JP2019087370A - 集電体 - Google Patents

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Tadashi Inaba
忠司 稲葉
充明 加藤
Mitsuaki Kato
充明 加藤
実海 西村
Miu Nishimura
実海 西村
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Abstract

【課題】ステンレス鋼基板の表面に導電性酸化物からなるコート膜が形成された集電体において、ステンレス鋼基板からの集電体外部へCrの放出と、ステンレス鋼基板とコート膜の界面におけるCr2O3層の形成とを抑制すること。【解決手段】集電体は、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、前記基板の表面に形成された、導電性酸化物(A)を含む第1コート層と、前記第1コート層の表面に形成された、導電性酸化物(B)を含む第2コート層とを備えている。前記導電性酸化物(A)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)を含む。前記第1コート層の空隙率ε1と前記第2コート層の空隙率ε2との間に、ε2<ε1の関係が成り立つ。【選択図】図1

Description

本発明は、集電体に関し、さらに詳しくは、高温型燃料電池に用いられる集電体に関する。
高温型燃料電池の集電体には、従来、LaCrO3のような酸化物が用いられていた。しかし、近年、高温型燃料電池の動作温度を低下させる技術が開発されたこと、高温での耐酸化性に優れたステンレス鋼が開発されたことなどから、集電体として安価なステンレス鋼が用いられるようになってきた。しかし、ステンレス鋼はCrを含むため、
(a)集電体の表面に高抵抗のCr23が形成される、
(b)大気と反応してCr含有ガスが発生し、電極劣化を誘発させる
などの課題がある。そのため、ステンレス鋼の表面を導電性の高い酸化物でコーティングする方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、
(a)MnCo24(d50=1μm、比表面積=2.3m2/g)、及びLiNO3を含む油性スラリーを作製し、
(b)Crを含む耐熱合金からなる板体の表面に油性スラリーを塗布し、
(c)水素を含む窒素雰囲気下において、板体を800℃で2時間還元処理し、
(d)空気雰囲気下において、板体を800℃で12〜24時間焼成する
固体酸化物形燃料電池用インターコネクタへの保護膜コーティング方法が開示されている。
同文献には、
(A)LiNO3は、MnCo24の低温焼結助剤として機能する点、及び
(B)LiNO3添加量が2モル%である場合、断面に比較的大きな孔が観察されるのに対し、LiNO3添加量が3モル%では、断面に細孔がまばらに観察される点
が記載されている。
非特許文献1、2には、
(a)MnCo24スピネル酸化物のスラリーに焼結助剤としてLiNO3を加え、
(b)スクリーン印刷によりFe−Crフェライト系合金の表面にスラリーを塗布し、
(c)還元雰囲気下においてスピネルでコートされた試料を800℃で2時間焼成し、
(d)さらに大気中において試料を850℃で10時間焼成する
SOFC用インターコネクタの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)MnCo24スピネルは、低温において十分に緻密化しないのに対し、LiNO3を添加すると緻密なスピネルコーティングが得られる点、及び
(B)Fe−Crフェライト系合金の表面にMnCo24スピネルコーティングを施すと、酸化増量が減少する点
が記載されている。
非特許文献3には、フェライト系ステンレス鋼の表面に、MnxCoyFe3-x-y4粉末を溶射する方法が開示されている。
同文献には、
(A)ステンレス鋼表面のCr23とMnxCoyFe3-x-y4とが反応してMn3-zCrz4が生成する点、及び
(B)Cr23より電気導電率の高いMn3-zCrz4の形成により、ASR(Area Specific Resistance)が改善される点、
が記載されている。
上述したように、ステンレス鋼基板を高温で保持すると、ステンレス鋼の成分であるCrがガスとなって放出される。このCr含有ガスは、カソード劣化を引き起こす原因となる。従って、固体酸化物形燃料電池用の集電体(インターコネクタ)には、Cr含有ガスの放出を抑えることが求められる。そのため、従来から、ステンレス鋼基板の表面を緻密で低抵抗のコート材で被覆することが行われている。
LaNiO3系ペロブスカイト酸化物は、低抵抗であり、かつ、Cr23との反応に耐性がある。しかし、これをステンレス鋼基板の表面に緻密にコーティングすると、ステンレス鋼基板とコート膜との界面にCr23層が形成される。このCr23層が、長期使用時に抵抗上昇を引き起こす原因となっていた。
