JP2019175567A - 集電体 - Google Patents

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Tadashi Inaba
忠司 稲葉
充明 加藤
Mitsuaki Kato
充明 加藤
実海 西村
Miu Nishimura
実海 西村
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Abstract

【課題】接触抵抗が低く、かつ、緻密なコート層を備えた集電体を提供すること。【解決手段】集電体は、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、前記基板の表面に形成されたコート層とを備えている。前記コート層は、第1相粒子が連結している骨格層と、前記骨格層の空隙内に充填された第2相粒子とを備えている。前記第1相粒子は、La(Ni1-vAv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)を含み、前記第2相粒子は、導電性酸化物からなる。さらに、前記コート層は、接触抵抗が2mΩ・cm2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、集電体に関し、さらに詳しくは、高温型燃料電池に用いられる集電体に関する。
高温型燃料電池の集電体には、従来、LaCrO3のような酸化物が用いられていた。しかし、近年、高温型燃料電池の動作温度を低下させる技術が開発されたこと、高温での耐酸化性に優れたステンレス鋼が開発されたことなどから、集電体として安価なステンレス鋼が用いられるようになってきた。しかし、ステンレス鋼はCrを含むため、
(a)集電体の表面に高抵抗のCr23が形成される、
(b)大気と反応してCr含有ガスが発生し、電極劣化を誘発させる
などの課題がある。そのため、ステンレス鋼の表面を導電性の高い酸化物でコーティングする方法が検討されている。特に、最近は、スピネル酸化物(MnCo)34、Zn(MnCo)24や、ペロブスカイト型酸化物La(NiFe)O3をコーティング材に用いた検討が進められている。
例えば、特許文献1には、
(a)MnCo24(d50=1μm、比表面積=2.3m2/g)、及びLiNO3を含む油性スラリーを作製し、
(b)Crを含む耐熱合金からなる板体の表面に油性スラリーを塗布し、
(c)水素を含む窒素雰囲気下において、板体を800℃で2時間還元処理し、
(d)空気雰囲気下において、板体を800℃で12〜24時間焼成する
固体酸化物形燃料電池用インターコネクタへの保護膜コーティング方法が開示されている。
同文献には、
(A)LiNO3は、MnCo24の低温焼結助剤として機能する点、及び
(B)LiNO3添加量が2モル%である場合、断面に比較的大きな孔が観察されるのに対し、LiNO3添加量が3モル%では、断面に細孔がまばらに観察される点
が記載されている。
非特許文献1、2には、
(a)MnCo24スピネル酸化物のスラリーに焼結助剤としてLiNO3を加え、
(b)スクリーン印刷によりFe−Crフェライト系合金の表面にスラリーを塗布し、
(c)還元雰囲気下においてスピネルでコートされた試料を800℃で2時間焼成し、
(d)さらに大気中において試料を850℃で10時間焼成する
SOFC用インターコネクタの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)MnCo24スピネルは、低温において十分に緻密化しないのに対し、LiNO3を添加すると緻密なスピネルコーティングが得られる点、及び
(B)Fe−Crフェライト系合金の表面にMnCo24スピネルコーティングを施すと、酸化増量が減少する点
が記載されている。
非特許文献3には、フェライト系ステンレス鋼の表面に、MnxCoyFe3-x-y4粉末を溶射する方法が開示されている。
同文献には、
(A)ステンレス鋼表面のCr23とMnxCoyFe3-x-y4とが反応してMn3-zCrz4が生成する点、及び
(B)Cr23より電気導電率の高いMn3-zCrz4の形成により、ASR(Area Specific Resistance)が改善される点、
が記載されている。
さらに、特許文献2には、セル間接続部材用基材上にZn(CoxMn1-x)24(0<x<1)を含む保護膜を形成した燃料電池用セル間接続部材が開示されている。
同文献には、Zn(CoxMn1-x)24を含む保護膜は、Crの飛散を防止できると同時に、基材、空気極等との熱膨張率の不一致が小さい点が記載されている。
上述したように、ステンレス鋼基板を高温で保持すると、ステンレス鋼の成分であるCrがガスとなって放出される。このCr含有ガスは、カソード劣化を引き起こす原因となる。従って、固体酸化物形燃料電池用の集電体(インターコネクタ)には、Cr含有ガスの放出を抑えることが求められる。そのため、従来から、ステンレス鋼基板の表面を緻密で低抵抗のコート材で被覆することが行われている。
LaNiO3系ペロブスカイト型酸化物は、Cr23との反応に対する耐性があるため、接触抵抗(ASR)は小さく、大電流に対応できるという利点がある。しかし、LaNiO3系ペロブスカイト型酸化物は、焼結性が低いため、緻密なコート膜を作製するのが難しいという問題があった。そのため、LaNiO3を一度、H2雰囲気で還元・微粒化してから大気焼成したり、あるいは、粒径の小さなLaNiO3粒子を用いて静水圧プレス処理・焼成を繰り返すことにより、緻密なコート膜を作製していた。
