JPWO2005123864A1 - 流動性研磨材ペースト及びその製造方法、用途 - Google Patents
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Abstract
酸化セリウムを主成分とする研磨材を高濃度で含むと同時に優れた品質安定性や流動性を有する研磨材ペーストを提供すること。酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%含み、かつペーストの表面明度の変化率が10%/時間以下である、流動性研磨材ペースト。
Description
本発明は、酸化セリウムを主成分とする研磨材を高濃度で含むと同時に優れた品質安定性や流動性を有することにより、工業的に極めて有用な流動性研磨材ペースト、及びその製造方法、その使用方法等を提供するものである。
近年、研磨材は様々な分野に用いられている。特に酸化セリウムを主成分とする研磨材は、ガラス材料および水晶の研磨に多用され、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDやねじれネマティック(TN)型LCDなどの液晶用ガラス基板、液晶TV用カラーフィルター、TVブラウン管(CRT)、眼鏡レンズ、光学レンズ、LSIフォトマスク用ガラス基板、網入り板硝子、水晶振動子用基板、半導体ウエハー酸化膜等の研磨に用いられており、エレクトロニクス関連基板の研磨技術において益々重要な地位を占めつつあり、品質への要求も厳しくなってきている。
例えば、磁気ディスク用基板分野においては、軽量化に伴う薄型化や高速回転時のディスクに耐えうる高い剛性等の機械的特性への要求とともに、高記録密度化への要求が非常に高まっている。高記録密度化を達成する目的で磁気ヘッドの磁気ディスク基板に対する浮上高さは非常に小さくなりつつあり、それを達成する為、基板に対しては高精度な平坦度や表面粗さ及び表面の微小スクラッチ、微小ピットなどの欠陥が極力無い事を要求される。また、前述の薄型化や高い機械的特性あるいは高い記録密度を満足させる為、ガラスの化学組成や製法についても様々に改良されている。ガラス基板としては従来から用いられている化学強化ガラス以外にリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板やクオーツ結晶が大半を占める結晶化ガラス基板も開発されてきている。一方、従来ガラス基板の表面研磨に用いられる研磨材としては、酸化鉄や酸化ジルコニウムあるいは二酸化珪素に比べて研磨速度が数倍優れているとの理由から、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材が用いられている。こうした研磨材の製品形態としては、例えば特開平6−330025号公報や特開2002−129144号公報で示されるように研磨材そのものを粉体状に仕上げたものや、特開2002−180034号公報や特開2002−265931号公報で示されるようにスラリーとして仕上げたものが知られている。
このうち粉体状のものは、例えば、実際の研磨を行う際に研磨材粉体を所定量計量し、研磨液供給タンクに供給するという作業を定期的に行う必要がある。こうした粉体の取扱いには、粉じん発生の問題や計量に伴う精度を保証しにくいといった問題がある。一般に粉体は直接研磨液供給タンクに供給されることから、タンクの中で分散しにくく、結果として研磨性能が安定して得られにくいといった問題もあった。
一方、スラリー状の製品の場合、上記粉体状の製品における取扱いの問題は回避できるが、このようなスラリーは長時間静置によって固い沈殿を生成しやすく、再懸濁に手間取ること、また一方でその成分である水を多量に運搬する必要があり、物流コストが高くなり、場合によってはスラリー専用の運搬容器が必要であるといった取扱い上の問題があった。
例えば、磁気ディスク用基板分野においては、軽量化に伴う薄型化や高速回転時のディスクに耐えうる高い剛性等の機械的特性への要求とともに、高記録密度化への要求が非常に高まっている。高記録密度化を達成する目的で磁気ヘッドの磁気ディスク基板に対する浮上高さは非常に小さくなりつつあり、それを達成する為、基板に対しては高精度な平坦度や表面粗さ及び表面の微小スクラッチ、微小ピットなどの欠陥が極力無い事を要求される。また、前述の薄型化や高い機械的特性あるいは高い記録密度を満足させる為、ガラスの化学組成や製法についても様々に改良されている。ガラス基板としては従来から用いられている化学強化ガラス以外にリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板やクオーツ結晶が大半を占める結晶化ガラス基板も開発されてきている。一方、従来ガラス基板の表面研磨に用いられる研磨材としては、酸化鉄や酸化ジルコニウムあるいは二酸化珪素に比べて研磨速度が数倍優れているとの理由から、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材が用いられている。こうした研磨材の製品形態としては、例えば特開平6−330025号公報や特開2002−129144号公報で示されるように研磨材そのものを粉体状に仕上げたものや、特開2002−180034号公報や特開2002−265931号公報で示されるようにスラリーとして仕上げたものが知られている。
このうち粉体状のものは、例えば、実際の研磨を行う際に研磨材粉体を所定量計量し、研磨液供給タンクに供給するという作業を定期的に行う必要がある。こうした粉体の取扱いには、粉じん発生の問題や計量に伴う精度を保証しにくいといった問題がある。一般に粉体は直接研磨液供給タンクに供給されることから、タンクの中で分散しにくく、結果として研磨性能が安定して得られにくいといった問題もあった。
一方、スラリー状の製品の場合、上記粉体状の製品における取扱いの問題は回避できるが、このようなスラリーは長時間静置によって固い沈殿を生成しやすく、再懸濁に手間取ること、また一方でその成分である水を多量に運搬する必要があり、物流コストが高くなり、場合によってはスラリー専用の運搬容器が必要であるといった取扱い上の問題があった。
こうした問題を解決する為、本発明者らが鋭意検討した結果、酸化セリウムを主成分とする研磨材(セリウム系研磨材と称することもある)を固形分濃度として30〜95質量%含む流動性研磨材ペーストであり、かつ、流動性研磨材ペーストを均一に混合し静置したペーストの表面明度の変化率が10%/時以下であることを特徴とする流動性研磨材ペーストによって、前記一連の問題点が解決でき、極めて実用的で取扱いのしやすい研磨材を提供できることがわかった。すなわち、本発明は下記を提供する。