特開2009−152016号公報
Journal of Power Sources 196, 7251(2011) Electrochemistry, 80, 155(2012) 燃料電池、12, 64(2013)
本発明が解決しようとする課題は、ステンレス鋼基板の表面に導電性酸化物からなるコート膜が形成された集電体において、ステンレス鋼基板からの集電体外部へCrの放出と、ステンレス鋼基板とコート膜の界面におけるCr23層の形成とを抑制することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る集電体は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記集電体は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
前記基板の表面に形成された、導電性酸化物(A)を含む第1コート層と、
前記第1コート層の表面に形成された、導電性酸化物(B)を含む第2コート層と
を備えている。
(2)前記導電性酸化物(A)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)を含む。
(3)前記第1コート層の空隙率ε1と前記第2コート層の空隙率ε2との間に、次の式(1)の関係が成り立つ。
ε2<ε1 …(1)
ステンレス鋼基板の表面に形成するコート層としてLa(Ni1-xFex)O3を用いると、他の導電性酸化物を用いた場合に比べて接触抵抗を小さくすることができる。しかし、この場合、ステンレス鋼基板とコート層との界面に高抵抗のCr23が析出しやすい。
これに対し、コート層をLa(Ni1-xFex)O3を含む第1コート層と、第2コート層との2層構造とし、かつ、第1コート層の空隙率ε1を第2コート層の空隙率ε1より大きくすると、緻密な第2コート層により集電体外部へのCrの放出が抑制される。また、ステンレス鋼基板から放出されたCrは、空隙率ε1の高い第1コート層の空隙内に析出する。そのため、ステンレス鋼基板からの集電体外部へCrの放出と、ステンレス鋼基板とコート膜の界面におけるCr23層の形成とを同時に抑制することができる。
実施例1で得られた集電体の断面のSEM像である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 集電体]
本発明に係る集電体は、以下の構成を備えている。
(1)前記集電体は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
前記基板の表面に形成された、導電性酸化物(A)を含む第1コート層と、
前記第1コート層の表面に形成された、導電性酸化物(B)を含む第2コート層と
を備えている。
(2)前記導電性酸化物(A)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)を含む。
(3)前記第1コート層の空隙率ε1と前記第2コート層の空隙率ε2との間に、次の式(1)の関係が成り立つ。
ε2<ε1 …(1)
[1.1. 基板]
基板は、Fe−Cr系ステンレス鋼(又は、フェライト系ステンレス鋼)からなる。基板の組成は、燃料電池の使用温度域において十分な耐熱性を示すものである限りにおいて、特に限定されない。また、基板の形状も特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状を選択することができる。
基板を構成するFe−Cr系ステンレス鋼としては、例えば、
(a)Fe−0.02%C−0.50%Mn−0.26%Ni−21.97%Cr−0.22%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(b)Fe−0.03%C−0.47%Mn−0.26%Ni−22.14%Cr−0.20%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(c)Fe−0.02%C−0.48%Mn−0.33%Ni−22.04%Cr−0.20%Zr−0.08%La合金、
(d)Fe−0.01%C−0.18%Si−0.20%Mn−22.1%Cr−0.09%Al−1.20%Mo−0.23%Nb−0.19%Ti合金、
(e)Fe−0〜0.12%C−0〜0.75%Si−0〜1.00%Mn−16.00〜18.00%Cr−0〜0.040%P−0〜0.030%S合金、
(f)Fe−24.0%Cr−0.03%C−0.8%Mn−0.5%Si−0.5%Al−0.5%Cu−0.2%Ti−0.2%La−0.02%S−0.05%P合金、
(g)Fe−0.02%C−0.08%Si−0.46%Mn−0.34%Ni−21.8%Cr−0.05%Al−0.19%Zr−0.05%La合金、
(h)Fe−0.03%C−0.01%Si−0.27%Mn−0.38%Ni−23.8%Cr−0.01%Al−0.25%Zr−0.09%La−1.98%W合金、
