JP3693479B2 - 水性漁網防汚剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水中に浸漬される漁網に生物が付着することによる機能上の障害を長期間にわたって防ぎ、尚且つ取り扱いにおいて安全で環境汚染が極めて少ない実用的な水性の漁網防汚剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水中に長期間設置される養殖及び定置漁網には植物類、動物類の様々な生物が付着する。これら生物の付着は網目閉塞による酸素欠乏から蓄養魚の大量弊死をまねいたり、流水抵抗の増大による漁網の流失を引き起こす。また生物の付着により網重量が増加するため、網替え、網揚げ、網洗浄がさらに重労働化する。中でもコケムシ類、フジツボ類、ヒドロ虫類は成長が速く短期間に問題を発生させる有害生物であり、有効な漁網防汚剤が期待されている。
【0003】
この対策としてジチオカルバミン酸化合物が有効であることが古くから知られ、実際に使用されており、近年では特開平6−157219号公報に平均粒径2μm以下のジチオカルバミン酸類を有効成分とし、キシレンなどを溶媒とした非水性の水中防汚剤が提案されている。
しかしこの防汚剤を含む既存の防汚剤には、溶媒として消防法の危険物に該当する引火性の揮発性有機溶剤(以下、有機溶剤ともいう)が用いられている。このような有機溶剤は、漁網への防汚処理作業において取り扱いの不備により作業者が吸入中毒をおこしたり、引火爆発ならびに火災が発生する危険性がある。また塗布後の乾燥時においては、製剤中に通常40〜70%含まれるこれら有機溶剤が大気中に放出され環境汚染の一因となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、陸上の外装塗料として広く用いられている水を溶媒とした水性のエマルション塗料型の漁網防汚剤が考えられ、実際に特開平9−52803号公報にN−アルキルポリアミン化合物を有効成分とし、さらにまた、これを乳化剤に用いて合成樹脂をエマルション化させた水性の防汚剤が提案され始めている。より古くは特開昭51−14936号公報に船底に用いる水性の防汚塗料が開示されているが、防汚効力に優れた水溶性が低い化合物を有効成分とする水性の漁網防汚剤は実用化されるまでには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機溶剤を溶媒とする非水性の漁網防汚剤に替わる水性の漁網防汚剤を提供することを目的とする。即ち、溶媒として大量の有機溶剤を含有しないため取扱上安全で且つ環境汚染を引き起こさず、非水性の漁網防汚剤に比べて同等ないしそれ以上の効果を示す水性漁網防汚剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは水性の漁網防汚剤について鋭意研究を行った結果、生物の付着を抑止する有効成分としてジチオカルバミン酸化合物を用い、有効成分を網地に保持し水中において徐々に溶出させる展着樹脂として好ましくはアクリル樹脂及びポリイソブチレンを用い、有効成分の溶出速度と展着樹脂の溶出速度を一定に制御する溶出調整剤としてセルロース誘導体を用い、さらに有効成分ならびに展着樹脂を漁網防汚剤中で均一に分散し防汚処理時にこれらを網内部まで浸透させ、引上げ乾燥時には液切れを良くする分散安定剤及び浸透剤として界面活性剤を用い、これらを配合して成分の分散を安定化させることにより、既存の非水性漁網防汚剤と同等の網地への浸透性を得ることが可能であり、また、有効成分と展着樹脂が効率よく溶出されるため、防汚効果が長期間維持できるとの知見を見出だし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
【0007】
(1)一般式(I)
【化2】
Figure 0003693479
(式中、MはZnまたはCuを示す)
で表されるジチオカルバミン酸化合物を有効成分とし、展着樹脂、溶出調整剤、界面活性剤、及び溶媒として水を含有する漁網防汚剤であって、溶出調整剤としてセルロース誘導体を用いることを特徴とする前記漁網防汚剤。
【0008】
(2)展着樹脂が、アクリル樹脂とポリイソブチレンとの混合樹脂である(1)記載の漁網防汚剤。
(3)アクリル樹脂とポリイソブチレンの混合比が1:1〜1:8である(3)記載の漁網防汚剤。
