JP5256832B2 - 研磨剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は研磨剤及びその製造方法に関し、特に半導体絶縁膜の研磨に好適な研磨剤及びその製造方法に関する。
素材表面を精密に研磨加工することが必要な用例として光ディスク基板、磁気ディスク、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、時計板、カメラレンズ、光学部品用の各種レンズに用いられるガラス素材やフィルタ類などの結晶素材、半導体用のシリコンウエハ等の基板、半導体デバイス製造の各工程において形成された絶縁膜、金属層、バリア層等がある。これらの素材表面は高精度に研磨することが要求される。このために例えばシリカ、酸化ジルコニウム、アルミナ等を単独で又は二種類以上を組み合わせて研磨粒子として用いる研磨剤が一般的に用いられている。研磨剤の形態としては、例えば研磨粒子を液体中に分散させてスラリー状にしたものや、研磨粒子を樹脂その他の結着剤とともに固めたもの、研磨粒子を繊維、樹脂、金属等の基材表面に微粒子のみで結着剤と共に、付着及び/又は固定したものを研磨剤として用いるのが一般的である。
シリカ微粒子を研磨粒子として用いたシリカ研磨剤は被研磨面のスクラッチ発生などが少ないことから広く半導体集積回路(以下、半導体という。)の製造における配線形成等の精密研磨用研磨剤として普及している。しかし、高集積化のために半導体の配線幅が狭くなるにつれ、研磨後の平坦性が悪化するという問題がある。このため近年、平坦性に優れる酸化セリウムを含む酸化セリウム研磨剤が注目されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
酸化セリウム研磨剤は、古くからガラス研磨用に用いられてきたが、半導体平坦化に適用するためには不純物混入を極力避ける必要があった。そこで、希土類原料を一旦精製し、セリウム塩を経由して、高純度の酸化セリウムを得ている。セリウム塩としては炭酸セリウム、蓚酸セリウム、硝酸セリウム等が用いられる。これらのセリウム塩を仮焼、粉砕した酸化セリウムを分散して、半導体平坦化用研磨剤が製造されている。しかし、酸化セリウム研磨剤はシリカ研磨剤と比較してスクラッチの発生が多いという課題がある。スクラッチの発生が多い理由として、酸化セリウム研磨剤はシリカ研磨剤よりも平均粒子径が大きいことが考えられる。
スクラッチの発生を減少させるためには大きな粒子の含有量を低減することが有効である。そこで、原料としての研磨粒子の粒子径、すなわち水系分散体とする前の粒子径を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観測し、大きな粒子の含有量を低減することによってスクラッチの発生を減少させる技術は、研磨粒子の種類に限らず多数開示されている。しかしながら、一般に微少粒子の存在状態又は凝集状態は、乾燥時、水系分散体としての分散時及び水系分散体から固形分を採取して乾燥した時など形態によって、それぞれ異なるものである。そして、原料から粗大な粒子を除くだけでは、スクラッチの発生を充分に低減することは難しい。そこで、例えば、特許文献3の段落番号[0020]に記載されるように、水系分散体に分散された状態の研磨粒子径に着目し、レーザー回折式粒度分布計で研磨液における粒子の最大粒子径を測定し、1μm超のものが含まれないようにすることで研磨キズを低減する技術が開示されている。
従来は、このようにマスターサイザ(マルバーン インストルメンツ社製商品名)等のレーザー回折式粒度分布計で測定して粒子の最大粒子径を小さくすることによってスクラッチの発生を防止していた。しかし、前記粒度分布計で検出される最大粒子径を小さくしても、スクラッチの発生を防止するには限界があり、また、研磨速度が低下するため、生産効率が低下し、昨今の半導体の集積化への対応が困難であった。
特開2000−26840号公報 特開2002−371267号公報 特開平10−154673号公報
本発明の目的は、絶縁膜等の被研磨面を高速に、かつ、スクラッチの発生を低減しつつ精密に研磨することが可能な研磨剤及びその製造方法を提供することである。
上記したように、水系分散体としての分散時の研磨粒子の粒子径を測定し、その最大粒子径を小さくしてもスクラッチの発生を抑制することには限界がある理由として、次のような要因があると推定した。
要因1:微少粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したとき、レーザー光をほとんど回折させないので、他の大きさの粒子と併存している環境下では観測されにくい。一方で、一般に微少粒子は、その粒子径が小さくなるほど凝集しやすくなる。通常は分散剤等を添加することによって粒子の凝集が起こらないようにしているが、何らかのきっかけにより粒子の凝集が始まると粒径の大きな凝集体、言い換えれば大きな二次粒子径を有する凝集体になるため、粗大粒子を除くだけではスクラッチ低減効果が充分でない。
要因2:一般に、粗大粒子は濾過によって除去するが、工業用のフィルタで大量に濾過を行った場合、微量ではあるものの粗大粒子がフィルタを透過してしまい、スクラッチ発生の原因となる。
上記要因1について確認するために、レーザー回折式粒度分布計で測定したときに図1(模式図)のような粒度分布のチャートを示す研磨粒子を水に分散させたスラリーに対し、粒子径がAより小さい微少粒子を追加してなるスラリーを再度レーザー回折式粒度分布計で測定した。このとき、両者の粒度分布のチャートにはほとんど差が見られなかった。一方、上記の粒径がAより小さい微少粒子のみを水に分散させたスラリーについて同様にレーザー回折式粒度分布計で測定すると、図2(模式図)のような粒度分布のチャートを得ることができた。
従って、粒子径がA〜Bの範囲にある研磨粒子を使用したときに好ましい研磨特性が得られると仮定した場合、従来の方法では、粒子径がA〜Bの範囲にある研磨粒子を所定量使用したつもりであっても、実際には粒子径がA〜Bの範囲にある粒子の存在量は少ないこととなる。そこで、粒子径がA〜Bの範囲にある粒子の存在量を上げるために、研磨粒子そのものの添加量を増やすと、分散性が悪くなったり、粗大粒子の影響が大きくなってかえってスクラッチが増えたりする。
本発明者らは鋭意検討した結果、分級作業によって大きい粒子と小さい粒子を除去することによって、研磨特性に有効な粒子径を有する研磨粒子の存在量を上げた研磨剤、好ましくは有効な粒子径を有する研磨粒子のみを含有する研磨剤を得られることを見出した。
すなわち、本発明は、(1)酸化セリウム、分散剤及び水を含む研磨剤であって、
前記酸化セリウムの濃度が0.5重量%である研磨剤を用いて、液温25℃、遠心力2090G、液粘度0.9mPa・s、沈降距離が60mmの条件で、
2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以下であり、
10分間遠心分離した時の酸化セリウム沈降率が50重量%以上であることを特徴とする研磨剤に関する。
また、本発明は、(2)前記研磨剤中に含まれる酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD50体積%の粒子径が、150〜400nmである前記(1)記載の研磨剤に関する。
また、本発明は、(3)前記研磨剤中に含まれる酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD99体積%の粒子径が、1μm以下である前記(1)又は(2)に記載の研磨剤に関する。
また、本発明は、(4)D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程、
前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程、
前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程、
前記採取した液体部分を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程及び、
前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程
を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法に関する。
また、本発明は、(5)D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程、
前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程、
