JP6671433B2 - 合金部材、セルスタック及びセルスタック装置 - Google Patents

合金部材、セルスタック及びセルスタック装置 Download PDF

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Description

本発明は、合金部材、セルスタック及びセルスタック装置に関する。
従来、電気化学セルの一種である複数の燃料電池セルが集電部材によって電気的に接続されたセルスタックと、各燃料電池セルを支持するマニホールドとを備えたセルスタック装置が知られている(特許文献1及び2参照)。集電部材及びマニホールドには、合金部材が用いられる。
特許文献1のマニホールドでは、ステンレス鋼によって構成される基材からCr(クロム)が揮発することを抑制するために、基材の表面を覆うコーティング膜が設けられている。
特許文献2の集電部材では、Fe−Cr系合金やNi−Cr系合金などによって構成される基材からCrが揮発することを抑制するために、基材の表面を覆うコーティング膜が設けられている。
また、特許文献2では、コーティング膜のうち基材に接する酸化クロム膜の一部が、基材表面の凹部に入り込むことによって、被覆膜が基材から剥離することを抑制できるとされている。
特開2015−035418号公報 国際公開第2013/172451号
しかしながら、特許文献2の集電部材では、セルスタック装置の運転中、凹部に埋設された酸化クロムを取り囲む基材の酸化が進行することによって、酸化クロムが大きく成長してしまう。
その結果、運転開始前には先細り形状であった酸化クロムが、運転中には丸みを帯びた形状になりアンカー効果が低下してしまうため、基材からコーティング膜が剥離するおそれがある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、コーティング膜の剥離を抑制可能な合金部材、セルスタック及びセルスタック装置を提供することを目的とする。
本発明に係る合金部材は、表面に複数の凹部を有し、クロムを含有する合金材料によって構成される基材と、複数の凹部内にそれぞれ配置され、クロムよりも平衡酸素圧の低い元素の酸化物をそれぞれ含有する複数のアンカー部と、基材の表面の少なくとも一部を覆い、複数のアンカー部に接続されるコーティング膜とを備える。基材の厚み方向の断面において、基材の表面に垂直な方向における複数のアンカー部のうち複数の凹部に埋設された部分の平均垂直長さは、0.5μm以上15μm以下である。
本発明によれば、コーティング膜の剥離を抑制可能な合金部材、セルスタック及びセルスタック装置を提供することができる。
セルスタック装置の斜視図 マニホールドの斜視図 セルスタック装置の断面図 燃料電池セルの斜視図 図4のQ−Q断面図 図2のP−P断面図 図6の領域Aの拡大図 マニホールドの製造方法の説明図 マニホールドの製造方法の説明図 マニホールドの製造方法の説明図 マニホールドの製造方法の説明図 マニホールドの製造方法の説明図 変形例6に係るコーティング膜の構成を示す断面図 変形例7に係るコーティング膜の構成を示す断面図
本実施形態に係るセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[セルスタック装置100]
図1は、セルスタック装置100の斜視図である。セルスタック装置100は、マニホールド200と、セルスタック250とを備える。
[マニホールド200]
図2は、マニホールド200の斜視図である。マニホールド200は、「合金部材」の一例である。
マニホールド200は、燃料ガス(例えば、水素など)を各燃料電池セル300に分配するように構成されている。マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド200の内部空間には、導入管204を介して燃料ガスが供給される。
マニホールド200は、天板201と、容器202とを有する。天板201は、平板状に形成される。容器202は、コップ状に形成される。天板201は、容器202の上方開口を塞ぐように配置される。
天板201は、接合材103(図2では不図示、図6参照)によって容器202に接合される。接合材103としては、例えば、結晶化ガラス、非晶質ガラス、ろう材、及びセラミックスなどが挙げられる。本実施形態において、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスである。このような結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系が挙げられる。
天板201には、複数の挿入孔203が形成されている。各挿入孔203は、燃料電池セル300の配列方向(z軸方向)に並べられる。各挿入孔203は、互いに間隔をあけて配置される。各挿入孔203は、マニホールド200の内部空間と外部に連通する。
マニホールド200の詳細な構成については後述する。
[セルスタック250]
図3は、セルスタック装置100の断面図である。セルスタック250は、複数の燃料電池セル300と、複数の集電部材301とを有する。