(4)セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースである(1)〜(3)に記載の漁網防汚剤。
(5)エマルション形態である(1)〜(4)に記載の漁網防汚剤。
(6)漁網防汚剤の全重量に対し、ジチオカルバミン酸化合物を8〜20重量%使用する(1)〜(5)に記載の漁網防汚剤。
【0009】
(7)漁網防汚剤の全重量に対し、展着樹脂を5〜30重量%使用する(1)〜(6)に記載の漁網防汚剤。
(8)漁網防汚剤の全重量に対し、セルロース誘導体を0.05〜1重量%使用する(1)〜(7)に記載の漁網防汚剤。
(9)漁網防汚剤の全重量に対し、界面活性剤を1〜5重量%使用する(1)〜(8)に記載の漁網防汚剤。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性漁網防汚剤では、海域による出現生物ならびに汚損度の違いにより、ジチオカルバミン酸化合物は漁網防汚剤の全重量に対して約8〜20重量%の範囲で使用され、約10〜16重量%が特に好ましい。約8重量%よりも少量の場合は長期間の防汚効果が顕著でなくなり、約20重量%を越えて配合した場合は防汚剤の粘度増加により網地への浸透性が低下し、効果が弱まる傾向が見られる。
【0011】
また、これらジチオカルバミン酸化合物は通常単独で使用されるが、水中に出現する付着生物種の違いによりスペクトラムを拡大するため、水溶媒中で比較的安定である2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、テトラメチルチウラムジスルフィド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2−ピリジンチオ−ル−1−オキシド亜鉛塩、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−(2H)−イソチアゾロンから選ばれる1種以上を、ジチオカルバミン酸化合物の重量に対して0.05〜0.5重量倍の範囲で配合してもよい。但し、漁網防汚剤の全重量に対して、ジチオカルバミン酸化合物との合計重量を約20重量%以下とすることが好ましい。
【0012】
これら有効成分は、その粒径が小さいほど網地内部への浸透性が良く、効力も高まることが良く知られている。従って、漁網防汚剤を調製する際に予め粉砕し、その後に他の成分と混合するのが望ましく、その粒径は約10μm以下にすることが好ましい。
本発明の水性漁網防汚剤の展着樹脂として用いるアクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそのエステル類の共重合物またはその軽金属塩(Li,Na,K,Ca,Mg,Al)、アンモニウム塩もしくはこれらの混合物を主体として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸成分、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等の硬成分及びブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の軟成分を適度に共重合したもので、合成繊維への接着性と高度の耐水性を得るような組成物であれば特に限定する必要はないが、平均分子量が数万〜数十万であり、室温以下のガラス転移温度を有するものが望ましい。
【0013】
また、同じく展着樹脂として用いるポリイソブチレンは、イソブチレンを主体とした鎖状炭化水素で、一部ノルマルブチレンを共重合したものでもよい。平均分子量が約100〜60,000のもの、あるいはそれらの混合物を使用する網の種類や海域により任意に選択できる。
これらのアクリル樹脂及びポリイソブチレンの混合比は、有効成分であるジチオカルバミン酸化合物の量あるいは使用する漁網の種類によって異なるが、通常重量比で約1:1〜1:8であり、好ましくは約1:1〜1:5の割合で配合される。アクリル樹脂の配合比がこれより上回ると、塗膜が強固となり網の柔軟性が低下する傾向があり、また、溶出調整剤による溶出速度の一定化も難しくなる傾向がある。反対にポリイソブチレンの配合比がこれより上回ると、処理乾燥後に網がべたつく傾向がある。アクリル樹脂とポリイソブチレンの合計重量は、漁網防汚剤の全重量に対して約5〜30重量%であり、好ましくは約8〜25重量%である。アクリル樹脂及びポリイソブチレンの総配合量が、漁網防汚剤の全重量に対して約5重量%未満の場合には水中における有効成分保持能力が顕著でなくなり、約30重量%を越える場合には粘度増加により防汚剤の浸透性が低下する傾向が見られる。
