JP6052560B1 - 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法 - Google Patents

抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6052560B1
JP6052560B1 JP2015127185A JP2015127185A JP6052560B1 JP 6052560 B1 JP6052560 B1 JP 6052560B1 JP 2015127185 A JP2015127185 A JP 2015127185A JP 2015127185 A JP2015127185 A JP 2015127185A JP 6052560 B1 JP6052560 B1 JP 6052560B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
agent composition
coating agent
antibacterial coating
coating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015127185A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017008251A (ja
Inventor
幸充 市川
幸充 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FINETECH CO. LTD.
Original Assignee
FINETECH CO. LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FINETECH CO. LTD. filed Critical FINETECH CO. LTD.
Priority to JP2015127185A priority Critical patent/JP6052560B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6052560B1 publication Critical patent/JP6052560B1/ja
Publication of JP2017008251A publication Critical patent/JP2017008251A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】空調機器の熱交換器のアルミニウム製フィン部材に対しても適用可能であり、除菌効果があり、部材に対する塗布性(濡れ性)が良好であり、しかも、塗布後に形成される被膜は薄膜で部材への密着性に優れており、長期間に亘って抗菌防カビ効果が維持されうる抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜を提供する。【解決手段】(A)水系ウレタン樹脂、(B)親水撥油剤、(C)イソチアゾリン系化合物を必須成分として含み、イソチアゾリン系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物及び無機系抗菌剤から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤を含有することを特徴とする抗菌性コーティング剤組成物、それを塗布することで得られる抗菌性塗膜である。【選択図】図2

Description

本発明は、抗菌性コーティング剤組成物に関する。詳細には、エアーコンディショナーの内部全般(電気系統を除く)及び外装全般、特に熱交換器のアルミニウム製フィン部材に対して用いることができる抗菌性コーティング剤組成物、それを塗布することで得られる抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法に関する。
屋内の冷暖房用として用いられている空気調和機やエアーコンディショナー(本発明では、これらを総称して「空調機器」という。)は、冷暖房運転開始時や運転中に悪臭を発することがある。
一般家庭等で用いられる空調機器は、その一例を図2に示したように、吸込口から屋内空気を吸い込み、フィルタを経由して、コイルで冷媒から冷温熱を受け取り、送風ファンを介して、吹出口から吹き出すように設計されている。吹出口には風向調整用の風向板が設置されている。熱交換器の下部(前面及び背面)には、凝縮水を溜めるドレンパンが設置されている。
業務用の空調機器(図示していない)は、吸込口から新鮮外気の導入を行い、屋内からの環気の一部を混合させ、フィルタ、冷却コイル、加熱コイル、加湿器が備えられた空調機に送り、給気ファンを介して、吹出口から冷温風を屋内に給気し、同時に環気ファンを介して、屋内空気の一部を吹出口から排気すると共に、環気の一部を空調機に送るように設計されている。冷却コイル及び加湿器の下部には、凝縮水を溜めるドレンパン(露受皿)が設置されている。
上記の悪臭は、屋内の空気中に含まれるカビ、細菌等の微生物がゴミと共に熱交換器上に付着し、適度の温度と湿度で、これら微生物がゴミ等の付着物を腐敗させることが原因と言われている。特にアルミニウムもしくはアルミニウム合金製のフィン部材を有する熱交換器周辺は結露が発生しやすくカビが繁殖しやすい環境にある。空調機器を設置した状態で洗浄しても、通常の洗浄だけではカビを完全に除去することができず、再びカビが繁殖する。
そこで、抗菌剤を添加した樹脂塗料を熱交換器にプレコートすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、プレコート処理被膜を薄い被膜にすると、抗菌剤の添加量を多くすることができないため、抗菌防カビ効果が不十分となる。一方で、プレコート処理被膜を厚い被膜にすると、抗菌剤の添加量を多くすることはできるが、余りに厚くすると(約40μm以上)、熱交換器の熱効率を変化させてしまう問題が発生する。さらに、空調機器のフィンは、夏場は結露が生じるため添加した抗菌剤が流水により溶出しないことが必要であり、一方で冬場はフィンが熱くなるため熱により抗菌剤が揮発しないことが必要であり、これらを満足しないと抗菌防カビ効果が持続しないことになる。
このように、熱交換器のアルミニウム製フィン部材等に塗布するためのコーティング剤は、除菌効果があり、薄膜を形成でき、長期間に亘って抗菌防カビ効果が維持され、しかもフィン部材に対する塗布性に優れ、被膜の密着性が良好なものが望まれている。さらに塗膜が透明の場合には、空調機器の美観を損なうことなく、吹出口など目に見える部位にもコーティングすることができるが、塗膜が白濁していると、使用範囲は目に見えない空調機器内部に限定されてしまう。
