JP6052560B1 - 抗菌性コーティング剤組成物及び抗菌性塗膜並びに抗菌・防カビ処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般家庭等で用いられる空調機器は、その一例を図2に示したように、吸込口から屋内空気を吸い込み、フィルタを経由して、コイルで冷媒から冷温熱を受け取り、送風ファンを介して、吹出口から吹き出すように設計されている。吹出口には風向調整用の風向板が設置されている。熱交換器の下部(前面及び背面)には、凝縮水を溜めるドレンパンが設置されている。
業務用の空調機器(図示していない)は、吸込口から新鮮外気の導入を行い、屋内からの環気の一部を混合させ、フィルタ、冷却コイル、加熱コイル、加湿器が備えられた空調機に送り、給気ファンを介して、吹出口から冷温風を屋内に給気し、同時に環気ファンを介して、屋内空気の一部を吹出口から排気すると共に、環気の一部を空調機に送るように設計されている。冷却コイル及び加湿器の下部には、凝縮水を溜めるドレンパン(露受皿)が設置されている。
(2)抗菌性コーティング剤組成物に対する含有量が、(A)水系ウレタン樹脂:1〜20重量%、(B)フッ素系親水撥油剤:0.1〜5重量%、(C)抗菌剤:0.1〜5重量%、(D)エタノール:25〜70重量%である、前記(1)記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(3)さらに、(E)分散剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトールまたはソルビトールを含む、前記(1)または(2)記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(4)(C)抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物及び無機系抗菌剤から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤である、前記(1)〜(3)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(5)(C)イソチアゾリン系化合物が、イソチアゾリン−3−オン系化合物から選ばれる1種または2種以上である、前記(1)〜(4)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(6)空調機器の部材用である、前記(1)〜(5)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
(7)前記(1)〜(6)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物から形成される抗菌性塗膜。
(8)膜厚が1〜30μmである、前記(7)記載の抗菌性塗膜。
(9)前記(7)または(8)記載の抗菌性塗膜を有する空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材。
(10)前記(1)〜(6)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を、空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材に塗布して乾燥し、膜厚1〜30μmの塗膜を形成することを特徴とする抗菌性塗膜の形成方法。
(11)塗布対象面に前記(1)〜(6)いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を塗布し、乾燥して、抗菌性塗膜を形成することを特徴とする抗菌・防カビ処理方法。
なお、本発明において「抗菌」とは、微生物の発生・生育・増殖を抑制することをいい、特に製品表面の細菌の増殖を抑制することをいう。また、「防カビ」とは、カビの発生・育成・増殖を抑制することをいう。以上の「抗菌」及び「防カビ」の定義は、文献「抗菌・防カビ技術」(株式会社東レリサーチセンター調査研究部門、2004年、p22)を参考とした。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物で用いる(A)水系ウレタン樹脂は、抗菌性塗膜を形成する際に造膜性と親水性を付与し、抗菌剤を塗膜中に担持して流水で流出するのを防止する機能がある。水系ウレタン樹脂は、水や水性溶媒に分散あるいは溶解させて使用することができる。
水系ウレタン樹脂におけるポリイソシアネート化合物は、特に制限されないが、1分子当りのイソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物が好ましく、特に脂肪族ポリイソシアネート化合物が好ましい。脂肪族ポリイソシアネート化合物を用いることにより、黄変しにくい塗膜を得ることができ、得られた塗膜の耐水性がより高くなる傾向がある。
1分子中に2つ以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のジオール化合物や、トリメチロールプロパン等のトリオール化合物や、ペンタエリスリトール等のテトラオール化合物などの多価アルコールが挙げられる。多価アルコールの中でも、ジオール化合物が好ましい。ジオール化合物を用いることにより、コーティング剤組成物を調製する際の粘度上昇を抑えることができ、液調製が容易になる傾向がある。