【0014】
アクリル樹脂及びポリイソブチレンを漁網防汚剤に配合する際は、以下に示す方法により乳化剤を加えて予めエマルション形態に調製しておくのが望ましい。即ち、アクリル樹脂エマルションは、アクリル樹脂重量に対して約0.2〜12重量%、好ましくは約1〜4.5重量%の乳化剤及び約0.2〜4.5重量%の開始剤を含む水溶液中に混合モノマーを滴下して共重合を行うことによって得られる通常のエマルション樹脂であり、ラジカル重合、酸化還元重合のいずれも好適に用いることができる。一方、ポリイソブチレンエマルションは、適当量の乳化剤との混合物を混練りしながら水を加えていくことによって得ることができる。これらの乳化剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、あるいはこれらの混合系のいずれも用いることができるが、エマルション系の安定性重視の観点からアニオン界面活性剤単独、あるいはアニオン界面活性剤を主体に半量以下のノニオン界面活性剤を混合した系を用いるのが好ましい。
【0015】
溶出調整剤として配合されるセルロース誘導体とは、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体であり、平均分子量が50,000〜100,000のものが好ましい。セルロース誘導体は、水温、流速といった使用海域の環境の違いより、漁網防汚剤の溶出量の微調整を行なうために任意に選定され、単独でも2種以上併用してもよい。好ましくは、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースを使用する。
【0016】
これらセルロース誘導体は、ジチオカルバミン酸化合物の量あるいは使用する漁網の種類によって異なるが、通常漁網防汚剤の全重量に対して約0.05〜1重量%の範囲で配合される。この配合範囲を大きく外れると、有効成分であるジチオカルバミン酸化合物や展着樹脂の溶出が遅くなって効果が顕著でなくなったり、反対にジチオカルバミン酸化合物や展着樹脂の溶出が速すぎて期待する効力期間が短くなることがある。
【0017】
分散安定剤あるいは浸透剤として使用される界面活性剤としては、次のものが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。例えば、アルキルアリールスルホン酸塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルコール燐酸エステル塩類、脂肪族アミドスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤、あるいはこれらの界面活性剤の2種以上の混合系を用いることができる。
【0018】
これら界面活性剤は、ジチオカルバミン酸化合物の量あるいは使用する漁網の種類によって異なるが、通常単独でまたは2種以上を混合して漁網防汚剤の全重量に対して約1〜5重量%の範囲で配合される。この範囲を大きく外れると、分散性が低下して有効成分であるジチオカルバミン酸化合物等の付着斑が生じたり、ジチオカルバミン酸化合物及び展着樹脂の溶出が速すぎて期待する効力期間が短くなったりして防汚効果が顕著でなくなる傾向がある。
【0019】
なお、本発明の水性漁網防汚剤の使用対象となる漁網は、材質、形状、新旧の状態変化が多岐にわたる。例えば、材質ではポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンやそれらの混撚りといった種類がある。形状では有結節、無結節、モノフィラメント、マルチフィラメントといった種類がある。新旧の状態変化についていえば、新網は表面が平滑で、古網ほど表面にささくれが発生しているといった違いがある。そして網目の大きさや網地の太さによって撚られている繊維本数が異なる。よって各網で比重、面積等が異なり水中における流水抵抗の受け方や網の動きが様々である。これらの違いは防汚剤の溶出性を変化させる要因となっており、展着樹脂の配合比と配合量及び溶出調整剤により最適な条件に調整するが、場合によっては各対象物に本発明の漁網防汚剤を最適なものとして提供するために下記のようなロジン、ワックス類等を接着性調整剤としてエマルション形態で配合し、漁網防汚剤の網地への接着性を調整することができる。
