JP4136062B2 - セパレータ材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,燃料電池のような電気化学装置において単セル間の分離に用いられるセパレータ材に関する。さらに詳細には,800〜1000℃程度の高温域における諸特性(機械的強度,耐酸化性,低電気抵抗性)に優れた金属系のセパレータ材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池その他の電気化学装置においては,必要な電圧を得るために多数のセルを直列に積層して使用する場合がある。この場合には各単セル間に分離のためにセパレータ材が配置されることとなる。このセパレータ材は,装置の構造部品の一つであり,ある程度の機械的強度を有することが要求される。また,燃料や空気(酸素)のような反応性物質と接するものであるから,化学的安定性も求められる。さらに,セパレータ材がセル間の電気的接続や両端の取り出し電極としての役割を兼ねる場合には高い導電性が求められる。特に,固体電解質型燃料電池(以下,「SOFC」という)のように,800〜1000℃程度の高温域で使用される装置の場合には,当該温度域にて前記諸特性を満足する必要がある。さらにセパレータ材には,燃料や空気(酸素)等を,電極材に接触させつつ流す流路が溝状に形成されるので,加工性がよいことも要求される。
【0003】
このような要求に応えるためのセパレータ材には,セラミックス系(導電性セラミックスに限られる)のものと金属系のものとがある。しかしセラミックス系のものは,高価であったり難加工性であったり,また融点は一般的には高いものの高温では脆性で強度が足りなかったり等の問題点があった。その一方で金属系のものは,材料自体の体積抵抗率はセラミックス系のものより低いものの,特に高温では酸化して表面抵抗が増加するので,経時により電池性能が低下するという問題があった。
【0004】
このため,特開平8−203544号公報(以下,「44号」という)では,耐熱合金を基材としつつ,表面に導電性セラミックスをコーティングして,耐酸化性に優れた金属系のセパレータ材を容易に製造する方法を提案している。すなわち44号公報では,導電性セラミックスの皮膜により耐熱合金の酸化が防止されるので,耐酸化性に優れた金属系のセパレータ材が容易に製造できると説明している。さらに,特開平8−273681号公報(以下,「81号」という)では,コーティング後に加熱工程を経る製造方法を提案している。この公報では,加熱により耐熱金属の表面が酸化してセラミックス層間に反応層が形成されるので,セラミックス層の剥離が抑えられると説明している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来のセパレータ材は,800〜1000℃程度の高温域での耐久使用性がなお不十分であった。すなわち,前記44号のセパレータ材では,熱膨張率がかなり異なる耐熱合金と導電性セラミックスとが容易に剥離するためであると考えられる。また,反応層を形成させてこれを緩和している81号のセパレータ材では,導電性セラミックス皮膜の剥離こそ抑えられているものの,100時間程度の使用で電気抵抗の増大が見られ,電池性能が低下してしまう。すなわち,数日程度の連続運転しかできないのである。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,機械的強度や加工性といった金属系素材の長所を生かしつつ,特に800〜1000℃程度の高温域で長期間にわたって低い電気抵抗を維持できるセパレータ材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1
この課題の解決のためになされた本発明のセパレータ材は,耐熱金属を基材とし,その表面に導電性セラミックスの表層を有するものであって,前記基材と前記表層との間に,前記導電性セラミックスと金属との混合物の中間層を有している。
【0008】
このセパレート材は,基材が耐熱金属であるから,機械的強度や材料自体の体積抵抗率についてはセラミックス系のものより優れている。また,燃料や空気(酸素)等を流す流路の形成も容易である。そして,表面に導電性セラミックスの表層を有しているので,基材の耐熱金属に燃料や空気(酸素)等が直接に接することはなく,耐熱金属の酸化が防止されている。
【0009】
