JP2000143673A - トリアリ―ルボラン―アミン化合物、トリアリ―ルボラン―アミン系(共)重合体およびこれらを有効成分とする水中防汚剤 - Google Patents

トリアリ―ルボラン―アミン化合物、トリアリ―ルボラン―アミン系(共)重合体およびこれらを有効成分とする水中防汚剤

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JP2000143673A
JP2000143673A JP11225270A JP22527099A JP2000143673A JP 2000143673 A JP2000143673 A JP 2000143673A JP 11225270 A JP11225270 A JP 11225270A JP 22527099 A JP22527099 A JP 22527099A JP 2000143673 A JP2000143673 A JP 2000143673A
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triarylborane
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amine
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compound
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JP11225270A
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English (en)
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Toshiki Nakamura
村 俊 基 中
Masayuki Umeno
野 正 行 梅
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】遠洋航海船舶および漁船の船底、導水管、海中
構築物、あるいは、養殖用および定置用の漁網、あるい
は浮き子、ロープなどの漁網付属具等への水棲物の付着
を防止しうる新規化合物、該化合物を用いた(共)重合
体、およびこれらを有効成分とする水中防汚剤の提供。 【解決手段】下記式(1)で示されるトリアリールボラ
ン−アミン化合物; 【化1】 {式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、水素原子ま
たは低級アルキル基を示し、これらは互いに同一でも異
なっていてもよい。}。低級アルキル基としてのR1
2、R3およびR4はそれぞれ独立にメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基
のうちの何れかであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、トリアリールボラン−ア
ミン化合物、トリアリールボラン−アミン系(共)重合
体およびこれらを有効成分とする水中防汚剤に関し、さ
らに詳しくは、遠洋航海船舶および漁船の船底、導水
管、海中構築物、あるいは、養殖用および定置用の漁
網、あるいは浮き子、ロープなどの漁網付属具等への水
棲物の付着を防止しうる新規化合物、該化合物を用いた
(共)重合体、およびこれらを有効成分とする水中防汚
剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】船舶の船底に水棲生物が付着する
と船舶の運航速度、燃費、美観、寿命を低下させ、また
水路等の海中構築物等の表面に海中棲息生物が付着する
と海水等の流通を阻害し、また漁網、漁網付属具等に水
棲生物が付着すると、漁網重量が増大し、目詰まりが生
じ、漁網の破損、養殖魚類の死滅、漁労作業効率の低下
等の原因となる。
【0003】このため、従来、遠洋航海船舶および漁船
の船底、導水管、海中構築物、漁網、漁網付属具等への
水棲物の種々の付着防止策が採られており、近年まで、
重金属系の有機錫化合物、特に有機錫ポリマーが卓越し
た防汚性と経済性に優れた防汚剤として広く使用されて
きた。
【0004】しかしながら、有機錫化合物は環境毒性、
特に生体内に蓄積する傾向が大きいことから指定化学物
質に指定され、国内では特殊な場合を除いてその使用が
禁止されている。
【0005】このような観点から、近年では、非重金属
系で低公害タイプの水中防汚剤の開発が望まれるように
なってきており、これまで種々の提案がなされてきた
が、防汚効果と環境毒性および経済性のすべての点で十
分に満足できる水中防汚剤は、これまでのところ得られ
ていない。
【0006】そこで、本発明者らは上記問題点を解決す
べく鋭意研究を重ねたところ、特定のトリアリールボラ
ン−アミン化合物、該化合物の単独重合体、あるいは該
化合物と他のラジカル重合性モノマーとを共重合させて
なる共重合体(これらポリマーをまとめて(共)重合体
とも言う。)は、何れも防汚性、環境安全性に優れ、さ
らに安価に製造可能であり経済性にも優れることなどを
見出して本発明を完成するに至った。
【0007】なお、有機ホウ素化合物の生理活性効果は
古くから知られ、種々のホウ素アミン化合物の防汚剤へ
の利用が提案されている。例えば、米国特許第3211
679号明細書には、トリフェニルホウ素アミン系化合
物が船底防汚剤用に使用されうる旨記載され、アミンの
種類としてアルキルアミン、置換ピリジン等が例示され
ている。
【0008】また、特開平8−295608号公報に
は、下記の一般式:
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R2は炭素数3から30までのア
ルキル基を示す。)で示される化合物を含む漁網防汚剤
が開示されている。また、特開平8−295609号公
報には下記の化合物:
【0011】
【化5】
【0012】(式中、R2はn−オクタデシル基を示
す。)と、有機溶剤とからなる漁網防汚剤が開示されて
いる。
【0013】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術を解決
しようとするものであって、錫や重金属を含まず、各種
水棲生物に対する防汚剤などとして利用可能であり、特
に従来技術では到達できなかったヒドロ虫類に対する防
汚性やオベリア類に対する防汚性に優れた新規化合物を
提供することを目的としている。
【0014】また本発明は、環境残留性の高い有機錫や
重金属を含まず、各種水棲生物に対する防汚性が良好で