特開平11−281294号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、空調機器の熱交換器のアルミニウム製フィン部材に対しても適用可能であり、除菌効果があり、部材に対する塗布性(濡れ性)が良好であり、しかも、塗布後に形成される被膜は薄膜で部材への密着性に優れており、長期間に亘って抗菌防カビ効果が維持されうる抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、水系ウレタン樹脂と親水撥油剤を併用すると共に、イソチアゾリン系化合物を主たる抗菌剤として添加し、これらをエタノール水混合溶媒に溶解させ、抗菌性コーティング剤組成物を調製したところ、フィン部材への密着性に優れ、薄膜形成が可能であり流水により抗菌防カビ効果が消失しない被膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の主旨は以下の通りである。
(1)(A)水系ウレタン樹脂、(B)パーフルオロアルキルエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、または、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとアルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体からなるフッ素系親水撥油剤、(C)イソチアゾリン系化合物を含む1種または2種以上の抗菌剤、及び(D)エタノールを含むことを特徴とする抗菌性コーティング剤組成物。
)抗菌性コーティング剤組成物に対する含有量が、(A)水系ウレタン樹脂:1〜20重量%、(B)フッ素系親水撥油剤:0.1〜5重量%、(C)抗菌剤:0.1〜5重量%、(D)エタノール:25〜70重量%である、前記(1)記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(3)さらに、(E)分散剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトールまたはソルビトールを含む、前記(1)または(2)記載の抗菌性コーティング剤組成物。
)(C)抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物及び無機系抗菌剤から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤である、前記(1)〜(3)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(5)(C)イソチアゾリン系化合物が、イソチアゾリン−3−オン系化合物から選ばれる1種または2種以上である、前記(1)〜(4)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(6)空調機器の部材用である、前記(1)〜(5)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
)前記(1)〜()いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物から形成される抗菌性塗膜。
)膜厚が1〜30μmである、前記()記載の抗菌性塗膜。
(9)前記(7)または(8)記載の抗菌性塗膜を有する空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材。
(10)前記(1)〜(6)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を、空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材に塗布して乾燥し、膜厚1〜30μmの塗膜を形成することを特徴とする抗菌性塗膜の形成方法。
(11)塗布対象面に前記(1)〜(6)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を塗布し、乾燥して、抗菌性塗膜を形成することを特徴とする抗菌・防カビ処理方法。
本発明によれば、水系ウレタン樹脂、親水撥油剤及びイソチアゾリン系化合物を必須成分として含む抗菌剤を組み合わせることで、広範囲のカビや細菌に対して抗菌防カビ性を発揮する抗菌性コーティング剤組成物を提供することができる。また、コーティング剤が親水性であるため、塗布作業が容易でありフィン部材との密着性に優れている。通常の洗浄、乾燥作業後にスプレーすることで強力な除菌・抗菌・防カビ効果を付与でき、熱交換器の結露水が流れたあとも長期にわたって抗菌防カビ効果を保持することができる。塗膜が薄膜であるため、結露やカビが繁殖しやすい熱交換器周辺のプレコート処理被膜としても用いることができる。
フッ素系親水撥油剤の表面模式図。 エアーコンディショナーの構成例を示す説明図。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「抗菌」とは、微生物の発生・生育・増殖を抑制することをいい、特に製品表面の細菌の増殖を抑制することをいう。また、「防カビ」とは、カビの発生・育成・増殖を抑制することをいう。以上の「抗菌」及び「防カビ」の定義は、文献「抗菌・防カビ技術」(株式会社東レリサーチセンター調査研究部門、2004年、p22)を参考とした。
<(A)水系ウレタン樹脂>
本発明の抗菌性コーティング剤組成物で用いる(A)水系ウレタン樹脂は、抗菌性塗膜を形成する際に造膜性と親水性を付与し、抗菌剤を塗膜中に担持して流水で流出するのを防止する機能がある。水系ウレタン樹脂は、水や水性溶媒に分散あるいは溶解させて使用することができる。
水系ウレタン樹脂におけるポリイソシアネート化合物は、特に制限されないが、1分子当りのイソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物が好ましく、特に脂肪族ポリイソシアネート化合物が好ましい。脂肪族ポリイソシアネート化合物を用いることにより、黄変しにくい塗膜を得ることができ、得られた塗膜の耐水性がより高くなる傾向がある。
脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例として、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、または、これらのイソシアネートの3量体等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。脂肪族ポリイソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を必須成分とするものが好ましい。
水系ウレタン樹脂におけるポリオール化合物は、1分子中に2つ以上の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールを使用することにより、抗菌性コーティング剤組成物に親水性を付与することができ、また、水や溶媒へ分散もしくは溶解させるのが容易である。アルミニウム製フィン部材への密着性にも優れるものとなる。