各燃料電池セル300は、マニホールド200から延びている。詳細には、各燃料電池セル300は、マニホールド200の天板201から上方(x軸方向)に延びている。すなわち、各燃料電池セル300の長手方向(x軸方向)は、上方に延びている。各燃料電池セル300の長手方向(x軸方向)の長さは、100〜300mm程度とすることができるが、これに限られるものではない。
各燃料電池セル300の基端部は、マニホールド200の挿入孔203に挿入されている。各燃料電池セル300は、接合材101によって挿入孔203に固定されている。燃料電池セル300は、挿入孔203に挿入された状態で、接合材101によってマニホールド200に固定されている。接合材101は、燃料電池セル300と挿入孔203の隙間に充填される。接合材101としては、例えば、結晶化ガラス、非晶質ガラス、ろう材、及びセラミックスなどが挙げられる。
各燃料電池セル300は、長手方向(x軸方向)及び幅方向(y軸方向)に広がる板状に形成されている。各燃料電池セル300は、配列方向(z軸方向)に間隔をあけて配列されている。隣り合う2つの燃料電池セル300の間隔は特に制限されないが、1〜5mm程度とすることができる。
各燃料電池セル300は、内部にガス流路11を有している。セルスタック装置100の運転中、マニホールド200から各ガス流路11に燃料ガス(水素など)が供給されるとともに、各燃料電池セル300の外周に酸化剤ガス(空気など)が供給される。
隣接する2つの燃料電池セル300は、集電部材301によって電気的に接続されている。集電部材301は、接合材102を介して、隣接する2つの燃料電池セル300それぞれの基端側に接合される。接合材102は、例えば、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO、及び(La,Sr)(Co,Fe)Oなどから選ばれる少なくとも1種である。
[燃料電池セル300]
図4は、燃料電池セル300の斜視図である。図5は、図4のQ−Q断面図である。
燃料電池セル300は、支持基板10と、複数の発電素子部20と有する。
(支持基板10)
支持基板10は、支持基板10の長手方向(x軸方向)に沿って延びる複数のガス流路11を内部に有している。各ガス流路11は、支持基板10の基端側から先端側に向かって延びている。各ガス流路11は、互いに実質的に平行に延びている。
図5に示すように、支持基板10は、複数の第1凹部12を有する。本実施形態において、各第1凹部12は、支持基板10の両主面に形成されているが、一方の主面にだけ形成されていてもよい。各第1凹部12は支持基板10の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板10は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板10の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
(発電素子部20)
各発電素子部20は、支持基板10に支持されている。本実施形態において、各発電素子部20は、支持基板10の両主面に形成されているが、一方の主面にだけ形成されていてもよい。各発電素子部20は、支持基板10の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル300は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。長手方向に隣り合う発電素子部20は、インターコネクタ31によって互いに電気的に接続されている。
発電素子部20は、燃料極4、電解質5、空気極6及び反応防止膜7を有する。
燃料極4は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極4は、燃料極集電部41と燃料極活性部42とを有する。
燃料極集電部41は、第1凹部12内に配置されている。詳細には、燃料極集電部41は、第1凹部12内に充填されており、第1凹部12と同様の外形を有する。燃料極集電部41は、第2凹部411及び第3凹部412を有している。第2凹部411内には、燃料極活性部42が配置されている。また、第3凹部412には、インターコネクタ31が配置されている。
燃料極集電部41は、電子伝導性を有する。燃料極集電部41は、燃料極活性部42よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。燃料極集電部41は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
燃料極集電部41は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部41は、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部41の厚さ、及び第1凹部12の深さは、50〜500μm程度である。
燃料極活性部42は、酸素イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。燃料極活性部42は、燃料極集電部41よりも酸素イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、燃料極活性部42における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合は、燃料極集電部41における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
