JP4799764B2 - 光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物およびその光導波路用感光性ポリイミド組成物ならびにそれを用いた光導波路 - Google Patents
光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物およびその光導波路用感光性ポリイミド組成物ならびにそれを用いた光導波路 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性かつ複素弾性率の小さな光学用ポリイミドに関するものであり、詳しくは光通信,光情報処理,その他一般光学で広く用いられる光導波路、光導波路デバイス、光集積回路,または光配線板等に用いられる光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物(以下「感光性ポリイミド前駆体組成物」ともいう)およびその感光性ポリイミド組成物(以下「感光性ポリイミド組成物」ともいう)ならびにそれを用いた光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの開発による光通信システムの実用化に伴い、光導波路構造を用いた多種多用な光通信用デバイスの開発が求められている。一般に光導波路材料に要求される特性として、光伝搬損失が小さいこと、耐熱性・耐湿性を有すること、屈折率・膜厚を制御できることなどがある。これらの要求に対して従来より石英系の光導波路が主に検討されてきた。しかしながら、WDM通信をはじめとする光ファイバ網の構築には、各種デバイス作製の低コスト化が必須であるため、量産性があり、かつ大面積加工が可能なポリマー材料を光導波路用材料に適用すべく、ポリメタクリル酸メチル・ポリカーボネート・ポリスチレンをはじめとした有機系材料が検討されてきた。しかしながら、これらのポリマーでは、レーザダイオード・ホトダイオード等とハイブリッド集積する場合、半田リフロー工程での耐熱性が不充分であることなどから、その応用範囲は極端にかぎられてしまうといった欠点があった。その点、ポリイミド系材料は多くの高分子材料の中でも最も高い耐熱性を有しているため、光導波路用材料として注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来よりポリイミドを用いて光回路を形成する場合、一般的な方法としては、まず初めにポリイミド前駆体のポリアミック酸を、N,N−ジメチルアセトアミドやN−メチルピロリドン(NMP)等の極性溶媒中に溶解させ、これをスピンコート法またはキャスティング法によって基板上に塗布し、加熱による溶媒除去・イミド化を経てポリイミド膜を形成する。そして、つぎに酸素プラズマ等を用いた選択イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法によってパターン形状を作製するといった方法が採られる。しかしながら、このようなドライプロセスを利用した従来の加工方法は、加工に長時間を要する・加工領域に制限があるため、低コスト化の課題は解決できていない。また、得られるパターン壁面もギザギザ形状となるため、光を導波する場合、散乱損失が大きくなるといった信頼性の問題も浮上している。
【0004】
これに対して、特開平6−43648号公報,特開平7−179604号公報,特開平7−234525号公報等に示されたウェットプロセス法によるポリイミド形成は、上記の課題を解決するものであるが、光損失という新たな問題を含んでいる。これらの材料を光回路材料、すなわち光導波路として使用する場合、導波する光自身が材料によって吸収されることを防ぐ、すなわち、光に対して低損失でなければならないという透明性の議論が新たに浮上する。上記の方法では感光性を発現させるために、ポリイミド前駆体100重量部(以下「部」と略す)に対して、5〜70部の範囲で感光剤を用いているが、キュアによってイミド化を行う段階で、これらの感光剤が熱によって分解し、フィルム自身が黒色に着色してしまう。光導波路材料は可視光から近赤外領域において透明であることが求められているが、この着色は可視光範囲だけでなく、近赤外領域においても着色しているため、上記に示した従来の感光性ポリイミド材料は、光導波路材料としては使用できないといった致命的な問題を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなさたもので、低コスト化とともに、光導波路材料として必要な透明性を有する耐熱性に優れた感光性ポリイミド前駆体組成物およびその感光性ポリイミド組成物ならびにそれを用いた光導波路の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の構造式(3)および構造式(4)の少なくとも一方を繰り返し単位として備えているポリイミド前駆体を主成分とする感光性ポリイミド前駆体組成物であって、感光剤として下記の構造式(2)で表される化合物を、上記ポリイミド前駆体に対して0.05重量%以上4重量%以下の範囲で含有する感光性ポリイミド前駆体組成物を第1の要旨とする。
【化4】
【化5】
【化6】
【0007】
そして、上記感光性ポリイミド前駆体組成物からなる感光性ポリイミド組成物を第2の要旨とする。
【0008】
そして、樹脂配線パターンとなるコア層を、クラッド層で包含してなる光導波路であって、上記コア層が上記感光性ポリイミド前駆体組成物からなる感光性ポリイミド組成物によって形成されている光導波路を第3の要旨とする。