1分子中に2つ以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のジオール化合物や、トリメチロールプロパン等のトリオール化合物や、ペンタエリスリトール等のテトラオール化合物などの多価アルコールが挙げられる。多価アルコールの中でも、ジオール化合物が好ましい。ジオール化合物を用いることにより、コーティング剤組成物を調製する際の粘度上昇を抑えることができ、液調製が容易になる傾向がある。
本発明における水系ウレタン樹脂は、(a)ポリイソシアネート化合物と、(b)ポリオール化合物とを、触媒存在下又は不存在下で反応させて得られるものであればよい。前記触媒は特に限定されないが、例えば、アミン系触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等)等が挙げられる。(b)の使用量は、(a)に対してモル基準で1.0〜2.0倍程度使用することが好ましい。
水系ウレタン樹脂は、熱交換器のアルミニウム製フィン部材や、空調機器を構成する要素である吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、上部及び下部ドレンパン、ドレン配管等に対する密着性に優れている。そのため、送風ファンから風を受けた場合でも、塗膜の剥離や落剥が無い。また、アクリル樹脂エマルジョンや酢酸ビニル樹脂エマルジョン等を造膜材として使用したコーティング剤では達し得なかった薄い被膜を形成することができる。
加えて、空調機器の通風路は、冷風及び温風の通風路となるため、温度変化が非常に激しいという特殊事情がある。このような温度変化により、塗膜は絶えず伸縮する。そのため、塗膜には、伸縮に対する追従性が優れていること、温風で軟化しないこと、冷風で脆化しないこと等が求められる。その点、ウレタン樹脂は塗膜の破断伸度が大きく、塗膜の伸縮性に優れている点でも好ましい素材である。
水系ウレタン樹脂の含有量は塗膜の形成性に影響する。水系ウレタン樹脂は、抗菌性コーティング剤組成物の総重量に対して、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%であるのがよい。含有量が前記の範囲内であれば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等への密着性、耐水性及び抗菌剤の担持性に優れる抗菌性塗膜を形成することができる。含有量が20重量%以下であれば、抗菌性コーティング剤組成物の粘度が高くなり過ぎて塗布作業が困難になる等の不都合を生じることがない。
<(B)親水撥油剤>
本発明の抗菌性コーティング剤組成物で用いる(B)親水撥油剤は、形成した塗膜に親水性を付与させる効果がある。親水撥油剤は、分子中に親水基と疎水基を同時に併せ持つ化合物であり、空気中で表面に疎水基が、水中では表面に親水基が配向するというものである。親水撥油剤の種類は特に限定されないが、フッ素系親水撥油剤が好ましい。
フッ素系親水撥油剤として、パーフルオロアルキルエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(SRポリマー)等が知られている。図1は、SRポリマー表面の模式図であり、空気中では表面にパーフルオロアルキル(Rf)基が配向し、水酸基が内側に潜る。一方、水中ではRf基が退行することにより、相対的に表面に水酸基が配向する。(出典:J.Soc.Cosmet. Chem. Japan Vol.36, No.1 2002)
フッ素系親水撥油剤は、前記SRポリマー以外でも、これに類するポリマーを使用することができる。例えば、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。
親水撥油剤は抗菌性コーティング剤組成物の総重量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.15〜3重量%、特に好ましくは0.2〜1重量%とするのがよい。含有量が前記の範囲内であれば、抗菌力持続性が良好な抗菌性塗膜を形成することができる。
<(C)抗菌剤>
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、塗膜に抗菌・防カビ性を付与する目的で少なくとも1種又は2種以上の抗菌剤を含有する。抗菌剤には、イソチアゾリン系化合物が必須成分として含まれている。イソチアゾリン系化合物は、細菌やカビに対し高い活性と広いスペクトルを示す。殺菌性と防食性を有しているため、アルミニウムフィン材等を腐食する恐れがない。イソチアゾリン系化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。複数種を併用することにより、多種の細菌に対する抗菌力を高めることができる利点がある。
イソチアゾリン系化合物としては、下記の式(1)又は式(2)で表わされる化合物が挙げられる。式中、R11は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、R12〜R17はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。R11における炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。R12〜R17における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
Figure 0006052560
Figure 0006052560
前記イソチアゾリン系化合物のなかで好ましい化合物としては、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[OIT]、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン[MIT]、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン[MTI]、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン[BIT]、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン[Bu−BIT]等が挙げられる。これらのイソチアゾリン系化合物は、抗微生物性があり高温下に曝されても揮発する恐れがなく、扱い易いという利点がある。この中でも、OIT、MIT、BIT、Bu−BITが好ましく、特に水系ウレタン樹脂や水性溶媒に対する溶解性に優れている点で、OIT、MIT及びBu−BITが好ましい。