燃料極活性部42は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部42は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部42の厚さは、5〜30μmである。
電解質5は、燃料極4上を覆うように配置されている。詳細には、電解質5は、あるインターコネクタ31から隣のインターコネクタ31まで長手方向に延びている。すなわち、支持基板10の長手方向(x軸方向)において、電解質5とインターコネクタ31とが交互に連続して配置されている。電解質5は、支持基板10の両主面を覆うように構成されている。
電解質5は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質5は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質5は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質5の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
空気極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極6は、電解質5を基準にして、燃料極4と反対側に配置されている。空気極6は、空気極活性部61と空気極集電部62とを有している。
空気極活性部61は、反応防止膜7上に配置されている。空気極活性部61は、酸素イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。空気極活性部61は、空気極集電部62よりも酸素イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、空気極活性部61おける、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合は、空気極集電部62における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
空気極活性部61は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部61は、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部61は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部61の厚さは、例えば、10〜100μmである。
空気極集電部62は、空気極活性部61上に配置されている。また、空気極集電部62は、空気極活性部61から、隣の発電素子部に向かって延びている。燃料極集電部41と空気極集電部62とは、発電領域から互いに反対側に延びている。発電領域とは、燃料極活性部42と電解質5と空気極活性部61とが重複する領域である。
空気極集電部62は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電部62は、空気極活性部61よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。空気極集電部62は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
空気極集電部62は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部62は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部62は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部62の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
反応防止膜7は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜7は、電解質5と空気極活性部61との間に配置されている。反応防止膜7は、電解質5内のYSZと空気極6内のSrとが反応して電解質5と空気極6との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。
反応防止膜7は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜7は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
インターコネクタ31は、支持基板10の長手方向(x軸方向)に隣り合う発電素子部20を電気的に接続するように構成されている。詳細には、一方の発電素子部20の空気極集電部62は、他方の発電素子部20に向かって延びている。また、他方の発電素子部20の燃料極集電部41は、一方の発電素子部20に向かって延びている。そして、インターコネクタ31は、一方の発電素子部20の空気極集電部62と、他方の発電素子部20の燃料極集電部41とを電気的に接続している。インターコネクタ31は、燃料極集電部41の第3凹部412内に配置されている。詳細には、インターコネクタ31は、第3凹部412内に埋設されている。