あり、特に従来技術では到達できなかったヒドロ虫類に
対する防汚性やオベリア類に対する防汚性に優れてお
り、更に塗布作業性が良好であるような水中防汚剤、特
に水中有害生物防除剤、水中防汚塗料並びに漁網防汚処
理剤を提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係るトリアリールボラン−アミ
ン化合物は、下記式(1)で示される。
【0016】
【化6】
【0017】{式(1)中、R1、R2、R3およびR
4は、水素原子または低級アルキル基を示し、これらは
互いに同一でも異なっていてもよい。} 低級アルキル基としてのR1、R2、R3およびR4は、そ
れぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基のうちの何れかであるこ
とが望ましい。
【0018】本発明に係る水中防汚剤としては、好まし
くは水中有害生物防除剤、水中防汚塗料または漁網処理
剤が挙げられ、このような水中防汚剤は、上記式(1)
で示されるトリアリールボラン−アミン化合物を有効成
分として含有している。
【0019】本発明に係るトリアリールボラン−アミン
系(共)重合体は、上記式(1)で示される少なくとも
1種の化合物の(共)重合体あるいは該化合物(1)
と、ラジカル重合性の二重結合を有する他の不飽和単量
体(以下、単に「他の単量体」とも言う。)との共重合
体である。
【0020】本発明に係るトリアリールボラン−アミン
系(共)重合体(トリアリールボラン−高分子アミン錯
体とも言う。)は、式(1−a)で示される少なくとも
1種のトリアリールボラン−アミン化合物構成単位を含
有している。
【0021】
【化7】
【0022】{式(1−a)中、R1、R2、R3および
4は、上記と同様に、水素原子または低級アルキル基
を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよ
い。} 本発明に係る上記トリアリールボラン−アミン系(共)
重合体は、上記トリアリールボラン−アミン化合物構成
単位(1−a)と、 下記(メタ)アクリル酸エステル
系構成単位(1−b)とを含有していることが望まし
い。
【0023】
【化8】
【0024】{式(1−b)中、R5は、水素原子また
は上記と同様の低級アルキル基を示し、R5は、前記R1
と同一でも異なっていてもよい。R6は、炭素数1〜1
8のアルキル基を示す。}。
【0025】本発明に係る水中防汚剤は、上記(共)重
合体を有効成分として含有することを特徴としている。
本発明によれば、錫や重金属を含まず、各種水棲生物に
対する防汚剤などとして利用可能であり、特に従来技術
では到達できなかったヒドロ虫類に対する防汚性やオベ
リア類に対する防汚性に優れた新規化合物が提供され
る。
【0026】本発明によれば、環境残留性の高い有機錫
や重金属を含まず、各種水棲生物に対する防汚性が良好
であり、特に従来技術では到達できなかったヒドロ虫類
に対する防汚性やオベリア類に対する防汚性に優れてお
り、更に塗布作業性が良好であるような水中防汚剤が提
供される。
【0027】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るトリアリール
ボラン−アミン化合物、トリアリールボラン−アミン系
(共)重合体およびこれらを有効成分とする水中有害生
物防除剤、水中防汚塗料、漁網処理剤について、具体的
に説明する。なお、本明細書では、トリアリールボラン
−アミン系(共)重合体には、1種類のトリアリールボ
ラン−アミン化合物の単独重合体、2種以上のトリアリ
ールボラン−アミン化合物の重合体、トリアリールボラ
ン−アミン化合物と他の共重合性モノマーとの共重合体
も含む。 [トリアリールボラン−アミン化合物及び防汚剤]本発明
に係るトリアリールボラン−アミン化合物は、下記式
(1)で示される。
【0028】
【化9】
【0029】{式(1)中、R1、R2、R3およびR
4は、水素原子または低級アルキル基を示し、これらは
互いに同一でも異なっていてもよい。} 上記低級アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよ
く、炭素数1〜10のものが挙げられ、防汚性の点で炭
素数1〜4のアルキル基が好ましい。このようなアルキ
ル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等
が挙げられ、これらのうちでは上記低級アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基などが特に好ましい。
【0030】上記式(1)で表されるトリアリールボラ
ン−アミン化合物であって、防汚剤として有用なものの
具体例を以下に示す。なお、本発明に係るトリアリール
ボラン−アミン化合物は、下記例に限定されるものでは
ない。また、表中の化合物番号は後述する実施例および
試験例でも参照される。
【0031】
【表1】
【0032】(表中、Me:メチル基、Et:エチル
基、4−Me:4−メチル基、n−,i−Pr:n−,
i−プロピル基、n−,i−Bu:n−,i−ブチル基
等を示す。) これらのトリアリールボラン−アミン化合物(1)、お
よび該化合物(1)から誘導される構成単位を含有する
後記トリフェニルボラン−アミン系(共)重合体は、ヒ
ドロ虫、オベリア等の腔腸動物、フジツボ、ムラサキガ
イ、カキ、セルブラなどの貝類、および、カサネカンザ
シ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ
などの管棲多毛類、あるいはその他の生物の付着に対し
て優れた防汚効果を示す。
【0033】さらに、これらのトリアリールボラン−ア
ミン化合物およびトリアリールボラン−アミン系(共)
重合体は、キシレン等の芳香族系溶媒、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン系溶媒、その他酢酸エチル等のエス
テル系溶媒に溶解するため溶液状の製剤として取扱い可
能でありまた、長時間の保存時においても相分離等が生
ぜず安定であり、該トリアリールボラン−アミン化合
物、トリアリールボラン−アミン系(共)重合体を含有
する水中有害生物防除剤、水中防汚塗料、漁網処理剤に
代表される水中防汚剤は、塗布(塗装)・含浸作業性に
著しく優れている。 [トリアリールボラン−アミン化合物の製造]このような
トリアリールボラン−アミン化合物は、下記の反応式に
示すように、式(2)で示されるトリアリールボラン類