広い抗菌スペクトルを得るためには、イソチアゾリン系化合物を2種類以上併用することが、より好ましい。特に、OITと、MITまたはBu−BITを併用する場合は、耐熱性に優れているOITを、MITまたはBu−BITより多く用いることが好ましい。好ましい併用比(重量比)は、OIT/MITまたはBu−BIT=99/1〜55/45の範囲であり、さらに好ましくは、99/1〜70/30の範囲である。OITは単独でも十分効果を発揮するが、MITまたはBu−BITを併用することで、一般細菌に対する殺菌力を高めることができる。特に、重量比で、OITをMITまたはBu−BITの5倍以上使用することが好ましい。
イソチアゾリン系化合物と、他の抗菌剤の中から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤とを併用してもよい。
他の抗菌剤としては、銀系化合物、亜鉛系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、4級アンモニウム塩、安息香酸類、クロルヘキシジン、ソルビン酸類、有機窒素系化合物、硫黄系化合物、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタンやビス(1,4−ブロモアセトキシ)−2−ブテン等のハロゲン系化合物、有機酸エステル、有機ヨウ素系化合物、ジンクピリチオン(ZPT)等のピリチオン系化合物等を挙げることができる。
これらの抗菌剤の中でも、カビに対し非常に高い活性と広いスペクトルを示し、比較的融点が高く温風下での耐揮発性に優れている点より、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、及び無機系抗菌剤が好ましい。具体的な化合物としては、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール[TBZ]、2−(メトキシカルボニルアミノ)−1H−ベンゾイミダゾール[BCM]、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール[TCMTB]、ジンク ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)[ジンクピリチオン:ZPT]等のピリチオン系化合物等が挙げられる。TBZは、水及び有機溶媒に難溶性であるが、カビに対し非常に高い活性と広いスペクトルを示し、融点が高い(約300℃)ため温風下での耐揮発性に優れている。ZPTも同様である。
抗菌剤の合計含有量は塗膜の殺菌力や抗菌力に影響する。このため、抗菌剤は、抗菌性コーティング剤組成物の総重量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.15〜4重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%であるのがよい。含有量が前記の範囲内であれば、殺菌力及び抗菌力に優れる抗菌性コーティング剤組成物を提供することができる。
また、上記した他の抗菌剤は、本発明による効果を阻害しない範囲でイソチアゾリン系化合物と併用することができ、抗菌性コーティング剤組成物を塗布する場所等に応じて最適組成を決定するのが良い。この場合、塗膜に充分な殺菌力、抗菌力、抗菌力持続性を付与できる観点より、イソチアゾリン系化合物の重量比率を、抗菌剤全体の50%以上にすることが好ましい。より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物においては、前記(A)、(B)及び(C)成分を溶解する溶媒として、(D)エタノールを用いることが好ましい。エタノールは、抗菌性コーティング剤組成物を塗布する対象面に存在するカビや細菌を除菌する効果が有る。エタノールは、イソプロピルアルコール、1−プロパノール等との混合物として用いてもよい。
エタノールもしくはその混合物は、抗菌性コーティング剤組成物の総重量に対して、好ましくは25〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%、特に好ましくは35〜55重量%である。含有量が前記の範囲内であれば、水系ウレタン樹脂が均一に分散もしくは溶解している殺菌力を有する抗菌性コーティング剤組成物が得られる。塗膜の透明性にも優れるものとなる。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物においては、抗菌剤を分散させるための成分として、(E)分散剤を含有することが好ましい。分散剤は、単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール等を挙げることができる。これらの分散剤の中でも抗菌作用があるプロピレングリコールが好ましい。
分散剤として用いられる多価アルコールは、抗菌性塗膜に親水性を付与し、抗菌性塗膜に担持した抗菌剤を乾燥状態から保護し、抗菌剤の機能を長期間に亘って発現させる作用がある。一般的に抗菌剤は乾燥状態では十分な機能を発揮できなくなるが、多価アルコールを配合することにより、カビや細菌が抗菌剤への耐性を持った野生菌になるのを防止できる。多価アルコール化合物は、水系ウレタン樹脂を製造する際に使用した余剰のポリオール化合物を充当してもよい。
分散剤の含有量は、抗菌性コーティング剤組成物の総重量に対して、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.7〜7重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。含有量が前記範囲内であれば、抗菌剤の分散性を保持することができる。10重量%より多くしても大きな効果の向上を図ることは困難である。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、上記の(A)〜(E)の各成分、その他の成分等をバランス量の水に配合することにより、組成物とすることができる。水は、脱イオン水、純水、水道水であって良い。本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、上記の有効成分の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、可塑剤、顔料、着色剤、防腐剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、消臭剤、保湿剤、pH調整剤、香料等の任意成分を、本発明による効果を阻害しない範囲で、1種または2種以上添加することができる。
抗菌性コーティング剤組成物に要求される粘度は、刷毛塗り、スプレー等、それを塗工する手段によって異なる。従って、目的に応じて、各成分の含有量を適宜増減して、抗菌性コーティング剤組成物の粘度を調節することが望ましい。
例えば、上記各必須成分を撹拌し、抗菌性コーティング剤を調製する際に発生する泡を抑えるため、消泡剤を含有させることができる。また、消臭効果を付与するために、消臭剤を含有させることができ、塗膜の難燃性を向上させるために、難燃剤を含有させることができる。これら消泡剤、消臭剤及び難燃剤の種類に関し特に制限はないが、消泡剤としてはシリコーン系のものが好ましい。