加えて、空調機器の通風路は、冷風及び温風の通風路となるため、温度変化が非常に激しいという特殊事情がある。このような温度変化により、塗膜は絶えず伸縮する。そのため、塗膜には、伸縮に対する追従性が優れていること、温風で軟化しないこと、冷風で脆化しないこと等が求められる。その点、ウレタン樹脂は塗膜の破断伸度が大きく、塗膜の伸縮性に優れている点でも好ましい素材である。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物で用いる(B)親水撥油剤は、形成した塗膜に親水性を付与させる効果がある。親水撥油剤は、分子中に親水基と疎水基を同時に併せ持つ化合物であり、空気中で表面に疎水基が、水中では表面に親水基が配向するというものである。親水撥油剤の種類は特に限定されないが、フッ素系親水撥油剤が好ましい。
フッ素系親水撥油剤は、前記SRポリマー以外でも、これに類するポリマーを使用することができる。例えば、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、塗膜に抗菌・防カビ性を付与する目的で少なくとも1種又は2種以上の抗菌剤を含有する。抗菌剤には、イソチアゾリン系化合物が必須成分として含まれている。イソチアゾリン系化合物は、細菌やカビに対し高い活性と広いスペクトルを示す。殺菌性と防食性を有しているため、アルミニウムフィン材等を腐食する恐れがない。イソチアゾリン系化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。複数種を併用することにより、多種の細菌に対する抗菌力を高めることができる利点がある。
他の抗菌剤としては、銀系化合物、亜鉛系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、4級アンモニウム塩、安息香酸類、クロルヘキシジン、ソルビン酸類、有機窒素系化合物、硫黄系化合物、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタンやビス(1,4−ブロモアセトキシ)−2−ブテン等のハロゲン系化合物、有機酸エステル、有機ヨウ素系化合物、ジンクピリチオン(ZPT)等のピリチオン系化合物等を挙げることができる。
これらの抗菌剤の中でも、カビに対し非常に高い活性と広いスペクトルを示し、比較的融点が高く温風下での耐揮発性に優れている点より、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、及び無機系抗菌剤が好ましい。具体的な化合物としては、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール[TBZ]、2−(メトキシカルボニルアミノ)−1H−ベンゾイミダゾール[BCM]、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール[TCMTB]、ジンク ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)[ジンクピリチオン:ZPT]等のピリチオン系化合物等が挙げられる。TBZは、水及び有機溶媒に難溶性であるが、カビに対し非常に高い活性と広いスペクトルを示し、融点が高い(約300℃)ため温風下での耐揮発性に優れている。ZPTも同様である。
また、上記した他の抗菌剤は、本発明による効果を阻害しない範囲でイソチアゾリン系化合物と併用することができ、抗菌性コーティング剤組成物を塗布する場所等に応じて最適組成を決定するのが良い。この場合、塗膜に充分な殺菌力、抗菌力、抗菌力持続性を付与できる観点より、イソチアゾリン系化合物の重量比率を、抗菌剤全体の50%以上にすることが好ましい。より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
塗布量は、特に制限はないが、塗布量が少ないと所望の箇所に均一に塗布できなくなることで、塗膜に充分な抗菌性を付与できなくなる。一方、塗布量が多すぎると、空調機器の熱交換器に作用し熱効率に悪影響を及ぼすことから、乾燥後の膜厚が40μm以下であることが好ましく、約1〜30μmであることがより好ましい。
塗布後の乾燥は、自然乾燥又は加熱(好ましくは70℃以下)或いは送風による強制乾燥にて行うことができ、乾燥時間は0.5時間〜24時間程度で良い。
OIT;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
MIT;2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
Bu−BIT;N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
TBZ;2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール
BCM;2−(メトキシカルボニルアミノ)−1H−ベンゾイミダゾール
ZPT;ジンクピリチオン
BAE;1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン
BAB;ビス(1,4−ブロモアセトキシ)−2−ブテン
水(バランス量)、抗菌剤、フッ素系親水撥油剤、消泡剤、プロピレングリコールを混合した後、それらを撹拌しながら水系ウレタン樹脂を投入し、撹拌した。その後、エタノールを添加し、表1に記載した組成の抗菌性コーティング剤組成物を調製した。
表1に記載した組成にて、フッ素系親水撥油剤を含有しないコーティング剤組成物を調製した。
水系ウレタン樹脂の代わりに、アクリル系樹脂エマルジョンを含有するコーティング剤組成物を調製した。
薬剤をアルミニウム板の塗布した時の濡れ性、塗膜の透明性を評価する。
(a)供試菌(いずれも野生菌株を使用):
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
(b)試験方法:
薬液作成:薬剤2mlを滅菌済試験管に準備する。
菌液作成:供試菌を滅菌精製水で1×105cfu/mlになるように調整する。