さらに,基材と表層との間に中間層が設けられており,基材と表層とが直接接触しないようになっている。この中間層は,導電性セラミックスと金属との混合物であるため両者の中間の物性(特には熱膨張率)を有している。したがって,基材と中間層との熱膨張率差および中間層と表層との熱膨張率差はいずれも,基材と表層とが直接接触する場合の熱膨張率差より小さい。このため,800〜1000℃程度の高温域でも熱応力が小さく,表層や中間層が基材から剥離することがない。これにより,当該温度域にて1000時間以上にわたって低い電気抵抗を維持でき,1ヶ月以上の連続使用が可能である。なお,ここにいう耐熱金属および金属はともに,合金を含むものとする。
【0010】
請求項2,請求項3
かかる本発明のセパレータ材において,前記導電性セラミックスとしては,LaXSr1-XCoO3あるいはLaXSr1-XMnO3を用いることができる。これらは,融点が高く耐熱性がある点で,同じ導電性セラミックスでも耐熱性のないIn2O3−SnO2 等より優れている。また,前記中間層の金属としては,NiやCr等,あるいはこれらの混合物または合金を用いることができる。なお,これらは特性に悪影響を及ぼさない範囲で不純物を含んでいてもよいことはもちろんであり,前記の成分が70wt%以上含まれていればそれが主成分であるものとする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,本発明のセパレータ材を,SOFCにおいて単セル板とともに交互に積層されるセパレータ板に用いて具体化したものである。このためまず,セパレータ板が使用されるSOFCの概略を説明する。
【0012】
図1にその概要を示すSOFC10は,セパレータ板1と単セル板2とを交互に積層してなるものであり,図1中最上段にはセパレータ板1Uが,最下段にはセパレータ板1Dが配置されている。各セパレータ板1,1U,1Dおよび各単セル板2は,ともに四角形の平板状の部材であり,4隅の同じ位置に貫通孔5,6,7,8が設けられている。貫通孔5が空気の導入口であり,貫通孔6がH2 ガスの導入口である。そして,貫通孔7がH2 ガスの排出口であり,貫通孔8が空気の導入口である。各単セル板2が単電池をなすものであり,各セパレータ板1はそれらを分離しつつ電気的に接続するものである。なお,図1では各板の間に隙間があるように描かれているが,実際には隙間なく密着させられた状態で使用される。
【0013】
各セパレータ板1および最下段のセパレータ板1Dの図1中上側の面には,図2に示すように,貫通孔5から貫通孔8へつながる溝路3が形成されている。溝路3は,空気の流路である。また,各セパレータ板1および最上段のセパレータ板1Uの図1中下側の面には,図3に示すように,貫通孔6から貫通孔7へつながる溝路4が形成されている。溝路4は,H2 ガスの流路である。ただし,各セパレータ板1の厚さは溝路3,4の深さよりも十分あり,溝路3と溝路4とは連通していない。各セパレータ板1,1U,1Dは,後述するように耐熱合金を基材としこれに特殊なコーティングを施したものである。
【0014】
各単セル板2は,図4の断面図に示すように,基材21の両面に薄膜電極22,23をコーティングしたものである。基材21は,ZrO2 を主成分とする固体電解質である。各単セル板2には,セパレータ板のような溝路は形成されておらず,貫通孔5,6,7,8のみが形成されている。単セル板2とセパレータ板1とを交互に積層した状態では,溝路3,4以外の箇所でセパレータ板1と単セル板2とが密着しているほか,薄膜電極22と溝路4とによりH2 ガスの流路が区画され,薄膜電極23と溝路3とにより空気の流路が区画されている。すなわち,薄膜電極22が燃料極であり,その裏側の薄膜電極23が空気極である。また,この積層状態では貫通孔5,6,7,8が,最上段のセパレータ板1Uから最下段のセパレータ板1Dまでそれぞれ連通している。
【0015】
このSOFC10では,貫通孔5に空気を印加し貫通孔6にH2 ガスを印加すると,空気は貫通孔5から溝路3を通って貫通孔8に至り排出され,H2 ガスは貫通孔6から溝路4を通って貫通孔7に至って排出される。このとき溝路3では,セパレータ板1と空気とが接するほか,空気と空気極23とが接しており,そこで次の反応が起こる。
O2+4e- → 2O2-
このため空気極23は電子不足の状態となる。また,発生したO2-イオンは固体電解質である基材21中を板厚方向に移動して燃料極22へ向かう。
【0016】
一方溝路4では,セパレータ板1とH2ガスとが接するほか,H2ガスと燃料極22とが接しており,そこで次の反応が起こる。
H2+O2- → H2O+2e-
このため燃料極22は電子過剰の状態となる。これにより単セル板2は,空気極23が正極であり燃料極22が負極である単電池として作用する。したがってSOFC10は,最下段のセパレータ板1Dが正極となり最上段のセパレート板1Uが負極となる。また,上記各反応の発生熱により,SOFC10の動作温度は800〜1000℃程度の高温となる。なお,上記反応により溝路4内にはH2 ガスのほかに水分が存在し,セパレータ板1にもこの水分が接することとなる。以上がSOFC10の概略である。