前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程、
前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散液を調製し、分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程及び、
前記採取した液体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程
を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法に関する。
また、本発明は、(6)前記粉砕する工程で用いる酸化セリウムは、セリウム化合物を焼成して得られるものであることを特徴とする前記(4)又(5)に記載の研磨剤の製造方法に関する。
また、本発明は、(7)前記分散処理を行う工程に引き続き、得られた分散液を最小孔径が0.5〜3.0μmのデプスフィルターを用いて1回以上ろ過する工程を含むことを特徴とする前記(4)〜(6)のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法に関する。
本発明によれば、絶縁膜等の被研磨面を高速に、かつ、スクラッチの発生を低減しつつ精密に研磨することが可能な研磨剤及びその製造方法を提供することができる。
本発明の研磨剤は、酸化セリウム、分散剤及び水を含む研磨剤であって、前記酸化セリウムの濃度が0.5重量%である研磨剤を用いて、液温25℃、遠心力2090G、液粘度0.9mPa・s、沈降距離が60mmの条件で、2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以下であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウム沈降率が50重量%以上であることを特徴とする。
本発明の研磨剤は、酸化セリウム、分散剤及び水を含むものであり、各成分について以下に説明する。
(酸化セリウム)
本発明の研磨剤で用いる酸化セリウムは、その製造方法を限定するものではないが、例えば、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、しゅう酸塩のセリウム化合物を焼成することによって得られる。焼成温度は400〜900℃が好ましく、700〜900℃がより好ましい。焼成して得られる酸化セリウムは通常凝集しているため、機械的に粉砕することが好ましい。粉砕方法として、ジェットミル、ボールミル等の乾式粉砕、ビーズミル、ボールミル等の湿式粉砕で粉砕することができる。ジェットミルは、例えば化学工業論文集第6巻第5号(1980)527〜532頁に説明されている。
酸化セリウム粒子の一次粒子径の平均値は、5〜300nmであることが好ましい。TEOS−CVD法等で形成される酸化珪素膜の研磨に使用する場合、酸化セリウム粒子の一次粒子径の平均値を上記範囲とすることで、本発明の効果をより高めることができる。ここで一次粒子とは、SEM(走査型電子顕微鏡)で測定して観察される最小単位の粒径を指し、粒子が多結晶体である場合には、粒界に囲まれた結晶子に相当する粒子のことをいう。
本発明の研磨剤中に分散している酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD50体積%の粒子径が、150〜400nmであることが好ましい。前記酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150nm以上であれば、良好な研磨速度を得られ易くなり、400nm以下であれば被研磨面におけるスクラッチの発生を抑制し易くなる。前記酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径は、より良好な研磨速度を得るという観点から、200nm以上であることがより好ましく、240nm以上であることが特に好ましく、また、スクラッチの発生をより抑制し易くするという観点から、300nm以下であることがより好ましく、280nm以下であることが特に好ましい。
本発明の研磨剤中に分散している酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD99体積%の粒子径が、1μm以下であることが好ましい。前記酸化セリウム粒子のD99体積%の粒子径が1μm以下であれば、被研磨面におけるスクラッチの発生を抑制し易くなる。前記酸化セリウム粒子のD99体積%の粒子径は、スクラッチの発生をより抑制し易くするという観点から、800nm以下であることがより好ましく、700nm以下であることが特に好ましく、また、良好な研磨速度を得るという観点から、400nm以上であることがより好ましく、500nm以上であることが特に好ましい。
本発明の研磨剤においては、研磨剤中に分散している酸化セリウム粒子は二次粒子を形成しているので、前記D50体積%の粒子径及びD99体積%の粒子径は二次粒子に関する粒子径である。
上記D50体積%の粒子径は、体積粒子径分布の中央値であり粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していき50%になったときの粒子径を意味する。すなわち、ある区間Δの粒子径の範囲に体積割合Vi%の量の粒子が存在するとき、区間Δの平均粒子径をdiとすると粒子径diの粒子がVi体積%存在するとする。粒子径diの小さい方から粒子の存在割合VI(体積%)を積算していき、Vi=50%になったときのdiをD50体積%の粒子径とする。また、Vi=99%になったときのdiをD99体積%の粒子径とする。
研磨剤中の酸化セリウム粒子のD50体積%及びD99体積%は、レーザー回折式粒度分布計、例えば、堀場製作所社製 LA−920を用いて測定することができる。粒度分布を測定する際、粒子を含む液を0.01ml〜5ml程度量り取って測定する。
研磨剤中の酸化セリウム粒子の濃度は特に制限はないが、研磨剤の取り扱いやすさから、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
(分散剤)
本発明の研磨剤で用いる分散剤は、研磨剤を半導体絶縁膜の研磨に使用する場合は、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びハロゲン、イオウなどの含有率が10ppm以下であることが好ましい。分散剤は研磨後にウエハを純水で洗浄する際に除去され易いことが好ましく、水溶性のものが賞用される。分散剤としては、例えば、アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子類、ラウリル硫酸アンモニウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の水溶性陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びポリエチレングリコールモノステアレート等の水溶性非イオン性界面活性剤、並びに、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等の水溶性アミン類等が挙げられる。なお、アクリル酸系ポリマーには、例えばアクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、メタクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、並びに、アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸アルキル(メチル、エチル又はプロピル)との共重合体などが挙げられる。これらのうち、ポリアクリル酸アンモニウム塩、又は、アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルとの共重合体が好ましい。後者を用いる場合、アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルとのモル比は、アクリル酸アンモニウム塩/アクリル酸メチルが10/90〜90/10であることが好ましい。
