JP4795013B2 - 水性防汚組成物、防汚被膜、および該被膜で被覆された漁網 - Google Patents
水性防汚組成物、防汚被膜、および該被膜で被覆された漁網 Download PDFInfo
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Description
防汚組成物は、防汚剤とともにポリエーテルシリコーンを含有することにより防汚性に優れ、さらに長期に亘って係る効果を発揮することができる。しかしながら、これらの特許文献に記載の防汚組成物は有機溶剤型であることから、上記と同様に水性のものが望まれている。ところが、水に防汚剤を分散させ、さらに塗膜形成樹脂だけでなくポリエーテルシリコーンをも乳化、分散させると、組成物中の分散粒子の数が非常に多くなるため、粒子間の相互作用により凝集などが発生し易くなる。したがって、このような水性防汚組成物は、時間とともに樹脂等が分離、沈降し、貯蔵安定性に問題が発生する。
ポリエーテルシリコーン(A)の親油性親水性バランス(HLB)が1〜10であることが好ましい。
さらに、防汚剤(B)としてビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)を含有することが好ましい。
水性防汚組成物を100重量部とした場合に、ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、防汚剤として銅および/または銅化合物(銅ピリチオンを除く)(b2)
を1〜50重量部、水を20〜85重量部の量で含有することが好ましい。
オクチルジスルフィッド)、テトラエチルチウラムジスルフィッド、銅ピリチオン、ジン
クピリチオン、4,5−ジクロロ−2-n−オクチル−4イソチアゾリン−3オン、トリフェニル(オクタデシルアミン)ボロン、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルア
ミン]ボロン、ジフェニルメチルイソプロピルアミンボロン、2,3ジクロロ−N−(2'、6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3ジクロロ−N−(2'−エチル、6'−メチルフェニル)マ
レイミド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルフ
ァミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミ
ドからなる群から選ばれた少なくとも1種の防汚性化合物(b3)を含有することが好ま
しい。
本発明の漁網は、前記防汚被膜で被覆されたことを特徴とする。
[水性防汚組成物]
本発明の水性防汚組成物は、ポリエーテルシリコーン(A)を含有し、かつ実質的に有機溶剤を含有しない水性防汚組成物である。「実質的に有機溶剤を含有しない」とは、水性防汚組成物中に極少量の有機溶剤を含む態様を排除しない趣旨であり、本発明においては人体や環境への安全性の面から有機溶剤を含有しないことが特に望ましい。また、この有機溶剤とは、キシレンやトルエン等の塗料溶剤として用いられる沸点200℃以下であり、酸素原子を分子中に有さない有機溶剤を意味する。
ポリエーテルシリコーン(A)
ポリエーテルシリコーン(A)は、下記式[I]
アルキレン基、R4は炭素数1〜5のアルキル基または水素を示し、nは1〜30の整数
(繰り返し単位数)を示す。]、または炭素数1〜5のアルキル基を示し、これらX1、
X2、X3のうちの少なくとも1個は-R-A-(R3O)n-R4[R、A、R3、R4、n:同
上]であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、r、mはそれぞれ繰返し単位総数
を示し、繰返し単位[−Si(R2)2O−]と[−Si(R2)(X1)O−]との結合順序は任意である。)で表される。
(a):X1、X2、X3のうちのX1が「-R-A-(C2H4O)n-CH3(R,A,n:同上)」等のポリエーテル基であり、X2、X3がメチル基等のアルキル基である側鎖型ポリエーテルシリコーン、あるいは
(b):X1、X2、X3のうちのX1がメチル基等のアルキル基であり、X2、X3が「-R-A-(C2H4O)n-CH3(R,A,n:同上)」等のポリエーテル基である両末端型ポリエーテルシリコーン、さらには、
(c):側鎖と片末端、(d):側鎖と両末端、あるいは(e):片末端のみに上記ポリエーテル基が結合した複合型ポリエーテルシリコーン等が挙げられる。これらのうちでは、側鎖型ポリエーテルシリコーン(a)または両末端型ポリエーテルシリコーン(b)が防汚性等の点から好ましい。
は炭素数2〜5のアルキレン基を示すが、このアルキレン基としては、直鎖状または分岐状であってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基等が挙げられ、中でも直鎖状のものが好ましく、さらにはエチレ
ン基、n-プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。
。R4は炭素数1〜5のアルキル基または水素を示し、好ましくはアルキル基であり、こ
のようなアルキル基としては、上記したようなものが例示でき、防汚性の点や、ポリエーテルシリコーン(A)と塗膜形成樹脂(C)との相溶性の点などを考慮するとメチル基が
特に好ましい。
(C2H4O)n-H、-C2H4-(C3H6O)n-H、-(C3H6O)n-CH3、-CH2-O-(C2H4O)n-CH3、-CH2-O-(C2H4O)n-H、-(C2H4O)n-CH3、-(C2H4O)n-H、-CH2-O-(C4H6O)n-CH3、-CH2-O-(C4H6O)n-H、-(C4H6O)n-H 等が挙げられ、防汚性の点や、ポリエーテルシリコーン(A)と塗膜形成樹脂(C)
