JP4417198B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Description
このような光導波路は、例えば、エポキシ系オリゴマーやアクリル系オリゴマーなどの液状の感光性樹脂を用いて、これを下部クラッド層に塗布し、マスクを介して露光した後、溶媒にて現像することによって、コア層をパターン形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、液状の感光性樹脂では、取扱においてフォトマスクを汚染したり、液体流動性に起因して光導波路を安定した形状で形成することができない、という不具合がある。
さらに、フルオレン誘導体層および感光性フルオレン誘導体層は流動しにくいので、光導破路を安定した形状で、形成することができる。
図1に示すように、この方法では、2つのロールRを、互いに所定間隔を隔てて対向配置して、一方のロールRを送り出すために用い、他方のロールRを巻き取るために用いて、後述する各工程を、それらロールRの間で連続して実施するか、あるいは、いずれかのロールRに巻き取った状態で実施する。より具体的には、連続して実施する場合には、一方のロールRに、当該工程以前の工程が終了している製造途中の光導波路9を巻回しておき、当該工程において、その一方のロールRからそれを送り出し、他方のロールRでそれを巻き取ることにより、それら2つのロールRの間において、当該工程を連続して実施する。
次いで、この方法では、図1(b)に示すように、基材1の上に、アンダークラッド層3を形成するためのフルオレン誘導体層2を連続して塗工する。フルオレン誘導体層2を連続して塗工するには、まず、一方のロールRから他方のロールRに向かって送り出される基材1の上に、フルオレン誘導体を含むワニスを連続して塗工し、次いで、これを連続して予備乾燥する。
一般式(1)において、R1〜R4で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。
溶媒としては、例えば、2−ブタノン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジグライム、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチルフラン、ジメトキシエタンなどが用いられる。これら溶媒は、単独使用または2種類以上併用して、塗工に好適な粘度が得られるように、適量用いられる。
光酸発生剤としては、特に制限されず、例えば、オニウム塩などの従来公知のものが用いられる。オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩などが挙げられる。また、これらの塩(対イオン)としては、例えば、CF3SO3 −、BF4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −などのアニオンが挙げられる。
また、フルオレン誘導体を含むワニスには、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、上記成分以外に、例えば、反応性オリゴマー、希釈剤などの各種成分を含ませることができる。
また、希釈剤の配合割合を適宜調整することにより、後述するアンダークラッド層3およびオーバークラッド層7と、コア層6との屈折率を調整することができる。
そして、フルオレン誘導体は、上記した各成分を、上記した溶媒に配合して、溶解混合することにより、ワニスとして調製することができる。フルオレン誘導体を含むワニスの固形分濃度は、例えば、30〜90重量%、好ましくは、50〜80重量%である。
また、アンダークラッド層3を形成するためのフルオレン誘導体層2は、アンダークラッド層3の形成後に、コア層6よりも、屈折率が低くなるように処方される。より具体的には、下記(2)式において、シングルモードの場合、Δが0.2〜0.8となるように、マルチモードの場合、Δが0.5〜3.0となるように、コア層6とアンダークラッド層3との屈折率を調整する。
(n1=コア層の屈折率、n2=アンダークラッド層の屈折率)
コア層6とアンダークラッド層3との屈折率の調整は、各層を形成するためのフルオレン誘導体層2および感光性フルオレン誘導体層4において、複数種類のフルオレン誘導体を用いて、それらの組成比を適宜変更して調整する。コア層6よりも低い屈折率でアンダークラッド層3を形成するには、フルオレン誘導体層2を形成するためのワニスにおいて、例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテルとビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルとを、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル100重量部に対して、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルを10〜70重量部の割合で用いる。これによって、硬化後のアンダークラッド層3の屈折率は1.55〜1.90となる。
フルオレン誘導体層2を硬化させるには、特に制限されず、好ましくは、例えば、露光法や露光法と加熱法の併用などの公知の方法が用いられる。