【0017】
次に,SOFC10において本発明としての特徴点をなすセパレータ板1,1U,1Dについてより詳細に説明する。前記のように各セパレータ板1は,単電池である各単セル板2を分離する役割を有している。ここで分離とは,溝路3の空気と溝路4のH2 ガスとを直接混合させないことである。そして各セパレータ板1はまた,上下の単セル板2を電気的に接続する役割を有している。ただしその際に電圧のかかる方向は板厚方向である。また,上下両端のセパレータ板1U,1Dは,SOFC10の発生電圧の取り出し電極としての役割を有している。このため各セパレータ板1,1U,1Dには,材質自体の体積抵抗率が低いことはもちろん,上下の単セル板2との接触抵抗が低いことが求められる。したがってセパレータ板1は,表面抵抗も低くなくてはならない。
【0018】
さらに,このことが800〜1000℃程度の高温において長期間維持されなければならない。流路3,4内にはO2やH2Oが存在するので腐食性雰囲気であり,これによるセパレータ板1の表面の腐食が単セル板2との密着部分に及ぶと抵抗が増加して電池性能が低下してしまうからである。
【0019】
そこで本実施の形態に係る各セパレータ板1,1U,1Dは,図5に示すように,基材11上に下層12,上層13の2層コーティングを施した表面構造を有している。基材11は,ステンレス鋼やニッケル基合金その他の耐熱金属または合金の板材である。上層13は,LaXSr1-XCoO3やLaXSr1-XMnO3のような導電性セラミックスの皮膜であり,耐酸化性を有している。そしてそれらの間の下層12は,導電性セラミックスとNiやCrのような耐熱金属との混合層である。この下層12は,基材11の耐熱金属または耐熱合金と上層13の導電性セラミックスとの中間の熱膨張率を有している。
【0020】
このような表面構造を有するセパレータ板1,1U,1Dでは,空気等に直接接するのは導電性セラミックスの上層13であり,基材11は空気等に直接曝されることはない。そして,800〜1000℃程度の高温にした場合でも,基材11と上層13との間の熱膨張率差が混合層である下層12の存在により緩和されるため熱応力は小さく,上層13や下層12が基材11から剥離することはない。このためセパレータ板1,1U,1Dは高温の腐食性雰囲気下でも1000時間以上にわたり低い電気抵抗を維持することができ,SOFC10を1ヶ月以上の期間連続運転することができる。
【0021】
続いて,セパレータ板1,1U,1Dの製造方法を説明する。セパレータ板1,1U,1Dは,図6に示すように,板状に調製した基材11に,まず溝路3,4を形成し,次いで下層12をコーティングし,最後に上層13をコーティングして製造する。
【0022】
溝路3,4の形成は,通常の切削加工を基材11に施すことにより行えばよい。その際,基材11が金属性の素材なので,セラミックス性の素材の場合よりも加工性に優れており,容易に溝路3,4を形成することができる。なお,切削加工以外に,鋳造成型やパターンエッチング等により溝路3,4を形成してもかまわない。
【0023】
下層12および上層13のコーティングは,図7に示すプラズマ溶射装置30を用いて行う。すなわち,形成する皮膜(下層12,上層13)の粉末材料をプラズマの熱で溶融して液体粒子とし,基材11の表面に高速度で衝突させ,粒子の積層によって皮膜を形成するのである。ここで上層13の粉末材料としては,前記した導電性セラミックスの粒度30〜140μm程度の粉末を使用する。その前に形成する下層12の粉末材料としては,同じく導電性セラミックスの粉末と耐熱金属の粉末との混合粉末を使用する。かくして,基材11上に下層12,上層13の2層コーティングを有するセパレータ板1,1U,1Dが製造される。なお,SOFC10の中段に使用されるセパレータ板1は両面に2層コーティングを施す必要があるが,最上段のセパレータ板1Uおよび最下段のセパレータ板1Dについては,溝路3,4が形成されている面にのみ2層コーティングを施せば十分である。
【0024】
【実施例】
本発明に係るセパレータ材について,実際に試験片を作製して耐久性試験を行った。試験片の形状は,25mm×50mm×4mmの板状とした。なお,この試験では貫通孔5〜8や溝路3,4の形成は省略した。
【0025】
【表1】
【0026】
[基材]
基材11としては,表1に示す各種合金を使用した。これらは,高融点の耐熱金属であって,800〜1000℃の温度域での強度(強い方がよい)や,熱膨張率(固体電解質の熱膨張率に近い方がよい)等の特性が比較的に優れているものを選んだものである。なお,ここに選んだ各種合金は,体積抵抗率自体は金属系材料としてはさほど低い方ではない。しかし,それでもセラミックス系の材料よりは遙かに低く,またSOFC10においてはむしろ表面抵抗の方が重要なので,問題にならない。
