JP4802658B2 - 変倍光学系、撮像レンズ装置及びデジタル機器 - Google Patents

変倍光学系、撮像レンズ装置及びデジタル機器 Download PDF

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Description

本発明は、複数のレンズ群からなり、光軸方向にレンズ群の間隔を変えることで変倍を行う変倍光学系、その変倍光学系を備える撮像レンズ装置及びその撮像レンズ装置を搭載したデジタル機器に関し、特に小型化に適した変倍光学系に関するものである。
近年、携帯電話機や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)の普及が目覚しく、しかもこれらの機器に、コンパクトなデジタルスチルカメラユニットやデジタルビデオユニットが内蔵される仕様が一般化してきている。これらの機器ではサイズやコストの制約が厳しいことから、独立した商品であるデジタルスチルカメラ等に比べて低画素数で小型の撮像素子と、プラスチックレンズ1〜3枚程度からなる単焦点光学系を備えた撮像レンズ装置とが一般的に用いられている。
しかしながら、単焦点光学系の倍率は目視と同程度であるため、撮影できる対象が撮影者の近くのものに限られる。この点において、撮像素子の高画素化・高機能化が急速に進んでいる現在、高画素撮像素子に対応でき、且つ撮影者から離れた被写体をも撮影可能とする携帯電話機等に搭載できるコンパクトな変倍光学系が要求されている。
従来、例えば特許文献1では、負正2成分の変倍光学系において、最も物体側に位置するレンズの像側面を非球面とすることで、コンパクト化を図るようにした変倍光学系が開示されている。しかし、最も物体側に位置するレンズの像側面の曲率が大きいため、モールド成形によって作製することが難しく、球面レンズの上に樹脂を塗布する所謂複合型非球面レンズとせねばならないことから、非常にコスト高となってしまう。また、第1レンズ群、第2レンズ群の各レンズともに製造誤差感度が高く、組立て時に調整作業が必要となってさらなるコスト高を招来するという問題がある。
また、特許文献2には、負正正3成分の変倍光学系において、第2レンズ群の変倍負担を増加させることで、変倍に伴う移動量を抑えるようにした変倍光学系が開示されている。しかし、特許文献2に開示されている光学系は、いずれも第1レンズ群、第2レンズ群共に各3枚のレンズを使用しており、コンパクト化の達成度が十分であると言うことができない。
さらに、特許文献3には、負正正正4成分の変倍光学系において、第2レンズ群に高屈折率低分散の材料よりなる非球面レンズを用いることで、沈胴時のレンズ総厚の薄型化を図るようにした変倍光学系が開示されている。しかし、携帯端末では求められる耐衝撃性が厳しいため沈胴構造を採用すること自体が難しい。また、特許文献3において提案されている光学系は、第2レンズ群のパワーが弱いため移動量が大きく、使用状態での光学全長が携帯端末としては大きすぎるという問題がある。
特開2001−4920号公報 特開2001−318311号公報 特開2002−365542号公報
撮像素子を用いた変倍光学系の場合、一般にバックフォーカス確保やテレセントリック性の維持等の必要性から、変倍光学系のコンパクト化に伴って第1レンズ群の光学的パワーが増加するようになる。これにより、第1レンズ群内の各レンズの曲率が大きくなり、
その結果偏肉比が増加するため、変倍光学系の製造や面形状測定の難易度が高くなるという課題があった。
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、十分なコンパクト化を達成しつつ、第1レンズ群内の各レンズ製造難易度を従来と同程度に抑えた変倍光学系、撮像レンズ装置及びデジタル機器を提供することを目的とする。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下のような構成を有する変倍光学系、撮像レンズ装置及びデジタル機器を提供するものである。なお、以下の説明において使用されている用語は、本明細書においては次の通り定義されているものとする。
(a)屈折率は、d線の波長(587.56nm)に対する屈折率である。
(b)アッベ数は、d線、F線(486.13nm)、C線(656.28nm)に対する屈折率を各々nd、nF、nC、アッベ数をνdとした場合に、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
の定義式で求められるアッベ数νdをいうものとする。
(c)面形状に関する表記は、近軸曲率に基づいた表記である。
(d)光学的パワーの表記において、接合レンズを構成している各単レンズについては、該単レンズのレンズ面の両側が空気であるとした場合の光学的パワーをいうものとする。(e)非球面サグ(sag)量とは、レンズの面頂点と最大有効半径に対する非球面曲線上
の点との間の光軸方向の距離と、近軸曲率に基づく球面サグ量との差分を表すパラメータである(図2参照)。
(f)複合型非球面レンズ(基板となる球面ガラス材料の上に薄い樹脂材料を塗布して非球面形状としたレンズ)に用いる樹脂材料は、基板ガラス材料の付加的機能しかないため、単独の光学部材としては取扱わず、基板ガラス材料が非球面を有する場合と同等の扱いとし、レンズ枚数も1枚と考える。その際、レンズ屈折率も、基板となっているガラス材料の屈折率を用いるものとする。
(g)レンズについて、「凹」、「凸」又は「メニスカス」という表記を用いた場合、これらは光軸近傍(レンズの中心付近)でのレンズ形状を表しているもの(近軸曲率に基づいた表記)とする。
本発明の請求項1に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の光学的パワーを有する第1レンズ群と、正の光学的パワーを有する第2レンズ群とを含み、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が狭くなる変倍光学系において、前記第1レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ又は物体側に凸の負メニスカスレンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとの2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなり、下記(1)、(2)、(8)、(9)、(10)の条件式を満たすことを特徴とする。
0.5<D1/fw<0.8 ・・・(1)
0.7<f2/fw<2.0 ・・・(2)
但し、D1:前記第1レンズ群のレンズ最前面から前記第1レンズ群のレンズ最後面までの光軸上の厚み
fw:広角端での全光学系の合成焦点距離
f2:前記第2レンズ群の合成焦点距離
0.7<|f2n/f2p|<1.8 ・・・(8)
但し、f2p:前記第2レンズ群内の正レンズの焦点距離
f2n:前記第2レンズ群内の負レンズの焦点距離
N1p>1.7 ・・・(9)
|ν1p−ν1n|>20 ・・・(10)
但し、N1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの屈折率
ν1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズのアッベ数
ν1n:前記第1レンズ群内の負レンズのアッベ数
この構成によれば、最も物体側に位置する第1レンズ群が負の光学的パワーを持った、いわゆる負リードの光学系とされている。このため、物体側から大きな角度で入射してくる光線を、第1レンズ群の負の光学的パワーによりいち早く緩めることができ、光学全長や前玉径のサイズのコンパクト化を図る点で有利となる。さらに、負リードの構成では光学系のコンパクト化を図った場合でも、誤差感度の上昇を抑制し得る。これらの点は、変倍比が2〜3倍程度のズームレンズにおいて特に顕著となる。また、前記第1レンズ群が
負レンズと正レンズとを少なくとも各1枚有する構成とすることで、倍率色収差を良好に補正することができる。さらに、前記第2レンズ群を3枚以下のレンズにて構成することで、変倍時において移動量が大きくなる第2レンズ群の駆動装置の負荷を減らし、レンズ枚数削減によるコスト低減を達成することが可能となる。
さらに、製造難易度や光学性能に鑑みて上記条件式(1)、(2)を満たすことを要件としている。D1/fwが条件式(1)の上限を上回ると、光学全長を維持しようとした時に第2レンズ群の実質的な変倍移動量が小さくなることから、第2レンズ群の光学的パワーを強くする必要が生じ、製造難易度が高くなる傾向が顕著となる。一方、条件式(1)の下限を下回ると、第1レンズ群内の負レンズの光学的パワーが弱くなってバックフォーカスの確保が困難となり、また射出瞳を像面から遠ざけることが困難となる傾向が顕著となる。また、f2/fwが条件式(2)の上限を上回ると、第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎ、コンパクト性を維持した状態で2〜3倍程度の変倍比を得ることが困難となる。一方、条件式(2)の下限を下回ると、第2レンズ群の偏芯誤差感度が非常に高くなり、製造難易度が高くなる傾向が顕著となる。
また、第2レンズ群が1枚の正レンズと1枚の負レンズで構成され、|f2n/f2p|が条件式(8)を満たすようにすることで、これら各1枚のレンズで球面収差と軸上色収差の十分な補正が行われるようになる。また、物体側から正負の順で配置することで第2レンズ群の主点位置が第1レンズ群側に近付き、これにより変倍作用を保ったまま第2レンズ群の実質的パワーを軽減させることができるので、誤差感度の低減作用が期待できる。なお、条件式(8)の上限を上回ると、球面収差の補正が不足がちとなり、一方下限を下回ると、第2レンズ群の負レンズのパワーが強くなるため、倍率色収差が大きくなり、画質が低下する傾向が顕著となる。
また、前記第1レンズ群が、物体側から順に、両凹レンズ又は物体側に凸の負メニスカスレンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとの2枚のレンズからなるレンズ構成を設定することで、広角端でのバックフォーカス確保が容易となり、また広画角な光線の軸外収差を良好に補正することができるようになる。さらに、物体側に凸の正メニスカスレンズを配置することで、非点収差を良好に補正し、像面性を改善することが可能となる。
また、上記(9)、(10)の条件式を満たすことで、コンパクト化の面、倍率色収差の補正の面において有利な変倍光学系を提供できるようになる。N1pが条件式(9)の下限を下回ると、前記正メニスカスレンズの像側面の曲率が大きくなり、第1レンズ群、第2レンズ群をそれぞれ保持する鏡筒同士が干渉する場合が生じ、第1レンズ群と第2レンズ群との間の距離を短くし難くなるため、コンパクト化に対して不利になる。また、|ν1p−ν1n|が条件式(10)の下限を下回ると、倍率色収差の補正が不十分となる傾向が顕著となる。
請求項2に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の光学的パワーを有する第1レンズ群と、正の光学的パワーを有する第2レンズ群とを含み、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が狭くなる変倍光学系において、前記第1レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ又は物体側に凸の負メニスカスレンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとの2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなり、下記(3)、(4)、(8)、(9)、(10)の条件式を満たすことを特徴とする。
|△Z1pi/d1pi|<0.2 ・・・(3)
0.7<f2/fw<2.0 ・・・(4)
但し、△Z1pi:前記第1レンズ群内の正レンズの像側面において、面頂点を基準とする最大有効半径でのサグ量
d1pi:第1レンズ群内の正レンズの像側面における最大有効半径
fw:広角端での全光学系の合成焦点距離
f2:前記第2レンズ群の合成焦点距離
0.7<|f2n/f2p|<1.8 ・・・(8)
但し、f2p:前記第2レンズ群内の正レンズの焦点距離
f2n:前記第2レンズ群内の負レンズの焦点距離
N1p>1.7 ・・・(9)
|ν1p−ν1n|>20 ・・・(10)
但し、N1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの屈折率
ν1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズのアッベ数