(1)酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%含み、かつ、表面明度の変化率が10%/時以下であることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
(2)表面明度の変化率が、6%/時以下である上記(1)に記載の流動性研磨材ペースト。
(3)界面活性剤を研磨材100質量部に対して1〜30質量部含む上記(1)または(2)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(4)界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である上記(3)に記載の流動性研磨材ペースト。
(5)研磨材がセリウムを酸化物換算で35〜90質量%含む上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(6)研磨材の固形分濃度が50〜90質量%である上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(7)研磨材の平均一次粒子径が10〜80nmである上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(8)研磨材の比表面積が1〜50m2/gである上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(9)研磨材の平均二次粒子径が0.1〜1μmである上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の研磨材ペーストがフレキシブル容器に充填されていることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
(11)上記(10)に記載の研磨材ペーストに用いた容器を、体積を縮少して回収する研磨材ペースト廃容器の回収方法。
(12)酸化セリウムを主成分とする研磨材のスラリーに界面活性剤を添加しフロックを形成させたのち、濃縮することにより固形分濃度を30〜95質量%の範囲にすることを特徴とする流動性研磨材ペーストの製造方法。
(13)界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である上記(12)に記載の高品質流動性研磨材ペーストの製造方法。
(14)上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペーストを希釈することを特徴とする研磨材スラリーの製造方法。
(15)上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の研磨材ペーストを用いる基板の研磨方法。
(1)酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%含み、かつ、表面明度の変化率が10%/時以下であることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
(2)表面明度の変化率が、6%/時以下である上記(1)に記載の流動性研磨材ペースト。
(3)界面活性剤を研磨材100質量部に対して1〜30質量部含む上記(1)または(2)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(4)界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である上記(3)に記載の流動性研磨材ペースト。
(5)研磨材がセリウムを酸化物換算で35〜90質量%含む上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(6)研磨材の固形分濃度が50〜90質量%である上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(7)研磨材の平均一次粒子径が10〜80nmである上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(8)研磨材の比表面積が1〜50m2/gである上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(9)研磨材の平均二次粒子径が0.1〜1μmである上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の研磨材ペーストがフレキシブル容器に充填されていることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
(11)上記(10)に記載の研磨材ペーストに用いた容器を、体積を縮少して回収する研磨材ペースト廃容器の回収方法。
(12)酸化セリウムを主成分とする研磨材のスラリーに界面活性剤を添加しフロックを形成させたのち、濃縮することにより固形分濃度を30〜95質量%の範囲にすることを特徴とする流動性研磨材ペーストの製造方法。
(13)界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である上記(12)に記載の高品質流動性研磨材ペーストの製造方法。
(14)上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペーストを希釈することを特徴とする研磨材スラリーの製造方法。
(15)上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の研磨材ペーストを用いる基板の研磨方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含むペーストに関する。固形分濃度が30質量%を下回ると水分が増えることによる物流上の問題等が生じる。一方95質量%を超えると流動性が低いペーストまたは粉状となり取扱いがしにくくなる。
