JP4817564B2 - ニードルケース及び輸液容器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイアル瓶と輸液容器とを両頭針で連通して混注するに際して、バイアル瓶を輸液容器のニードルケース内でガイドするためのバイアルガイド、該バイアルガイドが仮係止状態で保持されているニードルケース及び該ニードルケースが一体的に形成されている輸液容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
医療の分野で広く利用されている輸液容器は、バイアル瓶に保存された１種以上の薬剤と１種以上の生理食塩水やブドウ糖液、液体栄養剤に代表される輸液製剤や透析製剤、その他の液体製剤とを混合して使用される。
【０００３】
使用に際して、バイアル瓶と液体製剤が収納された容器とを両頭針を介して接続して混合する手段は従来より種々の形態で提案されている。（例えば、特開平８−３０８９０５号公報、特開平９−１４０７７０号公報等）
【０００４】
両頭針により混合する形式は、混合に際して、液体製剤の容器に取り付けられているガイドカプセルにバイアル瓶を挿入すると両頭針で該容器とバイアル瓶とが連通するようにしたものであるが、この場合、両頭針がバイアル瓶の栓の中心に突き刺さるようにバイアルガイドを用いる構造の輸液容器が提案されている（例えば、特開平５−３１７３８３号公報、特開平５−３３７１６３号公報等）。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
バイアル瓶にはいくつかのサイズがあり、バイアルガイドは種々のサイズのバイアル瓶に適合するものであることが必要であるところ、前記の従来の輸液容器では、種々のサイズのバイアル瓶、特にバイアルガイドより小径のバイアル瓶を突き刺す際には、針を見ながら正確に中心を合わせて突き刺す必要があった。中心に突き刺さらないとバイアル瓶を封止しているゴム栓やアルミキャップが脱落したり、針の先端が折れて薬剤内部に破損片が混入する、というような問題が発生するためである。
【０００６】
また、バイアル瓶の長さが短くバイアルガイドの高さよりも低いものは、使用後にバイアル瓶を外す際に、バイアル瓶とバイアルガイドの隙間に指が入らず、かつ針が長いことと相まって外しにくい、という欠点がある。
【０００７】
本発明は、前記のような従来の輸液容器の欠点を解消することを課題とし、両頭針の針先を見て位置確認をしないでも容易かつ確実に刺通することができ、かつ使用後のバイアル瓶の取り外しが容易なバイアルガイド、該バイアルガイドが仮係止状態で保持されているニードルケース及び該ニードルケースが一体的に形成されている輸液容器を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバイアルガイドは、請求項１に記載のものにおいては、輸液容器の口部側に設けたニードルケース内に仮係止状態で保持され、底板部の中心に両頭針を有していてバイアル瓶を装填すると該バイアル瓶で押圧されて仮係止状態が解除されると共にニードルケース内をスライド移動し、下部刺通針が前記輸液容器の口部を封止した薄膜を刺通すると共に上部刺通針がバイアル瓶の口栓を刺通してバイアル瓶と輸液容器とが連通するようにしたバイアルガイドであって、前記両頭針を中心とする位置に、バイアル口栓の外周部をガイドする弾性変形可能なガイド片が分周的に立設されていることを特徴とする。
【０００９】
請求項２に記載のものは、ガイド片の外側にはニードルケースの内周面に摺接する弾性変形可能な支持脚が分周的に立設され、該支持脚の上端外側には前記ニードルケースの開口縁に係合する仮係止用爪が設けられていると共に下部には係止縁が設けられ、所定の位置まで挿入されると該係止縁がニードルケースの内周面に突設した係止爪に係合してロックされることを特徴とする。
【００１０】
請求項３に記載のものは、ガイド片が高さの高い第１のガイド片と高さの低い第２のガイド片とからなり、第１のガイド片と第２のガイド片が交互に位置するようになっていることを特徴とする。
【００１１】
請求項４に記載のものは、第２のガイド片の上端部内側にはバイアル口栓部の口金の後縁部に係合する係止爪が設けられていることを特徴とし、請求項５に記載のものは、第１のガイド片の上端部には斜め外方向に延設された受け片が設けられていることを特徴とする。
【００１２】
本発明に係るニードルケースは、請求項１〜５のいずれかに記載のバイアルガイドがニードルケース内に仮係止状態で保持されていることを特徴とし、請求項７に記載のものは、ニードルケースの内周面には請求項２に記載の支持脚をガイドしてバイアルガイド全体が回転しないようにしたガイドリブが縦設されていることを特徴とする。本発明に係る輸液容器は、請求項６又は請求項７に記載のニードルケースが容器本体と一体に形成されていることを特徴とする。