接触:薬液に、菌液を100μl添加し、30秒間接触させ、試験液とする。
塗抹:試験液100μlをPDALP培地(PDA培地にレシチン0.1%、ポリソルベート80 0.7%添加)に塗抹する。一般細菌については、LP培地(標準寒天培地にレシチン0.1%、ポリソルベート80 0.7%添加)に塗抹する。
(c)培養条件:27℃1週間、一般細菌は37℃1週間。
(d)コロニーの計測:N=2あるいは3の平均値で比較する。
(a)供試菌:(ii)(a)と同様。
(b)試験方法:
125mmφのろ紙(アドバンテック)にまんべんなく薬剤を噴霧し(噴霧量およそ2ml)、1昼夜風乾させる。ろ紙を28mmφに切る。分離した菌株を1白金耳とり、PDA培地に塗抹する。一般細菌については、標準寒天培地に塗抹する。中央にカットしたろ紙を乗せる。
(c)培養条件:PDA培地は27℃2週間、一般細菌は37℃2週間。
(d)ハローの計測:N=3の平均値を算出し、以下の基準にて評価を実施する。
「○」試料又は試験片の接種した部分に菌糸の発育が認められない。
「△」試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超えない。
「×」試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超える。
薬剤が溶出しにくい試験片(アルミニウム板)での抗菌力を確認する。
(a)供試菌:(ii)(a)と同様。
(b)試験方法:
4cm角のアルミニウム板にまんべんなく薬剤を塗布し、1昼夜風乾させる。風乾させたアルミニウム板に50cc/minの流水を48時間滴下する。1昼夜風乾させ、1cm角にカットしたアルミニウム板を、供試菌を塗抹したPDA培地の中央に乗せる(一般細菌の塗抹には標準寒天培地を使用)。
(c)培養条件:PDA培地は27℃2週間、標準寒天培地は37℃2週間。
(d)ハローの計測:流水前と流水後のハローの計測値(N=3の平均値)で比較する。
1昼夜風乾させたアルミニウム板に対する密着性を評価する。
elcometer 107 クロスハッチカッター((株)インネクスト)にて、アルミニウム板上に形成した塗膜に、約20mm長さの傷を入れ、カットに対して直角に同様にカットし、格子パターンを作る。100分割された格子パターンに、セロハンテープを当て、次いではがす。コーティング材のはくり状況を観察し、以下の基準で評価する。
「ISO分類0」カットされた縁は完全にスムーズで格子の四角部分は一つも剥がれたりはしていない。
「ISO分類1」カットの交わったところに小さなフレーク状の剥がれが見られる。
「ISO分類2」縁またはカットが交わる点に沿ってコーティングのフレーク状の剥がれが見られる。
「ISO分類3」カットの縁に沿って部分的又は全体的にリボン状にフレークオフしているか、あるいは四角の異なった部分が一部または全部剥がれている。
「ISO分類4」カットの縁に沿ってコーティングが部分的又は全体がリボン状にフレークオフ。四角部分の一部または全部が剥がれている。
「ISO分類5」分類4にも当てはまらない、それ以上のフレーキング(剥がれ)。
一般細菌に対する殺菌力は、MITの添加量に依存する傾向があった。また、抗菌力(ハロー直径)はOITの添加量に依存する傾向があり、OIT添加量が少なくなるにつれてハロー直径も小さくなった。
本発明の抗菌性コーティング剤組成物は、全ての試験区において48時間流水後でもハローが確認されたことより、抗菌持続力に優れ(流水により効果が失われない)、アルミニウム板との接着性に優れていることが確認された。
ただし、実施例6及び実施例7の抗菌性コーティング剤組成物は、経日により凝固し、スプレーに適さないものであった。
また、TBZ、BCM、ZPT(いずれも難溶性粉体)を配合した実施例11、12の抗菌性コーティング剤組成物は、塗膜が白濁するため、吹出口など目に見える箇所以外での使用が望ましいと言える。
本発明品(実施例1)と、他社品の除菌・抗菌・防カビコーティング剤とを、比較評価した。薬剤の殺菌力及び抗菌力の評価方法は、下記に示す供試菌を使用した以外は、実施例1に準拠した。試験結果を表3及び表4に示した。
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
本発明品(実施例1)及び他社品の除菌・抗菌・防カビコーティング剤(以下、これらを薬剤という。)を試験片に塗布し、該薬剤を塗布した試験片に対する抗菌活性値を求め、抗菌効果を評価した。その結果を表5に示した。評価方法を以下に示す。
(1)供試菌(野生菌株を使用):Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
(2)試験方法:
試験片の準備:アルミニウム板に薬剤をまんべんなく塗布し、1昼夜乾燥させる。
菌液調製:分離培養した菌株を釣菌し、滅菌精製水に懸濁し1×105cfu/mlになるように調製する。
接触:菌液を100μlとり、薬剤を塗布したアルミニウム板に接触させる。
洗い出し:規定時間接触後、10ml滅菌済み生理食塩水にて洗い出す。洗い出した菌液100μlをPDA培地に塗抹培養し、洗い出し液中の菌数を求める。
評価:以下方式によって静菌活性値を求め、抗菌・防臭効果の判定を行う。
静菌活性値={log(標準布・18時間培養後生菌数)−log(標準布・接種直後生菌数)}−{log(試料・18時間培養後生菌数)−log(試料・接種直後生菌数)}
判定:静菌活性値≧2.0を合格と判定した。
(3)培養条件:PDA培地27℃、18時間。
(4)コロニーの計測:N=3の平均値で比較する。
(5)薬剤の接着性評価:実施例1と同様、1昼夜風乾させたアルミニウム板を使用する。