本発明は、酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含む流動性研磨材ペーストであって、流動性研磨材ペーストを均一に混合し静置したペーストの表面明度の変化率が10%/時以下(好ましくは6%/時以下、さらに好ましくは4%/時以下)である流動性研磨材ペーストが存在し得ることを見出し、かつ、この流動性研磨材ペーストを用いることにより前述した取扱いに関する問題が解決されることを確認し、完成されたものである。
ここで静置とは、酸化セリウムを主成分とする流動性研磨材ペーストに震とう、振動、撹拌、反転、対流等の重力を除く外力が実質的に一切加わっていない状態を指す。また、均一に混合されているかどうかは、例えば、透明容器に入れたペーストでは、その底面、上面、側面等の表面明度に差がないことを確認すればよい。ペースト表面明度は、市販の一般的な分光反射率計や色差計あるいはカラーテスター等の測定器を用いて測定可能な光学特性である。例えば、ペーストを底面、上面、側面を有する透明な容器に入れて、その底面、上面、側面の代表的な位置で表面明度を測定すればよい。ペーストを入れて測定する容器は、透明度の高いガラスやプラスチックス素材で構成される透明な容器が好ましい。容器の大きさ、形やペーストの充填量は、用いる測定器で測定可能な大きさ、形及び量であればよい。表面明度の差は、ペーストを静置直後の表面明度を基準(100%)として、底面、上面及び側面の表面明度を所定時間(例えば、1時間)経過後に測定して、基準との差を求める。測定部分により測定値が異なる場合は、表面明度の差が最も大きい部分の測定値を用いればよい。なお、本発明では、単位時間当りの表面明度の差を表面明度の変化率とした。
表面明度の変化率は、研磨材の取り扱いのしやすさの指標として好ましく用いることができる。例えば、表面明度の変化率が10%/時以下であれば、超音波による分散装置などを必要とせず、簡単な撹拌で再懸濁が可能である。表面明度の変化率がより少なければ容易に再懸濁をすることができる。
本発明に用いる酸化セリウムを主成分とする研磨材として酸化セリウム以外の他の物質、例えば、ランタン(La)、ネジオム(Nd)、プラセオジム(Pr)またはこれらの酸化物等を含んでもよい。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、一次粒子径を好ましくは、40nmから80nmの範囲内、より好ましくは、50nmから70nmの範囲内とする。
セリウム系研磨材の、一次粒子径の測定は、X線回折ピークの半価幅からの結晶子径の計算式(Scherrerの式)により行う。すなわち、ε=0.9λ/β1/2/cosθ〔式中、ε :一次粒子径λ :測定X線波長(オングストローム)β1/2 :回折線の半価幅(ラジアン)〕の式により一次粒子径を決定する。なお、セリウム系研磨材の一次粒子径の決定には、2θ=28度〜28.4度付近に現れる、酸化セリウムに起因するX線回折ピークを用いる。
セリウム系研磨材の一次粒子径が10nmより小さくなると、一般に機械的な研磨力が弱くなり、十分な研磨速度が得られ難くなる。またセリウム系研磨材の一次粒子径が80nmより大きくなると研磨材を構成する粒子が、硬くて大きな結晶となるため、研磨面にスクラッチが発生しやすくなる。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、比表面積を好ましくは1m2/gから50m2/gの範囲内、より好ましくは、2m2/gから20m2/gの範囲内とする。研磨材の比表面積が1m2/gより狭くなると研磨面にスクラッチが発生し易くなり、また研磨材の比表面積が50m2/gより広くなると研磨速度が低下する。なお、セリウム系研磨材の、比表面積の測定には、BET法を用いるのが好ましい。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、酸化セリウムを主成分とするものである。ここで酸化セリウムを主成分とは、セリウム(Ce)を酸化物(CeO2)換算で35質量%以上、より好ましくは45質量%以上含むことをいう。Ceの酸化物換算量が35質量%より低くなると、十分な研磨速度が得られ難くなる。Ceの酸化物換算量は高いほど好ましいが、Ceの酸化物換算量が90質量%以上になると研磨力に顕著な向上が見られ難くなる。よって本発明のセリウム系研磨材は、実用的にはCeを酸化物換算量で、35質量%から90質量%の範囲内で含むのが好ましい。
酸化セリウムを主成分とする研磨材の製造方法としては既知の方法でもよい。そのうちセリウムを主成分として含む希土塩を出発原料として精製された酸化セリウムを主に含むものが望ましい。希土塩は、天然に存在するセリウム、ランタン、プラセオジム及びネオジムを含む希土精鉱を粉砕した後、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を化学的に分離除去して、これらの含有量が低減されたセリウムを主成分とする軽稀土類化合物の一種として利用される。希土塩を出発原料として酸化セリウムを主として含む研磨材を得るには、電気炉等を用いて約500℃から約1200℃の間の温度で焼成を行い、さらに焼成粉を粉砕して得ることが出来る。研磨材の二次粒子平均径は0.1μmから1μmの間が望ましい。0.1μmを下回ると十分な研磨レートを得ることが困難になる。逆に1μmを越えると、スクラッチが増加する可能性が高くなる。
本発明のペースト製造法は、例えば、酸化セリウムを主成分とする研磨材のスラリーを原料とし、界面活性剤を用いてスラリーをフロック化したのち、沈降分級(例えば、静置分級・遠心分級)により上澄みを除去して濃縮する方法および中空糸タイプのマイクロフィルターで濾過分離して濃縮する方法が適当である。高い固形分濃度のスラリーに高濃度の界面活性剤を添加・混合する方法では均一に混合され高流動性を備えたペーストは容易に得られないが、低い固形分濃度のスラリー状態で界面活性剤を添加して混合することで界面活性剤が均一に混合(研磨材表面が被覆されると考えられる)されたスラリーを形成した後で、上記の方法で濃縮した場合には、高固形分濃度でありながら、高流動性の高品質ペーストを容易に得ることができる。本発明の高流動性ペーストは高固形分濃度のペーストでありながら、粒子の分散(分布)が極めて均一であり、かつ、流動性を有するという特徴を有する。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性イオン界面活性剤が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。