(i)Fe−0.03%C−0〜0.01%Si−0.27%Mn−0.37%Ni−23.7%Cr−0.01%Al−0.28%Zr−0.07%La−1.80%W−0.94%Cu合金、
などがある。
[1.2. 第1コート層]
[1.2.1. 組成]
第1コート層は、基板の表面に形成される。また、第1コート層は、導電性酸化物(A)を含む。本発明において、導電性酸化物(A)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)(以下、単に「LNF」ともいう)を含む。
LNFは、導電性酸化物の中でも、接触抵抗が小さいため、基板表面に形成する第1コート層の材料として好適である。
LNFに含まれるNiの量が過剰になると、導電性が低下する。従って、xは、0.1以上である必要がある。xは、好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.3以上である。
同様に、Niの量が少なすぎると、導電性が低下する。従って、xは、0.9以下である必要がある。xは、好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.7以下である。
第1コート層は、導電性酸化物(A)のみからなるものでも良く、あるいは、他の材料が含まれていても良い。他の材料を含む場合、その含有量は、接触抵抗を増大させないように、50wt%以下、30wt%、あるいは、20wt%以下が好ましい。
[1.2.2. 厚さ]
第1コート層の厚さは、集電体の耐酸化性に影響を与える。第1コート層の厚さが薄くなりすぎると、高抵抗体であるCr23の偏析空間を十分に確保できなくなる。従って、第1コート層の厚さは、1μm以上が好ましい。第1コート層の厚さは、好ましくは、1.5μm以上、さらに好ましくは、2μm以上である。
一方、第1コート層の厚さが厚くなりすぎると、ASRが大きくなるとともに、膜にヒビ割れが生じやすくなる。従って、第1コート層の厚さは、30μm以下が好ましい。第1コート層の厚さは、好ましくは、25μm以下、さらに好ましくは、20μm以下である。
[1.3. 第2コート層]
[1.3.1. 組成]
第2コート層は、第1コート層の表面に形成される。また、第2コート層は、導電性酸化物(B)を含む。導電性酸化物(B)は、集電体として使用可能な程度の導電性を持つ酸化物であれば良く、特に限定されない。導電性酸化物(B)は、導電性酸化物(A)と同一の材料であっても良く、あるいは、異なる材料であっても良い。
導電性酸化物(B)としては、例えば、
(a)La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)、
(b)MnyCo3-y4(但し、0<y≦3)(以下、「MCO」ともいう)、
(c)Co34
(d)Zn(CozMn1-z)24(但し、0<z<1)、
(e)Sr1-MLaMTiO3(但し、0<M<1)、
などがある。
第2コート層は、これらのいずれか1種の酸化物からなるものでも良く、あるいは、2種以上を含む混合物又は固溶体であっても良い。
これらの中でも、導電性酸化物(B)は、LNF、MCO、及びCo34が好ましい。LNFは、上述したように、他の導電性酸化物に比べて、抵抗値が低いという利点がある。
MCOは、ステンレス鋼から放出されたCrと反応し、CoyCr3-y4(0.1≦y≦2.9)からなるCo−Cr系酸化物層を形成する。Co−Cr系酸化物は、Cr23やMnCr23に比べて抵抗が低いため、集電体の接触抵抗の増大を抑制することができる。
MCOに含まれるCo量が多くなるほど、導電性が高くなる。従って、yは、2.5以下が好ましい。yは、好ましくは、2.3以下、さらに好ましくは、2.0以下である。
さらに、y=0であるMCO、すなわち、Co34は、MCOに比べると導電性ではやや劣るが、メッキ法等で簡易に空隙率の低い膜を作製できるという利点がある。
第2コート層は、導電性酸化物(B)のみからなるものでも良く、あるいは、他の材料が含まれていても良い。
一般に、第2コート層に含まれる導電性酸化物(B)の量が多くなるほど、抵抗値の低い集電体が得られる。第2コート層に含まれる導電性酸化物(B)の量は、好ましくは、80wt%以上、さらに好ましくは、90wt%以上である。
[1.3.2. 厚さ]
第2コート層の厚さは、集電体の耐酸化性や、Crの放出特性に影響を与える。第2コート層の厚さが薄くなりすぎると、Crの放出を十分に抑制できなくなる。従って、第2コート層の厚さは、1μm以上が好ましい。第2コート層の厚さは、好ましくは、1.5μm以上、さらに好ましくは、2μm以上である。
一方、第2コート層の厚さが厚くなりすぎると、ASRが大きくなる。従って、第2コート層の厚さは、10μm以下が好ましい。第2コート層の厚さは、好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、5μm以下である。