前記分散剤の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは100〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000である。前記分散剤の重量平均分子量が100以上の場合は、酸化珪素膜あるいは窒化珪素膜を研磨するときに十分な研磨速度が得られやすい傾向にある。前記分散剤の重量平均分子量が50,000以下であれば、研磨剤の粘度が高くなることを抑え、保存安定性も向上する傾向がある。なお、ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値である。なお、GPCの条件は以下のとおりである。
使用機器:日立L−6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)(日立化成工業株式会社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75ml/分
検出器:L−3300RI(株式会社日立製作所製)
研磨剤中の分散剤の配合量は特に制限はないが、研磨剤中の酸化セリウム粒子の分散性及び沈降防止性、スクラッチ発生の防止の観点から、酸化セリウム100重量部に対して、0.01〜5.0重量部の範囲が好ましい。
本発明の研磨剤は、酸化セリウムの濃度が0.5重量%である研磨剤を用いて、液温25℃、遠心力2090G、液粘度0.9mPa・s、沈降距離が60mmの条件で、2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以下であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウム沈降率が50重量%以上である。前記2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以下であることにより、スクラッチの発生を低減することが可能となり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以上であることにより、良好な研磨速度を得ることができる。前記2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は、スクラッチの発生をより低減し易くするという観点から、好ましくは40〜10重量%、より好ましくは30〜10重量%である。前記10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は、より良好な研磨速度を得るという観点から、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%である。
酸化セリウムの沈降率は、研磨剤中の酸化セリウムの全重量%に対する、所定時間遠心分離後に沈降した酸化セリウムの重量%の割合から求めることができる。すなわち研磨剤中の酸化セリウムの全濃度をB重量%、所定時間遠心分離後に採取した上澄み液中の酸化セリウムの濃度をA重量%とした時、酸化セリウムの沈降率は{1−(A/B)}×100(重量%)により求められる。研磨剤中の酸化セリウムの全重量は、研磨剤を乾燥させて測定する。乾燥温度と時間は、適宜選択されるが、通常は、500〜600℃で1〜2時間である。遠心分離機は、例えば、日立工機株式会社製、CF12RX型、使用ロータはT9A31型を用いることができる。
ここで粒子の沈降距離とは、遠心分離前に遠沈管の開放部(キャップ部)を上にして垂直に立てたときの液面位置と、遠心分離後に遠沈管中に堆積した沈降物との最短距離のことをいう。
また、液粘度は、動粘度と液密度の積から求めることができる。動粘度は、例えばウベローデ式液粘度計(例えば柴田科学器械工業株式会社製、SU)で測定することができる。動粘度を測定する際、研磨剤と粘度計を恒温槽などで25℃に温調し、研磨剤を粘度計に流し入れて落下時間を計測する。この落下時間と粘度計固有の粘度計定数の積から動粘度を求めることができる。また、液密度は、例えば密度径(例えばAnton Paar社製、DMA35n)で測定することができる。研磨剤の液粘度が0.9mPa・sよりも高い場合は研磨剤を純水で希釈して調整する。研磨剤の液粘度が0.9mPa・sよりも低い場合は、増粘剤として、例えばポリエチレングリコールなどの水溶性高分子を研磨剤に加えて調整する。
遠心分離の条件は、研磨剤の液温が25℃、遠心力が2090G、液粘度が0.9mPa・s、沈降距離が60mmである。
前記沈降率の測定に用いる研磨剤は、酸化セリウムの濃度が0.5重量%のものである。研磨剤中の酸化セリウムの濃度がわかっている場合は、その濃度が0.5重量%になるように脱イオン水で希釈すればよい。また、研磨剤中の酸化セリウムの濃度が不明である場合には、例えば、測定対象の研磨剤を所定量量り取り、加熱乾燥して揮発成分を揮発させ、残った固形成分を秤量し研磨剤中の酸化セリウムの濃度を算出し、その濃度が0.5重量%になるように脱イオン水で希釈すればよい。研磨剤中の酸化セリウムの濃度が0.5重量%に満たない場合は、蒸発法、真空乾燥法などにより酸化セリウムの濃度が0.5重量%になるように濃縮すればよい。
(研磨剤の製造方法)
本発明の研磨剤は、以下の説明する製造方法(I)又は(II)により得ることができる。
本発明の研磨剤は、D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程(A)、前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程(B)、前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程、(C)、前記採取した液体部分を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程(D)及び、前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程(E)を含む製造方法(I)により得ることができる。
また、本発明の研磨剤は、D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程(A)、前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程(B)、前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程(F)、前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散液を調製し、分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程(G)及び、前記採取した液体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程(H)を含む製造方法(II)により得ることができる。
前記製造方法(I)及び(II)において、工程(A)及び(B)は共通の工程である。
前記製造方法(I)における工程(C)及び(D)、製造方法(II)における工程(F)及び(G)は、研磨剤中の酸化セリウム粒子を分級する工程である。製造方法(I)では、まず工程(C)で大粒子径の酸化セリウム粒子を除去し、次いで工程(D)で小粒子径の酸化セリウム粒子を除去する。これに対し、製造方法(II)では、まず工程(F)で小粒子径の酸化セリウム粒子を除去し、次いで工程(D)で大粒子径の酸化セリウム粒子を除去する。
前記工程(C)、(D)、(F)及び(G)における分級の方法としては、例えば、ろ過、静置、遠心分離などの方法が挙げられる。各工程における分級の回数は特に限定されないが、分級の精度を上げるためには複数回行うことが好ましい。
まず、前記製造方法(I)について説明する。
工程(A)
工程(A)では、D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する。粉砕する酸化セリウムは特に限定されないが、セリウム化合物を焼成して得られるものを用いることが好ましく、例えば、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、しゅう酸塩のセリウム化合物を焼成することによって得られるものを用いることが好ましい。焼成温度は400〜900℃が好ましく、700〜900℃がより好ましい。酸化セリウムは、レーザー回折式粒度分布計で測定したD50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで、好ましくは0.2〜1.0μmになるまで粉砕する。前記D50体積%の粒子径が0.2μm未満では、小粒子除去操作により研磨速度を向上させることが困難であり、2μmを越えると大粒子除去操作により微量な大粒子が除去できなかった場合に研磨傷発生の可能性が高くなる。