ν1n:前記第1レンズ群内の負レンズのアッベ数
この構成においても、請求項1に係る発明と同様な利点を享受すべく負リードの光学系とされ、第2レンズ群が3枚以下のレンズにて構成されていると共に、製造難易度や光学性能に鑑みて上記条件式(3)、(4)を満たすことを要件としている。|△Z1pi/d1pi|が条件式(3)の上限を上回ると、第1レンズ群内の各レンズの曲率が大きくなって、偏肉比が増加するため、製造難易度や面形状測定の難易度が高くなる傾向が顕著となる。加えて、第1レンズ群、第2レンズ群をそれぞれ保持する鏡筒同士が干渉する場合が生じ、第1レンズ群と第2レンズ群との間の距離を短くし難くなるため、コンパクト化に対して不利になる。また、f2/fwが条件式(4)の上限を上回ると、第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎ、コンパクト性を維持した状態で2〜3倍程度の変倍比を得ることが困難となる。一方、条件式(4)の下限を下回ると、第2レンズ群の偏芯誤差感度が非常に高くなり、製造難易度が高くなる傾向が顕著となる。
上記構成において、前記第2レンズ群の像側に、正の光学的パワーを有する第3レンズ群を有することが望ましい。この構成によれば、変倍光学系が負正正の光学系として構成されるようになる。負正正の光学系は、負正の光学系と比べると、第2レンズ群の移動量が少なくて済むことからコンパクト化に有利となり、また第3レンズ群により像面(撮像素子受光面)への軸外光線の入射角度をテレセントリックに近づけることができるという利点もある。
上記構成において、前記変倍光学系は、前記第1〜第3レンズ群の3つのレンズ群のみから構成されていることが望ましい。変倍光学系の超小型化を図ろうとする場合、レンズは製造限界の都合上、一定のスペースを必ず占有するため、レンズユニットの全空間に対するレンズの空間占有比率が相対的に高くなる。そのため、レンズ単品の精度を向上させるという負担が生じることがあっても、レンズ群数やレンズ枚数を極力減らす必要がある。そこでレンズ群を、物体側から順に負正正の3成分とすることで、他の変倍光学系よりもコンパクト化を図りつつ、他方で変倍光学系としての性能、フォーカス性能、製造誤差感度、像面入射角のテレセントリック性とのバランスを最適とすることができる。
上記構成において、前記第1レンズ群内において最も物体側に位置する負レンズが下記(5)の条件式を満たすことが望ましい
1<T1e/T1c<4 ・・・(5)
但し、T1e:前記負レンズの光軸方向における厚みの最大値
T1c:前記負レンズの光軸上での厚み
上記条件式(5)を満たす変倍光学系によれば、製造難易度や光学性能の面で一層優れた変倍光学系とすることができる。T1e/T1cが条件式(5)の上限を上回ると、偏肉比が大きくなってレンズ加工が困難となる傾向が顕著となる。また、条件式(5)の下限を下回ると、前記負レンズの光学的パワーが弱まって、バックフォーカスの確保やテレセントリック性を維持することの困難性が顕在化する。
上記構成において、像側に撮像素子が配置される場合において、下記(6)の条件式を満たすことが望ましい
Lb/fw<1.5 ・・・(6)
但し、Lb:望遠端において、最も像側に位置するパワーを有するレンズ面の面頂点から前記撮像素子の撮像面までの光軸上の距離(空気換算長)
上記条件式(6)を満たす変倍光学系によれば、製造難易度や光学性能の面で一層優れた変倍光学系とすることができる。Lb/fwが条件式(6)の上限を上回ると、長いバックフォーカスを確保するために第1レンズ群の負パワーを強める必要が生じ、第1レンズ群内の負レンズの曲率が大きくなって製造難易度が増す傾向が顕著となる。
上記構成において、前記第3レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時に固定されていることが望ましい。この構成によれば、第3レンズ群を変倍時固定とすることで、鏡筒機構が簡略化でき、位置精度も向上させることが可能となる。
上記構成において、前記第1レンズ群は、下記(7)の条件式を満たすことが望ましい
0.2<|f1n/f1p|<0.5 ・・・(7)
但し、f1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの焦点距離
f1n:前記第1レンズ群内の負レンズの焦点距離
この構成によれば、第1レンズ群を物体側から順に1枚の負レンズと1枚の正レンズとで構成することで、広角端でのバックフォーカス確保が容易となり、また広画角な軸外光の非点収差、倍率色収差を良好に補正することが可能となる。なお、上記|f1n/f1p|が条件式(7)の上限を上回ると、特に広角端での非点収差、歪曲収差の補正が不十分となる傾向が顕著となり、一方下限を下回ると、第1レンズ群を構成する各レンズのパ
ワーが非常に強くなって、製造難易度が増す傾向が顕著となる。
上記構成において、前記第2レンズ群における前記1枚の正レンズが両凸レンズであり前記1枚の負レンズが像側に強い凹面を向けた両凹レンズ又は負メニスカスレンズであることが望ましい
この構成によれば、第2レンズ群が物体側から順に正負の順とされているので、第2レンズ群の主点位置が第1レンズ群側に近付くこととなり、変倍作用を保ったまま第2レンズ群の実質的パワーを軽減し誤差感度低減を行うことができる。また、両凸レンズを配置することで、第2レンズ群のパワーを強め、変倍時の移動量を減らすことができる。さら
に、両凹レンズ又は負メニスカスレンズについて、像側に強い凹面を向けることで、非点収差と色収差の補正が良好に行えるようになる。
上記構成において、前記第2レンズ群が、下記(11)、(12)の条件式を満たすことが望ましい
|N2p−N2n|>0.15 ・・・(11)
|ν2p−ν2n|>30 ・・・(12)
但し、N2p:前記第2レンズ群内の正レンズの屈折率
ν2p:前記第2レンズ群内の正レンズのアッベ数
N2n:前記第2レンズ群内の負レンズの屈折率
ν2n:前記第2レンズ群内の負レンズのアッベ数
上記構成において、|N2p−N2n|が条件式(11)の下限を下回ると、ペッツバール和の増加に伴う非点収差が顕著となる。また、|ν2p−ν2n|が条件式(12)の下限を下回ると、軸上色収差の補正が不十分となる傾向が顕在化する。
上記構成において、前記第3レンズ群は、物体側に凸の正メニスカスレンズ1枚で構成されていることが望ましい
この構成によれば、レンズの主点位置を像面から遠ざけることができ、像面入射角を緩める効果があることから、変倍光学系の超小型化を図る場合に好適な構成とすることができる。
上記構成において、前記第2レンズ群の物体側に開口絞りを有し、前記開口絞りは絞り径が固定とされていることが望ましい
この構成によれば、前記第2レンズ群の物体側に開口絞りを配置することで、第1レンズ群の前玉径を極力小さくすることができる。一方で、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は光学全長に与える影響が大きく、可変絞り機構を挿入するために当該間隔を広げるよう構成すると、例えば2〜3倍程度光学全長を長くする必要が生じる。そこで、絞り径を固定として絞り部材を簡略化することで、光軸方向の薄肉化が達成できるようになる。
上記構成において、前記第1レンズ群を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われることが望ましい
前記第1レンズ群を移動させることに伴う諸収差の変動は比較的小さい。従って、フォーカシングを前記第1レンズ群の物体側への移動により行わせることで、フォーカシングによる性能劣化を抑制することができる。また、前記第1レンズ群の移動量に対するバックフォーカスの変動も大きいため、少ない移動量でレンズ前数cm程度まで良好なフォーカシング性能を得ることが可能となる。
上記構成において、前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われることが望ましい
この構成によれば、前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群でフォーカシングすることで、繰り出しによる光学全長の増加や前玉レンズ径の増大を招くことなく、近距離物体まで鮮明な画像を得ることができる。なお、フォーカシングに際し、第1レンズ群を移動させるか、或いは前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群を移動させるかは、光学仕様によって使い分けることができる。すなわち、マクロ機能を強化させる場合には第1レンズ群を移動させるようにし、コンパクト化が優先される場合は前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群を移動させるようにすればよい。
上記構成において、前記第2レンズ群が、接合レンズを含むことが望ましい
光軸方向のコンパクト化を図ろうとすると第2レンズ群の移動量が制限されるようになるため、かかる制限下で所望の変倍比を得ようとすると第2レンズ群のパワーを増大させることが必要となる。そのため、レンズの曲率誤差や芯厚誤差、屈折率誤差やレンズ間の間隔誤差、偏芯誤差のいずれに対する感度も上昇し、鏡筒のメカ精度向上や第2レンズ群内でのレンズ間調整が必要となる。しかし、第2レンズ群に接合レンズを配置することにより、第2レンズ群内における各レンズ面の各誤差感度を大幅に低減でき、仮にレンズ間調整が必要な場合でも感度バランスを良好に保つことができる。また、第2レンズ群の鏡筒構成を簡略化できるようになり、この結果、従前では光学的には不利でもメカ的な制約のために広げざるを得なかったスペースを効率的に活用することができ、変倍光学系の更なるコンパクト化が図れるようになる。加えて、レンズ同士を接合させることで、不要な面間反射光を抑える効果もある。
上記構成において、前記第1レンズ群が、接合レンズを含むことが望ましい
光軸方向のコンパクト化を図ろうとすると第1レンズ群内の偏芯誤差感度が上昇し、鏡筒のメカ精度向上や第1レンズ群内でのレンズ間調整が必要になる。しかし、第1レンズ群に接合レンズを配置することにより、第1レンズ群内の各レンズ面の偏芯誤差感度を大幅に低減でき、仮にレンズ間調整が必要な場合でも感度バランスを良好に保つことができる。また、第1レンズ群の鏡筒構成を簡略化できるようになり、この結果、従前では光学的には不利でもメカ的な制約のために広げざるを得なかったスペースを効率的に活用することができ、変倍光学系の更なるコンパクト化が図れるようになる。加えて、レンズ同士を接合させることで、不要な面間反射光を抑える効果もある。
上記構成において、少なくとも1枚の樹脂材料製レンズを有することが望ましい。この構成によれば、樹脂材料製レンズを用いることで、安定した品質での大量生産が可能となり、大幅なコストダウンを図ることができる。
上記構成において、前記樹脂材料製レンズは、樹脂材料中に最大長が30ナノメートル以下の無機粒子を分散させてなる素材を用いて成形したレンズであることが望ましい
一般に透明な樹脂材料に微粒子を混合させると、光の散乱が生じ透過率が低下するため、光学材料として使用することは困難である。しかし、微粒子の大きさを透過光束の波長より小さくすることにより、散乱が実質的に発生しないようにできる。樹脂材料は温度が上昇することにより屈折率が低下してしまうが、無機微粒子は温度が上昇すると屈折率が上昇する。そこで、これらの温度依存性を利用して互いに打ち消しあうように作用させることにより、屈折率変化がほとんど生じないようにすることができる。具体的には、母材となる樹脂材料に最大長が30ナノメートル以下の無機粒子を分散させることで、屈折率の温度依存性が極めて低い樹脂材料とすることができる。例えばアクリルに酸化ニオブ(Nb)の微粒子を分散させることで、温度変化による屈折率変化を小さくすることができる。従って、少なくとも1枚のレンズに、このような無機粒子を分散させた樹脂材料を用いることにより、本発明に係る変倍光学系の全系の環境温度変化に伴うバックフォーカスずれを小さく抑えることができる。
上記構成において、前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群内の正レンズが、前記樹脂材料製レンズとされていることが望ましい
この構成によれば、第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群内の正レンズが樹脂材料で構成されるので、コンパクト性を損ねることなくコストダウンを図ることが可能となる。また、前記正レンズが温度変化時にバックフォーカスに影響を与えるため、30ナノメートル以下の無機粒子を分散させた材料とした場合には、この影響を大幅に軽減することができる。