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ポリイミド構造と透明性の関係を中心に鋭意検討した結果、通信波長として利用されている1.3μm帯や1.5μm帯等の近赤外領域の吸収は、組成物中のC−H結合に起因していることを突き止め、本発明に到達するに至ったのである。すなわち、従来の感光性ポリイミドにおいては、例えば、特開平6−43648号公報では、ある特定の感光剤をポリイミド前駆体100部に対して好ましくは5〜50部の範囲で用いているが、これをより少ない配合量となる0.05〜5部未満の範囲とすることにより、キュアによる感光剤の分解による着色を大幅に低減することが可能となるのである。
【0010】
特に、本発明者らは、ポリイミド前駆体を合成する際に、フッ素含有のテトラカルボン酸二無水物やフッ素含有のジアミンを用いて、ポリイミド前駆体構造にフッ素基を導入した場合、従来の範囲の感光剤量に比べて、極端に少ない感光剤量にてパターンが解像可能となることを見出した。従来の技術ではポリイミド前駆体100部に対して5部未満の感光剤量ではコントラストが出ないといった問題のために、適正な感光剤量をポリイミド前駆体100部に対して5〜50部の範囲と設定していた。しかしながら、先に述べたように、多くのC−H結合を含むほど光損失は大きくなるため、従来の感光剤量を適用していたのでは光導波路材料としては用途は事実上皆無である。本発明者らは、感光剤含有量、用いたポリイミド組成、および解像性の関係を研究した結果、上記のようにフッ素系のポリイミド前駆体を用いる場合、特に感光剤量を従来の設定範囲より逸脱して少なくしても、充分なコントラストが得られることを実験により確認した。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られる感光性ポリイミド前駆体を主成分とし、これに特定の化合物である感光剤を特定量含有するものである。ここで、上記「主成分」とは、感光性ポリイミド前駆体組成物を実質的に構成する主たる成分のことであって、その使用量のみが関係するものではなく組成物全体の物性・特性に大きな影響を与えることを意味する。
【0013】
上記テトラカルボン酸二無水物としては、分子内にフッ素を含有するものを用いることが好ましい。上記フッ素を含有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物等をはじめ、多くのフッ素含有カルボン酸二無水物を用いることができる。
【0014】
一方、上記ジアミンとしては、分子内にフッ素を含有するものを用いることが好ましい。上記フッ素を含有するジアミンとしては、例えば、2,2−ビス(トリフルオロメトキシ)−4,4′−ジアミノビフェニル(TFMOB)、3,3−ジアミノ−5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAAF)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4−ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BIS−AP−AF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BIS−AT−AF)等があげられる。
【0015】
上記ポリイミド前駆体の合成方法としては、通常の合成方法が適用できる。すなわち、窒素雰囲気下、ジアミンを溶解させた溶媒にテトラカルボン酸二無水物を添加し、室温において5〜20時間攪拌を行うことにより粘性のある高分子溶液(ポリアミック酸溶液)を合成することができる。
【0016】
上記溶媒としては、通常、ポリイミドの合成に使用されるのであれば特に限定するものではない。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)やN−メチルピロリドン(NMP)等の極性溶媒を使用することができる。なかでも、透明性の点から加熱工程において熱分解性が起こりにくいDMAcが好ましく用いられる。
【0017】
このような合成方法等により得られるポリイミド前駆体としては、下記の構造式(3)および構造式(4)の少なくとも一方を繰り返し単位として備えているものが、低屈折率化が可能であるという点から用いられる。
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
このようにして得られたポリイミド前駆体に対して配合する特定の感光剤としては、コストおよびC−H結合による光吸収が少ないという点から下記の構造式(2)で表される化合物が用いられる。
【0021】
【化9】
【0022】
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物における上記特定の感光剤の含有量は、上記ポリイミド前駆体に対して0.05重量%以上4重量%以下の範囲に設定される。すなわち、感光剤の含有量が4重量%を超えると、感光剤による近赤外領域での吸収が問題となり、また0.05重量%未満ではコントラストが不充分であるという問題が発生するからである。
【0023】
さらに、本発明においては、上記のように感光剤の使用量だけでなく、露光量自体も従来のものに比べて低減することが可能となる。従来の適正な露光量が300〜1000mJ/cm2 であるのに対して、本発明での露光量は5〜20mJ/cm2 で充分な解像が可能である。このように、感光剤の使用量とともに露光量までも低減可能となった原因の一つに、例えば、先に述べたように、ポリイミド構造にフッ素を導入した場合、ポリイミド樹脂自体の透明性が向上して、結果、少ない感光剤の使用量でかつ低い露光量にても光に対して充分な感度を保持することができると推察される。
