JP4794758B2 - カメラシステム、カメラ及びレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振れ補正機能を有するカメラシステム、カメラ及びレンズの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カメラシステム防振装置としては、図12に示すように、交換レンズ8内に撮影者の手振れ量を検出する為の不図示の振れセンサを内蔵し、この振れセンサからの出力に基づいて撮影光学系10の全面もしくはその一部で構成される振れ補正系9を駆動するものが一般に良く知られている。
【0003】
また、カメラ(本体)側に振れセンサを、(交換)レンズ側に振れ補正を行う補正光学系をそれぞれ有し、ヨー(カメラの横方向)、ピッチ(カメラの縦方向(重力方向))の振れデータを一つの信号ラインを介して交互にカメラ側からレンズ側に送信し、その送信データに基づいてレンズ側が防振制御を行う像振れ防止システムが特開平7−191354号公報で提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような、カメラ側に振れセンサを、レンズ側に振れ補正系をそれぞれ有した像振れ防止システムにおいて、撮影準備操作中は露光中に比較して、オートフォーカス(AF)等の演算・動作を必要とするため、カメラ・レンズ間の通信量が増加する傾向がある。このような状態において、更に像振れ補正に関する通信をカメラ・レンズ間で行おうとすると、特に撮影準備操作中は全体の通信量が増加してしまい、CPUに対して大きな負荷がかかる。これを解消するにはカメラ側のCPUに高速処理可能なものを使用すれば良いが、一般的に使用されるカメラシーケンス等を処理するCPUよりも高価なものとなってしまい、低コスト化が望まれるカメラシステムには適用できないものであった。
【0005】
(発明の目的)
本発明の第1の目的は、カメラとレンズより成るカメラシステムにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減し、安価な制御でも像振れ補正を適正に行うことのできるカメラシステムを提供しようとするものである。
【0006】
本発明の第2の目的は、レンズとの組み合わせで像振れ補正可能なカメラにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減することのできるカメラを提供しようとするものである。
【0007】
本発明の第3の目的は、カメラとの組み合わせで像振れ補正可能なレンズにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減させることのできるレンズを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、カメラとレンズとを有するカメラシステムにおいて、前記カメラは、振動を検出する振動検出手段と、前記カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有し、前記レンズは、前記カメラから送られた前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データがどちらも同一の所定のバイト数で表される像振れ補正データになるように処理し、前記所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動し像振れ補正を行う制御手段を有するカメラシステムとするものである。
【0009】
また、上記第2の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動して像振れ補正を行う像振れ補正制御手段を有するレンズとの組み合わせにより使用されるカメラであって、前記カメラは、振動を検出する振動検出手段と、前記カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有するカメラとするものである。
【0010】
また、上記第3の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、振動を検出する振動検出手段と、カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有するカメラに対し、着脱可能なレンズにおいて、前記カメラから送られた前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データがどちらも同一の所定のバイト数で表される像振れ補正データになるように処理し、前記所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動し像振れ補正を行う制御手段を有するレンズとするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の一形態に係るカメラ本体及びこのカメラ本体に着脱可能な交換レンズより成るカメラシステムの構成図である。ここでは、カメラに振れセンサが配置され、レンズ側に振れ補正系が配置される場合について説明する。
