JP6910172B2 - セル間接続部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セル間接続部材の製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池用セル(以下「SOFC用セル」と記載する場合がある。)は、電解質膜の一方面側に空気極を接合するとともに、同電解質膜の他方面側に燃料極を接合してなる単セルを、電子導電性の基材(セル間接続部材)により挟み込んだ構造を有する。そしてこのようなSOFC用セルは、700〜900℃程度の作動温度で作動し、空気極側から燃料極側への電解質膜を介した酸化物イオンの移動に伴って、電極間に起電力を発生させる。セル間接続部材は、単セル同士を電気的に接続する部材であり、また燃料と空気の隔壁となる部材でもある。
近年の開発の進展に伴い、SOFCの作動温度が下がってきている。従来の作動温度は1000℃程度であり、耐熱性の観点からランタンクロマイトに代表される金属酸化物が使用されていた。最近は作動温度が700℃〜800℃まで下がっており、SOFC用セルの構成部材として合金が使用できるようになってきた。合金の使用により、SOFCのコストダウン、ロバスト性の向上が期待できる。
合金としては、接合される金属酸化物の熱膨張率との整合性から、フェライト系ステンレス鋼が用いられることが多い。一方、耐熱性により優れたオーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金や、ニッケル基合金であるNi−Cr合金などが用いられることもある。また(La,Ca)CrO3(カルシウムドープランタンクロマイト)に代表される金属酸化物が用いられることもある。
これらの合金は、ほぼ例外なくCrを含んでおり、作動環境である高温大気雰囲気にて表面にCr23やMnCr24の酸化物皮膜を形成する。この酸化物皮膜は経時的に膜厚が厚くなり、電気抵抗が増大するとともに、作動環境である高温大気雰囲気で6価クロムの化合物として蒸発し、空気極を劣化させることが知られている(Cr被毒と呼ばれる)。また、(La,Ca)CrO3を用いた場合でも、合金の場合よりも少ないが、同様にCr被毒が生じる場合がある。そこで合金や(La,Ca)CrO3の表面に、耐熱性に優れた金属酸化物材料をコーティングして、空気極の劣化を抑制する試みがなされている。
特許文献1の固体酸化物形燃料電池用セルでは、セル間接続部材の基材はフェライト系ステンレス合金製であり、その基材の表面に金属酸化物材料(Znx(CoyMn(1-y)(3-x)4)を含む保護膜が形成されている。保護膜の形成は詳しくは、金属酸化物材料の微粉末を含有するスラリー状の塗膜形成用材料をディッピング法により基材に塗布し、乾燥の後、1000℃で2時間焼成して金属酸化物材料を焼結させることにより、行われる。
特開2013−229317号公報
THE ELECTRICAL CONDUCTIVITY OF Cr2O3 DOPED WITH 16.5 mol%TiO2 AT 1073 K M.Ueda et.al.,210th ECS Meeting Abstract#950
汎用のステンレス合金はFeとCr以外に様々な不純物元素を含んでいる。それら不純物元素は、金属と保護膜との界面近傍の金属内部に、酸素ポテンシャルに準じて内部酸化皮膜を形成する。この内部酸化皮膜と、基材の酸化皮膜、および保護膜の電子導電性・接触抵抗は、固体酸化物形燃料電池の発電効率に影響を与える。保護膜としては、高い電子導電性、Cr拡散抑制効果および周辺材料との熱膨張の一致が求められることから、スピネル系酸化物が用いられることが多い。セル間接続部材の周辺における発電性能に影響を及ぼす因子として、酸化皮膜の成長抑制、高抵抗である内部酸化皮膜層の形成の抑制、もしくは低抵抗な層を積極的に形成することが課題となっている。
ステンレス鋼材は表面にCr23酸化皮膜を形成し、内部酸化皮膜層として、SiO、Al23、TiO2等がエリンガム図の酸素ポテンシャル、温度の因子により順に形成するのが一般的である。これらの層はどれも絶縁性の材料であり、高抵抗な要因となるため、形成層を薄くする、分断する(断続的)等が求められる。しかしこれらは、保護膜形成のための熱処理の際に形成されるものであり、制御することが難しい。
非特許文献1では、低抵抗な層の形成として、Cr23酸化皮膜にTiO2をドープすることで、電子導電性が約1桁程度改善することが報告されている。ステンレス鋼材中のTiをCr23酸化皮膜内に形成させる製造方法により、性能向上が見込まれる。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気抵抗を低減して固体酸化物形燃料電池の性能を高めることができるセル間接続部材を提供することにある。