インターコネクタ31は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ31は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ31は、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ31の厚さは、例えば、10〜100μmである。
[マニホールド200の詳細構成]
次に、マニホールド200の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、図2のP−P断面図である。図7は、図6の領域Aの拡大図である。
天板201と容器202は、接合材103によって接合されている。天板201と容器202の間には、燃料ガスが供給される内部空間S1が形成されている。
天板201は、基材210と、コーティング膜211と、複数のアンカー部213とを有する。容器202は、基材220と、コーティング膜221と、複数のアンカー部223とを有する。コーティング膜211は、酸化クロム膜211aと被覆膜211bとを含む。コーティング膜221は、酸化クロム膜221aと被覆膜221bとを含む。
天板201及び容器202は、それぞれ「合金部材」の一例である。基材210及び基材220は、それぞれ「基材」の一例である。コーティング膜211及びコーティング膜221は、それぞれ「コーティング膜」の一例である。アンカー部213及びアンカー部223は、それぞれ「アンカー部」の一例である。
容器202の構成は、天板201の構成と同様であるため、以下においては、図7を参照しながら、天板201の構成について説明する。
基材210は、板状に形成される。基材210は、平板状であってもよいし、曲板状であってもよい。基材210の厚みは特に制限されないが、例えば0.1〜4.0mmとすることができる。
基材210は、Cr(クロム)を含有する合金材料によって構成される。このような金属材料としては、Fe−Cr系合金鋼(ステンレス鋼など)やNi−Cr系合金鋼などを用いることができる。基材210におけるCrの含有割合は特に制限されないが、4〜30質量%とすることができる。
基材210は、Ti(チタン)やAl(アルミニウム)を含有していてもよい。基材210におけるTiの含有割合は特に制限されないが、0.01〜1.0at.%とすることができる。基材210におけるAlの含有割合は特に制限されないが、0.01〜0.4at.%とすることができる。基材210は、TiをTiO(チタニア)として含有していてもよいし、AlをAl(アルミナ)として含有していてもよい。
基材210は、表面210aと凹部210bとを有する。表面210aは、基材210の外側の表面である。凹部210bは、表面210aに形成される。
凹部210bの個数は特に制限されないが、表面210aに広く分布していることが好ましい。また、凹部210bどうしの間隔は特に制限されないが、均等な間隔で配置されていることが特に好ましい。これによって、後述するアンカー部213によるアンカー効果を、コーティング膜211全体に対して均等に発揮させることができるため、基材210からコーティング膜211が剥離することを特に抑制できる。
凹部210bの断面形状は特に制限されず、例えば、楔形、半円形、矩形、及びその他の複雑形状であってもよい。凹部210bは、基材210の内部に向かって真っ直ぐに延びていなくてもよいし、表面210aに垂直な厚み方向に対して斜めに形成されていてもよいし、部分的に曲がっていてもよい。凹部210bの最深部は、鋭角状であってもよいし、鈍角状であってもよいし、丸みを帯びていてもよい。図7では、基材210の内部に向かって真っ直ぐに延びる楔形の凹部210b(図7の左側)と、基材210の内部に向かって湾曲しながら延びる楔形の凹部210b(図7の右側)とが例示されている。
コーティング膜211は、基材210の少なくとも一部を覆い、各アンカー部213に接続される。本実施形態において、コーティング膜211は、酸化クロム膜211aと被覆膜211bとを含む。
酸化クロム膜211aは、基材210の表面210a上に形成される。酸化クロム膜211aは、アンカー部213に接続される。酸化クロム膜211aは、アンカー部213を覆うように形成される。酸化クロム膜211aは、基材210の凹部210bの開口を塞ぐように形成される。酸化クロム膜211aは、各アンカー部213と接続される。酸化クロム膜211aの厚みは特に制限されないが、0.5〜10μmとすることができる。
被覆膜211bは、酸化クロム膜211aの少なくとも一部を覆う。詳細には、被覆膜211bは、酸化クロム膜211aのうちセルスタック装置100の運転中に酸化剤ガスと接触する領域の少なくとも一部を覆う。被覆膜211bは、酸化クロム膜211aのうち酸化剤ガスと接触する領域の全面を覆っていることが好ましい。被覆膜211bの厚みは特に制限されないが、例えば3〜200μmとすることができる。
被覆膜211bは、基材210の表面210aからCrが揮発することを抑制する。これにより、各燃料電池セル300の電極(本実施形態では、空気極6)がCr被毒によって劣化することを抑制することができる。