本発明の他の局面に係る撮像レンズ装置は、上記のいずれかに記載の変倍光学系と、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、前記変倍光学系が前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成可能とされていることを特徴とする。この構成によれば、携帯電話機や携帯情報端末等に搭載可能なコンパクトでかつ高精細でありながら、変倍が可能な撮像レンズ装置を実現し得る。
本発明のさらに他の局面に係るデジタル機器は、上記の撮像レンズ装置と、前記撮像レンズ装置及び撮像素子に被写体の静止画撮影及び動画撮影の少なくとも一方の撮影を行わせる制御部とを具備し、前記撮像レンズ装置の変倍光学系が、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成可能に組み付けられていることを特徴とする。なお、前記デジタル機器は、携帯端末であることが望ましい。これらの構成によれば、高精細を保ったままで変倍可能な撮像レンズ装置を搭載したデジタル機器を実現し得る。なお、前記携帯端末とは、携帯電話機や携帯情報端末等に代表される、携帯することを常態とするデジタル機器のことである。
本発明によれば、十分なコンパクト化を達成しつつ、レンズ製造難易度を従来と同程度に抑えた変倍光学系を提供できるようになり、特に変倍比が2〜3倍程度の変倍光学系、及びこれを搭載した撮像レンズ装置若しくはデジタル機器を、安価に、且つ小型化が十分達成された態様で提供することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
<変倍光学系の構成の説明>
図1は、本発明に係る変倍光学系1の構成例を示す光路図(広角端の光路図)である。この変倍光学系1は、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子15の受光面上に被写体Hの光学像を形成するものであって、物体側(被写体H側)から順に、負の光学的パワーを有する第1レンズ群11、正の光学的パワーを有する第2レンズ群12、正の光学的パワー(負の光学的パワーを有するものでも良い)を有する第3レンズ群13が配列され、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群11と前記第2レンズ群12との間隔が狭くなる変倍光学系である。
ここでは、第1レンズ群11が、両凹の負レンズ111と物体側に凸の正メニスカスレンズ112とから構成され、第2レンズ群12が、両凸正レンズ121と物体側に凸の負メニスカスレンズ122とから構成され、また第3レンズ群13が物体側に凸の正メニスカスレンズ131のみで構成されている例を示している。なお、第2レンズ群12の物体側には光学絞り14が配置されている。このような変倍光学系1の像側には、ローパスフィルタ16を介して撮像素子15が配置され、これにより被写体Hの光学像が、変倍光学系1によりその光軸AXに沿って適宜な変倍比で撮像素子15の受光面まで導かれ、撮像素子15により前記被写体Hの光学像が撮像されるものである。
本発明においては、上述の変倍光学系1で例示したように、第1レンズ群11は、少なくとも1枚の負レンズ(負レンズ111)と少なくとも1枚の正レンズ(正メニスカスレンズ112)とを含んで構成され、第2レンズ群は3枚以下のレンズ(両凸正レンズ121及び負メニスカスレンズ122)からなる構成とされている。このような構成の変倍光学系1によれば、最も物体側に位置する第1レンズ群11が負の光学的パワーを持つ負リードの構成とされているので、変倍比が2〜3倍程度のズームレンズにおいて光学全長や前玉径のサイズのコンパクト化を図る点で有利となる。また、第1レンズ群11が負レンズ111と正メニスカスレンズ112とを有しているので、倍率色収差を良好に補正することができる。さらに、第2レンズ群12が両凸正レンズ121及び負メニスカスレンズ122の2枚のレンズで構成されているので、変倍時において移動量が大きくなる第2レンズ群12の駆動装置の負荷を減らし、レンズ枚数削減によるコスト低減を達成できる。
さらに変倍光学系1は、第1レンズ群11のレンズ最前面11aから第1レンズ群11のレンズ最後面11bまでの光軸AX上の厚みをD1、当該変倍光学系1の広角端での全光学系の合成焦点距離をfw、第2レンズ群12の合成焦点距離をf2とするとき、上記条件式(1)、(2)で示したように、D1/fw、f2/fwが、
0.5<D1/fw<0.8
0.7<f2/fw<2.0
の関係を満たすように構成される。これにより、レンズの製造難易度が高くならないようにしつつ、コンパクト性に優れ、良好な光学性能を備える変倍光学系1が提供できるようになる。
若しくは変倍光学系1は、第1レンズ群11内の正レンズである正メニスカスレンズ112の像側面(図1の例では前記レンズ最後面11bが相当)において、面頂点を基準とする最大有効半径でのサグ量を△Z1pi、正メニスカスレンズ112の像側面における最大有効半径をd1pi、上記と同様に当該変倍光学系1の広角端での全光学系の合成焦点距離をfw、第2レンズ群12の合成焦点距離をf2とするとき、上記条件式(3)、(4)で示したように、|△Z1pi/d1pi|、f2/fwが、
|△Z1pi/d1pi|<0.2
0.7<f2/fw<2.0
の関係を満たすように構成される。このような構成によっても、レンズの製造難易度が高くならないようにしつつ、コンパクト性に優れ、良好な光学性能を備える変倍光学系1が提供できるようになる。
ここで、上記条件式(1)におけるD1/fwの関係を、下記(1)’の条件式を満たすようにすることが望ましい。
0.6<D1/fw<0.8 ・・・(1)’
D1/fwが上記条件式(1)’の下限を下回ると、第1レンズ群11内の各レンズの光学的パワーが弱くなり、像点補正のための移動量が増加する傾向が顕著となる。
また、上記条件式(1)、並びに(4)におけるf2/fwの関係を、下記(2)’の条件式を満たすようにすることが望ましい。
0.8<f2/fw<1.8 ・・・(2)’
f2/fwが上記条件式(2)’の上限を上回ると、第2レンズ群12のパワーが弱いことに起因して、変倍のために必要な第2レンズ群12の移動量が増加し、光学全長が長くなる。一方、条件式(2)’の下限を下回ると、第2レンズ群12の偏芯誤差感度が高いことに起因して、レンズ間の調整が必須とならざるを得ず、製造コストが高くなる。
さらに、上記条件式(3)における|△Z1pi/d1pi|の関係を、下記(3)’の条件式を満たすようにすることが望ましい。
|△Z1pi/d1pi|<0.15 ・・・(3)’
|△Z1pi/d1pi|が上記条件式(3)’の上限を上回ると、図1に示した光学絞り14のような独立した絞り部材を配置することが困難となり、鏡筒の構成を複雑化したり、鏡筒設計の自由度が規制されてしまったりする不都合が顕在化する。
以下、第1〜第3レンズ群11〜13各々についての望ましい構成、変倍光学系1全体としての望ましい構成等につき順次説明する。
[第1レンズ群11について]
第1レンズ群11は、その群内において最も物体側に位置する負レンズである負レンズ111が、当該負レンズ111の光軸方向における厚みの最大値をT1e、負レンズ111の光軸AX上での厚みをT1cとするとき、上記条件式(5)で示したように、T1e/T1cが
1<T1e/T1c<4
の関係を満たすように構成されることが望ましい。これにより、製造難易度や光学性能の面で一層優れた変倍光学系とすることができる。特に、下記条件式(5)’で示される条件を満たす第1レンズ群11とすることがより望ましい。
2<T1e/T1c<4 ・・・(5)’
T1e/T1cが上記条件式(5)’の下限を下回ると、像面湾曲、非点収差の補正が十分に行えない傾向がある。
第1レンズ群11は、図1に示したように、物体側から順に、1枚の負レンズ(両凹の負レンズ111)と1枚の正レンズ(正メニスカスレンズ112)とからなり、正メニスカスレンズ112の焦点距離をf1p、負レンズ111の焦点距離をf1nとするとき、上記条件式(7)で示したように、|f1n/f1p|が
0.2<|f1n/f1p|<0.5
の関係を満たすように構成されることが望ましい。これにより、非点収差、歪曲収差の補正が十分に行え、また製造難易度の面でも優れた変倍光学系1とすることができる。
とりわけ、レンズ構成を物体側から順に、両凹の負レンズ111と物体側に凸の正メニスカスレンズ112との2枚構成とすることで、広角端でのバックフォーカス確保が容易となり、また広画角な光線の軸外収差を良好に補正することができるようになる。さらに、物体側に凸の正メニスカスレンズを配置することで、非点収差を良好に補正し、像面性を改善することが可能となる。なお、両凹の負レンズ111に代えて、物体側に凸の負メニスカスレンズを用いるようにしても良い。
このようなレンズ構成の場合、正メニスカスレンズ112の屈折率をN1p、アッベ数をν1p、負レンズ111のアッベ数をν1nとするとき、上記条件式(9)、(10)で示したように、N1p、|ν1p−ν1n|が
N1p>1.7
|ν1p−ν1n|>20
の関係を満たすように構成されることが望ましい。これにより、コンパクト化の面、倍率色収差の補正の面において有利な変倍光学系1とすることができる。
さらに、上記条件式(9)におけるN1pを、下記(9)’の条件式を満たすようにすることが望ましい。
N1p>1.75 ・・・(9)’
N1pが条件式(9)’の下限を下回ると、コンパクト化を追求した場合に非点収差、歪曲収差の補正が難しくなる。また、コンパクト性を維持しつつ所要の光学的パワーを得ようとすると、レンズの曲率半径を小さくする必要があることから発生する収差が大きくなり、また製造難易度も増加するようになる。
第1レンズ群11は、接合レンズを含む構成(図1の場合ならば、負レンズ111と正メニスカスレンズ112とが接合されている態様)とすることが望ましい。第1レンズ群11に接合レンズを含ませることにより、第1レンズ群11内の各レンズ面の偏芯誤差感度を大幅に低減でき、仮にレンズ間調整が必要な場合でも感度バランスを良好に保つことができる。また、第1レンズ群11の鏡筒構成を簡略化できる。
また、第1レンズ群11は、下記(13)、(14)の条件式を満たすことが望ましい。
1.5<|f1/fw|<3.5 ・・・(13)
0.5<|f1/ft|<1.5 ・・・(14)
但し、f1:第1レンズ群11の合成焦点距離
fw:広角端での全光学系の合成焦点距離
ft:望遠端での全光学系の合成焦点距離
条件式(13)、(14)の上限を上回ると、特に広角端での非点収差、歪曲収差の補正が不十分となる。また条件式(13)、(14)の下限を下回ると、第1レンズ群11を構成する各レンズのパワーが非常に高くなって、製造が困難になる。また発生する倍率色収差を十分に補正できない傾向が顕著となる。
さらに、第1レンズ群11は、下記(13)’、(14)’の条件式を満たすことがより望ましい。
1.8<|f1/fw|<3.0 ・・・(13)’
0.6<|f1/ft|<1.2 ・・・(14)’
条件式(13)’、(14)’の上限を上回ると、第1レンズ群11の負パワーが弱くなって前玉径の増大につながり、下限を下回ると、特に望遠端での第1レンズ群11の誤差感度が上昇し、レンズ間の調整作業が必要となる。
[第2レンズ群12について]
第2レンズ群12は、図1に示すように、物体側から順に、1枚の正レンズ(両凸正レンズ121)と1枚の負レンズ(負メニスカスレンズ122)とからなり、第2レンズ群内12の正レンズの焦点距離をf2p、第2レンズ群12内の負レンズの焦点距離をf2nとするとき、上記条件式(8)で示したように、|f2n/f2p|が、
0.7<|f2n/f2p|<1.8
の関係を満たしていることが望ましい。かかるレンズ構成とすることで球面収差と軸上色収差の十分な補正が行われ、また、物体側から正負の順で配置することで第2レンズ群12の主点位置が第1レンズ群11側に近付き、これにより変倍作用を保ったまま第2レンズ群12の実質的パワーを軽減させることができるので、誤差感度の低減作用が期待できる。さらに、条件式(8)を満足することで、球面収差の補正が十分に行えると共に、倍率色収差を抑制することができる。
特に、下記条件式(8)’で示される条件を満たす第2レンズ群12とすることがより望ましい。
0.9<|f2n/f2p|<1.5 ・・・(8)’
条件式(8)’の上限又は下限を超えると、球面収差、軸上色収差、倍率色収差の補正のために正レンズと負レンズ双方のパワーが強くなり、製造誤差感度が高くなって生産性
が悪化する傾向がある。
第2レンズ群12は、図1に示すように、物体側から順に、両凸正レンズ121と、像側に強い凹面を向けた負メニスカスレンズ122との2枚のレンズで構成されることが望ましい。なお、負メニスカスレンズ122に代えて、像側に強い凹面を向けた両凹レンズを用いるようにしても良い。両凸正レンズ121を配置することで、第2レンズ群12のパワーを強め、変倍時の移動量を減らすことができる。さらに、負メニスカスレンズ122について、像側に強い凹面を向けることで、非点収差と色収差の補正が良好に行えるようになる。