本発明の抗菌・防カビ処理方法は、本発明の抗菌性コーティング剤を塗布する工程を含む。抗菌性コーティング剤を塗布する場合は、カビや細菌の増殖を極力抑えるために、塗布前に塗布対象面を拭き取り洗浄することが好ましい。拭き取り洗浄は、塗布対象面のカビや細菌を除去可能な方法で行えばよく、特に限定はされない。例えば、70%以上のアルコール(エタノール、イソプロパノール)を含ませたウエス、紙等を用いて塗布対象面を拭き取る方法等が挙げられる。
次いで、拭き取り洗浄後の塗布対象面に、本発明の抗菌性コーティング剤組成物を塗布し、乾燥して、抗菌性塗膜を形成する。塗布は、ロールコート法、スプレーコート法、ディッピング法、フローコート法、スピンコート法、ハケ塗り法、コテ塗り法等、公知の方法により行うことができる。これらの中でも、薄膜形成が容易である点及びロングノズルを用いて空調機器の奥部(例えば上部ドレンパン)にも適用できる点より、スプレーコート法が好ましい。
塗布量は、特に制限はないが、塗布量が少ないと所望の箇所に均一に塗布できなくなることで、塗膜に充分な抗菌性を付与できなくなる。一方、塗布量が多すぎると、空調機器の熱交換器に作用し熱効率に悪影響を及ぼすことから、乾燥後の膜厚が40μm以下であることが好ましく、約1〜30μmであることがより好ましい。
塗布後の乾燥は、自然乾燥又は加熱(好ましくは70℃以下)或いは送風による強制乾燥にて行うことができ、乾燥時間は0.5時間〜24時間程度で良い。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、主として、空調機器を構成する吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン(上部及び下部)、ドレン配管、熱交換器のアルミニム製フィン部材等の部材に適宜に塗布することができる。空調機器は、既設の空調機器でもよいし、未使用(新品)の空調機器でもよく、用途も制限されない。空調機器以外でも、上記部材と同様の環境に曝される防菌面にも適用できる。かかる防菌面としては、例えば、建築構造物の床、壁、天井、外壁材等;食品製造装置;食品保存庫;水槽の表面;流し台の排水口;等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「重量%」は「%」と略記する。
実施例及び比較例で使用した抗菌剤は次の通りである。
OIT;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
MIT;2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
Bu−BIT;N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
TBZ;2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール
BCM;2−(メトキシカルボニルアミノ)−1H−ベンゾイミダゾール
ZPT;ジンクピリチオン
BAE;1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン
BAB;ビス(1,4−ブロモアセトキシ)−2−ブテン
(実施例1〜12)
水(バランス量)、抗菌剤、フッ素系親水撥油剤、消泡剤、プロピレングリコールを混合した後、それらを撹拌しながら水系ウレタン樹脂を投入し、撹拌した。その後、エタノールを添加し、表1に記載した組成の抗菌性コーティング剤組成物を調製した。
(比較例1〜3)
表1に記載した組成にて、フッ素系親水撥油剤を含有しないコーティング剤組成物を調製した。
(比較例4)
水系ウレタン樹脂の代わりに、アクリル系樹脂エマルジョンを含有するコーティング剤組成物を調製した。
調製した抗菌性コーティング剤組成物(以下、薬剤という。)について、下記の方法で、塗布性試験、殺菌力試験、ハロー試験、流水試験、接着性試験を実施した。評価結果及びアルミニウム板上に形成された塗膜の厚みを表2に示す。
(i)塗布性
薬剤をアルミニウム板の塗布した時の濡れ性、塗膜の透明性を評価する。
(ii)薬剤の殺菌力
(a)供試菌(いずれも野生菌株を使用):
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
(b)試験方法:
薬液作成:薬剤2mlを滅菌済試験管に準備する。
菌液作成:供試菌を滅菌精製水で1×10cfu/mlになるように調整する。
接触:薬液に、菌液を100μl添加し、30秒間接触させ、試験液とする。
塗抹:試験液100μlをPDALP培地(PDA培地にレシチン0.1%、ポリソルベート80 0.7%添加)に塗抹する。一般細菌については、LP培地(標準寒天培地にレシチン0.1%、ポリソルベート80 0.7%添加)に塗抹する。
(c)培養条件:27℃1週間、一般細菌は37℃1週間。
(d)コロニーの計測:N=2あるいは3の平均値で比較する。
(iii)薬剤の抗菌力(ハロー試験)
(a)供試菌:(ii)(a)と同様。
(b)試験方法:
125mmφのろ紙(アドバンテック)にまんべんなく薬剤を噴霧し(噴霧量およそ2ml)、1昼夜風乾させる。ろ紙を28mmφに切る。分離した菌株を1白金耳とり、PDA培地に塗抹する。一般細菌については、標準寒天培地に塗抹する。中央にカットしたろ紙を乗せる。
(c)培養条件:PDA培地は27℃2週間、一般細菌は37℃2週間。
(d)ハローの計測:N=3の平均値を算出し、以下の基準にて評価を実施する。
「○」試料又は試験片の接種した部分に菌糸の発育が認められない。
「△」試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超えない。
「×」試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超える。
(iv)流水後の抗菌力持続性
薬剤が溶出しにくい試験片(アルミニウム板)での抗菌力を確認する。
(a)供試菌:(ii)(a)と同様。
(b)試験方法:
4cm角のアルミニウム板にまんべんなく薬剤を塗布し、1昼夜風乾させる。風乾させたアルミニウム板に50cc/minの流水を48時間滴下する。1昼夜風乾させ、1cm角にカットしたアルミニウム板を、供試菌を塗抹したPDA培地の中央に乗せる(一般細菌の塗抹には標準寒天培地を使用)。
(c)培養条件:PDA培地は27℃2週間、標準寒天培地は37℃2週間。
(d)ハローの計測:流水前と流水後のハローの計測値(N=3の平均値)で比較する。
(v)塗膜の接着性
1昼夜風乾させたアルミニウム板に対する密着性を評価する。
elcometer 107 クロスハッチカッター((株)インネクスト)にて、アルミニウム板上に形成した塗膜に、約20mm長さの傷を入れ、カットに対して直角に同様にカットし、格子パターンを作る。100分割された格子パターンに、セロハンテープを当て、次いではがす。コーティング材のはくり状況を観察し、以下の基準で評価する。