と、式(3)で示されるアミン類(アルキル置換されて
いてもよいアミノ基を有する不飽和単量体)とを反応さ
せることにより製造できる。
【0034】
【化10】
【0035】(この反応式中、R1、R2、R3およびR4
は前記と同じ意味である。) より具体的には、上記トリアリールボラン−アミン化合
物は、例えば、トリアリールボラン類と、アルキル置換
されていてもよいアミノ基を有する不飽和単量体である
アミン類とを、酸素および水を充分に排除して、有機溶
媒に溶解して、窒素などの不活性ガスの存在下に0〜6
0℃で30分から2日間混合撹拌することにより製造す
ることができる。
【0036】トリアリールボラン類(2)は、従来より
公知の化合物であり、例えば、三フッ化ホウ素ジエチル
エーテル化合物と三倍量の置換フェニルリチウム試薬も
しくは置換フェニルグリニャール試薬の反応などで得ら
れる。また、アミン類(3)も公知の化合物である。
【0037】上記トリアリールボラン類としては、具体
的には、例えば、トリフェニルボラン、トリ4−メチル
フェニルボラン、トリ3−メチルフェニルボラン、トリ
2−メチルフェニルボラン、トリ4−エチルフェニルボ
ラン、トリ3−エチルフェニルボラン、トリ2−エチル
フェニルボラン、トリ4−n−プロピルフェニルボラ
ン、トリ3−n−プロピルフェニルボラン、トリ−2−
n−プロピルフェニルボラン、トリ4−i−プロピルフ
ェニルボラン、トリ3−i−プロピルフェニルボラン、
トリ2−i−プロピルフェニルボラン等が挙げられる。
【0038】上記アミン類としては、具体的には、例え
ば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メ
タ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メ
タ)アクリル酸モノエチルアミノエチルエステル、(メ
タ)アクリル酸ジn−プロピルアミノエチルエステル、
(メタ)アクリル酸ジi−プロピルアミノエチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸ジn−ブチルアミノエチルエス
テル等が挙げられる。
【0039】上記有機溶媒としては、例えば、メチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
などの炭素数1〜5程度の低級アルコール類;アセトン
などのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン
などのハロゲン化炭化水素類;などが挙げられる。
【0040】これらの有機溶媒は、単独で使用してもよ
く、また2種以上併用してもよい。上記反応により反応
生成物であるトリアリールボラン−アミン化合物が結晶
として溶媒中に析出した場合には、反応液から該化合物
を直接濾別することもできるが、通常は溶媒を留去して
反応液を濃縮した後、結晶を濾別しこの結晶を少量の上
記反応溶媒で洗浄し乾燥すると、高純度の生成物として
上記トリアリールボラン−アミン化合物が得られる。こ
のようにして得られたトリアリールボラン−アミン化合
物(トリアリールボラン誘導体)は、必要に応じてさら
にメチルアルコール、エチルアルコール、クロロホル
ム、トルエンなど、上述したような有機溶媒で再結晶化
するなどの方法でさらに精製してもよい。
【0041】[トリアリールボラン−アミン系(共)重
合体]本発明に係るトリアリールボラン−アミン系
(共)重合体(トリアリールボラン−高分子アミン錯
体)は、上記式(1)で示される少なくとも1種の化合
物、すなわちトリアリールボラン−アミン化合物(1)
の(共)重合体であってもよく、該トリアリールボラン
−アミン化合物と、ラジカル重合性の二重結合を有する
他の不飽和単量体との共重合体であってもよいが、好ま
しくは該トリアリールボラン−アミン化合物と、ラジカ
ル重合性の二重結合を有する他の不飽和単量体との共重
合体であることが望ましい。
【0042】すなわち、このようなトリアリールボラン
−アミン系(共)重合体は、例えば、下記式(1−a)
で示される少なくとも1種のトリアリールボラン−アミ
ン化合物構成単位を含有している。
【0043】
【化11】
【0044】{式(1−a)中、R1、R2、R3および
4は、前記式(1)の場合と同様のものであって、水
素原子または低級アルキル基を示し、これらは互いに同
一でも異なっていてもよい。}。
【0045】また、その好ましい態様においては、この
ポリマーは、上記トリアリールボラン−アミン化合物構
成単位(1−a)と、 下記(メタ)アクリル酸エステ
ル系構成単位(1−b)とを含有している。
【0046】
【化12】
【0047】{式(1−b)中、R5は、水素原子また
は上記と同様の低級アルキル基を示す。R5は、R1と同
一でも異なっていてもよい。R6は、直鎖状でも分岐を
有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基を示
す。}。
【0048】式(1−b)中の上記R6が炭素数1〜1
8のアルキル基である場合、このようなアルキル基とし
ては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、アリル
基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル
基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、
ステアリル基などが挙げられる。なお、上記共重合体
は、通常ランダム共重合体である。
【0049】このようなトリアリールボラン−アミン系
(共)重合体としては、具体的には、例えば、下記トリ
アリールボラン−アミン化合物(1−a−1)と、該化
合物(1−a−1)とラジカル重合可能な二重結合(C
=C)を有する他の不飽和性単量体の1種である下記
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(1−b−1)
との(共)重合体が挙げられる。なお、本発明に係るポ
リマーは、下記の例に限定されるものではない。
【0050】
【化13】
【0051】
【表2】
【0052】本発明のトリアリールボラン−アミン系
(共)重合体においては、上記トリアリールボラン−ア
ミン化合物構成単位(1−a)と、(メタ)アクリル酸
エステル系構成単位(1−b)とは、そのモル比[(1
−a)/(1−b)]が通常、1/10〜10/1好ま
しくは、1/5〜5/1となるような量で含まれている
ことが望ましい。
【0053】また、その数平均分子量は、塗膜形成能を