この場合、両凸正レンズ121(第2レンズ群12内の正レンズ)の屈折率をN2p、アッベ数をν2pとし、また、負メニスカスレンズ122(第2レンズ群12内の負レンズ)の屈折率をN2n、アッベ数をν2nとするとき、上記条件式(11)、(12)で示したように、|N2p−N2n|、|ν2p−ν2n|が、
|N2p−N2n|>0.15
|ν2p−ν2n|>30
の関係を満たすように構成されることが望ましい。これにより、非点収差を抑制し、軸上色収差の補正を十分に行えるようになる。
さらに、第2レンズ群12は、下記(15)の条件式を満たすようにすることが望ましい。
0.3<f2/ft<0.9 ・・・(15)
条件式(15)の上限を上回ると、第2レンズ群12のパワーが弱すぎて2〜3倍程度の変倍比を得ることが困難となる。また、条件式(15)の下限を下回ると、第2レンズ群12の誤差感度が非常に高くなり、製造の困難性が高くなる。
特に、下記条件式(15)’で示される条件を満たす第2レンズ群12とすることがより望ましい。
0.4<f2/ft<0.8 ・・・(15)’
条件式(15)’の上限を上回ると、第2レンズ群12のパワーが弱いため、変倍に必要な第2レンズ群12の移動量が増加し、光学全長が長くなってコンパクト化には不向きになる。また、条件式(15)’の下限を下回ると、第2レンズ群12の偏芯誤差感度が高くなってレンズ間の調整作業が必要となり、コスト高となる。
第2レンズ群12は、接合レンズを含む構成(図1の場合ならば、両凸正レンズ121と負メニスカスレンズ122とが接合されている態様)とすることが望ましい。第2レンズ群12に接合レンズを含ませることにより、第2レンズ群12内における各レンズ面の各誤差感度を大幅に低減でき、また第2レンズ群12の鏡筒構成を簡略化できる。
さらに、第2レンズ群12に含まれる正レンズ(図1の場合ならば、両凸正レンズ121)の少なくともいずれか一面に、非球面を設けていることが望ましい。これにより、コンパクト化に伴う第2レンズ群12のパワー増大により発生する球面収差とコマ収差を良好に補正することができるようになる。
[第3レンズ群13について]
本発明に係る変倍光学系1は、図1に例示したように、第2レンズ群12の像側に第3レンズ群13が配置されていても良い。この場合、第3レンズ群13は、図1に示した正メニスカスレンズ131のように、正の光学的パワーを有するものであることが望ましい。これにより、変倍光学系1が第1〜第3レンズ群11〜13による負正正の光学系として構成されるようになり、第2レンズ群12の移動量が少なくて済むことからコンパクト化に有利となる。また、第3レンズ群13により像面(撮像素子15の受光面)への軸外光線の入射角度をテレセントリックに近づけることができるようになる。
第3レンズ群13は、図1に示すように、物体側に凸の正メニスカスレンズ131の1枚構成とすることが望ましい。これにより、レンズの主点位置を像面から遠ざけることができ、像面入射角を緩める効果があることから、変倍光学系1の超小型化を図る場合に有利となる。
上記のように、第3レンズ群13が1枚の正レンズ(正メニスカスレンズ131)で構成される場合、下記(16)の条件式を満たすようにすることが望ましい。
νp<40 ・・・(16)
但し、νp:第3レンズ群13を構成する正レンズのアッベ数の最小値
このように、正メニスカスレンズ131をνp<40の関係を満たす高分散材料で構成することで、変倍光学系1をコンパクト化すべく第2レンズ群12の光学的パワーを増大させた場合でも、望遠端で発生する倍率色収差を十分に補正できるようになる。
なお、撮像素子15として、高画素・微小画素ピッチのものを用いた場合にも十分に倍率色収差を補正させるためには、アッベ数の最小値νpを、下記(16)’の条件式を満たすようにすることが望ましい。
νp<32 ・・・(16)’
アッベ数の最小値νpを32未満とすることで、高画素・微小画素ピッチの撮像素子15を用いた場合でも、倍率色収差の補正不足は問題とならず、十分なコントラストを担保した撮像が行えるようになる。
また、正メニスカスレンズ131は、下記条件式(17)で示される条件を満たすものとすることがより望ましい。
4<fp/fw<7 ・・・(17)
但し、fp:前記正レンズの焦点距離
条件式(17)の上限を上回ると、像面入射角をテレセントリックに近付けるために非球面が必須となり、また非球面サグ量も大きくなる傾向があり、製造コストが高くなる。一方、条件式(17)の下限を下回ると、広角端と望遠端での像面入射角の隔差が大きくなって周辺照度低下を招く傾向がある。
ここで、先に定義した非球面サグ量について、図2に基づいて説明を加えておく。いま、光軸方向を横軸、レンズ径方向を縦軸とし、この横軸と縦軸との交点を面頂点aとする。さらに、球面の曲線がp1、非球面の曲線がp2で示され、これら球面及び非球面のレンズとしての最大有効半径をrとする。この場合、球面サグ(sag/sagitta)量は、レンズの面頂点aと最大有効半径rに対する球面の曲線p1上の点との間の光軸方向の距離となる。そして、非球面サグ量とは、レンズの面頂点aと最大有効半径rに対する非球面の曲線p2上の点との間の光軸方向の距離と、前記球面サグ量との差分を表すパラメータである。
[変倍光学系の各種好ましい態様について]
変倍光学系1は、上記条件式(6)に示したように、Lb/fWの関係が、
Lb/fW<1.5
とされていることが望ましい。これにより、長いバックフォーカスを確保するために第1レンズ群11の負パワーを強める必要がなく、前記負レンズ111の曲率を大きくせずに済むことから、製造難易度が高くなることを抑止できる。
また、図1に示すように、第1〜第3レンズ群11〜13の3つのレンズ群のみから構成されている変倍光学系1は、好ましいレンズ構成の一つである。このように、レンズ群数やレンズ枚数を極力減らすことで、他の変倍光学系よりもコンパクト化を図ることができる。なお、図1に示した負正正の3成分の変倍光学系1では、第3レンズ群13は、第1レンズ群11や第2レンズ群12に比べて光学的パワーが小さいことから1枚のレンズで構成することが比較的容易であり、これにより一層のコンパクト化を図ることが可能となる。
このような負正正の3成分の変倍光学系1を採用した場合、第3レンズ群13は、広角端から望遠端への変倍時に固定されるようにすることが望ましい。第3レンズ群13を変倍時固定とすることで、その鏡筒機構が簡略化でき、位置精度も向上させることが可能となる。
変倍光学系1の第1レンズ群11及び第2レンズ群12は、各々3枚以下のレンズで構成することが望ましい。これにより、一般にレンズ外径が大きくなる第1レンズ群11、変倍時の移動量が大きい第2レンズ群12の駆動装置の負荷を減らすことが可能となり、レンズ枚数削減によるコスト低減を達成することができる。このような観点からも、図1に示した変倍光学系1は好ましいレンズ構成を備えている。
図1の変倍光学系1に示すように、第2レンズ群12の物体側に光学絞り14(開口絞り)を配置し、その絞り径を固定とすることが望ましい。まず、光学絞り14の配置位置を第2レンズ群12の物体側とすることで、第1レンズ群11の前玉径を極力小さくすることができる。さらに、絞り径を固定とすることで、第1レンズ群11と第2レンズ群12との間隔を必要以上に広げる必要がなくなり、光軸方向の薄肉化が達成できるようになる。
また、変倍光学系1は、下記(18)の条件式を満たすことが望ましい。
0.1<Y’/TL<0.3 ・・・(18)
但し、Y’:最大像高
TL:変倍域全域において、最も物体側面の面頂点から像面までの光軸上距離の最大値
条件式(18)の上限を上回ると、変倍を行う第2レンズ群12の移動量が小さくなるため、第2レンズ群12のパワーが強くなりすぎて、第2レンズ群12を構成する各レンズの曲率半径等の製造要件を満たすことが困難となる。また、条件式(18)の下限を下回ると、サイズ面から携帯端末等への搭載が難しくなる。
この場合、特に下記(18)’の条件式を満たすことがより望ましい。
0.13<Y’/TL<0.2 ・・・(18)’
条件式(18)’の上限を上回ると、第2レンズ群12のパワーが強くなり、第2レンズ群12内の誤差感度の上昇を招くことになり、レンズ間調整が必要となってコスト高となる。一方、条件式(18)’の下限を下回ると、光学系のサイズアップだけでなく、変倍時の移動量増加に伴う駆動系の負荷も大きくなり、結果として駆動装置が大型化してしまう傾向がある。
さらに、変倍光学系1は、下記(19)の条件式を満たすことが望ましい。
0.2<t2/TL<0.4 ・・・(19)
但し、t2:広角端から望遠端への変倍時に第2レンズ群が移動する距離
条件式(19)の上限を上回ると、スミア防止に効果のあるメカニカルシャッタを配置するスペースが確保できず、また鏡筒構成も駆動群同士の接触を避けるため、複雑な形状となりコスト高となる。また、条件式(19)の下限を下回ると、第2レンズ群12の偏芯誤差感度が高くなって製造が困難となる傾向がある。
また、変倍光学系1は、下記(20)、(21)の条件式を満たすことが望ましい。
10<αw<25 ・・・(20)
|αw−αt|<15 ・・・(21)
但し、αw:広角端において、撮像素子15の撮像面への入射光線のうち最大像高での主光線の、像面に立てた垂線に対する角度(deg)
αt:望遠端において、撮像素子15の撮像面への入射光線のうち最大像高での主光線の、像面に立てた垂線に対する角度(deg)
なお、ここでのαw(deg)、αt(deg)は、図3に示す方向を正の方向と定義する。すなわち、図3の左側を物体側とし、右側を像側として、射出瞳位置が像面よりも物体側にある場合の主光線の角度を正方向とする。
上記条件式(20)の上限を上回ると、撮像素子15への光線入射角のテレセントリック性が崩れ、撮像面手前に各画素に対応したレンズアレイを配置したとしても、周辺照度の低下を防ぐことが困難となる。一方、条件式(20)の下限を下回ると、広画角を確保しつつコンパクト化を図ることが困難となる。また、上記条件式(21)の上限を上回ると、広角端と望遠端とにおける入射角の差異が大きくなりすぎ、レンズアレイの最適化を図ることが困難となり、広角端又は望遠端のいずれかにおいて周辺照度の低下が生じる傾向が顕著となる。
次に、変倍光学系1のフォーカシング構成について、第1レンズ群11を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われるようにすることが望ましい。第1レンズ群11を移動させることに伴う諸収差の変動は比較的小さいことから、フォーカシングによる性能劣化を抑制できるからである。また、第1レンズ群11の移動量に対するバックフォーカスの変動も大きいため、少ない移動量でレンズ前数cm程度まで良好なフォーカシング性能を得ることが可能となる。
また、第3レンズ群13又は第3レンズ群より像側のレンズ群を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われるようにしても良い。この場合、繰り出しによる光学全長の増加や前玉レンズ径の増大を招くことなく、近距離物体まで鮮明な画像を得ることができる。なお、フォーカシングに際し、第1レンズ群11を移動させるか、或いは第3レンズ群13(又は第3レンズ群より像側のレンズ群)を移動させるかは、光学仕様によって使い分ければよい。すなわち、マクロ機能を強化させる場合には第1レンズ群11が移動されるようにし、コンパクト化が優先される場合は第3レンズ群13が移動されるようにすればよい。
なお、第3レンズ群13を正のレンズ群にて構成し、且つ第3レンズ群13でフォーカス動作を行わせる場合、この第3レンズ群13よりも像面側の第4レンズ群を負のレンズ群とすることが望ましい。この構成とすれば、特に望遠端での近距離物体に対する光学性能を大幅に改善することができる。また望遠端での射出瞳位置を、撮像面より物体側に配置することができ、結果として広角端と望遠端での撮像面光線入射角度差を小さくすることができる。
次に、変倍光学系1の製法に関し、上記第1〜第3レンズ群11〜13を構成する各レンズの材質については特に制限はなく、各種ガラス材料や樹脂(プラスチック)材料からなる光学材料を用いることができる。しかし、樹脂材料を用いれば、軽量で、且つインジェクションモールド等により大量生産が可能であることから、ガラス材料で作製する場合に比して、コストの抑制や変倍光学系1の軽量化の面で有利である。従って、変倍光学系1に、少なくとも1枚の樹脂材料製レンズを具備させることが望ましい。勿論、2枚以上の樹脂材料製レンズを具備させても良い。
なお、樹脂材料製レンズを少なくとも2枚用いる場合には、第1レンズ群11中の負レンズ(図1の場合は負レンズ111)と、第3レンズ群13中の正レンズ(正メニスカスレンズ131)を樹脂材料にて構成することが望ましい。この場合、環境温度変化に伴うバックフォーカスずれを小さく抑えることができる。
