JP3702377B2 - 両頭針付き溶解液容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スモールバイアル瓶等のような薬剤容器内に封入された主として抗生剤などの薬剤を点滴静注するときの薬剤混合手段を具備する両頭針付き溶解液容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
両頭針付き溶解液容器は従来から様々な種類のものが検討されており、例えば特開平5ー317383号提案のものは、比較的部品数が少なく製造コストを抑えられるという点で注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来構成のものは、ガイドカプセルの解放端のシール手段としてピールオフタイプのシール部材により密封しているので、密封部分にピンホールやシール不良を生じやすく、密封の信頼性に欠けると共に、シール部材をピールオフした後は両頭針が解放端側へ自由に移動出来る態勢となるので、溶解操作の開始時に両頭針がガイドカプセルより外れ落ちる恐れがあった。また、両頭針のハブに薬剤容器側の針の戻りを防止するキックバック手段が設けられているが、溶解液容器側の針の戻り防止については、特に配慮されておらず、溶解液容器側でキックバックによる液漏れが生ずる恐れがあった。
【0004】
本発明は上記従来の問題点を一掃することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶解液入り容器と、該容器の上端の口部シール部より同心状に起立する取り外し可能のガイドカプセルと、該カプセル内で軸方向にスライド移動できる両頭針とを備え、必要時に薬剤容器をガイドカプセルの上端開口よりその内部に押し込むことにより両頭針を介し上記の2つの容器を内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器において、上記カプセルの上端開口をシール部材により密封し、前記シール部材は、封膜部と該封膜部の外周縁より起立する周壁部とから構成され、前記周壁部は前記カプセルの上端部に嵌着され前記周壁部の上端の鍔部が前記カプセルの上端面に係止しており、前記シール部材の封膜部に切離開封手段を備え、該開封手段による切離開封後にカプセル側に残る封膜部の縁部を両頭針のストッパーとして機能させる構成としたことを特徴とする両頭針付き溶解液容器に係る。
【0006】
前記切離開封手段が、プルリングと該プルリングの切離開封を案内する切離部とから構成され、該切離部は封膜部の外周部寄りの部分にガイドカプセルの内周面近傍に位置するように設けられていることが好ましい。また、ガイドカプセル内の底部に、両頭針による上記の2つの容器の連結時に薬剤容器を連結位置に固定するための拘束手段が備えられていてもよい。さらに、この拘束手段が、ガイドカプセル内の底部から上向きに起立していて、連結された薬剤容器の口部シール部の背部の凹段部に係止する複数本の係止片部から構成されていることが好ましい。また、前記封膜部の中央部に、両頭針の収納スペースとなる膨出部を上向きに形成することもでき、この膨出部はプルリングのリング内に膨出していることが好ましい。さらには、プルリングがカプセル高さ内に収納されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の1実施形態を添付図面に基づき説明すると次の通りである。
【0008】
図1に示す全体図から明らかなように、本発明による両頭針付き溶解液容器は、溶解液入り容器1、ガイドカプセル2、両頭針3及びシール部材4を構成要素として備えている。
【0009】
上記容器1はポリエチレンなどのような可撓性プラスチック製であって、上端に口部シール部5を備え、該口部シール部5は、上記容器1の口端に溶着手段等の適用で固着されたプラスチック製中栓5aと該中栓5aの上端に嵌着固定されたキャップ状のゴム栓5bとから構成されている。
【0010】
ガイドカプセル2は筒状で例えば硬質プラスチックから成形され、下端部の接続固定部6において、上記容器1の口部シール部5に、同心且つ上向き起立状態に接続固定されている。
【0011】
上記接続固定部6は、下端から下向き且つ同心状に突出するソケット部7を備え、該ソケット部7において口部シール部5に凹凸係合部8a、8bの適用のもとに嵌着固定されている。凹凸係合部8a、8bの係合を解くことによりソケット部7ひいてはガイドカプセル2を口部シール部5から取り外すことができる。
【0012】
上記ソケット部7は上端より内方へ突出する円環状の係止リング9を備え、該リング9の内周部において下方へ突出する係止突部9aはゴム栓5bの保有弾性に抗し該ゴム栓5bの天面部に食い込み、この食い込みで接続部の気密が保持されるようになっている。
【0013】