上記目的を達成するための、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法の特徴構成は、
導電性セラミックス材料の微粉末を含有するスラリーを用いて前記セル間接続部材の基材に塗膜を湿式成膜する成膜工程と、
塗膜を湿式成膜した前記基材に熱処理を施し、前記微粉末を焼結させて基材の表面に保護膜を形成する焼結工程とを有し、
前記基材の主材料のステンレス合金がTiを含有し、前記スラリーがAl23を含有し、
前記スラリーが含有するAl 2 3 の量が、導電性セラミックス材料の前記微粉末の総量に対して3質量%未満である、点にある。
発明者らはセル間接続部材の保護膜の材料や製造方法について鋭意実験・検討の末、保護膜の湿式成膜に用いるスラリーにアルミナ(Al23)を含有させると、セル間接続部材の電気抵抗値が低減される現象を見いだした。アルミナは電気抵抗が高いため、本来であれば保護膜に用いることは忌避される物質であるが、発明者らはスラリーへのアルミナの混合により予想に反してセル間接続部材の電気抵抗を低減できることを実験で確認し、本発明を完成したのである。
すなわち上記の特徴構成によれば、Al23を含有するスラリーを用いて基材に塗膜を湿式成膜し(成膜工程)、基材に熱処理を施し、微粉末を焼結させて基材の表面に保護膜を形成する(焼結工程)ことで、電気抵抗を低減したセル間接続部材を製造することができ、これを用いる固体酸化物形燃料電池の性能を高めることが可能となる。
アルミナ(Al23)の使用により電気抵抗が低減する理由は明らかではないが、スラリーにアルミナを含有させた場合に、基材表面の酸化皮膜中にTiが多く分布する現象が見られた。上述の非特許文献1によれば、Cr23酸化皮膜にTiO2をドープすることで電子導電性が改善するとあるから、スラリーへのアルミナの含有によって基材から酸化皮膜へのTiの移動が促進され、酸化皮膜の電子導電性が向上したと考えられる。
また、スラリーが含有するAl 2 3 の量に応じてセル間接続部材の電気抵抗値が変化することが実験で確認されている。上記の特徴構成によれば、セル間接続部材の電気抵抗値を低く抑えることができる。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の別の特徴構成は、前記スラリーにAl23の粉末を添加物として追加する添加工程を有する点にある。
すなわちスラリーへのAl23の含有は、スラリーにAl23の粉末を添加物として追加する添加工程により実現してもよい。この場合、導電性セラミックス材料にアルミナ(Al23)の粉末を混合して、これを粉砕して微粉末作成してもよい。導電性セラミックス材料の微粉末にAl23の粉末を混合してもよい。導電性セラミックス材料の微粉末を含有するスラリーに、Al23の粉末を混合してもよい。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の別の特徴構成は、前記スラリーが、前記導電性セラミックス材料に含まれる不純物としてのAl23を含有する点にある。
すなわち、導電性セラミックス材料に不純物としてアルミナ(Al23)が含まれ、これによりスラリーへAl23が含有されてもよい。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の別の特徴構成は、アルミナを粉砕メディアとして用いて導電性セラミックス材料を粉砕し、前記微粉末を作成する粉砕工程を有する点にある。
すなわちスラリーへのAl23の含有は、導電性セラミックス材料を粉砕し微粉末を作成する工程において、アルミナを粉砕メディアとして用いることで実現してもよい。
上述したセル間接続部材の製造方法は、前記導電性セラミックス材料が、コバルトマンガン系酸化物CoxMny4(0<x、y<3、x+y=3)、亜鉛コバルトマンガン系酸化物ZnzCoxMny4(0<x、y、z<3、x+y+z=3)、亜鉛コバルト系酸化物(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含有する場合に好適に適用可能である。また、前記導電性セラミックス材料が、コバルトマンガン系酸化物CoxMny4(0<x、y<3、x+y=3)を主成分とする場合にさらに好適に適用可能である。
固体酸化物形燃料電池用セルの概略図 固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図 セル間接続部材の断面図 固体酸化物形燃料電池用セルの断面のSEM画像およびEPMA図 固体酸化物形燃料電池用セルの断面のSEM画像およびEPMA図
以下、固体酸化物形燃料電池用セルおよびセル間接続部材を説明し、製造方法および実験例を示す。なお以下に本発明の好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