被覆膜211bは、セラミックス材料であり、適用箇所に応じて適宜好適な材料を選択することができる。導電性を求められる集電部材の被覆膜に適用するセラミックス材料としては、LaおよびSrを含有するペロブスカイト形複合酸化物やMn,Co,Ni,Fe,Cu等の遷移金属から構成されるスピネル型複合酸化物が挙げられる。一方、絶縁性を求められる燃料マニホールドの被覆膜に適用するセラミックス材料としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、結晶化ガラスなどが挙げられる。ただし、被覆膜211bは、Crの揮発を抑制できればよく、被覆膜211bの構成材料は上記セラミックス材料に限られるものではない。
各アンカー部213は、基材210の各凹部210b内に配置される。各アンカー部213は、各凹部210bの開口部付近においてコーティング膜211に接続される。本実施形態では、各アンカー部213と被覆膜211bとの間には酸化クロム膜211aが介挿されているため、各アンカー部213は酸化クロム膜211aに接続される。ただし、各アンカー部213と被覆膜211bとの間に酸化クロム膜211aが介挿されていない場合、各アンカー部213は被覆膜211bに接続される。
基材210の厚み方向の断面において、基材210の表面210aに垂直な厚み方向における各アンカー部213の平均垂直長さは、0.5μm以上15μm以下である。これにより、複数のアンカー部213が十分なアンカー効果を発揮して、コーティング膜211の基材210に対する密着力が向上するため、コーティング膜211が基材210から剥離することを抑制できる。
複数のアンカー部213の平均垂直長さとは、各アンカー213の垂直長さL1の平均値である。垂直長さL1とは、図7に示すように、基材210の表面210aに垂直な厚み方向における、アンカー213のうち凹部210bに埋設された部分の全長である。垂直長さL1は、図7に示すように、アンカー部213ごとに異なっていてもよいし、アンカー部213どうし同じであってもよい。
アンカー部213の平均垂直長さは、基材210の断面をFE−SEM(電界放射型走査型電子顕微鏡)で1000倍−20000倍に拡大した画像から無作為に選出した20個のアンカー部213それぞれの垂直長さL1を算術平均することによって求められる。1つの断面において20個のアンカー部213を観察できない場合には、複数の断面から20個のアンカー部213を選択すればよい。
なお、アンカー部213の垂直長さL1は、アンカー部213の実長さL2とは異なる概念である。アンカー部213の実長さL2は、基材210の表面210aに平行な面方向における、アンカー部213のうち凹部210bに埋設された部分の中点を連ねることによって得られるアンカー部213の実際の全長である。実長さL2は特に制限されるものではないが、例えば0.5μm〜30μmとすることができる。
アンカー部213は、Cr(クロム)よりも平衡酸素圧の低い元素(以下、「低平衡酸素圧元素」という。)の酸化物を含有する。すなわち、アンカー部213は、Crよりも酸素との親和力が大きく酸化しやすい元素の酸化物を含有する。そのため、セルスタック装置100の運転中、コーティング膜211を透過してくる酸素をアンカー部213に優先的に取り込むことによって、アンカー部213を取り囲む基材210が酸化することを抑制できる。これにより、アンカー部213の形態を維持することができるため、アンカー部213によるアンカー効果を長期間に亘って得ることができる。その結果、コーティング膜211が基材210から剥離することを長期間に亘って抑制することができる。
低平衡酸素圧元素としては、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ca(カルシウム)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)などが挙げられるが、これに限られるものではない。低平衡酸素圧元素の酸化物としては、Al(アルミナ)、TiO(チタニア)、CaO(酸化カルシウム)、SiO(シリカ)、MnO(酸化マンガン)、MnCr(マンガンクロムスピネル)などが挙げられるが、これに限られるものではない。
アンカー部213は、低平衡酸素圧元素の酸化物を1種だけ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。例えば、アンカー部213は、Alによって構成されていてもよいし、AlとTiOとの混合物によって構成されていてもよいし、TiOとMnOとMnCrとの混合物によって構成されていてもよい。
複数のアンカー部213における低平衡酸素圧元素の平均含有率は、全構成元素のうち酸素を除く元素の総和に対する各元素のモル比をカチオン比と定義した場合、カチオン比で0.05以上であることが好ましい。これにより、アンカー部213を取り囲む基材210の酸化をより抑制できるため、アンカー部213によるアンカー効果をより長期間にわたって得ることができる。
複数のアンカー部213における低平衡酸素圧元素の平均含有率の上限値は特に制限されず、大きいほど好ましい。