【0024】
上記のように、ポリイミド前駆体に感光剤を配合して感光性を付与することにより、このポリイミド前駆体は一括大面積加工が可能となる。従来の光素子におけるパターン形成は、先に述べたように、リアクティブイオンエッチング法をはじめとするドライプロセスを利用しており、作業時間が長く、量産性に乏しい等の問題があった。この点、感光性ポリイミド組成物によるパターン形成はこれらの欠点を補うだけでなく、大幅に加工コストを低減できるというメリットをも備えている。
【0025】
本発明における感光性ポリイミド組成物は、例えば、上記感光性ポリイミド前駆体組成物である感光性ポリアミック酸ワニスを、シリコン基板,石英基板,金属箔,ガラス板,高分子フィルム等の基材表面に塗布し、加熱することによって得られる。上記塗布方法としては、スピンコート法やキャスティング法等の一般的な成膜方法を用いることができる。そして、初期乾燥後、ガラスマスク等を用いて所望のパターンが得られるように紫外線照射を行う。その後、光反応を完結させるために、Post Exposure Bake(PEB)と呼ばれる露光後の熱処理を行い、現像を行う。上記現像における現像液としては、通常、アルカリ性の水溶性現像液を用いる。そして、現像によって得られた所望のパターンをイミド化するために、通常熱処理を行う。この際の加熱温度は、一般的に300〜400℃であり、真空下または窒素雰囲気下で脱溶剤と硬化反応(キュア)を行うものである。最終的に得られるポリイミドの膜厚は、感光性ポリイミド前駆体組成物の固形分濃度,粘度,成膜条件で制御することが可能となる。
【0026】
このようにして、基材上に所望のパターンを形成することにより、光導波路等の光部品を作製することができる。そして、例えば、上記光導波路では、このようにして得られたパターン上に、別のポリアミック酸からなるオーバークラッド層を形成し、埋め込み型の光導波路構造とすることも可能である。なお、フレキシブルな光導波路を作製する場合には、上記基材またはオーバークラッド層をエッチングすること等により薄くすればよい。
【0027】
このようにして得られたポリイミドからなる光導波路は感光機能によって大面積を一括、かつ低コストで作製できるだけでなく、光部品として必要な無色透明性を有するという特徴を有する。本発明の光導波路としては、例えば、直線光導波路、曲がり光導波路、交差光導波路、Y分岐光導波路、スラブ光導波路、マッハツエンダー型光導波路、AWG型光導波路、グレーティング、光導波路レンズ等があげられる。そして、これら光導波路を用いた光素子としては、波長フィルタ,光スイッチ,光分岐器,光合波器,光合分波器,光アンプ,波長変換器,波長分割器,光スプリッタ,方向性結合器、さらにはレーザダイオードやホトダイオードをハイブリッド集積した、光伝送モジュール等があげられる。
【0028】
つぎに、上記感光性ポリイミド前駆体組成物を用いた光導波路の作製方法について説明する。
【0029】
本発明の光導波路の作製方法は、感光機能によって直接パターンを形成できるという特徴をもつ以外は、一般に製造されている光導波路の作製方法と同じであり、同様の方法にて、平面光導波路,リッジ型光導波路,埋め込み型光導波路等を作製することができる。本発明のポリイミド前駆体は、コア層形成材料,アンダークラッド層形成材料,オーバークラッド層形成材料のいずれにも、また同時にも適用することが可能である。コア層形成材料およびクラッド層形成材料に同時に使用する際には、モノマーを変更するもしくは共重合組成比を変更する等の方法により、両者での屈折率に0.2〜1.0%程度の屈折率の差を持たせるようにすればよい。
【0030】
このように、コア層はクラッド層よりも屈折率が高い必要がある。通常、両者の比屈折率差Δ〔比屈折率差Δ=(nコア−nクラッド)/nコア):n=屈折率〕は先に述べたように0.2〜1.0%であればよい。このようにポリイミドの屈折率を調整する方法としては、例えば、分子内にフッ素を含有するテトラカルボン酸二無水物もしくは分子内にフッ素を含有するジアミンを用いて屈折率を適宜に下げる方法があげられる。そして、これらの含有比率を調整することにより、屈折率差を適宜に調整することができる。
【0031】
なお、本発明の光導波路においては、コア層形成材料としては、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物が用いられるが、アンダークラッド層およびオーバークラッド層の両クラッド層の形成材料とも、コア層より屈折率が低い層に形成可能な材料であれば、ポリイミド前駆体組成物に特に限定するものではなく他の樹脂材料を用いてもよい。ただし、耐熱性の点から、コア層はもちろんクラッド層においてもポリイミド前駆体組成物を形成材料として用いることが好ましい。
【0032】
つぎに、光導波路の一例として埋め込み型光導波路の作製方法を図面を用いて説明する。図1(A)に示すように、基板1上に感光性ポリイミド前駆体組成物溶液(ポリアミック酸ワニス)を用いて感光性ポリイミド前駆体組成物層2を形成する。ついで、図1(B)に示すように、所望のパターンが得られるように、感光性ポリイミド前駆体組成物層2にフォトマスク3を載置してその上方から紫外線を照射する。そして、現像液を用いて現像を行い所定のパターンに加工した後、加熱硬化してイミド化することにより、図1(C)に示すように、ポリイミド製のパターンとなるコアパターン層4を形成する。つぎに、図1(D)に示すように、上記コアパターン層4上に、上記コアパターン層4よりも屈折率の低い材料からなるオーバークラッド層5を形成することにより埋め込み型光導波路を作製することができる。