粉砕方法は特に限定されないが、例えば、ジェットミル、ボールミル等の乾式粉砕法、ビーズミル、ボールミル等の湿式粉砕法などが挙げられる。
工程(B)
工程Bでは、前記工程(A)で得られる粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調整する。酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散させる方法は特に限定されず、例えば、撹拌機、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミルなどを用いる方法が挙げられる。これらのなかでも、比較的短時間で分散でき、かつコンタミネーションが少ない点で超音波分散機を用いる方法が好ましい。上記分散液中の酸化セリウムの濃度は特に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、20〜30重量%が特に好ましい。前記酸化セリウムの濃度が1重量%未満では、大粒子径および小粒子径の酸化セリウムを除去した後の酸化セリウムの濃度の確保が困難となる場合があり、50重量%を越えると、酸化セリウム粒子が凝集する可能性が高く、分級が困難となる場合がある。また、分散液中の分散剤の配合量は特に限定されず、酸化セリウム100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲であることが好ましい。前記分散剤の配合量が0.01重量部未満では酸化セリウム粒子の分散が不十分であり、粒子同士が凝集する傾向があり、また、5重量部を越えると塩析現象により粒子同士が凝集し、研磨傷の原因となる傾向がある。
工程(C)
工程(C)では、前記工程(B)で調製した分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する。前記D50体積%の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値であり、150nm未満では、小粒子除去により酸化セリウムの濃度が低下するため研磨速度の確保が困難となる場合があり、400nmを越えると研磨傷発生の可能性が高くなる。前記D50体積%の粒子径は、好ましくは170〜350nm、より好ましくは200〜300nmである。
液体部分の酸化セリウム粒子のD50体積%は、レーザー回折式粒度分布計、例えば、堀場製作所社製 LA−920を用いて測定することができる。粒度分布を測定する際、液体部分を0.01ml〜5ml程度量り取って屈折率2.2の条件で測定する。
工程(C)において液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級する方法としては、例えば、分散液をろ過する方法、分散液を静置する方法、分散液を遠心分離処理する方法などの分散液を固液分離する方法が挙げられる。
分散液をろ過する方法は、フィルタ繊維が多層に積層して孔が形成されてなるフィルタを用いることが好ましく、前記孔がフィルタの外側から内側にかけて連続的に小さくなるように形成されてなるフィルタを用いることがより好ましい。フィルタの孔径は適宜選択すればよく、分散液をろ過して大粒子径の酸化セリウム粒子を濾物として除去し、液体部分、すなわち、濾液中の酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmとなった段階で濾液を採取することにより、所望の粒子径を有する酸化セリウム粒子を含む濾液を得ることができる。また、上記分級操作は、繰返し行って段階的に濾液中の酸化セリウム粒子の粒子径を小さくして所望の粒子径に調整することもできる。
分散液を静置して酸化セリウム粒子を沈降させて分級する方法においては、静置の時間は分散液中に分散している酸化セリウム粒子の粒径及び酸化セリウムの濃度、分散液の体積などに応じて適宜選択されるが、分散液の液面高さが15〜25cmである場合、通常は10〜200時間、好ましくは40〜150時間である。上記条件で分散液を静置して大粒子径の酸化セリウム粒子を沈降させ、液体部分、すなわち、上澄み液中の酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmとなった段階で上澄み液を採取することにより、所望の粒子径を有する酸化セリウム粒子を含む上澄み液を得ることができる。また、上記分級操作は、繰返し行って段階的に上澄み液中の酸化セリウム粒子の粒子径を小さくして所望の粒子径に調整することもできる。
分散液を遠心分離処理して酸化セリウム粒子を沈降させて分級する方法は、バッチ式の遠心分離機を用いる方法であっても、連続式の遠心分離機を用いる方法であってもよい。
バッチ式の遠心分離機を用いる方法では、遠心分離処理の条件は適宜選択され、通常は、沈降距離が10〜15cmである遠心分離機で2分間分級を行う場合、遠心力は好ましくは1000〜3000G、より好ましくは1500〜2500Gである。遠心力が1000G未満では、スクラッチ発生の原因となる大粒子径の酸化セリウム粒子の除去が不充分となる可能性があり、遠心力が3000Gを越えると、研磨速度への寄与率が高い粒子まで除去されやすくなる傾向がある。上記条件で遠心分離して、液体部分、すなわち、上澄み液中の酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmとなった段階で上澄み液を採取することにより、所望の粒径を有する酸化セリウム粒子を含む上澄み液を得ることができる。
連続式の遠心分離機を用いる方法で使用する機種としては、遠心力を固定円筒内での液体の回転によって与える液体サイクロン(図3を参照)、外部駆動の回転体を用いるデカンター(図4を参照)、ドラバル型遠心分離機(図5を参照)などが挙げられる。
図3に示すように液体サイクロンを用いて分級を行う場合、液体サイクロンへ分散液を圧入すると、遠心力により、酸化セリウム粒子は周壁部へいくほど粒子径の大きい酸化セリウム粒子に配列され、中心部に向かうほど粒子径の小さい酸化セリウム粒子に配列される。周壁部にはサイクロンのテーパーに沿い下降流が発生しており、この流れとともに大粒子径の酸化セリウム粒子はボトムノズルから排出される。一方、中心部は逆に上昇流が発生しており、この流れとともに小粒子径の酸化セリウム粒子はトップノズルから排出される。分散液の圧入速度を速くすると、サイクロン内部で発生する遠心力は大きくなるため、トップノズルから排出される酸化セリウム粒子の粒子径は小さくなり、より大粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。
図4又は図5に示すようにデカンター又はドラバル型遠心分離機を用いて分級を行う場合、遠心分離処理の条件は適宜選択されるが、分散液の供給流量を変更することで粒径を調整することができる。例えば分散液の供給速度を遅くすると、遠心分離機内での分散液の滞留時間、すなわち分級時間が長くなるため、大粒子径の酸化セリウム粒子が除かれ、排出、回収される液中の酸化セリウム粒子の粒子径は小さくなる。
工程(C)では、分散液をろ過、静置又は遠心分離などにより固液分離することにより、分散液中に分散している酸化セリウム粒子のうち、大粒子径の酸化セリウム粒子が残留又は沈降するので、液体部分を採取することにより、大粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。
工程(D)
工程(D)では、前記工程(C)で前記採取した液体部分を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する。前記D50体積%の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値であり、80nm未満では、研磨に有効な酸化セリウム粒子(高速研磨)成分の濃縮が不十分となる場合があり、120nmを越えると、研磨に有効な酸化セリウム粒子まで除去されるため、研磨剤中の酸化セリウムの濃度が低くなり、研磨速度の確保が困難となる場合がある。前記D50体積%の粒子径は、好ましくは90〜110nm、より好ましくは100〜120nmである。
液体部分の酸化セリウム粒子のD50体積%は、レーザー回折式粒度分布計、例えば、堀場製作所社製 LA−920を用いて測定することができる。粒度分布を測定する際、液体部分を0.01ml〜5ml程度量り取って屈折率2.2の条件で測定する。
工程(D)において液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級する方法としては、例えば、液体部分をろ過する方法、液体部分を静置する方法、液体部分を遠心分離処理する方法など液体部分を固液分離する方法が挙げられる。
