JP4807905B2 - 研磨材スラリー及び研磨微粉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、光学レンズ用、光ディスク用、磁気ディスク用、プラズマディスプレー用、液晶用又はLSIフォトマスク用等のガラス基板を始めとする光学、エレクトロニクス関連基板の精密研磨に用いる研磨材に関するものであり、特に、研磨レート(研磨速度)等の研磨特性に優れており、かつ、スクラッチ等の表面欠陥をほとんど生じさせずに研磨することができる研磨材スラリー及び研磨微粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク用ガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDやねじれネマチック(TN)型LCDなどの液晶用ガラス基板、液晶テレビ用カラーフィルター、LSIフォトマスク用ガラス基板等のエレクトロニクス関連基板分野において、研磨技術は益々重要な地位を占めつつある。
【0003】
特に磁気ディスク用基板分野においては、軽量化に伴う薄型化や高速回転時のディスクのうねりに耐えうる高い剛性等の機械的特性が要求されるとともに、高記録密度化への要求が非常に高まっている。高記録密度化を達成する目的で磁気ヘッドの磁気ディスク基板に対する浮上高さは非常に小さくなりつつあり、それを達成するために、磁気ディスク基板は鏡面のような平坦性や小さい表面粗さが要求され、かつ表面の微小スクラッチ、微小ピットなどの欠陥が極力無いことが要求される。そのため、高精度に表面研磨することが必要とされる。薄型化、高い機械的特性あるいは高い記録密度を満足させるために、ガラスの化学組成や製法についても種々の改良がなされている。例えば、ガラス基板としては従来から用いられている化学強化ガラス以外にリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板やクオーツ結晶が大半を占める結晶化ガラス基板も開発されてきているが、これらの基板ガラスは非常に加工性が悪く、従来の研磨材による研磨では加工速度が遅く、生産性が悪化する。
【0004】
ガラス基板の表面研磨に用いられる研磨材としては、酸化鉄や酸化ジルコニウムあるいは二酸化珪素に比べて研磨速度が数倍優れているとの理由から、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材が用いられており、一般的には砥粒を水等の液体に分散させて研磨に使用する。研磨材を用いて表面研磨を行う際には、前述の高精度な表面研磨性能と共に高い研磨速度を両立させることが要求される。
【0005】
研磨材として酸化セリウムを用いた場合に、研磨速度を速くするための方策が種々開示されており、例えば特公昭38−3643号公報においては、酸化セリウム等にコロイド状シリカやアルミナ等を添加する研磨方法が示されており、特開平3−146585号公報においては、酸化セリウムを主成分とする研磨材に塩化マグネシウムを含有させた研磨材が開示されている。しかし、このような異粒子ゾルを添加すると表面スクラッチあるいはピットの増加につながり、高い表面精度を達成することができない。
【0006】
また、高い表面精度を達成するために、例えば特開平8−3541号公報においては、2以上のカルボキシル基を有する有機酸を含有したアルカリ性酸化第二セリウムゾルからなる研磨材が示されており、また、特開平8−41443号公報においては、平均粒径が0.1〜10μmの研磨材を2〜30重量部、アルキル硫酸塩及び/又はポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルを1〜20重量部含む研磨組成物を開示している。こうした方法により、ある程度の高精度の達成と研磨力の両立は可能であるが、研磨粒子とは別に有機物を相当量添加しなくてはならないので、コストの増加につながるだけでなく安定した品質の達成が困難であるという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、エレクトロニクス関連の基板等の精密研磨において、表面平坦性が高く、表面粗さが小さく、表面の微小スクラッチや微小ピット等をほとんど生じさせないような精度の高い表面研磨を達成しつつ、かつ、速い研磨速度を達成することができる研磨材スラリー及び研磨微粉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨材スラリーは、研磨材を含むスラリーにおいて、研磨材が、体積換算の95%累積平均径(D95)が0.1〜1.5μmであり、かつ体積換算の50%累積平均径(D50)の10倍を越える粗大粒子を、全粒子質量あたり1質量%以下の範囲で含んだものであることを特徴とする。
【0009】
ここで、研磨材は、酸化セリウム、酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化マンガン、炭化珪素及びダイヤモンドからなる群から選ばれた少なくとも一つを含んだものであることができる。
また、研磨材は、炭酸希土塩を出発原料として製造された酸化セリウムを含んだものであることが好ましい。
また、スラリー濃度は1〜50質量%であることができる。
