JP2000281942A - 水系防汚塗料組成物、該水系防汚塗料組成物から形成される塗膜、該水系防汚塗料組成物を塗布されてなる漁網及び該水系防汚塗料組成物を用いる漁網の防汚方法 - Google Patents

水系防汚塗料組成物、該水系防汚塗料組成物から形成される塗膜、該水系防汚塗料組成物を塗布されてなる漁網及び該水系防汚塗料組成物を用いる漁網の防汚方法

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JP2000281942A
JP2000281942A JP11091153A JP9115399A JP2000281942A JP 2000281942 A JP2000281942 A JP 2000281942A JP 11091153 A JP11091153 A JP 11091153A JP 9115399 A JP9115399 A JP 9115399A JP 2000281942 A JP2000281942 A JP 2000281942A
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Japan
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water
formula
weight
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nonionic surfactant
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JP11091153A
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Takahiro Inatsugi
崇宏 稲継
Shinichi Umetani
慎一 梅谷
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Nicca Chemical Co Ltd
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Nicca Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】防汚剤中に引火性や人体及び環境に影響を及ぼ
すおそれがある揮発性有機溶剤を含有せず、優れた防汚
効果を有し、作業性が良好な水系防汚塗料組成物、該組
成物から形成される塗膜、該組成物を塗布されてなる漁
網及び該組成物を用いる漁網の防汚方法を提供する。 【解決手段】水に分散、微粒子化した(A)ピリジン−ト
リフェニルボラン、(B)銅ピリチオン又は亜鉛ピリチオ
ン及び(C)ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチ
レンビスジチオカーバメート又はジンクジメチルジチオ
カーバメートを有効成分とし、水系ポリマーエマルショ
ンをバインダーとして含有することを特徴とする水系防
汚塗料組成物、該水系防汚塗料組成物から形成される塗
膜、該水系防汚塗料組成物を塗布されてなる漁網並びに
該水系防汚塗料組成物を用いる漁網の防汚方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系防汚塗料組成
物、該水系防汚塗料組成物から形成される塗膜、該水系
防汚塗料組成物を塗布されてなる漁網及び該水系防汚塗
料組成物を用いる漁網の防汚方法に関する。さらに詳し
くは、本発明は、貯蔵安定性に優れ、揮発性有機溶剤を
全く含まず、環境や作業者に対して悪影響を与えること
なく、微生物、ヒドラ、フジツボなどの海棲生物、アオ
サなどの藻類などの漁網の表面への付着を効果的に防止
することができる防汚性に優れた水系防汚塗料組成物、
該水系防汚塗料組成物から形成される塗膜、該水系防汚
塗料組成物を塗布されてなる漁網及び該水系防汚塗料組
成物を用いる漁網の防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、獲る漁業から育て増やす漁業への
転換が進むことにより、養殖漁業の規模が拡大してお
り、その結果として、付着生物の生息域が拡大の一途を
たどっている。このような状況において、漁網、船底、
水上、水中構造物などは、海水中に長期間さらされるこ
とにより、その表面に貝、フジツボ、ヒドラなどの動物
類、アオサなどの藻類、バクテリア類などの各種海棲付
着生物が数多く付着し、これらにより種々の障害が引き
起こされている。例えば、養殖場においては、カキなど
の養殖に大きな被害を与えたり、養殖網や定置網などの
漁網に大量に付着した場合には、養殖魚の外観が損ねら
れたり、海水の流通阻害による生簀内の溶存酸素不足に
よる飼育魚の窒息死や、寄生虫の発生の原因となってい
る。また、船底にこのような付着生物が付着、繁殖する
と、船速の低下、燃費の悪化を招くなどの障害が発生す
る。さらに、このような海棲付着生物を取り除くには、
多大な労力と作業時間が必要となる。このために、従来
より、海棲付着生物の付着を抑制する防汚剤が種々提案
され、実際に使用されている。しかし、これらの防汚剤
の大半がキシレンやトルエンなどの揮発性の高い有機溶
剤を使用していることから、環境への悪影響が懸念さ
れ、また防汚剤を直接取り扱う作業者への影響が危惧さ
れるとともに、使用する有機溶剤に引火性があるため
に、作業上細心の注意を払う必要があった。これまで
に、こうした環境及び作業者への影響に配慮した水系の
防汚剤が提案されている(例えば、特開昭63−280
779号公報、特開昭63−301273号公報、特開
平2−64167号公報、特開平3−7774号公報、
特開平6−72807号公報、特開平7−305002
号公報、特開平8−81524号公報、特開平9−52
