JP4058750B2 - 溶解液注入器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶解液容器と薬剤容器を連通させて、溶解液容器の溶解液を薬剤容器の中に注入し、薬剤容器の薬剤と混合して液剤にするのに好適な溶解液注入器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用時に溶解液と薬剤とを混合して液剤を調製する場合、溶解液容器と薬剤容器とを両頭針を用いて連通する方法が多用されており、最近では、両頭針を溶解液容器や薬剤容器に一体的に組み込んだものや(実開昭59−41424号公報、実開昭63−135642号公報、特開平3−77557号公報、特開平9−202364号公報など)、溶解液容器と薬剤容器と両頭針とを一体的に組み込み、無菌的に調製できるようにしたもの(特開平2−1277号公報、特開平5−176970号公報、特開平6−14973号公報など)等が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記の両頭針を溶解液容器及び/または薬剤容器に一体的に組み込んだものは、溶解液容器及び/または薬剤容器が限定されており、任意の薬剤と溶解液(液状の薬剤を含む)を混合することのできないものであった。一方、両頭針だけを使って溶解液容器と薬剤容器を連通し、溶解液容器の溶解液を薬剤容器に移して薬剤を溶解する方法は、煩雑で手間のかかる操作であるうえ、外気中で薬剤の入った容器に穴を明ける操作を行うので、中の薬剤が汚染される虞があり、問題である。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は如上の事情に鑑みてなされたもので、任意の薬剤と溶解液を混合することができ、しかも、操作が簡単で、中の薬剤が汚染される虞のない溶解液注入器具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、両頭針をその内壁に沿ってスライド可能に収容保持するアダプターを採用し、これを、用時に薬剤容器または溶解液容器に容易に装着可能であり、かつ脱落やぐらつきの生じないように強固に固定可能なものにすれば良いことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、上端開口と下端開口を有しており、下端部内壁に溶解液容器の口部への固定手段を備えた円筒状のアダプターと、このアダプターの上端部内壁にこの内壁に沿って摺動可能に係合保持された両頭針を含んでなり、前記固定手段が、下端から上端方向に内側に傾斜して設けられた複数の可撓性係合腕と、この係合腕より上端側に溶解液容器の口部を挟持可能に所定距離隔てて設けられた衝合突板からなり、前記アダプターの下端開口に溶解液容器の口部を挿着したときに、前記係合腕と衝合突板の間に溶解液容器の口部が挟持され固定されると共に、両頭針の環状リブより低い小さな環状の両頭針係止用リブを前記両頭針の環状リブの幅より若干広い間隔を置いて2本設けて、両頭針を挿脱自在に係止可能とした溶解液注入器具に関する。
【0005】
ここで、両頭針は、上端と下端を有する円筒状のスカートと、このスカートの下端側に偏在してスカートの内空間を上下に区画する円板状のハブと、このハブの軸上、ハブを貫通して設けられた穿刺針を含んでなり、前記スカートの下端に近接して環状リブが設けられたものが望ましい。また、アダプターの衝合突板より上端側には、所定距離隔てて、両頭針のキックバックを防止するキックバック防止用リブを設けてもよく、前記2本の両頭針係止用リブを、前記アダプターの上端に近接して設けてもよい。また、両頭針のハブより下側のスカートにはスリットを設けるのが望ましい。アダプターの上端開口はキャップで閉鎖するようにしてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例を示す縦断面図であり、図2および図3はそれぞれ図1に示すアダプターおよび両頭針の縦断面図、図4は図1に示す溶解液注入器具に採用されるキャップの実施例を示す。また、図5は本発明の溶解液注入器具の使用方法を説明する図である。
図1に示すように、本発明の溶解液注入器具は、上端開口11と下端開口12を有する円筒状のアダプター1と、このアダプター1の上端部内壁にこの内壁に沿って摺動可能に係合保持された両頭針2を含んでなる。そして、アダプター1の下端部内壁には、下端から上端方向に内側に傾斜して設けられた複数の可撓性係合腕13と、この係合腕13より上端側に所定距離隔てて設けられた衝合突板14が設けられており、アダプター1の下端開口12に溶解液容器の口部を挿着したときに、係合腕13と衝合突板14の間に溶解液容器の口部が挟持され固定されるようになっている。
【0007】
アダプター1は、例えばポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、ABS樹脂などの可撓性樹脂で形成された円筒状部材であり、図2に示すように、上端開口11と下端開口12を有し、下端部内壁に溶解液容器の口部への固定手段を備えている。この固定手段は、複数の可撓性を有する係合腕13と、1つまたは複数の衝合突板14からなっており、係合腕13は下端から上端方向に内側に傾斜して設けられている。ここで内側に傾斜とは、係合腕13の先端がアダプター1の内壁から最も離れている状態をいう。衝合突板14はこの係合腕13より上端側に所定距離隔てて設けられており、アダプター1の下端開口12に、例えば図5に示すような溶解液容器Sの口部を挿着したときに、係合腕13との間に口部を挟持して固定するようになっている。この場合、口部全体が固定手段によって挟持されるようにしてもよいが、図5に示すようなフランジFが設けられている場合には、ストロークが小さくてすむので、フランジFが挟持されるようにするのが望ましい。図2に示すものは、係合腕13と衝合突板14の間隔の小さいフランジ挟持用のものである。尚、衝合突板14は環状に並んだ複数の突起であっても、1つのフランジ状のものであってもよく、要はアダプター1の下端開口12に溶解液容器Sの口部を挿着したときに、係合腕13との間に溶解液容器Sの口部を挟持して固定できるものであればどのような形状のものであってもよい。