中でも、本発明においては、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が好ましく、高分子型アニオン系界面活性剤が特に好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩(例えば、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等)、スルホン酸塩(例えば、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等)、硫酸エステル塩(例えば、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等)、燐酸エステル塩(例えば、アルキル燐酸塩、アルキルエーテル燐酸塩、アルキルアリルエーテル燐酸塩等)から選ばれ、低分子の化合物や高分子化合物も含まれる。ここで、塩としては、例えば、Li、Na、K、Rb等のアルカリ金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
例えば、石鹸としては、炭素数が12乃至18の脂肪酸塩であり、一般には脂肪酸基としては、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、N−アシルアミノ酸塩としては、炭素数が12乃至18のN−アシル−N−メチルグリシン塩やN−アシルグルタミン酸塩が挙げられる。アルキルエーテルカルボン酸塩としては、炭素数が6乃至18の化合物が挙げられ、アシル化ペプチドとしては、炭素数が12乃至18の化合物が挙げられる。スルホン酸塩としては、炭素数が6乃至18の前記化合物が挙げられ、例えばアルカンスルホン酸では、ラウリルスルホン酸、ジオクチルサクシンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ミリスチルスルホン酸、ケリルベンゼンスルホン酸、ステアリルスルホン酸等が挙げられる。硫酸エステル塩としては、炭素数が6乃至18の前記化合物が挙げられ、例えばラウリル硫酸、ジオクチルサクシン硫酸、ミリスチル硫酸、ステアリル硫酸等のアルキル硫酸塩、燐酸エステル塩としては、炭素数が8乃至18の前記化合物が挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
さらには前記アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤以外にフッ素系界面活性剤も使用できる。
高分子型アニオン系界面活性剤には、ポリカルボン酸型界面活性剤が挙げられ、好ましくは数平均分子量500〜20000のポリカルボン酸型界面活性剤(例えば花王(株)製、商品名:ポイズ530および日本油脂(株)製、商品名:ポリスターA1060)である。
これらの界面活性剤は、研磨材100質量部に対して、1質量部から30質量部の範囲内であることが一般的に好ましく、特に好ましくは2質量部から15質量部の範囲である。1質量部未満では研磨時に基板面への粒子付着が多くなることがあり、30質量部より多いと研磨速度が低下することがある。
さらに本発明のセリウム系研磨材ペーストには、上記界面活性剤以外に、安定性向上を図るために、必要に応じてトリポリリン酸塩のような分散剤、ヘキサメタリン酸塩等のリン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤の添加量は、研磨材に対して、0.05質量%から20質量%の範囲内であることが一般的に好ましく、特に好ましくは0.1質量%から10質量%の範囲である。
本発明の研磨材ペーストのpHは、希釈して研磨時に使用する研磨材スラリーにした後で行なう研磨に適したpHになることが好ましい。
本発明の研磨材ペーストは、希釈し簡単に攪拌するだけで、適当な濃度の研磨材スラリーを容易に作成することが可能である。本発明の研磨材ペーストは従来のスラリーのように容易に沈降固化しないので、再懸濁化に手間取るということがない。しかも高濃度であるから運搬及び保管においてコストがかからず有利である。本発明のペーストに用いた廃容器の回収においても同様の理由で有利である。この場合、容器としてフレキシブル容器を用いると、回収時に体積をより小さく縮少することができ、さらに好ましい。
本発明の研磨材ペーストは典型的には水その他の溶媒で希釈して研磨時に使用する研磨材スラリーとするが、その際、適当な添加剤をさらに添加してもよい。
本発明による研磨材ペーストは酸化セリウムを主成分とする研磨材を高濃度で含むと同時に優れた品質安定性や流動性を有することにより、工業的に極めて取扱いのしやすい高品質流動性研磨材ペーストを提供するものである。
本発明は、酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含むペーストに関する。固形分濃度が30質量%を下回ると水分が増えることによる物流上の問題等が生じる。一方95質量%を超えると流動性が低いペーストまたは粉状となり取扱いがしにくくなる。
本発明は、酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含む流動性研磨材ペーストであって、流動性研磨材ペーストを均一に混合し静置したペーストの表面明度の変化率が10%/時以下(好ましくは6%/時以下、さらに好ましくは4%/時以下)である流動性研磨材ペーストが存在し得ることを見出し、かつ、この流動性研磨材ペーストを用いることにより前述した取扱いに関する問題が解決されることを確認し、完成されたものである。
ここで静置とは、酸化セリウムを主成分とする流動性研磨材ペーストに震とう、振動、撹拌、反転、対流等の重力を除く外力が実質的に一切加わっていない状態を指す。また、均一に混合されているかどうかは、例えば、透明容器に入れたペーストでは、その底面、上面、側面等の表面明度に差がないことを確認すればよい。ペースト表面明度は、市販の一般的な分光反射率計や色差計あるいはカラーテスター等の測定器を用いて測定可能な光学特性である。例えば、ペーストを底面、上面、側面を有する透明な容器に入れて、その底面、上面、側面の代表的な位置で表面明度を測定すればよい。ペーストを入れて測定する容器は、透明度の高いガラスやプラスチックス素材で構成される透明な容器が好ましい。容器の大きさ、形やペーストの充填量は、用いる測定器で測定可能な大きさ、形及び量であればよい。表面明度の差は、ペーストを静置直後の表面明度を基準(100%)として、底面、上面及び側面の表面明度を所定時間(例えば、1時間)経過後に測定して、基準との差を求める。測定部分により測定値が異なる場合は、表面明度の差が最も大きい部分の測定値を用いればよい。なお、本発明では、単位時間当りの表面明度の差を表面明度の変化率とした。