〔固体酸化物形燃料電池(SOFC)〕
図1および図2に示すSOFC用セルCは、酸素イオン伝導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸素イオンおよび電子導電性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子導電性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
さらに、SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31または燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気および水素を供給するための溝2が形成された一対の電子導電性の合金または酸化物からなるセル間接続部材1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。空気極31とセル間接続部材1とが密着配置されることで、空気極31側の溝2が空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能する。燃料極32とセル間接続部材1が密着配置されることで、燃料極32側の上記溝2が燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。セル間接続部材1はインターコネクタとセルC間を電気的に接続する部材が接続された構成となることもある。
なお、上記SOFC用セルCを構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、例えば、上記空気極31の材料としては、LaMO3(例えばM=Mn,Fe,Co,Ni)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MO3のペロブスカイト型酸化物を利用することができ、上記燃料極32の材料としては、Niとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットを利用することができ、さらに、電解質膜30の材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を利用することができる。
そして、複数のSOFC用セルCが積層配置された状態で、複数のボルトおよびナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持され、セルスタックとなる。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたセル間接続部材1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたセル間接続部材1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。なお、このような積層構造のセルスタックでは、上記セル間接続部材1をセパレータと呼ぶ場合がある。
セルスタックは、燃料ガス(水素)を供給するマニホールドに、ガラスシール材等の接着材により取り付けられる。ガラスシール材としては、例えば結晶化ガラスが用いられる。ガラスシール材は、マニホールドの接着の他、単セル3とセル間接続部材1の間など、封止(シール)が必要な箇所に用いられる。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本発明はその他の構造のSOFCについても適用可能である。
そして、このようなSOFC用セルCを備えたSOFCの作動時には、図2に示すように、空気極31に対して隣接するセル間接続部材1に形成された空気流路2aを介して空気を供給するとともに、燃料極32に対して隣接するセル間接続部材1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、例えば800℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31において酸素分子O2が電子e-と反応して酸化物イオンO2-が生成され、そのO2-が電解質膜30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたH2がそのO2-と反応してH2Oとe-とが生成されることで、一対のセル間接続部材1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用することができる。
〔セル間接続部材〕