有する限り特に限定されるものではないが、通常、20
00〜200000、好ましくは5000〜10000
0である。
【0054】このような本発明に係るトリアリールボラ
ン−アミン系(共)重合体は、前記トリアリールボラン
−アミン化合物と同様に、腔腸動物、貝類、管棲多毛
類、あるいはその他の生物の付着に対して優れた防汚効
果を示す。
【0055】さらに、これらのトリアリールボラン−ア
ミン系(共)重合体は、前述したように芳香族系溶媒、
ケトン系溶媒、エステル系溶媒に溶解するため溶液状の
製剤として取扱い可能でありまた、長時間の保存時にお
いても相分離等がなく安定であり、該トリアリールボラ
ン−アミン系(共)重合体を含有する水中有害生物防除
剤、水中防汚塗料、漁網処理剤に代表される水中防汚剤
は、塗布(塗装)作業性に著しく優れている。 [トリアリールボラン−アミン系(共)重合体の製造]
次に、上記トリアリールボラン−アミン系(共)重合体
の製造方法について、説明する。
【0056】このトリアリールボラン−アミン系(共)
重合体は、例えば、以下に示すように、下記式(2)で
示されるトリアリールボラン類と、アルキル置換されて
いてもよいアミノ基を有する下記式(4)で示される共
重合物とを、反応させることにより製造することができ
る。(A法)
【0057】
【化14】
【0058】(上記反応式中、R1、R2、R3、および
4は前記に同じ。R5は、R1と同様な基または水素原
子を示す。但しR5は、R1と同一でも異なっていてもよ
い。R 6は前記と同様に分岐を有していてもよい炭素数
1〜18、好ましくは2〜12のアルキル基を示す。
m、nは1以上の整数、好ましくは10〜300の整数
を示す。) より具体的には、上記トリアリールボラン類(2)と、
アルキル置換されていてもよいアミノ基を有する共重合
物(4)とを、例えば、上記共重合物(4)中のアミノ
基1当量に対して上記トリアリールボラン類(2)を
0.01〜1当量の量で用い、10〜60℃の温度で、
1〜48時間程度、常圧下に混合撹拌すればよい。この
反応の際には、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機
溶媒を用いてもよい。
【0059】[共重合物(4)の製法]トリアリールボラ
ン類(2)と反応させる上記共重合物(4)は、アルキ
ル置換されていてもよいアミノ基を有する不飽和単量体
(4−a)と、ラジカル重合性の二重結合を有する他の不
飽和単量体(4−b)とを、不飽和単量体(4−a)1
モルに対し他の単量体(4−b)を0.1〜10モルの
量で用いて、重合開始剤の存在下に、窒素雰囲気下、有
機溶媒中で通常50〜120℃、好ましくは60〜10
0℃の温度に加熱することにより得られる。
【0060】ラジカル重合性の二重結合を有する他の不
飽和単量体(4−b)としては、例えば(メタ)アクリ
ル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル等の
(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(アルキル基の
炭素数は1〜10程度であり、該アルキル基中のHの一
部はOHに置換されていてもよい。);ビニルトルエ
ン、スチレン等のスチレン系モノマー;無水マレイン酸
等のマレイン酸エステル系モノマー;無水イタコン酸等
のイタコン酸エステル系モノマー;酢酸ビニル、ビニル
ピリドン、ビニルピリジン、ブタジエン、塩化ビニル、
塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0061】これらの「他の不飽和単量体」は、1種ま
たは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開
始剤としては、例えば、AIBN(アゾビスイソブチロ
ニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機
過酸化物などが挙げられる。重合開始剤は、アミノ基を
有する不飽和単量体(4−a)と「他の不飽和単量体」
(4−b)との合計100重量部に対して0.01〜1
0重量部の量で用いればよい。
【0062】有機溶媒としては、例えばトルエン、キシ
レン等の芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール等の
アルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロト
ン性極性溶媒などが使用可能なものとして挙げられる。
これら有機溶媒は、アミノ基を含む不飽和単量体(4−
a)と「他の不飽和単量体」(4−b)との合計100
重量部に対して通常10〜1000重量部、好ましくは
30〜300重量部の量で用いられる。
【0063】なお、本発明において共重合体製造用の
「他の不飽和単量体」(4−b)と、トリアリールボラ
ン類(2)との量比は特に限定されるものではないが、
他の不飽和単量体(4−b)に対してトリアリールボラ
ン類(2)が10〜90重量%、好ましくは20〜70
%の範囲であることが望ましい。
【0064】また、本発明に係るトリアリールボラン−
アミン系(共)重合体は、例えば、以下に示すように、
下記式(1)で示される前記トリアリールボラン−アミ
ン化合物(1)と、下記式(6)で示されるラジカル重
合性の二重結合を有する不飽和単量体すなわち(メタ)
アクリル酸エステル系モノマー(前記(1−b−1))
とを、共重合させることにより製造することもできる。
(B法)
【0065】
【化15】
【0066】(上記反応式中、R1、R2、R3、および
4は前記に同じ。R5は、R1と同様な基または水素原
子を示す。但しR5は、R1と同一でも異なっていてもよ
い。R 6は前記と同様に、分岐を有していてもよい炭素
数1〜18、好ましくは2〜12のアルキル基を示す。
m、nは1以上の整数、好ましくは10〜300の整数
を示す。) すなわち上記トリアリールボラン−アミン系(共)重合
体(5)は、前記トリアリールボラン−アミン化合物
(1)と、前記と同様なラジカル重合性の二重結合を有
する他の不飽和単量体(6)とを、トリアリールボラン
−アミン化合物1モルに対し他の単量体を0.1〜10
モルの量で用いて、上記と同様の重合開始剤の存在下
に、窒素雰囲気下、上記と同様の有機溶媒中で通常50
〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度に加熱す
ることにより得られる。
【0067】重合開始剤は、上記トリアリールボラン−