【0033】
このような埋め込み型光導波路構造の具体例としては、Y字状のコアパターン層4aが形成されたY分岐型光導波路〔図2(A)〜(C)参照〕、2本のコアパターン層4b間の距離が略中央部で縮まった方向性結合器型光導波路(図3参照)、コアパターン層4cが交差した交差型光導波路(図4参照)等があげられる。
【0034】
さらに、他の形態の光導波路の作製方法を図面を用いて説明する。図5(A)に示すように、まず、基板として最終工程でのエッチングが可能であり、かつ後述のアンダークラッド層との剥離が可能な材質からなる基板10を準備する。つぎに、図5(B)に示すように、上記基板10上にアンダークラッド層11を形成する。さらに、図5(C)に示すように、アンダークラッド層11上に、このアンダークラッド層11よりも屈折率の高い材料からなる本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物溶液(ポリアミック酸ワニス)を用いて感光性ポリイミド前駆体組成物層12を形成する。ついで、先に述べた埋め込み型光導波路の製造方法と同様、所望のパターンが得られるように、感光性ポリイミド前駆体組成物層12にフォトマスクを載置してその上方から紫外線を照射し、現像液を用いて現像を行い所定のパターンに加工した後、加熱硬化してイミド化することにより、図6(A)に示すように、ポリイミド製のパターンとなるコアパターン層13を形成する。つぎに、図6(B)に示すように、上記コアパターン層13上に、上記コアパターン層13よりも屈折率の低い材料からなるオーバークラッド層14を形成する。そして、基板10をエッチング除去することにより、図6(C)に示すように、リジッドな基板10が除去されたフレキシブルな光導波路を作製することができる。
【0035】
上記基板10の材質としては、上記エッチング除去が可能となる条件を有するものであれば特に限定するものではなく、例えば、金属、無機材料、有機フィルム等があげられる。
【0036】
また、上記アンダークラッド層11形成材料とオーバークラッド層14形成材料とは同じであっても異なっていてもよい。さらに、これら両クラッド層の形成材料として、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物における感光剤の配合されていないポリイミド前駆体を用いてもよい。
【0037】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0038】
【実施例1】
窒素雰囲気下、500mlのセパラブルフラスコ内で、ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAAF)0.05モル(16.7g)を、溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)155.6gに溶解させ、攪拌しながらこれに酸二無水物である2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)0.05モル(22.2g)を添加した。そして、室温で24時間攪拌することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸ワニスを作製した。つぎに、このポリイミド前駆体ワニスに、前記構造式(2)で表される化合物を固形分に対して0.05重量%(0.019g)となるよう添加することにより目的とする感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
【0039】
つぎに、スピンコート法を用いて、厚み0.5mmのシリコンウェハ上に上記感光性ポリイミド前駆体組成物溶液ワニスを塗布して90℃で約15分間の乾燥を行った。
【0040】
ついで、上記乾燥した後、7μmのライン幅を有する長さ70mmのパターンが50μmピッチで描かれたガラスマスクを載置して上方から10mJ/cm2 の紫外線を照射し、その後170℃で10分間加熱した。そして、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド1.5重量%水溶液を用いて35℃で現像し、水でリンスすることにより、所定のパターンとなるコア層を形成した。その後、真空雰囲気下で380℃×2時間加熱することにより、コア層の溶媒の除去およびイミド化を完結させた。形成されたポリイミド製パターンであるコア層の厚みを接触式表面粗さ計で測定したところ6.8μmであった。
【0041】
このようにして得られたポリイミド製パターンであるコア層形成済み基板を下地にして、屈折率が上記ポリイミド製パターンよりも小さくなるポリイミド前駆体ワニスをスピンコート法により上記コア層形成表面に塗工した。上記ポリイミド前駆体ワニスは、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物と2,2′−ビス(トリフルオロメチル)4,4′−ジアミノジフェニルを等モル量反応させて得られたポリイミド前駆体ワニスである。そして、真空雰囲気下で380℃×2時間加熱することにより、オーバークラッド層を形成した。このようにして埋め込み型の光導波路を作製した。
