易に剥離できた。すなわち、混合コート層は、電極接合部にのみ形成された。
[2. 試験方法(側面からのCr放出量の測定)]
LNFコート層の周りをMCOコート層で囲む効果を検討するために、側面からのCrの拡散量を評価した。試料の上下面にアルミナ基板を設置し、側面以外からのCr拡散を抑制した。また、炉内に設置する試料の数は、Cr量が評価できるよう調整した。以下、実施例1と同様にして、Cr放出量を測定した。Cr放出量は、比較例1を基準として相対値で示した。
[3. 結果]
表2に、結果を示す。実施例8は、第1領域をLNF、面積比を0.5とした試料である。一方、比較例2は、Cr拡散抑制効果が大きいLNF/MCOの混合膜を接触部の全面にコートした試料である。実施例8の側面からのCr拡散量は、比較例2のそれよりも小さくなること、すなわち、第1領域(LNF)の周りを第2領域(MCO)で囲むと、Cr拡散を抑制できること、が分かった。
第2領域(MCO)と基板界面の状態を検討するために、TEM観察を行った。その結果、界面には、CoとCrの化合物が生成していることが分かった。格子定数を同定した結果、CoCr23の生成が確認された。
Figure 2019121567
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る集電体は、固体酸化物形燃料電池などの高温型燃料電池の集電体(インターコネクタ)として使用することができる。

Claims (3)

  1. 以下の構成を備えた集電体。
    (1)前記集電体は、
    Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
    前記基板の表面に形成されたコート層と
    を備えている。
    (2)前記コート層の内、電極との接合面側に形成された主領域は、
    前記電極との接合面に形成された接合領域と、
    前記電極との非接合面に形成された非接合領域と
    を備えている。
    (3)前記接合領域は、
    La(Ni1-xx)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦x≦0.9)を含む第1領域と、
    (MnzCo3-z)O4(0≦z≦3)を含むスピネル酸化物を含む第2領域
    に分割されており、
    前記接合領域の総面積(Se)と、前記第1領域の総面積(S1)との間に次の式(1)の関係が成り立つ。
    0.1≦S1/Se≦0.9 ・・・(1)
  2. 前記第1領域は、前記接合領域の内部に形成されている請求項1に記載の集電体。
  3. 前記第2領域は、前記基板と前記コート層との界面に形成されたCoyCr3-y4(0.1≦y≦2.9)を含む請求項1又は2に記載の集電体。
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