一方、他社品Xは、塗膜が着色しているため外から見える場所への使用が懸念される。接着性も不良であり、セロハンテープ側に薬剤が全て移行してしまった。薬剤の接着状況は極めて悪く、板から容易に剥がれてしまうため、薬剤の残存効果は発揮されないと考えられる。他社品Yは、塗膜の透明性、薬剤の接着性はアルミニウム板、銅板いずれも良好であったが、防カビ性は認められなかった。
流水後の抗菌持続力について、薬剤が溶出しにくい試験片(アルミニウム板)を用いて確認した。薬剤をアルミニウム板に塗布した後、熱処理(60℃30分間)の有無における抗菌力の差異についても評価した。評価方法は、下記に示す供試菌を用いた以外は、実施例1に準拠した。
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
本発明品(実施例1)について、各試験区における流水限界を確認評価した。その結果を表7に示した。評価方法を以下に示す。
(1)供試菌(いずれも野生菌株を使用)
1:Alternaria sp.(アルタナリア属)
2:3菌種混合菌・・・Penicillium sp. (ペニシリウム属)
Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)
Aspergillus sp. (アスペルギルス属)
3:一般細菌
(2)試験方法:
4cm角のアルミニウム板にまんべんなく薬剤を塗布し、1昼夜風乾させる。風乾させたアルミニウム板に50cc/minの流水を120時間滴下する。
※120時間流水で約3.5年相当の過酷試験条件。
1昼夜風乾させ、1cm角にカットしたアルミニウム板を、供試菌を塗抹したPDA培地の中央に乗せる(一般細菌の塗抹には標準寒天培地を使用)。
(3)培養条件:PDA培地は27℃2週間、標準寒天培地は37℃2週間。
(4)ハローの計測:流水前と流水後のハローの計測値(N=3の平均値)で比較。
本発明品(実施例1)を、平均膜厚15μm程度になるよう、食品工場の休養室エアーコンディショナーに塗布した。塗布対象面は、上部ドレンパン、メインドレンパン、ファン、吹出口、吹出羽根、熱交換器前面、熱交換器裏面とした。
実験は下記3通りの方法で実施し、部材の分解洗浄のみを実施した場合と比較した。
(1)通常の壁掛け洗浄を実施した後に本発明品を塗布。
(2)洗浄を行わずに本発明品を塗布。
(3)部材の分解洗浄後に本発明品を塗布。
壁掛け洗浄を実施せずに汚染個所に対して本発明品を塗布した場合は、ファンのようにスプレー噴霧で薬剤が届きにくかった部位は本剤を浸透させることができず、汚染を低減することができなかった。
また、ドレンポンプ、ファン、吹出口、熱交換器下の分解洗浄により汚染度は低下するが、本発明品を塗布することにより清浄環境を得ることができた。一方、分解洗浄のみ実施した場合、洗浄後は付着真菌数が減少するが、施工3ヶ月後には重度の菌汚染状態となった。
Claims (11)
- (A)水系ウレタン樹脂、(B)パーフルオロアルキルエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、または、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとアルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体からなるフッ素系親水撥油剤、(C)イソチアゾリン系化合物を含む1種または2種以上の抗菌剤、及び(D)エタノールを含むことを特徴とする抗菌性コーティング剤組成物。
- 抗菌性コーティング剤組成物に対する含有量が、(A)水系ウレタン樹脂:1〜20重量%、(B)フッ素系親水撥油剤:0.1〜5重量%、(C)抗菌剤:0.1〜5重量%、(D)エタノール:25〜70重量%である、請求項1記載の抗菌性コーティング剤組成物。
- さらに、(E)分散剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトールまたはソルビトールを含む、請求項1または2記載の抗菌性コーティング剤組成物。
- (C)抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物及び無機系抗菌剤から選ばれる1種または2種以上の抗菌剤である、請求項1〜3いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
- (C)イソチアゾリン系化合物が、イソチアゾリン−3−オン系化合物から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜4いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
- 空調機器の部材用である、請求項1〜5いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物から形成される抗菌性塗膜。
- 膜厚が1〜30μmである、請求項7記載の抗菌性塗膜。
- 請求項7または8記載の抗菌性塗膜を有する空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材。
- 請求項1〜6いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を、空調機器の吸込口、吹出口、通風路壁、ファン、風向板、ダンパー、ドレンパン、ドレン配管、熱交換器のアルミニウム製フィン部材に塗布して乾燥し、膜厚1〜30μmの塗膜を形成することを特徴とする抗菌性塗膜の形成方法。
- 塗布対象面に請求項1〜6いずれか記載の抗菌性コーティング剤組成物を塗布し、乾燥して、抗菌性塗膜を形成することを特徴とする抗菌・防カビ処理方法。
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