しかし、H2雰囲気を利用する方法は、被処理部材を高温で、長時間、危険ガスに曝すことから、好ましいプロセスではない。また、静水圧プレス処理を用いると、LaNiO3系ペロブスカイト型酸化物からなるコート膜をある程度緻密化することはできるが、スピネル酸化物(MnCo)34からなるコート膜に比べると緻密性は不十分である。
特開2009−152016号公報 特開2012−216508号公報
Journal of Power Sources 196, 7251(2011) Electrochemistry, 80, 155(2012) 燃料電池、12, 64(2013)
本発明が解決しようとする課題は、接触抵抗が低く、かつ、緻密なコート層を備えた集電体を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、H2雰囲気処理を用いることなく緻密化することが可能なコート層を備えた集電体を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る集電体は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記集電体は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
前記基板の表面に形成されたコート層と
を備えている。
(2)前記コート層は、
第1相粒子が連結している骨格層と、
前記骨格層の空隙内に充填された第2相粒子と
を備えている。
(3)前記第1相粒子は、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)を含み、
前記第2相粒子は、導電性酸化物を含む。
(4)前記コート層は、接触抵抗が2mΩ・cm2以下である。
La(Ni1-xx)O3系材料からなる第1相粒子を基材表面にコートし、焼成すると、基材表面に、第1相粒子が連結している骨格層を形成することができる。次に、骨格層の空隙内に金属酸化物源を含浸させ、静水圧プレス処理及び焼成処理を行うと、骨格層の空隙内に第2相粒子が充填されたコート層が得られる。
このようにして得られたコート層は、La(Ni1-xx)O3系材料と導電性酸化物との複合体からなるので、接触抵抗が低い。また、第1相粒子からなる骨格層の空隙内に第2相粒子が充填されているので、緻密である。しかも、このような組織を持つコート層を作製する際に、必ずしもH2雰囲気処理を必要としない。そのため、安全なプロセスで、接触抵抗が低く、かつ、緻密なコート層を作製することが可能となる。
実施例1で得られたコート層の断面のSEM像である。 比較例1で得られたコート層の断面のSEM像である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 集電体]
本発明に係る集電体は、以下の構成を備えている。
(1)前記集電体は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
前記基板の表面に形成されたコート層と
を備えている。
(2)前記コート層は、
第1相粒子が連結している骨格層と、
前記骨格層の空隙内に充填された第2相粒子と
を備えている。
(3)前記第1相粒子は、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)を含み、
前記第2相粒子は、導電性酸化物を含む。
(4)前記コート層は、接触抵抗が2mΩ・cm2以下である。
[1.1. 基板]
基板は、Fe−Cr系ステンレス鋼(又は、フェライト系ステンレス鋼)からなる。基板の組成は、燃料電池の使用温度域において十分な耐熱性を示すものである限りにおいて、特に限定されない。また、基板の形状も特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状を選択することができる。
基板を構成するFe−Cr系ステンレス鋼としては、例えば、
(a)Fe−0.02%C−0.50%Mn−0.26%Ni−21.97%Cr−0.22%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(b)Fe−0.03%C−0.47%Mn−0.26%Ni−22.14%Cr−0.20%Zr−0.04%La−0.40%Si−0.21%Al合金、
(c)Fe−0.02%C−0.48%Mn−0.33%Ni−22.04%Cr−0.20%Zr−0.08%La合金、
(d)Fe−0.01%C−0.18%Si−0.20%Mn−22.1%Cr−0.09%Al−1.20%Mo−0.23%Nb−0.19%Ti合金、
(e)Fe−0〜0.12%C−0〜0.75%Si−0〜1.00%Mn−16.00〜18.00%Cr−0〜0.040%P−0〜0.030%S合金、
(f)Fe−24.0%Cr−0.03%C−0.8%Mn−0.5%Si−0.5%Al−0.5%Cu−0.2%Ti−0.2%La−0.02%S−0.05%P合金、
(g)Fe−0.02%C−0.08%Si−0.46%Mn−0.34%Ni−21.8%Cr−0.05%Al−0.19%Zr−0.05%La合金、