【0027】
[上層の材料]
上層13の導電性セラミックスとしては,次の2種類の材料の粉末のいずれかを使用した。粒度は,40〜130μmの範囲内とした。
La0.8Sr0.2CoO3(以下,「LSC」という)
La0.8Sr0.2MnO3(以下,「LSM」という)
これらは,ペロブスカイト型と呼ばれる結晶構造を有するセラミックスであって,導電性を有するものである。これらのセラミックスは,格子欠陥を含むために導電性が発現されると考えられている。
【0028】
[下層の材料]
下層12の混合層の材料としては,上層13の材料と同じ導電性セラミックスの粉末と,Ni80wt%−Cr20wt%合金の粉末とを混合したものを使用した。混合比は,容量比で1:1(重量比では,導電性セラミックス粉末1:合金粉末1.1〜1.3程度)とした。合金粉末の粒度は,45〜106μmの範囲内とした。
【0029】
[コーティング]
図7のプラズマ溶射装置30を用いて,下層12,次いで上層13のコーティングを行った。プラズマ溶射の処理条件は以下の通りとし,生成膜厚は下層12が約40μm,上層13が約160μmとした。
ここで,投入電力は,プラズマ溶射装置30における陽極31と陰極32との間の電圧および電流である。
【0030】
[耐久性試験]
作製した試験片について,空気雰囲気中で1000時間にわたる高温暴露試験を行い,その途中の10時間経過時,100時間経過時,そして1000時間暴露終了後に,表面抵抗を測定した。暴露温度は,1000℃(基材11が表1の▲8▼番のFe−18Cr−7W材であるもののみ850℃)とした。表面抵抗の測定は,試験片を図8に示す支持器40で挟み付けた状態で行った。支持器40は,2つの多孔質アルミナ板41,41で,耐熱ウール42,42を介して試験片1を両側から挟み付けて支持するものである。支持器40に支持されている状態では,耐熱ウール42,42と試験片1との間に白金網43,43が挟持されており,試験片1に直接接しているのは白金網43,43である。そして,白金網43,43から4本の白金線44が引き出されており,4線式電気抵抗測定装置に接続されている。この抵抗測定も,暴露温度とと同じ温度下で行った。この試験では,表面抵抗率が0.04Ω・cm2以下であれば合格とした。
【0031】
表1の▲1▼番のSUS447J1材を基材11とする試験片についての測定結果(表面抵抗率Ω・cm2)を表2に示す。表2において,「本試験片」の欄のLSC,LSMはそれぞれ,上層13および下層12の導電性セラミックスとしてLSC,LSMを使用して作製した試験片を意味する(以下同様)。また,「比較材」の欄の1層LSC,1層LSMはそれぞれ,基材11上に下層12を形成せず直接上層13をコーティングした比較用試験片の結果である(以下同様)。また単体は,コーティングを全くしていない基材11のみの比較用試験片の結果である(以下同様)。これによれば,SUS447J1基材の場合には,LSC材,LSM材ともに,特に1000時間暴露終了後において,2層コーティングにより1層コーティング材と比較して低い抵抗率を示していることがわかる。
【0032】
【表2】
【0033】
表1の▲2▼番のインコネル600材を基材11とする試験片についての測定結果を表3に示す。これによれば,インコネル600基材の場合には,1層コーティング材でもかなりよい性能を示しており,2層コーティング材でも優れた結果が得られていることがわかる。
【0034】
【表3】
【0035】
表1の▲3▼番のインコネル601材を基材11とする試験片についての測定結果を表4に示す。これによれば,インコネル601基材の場合には,LSM1層コーティング材の抵抗率が安定していないが,2層コーティング材はLSC材,LSM材ともに安定して低い抵抗率を示していることがわかる。
【0036】
【表4】
【0037】
表1の▲4▼番のハステロイX材を基材11とする試験片についての測定結果を表5に示す。これによれば,ハステロイX基材の場合には,LSC材,LSM材ともに2層コーティングにより,1層コーティング材と比較して暴露100時間以後の抵抗率が低くなっていることがわかる。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
表1の▲5▼番のHA230材を基材11とする試験片についての測定結果を表6に示す。これによれば,HA230基材の場合には,LSC材,LSM材ともに2層コーティングにより,1層コーティング材と比較して暴露1000時間終了後の抵抗率が低くなっていることがわかる。