803号公報など)が、要求される防汚性能を満たして
いるとは言い難いのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、防汚剤中に
引火性や人体及び環境に影響を及ぼすおそれがあるキシ
レン、トルエンなどの揮発性有機溶剤を含有せず、優れ
た防汚効果を示す防汚有効成分を含有し、作業性が良好
であることなどの諸条件を満足する水系防汚塗料組成
物、該水系防汚塗料組成物から形成される塗膜、該水系
防汚塗料組成物を塗布されてなる漁網及び該水系防汚塗
料組成物を用いる漁網の防汚方法を提供することを目的
としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ピリジン−トリ
フェニルボラン、ピリチオン金属塩及びチオカーバメー
ト化合物を併用することにより薬剤の相乗効果が発揮さ
れ、ヒドラなどの海棲付着生物の付着防止に有効であ
り、さらにこれらの水に不溶な防汚成分を特定の界面活
性剤を用いて分散し、微粒子化することにより、安定な
水分散物が得られることを見いだし、これらの知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
(1)(A)アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性
剤を乳化剤として用いて水に分散、微粒子化した平均粒
子径が0.1〜1μmである式[1]で表されるピリジ
ン−トリフェニルボラン、(B)アニオン界面活性剤又
は非イオン界面活性剤を乳化剤として用いて水に分散、
微粒子化した平均粒子径が0.1〜1μmである式
[2](ただし、式中、MはCu又はZnである。)で
表されるピリチオン金属塩の少なくとも1種及び(C)
アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を乳化剤と
して用いて水に分散、微粒子化した平均粒子径が0.1
〜1μmである式[3]で表されるビスジメチルジチオ
カルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート及
び式[4]で表されるジンクジメチルジチオカーバメー
トの内の少なくとも1種のチオカーバメート化合物を有
効成分とし、水系ポリマーエマルションをバインダーと
して含有することを特徴とする水系防汚塗料組成物、
【化3】 (2)式[1]で表されるピリジン−トリフェニルボラ
ン、式[2]で表されるピリチオン金属塩及び式[3]
又は式[4]で表されるチオカーバメート化合物の合計
量が、塗料組成物中1〜30重量%である第(1)項記載
の水系防汚塗料組成物、(3)(D)式[5]で表され
る2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニル
ピリジンの水分散物を含有する第(1)項記載の水系防汚
塗料組成物、
【化4】 (4)第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載の水系防汚
塗料組成物から形成されてなることを特徴とする塗膜、
(5)第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載の水系防汚
塗料組成物を塗布されてなることを特徴とする漁網、及
び、(6)第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載の水系
防汚塗料組成物により表面に塗膜を形成することを特徴
とする漁網の防汚方法、を提供するものである。さら
に、本発明の好ましい様態として、(7)水系ポリマー
エマルションが、ガラス転移温度が−40〜50℃であ
る水系アクリル樹脂のエマルションでる第(1)項記載の
水系防汚塗料組成物、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の水系防汚塗料組成物は、
(A)アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を乳化
剤として用いて水に分散、微粒子化した平均粒子径が
0.1〜1μmである式[1]で表されるピリジン−ト
リフェニルボラン、(B)アニオン界面活性剤又は非イオ
ン界面活性剤を乳化剤として用いて水に分散、微粒子化
した平均粒子径が0.1〜1μmである式[2](ただ
し、式中、MはCu又はZnである。)で表されるピリ
チオン金属塩の少なくとも1種及び(C)アニオン界面活
性剤又は非イオン界面活性剤を乳化剤として用いて水に
分散、微粒子化した平均粒子径が0.1〜1μmである
式[3]で表されるビスジメチルジチオカルバモイルジ
ンクエチレンビスジチオカーバメート及び式[4]で表
されるジンクジメチルジチオカーバメートの内の少なく
とも1種のチオカーバメート化合物を有効成分とし、水
系ポリマーエマルションをバインダーとして含有する。
【化5】
【0006】本発明に使用するピリジン−トリフェニル
ボランは、アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤
を乳化剤として用いることにより、水に分散、微粒子化
して平均粒子径0.1〜1μmとする。ピリジン−トリ
フェニルボランの水分散微粒子化物の製造方法に特に制
限はないが、例えば、(a)ピリジン−トリフェニルボラ
ン、(b)アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤、
(c)水及び(d)消泡剤を、ディスパー、ホモミキサーな
どの高い剪断速度を有する分散機で予備分散したのち、
ビーズミル、サンドグラインドミル、ホモジナイザーな
どの乳化機器を用い、分散粒子の90重量%以上が1μ
m以下になるまで微粒子化を行うことにより、ピリジン