(h)Fe−0.03%C−0.01%Si−0.27%Mn−0.38%Ni−23.8%Cr−0.01%Al−0.25%Zr−0.09%La−1.98%W合金、
(i)Fe−0.03%C−0〜0.01%Si−0.27%Mn−0.37%Ni−23.7%Cr−0.01%Al−0.28%Zr−0.07%La−1.80%W−0.94%Cu合金、
などがある。
[1.2. コート層]
コート層は、基板の表面に形成される。コート層は、通常、基板の全面に形成されるが、一部に形成されていても良い。本発明においてコート層は、第1相粒子が連結している骨格層と、前記骨格層の空隙内に充填された第2相粒子とを備えている。
[1.2.1. 第1相粒子]
[A. 組成]
第1相粒子は、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)(以下、単に「LNA」ともいう)を含む。LNAは、導電性酸化物の中でも、接触抵抗が小さいため、第1相粒子の材料として好適である。
LNAに含まれるNiの量が過剰になると、導電性が低下する。従って、vは、0.1以上である必要がある。vは、好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.3以上である。
同様に、Niの量が少なすぎると、導電性が低下する。従って、vは、0.9以下である必要がある。vは、好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.7以下である。
第1相粒子は、LNAのみからなるものでも良く、あるいは、他の材料が含まれていても良い。但し、第1相粒子に含まれるLNAの含有量が少なくなりすぎると、接触抵抗が増大する。従って、第1相粒子に含まれるLNAの含有量は、50wt%以上が好ましい。LNAの含有量は、好ましくは、70wt%以上、さらに好ましくは、90wt%以上である。
他の材料としては、例えば、(MnzCo3-z)O4(0<z<3)、Zn(CoxMn1-x)24(0<x<1)、(CoxNi3-x)O4(0<x<3)などがある。
[B. 粒径]
コート層は、第1相粒子が連結した骨格層を備えている。このような構造は、第1相粒子を含むスラリー基材表面に塗布し、塗膜を相対的に低温で焼成することにより得られる。塗膜を相対的に低温で焼成すると、塗膜の収縮や粒成長はほとんど生じないが、粒子間にネックが形成される。その結果、第1相粒子が連結した骨格層が得られる。
一般に、第1相粒子の粒径が小さくなるほど、第1相粒子間の隙間が小さくなる。そのため、後述する方法を用いて骨格層の空隙内に第2相粒子を充填すると、H2雰囲気処理を用いることなく、コート層を容易に緻密化することができる。このような効果を得るためには、第1相粒子の粒径は、500nm以下が好ましい。第1相粒子の粒径は、好ましくは、300nm以下、さらに好ましくは、150nm以下である。
[1.2.2. 第2相粒子]
[A. 組成]
第2相粒子は、導電性酸化物を含む。第2相粒子の組成は、導電性を有する限りにおいて、特に限定されない。導電性酸化物は、特に、La、Ni、Fe、Mn、Co、及びCrからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素を含むものが好ましい。これは、これらの元素はいずれも高い導電性を持ったペロブスカイト型酸化物、スピネル型酸化物を得やすいためである。
第2相粒子を構成する導電性酸化物としては、例えば、
(a)LNA、
(b)(MnzCo3-z)O4(0<z<3)(以下、単に「MCO」ともいう)、
(c)(CoxNi3-x)O4(0<x<3)、
(d)(La1-xSrx)MnO3(0.1<x<0.4)、
などがある。
[B. 粒径]
第2相粒子は、第1相粒子が連結している骨格層の空隙内に金属酸化物源を充填し、焼成することにより得られる。そのため、第2相粒子の粒径は、骨格層の空隙(第1相粒子間の隙間)の大きさ以下となる。
[1.2.3. 接触抵抗]
一般に、集電体の接触抵抗(ASR)が低くなるほど、燃料電池の発電効率が向上する。本発明に係る集電体は、コート層の主成分がLNAからなり、かつ、コート層が緻密であるため、接触抵抗が低い。製造条件を最適化すると、コート層の接触抵抗は、2mΩ・cm2以下となる。製造条件をさらに最適化すると、コート層の接触抵抗は、1.5mΩ・cm2以下、あるいは、1.0mΩ・cm2以下となる。
[1.2.4. 空隙率]
基材からのCr放出量を抑制するためには、コート層の空隙率は低いほど良い。後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、コート層の空隙率は、20%以下となる。製造条件を更に最適化すると、空隙率は、15%以下、あるいは、10%以下となる。
[2. 集電体の製造方法(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る集電体の製造方法は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板に、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)からなる第1相粒子を含む骨格層前駆体を形成するコーティング工程と、
前記骨格層前駆体が形成された前記基板を焼成し、骨格層が形成された前記基板を得る第1焼成工程と、