この樹脂材料製レンズとしては、樹脂材料中に最大長が30ナノメートル以下の無機粒子を分散させてなる素材を用いて成形したレンズを用いることが望ましい。このような樹脂材料製レンズを用いることで、上述した通り樹脂材料製レンズの温度変化による屈折率変化を極めて小さくすることができる。
ここで、屈折率の温度変化について詳細に説明する。屈折率の温度変化Aは、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度tで微分することにより、下記(22)式にて表すことができる。
Figure 0004802658
樹脂材料の場合は、一般に(22)式中の第1項に比べ第2項の寄与が小さく、ほぼ無視できる。例えば、PMMA樹脂の場合、線膨張係数αは7×10−5であり、上記(22)式に代入すると、A=−1.2×10−4[/℃]となり、実測値とおおむね一致する。具体的には、従来は−1.2×10−4[/℃]程度であった屈折率の温度変化Aを、絶対値で8×10−5[/℃]未満に抑えることが好ましい。好ましくは絶対値で6×10−5[/℃]未満にすることが好ましい。6×10−5[/℃]未満にすることで、環境温度変化時におけるバックフォーカス変動量を約半分に抑制することが可能となる。なお、上記変倍光学系1に適用可能な樹脂材料の屈折率の温度変化A(=dn/dT)を表1に示す。
Figure 0004802658
この場合、第3レンズ群13又は第3レンズ群より像側のレンズ群内の正レンズを、上述のような樹脂材料製レンズとすることが望ましい。これにより、コンパクト性を損ねることなくコストダウンを図ることが可能となる。また、前記正レンズが温度変化時にバックフォーカスに影響を与えるため、30ナノメートル以下の無機粒子を分散させた材料とした場合には、この影響を大幅に軽減することができる。
変倍光学系1は、空気と面している全てのレンズ面が、非球面であるレンズ構成とすることが望ましい。これにより、変倍光学系1のコンパクト化と高画質化の両立を図ることが可能となる。
変倍光学系1において、非球面ガラスレンズを用いる場合、その非球面ガラスレンズをモールドで成形しても構わないし、或いはガラス材料と樹脂材料との複合型としても勿論構わない。モールドタイプは大量生産に向く反面、硝材が限定されてしまう。一方の複合型は、基板と成り得るガラス材料が非常に多く、設計の自由度が高い利点がある。高屈折材料を用いた非球面レンズは、一般的にモールド成形が難しいので、片面非球面の場合には複合型の利点を最大限活用することができる。
また、変倍光学系1は、光学絞り14の代わりに、撮像素子15に対して遮光を行う機能を有するメカニカルシャッタを配置しても良い。かかるメカニカルシャッタは、例えば撮像素子15としてCCD(Charge Coupled Device)方式のものが用いられた場合に、
スミア防止に効果がある。
変倍光学系1に備えられている各レンズ群や絞り、シャッター等の駆動の駆動源としては、従来公知のカム機構やステッピングモータを用いることができる。また、移動量が少ない場合や駆動群の重量が軽い場合には、超小型の圧電アクチュエータを用いれば、駆動部の体積や電力消費の増加を抑えつつ、各群を独立に駆動させることも可能で、変倍光学系1を含む撮像レンズ装置の更なるコンパクト化が図れるようになる。
図1に示したような、物体側から順に、負レンズ(負レンズ111)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(正メニスカスレンズ112)から成る第1レンズ群11、両凸レンズ(両凸正レンズ121)、負レンズ(負メニスカスレンズ122)から成る第2レンズ群12、正レンズ(正メニスカスレンズ131)から成る第3レンズ群13を含む変倍光学系1は、最も好ましいレンズ構成の一つである。すなわち、第2レンズ群12を物体側から順に正負の順とすることで、第2レンズ群12の主点位置を第1レンズ群11側に近付けることにより、変倍作用を保ったまま第2レンズ群12の実質的パワーを軽減し誤差感度低減を行うことができる。また、両凸レンズを配置することで、第2レンズ群12のパワーを強め、変倍時の移動量を減らすことができる。さらに、第3レンズ群13を正レンズとすることで、撮像素子15の受光面への軸外光線入射角度をテレセントリックに近付けることができるという利点がある。
撮像素子15は、当該変倍光学系1により結像された被写体Hの光像の光量に応じて、R、G、B各成分の画像信号に光電変換して所定の画像処理回路へ出力するものである。例えば撮像素子15としては、CCDが2次元状に配置されたエリアセンサの各CCDの表面に、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが市松模様状に貼り付けられた、いわゆるベイヤー方式と呼ばれる単板式カラーエリアセンサで構成されたものを用いることができる。このようなCCDイメージセンサの他、CMOSイメージセンサ、VMISイメージセンサ等も用いることができる。
ローパスフィルタ16は、撮像素子15の撮像面上に配置され、ノイズ成分を除去する平行平板状の光学部品である。このローパスフィルタ16として、例えば所定の結晶軸方向が調整された水晶等を材料とする複屈折型ローパスフィルタや、必要とされる光学的な遮断周波数特性を回折効果により実現する位相型ローパスフィルタ等が適用可能である。なお、ローパスフィルタ16は必ずしも備える必要はなく、また、前述の光学的なローパスフィルタ16に代えて、撮像素子15の画像信号に含まれるノイズを低減するために赤外線カットフィルタを用いるようにしてもよい。さらに、光学的ローパスフィルタ16の表面に赤外線反射コートを施して、両方のフィルター機能を一つで実現してもよい。
<変倍光学系を組み込んだデジタル機器の説明>
次に、以上説明したような変倍光学系1が組み込まれたデジタル機器について説明する。図4は、本発明に係るデジタル機器の一実施形態を示す、カメラ付携帯電話機2の外観構成図である。なお、本発明において、デジタル機器としては、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオユニット、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ、又はこれらの周辺機器(マウス、スキャナ、プリンタ等)を含むものとする。
図4(a)は、携帯電話機2の操作面を、図4(b)は、操作面の裏面、つまり背面を表している。携帯電話機2には、上部にアンテナ21、操作面には、長方形のディスプレイ22、画像撮影モードの起動及び静止画と動画撮影の切り替えを行う画像切替ボタン23、変倍(ズーミング)を制御する変倍ボタン24、シャッターボタン25及びダイヤルボタン26が備えられている。変倍ボタン24は、その上端部分に望遠を表す「T」の印字が、下端部分に広角を表す「W」の印字がされ、印字位置が押下されることで、それぞれの変倍動作が指示可能な2接点式のスイッチ等で構成されている。さらに、この携帯電話機2には、先に説明した変倍光学系1によって構成された撮像レンズ装置27が内蔵されている。
図5は、上記携帯電話機2の撮像に係る電気的な機能構成を示す機能ブロック図である。この携帯電話機2は、撮像機能のために、撮像部30、画像生成部31、画像データバッファ32、画像処理部33、駆動部34、制御部35、記憶部36、及びI/F部37を備えて構成される。
撮像部30は、撮像レンズ装置27と撮像素子15とを備えて構成される。撮像レンズ装置27は、図1に示したような変倍光学系1と、光軸方向にレンズを駆動し変倍及びフォーカシングを行うための図略のレンズ駆動装置等とを備えて構成される。被写体からの光線は、変倍光学系1によって撮像素子15の受光面上に結像され、被写体Hの光学像となる。
撮像素子15は、変倍光学系1により結像された被写体の光学像をR(赤),G(緑),B(青)の色成分の電気信号(画像信号)に変換し、R,G,B各色の画像信号として画像生成部31に出力する。撮像素子15は、制御部35の制御により、静止画あるいは動画のいずれか一方の撮像、又は撮像素子15における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)等の撮像動作が制御される。
画像生成部31は、撮像素子15からのアナログ出力信号に対し、増幅処理、デジタル変換処理等を行うと共に、画像全体に対して適正な黒レベルの決定、γ補正、ホワイトバランス調整(WB調整)、輪郭補正及び色ムラ補正等の周知の画像処理を行って、画像信号から各画素の画像データを生成する。画像生成部31で生成された画像データは、画像データバッファ32に出力される。
画像データバッファ32は、画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対し画像処理部33により後述の処理を行うための作業領域として用いられるメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
画像処理部33は、画像データバッファ32の画像データに対し、解像度変換等の画像処理を行う回路である。また、必要に応じて画像処理部33に、変倍光学系1では補正しきれなかった収差を補正させるように構成することも可能である。
駆動部34は、制御部35から出力される制御信号により、所望の変倍及びフォーカシングを行わせるように変倍光学系1の複数のレンズ群を駆動する。
制御部35は、例えばマイクロプロセッサ等を備えて構成され、撮像部30、画像生成部31、画像データバッファ32、画像処理部33、駆動部34、記憶部36及びI/F部37の各部の動作を制御する。すなわち、該制御部35により、被写体の静止画撮影及び動画撮影の少なくとも一方の撮影を、撮像レンズ装置27及び撮像素子15が実行するよう制御される。
記憶部36は、被写体の静止画撮影又は動画撮影により生成された画像データを記憶する記憶回路であり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAMを備えて構成される。つまり、記憶部36は、静止画用及び動画用のメモリとしての機能を有する。
I/F部37は、外部機器と画像データを送受信するインターフェースであり、例えば、USBやIEEE1394等の規格に準拠したインターフェースである。
以上の通り構成された携帯電話機2の撮像動作について説明する。静止画を撮影するときは、まず、画像切替ボタン23を押すことで、画像撮影モードを起動する。ここでは、画像切替ボタン23を一度押すことで静止画撮影モードが起動し、その状態でもう一度画像切替ボタン23を押すことで動画撮影モードに切り替わる。つまり、画像切替ボタン23からの指示を受けた携帯電話機2本体の制御部35が、物体側の被写体の静止画撮影及び動画撮影の少なくとも一方の撮影を撮像レンズ装置27及び撮像素子15に実行させる。
静止画撮影モードが起動すると、制御部35は、撮像レンズ装置27及び撮像素子15に静止画の撮影を行わせるように制御すると共に、撮像レンズ装置27の図略のレンズ駆動装置を駆動し、フォーカシングを行う。これにより、ピントの合った光学像が撮像素子15の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、画像生成部31に出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像処理部33により画像処理が行われた後、表示用メモリ(図略)に転送され、ディスプレイ22に導かれる。そして、撮影者はディスプレイ22を覗くことで、主被写体をその画面中の所望の位置に収まるように調整することができる。この状態でシャッターボタン25を押すことで、静止画像を得ることができる。すなわち、静止画用のメモリとしての記憶部36に画像データが格納される。
このとき、被写体が撮影者から離れた位置にある、あるいは近くの被写体を拡大したいためズーム撮影を行うときには、変倍ボタン24の上端「T」の印字部分を押下すると、その状態が検出され、制御部35は押下時間に応じて変倍のためのレンズ駆動を実行し、変倍光学系1に連続的にズーミングを行わせる。また、ズーミングし過ぎた場合など、被写体の拡大率を下げたい場合には、変倍ボタン24の下端「W」の印字部分を押下することでその状態が検出され、制御部35が変倍光学系1を制御することにより、押下時間に応じて連続的に変倍が行われる。このようにして、撮影者から離れた被写体であっても、変倍ボタン24を用いてその拡大率を調節することができる。そして、通常の等倍撮影と同様、主被写体がその画面中の所望の位置に収まるように調整し、シャッターボタン25を押すことで、拡大された静止画像を得ることができる。