[1.4. 空隙率]
[1.4.1. ε1とε2の関係]
本発明において、第1コート層は、主としてCrの偏析空間を確保するための機能を備え、第2コート層は、主としてCrの放出を抑制する機能を備えている。そのため、第1コート層の空隙率ε1と第2コート層の空隙率ε2との間には、少なくとも次の式(1)の関係が成り立っている必要がある。
ε2<ε1 …(1)
ここで、「空隙率」とは、(ρ0−ρ)×100/ρ0で表される値をいう。但し、「ρ0」はコート層の理論密度、「ρ」はコート層の実際の密度である。
[1.4.2. ε1
第1コート層の空隙率ε1は、接触抵抗の初期値、及び耐久性に影響を与える。長期間安定して低い接触抵抗を維持するためには、ε1は、次の式(2)の関係をさらに満たしているのが好ましい。
20%≦ε1≦50% …(2)
ε1が小さくなりすぎると、Crの偏析空間を十分に確保することができない。そのため、長期間使用すると、空隙がCr23で閉塞し、やがてコート層と基板との界面にCr23層が析出する。従って、ε1は、20%以上が好ましい。ε1は、好ましくは、25%以上、さらに好ましくは、30%以上である。
一方、ε1が大きくなりすぎると、第1コート層の抵抗値の初期値がかえって増大する。従って、ε1は、50%以下が好ましい。ε1は、好ましくは、48%以下、さらに好ましくは、45%以下である。
[1.4.3. ε2
第2コート層の空隙率ε2は、Crの放出特性に影響を与える。そのため、ε2は、次の式(3)を満たしているのが好ましい。
ε2≦20% …(3)
ε2が大きくなりすぎると、第2コート層から外部にCrが放出され易くなる。従って、ε2は、20%以下が好ましい。ε2は、好ましくは、15%以下、さらに好ましくは、10%以下である。
[1.5. 接触抵抗]
本発明に係る集電体において、第1コート層及び第2コート層の組成及び空隙率を最適化すると、ASRが小さく、かつ、耐久性に優れた集電体が得られる。
具体的には、製造条件を最適化すると、ASRの初期値(測定温度:700℃)は、1mΩ・cm2以下となる。また、大気中、800℃で1000時間保持した後のASR(測定温度:700℃)は、2.0mΩ・cm2以下、1.5mΩ・cm2以下、あるいは、1.0mΩ・cm2以下となる。
[2. 集電体の製造方法]
本発明に係る集電体の製造方法は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板の表面に、導電性酸化物(A)を含む第1コート層前駆体を形成する第1コーティング工程と、
前記基板を還元雰囲気下において熱処理する第1還元工程と、
前記基板を酸化雰囲気下において焼成する第1焼成工程と、
第1コート層の表面に、導電性酸化物(B)を含む第2コート層前駆体を形成する第2コーティング工程と、
前記基板を還元雰囲気下において熱処理する第2還元工程と、
前記基板を酸化雰囲気下において焼成する第2焼成工程と、
を備えている。
[2.1. 第1コーティング工程]
まず、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板の表面に、導電性酸化物(A)を含む第1コート層前駆体を形成する(第1コーティング工程)。コーティング方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
コーティング方法としては、例えば、
(a)粉末、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板をスラリーに浸漬するディップコート法、
(b)粉末、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板表面にスラリーを塗布するスクリーン印刷法、
(c)粒子を高速で噴射するエアロゾルデポジション法、
などがある。
[2.2. 第1還元工程]
次に、第1コート層前駆体が形成された基板を還元雰囲気下において熱処理する(第1還元工程)。還元処理は、第1コート層の焼結性を向上させるために必要である。導電性酸化物(A)を含む第1コート層前駆体を還元処理すると、酸化物粒子が還元され、部分的に金属が生成する。この金属が第1コート層の焼結を促進させると考えられている。
還元は、水素雰囲気下において、第1コート層前駆体が形成された基板を熱処理することにより行う。熱処理温度が低すぎると、導電性酸化物(A)の還元が不十分となる。従って、熱処理温度は、400℃以上が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、500℃以上、さらに好ましくは、600℃以上である。
一方、熱処理温度が高すぎると、導電性酸化物(A)の粒子が粗大化し、第1コート層の焼結性を低下させる。従って、熱処理温度は、850℃以下が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、830℃以下、さらに好ましくは、800℃以下である。