また、スラリー濃度が20質量%であるスラリーの20℃における電気伝導度は2mS/cm以上であることができる。
また、研磨剤スラリー中に界面活性剤を含むことができる。
また、界面活性剤は、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することができる。
また、研磨材スラリーのpHが10を越えることが好ましい。
本発明の研磨微粉は、上記研磨材スラリーを乾燥させて形成することを特徴とする。
ここで、研磨材スラリーを乾燥するにあたり、媒体流動乾燥機または噴霧乾燥機を用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨材スラリーに含まれる研磨材は、体積換算の95%累積平均径(D95)が0.1〜1.5μmであり、体積換算の50%累積平均径(D50)の10倍を越える粗大粒子を、全粒子質量あたり1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.5〜0.001質量%の範囲で含んだものである。
【0011】
粗大粒子が全粒子質量あたり1質量%を越えると、表面欠陥のほとんどない被研磨体を得ることが困難になる。すなわち、被研磨体の表面が極めて平坦であることや表面粗さが非常に小さいこと、また、表面に微小スクラッチや微小ピットがほとんど発生しない表面状態を満足することができなくなる。
【0012】
かかる粗大粒子の含有率を求めるには、例えば、研磨材スラリーの一部を取り出し、D50の10倍の粒径に相当する粒径を基準にして遠心力や遠心時間などの遠心沈降条件を設定し、かかる遠心沈降条件で遠心分離を繰り返し行って、かかる粗大粒子を取り出し、含有量を求める方法や、市販の粗大粒子計測器を用いて含有率を求める方法等を適用することができる。
【0013】
ここで、体積換算の95%累積平均径(D95)とは、体積換算で示された粒度分布において、粒度の小さい方から積算して95%となるまでに含まれる粒子の平均粒径の値である。また、体積換算の50%累積平均径(D50)とは、粒度の小さい方から積算して50%となるまでに含まれる粒子の平均粒径である。なお、体積換算で示された粒度分布は、例えばレーザー回折方式の粒度分布測定装置、動的光散乱方式や光子相関方等を用いた粒度分布測定装置を使用して体積換算の粒度分布を求めることができる。
【0014】
本発明において、100%累積平均径(D100)ではなく、前記体積換算の95%累積平均径(D95)を採用するのは、100%累積には長時間を要するが、95%累積ならば簡便に測定できること、また、実際上、D100の代わりにD95を採用しても問題がないこと等の理由から、理想上の100%累積平均径(D100)の代替としてD95を採用するものである。
【0015】
本発明の研磨材スラリーは、好ましくはpHが10を越えることが必要であり、さらに望ましくはpHが11を越えることが必要である。pHが10以下であると、望ましい研磨レートを発揮することができなくなる。
【0016】
本発明の構成を採用することによって、本発明の優れた効果が何故達成されるのか、その理由は明らかではないが、研磨材スラリー中の研磨材の粒径と量、すなわち粒度分布の粒径の大きい側の分布が研磨速度及び研磨精度を大きく支配しているものと考えられる。
【0017】
本発明の研磨材スラリーに含まれる研磨材は、酸化セリウム、酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一つを含むものであることが好ましい。本発明においては、酸化セリウムを主成分とすることが特に好ましく、さらには炭酸希土塩を出発原料として製造された酸化セリウムを主成分とすることが望ましい。炭酸希土塩は、アルカリ金属等の希土類以外の成分の含有量が低減された、セリウムを主成分とする軽希土類化合物の一種として利用される。
【0018】
出発原料として用いられる炭酸希土塩は、天然に存在する、セリウム、ランタン、プラセオジム及びネオジム等を多く含む希土精鉱を粉砕した後、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を化学的に分離除去した後、重炭酸アンモニウムやシュウ酸などで炭酸塩とすることで得られる。
【0019】
炭酸希土を電気炉等で500℃〜1200℃で焼成した後、焼成粉を粉砕することにより、酸化セリウムを主成分とする研磨材を製造することができる。焼成の状態は比表面積の数値で判断することができるが、比表面積が1〜50m/gの範囲であることが好ましく、さらには2〜20m/gの範囲であることが特に好ましい。
【0020】
本発明において、研磨材の平均粒径は0.1μm〜1.5μmの範囲内であることが望ましい。平均粒径が0.1μm未満であると十分な速度の研磨レートを得ることが難しくなり、1μmを越えると被研磨体の表面にスクラッチが発生しやすくなったり、スラリー沈降の問題が生じやすくなる。
【0021】
本発明においては、焼成条件、粉砕条件等を適宜選択して製造することにより、本発明の効果を発揮しうる特定の粒度分布を有する研磨材を得ることができる。
【0022】