アミン化合物と不飽和単量体との合計100重量部に対
して、前記と同様、0.01〜10重量部の量で用いれ
ばよい。
【0068】また上記有機溶媒は、トリアリールボラン
−アミン化合物と「他の不飽和単量体」との合計100
重量部に対して前記(A法)と同様、通常10〜100
0重量部、好ましくは30〜300重量部の量で用いら
れる。
【0069】[水中防汚剤]本発明に係る水中防汚剤と
しては、水中有害生物防除剤、水中防汚塗料、漁網処理
剤等が挙げられ、何れも、前記トリアリールボラン−ア
ミン化合物及び/又はトリアリールボラン−アミン系
(共)重合体を有効成分として含有している。このよう
な水中防汚剤は、遠洋航海船舶および漁船の船底、導水
管、海中構築物、あるいは、養殖用および定置用の漁
網、あるいは浮き子、ロープなどの漁網付属具等への水
棲物の付着を防止するのに効果的に用いられる。
【0070】このような水中防汚剤は、その用途によっ
て大きく異なるが、例えば水中防汚塗料として用いる場
合、上記トリアリールボラン−アミン化合物及び/又は
トリアリールボラン−アミン系(共)重合体を、通常1
0〜90重量%、好ましくは20〜70重量%の量で含
んでいることが望ましい。
【0071】本発明においては水中防汚剤として、トリ
アリールボラン−アミン化合物及び/又はそのポリマー
をそのまま使用することもできるが、目的や対象に応じ
て、塗料、溶液、乳剤あるいはペレットなどの適当な剤
型に常法により製剤化し、そしてその製剤を、船舶、養
殖網、定置網、海底油田の掘削機および海底基地、ブ
イ、発電所の水路の設備、橋梁などの構築物、等の水中
有害生物の防汚が必要とされる対象物に塗布等の方法で
用いてもよい。
【0072】本発明に係る水中防汚剤を、例えば船舶、
漁網などのような、常時水と接触する部材に塗布して使
用する場合、トリアリールボラン−アミン化合物または
トリアリールボラン−アミン系(共)重合体を塗料に混
和して防汚塗料として使用することができ、また上記水
中防汚塗料を液剤や乳剤の形態で発電所の水路等に添加
してもよい。
【0073】トリアリールボラン−アミン化合物または
その(共)重合体を水中防汚塗料として調製するには、
トリアリールボラン−アミン化合物またはその(共)重
合体をまず有機溶媒、例えば、n−ブチルアルコール等
のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、酢
酸エチル等のエステル類、ベンゼン、キシレン等の芳香
族溶媒などの有機溶媒に溶解する。このようにして得ら
れた、トリアリールボラン−アミン化合物含有溶液また
はその(共)重合体含有溶液に、塗料用の有機溶剤、界
面活性剤、塗料用樹脂、可塑剤、顔料およびその他の塗
料用補助成分を添加し、均一に混和することにより、防
汚塗料を製造することができる。
【0074】本発明の水中防汚剤が塗料である場合、そ
の調製時には一般の防汚塗料と同様塗膜形成成分として
樹脂が用いられる。上記トリアリールボラン−アミン系
(共)重合体は、上記塗膜形成成分としても機能する。
【0075】上記塗料用樹脂としては、例えば、塩化ビ
ニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系
樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン
樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹
脂、銅アクリレート樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シ
リコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル
系樹脂、ロジン系樹脂、ロジン等が挙げられる。
【0076】本発明の水中防汚剤には、必要に応じて着
色顔料または着色料、例えば、チタン白、ベンガラ、カ
ーボン、シアンブルー、シアニングリーン等;または体
質顔料、例えばタルク、バリタ、亜鉛華等を配合でき
る。
【0077】さらに塗料の粘度を調整するために、水ま
たは有機溶剤を配合できる。使用可能な有機溶剤の種類
は、前記の塗料用樹脂及びその他配合すべき各成分を溶
解もしくは分散しうるものであればよく、特に限定され
るものではない。
【0078】そのような有機溶剤としては、例えばメチ
ルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、エチレングリコール、ベンジルアルコール等のアル
コール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン、クロルベンゼン、クメン、メチルナフタレン等の
芳香族炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、ジクロ
ロメタン、クロロエチレン、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素
類;エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケ
トン類のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレン
グリコールアセテート等のエステル類;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル
類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチル
アミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、イソブチ
ルアミン等のアミン類;n−ヘキサン、シクロヘキサン
等の脂肪族または脂環族炭化水素類;石油エーテル、ソ
ルベントナフサ等の工業用ガソリン、およびパラフィン
類;灯油、軽油等の石油留分;等が挙げられる。
【0079】また本発明の水中防汚剤には、製剤化に当
たって、乳化、分散、湿潤、発泡、拡展などの目的で界
面活性剤を配合できる。このような界面活性剤としては
下記のものが挙げられるが、これらの例示のみに限定さ
れるものではない。
【0080】(a)非イオン型界面活性剤、例えばポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアル
キルエステル、ソルビタンアルキルエステルなど。
【0081】(b)陰イオン型界面活性剤、例えばアル
キルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、ポ
リオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスル
ホネートなど。
【0082】(c)陽イオン型界面活性剤、例えばアル
キルアミン類として、ラウリルアミン、ステアリルトリ
メチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベン
ジルアンモニウムクロライドなど。
【0083】(d)両性界面活性剤、例えばベタイン型
化合物の硫酸エステルなど。また、前記の配合成分の他
に、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチ
ルセルロース(CMC)、アラビヤゴム、ポリビニルア
セテート、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム
などの各種補助剤を配合することもできる。
【0084】本発明の水中防汚剤には、必要に応じ、ト
リアリールボラン−アミン化合物(1)以外の「他の公
知の防汚剤」をさらに配合することができる。このよう
な他の防汚剤としては、ジンクジメチルジチオカーバメ
ート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シ
クロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6
−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル
−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、4,5
−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−
3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフ
ァミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、
テトラメチルチウラムジスルフィド、Cu−10%Ni
固溶合金、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マ
レイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチ
ルスルフォニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニ
ルブチルカーバメート、ジヨードメチルパラトリルスル
ホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレン
ビスジチオカーバメート、テトラフェニルボランピリジ
ン塩等が挙げられる。これらの他の防汚剤は、1種また
は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0085】
【発明の効果】本発明に係るトリアリールボラン−アミ
ン化合物、トリアリールボラン−アミン系(共)重合体
は、防汚剤としての機能を有し、各種海棲汚染生物、海
草類、フジツボ類、セルブラ類、コケムシ類、ホヤ類、
ヒドロ虫類、軟体動物類等の有害水中生物、アオサ、ア
オノリ、シオグサ、コンブ、ハバノリ等の有害水中植
物、さらにスライムの原因となるバクテリア、珪藻類等
に対して優れた付着防止および付着抑制の防汚効果を発
揮し、特にヒドロ虫類やオベリア類の防汚性に優れた防
汚効果を発揮し、漁網、船底および海洋構築物への付着
防止に効果を発揮することができる。
【0086】また本発明に係る上記トリアリールボラン
−アミン化合物、トリアリールボラン−アミン系(共)
重合体は、芳香族系溶媒やケトン系の溶媒に溶解するた
め溶液状の水中防汚剤などとしての取り扱いが可能であ
り、水中防汚剤塗布作業性は極めて良好である。
【0087】
【実施例】以下、本発明に係るトリアリールボラン−ア
ミン化合物、トリアリールボラン−アミン系(共)重合
体について、実施例をもってさらに具体的に説明する
が、本発明は、かかる実施例により何ら限定されるもの
ではない。
【0088】
【実施例1】トリフェニルボラン・メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチルエステルの合成(化合物No.1) 窒素ガスを流して酸素と水分を追い出したグローブボッ
クス内で、トリフェニルボラン2.42g(10ミリモ
ル)をテトラヒドロフランとトルエンの1:1混合溶媒
50mlに溶かし、100ml容量の滴下ロートに入れ
た。
【0089】これとは別に温度計、撹拌機、窒素導入口
を備えた200ml容量の四つ口フラスコに、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチルエステル1.57g(10ミ
リモル)と上記混合溶媒50mlとを入れ、かき混ぜて
溶かした。窒素導入口より窒素ガスを流してフラスコ内
を窒素ガスで置換した。撹拌しながら滴下ロートより1
0分間かけて室温でトリフェニルボラン溶液を滴下し、
同温度で5時間かき混ぜて反応させた。反応終了後、有
機溶媒を減圧下に留去し、褐色固体を得た。この褐色固
体を酢酸エチルとn−ヘキサンの1:2の混合溶媒で再
結晶を実施し、濾過、乾燥して、標記化合物(トリフェ
ニルボラン・メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステ
ル、化合物No.1)3.69g(収率92.5%)を白
色固体として得た。この化合物の融点は次のとおりであ
った。
【0090】融点 74〜77℃ NMR 1.90(3H,s,Me),2.06(6H,s,NMe2),2.43(2H,t,CH2),
4.13(2H,t,CH2),5.58and 6.07(each 1H,s,CH2=C),7.14-
7.47(15H,m,Ph)
【0091】
【実施例2】トリフェニルボラン・メタクリル酸アミノ
エチルエステルの合成(化合物No.3) トリフェニルボラン2.42g(10ミリモル)とメタ
クリル酸アミノエチルエステル1.29g(10ミリモ
ル)を実施例1に準じて反応させた。再結晶も実施例1
と同様に実施し、白色結晶(収率95.7%)を得た。
この化合物:トリフェニルボラン・メタクリル酸アミノ
エチルエステル(化合物No.3)の融点は次のとおり
であった。
【0092】融点 114〜118℃ NMR 1.90(3H,s,Me),2.96(2H,t,CH2),4.08(2H,t,CH2),4.