セル間接続部材1は、図1および図3に示すように、単セル3との間で空気流路2a、燃料流路2bを形成しつつ接続可能にする溝板状に形成されている。基材11の表面に、後に述べる保護膜12を設けることでCr被毒を抑制することができ、固体酸化物形燃料電池用セルとして好適である。
セル間接続部材1の材料としては、電子導電性および耐熱性の優れた材料であって、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合金、オーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金など、Crを含有する合金が用いられる。本実施形態では特に、セル間接続部材1の基材11の主材料は、Tiを含有するステンレス合金であって、フェライト系であると好適であり、Siを含有すると好適であり、またMnを含有すると好適である。
〔保護膜〕
基材11に設けられる保護膜12は、導電性セラミックス材料(金属酸化物)を含有する。保護膜12に含有させる導電性セラミックス材料としては、コバルトマンガン系酸化物CoxMny4(0<x、y<3、x+y=3)、亜鉛コバルトマンガン系酸化物ZnzCoxMny4(0<x、y、z<3、x+y+z=3)、亜鉛コバルト系酸化物(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)から選ばれる少なくとも一つの酸化物が用いられる。具体的には、平均粒径が0.1μm以上2μm以下のZn(Co,Mn)O4またはCo1.5Mn1.54、ZnCo24、MnCo24、Co34の微粉末が好適に用いられる。
保護膜12の材料となる金属酸化物の微粉末は、導電性セラミックス材料を細かく粉砕して作成される。粉砕は例えば、筒状のボールミルに導電性セラミックス材料と粉砕メディアを投入し、ボールミルを回転させ、粉砕メディアの落下衝撃で導電性セラミックス材料を粉砕して行う。粉砕メディアはボール状(ビーズ状)すなわち球形状のものが用いられる。粉砕メディアとしては、安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ等を材料とするものを用いることができる。アルミナの粉砕メディアを導電性セラミックス材料の粉砕に用いた場合は、導電性セラミックス材料にアルミナを含有させることができる(粉砕工程)。
基材11への保護膜12の形成は、概略次のようにして行う。まず、金属酸化物微粉末を含有する混合液(スラリー)を作成する。そしてそのスラリーを用いて基材11に塗膜を湿式成膜し、乾燥・加熱等により塗膜を硬化させる。続いて、基材11を高温で処理し、塗膜中の樹脂等の成分を焼き飛ばし、金属酸化物微粉末を焼結させて、保護膜12を形成する。
本実施形態では、スラリーがAl23を含有することによりセル間接続部材の電気抵抗が低減される。スラリーが含有するAl23の量は、スラリーにおける導電性セラミックス材料の微粉末の総量に対して、3質量%未満であると好適である。また、スラリーが含有するAl23の量は、スラリーにおける導電性セラミックス材料の微粉末の総量に対して、0.5質量%以上であると好適であり、1質量%以上であると更に好適である。
湿式成膜による塗膜の形成方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法が例示できる。
例えば電着塗装法によれば、以下のようにして基材11に保護膜12を形成することができる。
(1)ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂を含有する電着液に、金属酸化物微粉末を1リットル当たり100gになるように分散させ、混合液を作成する。具体的には、質量比で(金属酸化物微粉末:アニオン型樹脂)=(1:1)〜(2:1)とする。
(2)混合液を満たした通電漕の中に基材11を浸して陽極とし、別に設けた陰極板との間に通電することにより、基材11の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。
(3)続いて、基材11に加熱処理を行うことで、基材11の表面に硬化した電着塗膜が形成される。加熱処理としては、電着塗膜を乾燥させる予備乾燥と、それに続いて電着塗膜を硬化させる硬化乾燥とを行う。
(4)最後に、基材11を電気炉を使用して2時間焼成し、保護膜12を備えたセル間接続部材1を得る。
なお、電着塗装の条件は特に制限されず、塗装する金属の種類、混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、目標膜厚などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(混合液温度)10〜40℃、印加電圧10〜450V、電圧印加時間1〜10分とすればよい。