−トリフェニルボランの水に分散した微粒子化物を得る
ことができる。さらに、この微粒子化物に対して、あら
かじめ(e)天然ガム、(f)防腐剤及び(g)水を均一に混
合した糊剤を加え、ラボ・ディスパーなどを用いて均一
に混合することにより、経時的に分離沈降することのな
い安定なピリジン−トリフェニルボランの微粒子化物を
得ることができる。微粒子化工程において、(d)消泡剤
は必ずしも必要ではないが、微粒子化後の収量を高める
ためには使用することが好ましい。また、用いる消泡剤
に特に制限はないが、シリコーン系の消泡剤を用いるこ
とが好ましい。
【0007】ピリジン−トリフェニルボランの分散、微
粒子化に用いる非イオン界面活性剤に特に制限はなく、
例えば、直鎖又は分岐ポリオキシエチレンアルキルエー
テル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシ
プロピレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン
界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアル
キルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキ
シエチレンジスチリルフェニルエーテル型非イオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチリ
ルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレントリスチリルフェニルエーテル型非イオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリスチ
リルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、プルロニ
ック型非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
これらの非イオン界面活性剤は、1種を単独で用いるこ
とができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いるこ
ともできる。使用する非イオン界面活性剤のHLB値
は、4〜16であることが好ましく、7〜14であるこ
とがより好ましい。非イオン界面活性剤のHLB値が4
未満又は16を超えると、十分な分散効果が得られない
おそれがある。ピリジン−トリフェニルボランの分散、
微粒子化に用いるアニオン界面活性剤に特に制限はな
く、例えば、前記の非イオン界面活性剤の硫酸エステル
塩、リン酸エステル塩や、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルカルボン酸塩型アニオン界面活性剤、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩型アニオン界面活性剤、アルキル
ナフタレンスルホン酸塩型アニオン界面活性剤、ナフタ
レンスルホン酸塩ホルマリン重縮合物型アニオン界面活
性剤、メラミンスルホン酸塩ホルマリン重縮合物型アニ
オン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルスルホコ
ハク酸二塩型アニオン界面活性剤、硫酸化油型アニオン
界面活性剤などを挙げることができる。これらにアニオ
ン界面活性剤は、1種を単独で用いることができ、ある
いは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本
発明において、ピリジン−トリフェニルボランの分散、
微粒子化には、アニオン界面活性剤のみ又は非イオン界
面活性剤のみを用いることができ、あるいは、アニオン
界面活性剤と非イオン界面活性剤を組み合わせて用いる
こともできる。
【0008】本発明に使用するピリチオン金属塩は、ア
ニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を乳化剤とし
て用いることにより、水に分散、微粒子化して平均粒子
径0.1〜1μmとする。ピリチオン金属塩の水分散微
粒子化物の製造方法に特に制限はないが、(a)ピリチオ
ン金属塩、(b)アニオン界面活性剤又は非イオン界面活
性剤、(c)水及び(d)消泡剤をディスパー、ホモミキサ
ーなどの高い剪断速度を有する分散機で予備分散したの
ち、ビーズミル、サンドグラインドミル、ホモジナイザ
ーなどの乳化機器を用いて、分散粒子の90重量%以上
が1μm以下になるまで微粒子化を行うことにより、ピ
リチオン金属塩の微粒子化物を得ることができる。さら
に、この微粒子化物に対して、あらかじめ(e)天然ガ
ム、(f)防腐剤及び(g)水を均一に混合した糊剤を加
え、ラボ・ディスパーなどを用いて均一に混合すること
により、経時的に分離沈降することのない安定なピリチ
オン金属塩の微粒子化物を得ることができる。微粒子化
工程において、(d)消泡剤は必ずしも必要ではないが、
微粒子化後の収量を高めるためには使用することが好ま
しい。また、用いる消泡剤に特に制限はないが、シリコ
ーン系の消泡剤を用いることが好ましい。
【0009】ピリチオン金属塩の分散、微粒子化に用い
る非イオン界面活性剤に特に制限はなく、例えば、直鎖
又は分岐ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオ
ン界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンア
ルキルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、
ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルフェニル
エーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジ
スチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリ
オキシエチレンオキシプロピレンジスチリルフェニルエ
ーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレントリ
スチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリ
オキシエチレンオキシプロピレントリスチリルフェニル
エーテル型非イオン界面活性剤、プルロニック型非イオ
ン界面活性剤などを挙げることができる。これらの非イ
オン界面活性剤は、1種を単独で用いることができ、あ
るいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
使用する非イオン界面活性剤のHLB値は、4〜16で
あることが好ましく、7〜14であることがより好まし
い。非イオン界面活性剤のHLB値が4未満又は16を
超えると、十分な分散効果が得られないおそれがある。
ピリチオン金属塩の分散、微粒子化に用いるアニオン界
面活性剤に特に制限はなく、例えば、前記の非イオン界
面活性剤の硫酸エステル塩、リン酸エステル塩や、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩型アニオ
ン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩型アニオ
ン界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸塩型アニ
オン界面活性剤、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン重
縮合物型アニオン界面活性剤、メラミンスルホン酸塩ホ
ルマリン重縮合物型アニオン界面活性剤、ポリオキシエ
チレンアルキルスルホコハク酸二塩型アニオン界面活性
剤、硫酸化油型アニオン界面活性剤などを挙げることが
できる。これらにアニオン界面活性剤は、1種を単独で
用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて
用いることもできる。本発明において、ピリチオン金属
塩の分散、微粒子化には、アニオン界面活性剤のみ又は
非イオン界面活性剤のみを用いることができ、あるい
は、アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤を組み合
わせて用いることもできる。
【0010】本発明に使用するチオカーバメート化合物
は、アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を乳化
剤として用いることにより、水に分散、微粒子化して平
均粒子径0.1〜1μmとする。チオカーバメート化合
物の水分散微粒子化物の製造方法に特に制限はないが、
(a)チオカーバメート化合物、(b)アニオン界面活性剤
又は非イオン界面活性剤、(c)水及び(d)消泡剤をディ
スパー、ホモミキサーなどの高い剪断速度を有する分散
機で予備分散したのち、ビーズミル、サンドグラインド
ミル、ホモジナイザーなどの乳化機器を用いて、分散粒
子の90重量%以上が1μm以下になるまで微粒子化を
行うことにより、チオカーバメート化合物の微粒子化物
を得ることができる。さらに、この微粒子化物に対し
て、あらかじめ(e)天然ガム、(f)防腐剤及び(g)水を
均一に混合した糊剤を加え、ラボ・ディスパーなどを用
いて均一に混合することにより、経時的に分離沈降する
ことのない安定なチオカーバメート化合物の微粒子化物
を得ることができる。微粒子化工程において、(d)消泡
剤は必ずしも必要ではないが、微粒子化後の収量を高め
るためには使用することが好ましい。また、用いる消泡
剤に特に制限はないが、シリコーン系の消泡剤を用いる
ことが好ましい。
【0011】チオカーバメート化合物金属塩の分散、微
粒子化に用いる非イオン界面活性剤に特に制限はなく、
例えば、直鎖又は分岐ポリオキシエチレンアルキルエー
テル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシ
プロピレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン
界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアル
キルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキ
シエチレンジスチリルフェニルエーテル型非イオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチリ
ルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレントリスチリルフェニルエーテル型非イオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリスチ
リルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、プルロニ
ック型非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
これらの非イオン界面活性剤は、1種を単独で用いるこ
とができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いるこ
ともできる。使用する非イオン界面活性剤のHLB値
は、4〜16であることが好ましく、7〜14であるこ