前記骨格層に、金属酸化物源を含む溶液を含浸させ、乾燥させる充填工程と、
前記金属酸化物源を含む骨格層が形成された基板を静水圧プレス処理する第1静水圧処理工程と、
前記第1静水圧プレス工程後の基板を焼成する第2焼成工程と
を備えている。
[2.1. コーティング工程]
まず、Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板に、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)からなる第1相粒子を含む骨格層前駆体を形成する(コーティング工程)。
「骨格層前駆体」とは、焼成することによって、LNAを含む第1相粒子が連結している骨格層となるもの(前駆体)をいう。
骨格層前駆体の形成は、具体的には、第1相粒子を基材表面にコーティングすることにより行う。コーティング方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
コーティング方法としては、例えば、
(a)第1相粒子、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板をスラリーに浸漬するディップコート法、
(b)第1相粒子、バインダ、可塑剤、及び溶媒を含むスラリーを作製し、基板表面にスラリーを塗布するスクリーン印刷法、
(c)第1相粒子を高速で噴射するエアロゾルデポジション法、
などがある。
[2.2. 第1焼成工程]
次に、前記骨格層前駆体が形成された前記基板を焼成する(第1焼成工程)。これにより、表面に骨格層が形成された前記基板が得られる。
焼成は、主として、
(a)第1相粒子を基板表面に焼き付けるため、及び、
(b)第1相粒子間にネック部を形成し、第1相粒子が連結した骨格層を形成するため
に行われる。
そのため、焼成温度が低すぎると、ネック部の形成が不十分となる。従って、焼成温度は、600℃以上が好ましい。焼成温度は、好ましくは、650℃以上である。
一方、焼成温度が高すぎると、基板の酸化が進行し、ASRが増加する。従って、焼成温度は、900℃以下が好ましい。焼成温度は、好ましくは、850℃以下である。
焼成時間は、焼成温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、焼成温度が高くなるほど、短時間で焼結が完了する。最適な焼成時間は、焼成温度にもよるが、通常、1〜24時間である。
焼成時の雰囲気は、特に限定されない。焼成は、通常、大気雰囲気下で行われる。
[2.3. 充填工程]
次に、前記骨格層に、金属酸化物源を含む溶液を含浸させ、乾燥させる(充填工程)。
金属酸化物源は、溶媒に可溶であり、かつ、焼成によって第2相粒子を生成可能なものであれば良い。金属酸化物源としては、例えば、
(a)トリフルオロ酢酸、オクチル酸(2−エチルヘキサン酸)、カルボン酸、ナフテン酸などの有機酸と金属との塩(金属有機塩)、
(b)金属アルコキシド、
などがある。
骨格層への溶液の含浸及び乾燥は、1回のみ行っても良く、あるいは、複数回繰り返してもよい。また、溶液中の金属酸化物源の濃度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な濃度を選択することができる。一般に、溶液中の金属酸化物源の濃度が高くなるほど、1回の含浸処理当たりの金属酸化物源の充填量が多くなる。
[2.4. 第1静水圧処理工程]
次に、前記金属酸化物源を含む骨格層が形成された基板を静水圧プレス処理する(第1静水圧プレス工程)。骨格層を焼成する前に静水圧プレス処理すると、より緻密なコート層を得ることができる。
一般に、静水圧プレス処理時の圧力が高くなるほど、コート層が緻密となる。このような効果を得るためには、処理圧力は、50MPa以上が好ましい。処理圧力は、好ましくは、100MPa以上、さらに好ましくは、200MPa以上である。
一方、処理圧力を必要以上に高くしても、効果に差が無く、実益がない。従って、処理圧力は、400MPa以下が好ましい。処理圧力は、好ましくは、300MPa以下である。
[2.5. 第2焼成工程]
次に、前記第1静水圧プレス工程後の基板を焼成する(第2焼成工程)。これにより、本発明に係る集電体が得られる。
焼成条件は、主として、金属酸化物源(すなわち、第2相粒子)の組成に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。一般に、焼成温度が低すぎると、第2相粒子の生成が不十分となる。一方、焼成温度が高すぎると、基板の酸化が進行する。
最適な焼成条件は、第2相粒子の組成により異なる。例えば、第2相粒子がLNAからなる場合、焼成温度は、600℃〜900℃が好ましい。また、第2相粒子がMCOからなる場合、焼成温度は、500℃〜900℃が好ましい。
[3. 集電体の製造方法(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る集電体の製造方法は、
Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板に、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)からなる第1相粒子を含む骨格層前駆体を形成するコーティング工程と、