【0042】
つぎに、この光導波路の端面処理を行った後、波長1300nmの光を通して、カットバック法で光伝播損失を測定したところ、1.3dB/cmであった。
【0043】
【実施例2】
前記構造式(2)で表される化合物を固形分に対して2重量%(0.788g)となるよう添加した。それ以外は実施例1と同様にして、埋め込み型の光導波路を作製した。
【0044】
つぎに、この光導波路の端面処理を行った後、波長1300nmの光を通して、カットバック法で光伝播損失を測定したところ、1.4dB/cmであった。
【0045】
【実施例3】
前記構造式(2)で表される化合物を固形分に対して4重量%(1.556g)となるよう添加した。それ以外は実施例1と同様にして、埋め込み型の光導波路を作製した。
【0046】
つぎに、この光導波路の端面処理を行った後、波長1300nmの光を通して、カットバック法で光伝播損失を測定したところ、1.6dB/cmであった。
【0047】
【比較例1】
前記構造式(2)で表される化合物を固形分に対して6重量%(2.334g)となるよう添加した。それ以外は実施例1と同様にして、埋め込み型の光導波路を作製した。
【0048】
つぎに、この光導波路の端面処理を行った後、波長1300nmの光を通して、カットバック法で光伝播損失を測定したところ、4.3dB/cmであった。
【0049】
【比較例2】
前記構造式(2)で表される化合物を固形分に対して0.03重量%(0.011g)となるよう添加した。それ以外は実施例1と同様にして、埋め込み型の光導波路を作製しようと試みたが、現像工程にてパターンにコントラストが出ず、所望のパターンを形成することができなかった。
【0050】
上記実施例および比較例における感光剤の含有量および光損失値を下記の表1に併せて示した。
【0051】
【表1】
【0052】
上記表1の結果から、感光剤である構造式(2)で表される化合物を特定の範囲で含有する感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて得られた光導波路である実施例では、光損失値の値が低く光導波路形成材料として優れたものであることがわかる。これに対して、感光剤である構造式(2)で表される化合物を多く含有する比較例1では光損失値が非常に高く光導波路形成材料として致命的な問題を有するものであることがわかる。また、比較例2は感光剤である構造式(2)で表される化合物の含有量が少ないものであるが、コントラストが不充分であり光導波路を作製することができなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、前記構造式(3)および構造式(4)の少なくとも一方を繰り返し単位として備えているポリイミド前駆体を主成分とし、これに前記構造式(2)で表される化合物を特定の割合となるよう含有する感光性ポリイミド前駆体組成物である。このため、イミド化におけるキュア時の感光剤である上記化合物の分解による着色を大幅に低減することができ、しかも充分なコントラストが得られるようになる。したがって、上記感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて光導波路のコア層を形成すると、光損失の小さい透明性に優れた光導波路を得ることができる。
【0054】
さらに、上記ポリイミド前駆体が、前記構造式(3)および構造式(4)の少なくとも一方を繰り返し単位として備えているため、より低屈折率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(D)は埋め込み型光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図2】 (A)はY分岐型光導波路を示す斜視図であり、(B)はその断面図、(C)はその平面図である。
【図3】 方向性結合器型光導波路を示す平面図である。
【図4】 交差型光導波路を示す平面図である。
【図5】 (A)〜(C)は他の形態の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図6】 (A)〜(C)は他の形態の光導波路の製造工程を示す断面図である。
Claims (3)
- 請求項1記載の光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物からなる光導波路用感光性ポリイミド組成物。
- 樹脂配線パターンとなるコア層を、クラッド層で包含してなる光導波路であって、上記コア層が請求項1記載の光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物からなる光導波路用感光性ポリイミド組成物によって形成されていることを特徴とする光導波路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001164735A JP4799764B2 (ja) | 2001-05-31 | 2001-05-31 | 光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物およびその光導波路用感光性ポリイミド組成物ならびにそれを用いた光導波路 |
Applications Claiming Priority (1)
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