複数のアンカー部213における低平衡酸素圧元素の平均含有率は、以下の手法で求められる。まず、上述の平均垂直長さを求めるために選出した20個のアンカー部213それぞれにおいて、実長さL2を11等分する10点における低平衡酸素圧元素の含有率をカチオン比で測定する。次に、各アンカー部213について10点で測定した含有率の中から最大値を選択する。そして、20個のアンカー部213ごとに選択された20個の最大値を算術平均することによって、低平衡酸素圧元素の平均含有率が求まる。
なお、アンカー部213は、酸化クロムを含有していてもよい。ただし、各アンカー部213におけるクロムの平均含有率は、カチオン比で0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましい。
また、基材210の厚み方向の断面において、複数のアンカー部213とコーティング膜211との平均接合幅は、0.1μm以上3.5μm以下であることが好ましい。これにより、各アンカー部213とコーティング膜211との接合強度が向上するため、コーティング膜211からアンカー部213自体が離脱することを抑制できる。その結果、コーティング膜211が基材210から剥離することをより抑制できる。
複数のアンカー部213の平均接合幅とは、各アンカー部213の接合幅W1の平均値である。接合幅W1は、基材210の厚み方向の断面において、アンカー部213とコーティング膜211との接線の全長である。複数のアンカー部213の平均接合幅は、上述の平均垂直長さを求めるために選出した20個のアンカー部213それぞれの接合幅W1を算術平均することによって求められる。
基材210の厚み方向の断面において、アンカー部213とコーティング膜211との接線は、直線状のほか、湾曲状、波線状などであってもよい。接合幅W1の上限値は特に制限されず、例えば30μm以下とすることができる。
アンカー部213は、凹部210bの内表面の少なくとも一部と接触していることが好ましい。アンカー部213は、凹部210bに充填され、凹部210bの内表面の略全面と接触していることが特に好ましい。
アンカー部213の個数は特に制限されないが、基材表面の断面観察で10mm長さあたり100個以上観察されることが好ましく、10mm長さあたり200個以上観察されることがより好ましい。これによって、アンカー部213によるアンカー効果を十分大きくすることができるため、コーティング膜211が基材210から剥離することをより抑制できる。
[マニホールド200の製造方法]
マニホールド200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、容器202の製造方法は、天板201の製造方法と同様であるため、以下においては、天板201の製造方法について説明する。
まず、図8に示すように、基材210の表面210aに凹部210bを形成する。例えばサンドブラストを用いることによって、楔状の凹部210bを効率的に形成することができる。この際、研磨剤の粒径を調整したり、又は、適宜ローラーで表面を均したりすることによって、凹部210bの深さ及び幅を調整することができる。これにより、後に形成されるアンカー部213の垂直長さL1、実長さL2及び接合幅W1を調整することができる。
次に、図9に示すように、基材210の表面210a上にアンカー部用ペーストを塗布する。これにより凹部210bの内部にアンカー部用ペーストを充填する。なお、アンカー部用ペーストは、低平衡酸素圧元素の酸化物粉末にエチルセルロースとテルピネオールを添加することによって調製できる。
次に、図10に示すように、凹部210bの内部に充填されたアンカー部用ペーストはそのままに、表面210a上に塗布された余分なアンカー部用ペーストを除去する。例えばスキージを用いることによって、余分なアンカー部用ペーストを除去することができる。
次に、図11に示すように、基材210を大気雰囲気で熱処理(800〜900℃、1〜20時間)することによって、凹部210bに充填されたアンカー部用ペーストを覆う酸化クロム膜211aを形成するとともに、アンカー部213を形成する。
次に、図12に示すように、酸化クロム膜211a上に被覆膜用ペーストを塗布して、熱処理(800〜900℃、1〜5時間)することによって、被覆膜211bを形成する。
(他の実施形態)
本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態では、本発明に係る合金部材をマニホールド200に適用することとしたが、これに限られるものではない。本発明に係る合金部材は、セルスタック装置100及びセルスタック250の一部を構成する部材として用いることができる。例えば、本発明に係る合金部材は、隣接する2つの燃料電池セル300を電気的に接続する集電部材301に好適に用いることができる。
[変形例2]
上記実施形態において、セルスタック250は、横縞型の燃料電池を有することとしたが、いわゆる縦縞型の燃料電池を有していてもよい。縦縞型の燃料電池は、導電性の支持基板と、支持基板の一主面上に配置される発電部(燃料極、固体電解質層及び空気極)と、支持基板の他主面上に配置されるインターコネクタとを備える。
[変形例3]
上記実施形態では、凹部210b内にアンカー部213が配置されることとしたが、基材210が複数の凹部210bを有する場合、アンカー部213が配置されていない凹部210bが存在していてもよい。