〔セル間接続部材の製造方法〕
次にセル間接続部材の製造方法について説明する。セル間接続部材の製造方法は、スラリー作成ステップと、成膜ステップと、焼結ステップとを有する。
〔スラリー作成ステップ〕
スラリー作成ステップでは、導電性セラミックス材料の微粉末を含有するスラリーが作成される。そしてスラリーにはアルミナ(Al23)が含有される。本実施形態では(1)アルミナ粉末を添加物として追加する手法(2)アルミナを粉砕メディアとして用いて導電性セラミックス材料を粉砕する手法について説明するが、アルミナの含有には種々の手法が可能である。例えば(3)導電性セラミックス材料に含まれる不純物としてのAl23を含有させる手法も可能である。
まず、粉砕メディアを用いて導電性セラミックス材料を粉砕し、微粉末を作成する(乾式)。そして、微粉末と溶媒、バインダ樹脂等を混合してスラリーを作成する。また、ボールミルに導電性セラミックス材料と溶媒、バインダ樹脂等を投入して湿式で行ってもよい。この場合、導電性セラミックス材料の微粉末の作成と、微粉末を含有するスラリーの生成とが同時に行われる。
上述(1)スラリーへのAl23の粉末の添加物としての追加(添加工程)は、様々な方法が可能である。例えば、粉砕前の導電性セラミックス材料にアルミナを混合し、導電性セラミックス材料とアルミナとを一緒に粉砕してもよい。例えば、粉砕された導電性セラミックス材料の微粉末にアルミナ粉末を混合してもよい。作成されたスラリーにアルミナ粉末を混合してもよい。
またスラリーへのアルミナ含有は、上述(2)アルミナを粉砕メディアとして用いて導電性セラミックス材料を粉砕(粉砕工程)にて行ってもよい。この場合、上述の乾式と湿式の何れの方法も可能である。
〔成膜ステップ〕
成膜ステップでは、微粉末を含有するスラリーを用いてセル間接続部材1の基材11に塗膜を湿式成膜する。湿式成膜は、スラリーに基材11を浸けて(ディップ)引き上げることで行ってもよいし、電着塗装法により行ってもよいし、先に例示した方法のいずれかを用いてもよい。湿式成膜は、基材11の全体に対して行ってもよいし、平板状の基材11の一方の面のみに行ってもよい。なお後者の場合、湿式成膜が行われ保護膜12が形成された面が、単セル3の空気極31に接合されることになる。湿式成膜が行われず基材11の素材が露出している面が、単セル3の燃料極32に接合されることになる。
〔焼結ステップ〕
焼結ステップでは、塗膜を湿式成膜した基材11に熱処理を施し、微粉末を焼結させて基材11の表面に保護膜12を形成する。熱処理は1000℃以下の温度で行われると好適である。
焼結ステップにおける熱処理は、固体酸化物形燃料電池用セルの単セル3と基材11とを接合しない状態で行われてもよい。熱処理の際の雰囲気としては、種々選択が可能である。微粉末を含有するスラリーの塗布が基材11の一方の面に対して行われ、他方の面では基材11の素材が露出している場合には、熱処理を不活性ガスや還元ガスの雰囲気下で行うと、基材11の素材が露出した面の酸化を抑制することができ好適である。
〔電気抵抗値の測定〕
スラリーが含有するAl23の量と、セル間接続部材の電気抵抗(接触抵抗)との関係を確認するため、スラリーが含有するアルミナの量を変更したサンプルを作成し、電気抵抗を測定した。
<実験例1:アルミナ添加無し>
導電性セラミックス材料として、MnCo24を用い、セル間接続部材1の基材11としてSUS445J1(フェライト系ステンレス)の部材を用いた。実験例1では、粉砕メディアとして、イットリア安定化ジルコニア(以下「YSZ」と記す。)のボールを用いた。YSZボールにて粉砕したMnCo24の微粉末15g(平均粒径約0.5μm)と、溶媒としてのアルコール(1−メトキシ−2−プロパノール)30gと、バインダ樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロース2.7gと、混合促進のための分散メディア(YSZボール)とを、ペイントシェーカーにて混合し、スラリーを作成した。スラリーに基材11をディップし、引き上げ後、室温で乾燥させた。その後、箱形電気炉で加熱して熱処理を行い、溶媒およびバインダ樹脂の分解・脱離と、保護膜12の焼結を行った。熱処理の温度は1000℃である。
<実験例2〜4:アルミナ添加有り>
実験例1と同様に導電性セラミックス材料の粉砕を行い、得られたMnCo24の微粉末15gに、アルミナ粉末(平均粒径約0.3μm)を混合した。混合したアルミナの量は、実験例1は0.15g(1質量%)、実験例2は0.45g(3質量%)、実験例3は0.75g(5質量%)である。以降のスラリーの作成、塗膜の成膜、保護膜焼結は実験例1と同様に行った。