両頭針3は上記カプセル2内に上下方向に摺動可能に装入されている。両頭針3は図3、4に詳細に示すように、相連通する上下一対の針部10a、10bを備え、該針部10a、10bは針ホルダー11の中心に該ホルダー11を境として上下に分かれるように支持固定されている。
【0014】
針ホルダー11は中央部の小径円盤部11aと該円盤部11aの外周部から放射方向に張り出された複数本例えば90°間隔配置の4本の腕部11bとを備え、該腕部11bのそれぞれの先端から上方へ起立するスライダー部11cにおいて上記カプセル2内で摺動移動出来るようになっている。腕部11bとスライダー部11cとのコーナ部には補強リブ片11dが一体に形成されている。
【0015】
両頭針3を上記カプセル2内で回り止めするために該カプセル2の内周面にスライダー11dとの係合下に該スライダー11dを案内するガイド溝12(図3参照)が形成されている。
【0016】
また、両頭針3が図1に示す非作動位置から不用意に下方へ移動することがないように、上記カプセル2の内周面には、腕部11bの下面に係止するストッパー13が形成されている。ストッパー13はリング状に連続していてもよいし或いは腕部11bに充当する位置毎に独立して形成されていてもよい。
【0017】
両頭針3の針ホルダー11中央部の小径円盤部11aは直径が接続対象の薬剤容器Aの口部シール部aの直径より小さく、これにより両頭針3の各腕部11b、10b間には、それぞれ開口14(図3参照)が形成されている。
【0018】
ガイドカプセル2の下底例えば係合リング9から起立するようにプラスチック製の係止片部15が複数本例えば4本が該カプセル2と同心の円の軌跡b(図3参照)上に位置するように設けられている。係止片部15は両頭針3の針ホルダー11の開口14の直下に位置し、両頭針3が図5に示す作動位置まで摺動移動した時、上記開口14を通りその上方へ突出し、薬剤容器Aの口部シール部aの背部の凹段部a′(図5参照)に保有弾性に抗し係止し得るようになっている。係止片部15はカプセル2の中心を挟んで向き合う位置に少なくとも2本あればよく、複数本が共同して薬剤容器Aを連結位置に固定する拘束手段として機能する。
【0019】
シール部材4はプラスチック例えばポリエチレン製であって、ガイドカプセル2の上端開口を密閉するために適用される。シール部材4は封膜部4aと該封膜部4aの外周縁より起立する周壁部4bとから構成され、周壁部4bにおいて上記カプセル2の上端部に嵌着され、この嵌着状態において周壁部4b上端の鍔部4cが上記カプセル2の上端面に係止している。嵌着部の気密を保持するために該嵌着部内に凹凸嵌合部16が例えば上下2段に形成されている。封膜部4aの中央部は両頭針3の収納スペースをカプセル2の高さを抑えた状態で確保するために上向きに膨出している。
【0020】
シール部材4の封膜部4aには切離開封手段としてプルリング17が備えられている。プルリング17の切離開封をガイドする切離部18は封膜部4aの下面の外周寄りの位置にカプセル2の内周面との間に小間隔19(図5参照)を存して設けられており、切離開封後に残る縁部4a′(図5参照)を両頭針3の上方側への移動を防止するストッパーとして利用できるような構成になっている。
【0021】
図1に示すように、本発明溶解液容器は、輸送、保管時など通常状態にあるときは、ガイドカプセル2内の両頭針3はストッパー13の働きにより下方への移動が、またスライダー11c上端の封膜部縁部4a′への当止で上方への移動がそれぞれ防止されており、よって両頭針3は図1に示す非作動位置を安定確実に保持することができる。
【0022】
また、ガイドカプセル2の上端開口は該開口内に嵌着固定されたシール部材4により密封されているので、密封状態を安定確実に保持できる。
【0023】
一方、薬剤容器Aと連結するときは図1に示す状態から、最初にプルリング17の引っ張り操作によりシール部材4の封膜部4aが切離部18に沿って切離され開封される。
【0024】
封膜部4aの切離開封後においては、図5に示すように封膜部4aの縁部4a′が上記カプセル2側に残るので、この縁部4a′が両頭針3の上方への移動を防止するストッパーとして機能し、この縁部4a′のストッパーとしての働きで両頭針3が該カプセル2の上端開口より抜け落ちるという危険性がなくなる。
【0025】
封膜部4aを切離開封した後は、薬剤容器Aが常法通りガイドカプセル2の上端開口を通じて該カプセル2内に強制的に押し込まれ、この押し込みにより両頭針3は図1に示す非作動位置より図5に示す作動位置まで移動し、よって両容器A、1内は両頭針3を介し相連通される。
【0026】