液体部分をろ過する方法は、フィルタ繊維が多層に積層して孔が形成されてなるフィルタを用いることが好ましく、前記孔がフィルタの外側から内側にかけて連続的に小さくなるように形成されてなるフィルタを用いることがより好ましい。フィルタの孔径は適宜選択すればよく、液体部分をろ過して、液体部分、すなわち、濾液中の酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmとなった段階で濾物、すなわち固体部分を採取することにより、所望の粒子径を有する酸化セリウム粒子を含む固体部分を得ることができる。また、上記分級操作は、繰返し行って小粒子径の酸化セリウム粒子の除去率を高めることもできる。
液体部分を静置して酸化セリウム粒子を沈降させて分級する方法においては、静置の時間は液体部分中に分散している酸化セリウム粒子の粒径及び酸化セリウムの濃度、液体部分の体積などに応じて適宜選択されるが、液体部分の液面高さが10〜20cmである場合、通常は200〜400時間、好ましくは240〜300時間である。上記条件で液体部分を静置して大粒子径の酸化セリウム粒子を沈降させ、液体部分、すなわち上澄み液中の粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmとなった段階で上澄み液を略除去し、固体部分、すなわち、沈降物を採取することで小粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。また、上記分級操作は、繰返し行って小粒子径の酸化セリウム粒子の除去率を高めることもできる。
液体部分を遠心分離処理して酸化セリウム粒子を沈降させて分級する方法は、バッチ式の遠心分離機を用いる方法であっても、連続式の遠心分離機を用いる方法であってもよい。遠心分離により、液体部分、すなわち、上澄み液中の酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmとなった段階で、固体部分を採取することにより、所望の粒径を有する酸化セリウム粒子を含む固体部分を得ることができる。
バッチ式の遠心分離機を用いる方法では、遠心分離処理の条件は適宜選択され、通常は、沈降距離が10〜15cmである遠心分離機で2分間分級を行う場合、遠心力は好ましくは6000〜10000G、より好ましくは7000〜9000Gである。遠心力が6000G未満では、酸化セリウム粒子の沈降が十分でないため、研磨速度への寄与率が高い粒子が上澄み液と共に除去されやすくなる傾向があり、10000Gを越えると、小粒子径の酸化セリウム粒子が沈降し過ぎるため、小粒子径の酸化セリウム粒子の除去が不十分となり研磨速度への寄与率が高い粒子成分が濃縮されにくくなる傾向がある。
連続式の遠心分離機を用いる方法で使用する機種としては、液体サイクロン、デカンターまたはドラバル型遠心分離機などが使用可能であるが、D50体積%の粒子径が80〜120nmの酸化セリウム粒子を除去するためには、粒子の分離精度が高いデカンターまたはドラバル型遠心分離機を用いることが好ましい。
デカンターまたはドラバル型遠心分離機を用いて小粒子径の酸化セリウム粒子を除去する場合、液体部分の供給流量を変更することで小粒子径の酸化セリウム粒子の除去率を調整することができる。例えば液体部分の供給速度を速くすると、遠心分離機内での上澄み液の滞留時間、すなわち分級時間が短くなるため、遠心力により沈降する酸化セリウム粒子の含有量は減少し、排出される液中の小粒子径の酸化セリウム粒子の含有量は高くなる。すなわち、より多くの小粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。また、回転数を調整することで排出される液中の小粒子径の酸化セリウム粒子の粒子径を調節することができる。具体的には回転数を高くすれば除去する酸化セリウム粒子の粒子径を小さくすることができ、回転数を低くすれば除去する酸化セリウム粒子の粒子径を大きくすることができる。
工程(D)では、液体部分をろ過、静置又は遠心分離などにより固液分離することにより、液体部分中に分散している酸化セリウム粒子のうち、大粒子径の酸化セリウム粒子が残留又は沈降するので固体部分を採取することにより、小粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。
工程(E)
工程(E)では、前記工程(D)で採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行うことにより、本発明の研磨剤を得ることができる。固体部分に水と分散剤を加えて分散させる方法は特に限定されず、例えば、撹拌機、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミルなどを用いる方法が挙げられる。
分散剤の添加量は酸化セリウム粒子、すなわち固体部分100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲であることが好ましい。前記分散剤の配合量が0.01重量部未満では酸化セリウム粒子の分散が不十分であり、粒子同士が凝集する傾向があり、5重量部を越えると塩析現象により粒子同士が凝集し、研磨傷の原因となりやすい傾向がある。
研磨剤中の酸化セリウムの濃度は、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%であり、水の添加量を適宜選択して調整すればよい。前記酸化セリウムの濃度が0.5重量%未満では、研磨速度が不十分となる傾向があり、10重量%を越えると酸化セリウム粒子が凝集し研磨傷の原因となりやすくなる傾向がある。
次に、前記製造方法(II)について説明する。
製造方法(II)における工程(A)及び(B)は、前記製造方法(I)における工程(A)及び(B)と共通の工程であるので説明を割愛する。
工程(F)
工程(F)では、前記工程(B)で調整した分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する。前記D50体積%の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値であり、80nm未満では、研磨に有効な酸化セリウム粒子(高速研磨)成分の濃縮が不十分となる場合があり、120nmを越えると、研磨に有効な酸化セリウム粒子まで除去されるため、研磨剤中の酸化セリウムの濃度が低くなり、研磨速度の確保が困難となる場合がある。前記D50体積%の粒子径は、好ましくは90〜110nm、より好ましくは100〜120nmである。
液体部分の酸化セリウム粒子のD50体積%は、レーザー回折式粒度分布計、例えば、堀場製作所社製 LA−920を用いて測定することができる。粒度分布を測定する際、液体部分を0.01ml〜5ml程度量り取って屈折率2.2の条件で測定する。
工程(F)において液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級する方法としては、例えば、分散液をろ過する方法、分散液を静置する方法、分散液を遠心分離処理する方法などの分散液を固液分離する方法が挙げられ、これらの方法については前記工程(D)において説明した方法を準用する。
工程(F)では、分散液をろ過、静置又は遠心分離などにより固液分離することにより、分散液中に分散している酸化セリウム粒子のうち、大粒子径の酸化セリウム粒子が残留又は沈降するので固体部分を採取することにより、小粒子径の酸化セリウム粒子を除去することができる。
工程(G)
工程(G)では、前記工程(F)で採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散液を調製し、分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する。前記D50体積%の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値であり、150nm未満では、小粒子除去により酸化セリウム粒子濃度が低下するため研磨速度の確保が困難となる場合があり、400nmを越えると研磨傷発生の可能性が高くなる。前記D50体積%の粒子径は、好ましくは170〜350nm、より好ましくは200〜300nmである。
液体部分の酸化セリウム粒子のD50体積%は、レーザー回折式粒度分布計、例えば、堀場製作所社製 LA−920を用いて測定することができる。粒度分布を測定する際、液体部分を0.01ml〜5ml程度量り取って屈折率2.2の条件で測定する。