43(2H,br,NH2),5.62 and 6.09(each 1H,s,CH2=C),7.07-
7.21(15H,m,Ph)
【0093】
【実施例3】トリフェニルボラン・アクリル酸ジメチル
アミノエチルエステルの合成(化合物No.6) トリフェニルボラン2.42g(10ミリモル)とアク
リル酸ジメチルアミノエチルエステル1.43g(10
ミリモル)を実施例1に準じて反応させた。(収率9
3.1%) NMR 1.93(6H,s,NMe2),2.30(2H,t,CH2),4.03(2H,t,CH2),
5.57-6.02(3H,m,CH2=CH),7.02 - 7.38(15H,m,Ph)
【0094】
【実施例4】共重合化合物へのトリフェニルボランの付
加(A法:化合物No.21の共重合化合物) 窒素ガスを流して酸素と水分を追い出したグローブボッ
クス内で、トリフェニルボラン2.42g(10ミリモ
ル)を50mlのテトラヒドロフランとトルエンの1:
1混合溶媒に溶かし、100ml容量の滴下ロートに入
れた。
【0095】これとは別の、温度計、撹拌機、窒素導入
口を備えた200ml容量の四つ口フラスコに、メタク
リル酸ジメチルアミノエチルエステル1.57g(10
ミリモル)とトルエン2mlを入れ窒素導入口より窒素
ガスを流してフラスコ内を窒素ガスで置換した。これを
撹拌しながら80℃に保持した。メタクリル酸2エチル
ヘキシルエステル1.98g(10ミリモル)にAIB
N(10mg)を溶解した液を窒素気流下、同温度にて
10分間で滴下した。滴下終了後、混合物の粘度は急激
に高くなり、その後、徐々に低下して最終的に3時間で
安定した均質な粘ちょう液体状溶液が得られた。次い
で、該溶液を冷却した後、撹拌しながら滴下ロートよ
り、先に調整しておいたトリフェニルボラン溶液を滴下
し、室温で5時間かき混ぜて反応させた。反応終了後、
有機溶媒を減圧下に留去し、褐色粘ちょう液体を得た。
不揮発分は仕込んだモノマーとトリフェニルボランの合
計重量とほぼ一致した。得られた褐色粘ちょう液体(共
重合体)の数平均分子量は7000であった。なお、数
平均分子量の値は、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)法で測定し、標準ポリスチレン検量線
によって換算した値で表現したものである。
【0096】
【実施例5】共重合化合物の合成(B法:化合物No.
21の共重合化合物) 温度計、撹拌機、窒素導入口を備えた50ml容量の四
つ口フラスコに、トリフェニルボラン・メタクリル酸ジ
メチルアミノエチルエステル(化合物No.1)3.9
9g(10ミリモル)とトルエン2mlを入れ窒素導入
口より窒素ガスを流してフラスコ内を窒素ガスで置換し
た。これを撹拌しながら80℃に保持した。メタクリル
酸2エチルヘキシルエステル1.98g(10ミリモ
ル)にAIBN(10mg)を溶解した液を窒素気流
下、同温度にて10分間で滴下した。滴下終了後、混合
物の粘度は急激に高くなり、その後、徐々に低下して最
終的に3時間で安定した均質な粘ちょう液体状溶液が得
られた。得られた粘ちょう液体状溶液(共重合体)の数
平均分子量は7000であった(測定法は実施例4と同
様)。
【0097】
【実施例6】<水中防汚塗料(各成分量は、重量表示)
>化合物No.1:30部、「ラロフレックスMP−4
5」(BASF社製の塩化ビニル/ビニルイソブチルエ
ーテル共重合体の商品名)10部、ベンガラ6部、二酸
化亜鉛4部、「アエロジル#200」(日本アエロジル
株式会社製の超微粒子状無水シリカの商品名)1部、塩
素化パラフィン2部、ロジン10部、キシレン32部、
メチルイソブチルケトン5部の合計100部をボールミ
ル中で5時間転動混合することによって分散処理して均
質な水中防汚塗料を調製した。
【0098】
【実施例7〜14、比較例1】<水中防汚塗料>実施例
6と同様の調製方法に従い、後記の表3に示す組成を示
すように各々の配合成分を混合することにより、本発明
に係る実施例7〜14の塗料と比較例1の塗料を調製し
た。
【0099】
【実施例15〜23、比較例2】<漁網処理剤>実施例
6と同様の調製方法に従い、後記の表4に示す組成を示
すように各々の配合成分を混合することにより、本発明
による実施例15〜23の漁網処理剤と比較例2の漁網
処理剤を調製した。
【0100】
【表3】
【0101】
【化16】
【0102】
【表4】
【0103】
【化17】
【0104】注2)アクリル樹脂:メタクリル酸メチル
/メタクリル酸n−ブチル共重合体(モル比)=60/
40、数平均分子量20000 注3)ポリブテン06N:日本油脂株式会社製の商品
名。 注4)KF 96 100:信越化学工業社製シリコン
樹脂の商品名。
【0105】
【実施例24】トリフェニルボラン・メタクリル酸モノ
メチルアミノエチルエステルの合成(化合物No.2) 窒素ガスを流して酸素と水分を追い出したグローブボッ
クス内で、トリフェニルボラン2.42g(10ミリモ
ル)をテトラヒドロフランとトルエンの1:1混合溶媒
50mlに溶かし、100ml容量の滴下ロートに入れ
た。
【0106】これとは別に温度計、撹拌機、窒素導入口
を備えた200ml容量の四つ口フラスコに、メタクリ
ル酸モノメチルアミノエチルエステル1.43g(10
ミリモル)と上記混合溶媒50mlとを入れ、かきまぜ
て溶かした。
【0107】窒素導入口より窒素ガスを流してフラスコ
内を窒素ガスで置換した。撹拌しながら滴下ロートより
10分間かけて室温でトリフェニルボラン溶液を滴下
し、同温度にて5時間かきまぜて反応させた。反応終了
後、有機溶媒を減圧下に留去し、褐色固体を得た。この
褐色固体を酢酸エチルとn−ヘキサンの1:2の混合溶
媒で再結晶を実施し、濾過、乾燥して標記化合物3.5
2g(収率91.4%)を白色固体として得た。
【0108】この化合物(化合物NO.2)の融点は次の
とおりであった。 融点 104〜108℃ NMR 2.03(3H,s,Me),2.47(3H,s,NMe),3.10(2H,t,CH2),3.
