JP4794390B2 - 杭基礎補強構造および補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、杭基礎補強構造および補強方法に係り、特に、液状化の可能性のある地盤における杭基礎を、効率的かつ安価に補強することができ、液状化時に耐震性の極めて高い杭基礎補強構造とその補強方法に関するものである。
1995年の兵庫県南部地震以来、構造物の耐震設計は仕様設計から性能設計へと急速に移行し、基礎の耐震設計に関しても例外ではない。レベル2地震動を想定した構造物の設計に関しては、従来の許容応力度法による設計では不経済となることから、対象構造物の塑性化をある程度許容し、その損傷を許容限度内に抑えるような合理的な限界状態設計法が確立されてきている。
杭基礎の設計に関しても、レベル2地震動を想定した液状化時の耐震補強対策は建設コストの増大という側面から極めて重要な検討事項である。現状の杭の耐震設計法では、液状化抵抗率の値に応じて水平地盤反力等の土質定数を低減させて取扱い、また、上部構造物からの慣性力を構造物の固有周期に応じて修正する修正震度法により静的に杭頭に作用させ、杭体の応力と変形を算定する設計法の適用や、慣性力と地盤変位の影響(応答変位)を併用した設計法などが適用されている。
上記の設計法で算出される杭体応力は、一般に杭頭付近で大きくなることから、発生する応力に基づいて所要の曲げ剛性を備えた杭体の設計がおこなわれる。しかし、液状化の可能性の高い地盤を含む軟弱地盤における杭基礎の設計では、レベル2地震動を想定した場合には不経済で過大な設計となる可能性が極めて高く、その改善策として、種々の合理的な杭基礎形式が提案されている。その一例として、1)杭頭半剛結合形式、2)靭性杭、3)地盤改良複合杭、4)深層混合処理壁体を併用した杭、5)サンドコンパクションパイル工法による地盤反力の増加を期待した杭、などを挙げることができる。
上記の杭基礎形式の中でも、地盤改良複合杭は、液状化の対象となる地盤において杭頭部分の曲げモーメントが大きくなる範囲を任意の強度で改良でき、対象地盤(対象層)の地盤反力係数を適宜増加させて杭体の水平抵抗に反映させることができるため、その設計事例が増加している現状にある。しかし、この地盤改良複合杭は、橋脚基礎などの比較的平面積が小さな基礎にはコストパフォーマンスの観点から極めて有効であるが、タンク基礎をはじめとする比較的平面積の大きな基礎などには不経済となる。なお、深層混合処理壁体を併用した杭や、サンドコンパクションパイル工法を併用した杭では、往々にして改良範囲が大きくなり、施工コストの増大と工期の長期化を招き易い。
ところで、地盤改良複合杭にかかる従来の技術として、特許文献1に記載の固化工法を用いた高水平耐力基礎工法を挙げることができる。この技術は、深層混合処理機によって液状化の可能性のある表層地盤と安定材を攪拌混合することにより、表層地盤の下端から上端に延びる平面格子状の難透水性壁構造体を形成し、格子壁の内部に支持層まで延びる基礎杭を構築する方法である。
特許第2645899号公報
特許文献1に開示の基礎工法によれば、地震時に基礎に作用する水平力の多くの割合を剛性の高い難透水性壁構造体に負担させることにより、杭体自体の水平変位も大幅に低減できるとともに、杭体の断面や鉄筋量の低減を図ることが可能となる。しかし、深層混合処理工法を適用することで現実にはコストが増大すること、施工エリアが広くなるにしたがってその問題が顕著となるとともに工期の長期化が招来されることは上記にて指摘したとおりである。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、比較的広い平面積の杭基礎においても、施工コストを可及的に低廉にでき、かつ、効果的に液状化抵抗を高めることのできる杭基礎補強構造および補強方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による杭基礎補強構造は、地盤内に設けられた閉合する壁体と、前記壁体内の地盤に注入された微細気泡混合薬液と、前記壁体内に設けられた杭体と、を具備することを特徴とするものである。また、他の実施の形態として、地盤内に設けられた閉合する壁体と、前記壁体内の地盤において、少なくとも上下2層の薬液注入層が間隔をおいて設けられてなる薬液注入層群と、上下の薬液注入層の間の地盤内に注入された微細気泡と、前記壁体内に設けられた杭体と、を具備することを特徴とするものである。