との相溶性の点などを考慮すると、ポリエーテル基としては、末端がメトキシ基のものが好ましく、より具体的には-C3H6-O-(C2H4O)n-CH3、-C2H4-O-(C3H6O)n-CH3が特に好ましい。
がとくに上記ポリエーテル基:「-R-A-(R3O)n-R4」である場合、このX1は、ポリエーテルシリコーン(A)分子中の側鎖基群のうちの任意の位置に存在していてもよい。繰返し単位数rは1〜7000の数であり、またmは1〜50の数である。また、このようなポリエーテルシリコーンの分子量は、通常、1,000〜50,000、好ましくは3,000〜10,000程度である。ポリエーテルシリコーン(A)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(1)水に乳化剤や分散剤等を溶解しておき、ここにポリエーテルシリコーン(A)を添加する方法、
(2)水と相溶する少量の有機溶剤にポリエーテルシリコーン(A)を溶解させ、これを乳化剤や分散剤等が溶解された水に添加する方法、
(3)予めポリエーテルシリコーン(A)を乳化剤で乳化してエマルションとし、これを水に添加する方法、
などが挙げられる。本発明においては、水性防汚組成物中においてポリエーテルシリコーン(A)が分散性に優れ、かつ粒子径のコントロールが容易である上記(3)のエマルシ
ョンとする方法が好ましい。ポリエーテルシリコーン(A)のエマルションは、組成物中でのポリエーテルシリコーン(A)の分散性や乳化粒子径のコントロールの観点から、具体的には以下の方法により調製することが好ましい。
前記したように、容器内にポリエーテルシリコーン(A)と乳化剤とを仕込んだ後、攪拌機で強攪拌しながら、蒸留水10〜30重量部を、10〜20分程度かけて添加する。攪拌条件は、容器内の混合液の容量や粘度、攪拌機の攪拌方式やその種類によって異なるため、特に限定されないが、上記粒子径範囲の乳化粒子が得られるような強攪拌条件に適宜設定される。
防汚剤(B)
本発明に用いられる防汚剤(B)としては、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)、銅および/または銅化合物(b2)、前記(b1)および前記(b2)以外の後述する防汚性化合物(b3)、が挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1))
本発明で用いられるビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバ
メート(b1)は、下記式[II]で表わされる化合物であり、東北・北海道の定置網に付着するヒドロゾアに特に効果を発揮する。
銅および/または銅化合物(b2)のうちで、「銅化合物」は、銅ピリチオンを除くものであって、特に限定されるものではないが、例えば、亜酸化銅(Cu2O)、チオシア
ン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化第二銅などの無機銅化合物が挙げられ、好ましくは亜酸化銅が用いられる。亜酸化銅は、西日本の養殖網に付着するフジツボ、セルプラ、ホヤ、藻類に特に効果を発揮する。
(その他の防汚性化合物(b3))
その他の防汚性化合物(b3)としては、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド(式:n−C8H17−S−S−CH2Cl)、テトラメチルチウラムスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、金属ピリチオン塩系化合物、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリフェニルボロン・アミン錯体、ジフェニルボロン・アミン錯体、マレイミド化合物、カーバメイト系化合物、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチ
ルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチ
オ)スルファミド等の有機防汚剤が挙げられる。防汚性化合物(b3)は、水中分散性の観点から、平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。
キル基を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す。]で示される金属−ピリチオン類が挙げられる。これらのうちでは、銅ピリチオン、ジンクピリチオンが好ましい。
ミン)ボロン、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンが好
ましく用いられる。
2,3−ジクロロ−N−(2'−エチル−6'−メチルフェニル)マレイミドが好ましく用いられる。
H2Cl(クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド)、テトラエチルチウラムジスルフ
ィッド、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2-n−オクチル−4イソチア
ゾリン−3オン、トリフェニル(オクタデシルアミン)ボロン、トリフェニル[3−(2−エチ
ルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロン、ジフェニルメチルイソプロピルアミンボロン、2,3−ジクロロ−N−(2'、6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3ジクロロ−N−(2'−
エチル、6'−メチルフェニル)マレイミド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フル
オロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロ
ジクロロメチルチオ)スルファミドからなる群から選ばれた少なくとも1種の防汚性化合
物を用いることが好ましい。
塗膜形成樹脂(C)
塗膜形成樹脂(C)としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル・メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、アルキッド・メラミン樹脂、マレイン酸変性された各種樹脂などが挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。このような塗膜形成樹脂(C)は、エマルション、ディスパージョン、または水溶液として用いられる。なお、塗膜形成樹脂(C)には、上記ポリエーテルシリコーン(A)は含まれない。
可塑性樹脂(D)
本発明の水性防汚組成物において、好ましく用いられる可塑性樹脂(D)としては、ポリブテン、ポリスルフイッド、流動パラフィン、ワックス、ワセリンが挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。可塑性樹脂(D)を添加することにより、防汚塗膜の防汚性を向上させるとともに、さらに防汚剤(B)の溶出を調整し長期に亘る防汚効果を発揮することができる。
0、LV−25、LV−50、LV−100等の商品名で市販されている。このようなポリオレフィン類は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
式;R1(S)nR2
で表わされるジアルキルポリスルフィッドである。式中、R1およびR2は炭素数1〜20個のアルキル基を表し、R1およびR2は同一でも異なっていてもよい。nは2〜10の整数、防汚性の面から4または5の整数が好ましい。
本発明において、可塑性樹脂(D)は、水性防汚組成物を100重量部とした場合に1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部となる量で含まれていることが望ましい。このような範囲であると、得られる塗膜の防汚効果が向上するとともに、塗膜強度にも優れるため好ましい。
ポリサッカライド系粘性調整剤、ポリウレタン会合型粘性調整剤、ポリエーテル会合型粘性調整剤、ポリオレフィン系沈降防止剤、セルロース系粘性調整剤等の有機系粘性調整剤;
が挙げられる。
本発明では、好ましくはベントナイトクレー系粘性調整剤、ヘクトライトクレー系粘性調整剤のうちから選択される無機系粘性調整剤が貯蔵安定性の点で望ましい。
ヘクトライトクレー系粘性調整剤として、具体的には、例えば、「Bentone HD」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
ポリサッカライド系粘性調整剤として、具体的には、例えば、「Benaqua 1000」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
アルカリ増粘型粘性調整剤として、具体的には、例えば、「Rheolate 450」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
ポリウレタン会合型粘性調整剤として、具体的には、、例えば、「Rheolate 288」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
ポリエーテル会合型粘性調整剤として、具体的には、例えば、「Rheolate 350」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
ポリオレフィン系沈降防止剤は、本発明においてはポリオレフィン系の粘性調整剤として用いられるが、このポリオレフィン系沈降防止剤(粘性調整剤)として具体的には、例えば、「Rheolate 2000」エレメンティスジャパン(株)製等が挙げられ、
セルロース系粘性調整剤として、具体的には、例えば、「フジケミ HEC SW-25F」(ヒ
ドロキシエチルセルロース、住友精化(株)製)、が挙げられる。
ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部の量で、
防汚剤(B)として「ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)」を1〜30重量部、好ましくは10〜25重量部の量で、もしくは「銅および/または銅化合物(銅ピリチオンを除く)(b2)」を1〜50重量部、好ましくは15〜40重量部の量で、
塗膜形成樹脂(C)を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の量で、
さらに、水を20〜85重量部、好ましくは30〜60重量部の量で含有することが望ましい。
このような組成である水性防汚組成物は、有機溶剤を実質的に含有しないため人体や環境への影響が軽減されるとともに、分散粒子や乳化粒子が多く存在していても粒子の凝集などが起こらないため貯蔵安定性にも優れ、さらに長期に亘って防汚効果に優れる防汚被膜を形成することができる。
ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部の量で、
防汚剤(B)として「ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)」を1〜30重量部、好ましくは10〜25重量部の量で、もしくは「銅および/または銅化合物(銅ピリチオンを除く)(b2)」を1〜50重量部、好ましくは15〜40重量部の量で、