【0008】
アダプター1にはその衝合突板14より上端側にキックバック防止用リブ15を設けてもよい。このキックバック防止用リブ15は、両頭針2の後述の環状リブ233と係合して、溶解液容器の口部のゴム栓に刺通された両頭針2が上端側に戻る、すなわちキックバックするのを防ぐためのもので、衝合突板14との隔たりは、後述の両頭針2におけるスカート23の下端232から環状リブ233までの距離に等しくなるように決められる。アダプター1にはまた、その上端231に近接して、両頭針2の環状リブ233と係合して両頭針2を解除可能に係止する両頭針係止用リブ16を設けてもよい。この両頭針係止用リブ16は、両頭針2の環状リブ233と係合して確実に両頭針2を保持できるとともに、環状リブ233が容易に乗り越えることができる低い小さな環状のリブであり、運搬などにより上端側にも下端側にも移動しないように、通常、環状リブ233の幅より若干広い間隔を置いて2本設けられる。尚、アダプター1の上端には、必要ならば、図4に示すようなキャップ3を冠着するためのキャップ装着部17を設けてもよい。
【0009】
両頭針2は、アダプター1と同様の可撓性樹脂で形成されており、図3に示すように、上端231と下端232を有する円筒状のスカート23と、スカート23の内空間を上下に区画する円板状のハブ22と、このハブ22の軸上、ハブ22を貫通して設けられた穿刺針21を含んでなる。両頭針2としては、ハブ22をスカート23の下端側に偏在して設け、スカート23の下端232に近接して環状リブ233を設けたものが望ましい。また、ハブ22より下側のスカート23には、スカート23の拡張を可能にするスリット234を設け、環状リブ233がアダプター1の両頭針係止用リブ17やキックバック防止用リブ16を乗り越え易くするのが望ましい。尚、211、212は流体通路である。
【0010】
次に、本発明の溶解液注入器具の使用方法について、図5を用いて説明する。使用する溶解液注入器具は、アダプター1の上端開口11がキャップ3で閉鎖されたものである。先ず、図5の▲1▼に示すように、溶解液注入器具を机などの上にキャップ3を下にして置き、次いで、下端開口12から溶解液容器としての例えば生食ボトルSを挿入すると、生食ボトルSは、図5の▲2▼に示すように、その口部PのフランジFが係合腕13と衝合突板14の間に挟持され、アダプター1に確り固定される。次に、キャップ3を外して(図5の▲3▼参照)、アダプター1を手で掴み、その上端開口11を薬瓶Vの口部に宛がって一気に押し下げると、図5の▲4▼に示すように、薬瓶Vと生食ボトルSが両頭針2を介して連通し、生食ボトルSの生理食塩水が薬瓶Vの中に注入される。薬瓶Vをよく振って生理食塩水と薬瓶Vの薬剤を混合して液剤とし、薬瓶Vを取り外せば、生食ボトルSはそのまま輸液容器として使用でき、また、液剤を注射器などに移して使用することもできる。
【0011】
【発明の効果】
以上説明してきたことから明らかなように、本発明の溶解液注入器具を使用すれば、任意の薬剤と溶解液を混合することができる。また、操作が簡単なので、混注操作を行う手間を省くことができる。さらには、1回の操作で溶解液容器と薬剤容器を連通できるので、中の薬剤が外気で汚染される虞がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す縦断面図である。
【図2】 図1に示すアダプターの縦断面図である。
【図3】 図1に示す両頭針の縦断面図である。
【図4】 図2に示すアダプターの上端開口を閉鎖するのに適したキャップの一例を示す縦断面図である。
【図5】 本発明の溶解液注入器具の使用方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 アダプター
11 上端開口
12 下端開口
13 係合腕
14 衝合突板
15 キックバック防止用リブ
16 両頭針係止用リブ
17 キャップ装着部
2 両頭針
21 穿刺針
211、212 流体通路
22 ハブ
23 スカート
231 上端
232 下端
233 環状リブ
234 スリット
3 キャップ
S 溶解液容器(生食ボトル)
F フランジ
V 薬剤容器(薬瓶)
Claims (6)
- 上端開口と下端開口を有しており、下端部内壁に溶解液容器の口部への固定手段を備えた円筒状のアダプターと、該アダプターの上端部内壁に該内壁に沿って摺動可能に係合保持された両頭針を含んでなり、前記固定手段が、下端から上端方向に内側に傾斜して設けられた複数の可撓性係合腕と、該係合腕より上端側に溶解液容器の口部を挟持可能に所定距離隔てて設けられた衝合突板からなり、前記アダプターの下端開口に溶解液容器の口部を挿着したときに、前記係合腕と衝合突板の間に溶解液容器の口部が挟持され固定されると共に、両頭針の環状リブより低い小さな環状の両頭針係止用リブを前記両頭針の環状リブの幅より若干広い間隔を置いて2本設けて、両頭針を挿脱自在に係止可能としたことを特徴とする溶解液注入器具。
- 両頭針が、上端と下端を有する円筒状のスカートと、該スカートの下端側に偏在してスカートの内空間を上下に区画する円板状のハブと、該ハブの軸上、ハブを貫通して設けられた穿刺針を含んでなり、前記スカートの下端に近接して環状リブが設けられた請求項1に記載の注入器具。
- アダプターの衝合突板より上端側に所定距離隔てて、両頭針のキックバックを防止するキックバック防止用リブが設けられた請求項2に記載の注入器具。
- 前記2本の両頭針係止用リブを、前記アダプターの上端に近接して設けた請求項2または3に記載の注入器具。
- 両頭針のハブより下側のスカートにスリットが設けられた請求項2〜4に記載の注入器具。
- アダプターの上端開口がキャップで閉鎖されてなる請求項1〜5に記載の注入器具。
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