研磨材スラリーの製造方法は、焼成粉の粉砕を行う際に、あらかじめ焼成して得られた焼成粉を水や水溶性有機溶媒等に分散させ、次いで湿式粉砕を行う方法でもよいし、あるいは、焼成粉を乾式粉砕した後、得られた粉末を水に湿式分散させる方法でもよい。ただし本発明においては、例えばボールミルを用いた湿式粉砕プロセスを経ることが望ましい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数が1乃至10の1価アルコール類、エチレングリコール、グリセリン等の炭素数3乃至10の多価アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0023】
本発明において、研磨材スラリーの研磨材濃度(スラリー濃度)は1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%であることが望ましい。研磨材の量がスラリー中、1質量%を下回ると十分な研磨性能を発揮させることが難しくなり、50質量%を越えるとスラリーの粘度が上昇して流動性が悪くなるので製造上の問題が発生しやすくなり、かつ過剰な研磨材を使用することになるので不経済でもある。
【0024】
本発明においては、スラリー濃度が20質量%である研磨材スラリーの20℃における電気伝導度が2mS/cm以上であることが望ましい。電気伝導度が2mS/cmを下回ると、所望の研磨性能を得ることが困難となる。
【0025】
本発明においては、研磨材スラリー中に分散剤として界面活性剤が含まれていることが望ましい。本発明に好ましく用いられる界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等や両性イオン界面活性剤が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。中でも、本発明においては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤等が好ましい。
【0026】
アニオン系界面活性剤としては、公知のカルボン酸塩(石鹸、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等)、スルホン酸塩(アルカンスルホン酸塩(アルキルベンゼンスルホン酸塩も含む)およびアルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等)、硫酸エステル塩(硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等)、燐酸エステル塩(アルキル燐酸塩、アルキルエーテル燐酸塩、アルキルアリルエーテル燐酸塩等)から選ばれ、低分子の化合物や高分子型化合物も含まれる。ここで、塩とはLi塩、Na塩、K塩、Rb塩、Cs塩、アンモニウム塩及びH型の少なくとも1種から選ばれる。
【0027】
例えば、石鹸としては、炭素数がC12〜C18の脂肪酸塩であり、一般には脂肪酸基としては、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、N−アシルアミノ酸塩としては、炭素数がC12〜C18のN−アシル−N−メチルグリシン塩やN−アシルグルタミン酸塩が挙げられる。アルキルエーテルカルボン酸塩としては、炭素数がC6〜C18の化合物が挙げられ、アシル化ペプチドとしては、炭素数がC12〜C18の化合物が挙げられる。スルホン酸塩としては、炭素数がC6〜C18の前記化合物が挙げられ、例えばアルカンスルホン酸では、ラウリルスルホン酸、ジオクチルサクシンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ミリスチルスルホン酸、ケリルベンゼンスルホン酸、ステアリルスルホン酸等が挙げられる。硫酸エステル塩としては、炭素数がC6〜C18の前記化合物が挙げられ、例えばラウリル硫酸、ジオクチルサクシン硫酸、ミリスチル硫酸、ステアリル硫酸等のアルキル硫酸塩、燐酸エステル塩としては、炭素数がC8〜C18の前記化合物が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。さらには前記アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤以外に公知のフッ素系界面活性剤が使用できる。
高分子型界面活性剤には、特殊ポリカルボン酸型化合物(花王(株)製、商品名:ポイズ530)も例示できる。
【0028】
さらに本発明の研磨材スラリーには、上記界面活性剤以外に、スラリーの沈降防止あるいは安定性向上を図るために、必要に応じてエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、トリポリリン酸塩のような高分子分散剤、ヘキサメタリン酸塩等のリン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤の添加量は、研磨材に対して、0.05〜20質量%の範囲内であることが一般的であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
【0029】