実験例1〜4の電気抵抗の測定結果を表1に示す。電気抵抗の測定は、550℃〜800℃の間で50℃ずつ温度を変更して行った。抵抗値の単位はmΩ・cm2である。なお実験例4の550℃および650℃は、装置の測定限界を超える高い抵抗値となった。
Figure 0006910172
実験例2では実験例1に比べて、全ての温度で抵抗値が減少した。実験例3では実験例1に比べて、550℃〜650℃では抵抗値が減少し、700℃〜800℃では抵抗値が増加した。実験例2と比べると、550℃を除く温度で抵抗値が増加した。実験例4では、全ての温度で、実験例1〜3に比べて抵抗値が増加した。温度に対する抵抗値の変化率は、実験例2は実験例1より小さく、実験例3は実験例2よりも小さい。実験例4の変化率は実験例1と同程度であった。
以上の結果から、スラリーへアルミナを含有させることにより、電気抵抗を低減できることが確認された。スラリーへ含有させるアルミナの量としては、微量でも電気抵抗低減の効果があると予想されるが、1質量%より大きいと好適であり、3質量%未満であると好適である。電気抵抗の大きさと温度に対する電気抵抗の変化率との両立の観点からは、スラリーに含有させるアルミナの量は3質量%以下であると好適である。
〔元素分布の観察〕
作成した実験例1(アルミナ添加無し)および実験例2(アルミナ1質量%添加)のサンプルについて、断面のSEM観察およびEPMA元素分析を行った。結果を図4と図5に示す。
各図の左上がSEM観察の画像、他がEPMA元素マッピング図(Mn,Co,Al,CrおよびTi)を示している。SEM画像には、画像の上側から基材、酸化皮膜、保護膜および接合層が表れている。EPMA元素マッピング図(以下「EPMA図」。)では、元素の濃度が高い位置が濃色で示されている。なお4種の元素の濃度スケールは異なっており、異なる元素間および異なる図の間で同じ濃さの色が表れていても、同じ濃度であることを意味しない。またSEM画像・EPMA図の視野はほぼ同じであるが、厳密に一致しているとは限らない。なお各図において、Mn、CrおよびCoの濃度が高い帯状の部位が、酸化皮膜に対応する位置である。
図4は実験例2(アルミナ1質量%添加)の結果を示している。TiのEPMA図に注目すると、酸化皮膜に対応する位置でTiの濃度が高くなっている。
図5は実験例1(アルミナ添加無し)の結果を示している。TiのEPMA図に注目すると、酸化皮膜に対応する位置でのTiの濃度は小さくなっている。
以上の結果から、アルミナを添加しない場合は酸化皮膜にTiは分布しないが、アルミナを添加すると、酸化皮膜にTiが分布する。これにより、酸化皮膜の電子導電性が向上し、セル間接続部材の電気抵抗が低減されたと考えられる。
1 :セル間接続部材
2 :溝
2a :空気流路
2b :燃料流路
3 :単セル
4 :接合材
C :固体酸化物形燃料電池用セル

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
    導電性セラミックス材料の微粉末を含有するスラリーを用いて前記セル間接続部材の基材に塗膜を湿式成膜する成膜工程と、
    塗膜を湿式成膜した前記基材に熱処理を施し、前記微粉末を焼結させて基材の表面に保護膜を形成する焼結工程とを有し、
    前記基材の主材料のステンレス合金がTiを含有し、前記スラリーがAl23を含有し、
    前記スラリーが含有するAl 2 3 の量が、導電性セラミックス材料の前記微粉末の総量に対して3質量%未満である、セル間接続部材の製造方法。
  2. 前記スラリーにAl23の粉末を添加物として追加する添加工程を有する請求項1に記載のセル間接続部材の製造方法。
  3. 前記スラリーが、前記導電性セラミックス材料に含まれる不純物としてのAl23を含有する請求項1または2に記載のセル間接続部材の製造方法。
  4. アルミナを粉砕メディアとして用いて導電性セラミックス材料を粉砕し、前記微粉末を作成する粉砕工程を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のセル間接続部材の製造方法。
  5. 前記導電性セラミックス材料が、コバルトマンガン系酸化物CoxMny4(0<x、y<3、x+y=3)、亜鉛コバルトマンガン系酸化物ZnzCoxMny4(0<x、y、z<3、x+y+z=3)、亜鉛コバルト系酸化物(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含有する請求項1からのいずれか1項に記載のセル間接続部材の製造方法。
  6. 前記導電性セラミックス材料が、コバルトマンガン系酸化物CoxMny4(0<x、y<3、x+y=3)を主成分とする請求項1からのいずれか1項に記載のセル間接続部材の製造方法。
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