閉合する壁体とは、断面視が円形や多角形(正方形、矩形など)に閉合された壁体であり、その素材は、鋼板、鋼矢板、コンクリート(RC,無筋)などから形成される。特に鋼矢板は、比較的剛性も高く、また、軟弱地盤には容易に打設することができるなど、強度と施工性、および経済性のすべての面で好ましい素材である。また、鋼矢板を振動打設することで、地盤の締め固め効果も期待できる。この壁体内に、例えば、PHC杭、鋼管杭、SC杭等の既製杭や、場所打ちRC杭などの杭体が設置される。この杭体は、表層の軟弱地盤(軟弱な粘性土地盤や液状化の可能性の高い砂質地盤など)の途中まで延設する杭体であってもよいし、軟弱地盤下方の硬質基盤にその下方先端が到達した(埋め込まれた)杭体であってもよく、かかる摩擦杭形式や支持杭形式の選定は任意である。
また、壁体の地盤内へ延びる長さは、少なくとも、地震時に発生応力の高くなる杭頭部以深まで延びる長さを有しており、例えば、少なくとも、1/β〜π/2βの長さに設定される。なお、このβは杭の特性値である。この閉合壁体にて杭体を包囲させることで、地震時の地盤変形抑制効果を高め、杭体に作用する地盤変形を低減することができる。
本発明の杭基礎補強構造は、上記する地盤変形抑制効果を高めることに加えて、液状化抵抗を効率的に増大させる手段をも備えたものであり、一つには、壁体内に注入された微細気泡混合薬液であり、他の一つは、壁体内の地盤において、少なくとも上下2層の薬液注入層が間隔をおいて設けられ、上下の薬液注入層の間の地盤内に微細気泡が注入されている構造である。
まず、微細気泡混合薬液とは、薬液固結物(ホモゲル)中に多数の微細気泡(マイクロバブル)を存在させたものであり、この微細気泡混合薬液を地盤に注入することにより、その有効拘束圧が増大し、地盤のダイレイタンシー特性を増加させることで液状化抵抗の増大を図るものである。なお、微細気泡混合薬液の平面的な注入範囲は、閉合する壁体内の全範囲であってもよいし、壁体内に設置された各杭体の外周の地盤反力が及ぶ範囲のみであってもよい。
一方、上下2層の薬液注入層の間の地盤内に微細気泡を注入する構造では、2層の薬液注入層にて注入された微細気泡をキャッピングしながら、この微細気泡によって地盤の不飽和化を図り、もって液状化抵抗を増大させるというものである。なお、薬液注入層および微細気泡の平面的な施工範囲は、上記と同様に、閉合する壁体内の全範囲であってもよいし、壁体内に設置された各杭体の外周の地盤反力が及ぶ範囲のみであってもよい。
上記いずれの形式を適用した場合でも、液状化抵抗の増加による杭の水平抵抗を増大させることができ、さらには、既述する壁体による地盤変形抑制効果と相俟って、補強効果の極めて高い杭基礎補強構造を得ることができる。
また、本発明による杭基礎補強構造の他の実施の形態は、地盤内に設けられ、断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体と、前記壁体内の地盤に注入された微細気泡混合薬液と、前記壁体内に設けられた杭体と、から杭基礎補強体が形成されており、複数の前記壁体が壁体面同士で当接することにより、複数の前記杭基礎補強体から構成されてなることを特徴とするものである。また、他の実施の形態として、地盤内に設けられ、断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体と、前記壁体内の地盤において、少なくとも上下2層の薬液注入層が間隔をおいて設けられてなる薬液注入層群と、前記壁体内に設けられた杭体と、から杭基礎補強体が形成されており、複数の前記壁体が壁体面同士で当接することにより、複数の前記杭基礎補強体から構成されてなることを特徴とするものである。さらに、他の実施の形態として、地盤内に設けられ、断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体と、前記壁体内に設けられた杭体と、前記杭体の外周に設けられた砕石ドレーン体と、から杭基礎補強体が形成されており、複数の前記壁体が壁体面同士で当接することにより、複数の前記杭基礎補強体から構成されてなることを特徴とするものである。