工程(G)では、まず、前記工程(F)で採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散液を調製する。固体部分である酸化セリウムの濃度が、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%になるよう分散液を調製することが好ましい。また、分散剤の添加量は、酸化セリウム100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.5〜2.0重量部である。
工程(G)において液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級する方法としては、例えば、分散液をろ過する方法、分散液を静置する方法、分散液を遠心分離処理する方法などの分散液を固液分離する方法が挙げられる。これらの方法については前記工程(C)において説明した方法を準用する。
工程(H)
工程(H)では、前記工程(G)で採取した液体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行うことにより、本発明の研磨剤を得ることができる。液体部分に水と分散剤を加えて分散させる方法は特に限定されず、例えば、撹拌機、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミルなどを用いる方法が挙げられる。
分散剤の添加量は酸化セリウム粒子100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲であることが好ましい。前記分散剤の配合量が0.01重量部未満では酸化セリウム粒子の分散が不十分であり、粒子同士が凝集する傾向があり、5重量部を越えると塩析現象により粒子同士が凝集し、研磨傷の原因となりやすい傾向がある。研磨剤中の酸化セリウムの濃度は、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%であり、水の添加量を適宜選択して調整すればよい。前記酸化セリウムの濃度が0.5重量%未満では、研磨速度が不十分となる傾向があり、10重量%を越えると酸化セリウム粒子が凝集し、研磨傷の原因となる傾向がある。
本発明では、前記工程(E)又は(H)の分散処理を行う工程に引き続き、得られた分散液を最小孔径が0.5〜3.0μmのデプスフィルターを用いて1回以上ろ過する工程を行うことにより、研磨剤中の酸化セリウム粒子をより所望の粒子径に調製することができる。デプスフィルターとしては、フィルタ繊維が多層に積層して孔が形成されてなるフィルターが好ましく、前記孔がフィルタの外側から内側にかけて連続的に小さくなるように形成されてなるフィルタがより好ましい。フィルターの最小孔径は、大粒子の除去を、目詰まりさせることなく、かつ、精度良く行うため、0.5〜3.0μmであることが好ましく、0.5〜1.0μmであることがより好ましい。デプスフィルターの市販品としては、孔径1.0μmの量産用フィルタ(日本ポール株式会社製、商品名:プロファイルII)がある。
本発明の研磨剤は、絶縁膜等の被研磨面を300nm/分以上の高い研磨速度で、かつ、スクラッチの発生をウエハ当たり50個以下に低減しつつ精密に研磨することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
炭酸セリウム約6kgをアルミナ製容器に入れ、800℃で2時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約3kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末の粒子径は30〜100μmであった。上記により得られた酸化セリウム粉末3kgを、ジェットミルを用いて乾式粉砕した。得られた酸化セリウム粒子10gと重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)1gと脱イオン水39gを混合し、超音波分散を10分間施して酸化セリウム分散液を作製し、粒子径をレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)を用い、屈折率:2.2、サンプル量0.2mlの条件で測定した結果、D50体積%の粒子径が400nmであった。
上記粉砕した酸化セリウム粒子1000gと重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)80gと脱イオン水3920gを、直径220mmの円筒状の容器中で混合し、撹拌しながら超音波分散を10分間施し、酸化セリウムの濃度が20重量%のスラリー5000gを得た。
得られたスラリー5000gを室温で20時間静置させ、上澄み液4350gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%をレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)により同様に測定したところ、260nmであった。
採取した上澄み液を室温で240時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物490gを得た。廃液した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を上記と同様に測定したところ、115nmであった。
得られた沈降物50gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)4g及び純水4946gを加えて沈降物を分散させ、酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を孔径1.0μmの量産用フィルタ(日本ポール株式会社製、商品名:プロファイルII、フィルタ繊維が重なって孔を形成しているフィルタ)でろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(A)を作製した。
得られた研磨剤(A)中の酸化セリウム粒子の粒子径をレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製、LA−920)を用い、相対屈折率:1.600の条件で測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は260nm、D99体積%の粒子径は720nmであった。
また、得られた研磨剤(A)を、酸化セリウムの濃度が0.5重量%になるように脱イオン水で希釈した。この研磨剤の液粘度をウベローデ式液粘度計(柴田科学器械工業株式会社製、SU)と、密度計(Anton Paar社製DMA35n)を用いて測定したところ、0.9mPa・sだった。また、この研磨剤を遠沈管(フィッシャー・サイエンティフィック社製、容量50mL)に40g分取し、遠心分離機(日立工機株式会社製、CF15R型、使用ロータT9A31型)で、遠心力2090G、液温25℃の条件で遠心分離を行った。これを2分間遠心分離した後、遠心分離機を停止し、静かにかつ速やかに遠沈管を取り出し、上澄み液をデカントして採取した。デカント前の遠沈管中の研磨剤液面から沈降物までの最短距離、すなわち遠心沈降距離は60mmだった。この上澄み液を500℃、2時間の条件で乾燥させ、酸化セリウムの濃度を求めたところ、0.265重量%であった。遠心分離前の酸化セリウムの濃度0.5重量%と遠心分離後の上澄み液中の酸化セリウムの濃度0.265重量%から、酸化セリウムの沈降率を算出したところ47重量%であった。同様に10分間遠心分離時の酸化セリウムの沈降率を求めたところ84重量%であった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を上記と同様に測定したところ、112nmであった。
また、研磨剤(A)を用い、以下の研磨条件で1分間研磨を行ない、研磨後のウエハを純水でよく洗浄後乾燥した。干渉式膜厚測定装置を用いて研磨前後の絶縁膜の膜厚差を測定して研磨速度を算出したところ、540nm/分であった。また、光学顕微鏡でウエハ表面を観察したところ、直径200mmのウエハ全面にスクラッチは35個観察された。
〔研磨条件〕
研磨荷重:30kPa
研磨パッド:ロデール社製発泡ポリウレタン樹脂(IC−1000)
回転数:定盤50rpm、パッド50rpm
研磨剤供給速度:200ml/分
研磨対象物:P−TEOS成膜Siウエハ(直径200mm)