表面明度の変化率は、研磨材の取り扱いのしやすさの指標として好ましく用いることができる。例えば、表面明度の変化率が10%/時以下であれば、超音波による分散装置などを必要とせず、簡単な撹拌で再懸濁が可能である。表面明度の変化率がより少なければ容易に再懸濁をすることができる。
本発明に用いる酸化セリウムを主成分とする研磨材として酸化セリウム以外の他の物質、例えば、ランタン(La)、ネジオム(Nd)、プラセオジム(Pr)またはこれらの酸化物等を含んでもよい。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、一次粒子径を好ましくは、40nmから80nmの範囲内、より好ましくは、50nmから70nmの範囲内とする。
セリウム系研磨材の、一次粒子径の測定は、X線回折ピークの半価幅からの結晶子径の計算式(Scherrerの式)により行う。すなわち、ε=0.9λ/β1/2/cosθ〔式中、ε :一次粒子径λ :測定X線波長(オングストローム)β1/2 :回折線の半価幅(ラジアン)〕の式により一次粒子径を決定する。なお、セリウム系研磨材の一次粒子径の決定には、2θ=28度〜28.4度付近に現れる、酸化セリウムに起因するX線回折ピークを用いる。
セリウム系研磨材の一次粒子径が10nmより小さくなると、一般に機械的な研磨力が弱くなり、十分な研磨速度が得られ難くなる。またセリウム系研磨材の一次粒子径が80nmより大きくなると研磨材を構成する粒子が、硬くて大きな結晶となるため、研磨面にスクラッチが発生しやすくなる。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、比表面積を好ましくは1m2/gから50m2/gの範囲内、より好ましくは、2m2/gから20m2/gの範囲内とする。研磨材の比表面積が1m2/gより狭くなると研磨面にスクラッチが発生し易くなり、また研磨材の比表面積が50m2/gより広くなると研磨速度が低下する。なお、セリウム系研磨材の、比表面積の測定には、BET法を用いるのが好ましい。
本発明に用いるセリウム系研磨材は、酸化セリウムを主成分とするものである。ここで酸化セリウムを主成分とは、セリウム(Ce)を酸化物(CeO2)換算で35質量%以上、より好ましくは45質量%以上含むことをいう。Ceの酸化物換算量が35質量%より低くなると、十分な研磨速度が得られ難くなる。Ceの酸化物換算量は高いほど好ましいが、Ceの酸化物換算量が90質量%以上になると研磨力に顕著な向上が見られ難くなる。よって本発明のセリウム系研磨材は、実用的にはCeを酸化物換算量で、35質量%から90質量%の範囲内で含むのが好ましい。
酸化セリウムを主成分とする研磨材の製造方法としては既知の方法でもよい。そのうちセリウムを主成分として含む希土塩を出発原料として精製された酸化セリウムを主に含むものが望ましい。希土塩は、天然に存在するセリウム、ランタン、プラセオジム及びネオジムを含む希土精鉱を粉砕した後、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を化学的に分離除去して、これらの含有量が低減されたセリウムを主成分とする軽稀土類化合物の一種として利用される。希土塩を出発原料として酸化セリウムを主として含む研磨材を得るには、電気炉等を用いて約500℃から約1200℃の間の温度で焼成を行い、さらに焼成粉を粉砕して得ることが出来る。研磨材の二次粒子平均径は0.1μmから1μmの間が望ましい。0.1μmを下回ると十分な研磨レートを得ることが困難になる。逆に1μmを越えると、スクラッチが増加する可能性が高くなる。
本発明のペースト製造法は、例えば、酸化セリウムを主成分とする研磨材のスラリーを原料とし、界面活性剤を用いてスラリーをフロック化したのち、沈降分級(例えば、静置分級・遠心分級)により上澄みを除去して濃縮する方法および中空糸タイプのマイクロフィルターで濾過分離して濃縮する方法が適当である。高い固形分濃度のスラリーに高濃度の界面活性剤を添加・混合する方法では均一に混合され高流動性を備えたペーストは容易に得られないが、低い固形分濃度のスラリー状態で界面活性剤を添加して混合することで界面活性剤が均一に混合(研磨材表面が被覆されると考えられる)されたスラリーを形成した後で、上記の方法で濃縮した場合には、高固形分濃度でありながら、高流動性の高品質ペーストを容易に得ることができる。本発明の高流動性ペーストは高固形分濃度のペーストでありながら、粒子の分散(分布)が極めて均一であり、かつ、流動性を有するという特徴を有する。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性イオン界面活性剤が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。中でも、本発明においては、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が好ましく、高分子型アニオン系界面活性剤が特に好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩(例えば、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等)、スルホン酸塩(例えば、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等)、硫酸エステル塩(例えば、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等)、燐酸エステル塩(例えば、アルキル燐酸塩、アルキルエーテル燐酸塩、アルキルアリルエーテル燐酸塩等)から選ばれ、低分子の化合物や高分子化合物も含まれる。ここで、塩としては、例えば、Li、Na、K、Rb等のアルカリ金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