【0020】
ここにあげるロジンとは、天然ロジン、合成ロジンあるいは変性ロジン等で、ワックス類とは脂肪族炭化水素系、高級脂肪酸系、脂肪酸アミド系、脂肪酸エステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などのワックス等であるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の水性漁網防汚剤では溶媒として水を用いるが、乾燥、浸透性を高めるため、防汚対象物によっては漁網防汚剤の全重量に対して約0.05〜5重量%の水溶性有機溶剤を配合してもよい。
【0021】
さらに漁網防汚剤は通常、染顔料により色付けされるが、本発明の漁網防汚剤にあっても適当な染顔料により色付けすることができる。
本発明の漁網防汚剤は、上記各成分を混合攪拌することにより調製することができる。
このようにして調製した本発明の漁網防汚剤は、使用する漁網に応じて浸漬、ハケ塗り、スプレーなどの通常の塗装方法を適宜利用して塗布することが可能であり、常温または加熱下にて乾燥させることにより漁網へ保持させることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明の水性漁網防汚剤を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
表1に示す処方例及び比較処方例に従って、各成分を混合攪拌することにより漁網防汚剤を調製した。得られた漁網防汚剤にタテ×ヨコ:6目合×6目合に切断したポリエチレン400D24本10節の漁網片を15秒間浸漬処理し、7日間常温で乾燥した。以下の計算式により、漁網の防汚処理に要する漁網防汚剤の必要重量、即ち網重量に対する漁網防汚剤使用割合(消費率)、漁網防汚剤中の有効成分の網重量に対する付着重量割合(有効成分付着率)をそれぞれ求めた。
【0023】
表1中、アクリル樹脂エマルション▲1▼及び▲2▼、アクリル樹脂キシレン溶液は、それぞれ松本油脂製薬(株)製マーポゾールF−1(平均分子量50,000〜100,000)、同マーポゾールN250(平均分子量50,000〜60,000)、三菱レーヨン( 株)製LR−155(平均分子量60,000〜80,000)である。i,n−ブチレン共重合エマルション▲1▼及び▲2▼、i,n−ブチレン共重合は、それぞれ日本石油化学(株)製HE−175(平均分子量約900)、同HE−1975(平均分子量約2,300)、同HV−100(平均分子量約900)である。界面活性剤▲1▼、▲2▼及び▲3▼は、それぞれ松本油脂製薬(株)製ハイマールCS−40L、同シルバンT−80、同ハイマール585である。ヒドロキシプロピル・メチルセルロースは平均分子量約86,000のものを使用した。
【0024】
【数1】
Figure 0003693479
【0025】
【数2】
Figure 0003693479
【0026】
【数3】
Figure 0003693479
【0027】
【表1】
Figure 0003693479
【0028】
実施例2
実施例1と同様に、タテ×ヨコ:10目合×10目合に切断したポリエチレン400D24本10節の漁網片を、表1に示す処方例及び比較処方例に従って作成した漁網防汚剤に15秒間浸漬処理し、常温で7日間乾燥した。これらを静岡県沼津市口野沖養殖海域海面下1.5mの深さに6月から5ヶ月間浸漬した。生物付着状況を1ヶ月ごとに観察した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003693479
【0030】
実施例3
実施例1にて各漁網防汚剤で処理した漁網を、人工海水を入れた60Lの水槽2基に吊し、水温23℃、流速約1.5ノットで経時に海水を交換しながら撹拌を行った。1、2、3ヶ月目に漁網片の一部を切り出し、有効成分残存率を調べた。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
Figure 0003693479
【0032】