塗膜形成樹脂(C)を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の量で、含有することが望ましい。さらに、防汚剤として、防汚性化合物(b3)を上記防汚剤(b1)または(b2)と共に、0.1〜30重量部、好ましくは1〜10重量部の量で含有することが望ましく、さらに可塑性樹脂(D)を1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部の量で含有することも望ましい。
水性防汚組成物がこのような組成であると、該組成物から形成される防汚被膜は基材に強固に付着するとともに塗膜強度にも優れるため長期に亘って防汚効果に優れる。
本発明の水性防汚組成物は、漁網の網染めに好ましく使用される。漁網の網染めを行うには、常法に従えばよく、例えば、水性防汚組成物の中に漁網を浸漬して漁網の繊維内あるいは繊維間に水性防汚組成物を浸透含浸させた後、漁網を引き上げ乾燥させればよい。なお、敷延あるいは広げて吊るした漁網の表裏面に水性防汚組成物を静電塗装の方法で、あるいはエアガン、エアレス塗装等の方法で散布してもよい。本発明の水性防汚組成物は、実質的に有機溶剤を含有しておらず、人体や環境への安全性が高い。
上記のような水性防汚組成物は、上記のように主に漁網の防汚処理に好適に使用されるが、例えば、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁業資材(例:ロープ、浮き子、ブイ)などの各種成形体の表面に常法に従って1回〜複数回塗布してもよく、このようにすれば防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆船舶または水中構造物などが得られる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明の好ましい態様をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」は「重量部」を示す。
<使用材料>
(ポリエーテルシリコーン(A))
・ 「シリコーンオイルKF6016」信越化学(株)製、HLB値=4.5。
・「ST−114PA」東レ・ダウコーニング(株)製、HLB値=5.6、50%ブチ
ルセロソルブ。
(防汚剤(B))、
・「TOC3204」ローム&ハース社製、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチ
レンビスジチオカーバメート。
・「亜酸化銅NC301」NCテック(株)製。
(可塑性樹脂(D))
・・「ポリブテンLV50」新日本石油(株)製、平均分子量430。
(塗膜形成樹脂(C))
・「ニューコートTS100」新中村化学工業(株)製、アクリルエマルション、樹脂含
有量50重量%、ガラス転移温度−35℃。
・「MX3363」三菱レイヨン(株)製、アクリルエマルション、樹脂含有量45重量
%、ガラス転移温度−20℃。
・「WSR−420」大竹明新化学(株)製、アクリルエマルション、樹脂含有量50重
量%、ガラス転移温度−25℃。
(分散剤、粘性調整剤)
・「ポイズ530」花王(株)製、分散剤(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)。
・「デモールN」花王(株)製、分散剤(β‐ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物
のナトリウム塩)。
・「アデカノールUH−752」旭電化工業(株)製、ポリウレタン会合型粘性調整剤、
ポリエーテルウレタン。
・「タモール850」分散剤、ローム&ハースジャパン(株)製、ポリカルボン酸ナトリ
ウム塩。
・「HEC」粘性調整剤(ヒドロキシエチルセルロース)、住友精化(株)製。
・「Disperbyk−190」分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)製、、顔料に 親和性のあるブロック共重合物。
・「エマルゲンA−60」乳化分散剤、花王(株)製、ポリオキシエチレンジスチレン化
フェニルエーテル。
・「Bentone HD」ヘクトライトクレー系粘性調整剤、エレメンティスジャパン
(株)製、ヘクトライトクレイ。
(添加剤)
「BYK−023」および「ADDITOL4973」:消泡剤。
<ポリエーテルシリコーンの乳化物の調製>
高速攪拌機(製品名:DISPERMAT F1、UMA GETZMANN GMBH社製)を備えた容器の中に、ポリエーテルシリコーンX22−6515(信越化学(株)製、HLB値=5.7)25部、乳化剤としてエマルゲン109P(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値=13.6、花王(株)製)3部を仕込み、回転数2000rpmで高速攪拌しながら、蒸留水5部を10分間かけて徐々に加えた。さらに、高速攪拌を継続しながら蒸留水23部を20分間かけて徐々に加えた結果、半透明でペースト状のポリエーテルシリコーンの乳化物を得た。
[参考例1および参考例4ならびに実施例2〜3および5〜6、比較例1〜6]
表1〜表2に示す組成及び配合量により、水性防汚組成物を調製した。
(防汚性試験)
水性防汚組成物を水道水で希釈し、これにポリエチレン製無結節網(7節、400デニール/50本)を浸漬し、上記組成物を含浸・塗布し、室内(20〜25℃)で48時間風乾した。なお、水道水での希釈量は、水性防汚組成物の乾燥後の網に対する塗着量が15重量%となるように調整した。
「−」 :海中生物の付着なし。
「++」:海中生物の付着が非常に多い。
(貯蔵安定性試験)
水性防汚組成物をガラス瓶に入れ、35℃の恒温器に1ヶ月保存し、貯蔵安定性を目視にて確認した。
Claims (13)
- ポリエーテルシリコーン(A)と防汚剤(B)と塗膜形成樹脂(C)(ポリエーテルシリコーン(A)を除く)と界面活性剤と水とを含有し、
有機溶剤として、沸点が200℃以下であり、かつ酸素原子を分子中に有さない溶剤を含有しない水性防汚組成物であって、