本発明の研磨微粉は、本発明の研磨材スラリーを乾燥することにより得ることができる。乾燥方法としては、スラリー中に含まれる研磨材が乾燥過程で二次凝集を起こさないような手段であれば特に限定されるものではないが、研磨材が二次凝集を起こしにくい型式の乾燥機を用いることが好ましく、例えば、媒体流動型乾燥機または噴霧乾燥機を用いることが望ましい。ここで、媒体流動型乾燥機とはアルミナ製あるいはジルコニア製の媒体球を熱風で流動化して得られる媒体流動層中に研磨材スラリーを供給し、乾燥を行う型式の乾燥機であり、噴霧乾燥機とは二流体ノズル等を用いて熱風中に研磨材スラリーを噴霧することで乾燥を行う型式のものである。こうした乾燥手段を経ることで、再分散性に優れ良好な研磨性能を発揮する研磨微粉を得ることができる。
【0030】
本発明の研磨材スラリーは、一般に使用する基板には制限されないが、好ましくは、光学レンズ用ガラス基板、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、プラズマディスプレー用ガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDやねじれネマチック(TN)型LCDなどの液晶用ガラス基板、液晶テレビ用カラーフィルター、LSIフォトマスク用等のガラス基板などの、各種光学、エレクトロニクス関連ガラス材料や一般のガラス製品等の仕上げ研磨に用いられる。
【0031】
本発明の研磨材スラリーは、特に磁気ディスク用ガラス基板に好ましく使用できる。磁気ディスク用ガラス基板は、高剛性で薄型化に対応できる上に耐衝撃性が高い等のメリットを生かした基板として注目されており、その基板のガラス材料は、化学強化ガラスと結晶化ガラスに大別されている。これらの材料はいずれもガラス本来の脆いという欠点を克服するために強化処理を施したものである。通常、ガラス表面の傷の存在は機械的強度を大きく損なうため、ディスク信頼性向上の点からイオン交換による化学強化処理が施されている。すなわち、ガラス基板(原板)をアルカリ溶融塩中に浸し、ガラス表面のアルカリイオンと溶融塩中のより大きなイオンとを交換することで、ガラスの表面層に圧縮応力歪み層を形成して、破壊強度を大幅に増加させたものである。このような化学強化されたガラス基板は、ガラス内部からのアルカリ溶出が抑えられており、このように化学強化されたHD向け基板材料に対しても、本発明の研磨材スラリーは高い研磨性能(基板の表面粗さ、スクラッチ、表面欠陥等)を得ることができる。好ましく使用されるHD用ガラス基板としては、LiとNaを含むアルミノシリケートガラス基板、KとNaを含むソーダライムガラス基板や結晶化ガラスが挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
市販の粗炭酸希土粉末(灼熱減量:55.8%)を4kg用い、箱形電気炉で焼成を行った。焼成条件は昇温速度を1.7℃/分とし、焼成温度が900℃で保持時間を2時間とした。焼成後の粉末中に含まれる元素を分析したところ、希土類の含有率が99質量%であり、希土類元素のうちに含まれる酸化セリウム濃度は60質量%であった。また得られた焼成粉の比表面積をBET法の比表面積測定装置で求めたところ、10m/gであった。
【0034】
焼成して得られた焼成粉1.7kgを純水2.5kg中に投入して攪拌し、次いで、分散剤としてアニオン系界面活性剤(商品名「花王ポイズ530」、花王(株)製)を34g(焼成粉に対して2質量%に該当)添加して攪拌を行い、スラリーを作製した。得られたスラリーを湿式粉砕機に通して循環しながら2.5時間湿式粉砕処理を行った後、スラリーに純水を添加して濃度が20質量%の研磨材スラリーを8kg得た。得られた研磨材スラリーの20℃における電気伝導度は3.5mS/cmであった。
【0035】
得られた研磨材スラリーの一部を用い、レーザー回折式粒度分布測定器(CILAS社製、「HR850」)で測定したところ、体積換算の50%累積平均径(D50)は0.55μmであり、かつ体積換算の50%累積平均径(D50)の10倍である5.5μmを越える粗大粒子の含有率は、全粒子質量あたり、0.72質量%であった。
【0036】
次いで、得られた研磨材スラリーを用いて、下記に示す被加工物の研磨を行った。ただし、研磨機は4ウエイタイプ両面研磨機(不二越機械工業(株)製「5B型」)を用い、研磨パッドはスウエードタイプのパッド(ロデール製、「ポリテックスDG」)を用いた。また、スラリー供給速度は60ml/min、下定盤回転数は90rpm、加工圧力は75g/cm、研磨時間は10minで研磨を実施した。研磨後、強化ガラス基板を研磨機より取り出し、純水を用いて超音波洗浄を行い、その後、乾燥させて以下の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
なお、被加工物(被研磨体)としては、あらかじめ市販の酸化セリウム系研磨材(東北金属化学(株)製、「ROX H−1」)で研磨しておいた、2.5インチのアルミノシリケートを主成分とする強化ガラス基板(表面粗さRa=9Å)を用いた。
【0038】
被加工物の評価:
(1)表面粗さ(Ra)
ランクテーラーホブソン社製の接触式表面粗さ計「タリステップ」又は「タリデータ2000」を用いて、ガラス基板表面の表面粗さ(Ra)を測定した。
(2)表面欠陥
微分干渉顕微鏡を用いてガラス基板表面を観察し、表面の付着状態、ピット、スクラッチの発生の有無等を調べた。スクラッチの評価はガラス基板表面に発生したスクラッチの本数で示し、表面欠陥の評価は3段階の相対的な評価で行い、ピットの発生がほとんどなく表面状態が良好である場合には「○」、ややピットの発生があり、実用上問題である場合を「△」、表面状態が非常に悪い場合を「×」で示した。