「ISO分類0」カットされた縁は完全にスムーズで格子の四角部分は一つも剥がれたりはしていない。
「ISO分類1」カットの交わったところに小さなフレーク状の剥がれが見られる。
「ISO分類2」縁またはカットが交わる点に沿ってコーティングのフレーク状の剥がれが見られる。
「ISO分類3」カットの縁に沿って部分的又は全体的にリボン状にフレークオフしているか、あるいは四角の異なった部分が一部または全部剥がれている。
「ISO分類4」カットの縁に沿ってコーティングが部分的又は全体がリボン状にフレークオフ。四角部分の一部または全部が剥がれている。
「ISO分類5」分類4にも当てはまらない、それ以上のフレーキング(剥がれ)。
Figure 0006052560
Figure 0006052560
表2の結果より、本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、イソチアゾリン系抗菌剤2種の組み合わせ(OIT/MIT(実施例1、4、10)、OIT/Bu−BIT(実施例5))、ならびに、イソチアゾリン系抗菌剤とそれ以外の抗菌剤の組み合わせ(実施例6〜7、11〜12)において、優れた除菌効果(菌残存率0%)、抗菌力(ハロー直径)及び抗菌力持続力(48時間流水後のハロー直径)が認められた。除菌効果、抗菌力、抗菌力持続力は、抗菌剤含有量が0.2〜0.3重量%(実施例3)の場合にも認められた。OIT単独使用(実施例8)の場合、除菌効果や抗菌力が認められたが、他の抗菌剤と併用した場合に比べて、一般細菌に対する殺菌力、3菌種混合菌に対する抗菌力の点でやや劣っていた。
一般細菌に対する殺菌力は、MITの添加量に依存する傾向があった。また、抗菌力(ハロー直径)はOITの添加量に依存する傾向があり、OIT添加量が少なくなるにつれてハロー直径も小さくなった。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、全ての試験区において48時間流水後でもハローが確認されたことより、抗菌持続力に優れ(流水により効果が失われない)、アルミニウム板との接着性に優れていることが確認された。
ただし、実施例6及び実施例7の抗菌性コーティング剤組成物は、経日により凝固し、スプレーに適さないものであった。
また、TBZ、BCM、ZPT(いずれも難溶性粉体)を配合した実施例11、12の抗菌性コーティング剤組成物は、塗膜が白濁するため、吹出口など目に見える箇所以外での使用が望ましいと言える。
一方、親水撥油剤を含有しない比較例1〜3のコーティング剤組成物は、アルミニウム板へ塗布する際に若干撥水する現象が見られるため(濡れ性不良)、熱交換器へ適用すると水滴がフィンの間でブリッジを形成して、吹出口から水滴が飛ぶ水飛び現象を発生させるおそれがある。更に、親水性がないと汚染がたまり熱交換効率を阻害させる。また、イソチアゾリン系化合物を配合していない比較例2、3のコーティング剤組成物は、抗菌力持続性が劣っており、プロピレングリコール無添加(比較例2)の場合にその傾向が顕著であった。アクリル系樹脂を基材とする比較例4のコーティング剤組成物は、本発明例と同等の結果(菌残存率0%)であったが、塗膜の膜厚が約50μmであったため、熱交換器へ適用できないものであった。
(実施例13)
本発明品(実施例1)と、他社品の除菌・抗菌・防カビコーティング剤とを、比較評価した。薬剤の殺菌力及び抗菌力の評価方法は、下記に示す供試菌を使用した以外は、実施例1に準拠した。試験結果を表3及び表4に示した。
<供試菌(いずれも野生菌株を使用)>
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
Figure 0006052560
表3の結果より、アルタナリア属については、全ての試験区で除菌効果が確認された。3菌種混合菌については、他社品Y,Zでは除菌効果が確認できなかった。両供試菌について100%除菌効果があった試験区は、本発明品と他社品Xであった。
Figure 0006052560
表4の結果より、アルタナリア属及び3菌種混合菌の双方に対して、本発明品は高い抗菌力が認められた。
(実施例14)
本発明品(実施例1)及び他社品の除菌・抗菌・防カビコーティング剤(以下、これらを薬剤という。)を試験片に塗布し、該薬剤を塗布した試験片に対する抗菌活性値を求め、抗菌効果を評価した。その結果を表5に示した。評価方法を以下に示す。
<薬剤塗布試験片の抗菌力評価方法>
(1)供試菌(野生菌株を使用):Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
(2)試験方法:
試験片の準備:アルミニウム板に薬剤をまんべんなく塗布し、1昼夜乾燥させる。
菌液調製:分離培養した菌株を釣菌し、滅菌精製水に懸濁し1×10cfu/mlになるように調製する。
接触:菌液を100μlとり、薬剤を塗布したアルミニウム板に接触させる。
洗い出し:規定時間接触後、10ml滅菌済み生理食塩水にて洗い出す。洗い出した菌液100μlをPDA培地に塗抹培養し、洗い出し液中の菌数を求める。
評価:以下方式によって静菌活性値を求め、抗菌・防臭効果の判定を行う。
静菌活性値={log(標準布・18時間培養後生菌数)−log(標準布・接種直後生菌数)}−{log(試料・18時間培養後生菌数)−log(試料・接種直後生菌数)}
判定:静菌活性値≧2.0を合格と判定した。
(3)培養条件:PDA培地27℃、18時間。
(4)コロニーの計測:N=3の平均値で比較する。
(5)薬剤の接着性評価:実施例1と同様、1昼夜風乾させたアルミニウム板を使用する。
Figure 0006052560
表5の結果より、本発明品は、塗膜の透明性(膜厚:約15μm)、抗菌・防カビ性に優れていた。接着性はアルミニウム板、銅板いずれに対しても良好であった。水系ポリウレタン樹脂とフッ素系親水撥油剤(フッ素ポリマー)が配合されているため、接着性に優れていると考えられる。
一方、他社品Xは、塗膜が着色しているため外から見える場所への使用が懸念される。接着性も不良であり、セロハンテープ側に薬剤が全て移行してしまった。薬剤の接着状況は極めて悪く、板から容易に剥がれてしまうため、薬剤の残存効果は発揮されないと考えられる。他社品Yは、塗膜の透明性、薬剤の接着性はアルミニウム板、銅板いずれも良好であったが、防カビ性は認められなかった。
(実施例15)
流水後の抗菌持続力について、薬剤が溶出しにくい試験片(アルミニウム板)を用いて確認した。薬剤をアルミニウム板に塗布した後、熱処理(60℃30分間)の有無における抗菌力の差異についても評価した。評価方法は、下記に示す供試菌を用いた以外は、実施例1に準拠した。
<供試菌(いずれも野生菌株を使用)>
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
Figure 0006052560