例えば、石鹸としては、炭素数が12乃至18の脂肪酸塩であり、一般には脂肪酸基としては、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、N−アシルアミノ酸塩としては、炭素数が12乃至18のN−アシル−N−メチルグリシン塩やN−アシルグルタミン酸塩が挙げられる。アルキルエーテルカルボン酸塩としては、炭素数が6乃至18の化合物が挙げられ、アシル化ペプチドとしては、炭素数が12乃至18の化合物が挙げられる。スルホン酸塩としては、炭素数が6乃至18の前記化合物が挙げられ、例えばアルカンスルホン酸では、ラウリルスルホン酸、ジオクチルサクシンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ミリスチルスルホン酸、ケリルベンゼンスルホン酸、ステアリルスルホン酸等が挙げられる。硫酸エステル塩としては、炭素数が6乃至18の前記化合物が挙げられ、例えばラウリル硫酸、ジオクチルサクシン硫酸、ミリスチル硫酸、ステアリル硫酸等のアルキル硫酸塩、燐酸エステル塩としては、炭素数が8乃至18の前記化合物が挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
さらには前記アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤以外にフッ素系界面活性剤も使用できる。
高分子型アニオン系界面活性剤には、ポリカルボン酸型界面活性剤が挙げられ、好ましくは数平均分子量500〜20000のポリカルボン酸型界面活性剤(例えば花王(株)製、商品名:ポイズ530および日本油脂(株)製、商品名:ポリスターA1060)である。
これらの界面活性剤は、研磨材100質量部に対して、1質量部から30質量部の範囲内であることが一般的に好ましく、特に好ましくは2質量部から15質量部の範囲である。1質量部未満では研磨時に基板面への粒子付着が多くなることがあり、30質量部より多いと研磨速度が低下することがある。
さらに本発明のセリウム系研磨材ペーストには、上記界面活性剤以外に、安定性向上を図るために、必要に応じてトリポリリン酸塩のような分散剤、ヘキサメタリン酸塩等のリン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤の添加量は、研磨材に対して、0.05質量%から20質量%の範囲内であることが一般的に好ましく、特に好ましくは0.1質量%から10質量%の範囲である。
本発明の研磨材ペーストのpHは、希釈して研磨時に使用する研磨材スラリーにした後で行なう研磨に適したpHになることが好ましい。
本発明の研磨材ペーストは、希釈し簡単に攪拌するだけで、適当な濃度の研磨材スラリーを容易に作成することが可能である。本発明の研磨材ペーストは従来のスラリーのように容易に沈降固化しないので、再懸濁化に手間取るということがない。しかも高濃度であるから運搬及び保管においてコストがかからず有利である。本発明のペーストに用いた廃容器の回収においても同様の理由で有利である。この場合、容器としてフレキシブル容器を用いると、回収時に体積をより小さく縮少することができ、さらに好ましい。
本発明の研磨材ペーストは典型的には水その他の溶媒で希釈して研磨時に使用する研磨材スラリーとするが、その際、適当な添加剤をさらに添加してもよい。
本発明による研磨材ペーストは酸化セリウムを主成分とする研磨材を高濃度で含むと同時に優れた品質安定性や流動性を有することにより、工業的に極めて取扱いのしやすい高品質流動性研磨材ペーストを提供するものである。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例、比較例の結果を表1、2に示した。
実施例1
市販の粗炭酸希土粉末(灼熱減量:55.8%)を400kg用い、箱形電気炉で焼成を行った。焼成条件は昇温速度を1.7℃/分、焼成温度は900℃で保持時間を2時間とした。焼成後の粉末中に含まれる元素を分析した結果、希土類の含有率が99質量%であり、そのうちに含まれる酸化セリウム含量は60質量%であった。また得られた焼成粉の比表面積をBET法の比表面積測定装置で評価したところ、10m2/gであった。焼成して得られた粉末100kgを純水150kg中に投入し攪拌を行った。さらに分散剤としてアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を2kg添加し(焼成粉に対して2質量%)攪拌を行った。得られたスラリーを湿式粉砕機に通して循環しながら8時間湿式粉砕処理をした。その後、精密分級により粗大粒子を除去処理した。処理後のスラリーに純水を添加して20質量%の分級スラリーを500kg得た。
スラリーの温度及びpHを測定した結果、液温20.5℃でpH12.1であった。また、電気伝導度は3.5mS/cmであった。
スラリーの一部を用い、レーザー回折式粒度分布測定器(CILAS社製HR850)でスラリー中の粒子の粒度分布の測定を行った結果、体積換算50%累積径(D50)は0.55μm、体積換算の90%累積径(D90)は0.7μmであり、体積換算の90%累積粒子径に対する50%累積粒子径の比の値(D90/D50)は1.3であった。
次いで、上記方法で得られた分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後72時間静置し生成した上澄み液を除去してスラリーを濃縮し、流動性研磨材ペーストを得た。このペーストの一部を用い乾燥法で固形分濃度を測定した結果、53質量%であった。このペーストの一部を1リットルの透明なシール用プラスチックフィルム袋にほぼ満充填しクリップシーラーで袋の口をシールした。容器ごと振盪し、均一化して静置した直後及び1時間後に色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−210型)でペースト包装容器の静置された状態を基準として上部、側面、底面の各部分の明度を測定した。
次いで、上記方法で得られた流動性研磨材ペーストを用い、以下に示す条件で研磨試験を行った。研磨機は4ウエイタイプ両面研磨機(不二越機械工業(株)製5B型)を用い、研磨パッドはスウエードタイプ(ロデール製、ポリテックスDG)を用いた。スラリー中の固形分濃度は15質量%、スラリー供給速度は60ml/分、下定盤回転数は90rpm、加工圧力75g/cm2、研磨時間10分で実施した。