また、動画撮影を行う場合には、画像切替ボタン23を一度押すことで静止画撮影モードを起動した後、もう一度画像切替ボタン23を押して動画撮影モードに切り替える。これにより、制御部35は、撮像レンズ装置27及び撮像素子15を制御し動画の撮影を行わせる。後は静止画撮影のときと同様にして、撮影者はディスプレイ22を覗き、撮像レンズ装置27を通して得た被写体の像が、その画面中の所望の位置に収まるように調整する。このとき、静止画撮影と同様に、変倍ボタン24を用いて被写体像の拡大率を調節することができる。この状態でシャッターボタン25を押すことで、動画撮影が開始される。この撮影中、変倍ボタン24により、被写体の拡大率を随時変えることも可能である。
動画撮影時、制御部35は、撮像レンズ装置27及び撮像素子15に動画の撮影を行わせるように制御すると共に、撮像レンズ装置27の図略のレンズ駆動装置を駆動し、フォーカシングを行う。これにより、ピントの合った光学像がCCD等の撮像素子15の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、画像生成部31に出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像処理部33により画像処理が行われた後、表示用メモリに転送され、ディスプレイ22に導かれる。ここで、もう一度シャッターボタン25を押すことで、動画撮影は終了する。撮影された動画像は、動画用のメモリとしての記憶部36に導かれて格納される。
<変倍光学系のより具体的な実施形態の説明>
以下、図1に示したような変倍光学系1、すなわち図4に示したようなカメラ付携帯電話機2に搭載される撮像レンズ装置27を構成する変倍光学系1の具体的構成を、図面を参照しつつ説明する。
図6は、実施例1の変倍光学系1Aにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図(光路図)である。この図6、及び以下に示す図7〜図13の光路図は、広角端(W)におけるレンズ配置を示している。実施例1及び以下に示す実施例2〜8を通じて、これらのレンズ群は、図の物体側(図6における左側)から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)を含み、さらに実施例8を除き正又は負の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)を含んで構成されている。つまり、最も物体側に位置する第1レンズ群(Gr1)が負の光学的パワーを有する、いわゆる負リードの構成とされている。
図6に示した実施例1の変倍光学系1Aは、各レンズ群が物体側から順に、以下のように構成されている。第1レンズ群(Gr1)は、全体として負の光学的パワーを有し、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)から成る。また、第2レンズ群(Gr2)は、全体として正の光学的パワーを有し、両凸の正レンズ(L3)と物体側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とから成る。この第2レンズ群(Gr2)の物体側には、変倍時に第1レンズ群(Gr1)及び第2レンズ群(Gr2)と共に移動する光学絞り(ST)が備えられている。第3レンズ群(Gr3)は、正の光学的パワーを有する物体側に凸の正メニスカスレンズ(L5)1枚で構成されている。この第3レンズ群(Gr3)の像側には、平行平板(FT)を介して撮像素子(SR)の受光面が配置されている。前記平行平板(FT)は、光学的ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ、撮像素子のカバーガラス等に相当するものである。
なお、上記光学絞り(ST)に代えてメカニカルシャッタを配置するようにしても良い。また、図6では連続的な変倍光学系を示しているが、よりコンパクト化を目指して、同一の光学構成での2焦点切り替え変倍光学系としても良い。特に広角端から望遠端への変倍時に第1レンズ群(Gr1)の移動軌跡がUターン(像側に凸の軌道を描くように移動)し、結果として広角端と望遠端での光学全長が略同一となる場合には、2焦点切り替え変倍光学系とすることで、第1レンズ群(Gr1)を変倍時固定とすることが可能なため駆動機構を含めたユニットサイズの小型化に大きな効果がある。これらの点は、以下に説明する実施例2〜8においても同様である(以下では説明を省略する)。
図6において各レンズ面に付されている番号ri(i=1,2,3,・・・)は、物体側から数えたときのi番目のレンズ面(ただし、レンズの接合面は1つの面として数えるものとする。)であり、riに「*」印が付されている面は非球面であることを示すもの
である。なお、前記光学絞り(ST)、平行平板(FT)の両面、撮像素子(SR)の受光面も1つの面として扱っている。このような扱いは、後述する他の実施例についての光路図(図7〜図13)でも同様で、図中の符号の意味は、基本的に図6と同様である。但し、全く同一のものであるという意味ではなく、例えば、各図を通じて、最も物体側のレンズ面には同じ符号(r1)が付けられているが、これらの曲率等が実施形態を通じて同一であるという意味ではない。
このような構成の下で、物体側から入射した光線は光軸AXに沿って、順に第1、第2及び第3レンズ群(Gr1,Gr2,Gr3)及び平行平板(FT)を通過し、撮像素子(SR)の受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子(SR)において、平行平板(FT)において修正された光学像が電気的な信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が施されて、デジタル映像信号として携帯電話機や携帯情報端末等のメモリに記録されたり、有線あるいは無線により他のデジタル機器に伝送されたりする。
図22(及び図23)は、これらレンズ群の変倍時における移動方向を示した模式図である。この図22(及び図23)には、実施例1のみならず、後述する実施例2以降の各レンズ群の移動方向も同時に示してある。この図22(及び図23)においてもこれまでと同様左側が物体側であり、その物体側から第1レンズ群(Gr1)、第2レンズ群(Gr2)、第3レンズ群(Gr3)及び第4レンズ群(Gr4)の順に並んで配置されている。この図において、符号Wは焦点距離が最も短い、すなわち画角が最も大きい広角端を示しており、符号Tは焦点距離が最も長い、すなわち画角が最も小さい望遠端を示している。また、符号Mは焦点距離が広角端(W)と望遠端(T)との中間(以下、中間点と呼ぶ)を表している。実際のレンズ群は光軸に沿った直線上を移動させられるが、この図においては、広角端(W)、中間点(M)及び望遠端(T)におけるレンズ群の位置を、図の上から下へ並べる形で表している。
図22に示すように、この実施例1では、第1レンズ群(Gr1)及び第2レンズ群(Gr2)が変倍時可動とされ、第3レンズ群(Gr3)が変倍時固定とされている。具体的には、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、第2レンズ群(Gr2)の位置は物体に近付く方向に直線的に移動され、一方第1レンズ群(Gr1)は、像側に凸の軌道を描くように移動される。但し、以下の実施例も含め、これらレンズ群の移動の向きや移動量等は、当該レンズ群の光学的パワーやレンズ構成等に依存して変わり得るものである。例えば、図22において、第2レンズ群(Gr2)のように直線的に移動するように描かれているものであっても、それは物体側又は像側に凸の曲線である場合なども含み、Uターン形状である場合なども含むものである。
実施例1の変倍光学系1Aにおける、各レンズのコンストラクションデータを表2、表3に示す。なお、この変倍光学系1Aでは、すべてのレンズ(L1〜L5)がガラスレンズとされている。さらに、上述した条件式(1)〜(21)を、実施例1の光学系に当てはめた場合のそれぞれの数値を、後掲の表20に示す。なお、表20において、条件式(2)と(4)とは同一の条件式であるので、条件式(4)については記載を省略している。
Figure 0004802658
Figure 0004802658
表2に示したものは、左から順に、各レンズ面の番号、各面の曲率半径(単位はmm)、広角端(W)、中間点(M)及び望遠端(T)における、無限遠合焦状態での光軸上の各レンズ面の間隔(軸上面間隔)(単位はmm)、各レンズの屈折率、そしてアッべ数である。軸上面間隔M、Tの空欄は、左のW欄の値と同じであることを表している。また、軸上面間隔は、対向する一対の面(光学面、撮像面を含む)間の領域に存在する媒質が空気であるとして換算した距離である。ここで、各光学面の番号i(i=1,2,3,…)は、図6に示したように、光路上の物体側から数えてi番目の光学面であり、iに*が付された面は非球面(非球面形状の屈折光学面または非球面と等価な屈折作用を有する面)であることを示す。なお、光学絞り(ST)、平行平面板(FT)の両面及び撮像素子(SR)の受光面の各面は平面であるために、それらの曲率半径は∞である。
光学面の非球面形状は、面頂点を原点、物体から撮像素子に向かう向きをz軸の正の方向とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用い、下記(23)式により定義する。
Figure 0004802658
ただし、z:高さhの位置でのz軸方向の変位量(面頂点基準)
h:z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)
c:近軸曲率(=1/曲率半径)
A,B,C,D,E,F:それぞれ4,6,8,10,12,14次の非球面係数
k:円錐係数
上記(23)式から分かるように、表2に示した非球面レンズに対する曲率半径は、レンズの面頂点付近の値を示している。また表3は、非球面とされている面(表2においてiに*が付された面)の円錐係数kと非球面係数A,B,C,Dの値とをそれぞれ示すものである。
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例1における全光学系の球面収差(LONGITUDINAL SPHERICAL ABERRATION)、非点収差(ASTIGMATISM)、及び歪曲収差(DISTORTION)を、図14の左側から順に示す。この図において、上段は広角端(W)、中段は中間点(M)、下段は望遠端(T)における各収差を表している。また、球面収差と非点収差の横軸は焦点位置のずれをmm単位で表しており、歪曲収差の横軸は歪量を全体に対する割合(%)で表している。球面収差の縦軸は、入射高で規格化した値で示してあるが、非点収差と歪曲収差の縦軸は像の高さ(像高)(単位mm)で表してある。
さらに球面収差の図には、一点鎖線で赤色(波長656.28nm)、実線で黄色(いわゆるd線;波長587.56nm)、そして破線で青色(波長435.84nm)と、波長の異なる3つの光を用いた場合の収差がそれぞれ示してある。また、非点収差の図中、符号sとtはそれぞれサジタル(ラディアル)面、タンジェンシャル(メリディオナル)面における結果を表している。さらに、非点収差及び歪曲収差の図は、上記黄線(d線)を用いた場合の結果である。この図14からわかるように、実施例1のレンズ群は、広角端(W)、中間点(M)、望遠端(T)のいずれにおいても、歪曲収差がほぼ5%以内と優れた光学特性を示している。また、この実施例1における広角端(W)、中間点(M)及び望遠端(T)における焦点距離(単位mm)及びF値を、表18及び表19にそれぞれ示す。これらの表から、本発明では、短焦点で明るい光学系が実現できていることがわかる。
図7は、実施例2の変倍光学系1Bにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例2の変倍光学系1Bは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)及び正の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸の正レンズ(L3)と物体側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とから構成されている。さらに、第3レンズ群(Gr3)は、物体側に凸の正メニスカスレンズ(L5)1枚からなる。