熱処理時間は、熱処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、熱処理温度が高くなるほど、短時間で還元処理が完了する。最適な熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、通常、2〜24時間である。
[2.3. 第1焼成工程]
次に、還元処理後の基板を酸化雰囲気下において焼成する(第1焼成工程)。これにより、第1コート層前駆体が焼結し、第1コート層となる。
焼成温度が低すぎると、焼結が不十分となる。従って、焼成温度は、600℃以上が好ましい。焼成温度は、好ましくは、650℃以上である。
一方、焼成温度が高すぎると、緻密化が進行し、第1コート層の空隙率ε1が過度に小さくなる。従って、焼成温度は、900℃以下が好ましい。焼成温度は、好ましくは、850℃以下である。
焼成時間は、焼成温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、焼成温度が高くなるほど、短時間で焼結が完了する。最適な焼成時間は、焼成温度にもよるが、通常、1〜24時間である。
[2.4. 第2コーティング工程]
次に、 第1コート層の表面に、導電性酸化物(B)を含む第2コート層前駆体を形成する(第2コーティング工程)。第2コーティング工程の詳細については、第1コーティング工程を同様であるので、説明を省略する。
なお、第2コート層の空隙率ε2を第1コート層の空隙率ε1より小さくするために、導電性酸化物(A)より粒径の小さな導電性酸化物(B)を用いるのが好ましい。
[2.5. 第2還元工程]
次に、第2コート層前駆体が形成された基板を還元雰囲気下において熱処理する(第2還元工程)。還元条件は、導電性酸化物(B)の組成に応じて、最適な条件を選択するのが好ましい。第2還元工程に関するその他の点については、第1還元工程と同様であるので、説明を省略する。
[2.6. 第2焼成工程]
次に、還元処理後の基板を酸化雰囲気下において焼成する(第2焼成工程)。これにより、第2コート層前駆体が緻密化し、第2コート層となる。焼成条件は、導電性酸化物(B)の組成に応じて、最適な条件を選択するのが好ましい。
なお、第2焼成工程の焼成温度は、第1焼成工程のそれより高くするのが好ましい。これは、第2コート層の空隙率ε2を第1コート層の空隙率ε1より小さくするためである。
第2焼成工程に関するその他の点については、第1焼成工程と同様であるので、説明を省略する。
[3. 作用]
ステンレス鋼基板の表面に形成するコート層としてLa(Ni1-xFex)O3を用いると、他の導電性酸化物を用いた場合に比べて接触抵抗を小さくすることができる。しかし、この場合、ステンレス鋼基板とコート層との界面に高抵抗のCr23が析出しやすい。
これに対し、コート層をLa(Ni1-xFex)O3を含む第1コート層と、第2コート層との2層構造とし、かつ、第1コート層の空隙率ε1を第2コート層の空隙率ε1より大きくすると、緻密な第2コート層により集電体外部へのCrの放出が抑制される。また、ステンレス鋼基板から放出されたCrは、空隙率ε1の高い第1コート層の空隙内に析出する。そのため、ステンレス鋼基板からの集電体外部へCrの放出と、ステンレス鋼基板とコート膜の界面におけるCr23層の形成とを同時に抑制することができる。
(実施例1〜4、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
平均粒径:0.5μmのLaNi0.6Fe0.43(以下、「LNF」ともいう)、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。ディップコート法にて、Fe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、700℃で2時間焼成することにより、第1コート層を形成した。
次に、平均粒径:0.05μmのCo34、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。ディップコート法にて、第1コート層が形成されたFe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、850℃で2時間焼成することにより、第2コート層を形成した。
[1.2. 実施例2]
実施例1と同一条件下で、第1コート層を形成した。
次に、平均粒径:0.2μmのLNF、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。ディップコート法にて、第1コート層が形成されたFe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、850℃で2時間焼成することにより、第2コート層を形成した。
[1.3. 実施例3]
実施例1と同一条件下で、第1コート層を形成した。