表6の結果より、本発明品は、熱処理有り・無しで、ハローが多少増減したが、熱処理による影響はほとんど無かった。本発明品は、いずれの試験区においても流水後ハローが認められ、他社品に比べて抗菌力持続性が高いことが確認された。
(実施例16)
本発明品(実施例1)について、各試験区における流水限界を確認評価した。その結果を表7に示した。評価方法を以下に示す。
<流水限界試験方法>
(1)供試菌(いずれも野生菌株を使用)
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
(2)試験方法:
4cm角のアルミニウム板にまんべんなく薬剤を塗布し、1昼夜風乾させる。風乾させたアルミニウム板に50cc/minの流水を120時間滴下する。
※120時間流水で約3.5年相当の過酷試験条件。
1昼夜風乾させ、1cm角にカットしたアルミニウム板を、供試菌を塗抹したPDA培地の中央に乗せる(一般細菌の塗抹には標準寒天培地を使用)。
(3)培養条件:PDA培地は27℃2週間、標準寒天培地は37℃2週間。
(4)ハローの計測:流水前と流水後のハローの計測値(N=3の平均値)で比較。
Figure 0006052560
表7の結果より、アルタナリア属の試験区では、120時間流水後でもハローが確認できた。
(実施例17)
本発明品(実施例1)を、平均膜厚15μm程度になるよう、食品工場の休養室エアーコンディショナーに塗布した。塗布対象面は、上部ドレンパン、メインドレンパン、ファン、吹出口、吹出羽根、熱交換器前面、熱交換器裏面とした。
実験は下記3通りの方法で実施し、部材の分解洗浄のみを実施した場合と比較した。
(1)通常の壁掛け洗浄を実施した後に本発明品を塗布。
(2)洗浄を行わずに本発明品を塗布。
(3)部材の分解洗浄後に本発明品を塗布。
各塗布対象面のカビ汚染度は、表8に示す評価基準に基づいて5段階で評価した。その結果を表9に示す。
Figure 0006052560
Figure 0006052560
表8及び表9の結果から、壁掛け洗浄後に本発明品を塗布することにより、エアーコンディショナー部材の付着真菌数ならびに空中浮遊真菌数が著しく減少し、施工3ヶ月後も概ね効果が持続することが分かる。
壁掛け洗浄を実施せずに汚染個所に対して本発明品を塗布した場合は、ファンのようにスプレー噴霧で薬剤が届きにくかった部位は本剤を浸透させることができず、汚染を低減することができなかった。
また、ドレンポンプ、ファン、吹出口、熱交換器下の分解洗浄により汚染度は低下するが、本発明品を塗布することにより清浄環境を得ることができた。一方、分解洗浄のみ実施した場合、洗浄後は付着真菌数が減少するが、施工3ヶ月後には重度の菌汚染状態となった。
本発明の抗菌性コーティングは、部材に抗菌・抗カビ性を付与するだけでなく、その効果が長期間持続する。皮膜が薄膜透明であるため、空調機器の構成部材に広く適用でき、また、熱交換器に塗布しても熱効率が変わらないという点で従来の抗菌性コーティング剤には無かった顕著な特長が有る。空調機器の構成部材に塗布することにより、細菌やカビの増殖を抑制でき、使用運転期間中に悪臭が発生しないので、快適な室内環境を提供することができる。加えて、抗菌・防カビ性皮膜を形成することで、空調機器のクリーニング頻度を下げることができるため、作業面及び経済面での効果も期待できる。よって、食品工場、医薬品工場、病院、学校、オフィス、自動車、車両、一般家庭等における室内環境の改善に対する貢献度は極めて大である。
本発明の抗菌性コーティング剤は、カーテン、衣類、靴、カバン等の繊維製品;流し台、排水口等の金属製品、プラスチック製品にも、広く用いることが可能である。

Claims (11)

  1. (A)水系ウレタン樹脂、(B)パーフルオロアルキルエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、または、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとアルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体からなるフッ素系親水撥油剤、(C)イソチアゾリン系化合物を含む1種または2種以上の抗菌剤、及び(D)エタノールを含むことを特徴とする抗菌性コーティング剤組成物。
  2. 抗菌性コーティング剤組成物に対する含有量が、(A)水系ウレタン樹脂:1〜20重量%、(B)フッ素系親水撥油剤:0.1〜5重量%、(C)抗菌剤:0.1〜5重量%、(D)エタノール:25〜70重量%である、請求項1記載の抗菌性コーティング剤組成物。
  3. さらに、(E)分散剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトールまたはソルビトールを含む、請求項1または2記載の抗菌性コーティング剤組成物。
  4. (C)抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物及び無機系抗菌剤から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤である、請求項1〜3いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
  5. (C)イソチアゾリン系化合物が、イソチアゾリン−3−オン系化合物から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜4いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
  6. 空調機器の部材用である、請求項1〜5いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
  7. 請求項1〜いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物から形成される抗菌性塗膜。
  8. 膜厚が1〜30μmである、請求項記載の抗菌性塗膜。
  9. 請求項7または8記載の抗菌性塗膜を有する空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材。
  10. 請求項1〜6いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を、空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材に塗布して乾燥し、膜厚1〜30μmの塗膜を形成することを特徴とする抗菌性塗膜の形成方法。
  11. 塗布対象面に請求項1〜6いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を塗布し、乾燥して、抗菌性塗膜を形成することを特徴とする抗菌・防カビ処理方法。