【0013】
図1において、カメラ1内には該カメラ側の制御を司るCPU2が具備されており、更に該カメラのヨー,ピッチ方向の振れを検出する振れセンサ4及び5が図示したように配置され、このセンサ出力は共にA/Dコンバータ3によってデジタルデータに変換されて、上記CPU2内のデータとして取り込まれる構成となっている。
【0014】
上記振れセンサ4及び5の内部の具体的構成の一例としては、図2に示したように、角速度センサとしての振動ジャイロ、及び、積分回路等から成り立っている。
【0015】
図2において、振動ジャイロ20は駆動回路22によって共振駆動されると共に、同期検波回路21等により所定の角速度出力となるようにその出力変換が行われる。前記同期検波回路21からの出力には通常不必要なDCオフセットが含まれており、このDC分はコンデンサ24及び抵抗25で構成されるハイパスフィルタで取り除かれ、残りの振れ信号のみがオペアンプ23、抵抗26及び27で構成される増幅器で増幅される。更にこの増幅器の出力は、オペアンプ28、抵抗29,30及びコンデンサ31で構成される積分回路で積分され、振れ変位に比例した出力に変換され、この積分出力は前述した様にA/Dコンバータ3へ出力される構成となっている。
【0016】
図1に戻って、CPU2内に取り込まれたセンサ出力は、レンズ8からの情報を基に演算した振れ補正レンズ駆動量となる。そして、この振れ補正レンズ駆動量のデータをカメラ1とレンズ8との情報のやりとりを行う通常のシリアルバスライン7を介して、CPU2よりレンズ8内のCPU11に転送される。
【0017】
レンズ8内では、振れ補正系9自体の絶対位置を検出する位置検出センサ15及び16の出力をA/Dコンバータ18でデジタルデータに変換して上記CPU11内に取り込み、該CPU11にて、上記CPU2からの振れ補正レンズ駆動量のデータとこの振れ補正系9の位置を比較し、その比較結果をD/Aコンバータ12に転送する。そしてこのD/Aコンバータ12からの出力結果を基にドライバ回路13及び14を介して振れ補正系9を駆動し、像振れを補正する構成となっている。17はメカロック機構のアクチュエータ用ドライバ回路である。
【0018】
ここで、上記振れ補正系9の具体的な構成例を図3に示す。
【0019】
図3は、振れ補正系9を光軸と垂直なx,y方向に平行シフトすることによりカメラの角度振れを補正するいわゆるシフト光学系の構成を示したものであり、同図において、50,51はそれぞれ実際のx,y軸方向の駆動源となる磁気回路ユニットとしてのヨーク部、52,53はそれぞれのヨークに対応したコイル部である。従って、このコイル部に前述したドライバ回路13,14より電流が供給されることにより、撮影レンズの一部である振れ補正レンズ54がx,y方向に偏心駆動される。55は上記振れ補正レンズ54を固定する為の支持アーム及び支持枠を示している。
【0020】
上記振れ補正レンズ54の動きは、該振れ補正レンズ54と一体となって動くIRED56,57、及び、シフト光学系全体を保持する為の鏡筒部60上に取り付けられたPSD62,63との組み合わせによって、非接触に検出される。又、58はこのシフト光学系への通電を停止した時に振れ補正レンズ54を光軸中心に機械的に略光軸中心位置に保持する為のメカロック機構(CPU11によりメカロック機構のアクチュエータ用ドライバ回路17を介して駆動される)、59はチャージピン、61はこのシフト光学系の倒れ方向を規制する為のあおり止めとしての支持球である。
【0021】
次に、本発明の実施の一形態に係る主要部分の動作について、図4,図5,図6,図8,図9,図10に示したフローチャート及び図7(a)〜(d)に示したタイミングチャート等を用いて説明していく。
【0022】
図4は、防振(像振れ補正)動作に関連するカメラ1内のCPU2でのメイン処理を示すものであり、同図において、まずステップ#100では、カメラ1のレリーズ動作の開始を指示する不図示のスイッチSW1がONしているかどうかの判定を行い、ONしていればステップ#101及びステップ#102にて、電源電圧がカメラ全体の動作保証に対し充分かどうかの判定を、不図示のバッテリーチェック回路によって実行する。この結果、電源電圧が不充分であると判定した場合はステップ#102からステップ#103へ進み、ここでは上記スイッチSW1がOFFする迄待機し、該スイッチSW1がONすると再びスタート位置に戻る。
【0023】
一方、上記ステップ#102にてバッテリーチェックの結果がOKと判定した場合はステップ#104へ進み、通常の測光動作を行い、続くステップ#105にて、実際のフォーカス制御を不図示の光学センサ及びCPU11との通信によりフォーカスレンズの駆動を行うことによって実行する。このフォーカス制御はステップ#106にて合焦であることを検出できる迄継続し、合焦検出をできるとステップ#107へ進み、防振開始用の不図示のスイッチISSWがONしているかどうかの判定を行い、このスイッチISSWがOFFしている場合は防振動作が必要ないものとしてステップ#108へ進み、CPU11内部のフラグISONLを0とし、直ちにステップ#116へ進むことになる。