[変形例4]
上記実施形態では、アンカー部213がコーティング膜211に接続されることとしたが、複数のアンカー部213が存在する場合、コーティング膜211に接続されていないアンカー部212が存在していてもよい。
[変形例5]
上記実施形態では、本発明にかかる合金部材を電気化学セルの一例である燃料電池のセルスタックに適用した場合について説明したが、本発明にかかる合金部材は、水蒸気から水素と酸素を生成する電解セルを含む電気化学セルのセルスタックに適用可能である。
[変形例6]
上記実施形態において、コーティング膜211は、酸化クロム膜211aと被覆膜211bとを含むこととしたが、少なくとも被覆膜211bを含んでいればよい。例えば、図13に示すように、コーティング膜211は、実質的に被覆膜211bのみを含んでいてもよい。各アンカー部213の垂直長さL1、実長さL2及び接合幅W1は、上記実施形態にて説明したとおりである。ただし、各アンカー部213は、被覆膜211bに接続されているので、接合幅W1は、アンカー部213と被覆膜211bとの接線の全長である。図13に示す構成であっても、低平衡酸素圧元素の酸化物を含有する各アンカー部213の平均垂直長さを0.5μm以上15μm以下とすることによって、被覆膜211が基材210から剥離することを長期間にわたって抑制することができる。被覆膜211bのみを含むコーティング膜211は、アンカー部用ペーストを凹部210bに埋設した後、被覆膜用ペーストを塗布して熱処理することによって形成することができる。
[変形例7]
上記実施形態において、各アンカー部213は、コーティング膜211のうち酸化クロム膜211aに接続されることとしたが、図14に示すように、各アンカー部213は、コーティング膜211のうち被覆膜211bに接続されていてもよい。この場合、各アンカー部213の一部は、基材210の凹部210bの外に突出し、各アンカー部213の残りの部分が、基材210の凹部210bに埋設される。基材210に対してアンカー効果を発揮するのは、各アンカー部213のうち凹部210bに埋設された部分である。そのため、図14に示すように、各アンカー部213の垂直長さL1は、凹部210bに埋設された部分の厚み方向における全長であり、各アンカー部213の実長さL2は、凹部210bに埋設された部分の延在方向における全長である。また、図14では図示されていないが、各アンカー部213は、酸化クロム膜211aと被覆膜211bとの両方に接続されているので、接合幅W1は、アンカー部213と酸化クロム膜211a及び被覆膜211bそれぞれとの接線の全長である。図14に示す構成であっても、低平衡酸素圧元素の酸化物を含有する各アンカー部213の平均垂直長さを0.5μm以上15μm以下とすることによって、被覆膜211が基材210から剥離することを長期間にわたって抑制することができる。各アンカー部213をコーティング膜211のうち被覆膜211bに接続させるには、アンカー部用ペーストを凹部210bに埋設した後、基材210上に被覆膜用ペーストを塗布して熱処理することによって、被覆膜211bを形成するとともに、基材210と被覆膜211bとの間に酸化クロム膜211aを析出させればよい。
以下において本発明に係る合金部材の実施例について説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜68及び比較例1〜6の作製)
以下のようにして、図7に示した構成を有する合金部材を作製した。
まず、基材としてSUS430製の板部材を準備した。
次に、基材の表面にサンドブラスト加工を施すことによって、基材の表面に複数の凹部を形成した。この際、研磨剤の粒径を調整したり、ローラーで表面を均したりすることで凹部の深さ及び幅を調整した。これによって、表1及び表2に示すように、後に形成されるアンカー部の垂直長さL1、実長さL2及び接合幅W1を、実施例1〜68及び比較例1〜6ごとに調整した。
次に、表1及び表2に示すアンカー部用の材料粉末(低平衡酸素圧酸化物)にエチルセルロースとテルピネオールを添加することによってアンカー部用ペーストを調製した。
次に、基材の表面上にアンカー部用ペーストを塗布することによって、各凹部にアンカー部用ペーストを充填し、表面上に残った余分なアンカー部用ペーストをスキージで除去した。
次に、基材を大気雰囲気で熱処理(800℃〜900℃1〜500時間)することによって、凹部に充填されたアンカー部用ペーストからアンカー部を形成するとともに、アンカー部に接続された酸化クロム膜を形成した。
次に、表1及び表2に示す被覆膜用の材料粉末にエチルセルロースとテルピネオールを添加することによって被覆膜用ペーストを調製した。
次に、酸化クロム膜上に被覆膜用ペーストを塗布して熱処理(850℃、2時間)することによって、被覆膜を形成した。この際、被覆膜用ペーストの塗布量を調整することによって、表1及び表2に示すように、被覆膜の厚みを実施例1〜68及び比較例1〜6ごとに調整した。
(実施例69〜80及び比較例7〜9の作製)
上記実施例1〜68及び比較例1〜6では、酸化クロム膜211aと被覆膜211bとを含むコーティング膜211を形成したが、実施例69〜80及び比較例7〜9では、図13に示すように、被覆膜211bのみを含むコーティング膜211を形成した。