(実施例2)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製した。スラリー5000gを室温で48時間静置させ、上澄み液4180gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、205nmであった。
採取した上澄み液を室温で240時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物320gを得た。廃液した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、114nmであった。
得られた沈降物50gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)4g及び純水4946gを加えて沈降物を分散させ、酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(B)を作製した。
得られた研磨剤(B)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は210nm、D99体積%の粒子径は540nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(B)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は27重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は62重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、111nmであった。
また、研磨剤(B)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は470nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは20個観察された。
(実施例3)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製した。スラリー5000gを室温で120時間静置させ、上澄み液4040gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、180nmであった。
採取した上澄み液を室温で240時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物180gを得た。廃液した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、111nmであった。
得られた沈降物50gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)4g及び純水4946gを加えて沈降物を分散させ、酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(C)を作製した。
得られた研磨剤(C)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は240nm、D99体積%の粒子径は560nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(C)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は29重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は73重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、113nmであった。
また、研磨剤(C)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は510nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは15個観察された。
(実施例4)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製した。スラリー5000gを室温で120時間静置させ、上澄み液4040gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、180nmであった。
採取した上澄み液を室温で240時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物180gを得た。廃液した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、115nmであった。
得られた沈降物80gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)7g及び純水713gを加えて沈降物を分散させ、室温で120時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物155gを得た。得られた沈降物50gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)4g及び純水4946gを加えて沈降物を分散させ、酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%研磨剤(D)を作製した。
得られた研磨剤(D)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は250nm、D99体積%の粒子径は590nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(D)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は35重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は79重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、115nmであった。
また、研磨剤(D)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は550nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは20個観察された。
(比較例1)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製し、スラリー5000gを室温で6時間静置させ、上澄み液4550gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、410nmであった。
採取した上澄み液300に純水4700gを加えて酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(E)を作製した。
得られた研磨剤(E)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は410nm、D99体積%の粒子径は1350nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(E)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は86重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は94重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、112nmであった。
また、研磨剤(E)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は600nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは140個観察された。
(比較例2)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製し、スラリー5000gを室温で240時間静置させ、上澄み液3920gを採取した。採取した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、115nmであった。
採取した上澄み液1250gに純水3750gを加えて酸化セリウムの濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(F)を作製した。