被加工物としては、あらかじめ市販の酸化セリウム系研磨材(東北金属化学(株)製SHOROX H−1)で研磨した2.5インチのアルミノシリケートを主成分とする強化ガラス基板(平均表面粗さRa=9Å)を用いた。
研磨後のガラスディスクを研磨機より取り出し、純水による超音波洗浄を行い、乾燥して以下の評価を行った。
(1)ディスク表面粗さ:Ra
接触式表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製タリステップ、タリデータ2000)を用いて平均表面粗さRaを測定した結果、Raが4.2Åであった。
(2)ディスク表面欠陥
表面欠陥は微分干渉顕微鏡を用いて、粒子の付着、ピット、スクラッチについて観察を行いスクラッチは相対本数で、その他の表面欠陥はその有無で評価を行った。
また、研磨前後でのディスクの質量変化から研磨レートを求めた結果、0.64μm/分であった。
実施例2〜3
湿式粉砕機での運転時間を延長して到達粒度分布が異なる分級スラリーを用いた以外は、実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。分級スラリー中の粒子の粒度分布は、D50、D90、D90/D50の順に、0.49μm、0.6μm、1.2(実施例2)及び0.36μm、0.5μm、1.4(実施例3)であった。
実施例4〜6
分級スラリー100kgに添加する界面活性剤の量を4.4kg(実施例4)、6.8kg(実施例5)、11.6kg(実施例6)とした以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。
実施例7
実施例1において、濃縮方法を変えた以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。濃縮方法は、分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後、横型連続式遠心分離機(H−800B型、株式会社コクサン製)で遠心分離して濃縮スラリーを得た。そのときの濃縮条件は、回転数6300rpm,遠心力2523G,スラリー供給速度7.8リットル/時であった。
実施例8
実施例1において、濃縮方法を変えた以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。濃縮方法は、分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(日本油脂(株)製ポリスターA1060)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後、中空糸タイプのマイクロフィルター(旭化成工業(株)製マイクローザMF)で濾過分離して濃縮し、流動性研磨材ペーストを得た。そのときの濃縮条件は、スラリー供給速度5500リットル/時、濾液抜出速度180リットル/時であった。
比較例1
実施例1と同様に、分級スラリーの一部をシール用フィルム袋に充填しクリップシーラーで袋の口をシールした。容器ごと振盪し均一化して静置した直後及び1時間後に色彩色差計でペースト包装容器の静置された状態を基準にして上部、側面、底面の各部分の明度を測定した。また、この分級スラリーを用いて研磨評価を行った。
実施例9
実施例1〜8で得られた流動性研磨材ペースト及び比較例1の分級スラリーをそれぞれ1Lのビーカーに500ml入れ、2日間静置した。これをマグネチックスターラーで各試料とも同様な撹拌となるように撹拌した。撹拌の様子を1分おきに観察し、沈殿塊が消失した時間を再懸濁に要した時間とした。
実施例1
市販の粗炭酸希土粉末(灼熱減量:55.8%)を400kg用い、箱形電気炉で焼成を行った。焼成条件は昇温速度を1.7℃/分、焼成温度は900℃で保持時間を2時間とした。焼成後の粉末中に含まれる元素を分析した結果、希土類の含有率が99質量%であり、そのうちに含まれる酸化セリウム含量は60質量%であった。また得られた焼成粉の比表面積をBET法の比表面積測定装置で評価したところ、10m2/gであった。焼成して得られた粉末100kgを純水150kg中に投入し攪拌を行った。さらに分散剤としてアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を2kg添加し(焼成粉に対して2質量%)攪拌を行った。得られたスラリーを湿式粉砕機に通して循環しながら8時間湿式粉砕処理をした。その後、精密分級により粗大粒子を除去処理した。処理後のスラリーに純水を添加して20質量%の分級スラリーを500kg得た。
スラリーの温度及びpHを測定した結果、液温20.5℃でpH12.1であった。また、電気伝導度は3.5mS/cmであった。
スラリーの一部を用い、レーザー回折式粒度分布測定器(CILAS社製HR850)でスラリー中の粒子の粒度分布の測定を行った結果、体積換算50%累積径(D50)は0.55μm、体積換算の90%累積径(D90)は0.7μmであり、体積換算の90%累積粒子径に対する50%累積粒子径の比の値(D90/D50)は1.3であった。
次いで、上記方法で得られた分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後72時間静置し生成した上澄み液を除去してスラリーを濃縮し、流動性研磨材ペーストを得た。このペーストの一部を用い乾燥法で固形分濃度を測定した結果、53質量%であった。このペーストの一部を1リットルの透明なシール用プラスチックフィルム袋にほぼ満充填しクリップシーラーで袋の口をシールした。容器ごと振盪し、均一化して静置した直後及び1時間後に色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−210型)でペースト包装容器の静置された状態を基準として上部、側面、底面の各部分の明度を測定した。
次いで、上記方法で得られた流動性研磨材ペーストを用い、以下に示す条件で研磨試験を行った。研磨機は4ウエイタイプ両面研磨機(不二越機械工業(株)製5B型)を用い、研磨パッドはスウエードタイプ(ロデール製、ポリテックスDG)を用いた。スラリー中の固形分濃度は15質量%、スラリー供給速度は60ml/分、下定盤回転数は90rpm、加工圧力75g/cm2、研磨時間10分で実施した。
被加工物としては、あらかじめ市販の酸化セリウム系研磨材(東北金属化学(株)製SHOROX H−1)で研磨した2.5インチのアルミノシリケートを主成分とする強化ガラス基板(平均表面粗さRa=9Å)を用いた。