具体的には、基材の凹部にアンカー部用ペーストを充填した後、基材上に被覆膜用ペーストを塗布して熱処理(850℃、2時間)することによって、アンカー部を固化させるとともにアンカー部に接続される被覆膜を形成した。
(アンカー部の平均垂直長さ及び平均接合幅)
実施例1〜80及び比較例1〜9について、アンカー部の平均垂直長さ、平均実長さ及び平均接合幅を測定した。
具体的には、基材の断面をFE−SEMで1000倍−20000倍に拡大した画像上において、20個のアンカー部を無作為に選出し、各アンカー部について垂直長さL1、実長さL2及び接合幅W1を測定した。そして、20個の垂直長さL1を算術平均することによって平均垂直長さを求め、20個の実長さL2を算術平均することによって平均実長さを求め、さらに、20個の接合幅W1を算術平均することによって平均接合幅を求めた。
(剥離試験)
実際の使用環境を模して、実施例1〜80及び比較例1〜9それぞれに剥離試験を実施した。
具体的には、アンカー部、及び被覆膜を形成した板部材を、電気炉で大気雰囲気中において、昇降温速度200℃/hで850℃×30minと100℃×30minとの温度に加熱・冷却を繰り返す熱処理を50回繰り返した。
さらに、上記板部材を850℃に加熱された炉中に1000時間保持した後、更に850℃×30minと100℃×30minとの温度に加熱・冷却を繰り返す熱処理を50回繰り返した。
その後、剥離試験前後における実施例1〜80及び比較例1〜9の重量変化を測定するとともに、電子顕微鏡で断面を観察することによってコーティング膜(実施例1〜68及び比較例1〜6では、酸化クロム膜及び被覆膜を含む。実施例69〜80及び比較例7〜9では、被覆膜のみ。)の剥離有無を確認した。
表1〜表3では、重量変化を伴う剥離が観察されたものを×、重量変化は伴わないが電子顕微鏡で観察すると微小な剥離が観察されたものを○、剥離が観察されなかったものを◎と評価した。
Figure 0006671433
Figure 0006671433
Figure 0006671433
表1〜表3に示すように、アンカー部の平均垂直長さを0.5μm以上15μm以下とした実施例1〜80では、アンカー部の平均垂直長さを0.5μm未満とした比較例1〜9に比べて、コーティング膜の剥離を抑制できた。これは、アンカー部の平均垂直長さを0.5μm以上15μm以下とすることによって十分なアンカー効果が生まれて、コーティング膜の基材に対する密着力を向上させることができたためである。
また、実施例1〜80では、クロムよりも平衡酸素圧の低い元素の酸化物によってアンカー部を構成したため、850℃1000時間の熱処理後においても、その形態を維持できていることを確認できた。これにより、十分なアンカー効果を維持できたため、コーティング膜の剥離をより抑制できた。
また、表1〜表3に示すように、実施例1〜80のうち、アンカー部とコーティング膜との平均接合幅を0.1μm以上3.5μm以下とした実施例では、コーティング膜の剥離をより抑制できた。これは、アンカー部と酸化クロム膜との平均接合幅を0.1μm以上3.5μm以下とすることによって、コーティング膜とアンカー部との密着力がより向上したためである。
100 セルスタック装置
200 マニホールド
201 天板
210 基材
211 コーティング膜
211a 酸化クロム膜
211b 被覆膜
213 アンカー部
250 セルスタック

Claims (6)

  1. 表面に複数の凹部を有し、クロムを含有する合金材料によって構成される基材と、
    前記複数の凹部内にそれぞれ配置され、それぞれクロムよりも平衡酸素圧の低い元素の酸化物からなる複数のアンカー部と、
    前記基材の表面の少なくとも一部を覆い、前記複数のアンカー部に接続されるコーティング膜と、
    を備え、
    前記基材の厚み方向の断面において、前記基材の表面に垂直な方向における前記複数のアンカー部のうち前記複数の凹部に埋設された部分の平均垂直長さは、0.5μm以上15μm以下である、
    合金部材。
  2. 前記基材の厚み方向の断面において、前記複数のアンカー部それぞれと前記コーティング膜との平均接合幅は、0.1μm以上3.5μm以下である、
    請求項1に記載の合金部材。
  3. 前記アンカー部の少なくとも一部は、アルミナによって構成される、
    請求項1又は2に記載の合金部材。
  4. 前記アンカー部の少なくとも一部は、チタニアによって構成される、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の合金部材。
  5. 電気化学セルと、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の合金部材と、
    を備え、
    前記合金部材は、前記電気化学セルと電気的に接続される集電部材である、
    セルスタック。
  6. 電気化学セルと、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の合金部材と、
    を備え、
    前記合金部材は、前記電気化学セルの基端部を支持するマニホールドである、
    セルスタック装置。
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