次に、平均粒径:0.2μmのMn1.5Co1.54(以下、「MCO」ともいう)、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。ディップコート法にて、第1コート層が形成されたFe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、850℃で2時間焼成することにより、第2コート層を形成した。
[1.5. 実施例4]
平均粒径:0.5μmのLNF、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。バインダ量は、実施例2の1.5倍とした。ディップコート法にて、Fe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、700℃で2時間焼成することにより、第1コート層を形成した。
次に、実施例2と同一条件下で、第2コート層を形成した。
[1.5. 比較例1]
平均粒径:0.2μmのLNF、バインダ、可塑剤、及びエタノール含有有機溶媒をポットに入れ、ボールミルにて混合し、スラリーを作製した。ディップコート法にて、Fe−Cr系ステンレス鋼基板にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、4%H2/N2雰囲気下において、700℃で8h還元処理した。その後、大気雰囲気下において、850℃で2時間焼成することにより、コート層を形成した。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. 空隙率]
各コート層の緻密性を評価するために、コート層の重量と厚さを測定し、コート層の密度を算出した。このコート層の密度と理論密度の比を用いて、空隙率を算出した。ここで、Co34、及びLNFの理論密度は、それぞれ、6.11g/cm2、7.02g/cm2とした。また、MCOの理論密度は、5.52g/cm3とした。
[2.2. 接触抵抗]
4端子法を用いて、接触抵抗(ASR)を測定した。ASRは、耐久試験前(初期値)及び耐久試験後に測定した。ASRの初期値は、大気中、700℃で測定した。耐久試験は、大気中、800℃で1000h保持することにより行った。耐久試験後、再度700℃に温度を低下させ、700℃において耐久試験後のASRを測定した。表1に、接触抵抗の初期値及び1000h耐久後の値、並びに、空隙率を示す。図1に、実施例1で得られた集電体の断面のSEM像を示す。
Figure 2019087370
二層コートを実施した膜(実施例1〜4)のASR変化は、緻密性の高いLNFで一層コートした膜(比較例1)のASR変化より小さく、二層コートした方が耐久性が向上することがわかった。これは、耐久試験中に生成するCr23が、多孔質の第1コート層の空隙内に偏析し、第1コート層と基板の界面に明確なCr23層が形成されないためと考えられる。
ここで、二層コート膜を用いた集電体において、初期ASRと耐久性を両立できる第1コート層の条件を検討した。比較例1、及び実施例2、4の結果を用い、第1コート層の空隙率と、初期ASR及びASRの耐久変化量との相関を検討した結果、第1コート層の空隙率が20〜50%の時、初期ASRと耐久性を両立できることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る集電体は、固体酸化物形燃料電池などの高温型燃料電池の集電体(インターコネクタ)として使用することができる。

Claims (4)

  1. 以下の構成を備えた集電体。
    (1)前記集電体は、
    Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
    前記基板の表面に形成された、導電性酸化物(A)を含む第1コート層と、
    前記第1コート層の表面に形成された、導電性酸化物(B)を含む第2コート層と
    を備えている。
    (2)前記導電性酸化物(A)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)を含む。
    (3)前記第1コート層の空隙率ε1と前記第2コート層の空隙率ε2との間に、次の式(1)の関係が成り立つ。
    ε2<ε1 …(1)
  2. さらに次の式(2)の関係が成り立つ請求項1に記載の集電体。
    20%≦ε1≦50% …(2)
  3. 前記導電性酸化物(B)は、La(Ni1-xFex)O3(但し、0.1≦x≦0.9)、MnyCo3-y4(但し、0<y≦3)、及び、Co34からなる群から選ばれるいずれか1以上の酸化物を含む請求項1又は2に記載の集電体。
  4. さらに次の式(3)の関係が成り立つ請求項1から3までのいずれか1項に記載の集電体。
    ε2≦20% …(3)
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