とがより好ましい。非イオン界面活性剤のHLB値が4
未満又は16を超えると、十分な分散効果が得られない
おそれがある。チオカーバメート化合物の分散、微粒子
化に用いるアニオン界面活性剤に特に制限はなく、例え
ば、前記の非イオン界面活性剤の硫酸エステル塩、リン
酸エステル塩や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
カルボン酸塩型アニオン界面活性剤、アルキルベンゼン
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩型アニオン界面活性剤、ナフタレンスル
ホン酸塩ホルマリン重縮合物型アニオン界面活性剤、メ
ラミンスルホン酸塩ホルマリン重縮合物型アニオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二
塩型アニオン界面活性剤、硫酸化油型アニオン界面活性
剤などを挙げることができる。これらにアニオン界面活
性剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2
種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中
で、タモールと呼ばれるナフタレンスルホン酸ナトリウ
ムホルマリン縮合物型アニオン界面活性剤を特に好適に
用いることができる。本発明において、チオカーバメー
ト化合物の分散、微粒子化には、アニオン界面活性剤の
み又は非イオン界面活性剤のみを用いることができ、あ
るいは、アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤を組
み合わせて用いることもできる。
【0012】本発明において、(A)ピリジン−トリフェ
ニルボラン、(B)ピリチオン金属塩及び(C)チオカーバ
メート化合物は、それぞれを単独で微粒子化したのち混
合することができ、あるいは、(A)ピリジン−トリフェ
ニルボラン、(B)ピリチオン金属塩及び(C)チオカーバ
メート化合物を混合したのち、混合物を微粒子化するこ
ともできる。本発明の水系防汚塗料組成物において、
(A)水分散微粒子化したピリジン−トリフェニルボラ
ン、(B)水分散微粒子化したピリチオン金属塩及び(C)
水分散微粒子化したチオカーバメート化合物の合計量
は、塗料組成物中1〜30重量%であることが好まし
く、5〜15重量%であることがより好ましい。(A)成
分、(B)成分及び(C)成分の合計量が塗料組成物中1重
量%未満であると、防汚効果が不十分となるおそれがあ
る。(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量が塗料組
成物中30重量%を超えると、塗料組成物の安定性が損
なわれるおそれがある。本発明の水系防汚塗料組成物に
は、(D)式[5]で表される2,3,5,6−テトラクロ
ロ−4−メチルスルホニルピリジンを含有させることが
できる。
【化6】 2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピ
リジンは、ピリジン−トリフェニルボランなどと同様
に、アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を用い
て、水に分散、微粒子化することが好ましい。2,3,
5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン
の含有量は、塗料組成物中0.1〜10重量%であるこ
とが好ましく、1〜5重量%であることがより好まし
い。防汚塗料組成物に2,3,5,6−テトラクロロ−4
−メチルスルホニルピリジンを含有させることにより、
防汚効果をいっそう高めることができる。
【0013】本発明の水系防汚塗料組成物は、バインダ
ーとして水系ポリマーエマルションを含有する。バイン
ダーとして用いる水系ポリマーエマルションに特に制限
はなく、例えば、アクリル樹脂エマルション、ポリ酢酸
ビニルエマルション、スチレン−アクリル共重合体エマ
ルションなどを挙げることができる。これらの中で、ア
クリル樹脂エマルションを特に好適に用いることができ
る。水系ポリマーエマルションは、樹脂のガラス転移温
度が−40〜50℃であることが好ましい。本発明組成
物において、水系ポリマーエマルションは、塗料組成物
中の樹脂固形分が2〜30重量%となるように含有させ
ることが好ましい。本発明の水系防汚塗料組成物には、
必要に応じて、他の防汚剤を配合することができる。他
の防汚剤としては、例えば、オキシン銅、ビス(ペンタ
クロロフェノール酸)銅などの有機銅系化合物、ジメチ
ルジチオカルバミン酸ニッケルなどの有機ニッケル系化
合物、カルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミ
ン酸亜鉛などの有機亜鉛系化合物、N−(2,4,6−ト
リクロロフェニル)マレイミド、N−(4−n−ブチルフ
ェニル)マレイミド、N−3−クロロフェニルマレイミ
ド、N−(4−n−ブチルフェニル)マレイミドなどのN
−アリールマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチ
ルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン
などのトリアジン系化合物などを挙げることができる。
本発明の水系防汚塗料組成物には、さらに必要に応じ
て、顔料、染料、タレ防止剤、その他の添加剤を配合す
ることができる。顔料としては、例えば、タルク、アル
ミナホワイト、チタンホワイト、酸化チタン、カーボン
ブラック、黒鉛、ベンガラ、マイカなどを挙げることが
できる。染料としては、アニオン系の染料を用いること
が好ましい。タレ防止剤としては、例えば、乳化性ポリ