このようなレンズ構成の実施例2に係る変倍光学系1Bにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図22に示したように、第1レンズ群(Gr1)はUターン移動し、第2レンズ群(Gr2)は物体側に直線的に移動し、第3レンズ群(Gr3)は固定とされる。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例2に係る変倍光学系1Bにおける、各レンズのコンストラクションデータを表4及び表5に示す。これらの表及び図7に示すように、この実施例2では、第2〜第5レンズ(L2〜L5)が両面非球面レンズとされ、第1レンズ(L1)が片面非球面レンズとされている。この第1レンズ(L1)は、複合型非球面レンズである。なお、この変倍光学系1Bでは、すべてのレンズ(L1〜L5)がガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
Figure 0004802658
図8は、実施例3の変倍光学系1Cにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例3の変倍光学系1Cは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、第2レンズ群(Gr2)の物体側に配置された光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)及び正の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とから構成されている。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸の正レンズ(L3)と物体側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とから構成されている。さらに、第3レンズ群(Gr3)は、物体側に凸の正メニスカスレンズ(L5)1枚からなる。
このようなレンズ構成の実施例3に係る変倍光学系1Cにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図22に示したように、第1レンズ群(Gr1)はUターン移動し、第2レンズ群(Gr2)は物体側に直線的に移動し、第3レンズ群(Gr3)の位置は固定とされる(広角端全長>望遠端全長)。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例3に係る変倍光学系1Cにおける、各レンズのコンストラクションデータを表6及び表7に示す。これらの表及び図8に示すように、この実施例3では、第1〜第5レンズ(L1〜L5)の全てが両面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Cでは、第5レンズ(L5)が樹脂製レンズとされ、他のレンズはガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
Figure 0004802658
図9は、実施例4の変倍光学系1Dにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例4の変倍光学系1Dは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)、負の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)及び正の光学的パワーを有する第4レンズ群(Gr4)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸正レンズ(L3)と両凹負レンズ(L4)とからなる。第3レンズ群(Gr3)は、物体側に凸の負メニスカスレンズ(L5)1枚からなり、第4レンズ群(Gr4)は、両凸正レンズ(L6)からなる。
このようなレンズ構成の実施例4に係る変倍光学系1Dにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図22に示したように、第2レンズ群(Gr2)は物体側に直線的に移動し、第3レンズ群(Gr3)はUターン移動する。一方、第1レンズ群(Gr1)及び第4レンズ群(Gr4)は固定とされる。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例4に係る変倍光学系1Dにおける、各レンズのコンストラクションデータを表8及び表9に示す。これらの表及び図9に示すように、この実施例4では、全てのレンズ(L1〜L6)が両面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Dでは、第1、5、6レンズ(L1、L5、L6)が樹脂製レンズとされ、その他のレンズはガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
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図10は、実施例5の変倍光学系1Eにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例5の変倍光学系1Eは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)及び正の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)との接合レンズからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸正レンズ(L3)と両凹の負レンズ(L4)との接合レンズからなる。さらに、第3レンズ群(Gr3)は、両凸正レンズ(L5)1枚からなる。
このようなレンズ構成の実施例5に係る変倍光学系1Eにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図23に示したように、第1レンズ群(Gr1)はUターン移動し、第2レンズ群(Gr2)は物体側に、第3レンズ群(Gr3)は像側にそれぞれ直線的に移動する。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例5に係る変倍光学系1Eにおける、各レンズのコンストラクションデータを表10及び表11に示す。これらの表及び図10に示すように、この実施例5では、第1〜4レンズ(L1〜L4)が片面非球面レンズとされ、第5レンズ(L5)が両面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Eでは、第1、2、5レンズ(L1、L2、L5)が樹脂製レンズとされ、他のレンズはガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
Figure 0004802658
図11は、実施例6の変倍光学系1Fにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例6の変倍光学系1Fは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)及び正の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸正レンズ(L3)と物体側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とから構成されている。さらに、第3レンズ群(Gr3)は、両凸の正レンズ(L5)1枚からなる。
このようなレンズ構成の実施例6に係る変倍光学系1Fにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図23に示したように、第1レンズ群(Gr1)はUターン移動し、第2レンズ群(Gr2)は物体側に、第3レンズ群(Gr3)は像側にそれぞれ直線的に移動する(広角端全長>望遠端全長)。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例6に係る変倍光学系1Fにおける、各レンズのコンストラクションデータを表12及び表13に示す。これらの表及び図11に示すように、この実施例6では、第2〜5レンズ(L2〜L5)が両面非球面レンズとされ、第1レンズ(L1)が片面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Fでは、すべてのレンズ(L1〜L5)がガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
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図12は、実施例7の変倍光学系1Gにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例7の変倍光学系1Gは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)及び正の光学的パワーを有する第3レンズ群(Gr3)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸正レンズ(L3)と物体側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とからなる。第3レンズ群(Gr3)は、両凸正レンズ(L5)1枚からなる。
このようなレンズ構成の実施例7に係る変倍光学系1Gにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図22に示したように、第1レンズ群(Gr1)はUターン移動し、第2レンズ群(Gr2)は物体側に直線的に移動し、第3レンズ群(Gr3)は固定とされる。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例7に係る変倍光学系1Gにおける、各レンズのコンストラクションデータを表14及び表15に示す。これらの表及び図12に示すように、この実施例7では、全てのレンズ(L1〜L5)が両面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Gでは、第1、2、5レンズ(L1、L2、L5)が樹脂製レンズとされ、その他のレンズはガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
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図13は、実施例8の変倍光学系1Hにおけるレンズ群の配列を示す、光軸(AX)を縦断した断面図である。この実施例8の変倍光学系1Hは、各レンズ群が物体側から順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群(Gr1)、光学絞り(ST)、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群(Gr2)からなる。さらに詳しくは、第1レンズ群(Gr1)は物体側から順に、両凹の負レンズ(L1)と物体側に凸の正メニスカスレンズ(L2)とからなる。また、第2レンズ群(Gr2)は物体側から順に、両凸正レンズ(L3)と像側に凸の負メニスカスレンズ(L4)とからなる。
このようなレンズ構成の実施例8に係る変倍光学系1Hにおいては、広角端(W)から望遠端(T)への変倍時に、図23に示したように、第1レンズ群(Gr1)は像側に、第2レンズ群(Gr2)は物体側にそれぞれ直線的に移動する。なお、光学絞り(ST)は、変倍時に第2レンズ群(Gr2)と共に移動する。
次に、実施例8に係る変倍光学系1Hにおける、各レンズのコンストラクションデータを表16及び表17に示す。これらの表及び図13に示すように、この実施例8では、全てのレンズ(L1〜L4)が両面非球面レンズとされている。なお、この変倍光学系1Hでは、全てのレンズがガラスレンズとされている。
Figure 0004802658
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以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、上記実施例2〜8の全光学系の球面収差、非点収差、そして歪曲収差を図15〜図21にそれぞれ示す。これらの図において、球面収差の図には、図14と同様に、一点鎖線で赤色、実線で黄色、そして破線で青色と、波長の異なる3つの光を用いた場合の収差がそれぞれ示してある。いずれの実施例におけるレンズ群も、広角端(W)、中間点(M)、望遠端(T)のいずれにおいても、歪曲収差がほぼ5%以内と優れた光学特性を示している。
また、この実施例2〜8の各変倍光学系における広角端(W)、中間点(M)、そして望遠端(T)における焦点距離(単位mm)及びF値を、表18及び表19にそれぞれ示す。これらの表から、実施例1と同様に、短焦点で、明るい光学系が実現できていることがわかる。
Figure 0004802658
Figure 0004802658
また、この実施例2〜8の各変倍光学系に、上述した条件式(1)〜(21)を当てはめた場合のそれぞれの数値を、表20に示す。