【0024】
また、上記ステップ#107にてスイッチISSWがONしていることを判定した場合には防振撮影動作が選択されているものとしてステップ#109へ進み、ロック解除命令をカメラ1側のCPU2からレンズ8側のCPU11へシリアルバスライン7を介して転送する。
【0025】
ここで、上記コマンド通信の様子を示したものが図7(a)のタイミングチャートであり、図7(a)の中において、SCKはシリアル通信の為の同期クロック、SDOはカメラ1からレンズ8側へ転送されるシリアルデータ、SDIは同時にレンズ8側からカメラ1側へ転送されるシリアルデータである。
【0026】
この図7(a)のように、カメラ1からレンズ8に対して、少なくとも1バイト以上のメカロック解除のコマンドが送信されると、SDIからはデータを受け取った事を示すBUSY信号が検出され、この事によりCPU2内では、ステップ#110にてメカロック解除動作が完了(実際にはメカロックの解除動作は時間的にもう少し遅れるが、シーケンス的にはコマンド受信完了によって解除完了と見なせる)したものと判定する。そして、次のステップ#111へ進み、一定周期T毎に割り込みをかける為のタイマーをリセットして新たに計時動作を開始させ、続くステップ#112にて、防振動作状態であることを示すCPU2内部のフラグISONLを1とし、更に、次のステップ#113にて、上記タイマーの割り込み動作を許可する。
【0027】
次のステップ#114及びステップ#115では、後述する演算用レジスタUY 及びUP を各々0Hに初期設定し、その後はステップ#116へ進み、実際のシャッタレリーズ動作に伴うカメラ1に具備された不図示のスイッチSW2がONしているかどうかの判定を行い、ONしていれば撮影者が実際のレリーズ動作を開始したものとしてステップ#117へ進み、図1に示したカメラ1内のミラー6のアップ動作を行い、シャッタレリーズ動作を実行する。
【0028】
一方、上記ステップ#116にてスイッチSW2が未だONしていない事を検知した場合は、撮影者が未だフレーミング動作(撮影構図を決めている)中であるとしてステップ#118へ進み、ここでスイッチSW1が未だONしているかを判定し、ONしていれば再びステップ#116へ戻って上記動作を繰り返すことになる。また、上記ステップ#118にてスイッチSW1がOFFになった事を検知すると、CPU2は撮影者自身がカメラの撮影を終了したものとしてステップ#119へ進み、前述したフラグISONLの内容の判定を行う。ここでフラグISONLの内容が1の場合は防振動作は実行されているものとしてステップ#100へ戻るが、フラグISONLが0の場合は防振動作が実行されていないものとしてステップ#120へ進み、ここでロック設定命令を送信する。このロック設定コマンドは、前述したロック解除コマンドと同様(当然そのデータ内容は異なる)に、CPU2からCPU11に対して図7に示したタイミングチャートと同じようにして送信される。
【0029】
次のステップ#121では、上記のロック設定が完了したかどうかの判定を行い、ロック設定完了であると判定した場合にはステップ#122へ進み、前述したタイマーの割り込み動作を禁止してこれら一連の動作が終了する。
【0030】
次に、前述した一定周期T毎に発生する割り込み処理動作について、図5のフローチャートにより説明を行う。
【0031】
図5において、まずステップ#130では、図1に示したヨー方向の振れセンサ5からの出力をA/Dコンバータ3によりデジタルデータに変換する動作を開始する。そして、次のステップ#131にて、上記変換動作が終了した事を検知するとステップ#132へ進み、この変換結果に対して所定の演算を施す。ここで、このデータ変換動作について、図6に示す「データ変換」サブルーチンにより説明する。
【0032】
図6の「データ変換」サブルーチンでは、まずステップ#150にて、A/D変換結果が記憶されているADDATAレジスタの内容をCPU2内部の汎用演算レジスタAに転送し、次のステップ#151にて、個々のセンサ感度を補正する為のデータを同じく汎用演算レジスタBに転送し、最終的にはステップ#152にて、上記二つの汎用演算レジスタどうしの乗算を行ってその結果をレジスタCに設定する。
【0033】
図5に戻り、次のステップ#133では、シャッタレリーズ動作に伴うカメラのスイッチSW2がONしているかどうかの判定を行い、ONしていれば露光動作に入っているのでステップ#134へ進み、最高精度(最も高い制御分解能)で像振れ補正制御を行うためにレジスタCの内容(2バイトの像振れ補正データ)をそのまま送信データレジスタに転送する。また、上記ステップ#133にてスイッチSW2がONしていなければ、スイッチSW1のON中で、未だ露光動作を開始していない。よって、それ程高精度の防振制御は必要としないのでカメラ側のCPU2の負荷を少なくするためにステップ#135へ進み、ここではレジスタCの内容を像振れ補正制御の最小分解能がスイッチSW2のON中よりは低いデータに変換し、その結果をレジスタD(1バイトの像振れ補正データ)に設定する。ここでの変換としては、例えばビット操作等を用いて制御最小分解能を落としてデータを短くする。続くステップ#136では、レジスタDの内容を送信データレジスタに転送する。