露光法により、フルオレン誘導体層2を硬化させる場合には、例えば、2つのロールRの間に自動搬送機能を備えた紫外線照射装置を配置し、フルオレン誘導体層2を通過させることにより、露光する。紫外線照射量は、例えば、10〜10000mJ/cm2、好ましくは、50〜5000mJ/cm2である。
加熱法により、フルオレン誘導体層2を硬化させる場合には、例えば、2つのロールRの間に自動搬送機能を備えた乾燥炉を配置し、フルオレン誘導体層2を通過させることにより加熱したり、他方のロールRにおいて巻き取ったフルオレン誘導体層2を、その巻回状態のまま、ロールRごと加熱炉内に配置して、加熱する。加熱温度は、例えば、80〜250℃であり、フルオレン誘導体層2を通過させることにより加熱する場合には、搬送速度は、例えば、0.1〜0.5m/分に設定される。
なお、アンダークラッド層3の厚みは、マルチモード光導波路の場合には、例えば、5〜100μm、シングルモード光導波路の場合には、例えば、1〜20μmである。
その後、この方法では、図1(c)に示すように、アンダークラッド層3の上に、コア層6を形成するための感光性フルオレン誘導体層4を、連続して塗工する。
感光性フルオレン誘導体は、上記したフルオレン誘導体と光酸発生剤とを必須成分とするものであって、感光性フルオレン誘導体を含むワニスは、フルオレン誘導体と光酸発生剤とが、溶媒で溶解されている溶液として調製される。
コア層6を形成するための感光性フルオレン誘導体層4は、上記したようにコア層6の形成後に、アンダークラッド層3よりも、屈折率が高くなるように処方される。感光性フルオレン誘導体層4の硬化後の屈折率は、上記したフルオレン誘導体層2と同様に、複数のフルオレン誘導体の種類を用いて、それらの組成比を適宜変更して、調整する。アンダークラッド層3よりも高い屈折率でコア層6を形成するには、感光性フルオレン誘導体層4を形成するためのワニスにおいて、例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテルとビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルとを、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル100重量部に対して、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルを10〜70重量部の割合で用いる。これによって、硬化後のコア層6の屈折率は1.55〜1.62となる。
フォトマスク5は、次の現像において露光部分が残存するような、光透過部分がコア層6として形成される所定のパターンと、同一のパターンで形成されたフォトマスクが用いられる。
また、露光方法は、特に制限されず、例えば、感光性フルオレン誘導体層4とフォトマスク5とを直接接触させるコンタクト露光方法、感光性フルオレン誘導体層4とフォトマスク5との間に若干の隙間を設けるプロキシミティ露光方法、さらには、投影露光方法など、公知の露光方法が用いられる。感光性フルオレン誘導体層4には、表面タック性が実質的にないので、フォトマスク5を感光性フルオレン誘導体層4に接触させるコンタクト露光法が好適に用いられる。コンタクト露光法では、フォトマスク5を感光性フルオレン誘導体層4に直接接触させるので、作業効率の向上を図りつつ、潜像の確実なパターン形成を図ることができる。
そして、この方法では、現像後の感光性フルオレン誘導体層4を硬化することにより、アンダークラッド層3の上に、コア層6を所定のパターンで形成する。感光性フルオレン誘導体層4を硬化させるには、加熱法や露光法、さらにはそれらの併用などの公知の方法が用いられる。
加熱法と露光法との併用により、感光性フルオレン誘導体層4を硬化させる場合には、例えば、上記した露光法により露光した後、連続して、上記した加熱法により加熱する。
コア層6の厚みは、マルチモード光導波路の場合、例えば、20〜100μm、シングルモード光導波路の場合、2〜10μmである。
次いで、この方法では、図2(g)に示すように、アンダークラッド層3の上に、コア層6を被覆するように、フルオレン誘導体層8を連続して塗工する。フルオレン誘導体層8を連続して塗工するには、上記と同様に、一方のロールRから他方のロールRに向かって送り出される基材1の上に形成されたアンダークラッド層3の上に、コア層6を被覆するように、フルオレン誘導体を含むワニスを連続して塗工し、次いで、これを連続して予備乾燥する。
そして、アンダークラッド層3の上に、フルオレン誘導体を含むワニスを連続して塗工するには、上記と同様に、キャスティング法、スプレーコート法、または、ダムコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法などのコーター法などの公知の塗工方法が用いられる。また、その後、予備乾燥も、上記と同様に、例えば、路長2〜5mの乾燥炉を2つのロールRの間に設置し、乾燥温度50〜120℃、搬送速度0.1〜0.5m/分に設定して、アンダークラッド層3の上にフルオレン誘導体を含むワニスが塗工された基材1を、連続して乾燥炉に通過させるようにする。
フルオレン誘導体層8を硬化させるには、特に制限されないが、好ましくは、上記と同様に、例えば、加熱法や露光法、さらにはそれらの併用などの公知の方法が用いられる。