エチレンワックス、ヒュームドシリカ、クレイ、天然ガ
ム、疎水化ヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸−
アクリル酸エステル共重合物、不飽和アルコールとエチ
レンジカルボン酸反応物の誘導体、ポリアマイドの水分
散物などを挙げることができる。その他の添加剤として
は、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐
剤などを挙げることができる。
【0014】本発明の水系塗料組成物を用いて塗膜を形
成する方法に特に制限はなく、例えば、エアスプレー塗
装、エアレススプレー塗装、エア霧化式又は回転霧化式
静電塗装などの霧化式塗装、はけ塗り、ディップコート
法などにより塗布することができる。本発明組成物を塗
布したのち、塗膜を形成する方法に特に制限はなく、例
えば、大気雰囲気中において風乾することができ、ある
いは、被塗物を温度調節して塗膜を形成することもでき
る。被塗物の温度調節方法については特に制限はなく、
例えば、被塗物を加熱する場合には、被塗物周囲の雰囲
気を加熱する方法、被塗物を直接加熱する方法のいずれ
でもよく、加熱手段としては、例えば、温風、熱風炉、
赤外炉、誘電加熱炉などを挙げることができる。被塗物
を冷却する場合には、被塗物をいったん加熱した後の冷
却も含めて、例えば、被塗物周囲の雰囲気を冷却する方
法、被塗物を直接冷却する方法のいずれでもよく、冷却
手段としては、例えば、冷風、低温槽、蒸発を伴う放冷
などを挙げることができる。本発明の水系防汚塗料組成
物を漁網に塗布することにより、漁網へのフジツボ、貝
類、藻類などの付着を効果的に防止することができる。
本発明組成物は、キシレン、トルエンなどの揮発性有機
溶剤を含有しないので、環境及び作業者へ悪影響を及ぼ
すおそれがない。さらに、本発明組成物は、貯蔵安定性
が良好であり、防汚処理の作業性を向上することができ
る。
【0015】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。防汚塗料の貯蔵安定性及び塗膜
の防汚性能は、下記の方法により評価した。 (1)貯蔵安定性 調製した防汚塗料を20℃で貯蔵し、分散状態を目視に
より評価する。貯蔵3カ月後においても分離沈降が見ら
れないもの、又は、再分散性が良好であるものを良好と
する。 (2)塗膜の防汚性能 調製した防汚塗料を、乾燥付着量が漁網重量の8〜20
重量%となるように、ポリエチレン製漁網(40本、1
1節)に浸漬塗装し、乾燥する。このように防汚塗料を
塗布した漁網を40cm×60cmのステンレス製の枠に固
定し、福井県敦賀湾及び石川県能登島にて、海中筏から
水深約1.5mのところに垂下浸漬し、防汚性能を試験
する。3か月間浸漬したのち、引き上げて、目視によ
り、海棲動植物及びスライムの付着の状態を観察し、下
記の5段階により評価する。 ◎ :海棲動植物及びスライムの付着なし。 ○ :海棲動植物の付着はないが、スライムが付着。 △ :漁網面積の10%未満の海棲動植物の付着有り。 × :漁網面積の10〜50%の海棲動植物の付着有
り。 ××:漁網面積の50%を超える海棲動植物の付着有
り。
【0016】実施例1(ピリジン−トリフェニルボラン
の水分散微粒子化物) (a)ピリジン−トリフェニルボラン[北興化学工業]4
0重量部、(b)ソプロフォール4D384[ローディア
日華、アニオン界面活性剤]2重量部、(c)水57.7
重量部及び(d)消泡剤0.3重量部をラボ・ディスパー
を用いて予備分散した。ピリジン−トリフェニルボラン
の平均粒子径は、1.5μmであった。この予備分散物
を、ビーズミルを用いて90重量%粒子径が1μm以下
になるまで微粒子化し、ピリジン−トリフェニルボラン
の40重量%微粒子化物を得た。ピリジン−トリフェニ
ルボランの平均粒子径は、0.2μmであった。さら
に、この40重量%微粒子化物に対して、(e)天然ガム
0.8重量部、(f)防腐剤1.4重量部及び(g)水16
4.5重量部を均一に混合した糊剤を加え、ラボ・ディ
スパーを用いで均一に混合し、経時的に分離沈降するこ
とのない安定なピリジン−トリフェニルボランの15重
量%微粒子化物を得た。 実施例2(銅ピリチオンの水分散微粒子化物) (a)銅ピリチオン40重量部、(b)ソプロフォール4D
384[ローディア日華]2重量部、(c)水57.7重
量部及び(d)消泡剤0.3重量部をラボ・ディスパーを
用いて予備分散した。銅ピリチオンの平均粒子径は、
1.2μmであった。この予備分散物を、ビーズミルを
用いて90重量%粒子径が1μm以下になるまで微粒子
化し、銅ピリチオンの40重量%微粒子化物を得た。銅
ピリチオンの平均粒子径は、0.2μmであった。さら
に、この40重量%微粒子化物に対して、(e)天然ガム
0.8重量部、(f)防腐剤1.4重量部及び(g)水16
4.5重量部を均一に混合した糊剤を加え、ラボ・ディ
スパーを用いて均一に混合し、経時的に分離沈降するこ
とのない安定な銅ピリチオンの15重量%微粒子化物を
得た。
【0017】実施例3(亜鉛ピリチオンの水分散微粒子
化物) (a)亜鉛ピリチオン40重量部、(b)ソプロフォール4
D384[ローディア日華]2重量部とポリオキシエチ
レン(20モル)トリスチリルフェニルエーテル0.5重
量部、(c)水57.7重量部及び(d)消泡剤0.3重量部
をラボ・ディスパーを用いて予備分散した。亜鉛ピリチ
オンの平均粒子径は、1.8μmであった。この予備分
散物を、ビーズミルを用いて90重量%粒子径が1μm
以下になるまで微粒子化し、亜鉛ピリチオンの40重量
%微粒子化物を得た。亜鉛ピリチオンの平均粒子径は、
0.2μmであった。さらに、この40重量%微粒子化
物に対して、(e)天然ガム0.8重量部、(f)防腐剤1.