【００１３】
以上の構成により、バイアルガイドはニードルケースに仮係止状態で保持されており、使用に際しては、ニードルケースの開口側を覆っているシールを剥がしてバイアル瓶を装填すると、バイアル口栓部は両頭針を中心とする位置に分周的に設けられているガイド片によって確実にガイドされ、バイアル瓶のゴム栓の中心を上部刺通針の先端に確実に位置決めすることができる。ガイド片は弾性変形可能になっているから、サイズの異なるバイアル瓶であっても確実にガイドされる。
【００１４】
ガイド片はバイアル口栓部をガイドするものであるからバイアル瓶の胴部近傍には何らの障害物になることはなく、バイアル瓶を引っ張ることにより係合を外すことができるため、バイアル瓶の交換の為の取り外しも容易である。
【００１５】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明のバイアルガイドの斜視図、図２はバイアルガイドの平面図、図３はバイアルガイドの正面図、図４はバイアルガイドの側面図、図５はバイアルガイドがニードルケースに仮係止状態で保持されている形態を示す要部の断面図であり、支持脚をガイドするガイドリブは省略されている。図６はバイアル瓶と輸液容器の連通状態を示す要部の部分断面図、図７はニードルケースの断面図、図８は輸液容器の全体を示す正面図である。
【００１６】
図において、１０はバイアルガイド、２０は輸液容器、３０はバイアル瓶である。バイアルガイド１０は、輸液容器２０の口部側に設けたニードルケース２１（図７）内に仮係止状態で保持され（図５及び図８）、底板部１の中心に両頭針２を有していて、バイアル瓶３０を装填すると該バイアル瓶３０で押圧されて仮係止状態が解除されると共にニードルケース２１内をスライド移動し、下部刺通針２ａが前記輸液容器２０の口部を封止した薄膜２０ａを刺通すると共に上部刺通針２ｂがバイアル瓶３０の口栓（ゴム栓）３２を刺通してバイアル瓶３０と輸液容器２０とが連通する（図６）ようになっている。
【００１７】
前記バイアルガイド１０には、前記両頭針２を中心とする位置に、バイアル口栓部３１の外周部をガイドする弾性変形可能なガイド片３が分周的に立設されている。ガイド片３は高さの高い第１のガイド片４と高さの低い第２のガイド片５とからなり、第１のガイド片４と第２のガイド片５が交互に位置するようになっている。
【００１８】
図の例では、前記第１のガイド片４及び第２のガイド片５はそれぞれ３方向に設けられ、前記第２のガイド片５の外側には底板１から斜め上方に延設した弾性変形可能な張り出し片６を介して支持脚７が分周的に立設されている。この支持脚７も弾性変形可能であり、前記ニードルケース２１の内周面に摺接するようになっており、上端外側には前記ニードルケース２１の開口縁２２ａに係合する仮係止用爪７ａが設けられていると共に下部の前記張り出し片６の上縁が係止縁７ｂとなっていて、所定の位置まで挿入されると該係止縁７ｂがニードルケース２１の内周面に突設した係止爪２３に係合してロックされるようになっている。
【００１９】
前記第２のガイド片５の上端部内側にはバイアル口栓部３１の口金３１ａの後縁部に係合する係止爪５ａが設けられており、第１のガイド片４の上端部には斜め外方向に延設された受け片４ａが設けられている。この受け片４ａはバイアル口栓部３１を大まかに案内する。
【００２０】
前記ニードルケース２１は可撓性の輸液容器２０と一体に形成され、ニードルケース２１の内周面には、前記支持脚７をガイドしてバイアルガイド１０全体が回転しないようにしたガイドリブ２４が縦設されている。２５は輸液取出し口であって、シールフィルム２６でシールされている。２７は懸吊用のフック、２８はニードルケース２１内にバイアルガイド１０を仮係止状態で収納した後、開口部２２を封止したシールである。
【００２１】
以上のように、バイアルガイド１０はニードルケース２１内に仮係止状態で保持されており、ニードルケース２１の開口部２２はシール２８で封止されている。使用に際しては、シール２８を剥がしてバイアル瓶３０を挿入すると、バイアル口栓部３１は第１及び第２のガイド片４、５でガイドされてバイアル瓶３０の口栓（ゴム栓）３２の中心が上部刺通針２ｂの先端に位置決めされる。
そして、下部刺通針２ａが前記輸液容器２０の口部を封止した薄膜２０ａを刺通すると共に上部刺通針２ｂがバイアル瓶３０の口栓（ゴム栓）３２を刺通してバイアル瓶３０と輸液容器２０とが連通する。
【００２２】
この際、前記のようにガイド片５の上端部内側に設けられた係止爪５ａがバイアル口栓部３１の口金３１ａの後縁部に係合してロックし、バイアル瓶３０を保持する。