下記工程(1)〜(3)、または下記工程(1´)〜(3´)を含む工程を実施して調製されることを特徴とする水性防汚組成物;
工程(1):水と相溶する有機溶剤にポリエーテルシリコーン(A)を溶解して予備混合物1を調製する工程、
工程(2):予備混合物1を、界面活性剤が溶解した水に添加して予備混合物2を調製する工程、
工程(3):予備混合物2に、防汚剤(B)、塗膜形成樹脂(C)を添加して水性防汚組成物を調製する工程、
工程(1´):ポリエーテルシリコーン(A)を水および界面活性剤で乳化してエマルション混合物1´を調製する工程、
工程(2´):該エマルション混合物1´を、水に添加して予備混合物2´を調製する工程、
工程(3´):該予備混合物2´に、防汚剤(B)、塗膜形成樹脂(C)を添加して水性防汚組成物を調製する工程。 - ポリエーテルシリコーン(A)の親油性親水性バランス(HLB)が1〜10であることを特徴とする請求項1に記載の水性防汚組成物。
- 水性防汚組成物を100重量部とした場合に、ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、水を20〜85重量部の量で含有することを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の水性防汚組成物。
- さらに、防汚剤(B)としてビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水性防汚組成物。
- 水性防汚組成物を100重量部とした場合に、ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、防汚剤(B)としてビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(b1)を1〜30重量部、水を20〜85重量部の量で含有することを特徴とする請求項4に記載の水性防汚組成物。
- さらに、防汚剤(B)として銅および/または銅化合物(銅ピリチオンを除く)(b2)を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水性防汚組成物。
- 水性防汚組成物を100重量部とした場合に、ポリエーテルシリコーン(A)を0.1〜10重量部、防汚剤として銅および/または銅化合物(銅ピリチオンを除く)(b2)を1〜50重量部、水を20〜85重量部の量で含有することを特徴とする請求項6に記載の水性防汚組成物。
- さらに、防汚剤(B)として、n−C8H17−S−S−CH2Cl(クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド)、テトラエチルチウラムジスルフィッド、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2-n−オクチル−4イソチアゾリン−3オン、トリフェニル(オクタデシルアミン)ボロン、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロン、ジフェニルメチルイソプロピルアミンボロン、2,3ジクロロ−N−(2'、6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3ジクロロ−N−(2'−エチル、6'−メチルフェニル)マレイミド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミドからなる群から選ばれた少なくとも1種の防汚性化合物(b3)を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の水性防汚組成物。
- さらに、ポリブテン、ポリスルフイッド、流動パラフィン、ワックス、ワセリンからなる群から選ばれた少なくとも1種の可塑性樹脂(D)を含有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の水性防汚組成物。
- さらに、ベントナイトクレー系粘性調整剤、ヘクトライトクレー系粘性調整剤、ポリサッカライド系粘性調整剤、アルカリ増粘型粘性調整剤、ポリウレタン会合型粘性調整剤、ポリエーテル会合型粘性調整剤、ポリオレフィン系沈降防止剤、セルロース系粘性調整剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の粘性調整剤(E)を含有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の水性防汚組成物。
- 請求項1〜10の何れかに記載された水性防汚組成物から形成された防汚被膜。
- 請求項11に記載された防汚被膜で被覆された漁網。
- ポリエーテルシリコーン(A)と防汚剤(B)と塗膜形成樹脂(C)(ポリエーテルシリコーン(A)を除く)と界面活性剤と水とを含有し、
有機溶剤として、沸点が200℃以下であり、かつ酸素原子を分子中に有さない溶剤を含有しない水性防汚組成物の製造方法であって、
下記工程(1)〜(3)、または下記工程(1´)〜(3´)を含む工程を実施することを特徴とする水性防汚組成物の製造方法;
工程(1):水と相溶する有機溶剤にポリエーテルシリコーン(A)を溶解して予備混合物1を調製する工程、
工程(2):予備混合物1を、界面活性剤が溶解した水に添加して予備混合物2を調製する工程、
工程(3):予備混合物2に、防汚剤(B)、塗膜形成樹脂(C)を添加して水性防汚組成物を調製する工程、
工程(1´):ポリエーテルシリコーン(A)を水および界面活性剤で乳化してエマルション混合物1´を調製する工程、
工程(2´):該エマルション混合物1´を、水に添加して予備混合物2´を調製する工程、
工程(3´):該予備混合物2´に、防汚剤(B)、塗膜形成樹脂(C)を添加して水性防汚組成物を調製する工程。
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