本実施の形態は、壁体と杭体と微細気泡混合薬液等から構成される杭基礎補強体を一つのユニット(杭基礎補強体)とし、複数の杭基礎補強体が併設されることで、広範囲の基礎の補強を効果的におこなうことのできる杭基礎補強構造に関するものである。
各杭基礎補強体を構成する壁体は、例えば鋼矢板から形成され、かつ、その断面の輪郭がハニカム状となっている。壁体断面の輪郭形状をハニカム状とすることで、地震時に地盤から作用する水平力に対する壁体強度を高めることができ、さらには、基礎上部の上部構造物の自重等からなる鉛直荷重に対する剛性(座屈抵抗)も高めることが可能となる。さらには、隣接する壁体がハニカム状を構成する六角形の各辺(各側面)同士で当接することで、地盤から作用する水平力が各壁体にスムーズかつ均等に伝達される。そのため、過度に水平力を負担して局所的に破壊に至るような壁体の発生を確実に防止できる。なお、これらの実施の形態においても、微細気泡混合薬液等の平面的な注入範囲は、閉合する壁体内の全範囲であってもよいし、壁体内に設置された各杭体の外周の地盤反力が及ぶ範囲のみであってもよい。
また、杭体の外周に砕石ドレーン体を設ける補強構造では、地盤の過剰間隙水圧を効果的に消散することで、液状化抵抗を効果的に増大させることに繋がる。
また、本発明による杭基礎補強方法は、液状化の可能性のある地盤に閉合する壁体を設置するとともに、該壁体内に杭体を設置する第1の工程と、前記壁体内の地盤に微細気泡混合薬液を注入する第2の工程と、を具備することを特徴とするものである。また、他の実施の形態は、液状化の可能性のある地盤に閉合する壁体を設置するとともに、該壁体内に杭体を設置する第1の工程と、前記壁体内の地盤において、下層の薬液注入層を設け、該薬液注入層の上方地盤内に微細気泡を注入し、その上方地盤内に上層の薬液注入層を設ける第2の工程と、を具備することを特徴とするものである。
液状化の可能性のある、あるいは液状化の可能性の高い地盤とは、砂質系の地盤でその粒子間の粘着結合力が弱く、上方からの有効拘束圧が低い上方の地盤(例えば地表面下10m以浅程度)で、かつ、地下水位が高い地盤のことである。本発明による杭基礎補強方法によれば、既述する効果を備えた杭基礎補強構造を形成することができる。ここで、壁体に鋼矢板を適用することで、その施工効率も向上し、施工エリアが広範囲に及ぶ場合には、深層混合処理工法を前提する特許文献1に開示の従来方法に比して工費を大幅に低減することが可能となる。
また、本発明による杭基礎補強方法は、液状化の可能性のある地盤に、複数の断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体を壁体面同士が隣接するように設置するとともに、それぞれの壁体内に杭体を設置する第1の工程と、それぞれの前記壁体内の地盤に微細気泡混合薬液を注入する第2の工程と、を具備することを特徴とするものである。また、他の実施の形態は、液状化の可能性のある地盤に、複数の断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体を壁体面同士が隣接するように設置するとともに、それぞれの壁体内に杭体を設置する第1の工程と、それぞれの前記壁体内の地盤において、下層の薬液注入層を設け、該薬液注入層の上方地盤内に微細気泡を注入し、その上方地盤内に上層の薬液注入層を設ける第2の工程と、を具備することを特徴とするものである。さらに、他の実施の形態は、液状化の可能性のある地盤に、複数の断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体を壁体面同士が隣接するように設置するとともに、それぞれの壁体内に杭体を設置する第1の工程と、それぞれの杭体の外周に砕石ドレーンを造成する第2の工程と、を具備することを特徴とするものである。