なお、オーバークラッド層7の厚みは、マルチモード光導破路の場合には、例えば、5〜100μm、シングルモード光導波路の場合には、例えば、1〜20μmである。
なお、上記の説明において、基材1とアンダークラッド層3との間の密着力が不十分な場合には、それらの間に、例えば、フルオレン誘導体樹脂からなる密着層を設けてもよく、あるいは、基材1の表面に密着力を高めるための表面処理を施してもよい。
また、この光導破路9の製造方法によれば、フルオレン誘導体および感光性フルオレン誘導体を含むワニスを高い粘度で調製することができるので、厚く塗工して、フルオレン誘導体層2または感光性フルオレン誘導体層4を厚く形成することができる。また、フルオレン誘導体層2または感光性フルオレン誘導体層4を流動しにくく形成することができるので、光導破路9を安定した形状で形成することができる。
得られた光導波路9は、特に制限されることなく、種々の光デバイスを光接続するために用いられ、具体的には、直線光導波路、曲がり光導波路、交差光導波路、Y分岐導波路、スラブ光導波路、マッハツェンダー型光導波路、AWG型光導波路、グレーティング、光導波路レンズなどとして用いられる。
(ワニスの調製)
表1に示す処方で、各成分を、溶媒としてシクロヘキサノンを用いて混合溶解して、フルオレン誘導体ワニスAおよび感光性フルオレン誘導体ワニスBを調製した。なお、各ワニスを硬化した硬化物の、測定波長633nmにおける屈折率を併せて表1に示す。
下記の工程を、ロールツーロールで実施することにより、光導波路を作製した。
まず、ロールに巻回された、厚さ25μm、幅125mm、長さ100mのステンレス箔からなる基材を用意した(図1(a)参照)。次いで、この基材の上に、上記で調製したフルオレン誘導体ワニスAを連続して塗工し、その後、これを、2つのロールの間に路長2mの乾燥炉(乾燥温度100℃、搬送速度0.2m/分)を配置して、これを通過させて予備乾燥することにより、フルオレン誘導体層を形成し(図1(b)参照)、その後、これをロールに巻き取った。なお、巻き取りにおいては、各層の巻回時に厚さ1mmのスペーサを介装した(なお、記載は省略するが、以下の工程においても同様にスペーサを介装した)。
次いで、これを、自動搬送機能を備えた紫外線照射装置を用いて、連続して露光した(図1(d)参照)。露光方法は、10cm×10cmの領域内に50μm幅の直線の光導波路のパターンが形成された合成石英系のクロムフォトマスクを用いて、i線(365nm)を照射線として、5000mJ/cm2の照射量で、12cm間隔でコンタクト露光する方法を採用した。
次いで、露光後加熱後の感光性フルオレン誘導体層を、2つのロールの間に設置された、路長1mの現像槽、路長1mの1次水洗槽、路長3mの2次水洗槽を備えるスプレー式現像槽を用いて、連続して現像した(図2(f)参照)。現像は、現像液として、アセトニトリルを用いて、現像槽の液温20℃、1次水洗槽の水温35℃、2次水洗層の水温25℃に設定して、搬送速度1.0m/分で、これら各槽を連続して順次通過させた。その後、水切りをして、これをロールに巻き取った。なお、現像後の感光性フルオレン誘導体層の厚みは、約50μmであり、現像により未露光部分が全て溶解されていることを確認した。
その後、アンダークラッド層の上に、コア層を被覆するように、フルオレン誘導体ワニスAを連続して塗工し、次いで、これを、2つのロールの間に路長2mの乾燥炉(乾燥温度100℃、搬送速度0.2m/分)に通過させて、予備乾燥することにより、フルオレン誘導体層を形成し(図2(g)参照)、その後、これをロールに巻き取った。
そして、カッターにより、各光導波路ごとに切り出して光導波路を得た(図2(i)参照)。
2 フルオレン誘導体層
3 アンダークラッド層
4 感光性フルオレン誘導体層
5 フォトマスク
6 コア層
7 オーバークラッド層
8 フルオレン誘導体層
9 光導波路
Claims (3)
- 長尺の基材の上に、フルオレン誘導体層を連続して塗工し、これを光カチオンのみにより硬化させることにより、下部クラッド層を形成する工程、
前記下部クラッド層の上に、感光性フルオレン誘導体層を連続して塗工する工程、
塗工後の感光性フルオレン誘導体層を、フォトマスクを介して連続して所定のパターンで露光する工程、
露光後の感光性フルオレン誘導体層を、連続して露光後加熱する工程、
加熱後の感光性フルオレン誘導体層を連続して現像することにより、前記感光性フルオレン誘導体層における未露光部分を除去して、前記感光性フルオレン誘導体層を所定のパターンに形成する工程、
現像後の感光性フルオレン誘導体層を、光カチオンのみにより硬化させることにより、前記下部クラッド層の上に、コア層を所定のパターンで形成する工程、
前記下部クラッド層の上に、前記コア層を被覆するように、フルオレン誘導体層を連続して塗工し、これを光カチオンのみにより硬化させることにより、上部クラッド層を形成する工程
を含んでおり、
前記フルオレン誘導体層および前記感光性フルオレン誘導体層が、下記一般式(1)で示されるフルオレン誘導体を含むことを特徴とする、光導波路の製造方法。
- 前記一般式(1)において、R1〜R6が、すべて水素原子であり、nが、各々独立して0または1であることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路の製造方法。
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