JP2015127185A 2015-06-25 2015-06-25 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法 Active JP6052560B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015127185A JP6052560B1 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015127185A JP6052560B1 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6052560B1 true JP6052560B1 (ja) 2016-12-27
JP2017008251A JP2017008251A (ja) 2017-01-12

Family

ID=57582085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015127185A Active JP6052560B1 (ja) 2015-06-25 2015-06-25 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6052560B1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102190865B1 (ko) 2017-10-23 2020-12-14 주식회사 엘지화학 항균성 고분자 코팅 조성물 및 항균성 고분자 필름
JP6338312B1 (ja) * 2017-12-18 2018-06-06 株式会社リステップ 抗菌添加剤の製造方法及び抗菌添加剤のマスターバッチ並びに抗菌添加剤
JP6761952B2 (ja) * 2018-04-25 2020-09-30 株式会社ファインテック 開口部用抗菌布帛
JP2020015718A (ja) * 2018-07-11 2020-01-30 Toto株式会社 水まわり部材
JP2020132598A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社 匍匐害虫防除用毒餌剤

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0730289B2 (ja) * 1987-06-02 1995-04-05 第一工業製薬株式会社 塗料組成物
JP3507533B2 (ja) * 1993-10-06 2004-03-15 日本ペイント株式会社 親水性表面処理水溶液、親水性表面処理方法及び親水性表面処理皮膜
JPH1143667A (ja) * 1997-07-25 1999-02-16 Sanyo Chem Ind Ltd 熱交換器フィン用表面処理剤、表面処理法および表面処理被膜
JP4795013B2 (ja) * 2004-12-17 2011-10-19 中国塗料株式会社 水性防汚組成物、防汚被膜、および該被膜で被覆された漁網
JP5686474B2 (ja) * 2011-05-18 2015-03-18 関西ペイント株式会社 熱交換器フィン材用の着霜抑制処理組成物
JP6061755B2 (ja) * 2013-03-29 2017-01-18 株式会社神戸製鋼所 アルミニウムフィン材およびその製造方法
JP6456293B2 (ja) * 2013-09-30 2019-01-23 株式会社ネオス 親水撥油性付与剤およびこれを含有する組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017008251A (ja) 2017-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6052560B1 (ja) 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法
JP5478074B2 (ja) 除去可能な抗菌性コーティング組成物およびその使用方法
JP6051270B2 (ja) カチオン性レオロジー剤を含有する除去可能な抗菌コーティング組成物およびその使用方法
JP6006259B2 (ja) 除去可能な抗菌性コーティング組成物およびその使用方法
JP6216925B2 (ja) 抗菌性コーティング剤
US20070020223A1 (en) Air scenting compositions for spray application on air scenting devices
US20110182959A1 (en) Removable antimicrobial coating compositions containing acid-activated rheology agent and methods of use
JP2011517682A (ja) 抗微生物系
JP2004137241A (ja) 抗菌・防黴・防藻性組成物
CN106675822A (zh) 一种空调杀菌清洗剂及其制备方法
US7659326B2 (en) Antimicrobial paint
CN100389655C (zh) 生物膜生长的抑制
US8696803B1 (en) Air permeable scenting latex formulation for spray application on an air filter
JP6264624B1 (ja) 抗菌・防カビ・消臭剤、それを用いた気化式加湿器、ならびに抗菌・防カビ・消臭方法
US5474739A (en) Microbiocidal composition
JP3298714B2 (ja) 空調機用防菌防黴部材およびこの部材を使用した空気調和機
JPH03502109A (ja) 熱交換コイル用殺生物性保護塗料
JPS62283135A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フイルム
JP2001009362A (ja) 親水性表面処理組成物及び親水性表面処理皮膜
EP4000399A1 (en) Biocide
JP4921658B2 (ja) 絨毯用清拭シート
JP7493206B2 (ja) 耐紫外線抗菌防カビコーティング剤及び抗菌防カビ処理方法
US20200323213A1 (en) Methods of use for compositions comprising biguanide compound and diol surfactant
JPH05295206A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP7220459B2 (ja) 空調機の衛生管理システム

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6052560

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250