隣接するハニカム状の壁体を例えば鋼矢板で造成する場合の一実施の形態としては、3つの隣接壁体の中心に継ぎ用鋼管を打設し、この継ぎ用鋼管にそれぞれの壁体を構成する鋼矢板の端部を該鋼管(のスリット等)に係合させることにより、壁体同士を強固に接合することができる。また、ハニカム形状を構成する各辺は複数の鋼矢板を繋いで構成できることは勿論であり、鋼矢板の継ぎ手部や上記する鋼管と鋼矢板との繋ぎ部にはモルタル等を充填することで、継ぎ手部の剛性低下を防止することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の杭基礎補強構造および補強方法によれば、地盤変形抑制効果を高めることに加えて、液状化抵抗を増大させることができるため、従来に比して補強効果を格段に向上させることができる。また、工費を低減できるため、特に施工エリアが広範囲に及ぶ場合に好適である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の杭基礎補強構造の一実施の形態を示した模式図を、図2は、地盤に微細気泡混合薬液を注入することで、地震時に正のダイレイタンシーとなることにより、負圧効果で有効拘束圧が増加することを模式的に示した図を、図3,4は、杭基礎補強構造の他の実施の形態を示した模式図を、図5は、図4のV−V矢視図を、図6は、図5のVI部の拡大図をそれぞれ示している。図7、8,10、11は、杭基礎補強構造の他の実施の形態を示した模式図を、図9は、図8のIX−IX矢視図を、図12は、杭基礎補強方法を説明した模式図をそれぞれ示している。なお、図示する実施の形態では、杭体の下端を液状化層である砂質地盤下方の硬質地盤に根入れしているが、杭体の下端が砂質地盤の途中で打ち止めされた実施の形態であってもよいことは勿論のことであり、かかる相違は地盤性状等に応じて適宜選定できるものである。また、杭体にて支持された構造物は地上タンク(収容物は、水、LNG,LPGなど)であるが、構造物は地上タンクのみならず、地下タンク、ビルや水処理施設、地下駐車場や地下街を収容する地下空間施設、プラント施設、鉄道や道路などの線状構造物など、あらゆる構造物を包含するものである。
図1は、杭基礎補強構造の一実施の形態を示した模式図である。図示する施工エリア地盤は、地下水位が高く、表層に液状化の可能性の高い砂質地盤G1が堆積し、その下方に硬質地盤G2が堆積した地盤モデルを設定している。この補強構造10は、タンクTを支持する杭体3,3,…と、この杭体群を包囲する閉合した壁体1と、この壁体1内で壁体下端以浅まで改良された改良地盤2とから構成されている。
杭体3は、PHC杭、鋼管杭、SC杭等の既製杭や、場所打ちRC杭などを適用できる。また、壁体1は、鋼矢板や鋼板、RC壁(地下連続壁)などを適用できる。鋼矢板を使用する場合には、複数の鋼矢板の端部の繋ぎ部同士を嵌め合いしながら、場合によっては繋ぎ部にモルタル等を充填しながら所定の閉合形状に構築される。また、図示を省略するが、この閉合された壁体の輪郭は、円形、矩形をはじめとする多角形などを選定できる。
また、壁体1の長さは、少なくとも地震時に高い応力が発生する杭頭付近よりも長い延長に設定され、例えば、1/β〜π/2βの長さ以上の延長とすることができる(β:杭の特性値)。
改良地盤2は、原地盤内に微細気泡2’、…を薬液内に混入してなる微細気泡混合薬液を注入することによって造成される。この薬液は、コロイダルシリカ、シリカゾル系などの恒久性薬液の1以上をその成分の一部に含有する恒久性薬液を使用でき、微細気泡の混入割合は、適宜設定することができる。
薬液固結物(ホモゲル)中に微細気泡が多く存在することにより、図2に示すように、有効拘束圧が増大し(Δσ)、正のダイレイタンシー特性を示すことにより、地盤の液状化抵抗が増大する。これは、薬液ゲルで充填されたサンドゲル(固結砂)は正のダイレイタンシーによる体積膨張により、液状化抵抗の増大に寄与するためである。その際、薬液ゲル内に微細気泡が混在していることで、薬液ゲルの膨張とともに気泡に引張応力による負圧が作用することとなり、結果的には有効拘束圧が増加していることと等価となり、液状化抵抗が増大するというメカニズムによる。