【0041】
表1の▲6▼番のMA758材を基材11とする試験片についての測定結果を表7に示す。MA758基材の場合には,比較材のうち単体およびLSM1層コーティング材については試験していないが,2層コーティング材はLSC材,LSM材ともに低い抵抗率を示していることがわかる。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
表1の▲7▼番のCr−5Fe−1Y2O3材を基材11とする試験片についての測定結果を表8に示す。Cr−5Fe−1Y2O3材の場合にはLSC材と単体しか試験していないが,LSC材では,暴露1000時間終了後の抵抗率で2層コーティングの効果が顕著に出ている。
【0045】
表1の▲8▼番のFe−18Cr−7W材を基材11とする試験片についての測定結果を表9に示す。これによれば,Fe−18Cr−7W基材の場合には,LSC材,LSM材ともに2層コーティングにより1層コーティング材よりも暴露1000時間終了後の抵抗率が低下していることがわかる。
【0046】
【表9】
【0047】
以上詳細に説明したように本実施例に係る各試験片は,いずれも空気高温暴露後における表面抵抗率が0.04Ω・cm2以下であり合格であった。また,比較用試験片である1層コーティング材については,基材11の種類によっては耐久性能がよくないものも見られたが,本実施例に係る各試験片はいずれも高い耐久性を示した。このことから各試験片は,高温酸化雰囲気下においても上層13および下層12の2層コーティング層が安定して基材11を保護し続け,低い電気抵抗を維持することが理解できる。
【0048】
したがって,これを用いて前記実施の形態におけるセパレータ材1とすることにより,1ヶ月以上の連続運転が可能なSOFC10が得られるのである。また,このセパレータ材1は,基材がセラミック性でなく金属性なので加工性がよく,コーティング前に行われる溝路3,4の形成も容易である。また,高温域での機械的強度もセラミック基材のものより優れている。また,一般的にはコスト的にもセラミック性のものより優れている。
【0049】
なお,前記実施の形態および実施例は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,基材11の耐熱金属の種類は,表1に挙げたもの以外でもよい。また,上層13および下層12の導電性セラミックスも,LaとSrとの比率を変更したり,CoもしくはMnに代えてCrを用いたりあるいはこれらの混合を用いたりしてもよい。耐熱性があれば他の結晶系のものを用いてもよい。また,下層12の金属も,他の種類のものでもよい。また,皮膜の形成方法も,プラズマ溶射法には限定されない。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,機械的強度や加工性といった金属系素材の長所を生かしつつ,特に800〜1000℃程度の高温域で長期間にわたって低い電気抵抗を維持できるセパレータ材が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】SOFCの概要を説明する図である。
【図2】セパレータ板の表の溝路(空気の流路)を示す図である。
【図3】セパレータ板の裏の溝路(H2の流路)を示す図である。
【図4】単セル板の断面構造を示す図である。
【図5】本実施の形態のセパレータ板の表面構造を説明する断面図である。
【図6】本実施の形態のセパレータ板の製造方法を示す図である。
【図7】プラズマ溶射装置の概要を示す図である。
【図8】抵抗測定のための保持器を示す図である。
【符号の説明】
1 セパレータ板
11 基材(耐熱金属)
12 下層(混合物の中間層)
13 上層(導電性セラミックス層)
Claims (3)
- 耐熱金属を基材とし,その表面に導電性セラミックスの表層を有するセパレータ材において,
前記基材と前記表層との間に,前記導電性セラミックスと金属との混合物の中間層を有することを特徴とするセパレータ材。 - 請求項1のセパレータ材において,
前記導電性セラミックスが,LaXSr1-XMO3(MはCoまたはMn) であることを特徴とするセパレータ材。 - 請求項1または請求項2のセパレータ材において,
前記中間層の金属が,NiまたはCrもしくはこれらの混合物または合金を主成分とするものであることを特徴とするセパレータ材。
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1998
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