前記骨格層前駆体が形成された前記基板を焼成し、骨格層が形成された前記基板を得る第1焼成工程と、
前記骨格層に、金属酸化物源を含む溶液を含浸させ、乾燥させる充填工程と、
前記金属酸化物源を含む骨格層が形成された基板を静水圧プレス処理する第1静水圧処理工程と、
前記第1静水圧プレス工程後の基板を焼成する第2焼成工程と、
前記第2焼成工程後の基板を再度、静水圧プレス処理する第2静水圧処理工程と、
前記第2静水圧プレス工程後の基板を焼成する第3焼成工程と
を備えている。
[3.1. コーティング工程、第1焼成工程、充填工程、第1静水圧処理工程、及び第2焼成工程]
コーティング工程、第1焼成工程、充填工程、第1静水圧処理工程、及び第2焼成工程の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[3.2. 第2静水圧処理工程]
次に、前記第2焼成工程後の基板を再度、静水圧プレス処理する(第2静水圧処理工程)。第2静水圧処理工程、及び後述する第3焼成工程は、必ずしも必要ではないが、静水圧処理及び焼成を再度繰り返すと、コート層をさらに緻密化することができる。第2静水圧処理工程に関するその他の点については、第1静水圧処理工程と同様であるので、説明を省略する。
[3.3. 第3焼成工程]
次に、前記第2静水圧プレス工程後の基板を焼成する(第3焼成工程)。これにより、本発明に係る集電体が得られる。
静水圧プレス及び焼成を複数回繰り返す場合、1回目の焼成(第2焼成工程)の焼成温度は相対的に低く設定し、2回目(第3焼成工程)の焼成温度は、1回目(第2焼成工程)の焼成温度より高く設定するのが好ましい。これは、基板が高温に曝される累積時間をできるだけ少なくすることによって、基板からのCrの揮発を抑制するためである。
第3焼成工程に関するその他の点については、第2焼成工程と同様であるので、説明を省略する。
[4. 作用]
La(Ni1-xx)O3系材料からなる第1相粒子を基材表面にコートし、焼成すると、基材表面に、第1相粒子が連結している骨格層を形成することができる。次に、骨格層の空隙内に金属酸化物源を含浸させ、静水圧プレス処理及び焼成処理を行うと、骨格層の空隙内に第2相粒子が充填されたコート層が得られる。
このようにして得られたコート層は、La(Ni1-xx)O3系材料と導電性酸化物との複合体からなるので、接触抵抗が低い。また、第1相粒子からなる骨格層の空隙内に第2相粒子が充填されているので、緻密である。しかも、このような組織を持つコート層を作製する際に、必ずしもH2雰囲気処理を必要としない。そのため、安全なプロセスで、接触抵抗が低く、かつ、緻密なコート層を作製することが可能となる。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
平均粒径0.3μmのLaNi0.6Fe0.43(以下、「LNF」ともいう)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
次に、La:Ni:Feの配合比(モル比)が1:0.6:0.4となるように金属有機塩溶液を調合した。金属有機塩溶液には、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用いた。この金属有機塩溶液に基板を浸漬し、骨格層の中に金属有機塩溶液を真空含浸させた。基板を乾燥後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において700℃で1h焼成した。その後、再度、静水圧プレス処理を行い、大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[1.2. 実施例2]
平均粒径0.3μmのLaNi0.6Fe0.43(LNF)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
次に、Mn:Coの配合比(モル比)が1:1となるように金属有機塩溶液を調合した。金属有機塩溶液には、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用いた。この金属有機塩溶液に基板を浸漬し、骨格層の中に金属有機塩溶液を真空含浸させた。基板を乾燥後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において700℃で1h焼成した。その後、再度、静水圧プレス処理を行い、大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[1.3. 実施例3]
平均粒径0.1μmのLaNi0.6Fe0.43(LNF)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
次に、La:Ni:Feの配合比(モル比)が1:0.6:0.4となるように金属有機塩溶液を調合した。金属有機塩溶液には、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用いた。この金属有機塩溶液に基板を浸漬し、骨格層の中に金属有機塩溶液を真空含浸させた。基板を乾燥後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において700℃で1h焼成した。その後、再度、静水圧プレス処理を行い、大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[1.4. 実施例4]