補強構造10によれば、比較的高剛性の壁体1によって地盤の変形抑制効果を得ることができ、加えて、微細気泡混合薬液を注入してなる改良地盤2によって液状化抵抗が増大することで、特に地震時の液状化に対して極めて高い耐力を備えた杭基礎補強構造を得ることができる。また、その補強施工範囲は、可及的に少ない範囲に設定することができ、さらには微細気泡を混入することで高価な薬液使用量を低減することにより、施工コストも安価となる。なお、微細気泡が恒久性薬液による固結物内に存在することで該微細気泡は半永久的に存在することが可能となり、したがって、初期の効果を永続的に発揮することが可能となる。
図3は、補強構造の他の実施の形態を示しており、この補強構造10Aは、鋼矢板等からなる閉合壁体1と、その内部の杭体3,3,…と、壁体1内の3層の改良層からなる改良地盤2Aとから構成されている。改良地盤2Aの具体的構成は、下層の薬液注入層2bと、間隔をおいて造成された上層の薬液注入層2aと、薬液注入層2a,2bの間に介在する地盤内に微細気泡が混入された不飽和層2cとから構成される。造成方法は、壁体1と杭体3,3,…を造成後、まず、薬液注入層2bを造成し、その上方地盤内に微細気泡を注入し、さらにその上方地盤に薬液注入層2aを造成する方法による。
単に地盤内に微細気泡を注入する場合の効果としては、地盤の不飽和化を図ることにより、結果として液状化の可能性を低下させることができることである。本実施の形態では、不飽和層2cが上下の薬液注入層2a,2bにてキャッピングされるとともに、その外周は閉合壁体1にて包囲されるため、タンク下方の地盤の不飽和化が促進されることで液状化の可能性を効果的に低減することができる。
図4は、補強構造のさらに他の実施の形態を示したものである。この補強構造10Bは、鋼矢板11,…が平面視ハニカム状に組み付けられてなる壁体1(図5、図6参照)の内部に、例えば4本の杭体3,…が設置され、ハニカム状の壁体1内に微細気泡混合薬液からなる改良地盤2が造成されて補強体4が形成され、複数の補強体4、…が壁体1,…の側面同士を当接されることで全体の補強構造10Bを構成したものである。
各補強体4を構成する閉合壁体1を平面視ハニカム状とすることで、壁体1の水平抵抗力やタンクの自重等の鉛直荷重による座屈抵抗力等を高めることができ、加えて、隣接する補強体4,4間で地震時の水平力(地盤変形による水平力など)をスムーズかつ均等に伝達することができる。したがって、任意の補強体4の壁体1のみが局所的に破壊するといった問題の発生を回避することができる。
また、図6は、図5のVI部の拡大図であり、隣接する補強体4,4,4の鋼矢板11,11,11の取り合い構造の実施例を示したものである。この実施例では、中央に繋ぎ用の鋼管12を配設し、各鋼矢板11の端部の繋ぎ部を鋼管スリット部に嵌め込むとともに鋼管内にモルタル等を充填している。また、壁体1の各辺が複数の鋼矢板11,…にて形成されている場合には、鋼矢板同士の繋ぎ部においてもモルタル等で補強しておくことが望ましい。
図7は、補強構造のさらに他の実施の形態を示したものであり、この補強構造10Cは、図4に示す補強構造10Bの改良地盤の構成を図3に示す補強構造10Aの改良地盤2Aに変更した実施の形態である。各補強体4A、…から補強構造10Cが構成される。
また、図8に示す補強構造10Dは、補強構造10Bを変形した補強構造であり、微細気泡混合薬液からなる改良部21が各杭体3の外周のみに造成された実施の形態である。各補強体4B、…から補強構造10Bが構成される。これを平面的に見た図が図9である。図からも明らかなように、杭体周辺のみを改良することにより、より低コストにて液状化抵抗を増大させることができるものであり、これは、閉合壁体の平面積が大きな場合や杭体間距離が比較的長い場合に効果的である。
また、図10に示す補強構造10Eは、補強構造10Cを変形して、補強構造10Dと同様に各杭体3の外周に改良部21Aを造成したものであり、各補強体4C,…から補強構造10Eが構成される。
さらに、図11に示す補強構造10Fは、微細気泡混合薬液や薬液注入層および微細気泡から改良地盤を造成する代わりに、各杭体周りに砕石ドレーン体5を造成するものである。各補強体4D,…から補強構造10Fが構成される。この砕石ドレーン体5により、地震時の過剰間隙水圧を消散させ、結果として液状化抵抗を増大させることができる。