(3)研磨レート
研磨前後におけるガラス基板の重量変化から研磨レート(μm/min)を求めた。
【0039】
(実施例2〜7)
実施例1において、焼成条件及び湿式粉砕機の運転条件を適宜調節することにより、それぞれ表1に示すD50、D95及び粗大粒子の含有率となるように変更した以外は実施例1と同様にして、研磨材スラリーを製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0040】
(実施例8〜9)
実施例1において、スラリー濃度を表1に示すように10質量%又は40質量%にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、研磨材スラリーを製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0041】
(実施例10〜11)
実施例1において、分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、研磨材スラリーを製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0042】
(比較例1)
実施例1において、湿式粉砕における粉砕時間を1時間で停止した以外は、実施例1と同様にして、研磨材スラリーを製造した。得られた焼成粉のD50は0.55μm、D95は1.80μm、粉砕後20重量%に濃度調整したうえでのpHは11.9であった。
【0043】
得られた研磨材スラリーを用いて、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
(比較例2〜6)
実施例1において、焼成条件及び湿式粉砕条件を適宜調節して、それぞれ表1に示すBET比表面積、D50、D95、粗大粒子の含有率を有する研磨材となるように変更した以外は実施例1と同様にして、研磨材スラリーを製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004807905
【0046】
【表2】
Figure 0004807905
【0047】
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜11の研磨材スラリーを用いて研磨した場合には、研磨レートが速く、かつ、表面粗さが小さく、スクラッチや表面欠陥のない良好な研磨表面を実現することができた。
【0048】
一方、比較例1〜6の研磨材スラリーを用いて研磨した場合には、表面粗さ、スクラッチの発生または表面欠陥のいずれかが良好でなく、精度の高い研磨表面を実現することはできなかった。また、比較例2及び3の研磨材スラリーを用いて研磨した場合には、研磨レートが遅いことが分かった。
【0049】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、エレクトロニクス関連の基板等の精密研磨において、表面平坦性が高く、表面粗さが小さく、表面の微小スクラッチや微小ピット等をほとんど生じさせないような精度の高い表面研磨を達成しつつ、かつ、速い研磨速度を達成することができる研磨材スラリー及び研磨微粉を提供することができる。

Claims (9)

  1. 研磨材を含むスラリーにおいて、研磨材が、体積換算の95%累積平均径(D95)が0.1〜1.5μmであり、かつ体積換算の50%累積平均径(D50)の10倍を越える粗大粒子を、全粒子質量当たり1質量%以下の範囲で含んだものであることを特徴とする研磨材スラリー(但し、pHが12以下の研磨材スラリーを除く)
  2. 研磨材が、酸化セリウム、酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化マンガン、炭化珪素及びダイヤモンドからなる群から選ばれた少なくとも一つを含んだものであることを特徴とする請求項1に記載の研磨材スラリー。
  3. 研磨材が、炭酸希土塩を出発原料として製造された酸化セリウムを含んだものであることを特徴とする請求項1に記載の研磨材スラリー。
  4. スラリー濃度が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨材スラリー。
  5. スラリー濃度が20質量%であるスラリーの20℃における電気伝導度が2mS/cm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨材スラリー。
  6. 研磨剤スラリー中に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨材スラリー。
  7. 界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項6に記載の研磨材スラリー。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨材スラリーを乾燥させて形成することを特徴とする研磨微粉。
  9. 研磨材スラリーを乾燥するにあたり、媒体流動乾燥機または噴霧乾燥機を用いることを特徴とする請求項8に記載の研磨微粉。
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