得られた研磨剤(F)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子径のD50体積%の粒子径は110nm、D99体積%の粒子径は160nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(F)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウム粒子の沈降率は8重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウム粒子の沈降率は38重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、110nmであった。
また、研磨剤(F)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は250nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは25個観察された。
(比較例3)
実施例1と同様に酸化セリウム粒子のスラリーを作製し、スラリー5000gを室温で240時間静置させ、上澄み液を廃液し、沈降物940gを得た。廃液した上澄み液中に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、444nmであった。
得られた沈降物50gに重量平均分子量10000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)4g及び純水4946gを加えて沈降物を分散させ、酸化セリウム濃度が1重量%の分散液を調整した。この分散液を実施例1と同様にろ過し、酸化セリウムの濃度が1重量%の研磨剤(G)を作製した。
得られた研磨剤(G)中の酸化セリウム粒子の粒子径と液粘度を実施例1と同様に測定した結果、二次粒子のD50体積%の粒子径は455nm、D99体積%の粒子径は2650nm、液粘度は0.9mPa・sであった。
また、得られた研磨剤(G)について、実施例1と同様に遠心分離操作を行った。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は93重量%であり、10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率は97重量%であり遠心沈降距離は60mmだった。10分間遠心分離した時の上澄み液に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%を実施例1と同様に測定したところ、113nmであった。
また、研磨剤(G)を用い、実施例1と同一条件で研磨を行ったところ、研磨速度は620nm/分であり、直径200mmウエハ全面にスクラッチは1000個より多く観察された。
以上の結果を表1に示した。
Figure 0005256832
表1より実施例1〜4の研磨剤は、絶縁膜を高速に、かつ、スクラッチの発生を低減しつつ研磨することができることが分る。2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が高い比較例1及び3の研磨剤は、スクラッチの発生を低減することができないことが分る。10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が低い比較例2の研磨剤は、研磨速度が遅いことが分る。
粒度分布の模式図である。 微小粒子の模式図である。微小粒子は図1のような粒度分布を示す粒子群に加えても、図1の粒度分布への影響は小さいが、それ単体では明らかに図1とは異なる粒度分布を示す。 代表的な遠心分離機の一つである液体サイクロンの模式図である。 代表的な遠心分離機の一つであるデカンタの模式図である。 代表的な遠心分離機の一つであるドラバル型遠心分離機の模式図である。

Claims (13)

  1. 酸化セリウム、分散剤及び水を含む研磨剤であって、
    前記酸化セリウムの濃度が0.5重量%である研磨剤を用いて、液温25℃、遠心力2090G、液粘度0.9mPa・s、沈降距離が60mmの条件で、
    2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が50重量%以下であり、
    10分間遠心分離した時の酸化セリウム沈降率が50重量%以上であることを特徴とする研磨剤。
  2. 前記研磨剤中に含まれる酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD50体積%の粒子径が、150〜400nmである、請求項1記載の研磨剤。
  3. 前記研磨剤中に含まれる酸化セリウム粒子は、レーザー回折式粒度分布計で測定したD99体積%の粒子径が、1μm以下である、請求項1又は2に記載の研磨剤。
  4. 前記2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が、40〜10重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨剤。
  5. 前記2分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が、30〜10重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨剤。
  6. 前記10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が、60〜90重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨剤。
  7. 前記10分間遠心分離した時の酸化セリウムの沈降率が、70〜90重量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨剤。
  8. 酸化セリウム粒子の一次粒子径の平均値が、5〜300nmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨剤。
  9. 分散剤が、アクリル酸系ポリマー、水溶性有機高分子類、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤、及び水溶性アミン類からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨剤。
  10. D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程、
    前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程、
    前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程、
    前記採取した液体部分を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程、及び、
    前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程
    を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法。
  11. D50体積%の粒子径が0.2〜2μmになるまで酸化セリウムを粉砕する工程、
    前記粉砕した酸化セリウムに水と分散剤を加えて分散液を調製する工程、
    前記分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が80〜120nmになるまで分級し、固体部分を採取する工程、
    前記採取した固体部分に水と分散剤を加えて分散液を調製し、分散液を固液分離して、液体部分に含まれる酸化セリウム粒子のD50体積%の粒子径が150〜400nmになるまで分級して液体部分を採取する工程、及び、
    前記採取した液体部分に水と分散剤を加えて分散処理を行う工程
    を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法。
  12. 前記粉砕する工程で用いる酸化セリウムは、セリウム化合物を焼成して得られるものである請求項10又11に記載の研磨剤の製造方法。
  13. 前記分散処理を行う工程に引き続き、得られた分散液を最小孔径が0.5〜3.0μmのデプスフィルターを用いて1回以上ろ過する工程を含む請求項10〜12のいずれか一項に記載の研磨剤の製造方法。
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