研磨後のガラスディスクを研磨機より取り出し、純水による超音波洗浄を行い、乾燥して以下の評価を行った。
(1)ディスク表面粗さ:Ra
接触式表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製タリステップ、タリデータ2000)を用いて平均表面粗さRaを測定した結果、Raが4.2Åであった。
(2)ディスク表面欠陥
表面欠陥は微分干渉顕微鏡を用いて、粒子の付着、ピット、スクラッチについて観察を行いスクラッチは相対本数で、その他の表面欠陥はその有無で評価を行った。
また、研磨前後でのディスクの質量変化から研磨レートを求めた結果、0.64μm/分であった。
実施例2〜3
湿式粉砕機での運転時間を延長して到達粒度分布が異なる分級スラリーを用いた以外は、実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。分級スラリー中の粒子の粒度分布は、D50、D90、D90/D50の順に、0.49μm、0.6μm、1.2(実施例2)及び0.36μm、0.5μm、1.4(実施例3)であった。
実施例4〜6
分級スラリー100kgに添加する界面活性剤の量を4.4kg(実施例4)、6.8kg(実施例5)、11.6kg(実施例6)とした以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。
実施例7
実施例1において、濃縮方法を変えた以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。濃縮方法は、分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(花王ポイズ530)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後、横型連続式遠心分離機(H−800B型、株式会社コクサン製)で遠心分離して濃縮スラリーを得た。そのときの濃縮条件は、回転数6300rpm,遠心力2523G,スラリー供給速度7.8リットル/時であった。
実施例8
実施例1において、濃縮方法を変えた以外は実施例1と同様な方法で研磨スラリーを製造し、評価を行った。濃縮方法は、分級スラリー100kgにアニオン系の界面活性剤(日本油脂(株)製ポリスターA1060)を3.6kg添加し(焼成粉に対して18質量%)攪拌を行った。その後、中空糸タイプのマイクロフィルター(旭化成工業(株)製マイクローザMF)で濾過分離して濃縮し、流動性研磨材ペーストを得た。そのときの濃縮条件は、スラリー供給速度5500リットル/時、濾液抜出速度180リットル/時であった。
比較例1
実施例1と同様に、分級スラリーの一部をシール用フィルム袋に充填しクリップシーラーで袋の口をシールした。容器ごと振盪し均一化して静置した直後及び1時間後に色彩色差計でペースト包装容器の静置された状態を基準にして上部、側面、底面の各部分の明度を測定した。また、この分級スラリーを用いて研磨評価を行った。
実施例9
実施例1〜8で得られた流動性研磨材ペースト及び比較例1の分級スラリーをそれぞれ1Lのビーカーに500ml入れ、2日間静置した。これをマグネチックスターラーで各試料とも同様な撹拌となるように撹拌した。撹拌の様子を1分おきに観察し、沈殿塊が消失した時間を再懸濁に要した時間とした。
本発明による流動性研磨材ペーストは、酸化セリウムを主成分とする研磨材を高濃度で含むと同時に優れた品質安定性や流動性を有するので、工業的に極めて取扱いのしやすい流動性研磨材ペーストである。
Claims (15)
- 酸化セリウムを主成分とする研磨材を固形分濃度として30〜95質量%含み、かつ、表面明度の変化率が10%/時以下であることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
- 表面明度の変化率が、6%/時以下である請求項1に記載の流動性研磨材ペースト。
- 界面活性剤を研磨材100質量部に対して1〜30質量部含む請求項1または2のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である請求項3に記載の流動性研磨材ペースト。
- 研磨材がセリウムを酸化物換算で35〜90質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 研磨材の固形分濃度が50〜90質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 研磨材の平均一次粒子径が10〜80nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 研磨材の比表面積が1〜50m2/gである請求項1〜7のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 研磨材の平均二次粒子径が0.1〜1μmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペースト。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の研磨材ペーストがフレキシブル容器に充填されていることを特徴とする流動性研磨材ペースト。
- 請求項10に記載の研磨材ペーストに用いた容器を、体積を縮少して回収する研磨材ペースト廃容器の回収方法。
- 酸化セリウムを主成分とする研磨材のスラリーに界面活性剤を添加しフロックを形成させたのち、濃縮することにより固形分濃度を30〜95質量%の範囲にすることを特徴とする流動性研磨材ペーストの製造方法。
- 界面活性剤が、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である請求項12に記載の高品質流動性研磨材ペーストの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の流動性研磨材ペーストを希釈することを特徴とする研磨材スラリーの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の研磨材ペーストを用いる基板の研磨方法。
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