平均粒径0.5μmのLaNi0.6Fe0.43(LNF)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
次に、La:Ni:Feの配合比(モル比)が1:0.6:0.4となるように金属有機塩溶液を調合した。金属有機塩溶液には、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用いた。この金属有機塩溶液に基板を浸漬し、骨格層の中に金属有機塩溶液を真空含浸させた。基板を乾燥後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において700℃で1h焼成した。その後、再度、静水圧プレス処理を行い、大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[1.5. 比較例1]
平均粒径0.3μmのLaNi0.6Fe0.43(LNF)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
焼成後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[1.6. 比較例2]
平均粒径0.5μmのLaNi0.6Fe0.43(LNF)、バインダ、可塑剤、及エタノール含有有機溶媒をポットに入れた。これをボールミルにて混合し、スラリーを作製した。このスラリーを用い、ディップコート法にてFe−Cr系ステンレス鋼基板の表面にスラリーをコートした。コートした基板を乾燥させた後、700℃で大気焼成した。
焼成後、300MPaにて静水圧プレス処理を行った。さらに、基板を大気雰囲気において850℃で2h焼成し、集電体を得た。
[2. 試験方法]
[2.1. 空隙率]
各コート層の緻密性を評価するため、コート層の重量と厚さを測定し、膜密度を算出した。この膜密度と理論密度の比を用いて空隙率を算出した。ここで、LNF、及びMCOの理論密度を、それぞれ、7.02g/cm3、及び5.52g/cm2とした。
[2.2. 接触抵抗]
各試料にPtリード線を取り付け、4端子法にて、大気中700℃の接触抵抗を測定した。
[3. 結果]
表1に、空隙率及び接触抵抗(ASR)を示す。図1に、実施例1で得られたコート層の断面のSEM像を示す。図2に、比較例1で得られたコート層の断面のSEM像を示す。表1、及び図1〜2より、以下のことが分かる。
(1)300nmのLNF粒子に金属有機塩を含浸させて得られたコート層(実施例1)は、含浸処理なしのコート層(比較例1、2)に比べて、ASRは大きな減少は見られなかったが、空隙率には顕著な減少が見られた。このことから、含浸処理により緻密性が向上していることが確認できた。
(2)緻密性の向上は、LNF粒子が小さいほど効果的であった(実施例1、3、4)。
(3)同一倍率のSEM像で比較した場合、比較例1は、実施例1に比べて空隙が多いことが分かる(図1、図2)。
Figure 2019175567
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る集電体は、固体酸化物形燃料電池などの高温型燃料電池の集電体(インターコネクタ)として使用することができる。

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた集電体。
    (1)前記集電体は、
    Fe−Cr系ステンレス鋼からなる基板と、
    前記基板の表面に形成されたコート層と
    を備えている。
    (2)前記コート層は、
    第1相粒子が連結している骨格層と、
    前記骨格層の空隙内に充填された第2相粒子と
    を備えている。
    (3)前記第1相粒子は、La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)を含み、
    前記第2相粒子は、導電性酸化物を含む。
    (4)前記コート層は、接触抵抗が2mΩ・cm2以下である。
  2. 前記導電性酸化物は、La、Ni、Fe、Mn、Co、及びCrからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素を含む請求項1に記載の集電体。
  3. 前記導電性酸化物は、
    (a)La(Ni1-vv)O3(A=Mn、Co、Fe、又はCr、0.1≦v≦0.9)、
    (b)(MnzCo3-z)O4(0<z<3)、
    (c)(CoxNi3-x)O4(0<x<3)、又は、
    (d)(La1-xSrx)MnO3(0.1<x<0.4)、
    からなる請求項1又は2に記載の集電体。
  4. 前記第1相粒子の粒径は、500nm以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の集電体。
  5. 前記コート層の空隙率は、20%以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載の集電体。
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