Figure 0004802658
以上説明したように、上記実施例1〜8に係る変倍光学系1A〜1Hによれば、とりわけ変倍比が2〜3倍程度の変倍光学系において、変倍域全域にわたって各種の収差が良好に補正され、且つ、(超)小型化が達成できるズームレンズを安価に提供することができるものである。
本発明に係る撮像光学系の構成を模式的に示す図である。 非球面サグ量の定義を示す模式図である。 主光線の像面入射角の定義を示す模式図である。 本発明に係る変倍光学系を搭載したカメラ付携帯電話機の外観構成図であって、(a)は、その操作面を示す外観構成図、(b)は、操作面の裏面を示す外観構成図である。 本発明に係る変倍光学系を具備するデジタル機器の一例としての携帯電話機の撮像に係る機能部の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施例1に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例2に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例3に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例4に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例5に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例6に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例7に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例8に係る変倍光学系の広角端光路図を示す断面図である。 実施例1におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例2におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例3におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例4におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例5におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例6におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例7におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 実施例8におけるレンズ群の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す収差図である。 本発明に係る変倍光学系の各実施例におけるレンズ群の移動方向を示す模式図である。 本発明に係る変倍光学系の各実施例におけるレンズ群の移動方向を示す模式図である。
1、1A〜1H 変倍光学系
11、Gr1 第1レンズ群
12、Gr2 第2レンズ群
13、Gr3 第3レンズ群
Gr4 第4レンズ群
14、ST 光学絞り
15、SR 撮像素子
AX 光軸
2 携帯電話機(デジタル機器)
27 撮像レンズ装置

Claims (20)

  1. 物体側から順に、負の光学的パワーを有する第1レンズ群と、正の光学的パワーを有する第2レンズ群とを含み、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が狭くなる変倍光学系において、
    前記第1レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ又は物体側に凸の負メニスカスレンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとの2枚のレンズからなり、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなり、
    下記(1)、(2)、(8)、(9)、(10)の条件式を満たすことを特徴とする変倍光学系。
    0.5<D1/fw<0.8 ・・・(1)
    0.7<f2/fw<2.0 ・・・(2)
    但し、D1:前記第1レンズ群のレンズ最前面から前記第1レンズ群のレンズ最後面までの光軸上の厚み
    fw:広角端での全光学系の合成焦点距離
    f2:前記第2レンズ群の合成焦点距離
    0.7<|f2n/f2p|<1.8 ・・・(8)
    但し、f2p:前記第2レンズ群内の正レンズの焦点距離
    f2n:前記第2レンズ群内の負レンズの焦点距離
    N1p>1.7 ・・・(9)
    |ν1p−ν1n|>20 ・・・(10)
    但し、N1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの屈折率
    ν1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズのアッベ数
    ν1n:前記第1レンズ群内の負レンズのアッベ数
  2. 物体側から順に、負の光学的パワーを有する第1レンズ群と、正の光学的パワーを有する第2レンズ群とを含み、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が狭くなる変倍光学系において、
    前記第1レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ又は物体側に凸の負メニスカスレンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとの2枚のレンズからなり、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなり、
    下記(3)、(4)、(8)、(9)、(10)の条件式を満たすことを特徴とする変倍光学系。
    |△Z1pi/d1pi|<0.2 ・・・(3)
    0.7<f2/fw<2.0 ・・・(4)
    但し、△Z1pi:前記第1レンズ群内の正レンズの像側面において、面頂点を基準とする最大有効半径でのサグ量
    d1pi:第1レンズ群内の正レンズの像側面における最大有効半径
    fw:広角端での全光学系の合成焦点距離
    f2:前記第2レンズ群の合成焦点距離
    0.7<|f2n/f2p|<1.8 ・・・(8)
    但し、f2p:前記第2レンズ群内の正レンズの焦点距離
    f2n:前記第2レンズ群内の負レンズの焦点距離
    N1p>1.7 ・・・(9)
    |ν1p−ν1n|>20 ・・・(10)
    但し、N1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの屈折率
    ν1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズのアッベ数
    ν1n:前記第1レンズ群内の負レンズのアッベ数
  3. 前記第2レンズ群の像側に、正の光学的パワーを有する第3レンズ群を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の変倍光学系。
  4. 前記変倍光学系は、前記第1〜第3レンズ群の3つのレンズ群のみから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の変倍光学系。
  5. 前記第1レンズ群内において最も物体側に位置する負レンズが下記(5)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変倍光学系。
    1<T1e/T1c<4 ・・・(5)
    但し、T1e:前記負レンズの光軸方向における厚みの最大値
    T1c:前記負レンズの光軸上での厚み
  6. 像側に撮像素子が配置される場合において、下記(6)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変倍光学系。
    Lb/fw<1.5 ・・・(6)
    但し、Lb:望遠端において、最も像側に位置するパワーを有するレンズ面の面頂点から前記撮像素子の撮像面までの光軸上の距離(空気換算長)
  7. 前記第3レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時に固定されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の変倍光学系。
  8. 前記第1レンズ群は、下記(7)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変倍光学系。
    0.2<|f1n/f1p|<0.5 ・・・(7)
    但し、f1p:前記第1レンズ群内の正メニスカスレンズの焦点距離
    f1n:前記第1レンズ群内の負レンズの焦点距離
  9. 前記第2レンズ群における前記1枚の正レンズが両凸レンズであり前記1枚の負レンズが像側に強い凹面を向けた両凹レンズ又は負メニスカスレンズであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の変倍光学系。
  10. 前記第2レンズ群が、下記(11)、(12)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の変倍光学系。
    |N2p−N2n|>0.15 ・・・(11)
    |ν2p−ν2n|>30 ・・・(12)
    但し、N2p:前記第2レンズ群内の正レンズの屈折率
    ν2p:前記第2レンズ群内の正レンズのアッベ数
    N2n:前記第2レンズ群内の負レンズの屈折率
    ν2n:前記第2レンズ群内の負レンズのアッベ数
  11. 前記第3レンズ群は、物体側に凸の正メニスカスレンズ1枚で構成されていることを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の変倍光学系。
  12. 前記第2レンズ群の物体側に開口絞りを有し、前記開口絞りは絞り径が固定とされていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の変倍光学系。
  13. 前記第1レンズ群を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の変倍光学系。
  14. 前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群を物体側に移動させることで、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われることを特徴とする請求項3〜13のいずれかに記載の変倍光学系。
  15. 少なくとも1枚の樹脂材料製レンズを有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の変倍光学系。
  16. 前記樹脂材料製レンズは、樹脂材料中に最大長が30ナノメートル以下の無機粒子を分散させてなる素材を用いて成形したレンズであることを特徴とする請求項15に記載の変倍光学系。
  17. 前記第3レンズ群又は第3レンズ群より像側のレンズ群内の正レンズが、前記樹脂材料製レンズとされていることを特徴とする請求項15又は16に記載の変倍光学系。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の変倍光学系と、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、
    前記変倍光学系が前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成可能とされていることを特徴とする撮像レンズ装置。
  19. 請求項18に記載の撮像レンズ装置と、
    前記撮像レンズ装置及び撮像素子に被写体の静止画撮影及び動画撮影の少なくとも一方の撮影を行わせる制御部とを具備し、
    前記撮像レンズ装置の変倍光学系が、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成可能に組み付けられていることを特徴とするデジタル機器。
  20. 前記デジタル機器は、携帯端末であることを特徴とする請求項19に記載のデジタル機器。
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