【0034】
ここで、上記ステップ#134〜#136における制御分解能の変更制御について、図11を用いて説明する。
【0035】
例えば、スイッチSW2のON中は、データ1ビット=0.001 °(1LSB=0.001°)、最大防振角度を±0.5 °と設定すれば、1000ビットのデータが必要となり、カメラからレンズへの送信データは最低10ビット必要となることから、2バイトの送信データとなる。一方、スイッチSW1のON中は精度を落とし、例えば1ビット=0.004 °(1LSB=0.004°)とする。この場合、最大防振角度は±0.512 °、カメラからレンズへの送信データは8ビット、つまり1バイトの送信データとなる。
【0036】
再び図5に戻り、次のステップ#137では、実際の送信動作を開始するが、実際のセンサ出力の方法は、図7(b)〜(d)に示したタイミングチャートの様に、まず最初にセンサ出力を示すコマンドが送信され(このコマンドの中にはヨー、ピッチ等の判定の為のフラグや、SW1 ONやSW2 ONの状態フラグ等が含まれている(図7(b)参照)。次にセンサ出力に相当するレジスタCまたはDの内容を、スイッチSW1のON中であれば1バイト(図7(c)参照)、スイッチSW2のON中であれば上位1バイト・下位1バイト(図7(d)参照)の順に計2バイトのシリアルデータとして転送する。
【0037】
上記センサデータの転送が完了した事を次のステップ#138にて検知すると、今度はステップ#139にて、ピッチ方向のセンサ出力に対するA/D変換動作を開始する。このピッチ方向の振れセンサ出力に対する処理となるステップ#139〜#147に関しては、ヨー方向のステップ#130〜#138と全く同じなので説明は省略する。
【0038】
最後に、ステップ#148にて、このタイマー割り込みのフラグを0にクリアして、割込み処理動作を終了し、図4に示したメインフローへ戻る。
【0039】
このように、カメラ側のCPU2の処理上では一定周期T毎に割込みが発生し、カメラ内に設けられたヨーとピッチのセンサ出力がその度毎にレンズに送信されることになる。
【0040】
次に、レンズ側の制御の方法について、図8及び図9のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
まず、図8のフローチャートは、CPU11のメインフローを示したもので、まずステップ#160,#161では、レンズ制御の為の補正演算用内部レジスタCY ,CP を0Hにそれぞれリセットする。次のステップ#162では、ロック設定制御を示すLCKフラグを0にリセットし、同様に続くステップ#163にて、ロック解除制御を示すULCKフラグを0にリセットする。そして、次のステップ#164にて、前述したカメラ側から送信されてくるデータを受け取る為のシリアルインターフェースの割込み動作を許可した後、ステップ#165にて、後述するシリアルインターフェース通信割り込み処理の中で、ロック解除を促すコマンドが受信されたかどうかを判定し、このフラグULCKが0にリセットされている場合は、ロック解除命令は受け取っていないものと判定してそのままステップ#168へ進むが、フラグULCKが1にセットされている場合はロック解除命令を受け取ったものと判定して直ちにステップ#166へ進み、ロック解除動作を行う。この場合、CPU11からの制御信号によって、不図示のメカロックドライバーを介して、図3の58に示したメカロック機構中のプランジャーに対して所定方向の電流が通電され、振れ補正レンズ54の係止が解除される。そして、次のステップ#167では、上述したULCKフラグを0にリセットする。
【0042】
続くステップ#168では、ロック設定を示すLCKフラグが1にセットされているかどうかを判定し、このフラグLCKが0にリセットされている場合はロック設定命令は受け取っていないものと判定して、そのままステップ#165へ戻ることになるが、LCKが1にセットされている場合はロック設定命令を受け取ったものと判定してステップ#169へ進み、直ちにロック設定動作を行う。この場合も前述したロック解除動作と同様に、CPU11からの制御信号によって、メカロック機構中のプランジャーに対して今度はロック解除の場合と反対方向に電流が通電され、振れ補正レンズ54の動きがレバーによって強制的に停止させられる。最後に、ステップ#170にて、上記LCKフラグを0にリセットし、再びステップ#165へ戻り、前述した動作を繰り返す事になる。
【0043】
次に、図9に示した、レンズ側シリアル通信の処理方法について説明する。
【0044】