4重量部及び(g)水164.5重量部を均一に混合した
糊剤を加え、ラボ・ディスパーを用いて均一に混合し、
経時的に分離沈降することのない安定な亜鉛ピリチオン
の15重量%微粒子化物を得た。 実施例4(ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチ
レンビスジチオカーバメートの水分散微粒子化物) (a)ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビ
スジチオカーバメート[ローム&ハース]40重量部、
(b)ラベリンFN−40[第一工業製薬、アニオン界面
活性剤]2重量部、(c)水57.7重量部及び(d)消泡
剤0.3重量部をラボ・ディスパーを用いて予備分散し
た。ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビ
スジチオカーバメートの平均粒子径は1.3μmであっ
た。この予備分散物を、ビーズミルを用いて90重量%
粒子径が1μm以下になるまで微粒子化し、ビスジメチ
ルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバ
メートの40重量%微粒子化物を得た。ビスジメチルジ
チオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメー
トの平均粒子径は、0.2μmであった。さらに、この
40重量%微粒子化物に対して、(e)天然ガム0.8重
量部、(f)防腐剤1.4重量部及び(g)水164.5重量
部を均一に混合した糊剤を加え、ラボ・ディスパーを用
いて均一に混合し、経時的に分離沈降することのない安
定なビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビ
スジチオカーバメートの15重量%微粒子化物を得た。
【0018】比較例1(銅ピリチオンの水分散物) (a)銅ピリチオン40重量部、(b)ソプロフォール4D
384[ローディア日華]2重量部、(c)水57.7重
量部及び(d)消泡剤0.3重量部をラボ・ディスパーを
用いて分散し、銅ピリチオンの40重量%水分散物を得
た。銅ピリチオンの平均粒子径は、1.2μmであっ
た。さらに、この40重量%水分散物に対して、(e)天
然ガム0.8重量部、(f)防腐剤1.4重量部及び(g)水
164.5重量部を均一に混合した糊剤を加え、ラボ・
ディスパーを用いて均一に混合し、銅ピリチオンの15
重量%水分散物を得た。この水分散物は、経時的に沈降
を生じ、いったん沈降すると再分散させることができな
かった。 比較例2(ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチ
レンビスジチオカーバメートの水分散物) (a)ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビ
スジチオカーバメート[ローム&ハース]40重量部、
(b)ラベリンFN−40[第一工業製薬]2重量部、
(c)水57.7重量部及び(d)消泡剤0.3重量部をラボ
・ディスパーを用いて分散し、ビスジメチルジチオカル
バモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートの40
重量%水分散物を得た。ビスジメチルジチオカルバモイ
ルジンクエチレンビスジチオカーバメートの平均粒子径
は、1.4μmであった。さらに、この40重量%水分
散物に対して、(e)天然ガム0.8重量部、(f)防腐剤
1.4重量部及び(g)水164.5重量部を均一に混合し
た糊剤を加え、ラボ・ディスパーを用いて均一に混合
し、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビ
スジチオカーバメートの15重量%水分散物を得た。こ
の水分散物は、経時的に沈降を生じ、いったん沈降する
と再分散させることができなかった。
【0019】実施例5 防汚成分として、実施例1で調製したピリジン−トリフ
ェニルボランの15重量%微粒子化物10重量部、実施
例2で調製した銅ピリチオンの15重量%微粒子化物1
5重量部、実施例3で調製した亜鉛ピリチオンの15重
量%微粒子化物5重量部、実施例4で調製したビスジメ
チルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカー
バメートの15重量%微粒子化物30重量部、Dens
il S25[Zeneca、2,3,5,6−テトラクロ
ロ−4−メチルスルホニルピリジン25重量%含有]5
重量部、防腐剤としてProxel BDN[Zene
ca]0.1重量部、染料としてEmacol NS B
lack 4913[山陽色素]1重量部、バインダー
としてニューコートTS−100[新中村化学]5重量
部及び水28.9重量部を均一に混合して、水系防汚塗
料を得た。この水系防汚塗料は、20℃で3か月貯蔵し
たのちも分離沈降は見られなかった。この防汚塗料を塗
布した漁網を、6月中旬から9月中旬まで3か月間海中
に垂下浸漬したが、福井県敦賀湾においても、石川県能
登島においても、海棲動植物とスライムの付着は起こら
なかった。 実施例6〜9 第1表に示す配合組成の水系防汚塗料を調製し、貯蔵安
定性と防汚性能の評価を行った。 比較例3 防汚成分として、実施例4で調製したビスジメチルジチ
オカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート
の15重量%微粒子化物60重量部、Densil S
25[Zeneca]5重量部、防腐剤としてProx
el BDN[Zeneca]0.1重量部、染料として