78(2H,t,CH2),4.27(1H,br,NH),5.73 and 6.26(each 1H,
s,CH2=C),7.01-7.37(15H,m,Ph)
【0109】本発明の水中防汚塗料の有用性を次に示
す。
【0110】
【試験例1】実施例6〜14および比較例1で得られた
塗料をショッププライマーおよびビニルタール系防食塗
料を塗布した300×100×3.2mmのサンドブラ
スト鋼板に乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプ
レーで塗装した。この試験板を7日間乾燥した後、岡山
県玉野市沖に静置浸漬し、フジツボ、ホヤ、セルビラ、
ムラサキガイ、カラスガイ、フサコケムシなどの水中有
害動物ならびにアオノリ、アオサなどの水中有害植物、
さらにスライムの付着の程度を調査した。
【0111】その結果を表5に示す。なお、表中の有害
水中動物および有害水中植物の付着量は下記の計算式で
算出される汚損生物の付着面積%で示した。
【0112】
【数1】
【0113】また、スライムの付着量は次の基準で算定
された数値で示した。 0:スライムの付着なし 1:スライムの付着微少程度 2:スライムの付着小程度 3:スライムの付着中程度 4:スライムの付着中〜多程度 5:スライムの付着多程度
【0114】
【表5】
【0115】注1)A:スライムの付着量を示す。 B:水中有害動物、水中有害植物の付着面積%を示す。
【0116】
【試験例2】実施例15〜23および比較例2でそれぞ
れ得られた漁網処理剤に漁網を浸漬し、塗装した。その
ように処理した漁網を40cm×80cmの鉄枠に固定
し、1日間乾燥後、岡山県玉野市沖に設置した養殖網の
渡し綱から懸すいして水深5mに静置浸漬を行い、所定
の浸漬期間後に付着生物の付着面積を目視により観察し
た。
【0117】その結果を表6に示す。
【0118】
【表6】
【0119】上記各試験例によれば、上記トリアリール
ボラン−アミン化合物あるいはトリアリールボラン−ア
ミン系(共)重合体の何れが配合された水中防汚剤も極
めて優れた防汚活性を示し有用であることが分かる。
【0120】すなわち、上記トリアリールボラン−アミ
ン化合物あるいはトリアリールボラン−アミン系(共)
重合体の何れが配合された本発明の水中防汚剤も、ヒド
ロ虫、オベリア等の腔腸動物、フジツボ、ムラサキガ
イ、カキ、セルブラなどの貝類、および、カサネカンザ
シ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ
などの管棲多毛類、あるいはその他の生物の付着に対し
て優れた防汚効果を示すことが分かる。
【0121】さらに、上記本発明の水中防汚剤は、キシ
レン等の芳香族系溶媒、メチルイソブチルケトン等のケ
トン系溶媒、その他酢酸エチル等のエステル系溶媒に溶
解するため溶液状の製剤として取り扱いが可能でありま
た、長時間の保存時においても分離等がなく安定であ
り、塗装作業性は極めて良好であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 133/14 C09D 133/14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で示されるトリアリールボラ
    ン−アミン化合物; 【化1】 {式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、水素原子ま
    たは低級アルキル基を示し、これらは互いに同一でも異
    なっていてもよい。}
  2. 【請求項2】低級アルキル基としてのR1、R2、R3
    よびR4がそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プ
    ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
    基、sec−ブチル基、tert−ブチル基のうちの何
    れかである請求項1に記載のトリアリールボラン−アミ
    ン化合物。
  3. 【請求項3】上記式(1)で示されるトリアリールボラ
    ン−アミン化合物を有効成分として含有する水中防汚
    剤。
  4. 【請求項4】下記式(1−a)で示される少なくとも1
    種のトリアリールボラン−アミン化合物構成単位を含有
    するトリアリールボラン−アミン系(共)重合体; 【化2】 {式(1−a)中、R1、R2、R3およびR4は、水素原
    子または低級アルキル基を示し、これらは互いに同一で
    も異なっていてもよい。}。
  5. 【請求項5】低級アルキル基としてのR1、R2、R3
    よびR4がそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プ
    ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
    基、sec−ブチル基、tert−ブチル基のうちの何
    れかである請求項4に記載のトリアリールボラン−アミ
    ン系(共)重合体。
  6. 【請求項6】上記トリアリールボラン−アミン化合物構
    成単位(1−a)と、 下記(メタ)アクリル酸エステ
    ル系構成単位(1−b)とを含有する請求項4または5
    に記載のトリアリールボラン−アミン系(共)重合体; 【化3】 {式(1−b)中、R5は、水素原子または低級アルキ
    ル基を示し、R5は、R1と同一であっても異なっていて
    もよい。R6は、炭素数1〜18のアルキル基を示
    す。}。
  7. 【請求項7】上記請求項5または6に記載の(共)重合
    体を有効成分として含有することを特徴とする水中防汚
    剤。
  8. 【請求項8】上記水中防汚剤が、水中有害生物防除剤、
    水中防汚塗料または漁網処理剤の何れかである請求項3
    または7に記載の防汚剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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