まず、ステップ#180にて、カメラ側から送られて来る通信内容としてのコマンドが何であるかの解釈を行い、次のステップ#181にて、この通信内容がロック解除命令かどうかの判定を行う。ここで、ロック解除命令であると判定した場合はステップ#182へ進み、CPU11内部でのロック解除動作を促す為のフラグULCKを1にセットし、直ちにステップ#204へ進み、ここでシリアル割込みの為のフラグがクリアして、この割り込み動作を終了する。従って、この場合は前述した様に、図8のメインフロー動作でロック解除の動作が実行される。
【0045】
一方、上記ステップ#181にてロック解除命令ではないと判定した場合はステップ#183へ進み、ここではロック設定命令かどうかの判定を行い、ここでロック設定命令であると判定した場合はステップ#184へ進み、CPU11内部でのロック設定命令を促す為のフラグLCKを1にセットし、ロック解除命令を受信した時と同様にステップ#204へ進み、割り込み動作を終了する。
【0046】
また、上記ステップ#183でロック設定命令でもないと判定した場合はステップ#185へ進み、ヨー方向のセンサ受信データかどうかの判定を行い、ここで受信コマンドがヨーセンサ受信用のコマンドと一致していると判定した場合はステップ#186へ進み、図7(c)及び(d)のタイミングチャートに示されている様な形式でのシリアルデータ(1バイト又は2バイト)の内容をCPU11内部のSY レジスタにセットする。そして、次のステップ#187にて、スイッチSW1がONかスイッチSW2がONかの判定を行う。この結果、スイッチSW1がONしていればステップ#188へ進み、受信データは1バイトデータであり、最小分解能の低いデータであるので、最小分解能をスイッチSW2のON時と同一のレベルに揃えるために適切な変換処理を行う。ここでの変換としては例えば、ビット操作等を用いる。そして、ステップ#189へ進む。
【0047】
ここで、上記のレンズ側での変換処理を行う理由について説明する。
【0048】
レンズ側はカメラ側から1バイトデータ(例えば最小分解能1bit =0.004deg)が送られてきても、2バイトデータ(例えば最小分解能1bit =0.001deg)が送られてきても、レンズ側での像振れ補正制御の最小分解能に揃えないと正しい像振れ補正制御ができない。本実施の形態では、レンズ側の像振れ補正制御の最小分解能は2バイトデータに相当するものとしている。つまり、どのような状態であっても1bit =0.001degとして像振れ補正制御を行う。よって、1バイトデータが送られて来た場合には2バイトデータに相当するデータに変換する必要がある。従って、例えば、カメラ側から1バイトデータで1(=0.004deg)と送られてきたら、レンズ側は4(=0.004deg)と変換処理を行って振れ補正制御をする。
【0049】
なお、上記のように2バイトデータに相当するデータに変換することは、像振れ補正の精度が良くなる訳では無いことは言うまでもない。像振れ補正の精度はカメラ側から送られてくるデータの精度のみで決まるからであり、レンズ側はあくまでも常に1bit =0.001degの最小分解能で像振れ補正制御を行う(これがレンズの処理能力である)。
【0050】
図9に戻り、上記ステップ#187でスイッチSW2がONであればそのままステップ#189へ進む。そして、ステップ#189では、図1に示した振れ補正系9のヨー方向の動きを検出している位置検出センサ15(IRED、PSD、及び処理回路から成る)の出力をA/Dコンバータ18でデジタルデータへの変換を開始する。次のステップ#190では、このA/D変換の動作が終了したかどうかの判定を行い、A/D変換の動作が終了したと判定した場合はステップ#191へ進み、この結果をCPU11内部のTY レジスタに転送する。この振れセンサからの出力に相当するデータが記憶されているSY レジスタと、振れ補正系の位置出力に相当するデータが記憶されているTY レジスタの内容が一致するように、次のステップ#192では、ヨー補正系のフィードバック演算を実行するが、この方法については、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
図10において、まずステップ#210では、上述したSY レジスタ(ピッチ方向の場合はSP レジスタ)とTY レジスタ(ピッチ方向の場合はTP レジスタ)との差分を、再びSY (orSP )レジスタにセットし、次のステップ#211にて、この結果に対して、この補正系のフィードバック制御のループゲインを決定する所定データLPGを乗算し、その結果を再びSY (orSP )レジスタにセットする。次のステップ#212〜#214は、この補正系の位相補償演算(この場合1次の位相進み補償)を実行する為のフローであり、この中で使われる係数B1,A0、A1の値はあらかじめ公知のS−Z変換によって所定のデータとして設定されている。
【0052】