Emacol NS Black 4913[山陽色素]
1重量部、バインダーとしてニューコートTS−100
[新中村化学]5重量部及び水28.9重量部を均一に
混合して、水系防汚塗料を得た。この水系防汚塗料は、
20℃で3か月貯蔵したのちも分離沈降は見られなかっ
た。この防汚塗料を塗布した漁網を、6月中旬から9月
中旬まで3か月間海中に垂下浸漬したが、福井県敦賀湾
においては、漁網面積の約30%に海棲動植物が付着
し、石川県能登島において、漁網面積の約20%に海棲
動植物が付着していた。 比較例4〜6 第1表に示す配合組成の水系防汚塗料を調製し、貯蔵安
定性と防汚性能の評価を行った。 比較例7 防汚塗料を塗布しない漁網を海中に垂下浸漬して、海棲
動植物の付着の状態を観測した。実施例5〜9及び比較
例3〜7の結果を、第1表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】第1表に見られるように、(A)ピリジン−
トリフェニルボラン、(B)銅ピリチオン、亜鉛ピリチオ
ン及び(C)ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチ
レンビスジチオカーバメートを防汚成分として含有する
実施例5〜9の防汚塗料を塗布した漁網には、海棲動植
物とスライムが全く付着しないか、海棲動植物が付着し
ても漁網面積の10%未満であり、優れた防汚性能を示
している。これに対して、防汚成分として(C)ビスジメ
チルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカー
バメートのみを含有する比較例3の防汚塗料、(A)ピリ
ジン−トリフェニルボランと(B)銅ピリチオン、亜鉛ピ
リチオンの2成分を含有する比較例4の防汚塗料、(A)
ピリジン−トリフェニルボランのみを含有する比較例5
の防汚塗料、(B)銅ピリチオンのみを含有する比較例6
の防汚塗料を塗布した漁網は、防汚塗料を塗布しなかっ
た比較例7に比べると海棲動植物の付着量は少ないもの
の、おおむね漁網面積の10〜50%に海棲動植物が付
着している。
【0023】
【発明の効果】本発明の水系防汚塗料組成物を用いるこ
とにより、漁網へのフジツボ、貝類、藻類などの付着を
効果的に防止することができる。本発明組成物は、キシ
レン、トルエンなどの揮発性有機溶剤を含有しないの
で、環境及び作業者へ悪影響を及ぼすおそれがない。さ
らに、本発明組成物は、貯蔵安定性が良好であり、防汚
処理の作業性を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 47/14 A01N 47/14 C 55/02 55/02 B C09D 5/02 C09D 5/02 7/12 7/12 Z Fターム(参考) 2B106 HA16 4H011 AD02 BA05 BB09 BB13 BB16 BC03 BC07 BC19 DA02 DB08 DC05 DD01 DF02 DG05 DH02 DH18 DH19 4J038 EA011 JC06 JC18 JC37 KA09 MA08 MA10 NA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)アニオン界面活性剤又は非イオン界
    面活性剤を乳化剤として用いて水に分散、微粒子化した
    平均粒子径が0.1〜1μmである式[1]で表される
    ピリジン−トリフェニルボラン、(B)アニオン界面活
    性剤又は非イオン界面活性剤を乳化剤として用いて水に
    分散、微粒子化した平均粒子径が0.1〜1μmである
    式[2](ただし、式中、MはCu又はZnである。)
    で表されるピリチオン金属塩の少なくとも1種及び
    (C)アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を乳
    化剤として用いて水に分散、微粒子化した平均粒子径が
    0.1〜1μmである式[3]で表されるビスジメチル
    ジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメ
    ート及び式[4]で表されるジンクジメチルジチオカー
    バメートの内の少なくとも1種のチオカーバメート化合
    物を有効成分とし、水系ポリマーエマルションをバイン
    ダーとして含有することを特徴とする水系防汚塗料組成
    物。 【化1】
  2. 【請求項2】式[1]で表されるピリジン−トリフェニ
    ルボラン、式[2]で表されるピリチオン金属塩及び式
    [3]又は式[4]で表されるチオカーバメート化合物
    の合計量が、塗料組成物中1〜30重量%である請求項
    1記載の水系防汚塗料組成物。
  3. 【請求項3】(D)式[5]で表される2,3,5,6−
    テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジンの水分散
    物を含有する請求項1記載の水系防汚塗料組成物。 【化2】
  4. 【請求項4】請求項1、請求項2又は請求項3記載の水
    系防汚塗料組成物から形成されてなることを特徴とする
    塗膜。
  5. 【請求項5】請求項1、請求項2又は請求項3記載の水
    系防汚塗料組成物を塗布されてなることを特徴とする漁
    網。
  6. 【請求項6】請求項1、請求項2又は請求項3記載の水
    系防汚塗料組成物により表面に塗膜を形成することを特
    徴とする漁網の防汚方法。
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