更に、薬剤容器Aを図5に示す連結位置まで押し込んで行くと、押し込み操作の終期段階で該容器Aの口部シール部aが係止片部15、15‥の間を保有弾性に抗し押し広げながらこれらの間を下方へと進入して行き、図5に示す連結状態が得られると同時に係止片部15の上端の係止突部15aが上記口部シール部aの背部の凹段部a′に係止し、よって薬剤容器Aはこの連結位置に於いてカプセル2ひいては容器1にしっかりと固定される。
【0027】
従って、両容器A、1の口部シール部a、5においては、これら口部a、5のゴム栓に刺入された針部10a、10bにキックバックを生ずることが無くなり、キックバックに起因する液漏れを防止することが出来る。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果が得られる。
【0029】
イ 部品数が溶解液入り容器、ガイドカプセル、両頭針及びシール部材の4部品と比較的少なく、製造コストが安価である。
【0030】
ロ プルリングによる切離開封方式であるので、密封部分にピンホールやシール不良が生じることが無くなり、密封の信頼性を向上できる。
【0031】
ハ 切離開封後にガイドカプセル側に残る封膜部縁部のストッパとしての働きで、該カプセルからの両頭針の脱落を防止でき、薬剤容器との連結操作時の安全性を向上できる。
【0032】
ニ 両頭針の上下針部が薬剤容器の口部シール部からはもとより溶解液容器の口部シール部からもキックバックすることがなくなり、キックバックに起因する液漏れの危険性を一掃出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態を示す全体の縦断面図である。
【図2】 同、平面図である。
【図3】 同、シール部材を省略して示す拡大平面図である。
【図4】 図3の4−4線に沿う断面図である。
【図5】 薬剤容器との連結状況を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…溶解液入り容器
2…ガイドカプセル
3…両頭針
4…シール部材
5…口部シール部
6…接続固定部
7…ソケット部
8a…凹係合部
8b…凸係合部
9……係合リング
10a…針部
10b…針部
11…ホルダー部
12…ガイド溝
13…ストッパー
14…開口
15…係合片部
16…凹凸嵌合部
17…プルリング
18…切離部
19…小間隔
Claims (7)
- 溶解液入り容器と、該容器の上端の口部シール部より同心状に起立する取り外し可能のガイドカプセルと、該カプセル内で軸方向にスライド移動できる両頭針とを備え、必要時に薬剤容器をガイドカプセルの上端開口よりその内部に押し込むことにより両頭針を介し上記の2つの容器を内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器において、上記カプセルの上端開口をシール部材により密封し、前記シール部材は、封膜部と該封膜部の外周縁より起立する周壁部とから構成され、前記周壁部は前記カプセルの上端部に嵌着され前記周壁部の上端の鍔部が前記カプセルの上端面に係止しており、前記シール部材の封膜部に切離開封手段を備え、該開封手段による切離開封後に前記カプセル側に残る封膜部の縁部を前記両頭針のストッパーとして機能させる構成としたことを特徴とする両頭針付き溶解液容器。
- 切離開封手段が、プルリングと該プルリングの切離開封を案内する切離部とから構成され、該切離部は封膜部の外周部寄りの部分にガイドカプセルの内周面近傍に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の溶解液容器。
- ガイドカプセル内の底部に、両頭針による上記の2つの容器の連結時に薬剤容器を連結位置に固定するための拘束手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は2記載の溶解液容器。
- 上記拘束手段が、ガイドカプセル内の底部から上向きに起立していて、連結された薬剤容器の口部シール部の背部の凹段部に係止する複数本の係止片部から構成されていることを特徴とする請求項3記載の溶解液容器。
- 前記封膜部の中央部に、両頭針の収納スペースとなる膨出部が上向きに形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の溶解液容器。
- 前記膨出部が前記プルリングのリング内に膨出していることを特徴とする請求項5記載の溶解液容器。
- 前記プルリングが、前記カプセル高さ内に収納されていることを特徴とする請求項5又は6記載の溶解液容器。
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- 1996-01-11 JP JP00322796A patent/JP3702377B2/ja not_active Expired - Lifetime
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