表2及び表3から明らかなように、本発明の漁網防汚剤は有効成分の溶出性が均一で持続的な効力を示すことが判明した。しかしながら、各成分の好適な配合量の範囲を外れると、有効成分が網地表面に多く付着するものの浸透性が低下したり(比較処方例1及び4)、あるいは漁網防汚剤成分の水溶性が高すぎて(比較処方例3及び5)有効成分の初期溶出が多いだけで溶出の持続性が得られにくかったり、また、塗膜が強固となり(比較処方例2)有効成分が溶出しにくくなるといった問題が発生し易くなり、効果が顕著でなくなる傾向が見られる。
また、比較処方例6は展着樹脂の配合量を本漁網防汚剤と同一とした有機溶剤タイプの漁網防汚剤であるが、有効成分の溶出量が少ないため防汚効果が得られにくく、従って、本発明の水性漁網防汚剤が非水性の漁網防汚剤に比べて同等以上の効果を示すことが判明した。
【0033】
実施例4
実施例1と同様に、タテ×ヨコ:8目合×8目合に切断したポリエチレン400D24本8節の漁網片を、表4に示す処方例5、6及び比較処方例7に従って作成した漁網防汚剤に15秒間浸漬処理し、常温で7日間乾燥した。またタテ×ヨコ:3目合×3目合に切断したポリエステル250D90本90mmの漁網片を、表5に示す処方例7、8及び比較処方例8に従って作成した漁網防汚剤に同様に15秒間浸漬処理し、常温で7日間乾燥した。これらを神奈川県小田原市早川沖定置海域海面下2mの深さに6月から5ヶ月間浸漬した。実施例2の基準に従って生物付着状況を1ヶ月ごとに観察した。結果を表5に示す。
表4中、アクリル樹脂エマルション▲1▼及びアクリル樹脂キシレン溶液は表1と同一のものを使用し、i,n−ブチレン共重合エマルション▲1▼も表1と同一のものを使用し、i,n−ブチレン共重合は日本石油化学(株)製HV−1900(平均分子量約2,300)を使用した。界面活性剤は表1の▲1▼と同一のものを使用した。
【0034】
【表4】
Figure 0003693479
【0035】
【表5】
Figure 0003693479
【0036】
表4及び表5より、定置海域ではポリエチレン網に加えポリエステル網が多く使用されているが、本発明の漁網防汚剤は海域や網の種類が変わっても良好な効果を示すことが判明した。
【0037】
【発明の効果】
以上、ジチオカルバミン酸化合物、アクリル樹脂、ポリイソブチレン、セルロース誘導体、分散剤及び浸透剤を一定の範囲で配合した本発明の漁網防汚剤は長期間に渡り有害生物の付着を防止し、尚且つ有機溶剤を使用しないため取扱上安全で大気環境汚染が極めて少ない。

Claims (9)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003693479
    (式中、MはZnまたはCuを示す)で表されるジチオカルバミン酸化合物を有効成分とし、展着樹脂、溶出調整剤、界面活性剤、及び溶媒として水を含有する漁網防汚剤であって、溶出調整剤として水溶性セルロース誘導体を用いることを特徴とする前記漁網防汚剤。
  2. 展着樹脂が、アクリル樹脂とポリイソブチレンとの混合樹脂である請求項1記載の漁網防汚剤。
  3. アクリル樹脂とポリイソブチレンの混合比が1:1〜1:8である請求項2記載の漁網防汚剤。
  4. 水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースである請求項1〜3のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
  5. エマルション形態である請求項1〜4のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
  6. 漁網防汚剤の全重量に対し、ジチオカルバミン酸化合物を8〜20重量%使用する請求項1〜5のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
  7. 漁網防汚剤の全重量に対し、展着樹脂を5〜30重量%使用する請求項1〜6のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
  8. 漁網防汚剤の全重量に対し、水溶性セルロース誘導体を0.05〜1重量%使用する請求項1〜7のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
  9. 漁網防汚剤の全重量に対し、界面活性剤を1〜5重量%使用する請求項1〜8のいずれか一項に記載の漁網防汚剤。
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