一方、２種以上の薬剤を混注する場合はバイアル瓶を交換する必要があるが、バイアル瓶３０を上方向に引っ張った場合、バイアルガイド１０は前記張り出し片６の上縁の係止縁７ｂがニードルケース２１の内周面に突設した係止爪２３に係合してロックされているため、バイアルガイド１０がニードルケース２１から外れることはないが、ガイド片５がバイアル瓶３０を保持した状態で引っ張られるのに伴い、張り出し片６がガイド片５の上端部を広げる方向に弾性変形して、係止爪５ａとバイアル口栓部３１の口金３１ａの後縁部との係合が外れ、バイアル瓶３０を容易に取り外すことができる。
【００２３】
バイアルガイド、ニードルケースは、剛性の高い樹脂製であるのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ＡＢＳ樹脂、ＡＳ樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等が好適である。これらのうち、バイアルガイドに用いられる樹脂は、ＡＢＳ樹脂、ポリエーテルサルホンが好ましく、ニードルケースはバイアルガイドが視認できる程度の透明性を有する樹脂が好ましく、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
また、輸液容器は、通常、ポリエチレン（ＬＤＰＥ、Ｌ−ＬＤＰＥ、ＨＤＰＥ）、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のフィルム、シートがブロー成形されたものなどが使用される。
【００２４】
【発明の効果】
本発明によれば、バイアル瓶をニードルケースに装填するとバイアル口栓部は両頭針を中心とする位置に分周的に設けられているガイド片によって確実にガイドされ、バイアル瓶のゴム栓の中心を上部刺通針の先端に確実に位置決めすることができる。また、ガイド片は弾性変形可能になっているから、サイズの異なるバイアル瓶であっても確実にガイドすることができる。
【００２５】
ガイド片はバイアル口栓部をガイドするものであるからバイアル瓶の胴部近傍には何らの障害物になることはなく、上記のように使用後のバイアル瓶の取り外しも容易である等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るバイアルガイドの斜視図である。
【図２】バイアルガイドの平面図である。
【図３】バイアルガイドの正面図である。
【図４】バイアルガイドの側面図である。
【図５】バイアルガイドがニードルケースに仮係止状態で保持されている形態を示す要部の断面図であり、支持脚をガイドするガイドリブは省略されている。
【図６】バイアル瓶と輸液容器の連通状態を示す要部の部分断面図である。
【図７】ニードルケースの断面図である。
【図８】輸液容器の全体を示す正面図である。
【符号の説明】
１０ バイアルガイド
１ 底板
２ 両頭針
２ａ 上部刺通針
２ｂ 下部刺通針
３ ガイド片
４ 第１のガイド片
５ 第２のガイド片
６ 張り出し片
７ 支持脚
２０ 輸液容器
２１ ニードルケース
２２ 開口部
２３ 係止爪
３０ バイアル瓶
３１ バイアル口栓部
３２ 口栓

Claims (3)

1. 輸液容器の口部側に設けたニードルケースであって、
   該ニードルケース内に、底板部の中心に両頭針を有していてバイアル瓶を装填すると該バイアル瓶で押圧されて仮係止状態が解除されると共にニードルケース内をスライド移動し、下部刺通針が前記輸液容器の口部を封止した薄膜を刺通すると共に上部刺通針がバイアル瓶の口栓を刺通してバイアル瓶と輸液容器とが連通するようにしたバイアルガイドが仮係止状態で保持され、
   前記バイアルガイドは、前記両頭針を中心とする位置に、
   分周的に立設されたバイアル口栓部の外周部をガイドする弾性変形可能なガイド片と、
   該ガイド片の外側に分周的に立設されたニードルケースの内周面に摺接する弾性変形可能な支持脚とを有し、
   前記ガイド片は、上部刺通針の高さより高く上端部には斜め外方向に延設された受け片が設けられている第１のガイド片と、
   上部刺通針の高さより低く上端部内側にはバイアル口栓部の口金の後縁部に係合する係止爪が設けられている第２のガイド片とが交互に位置するようになっており、
   前記支持脚の上端外側には前記ニードルケースの開口縁に係合する仮係止用爪が設けられていると共に下部には係止縁が設けられ、所定の位置まで挿入されると該係止縁がニードルケースの内周面に突設した係止爪に係合してロックされるバイアルガイドであることを特徴とするニードルケース。
2. ニードルケースの内周面には請求項１に記載の支持脚をガイドしてバイアルガイド全体が回転しないようにしたガイドリブが縦設されていることを特徴とする請求項１に記載のニードルケース。
3. 請求項１又は請求項２に記載のニードルケースが容器本体と一体に形成されていることを特徴とする輸液容器。

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