まず、ステップ#212では、上記SY (orSP )の内容から、所定係数データB1と演算レジスタCY (orCP 、これらのレジスタは前回のサンプリング時に決定されている値が記憶されている)の乗算結果を減算し、その結果をDY (orDP )レジスタに設定する。そして、次のステップ#213にて、積和演算として所定係数データA0と上記DY (orDP )レジスタの乗算値に、所定係数データA1と上記CY (orCP )レジスタの乗算値を加算し、最終的な結果をOY (orOP )レジスタに設定するる。最後に、ステップ#214にて、次回の演算の為に、DY (orDP )レジスタの値をCY (orCP )レジスタに転送して、この補正系のフィードバック演算は終了する。
【0053】
図9に戻り、ステップ#193では、前述したヨー方向の補正系フィードバック演算の結果OY レジスタの値を、図1のD/Aコンバータ12にDADATAとして転送し、この出力値に相当する電流をドライバ回路13を介して振れ補正系9に加え、ヨー方向のセンサ出力に基づいて振れ補正系9のヨー方向に対する駆動を実行することになる。この制御動作が終了すると、直ちにステップ#204へ進んでこの割り込み動作を終了する。
【0054】
一方、上記ステップ#185にてヨー方向のセンサデータ受信のコマンドではないと判定した場合はステップ#194へ進み、ここで今度はピッチ方向のセンサデータ受信コマンドであるかどうかの判定を行う。ここでピッチのセンサ受信データであると判定した場合は、ステップ#195〜#202を実行し、振れ補正系9のピッチ方向の駆動制御を行うが、この方法についてはヨー方向のステップ#186〜#193と全く同じなので、その説明は省略する。
【0055】
また、上記ステップ#194にてピッチのセンサデータ受信コマンドでもないと判定した場合はステップ#203へ進み、通常のレンズ通信(例えばフォーカスや絞りの制御等)の処理を行い、その動作終了後、ステップ#204でシリアル通信の割り込みフラグをクリアして、全てのシリアル割り込み処理を終了する。
【0056】
上記の実施の形態によれば、カメラの動作が撮影準備操作中か露光中かにより、カメラからレンズへ送信する像振れ補正データの最小分解能を変更することにより、像振れ補正精度が必ずしも必要とされない露光期間以外のときには送信データを減少させ、カメラ側のCPU2の負荷を軽減するようにしたものである。詳しくは、あまり像振れ補正の精度を必要とせず、かつレンズ・ カメラ間の通信量が多くなる撮影準備操作中(スイッチSW1がON中)には、制御最小分解能を落とす、つまりカメラからレンズへ送信する像振れ補正データを2バイトから1バイトに減らすようにしているので、カメラ側のCPU2の負荷を軽減することが可能となった。
【0057】
一方、振れ補正の精度を必要とし、かつ、撮影準備操作中よりはカメラ・レンズ間の通信量が少ない露光期間(スイッチSW2のON中)は充分な補正を行うために制御分解能は落とさないようにしているので、撮影結果に悪影響を及ぼすことはない。
【0058】
なお、本発明に係る振動検出手段として、角加速度計、角速度計、速度計、角変位計、変位計、更には画像の振れ自体を検出する方法等、振れが検出できるようなものであればどのようなものであってもよい。
【0059】
また、像振れ補正手段としては、光軸に垂直な面内で光学部材を動かすシフト光学系や可変頂角プリズム等の光束変更手段や、光軸に垂直な面内で撮影面を動かすもの、更には画像処理により振れを補正するもの等、振れを補正できるものであればどのようなものであってもよい。
【0060】
(発明と実施の形態の対応)
上述の実施の形態において、振れセンサ4,5が本発明の振動検出手段に、振れ補正系9が本発明の像振れ補正手段に、CPU2内の図5のステップ#133〜#136及びステップ#142〜#145の動作を行う部分が本発明の制御手段に、CPU11内の図9のステップ#187,#188及びステップ#196,#197の動作を行う部分が本発明の変換手段に、それぞれ相当する。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3の何れかに記載の発明によれば、カメラとレンズより成るカメラシステムにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減し、安価な制御でも像振れ補正を適正に行うことができるカメラシステムを提供できるものである。
【0062】
また、請求項4〜6の何れかに記載の発明によれば、レンズとの組み合わせで像振れ補正可能なカメラにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減することができるカメラを提供できるものである。
【0063】
また、請求項7に記載の発明によれば、カメラとの組み合わせで像振れ補正可能なレンズにおいて、カメラ側のカメラ制御及び像振れ補正の為の演算を行う制御手段の負荷を軽減させることができるレンズを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一に係るカメラシステムの構成図である。
【図2】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおける角速度センサの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の一に係るカメラシステムに具備される振れ補正系の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるカメラ側メイン処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるカメラ側タイマー割り込み処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるデータ変換サブルーチン処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるカメラ側からレンズ側へ送信する送信データのタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるレンズ側メイン処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおけるレンズ側シリアル割り込み処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおける補正系フィードバック演算サブルーチン処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の一に係るカメラシステムにおける各状態での制御最小分解能と送信データ長との対応等を示した図である。
【図12】従来の像振れ防止機能を有するカメラシステムの構成図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 カメラ側のCPU
4,5 振れセンサ
7 シリアルバスライン
8 レンズ
9 振れ補正系
11 CPU
Claims (4)
- カメラとレンズとを有するカメラシステムにおいて、
前記カメラは、
振動を検出する振動検出手段と、
前記カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、
前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有し、
前記レンズは、
前記カメラから送られた前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データがどちらも同一の所定のバイト数で表される像振れ補正データになるように処理し、前記所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動し像振れ補正を行う制御手段を有することを特徴とするカメラシステム。 - 前記所定のバイト数は、前記第2のバイト数であり、
前記制御手段は、前記カメラから前記第1のバイト数で表される像振れ補正データが送信された場合、前記第1のバイト数で表される像振れ補正データを前記第2のバイト数で表される像振れ補正データに変換し、前記カメラから前記第2のバイト数で表される像振れ補正データが送信された場合、変換を行わないことを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。 - 所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動して像振れ補正を行う像振れ補正制御手段を有するレンズとの組み合わせにより使用されるカメラであって、
前記カメラは、
振動を検出する振動検出手段と、
前記カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、
前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有することを特徴とするカメラ。 - 振動を検出する振動検出手段と、カメラの動作が撮影準備操作中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて第1のバイト数で表される像振れ補正データを演算し、前記カメラの動作が露光中の場合に前記振動検出手段の出力を用いて前記第1のバイト数よりも大きい第2のバイト数で表される像振れ補正データを演算する演算手段と、前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データを前記レンズに送信する送信手段と、を有するカメラに対し、着脱可能なレンズにおいて、
前記カメラから送られた前記第1及び第2のバイト数で表される像振れ補正データがどちらも同一の所定のバイト数で表される像振れ補正データになるように処理し、前記所定のバイト数で表される像振れ補正データに基づいて像振れ補正手段を駆動し像振れ補正を行う制御手段を有することを特徴とするレンズ。
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