図12は、各補強構造を造成する施工方法の概要を示した模式図である。閉合する壁体1,…と杭体3,…の構築が先行しておこなわれる。なお、壁体を鋼矢板で施工する場合において、図示する砂質地盤が施工対象の場合には、バイブロ振動打設施工を実施することで周辺地盤の締固め効果も期待することができる。なお、周辺環境への影響から振動打設が不可能な場合には、圧入機による打設施工が実施される。
微細気泡混合薬液や薬液を地盤内に注入する場合には、ボーリングマシン6を使用する方法や二重管ダブルパッカー7を使用する方法など、施工条件(制約)等に応じて適宜の注入方式を適用できる。
上記に説明した本発明の補強構造は、構造物を新設する際に造成できることは勿論のこと、既存の構造物を残置した状態で造成することも可能である。例えば、図1において、タンクTが既設構造物である場合には、まず、タンクの地上からタンク直下に向かって斜め方向に微細気泡混合薬液を注入し、その後に外周地盤に壁体1を閉合するように造成することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明の杭基礎補強構造の一実施の形態を示した模式図である。 地盤に微細気泡混合薬液を注入することで、地震時に正のダイレイタンシーとなることにより、負圧効果で有効拘束圧が増加することを模式的に示した図である。 杭基礎補強構造の他の実施の形態を示した模式図である。 杭基礎補強構造のさらに他の実施の形態を示した模式図である。 図4のV−V矢視図である。 図5のVI部の拡大図である。 杭基礎補強構造のさらに他の実施の形態を示した模式図である。 杭基礎補強構造のさらに他の実施の形態を示した模式図である。 図8のIX−IX矢視図である。 杭基礎補強構造のさらに他の実施の形態を示した模式図である。 杭基礎補強構造のさらに他の実施の形態を示した模式図である。 杭基礎補強方法を説明した模式図である。
符号の説明
1…壁体、11…鋼矢板、12…繋ぎ用鋼管、2,2A…改良地盤、2’、2c’,21’…微細気泡、21,21A…改良部、2a…上層、2b…下層、2c…不飽和層、3…杭体、4,4A,4B,4C,4D…補強体、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F…補強構造、G1…砂質地盤、G2…硬質地盤

Claims (5)

  1. 地盤内に設けられた閉合する壁体と、
    前記壁体内の地盤において、少なくとも上下2層の薬液注入層が間隔をおいて設けられてなる薬液注入層群と、
    上下の薬液注入層の間の地盤内に注入された微細気泡と、
    前記壁体内に設けられた杭体と、を具備することを特徴とする杭基礎補強構造。
  2. 地盤内に設けられ、断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体と、
    前記壁体内の地盤において、少なくとも上下2層の薬液注入層が間隔をおいて設けられてなる薬液注入層群と、
    上下の薬液注入層の間の地盤内に注入された微細気泡と、
    前記壁体内に設けられた杭体と、から杭基礎補強体が形成されており、
    複数の前記壁体が壁体面同士で当接することにより、複数の前記杭基礎補強体から構成されてなる杭基礎補強構造。
  3. 液状化の可能性のある地盤に閉合する壁体を設置するとともに、該壁体内に杭体を設置する第1の工程と、
    前記壁体内の地盤において、下層の薬液注入層を設け、該薬液注入層の上方地盤内に微細気泡を注入し、その上方地盤内に上層の薬液注入層を設ける第2の工程と、を具備することを特徴とする杭基礎補強方法。
  4. 液状化の可能性のある地盤に、複数の断面視がハニカム状に形成された閉合する壁体を壁体面同士が隣接するように設置するとともに、それぞれの壁体内に杭体を設置する第1の工程と、
    それぞれの前記壁体内の地盤において、下層の薬液注入層を設け、該薬液注入層の上方地盤内に微細気泡を注入し、その上方地盤内に上層の薬液注入層を設ける第2の工程と、を具備することを特徴とする杭基礎補強方法。
  5. 前記壁体が鋼矢板からなることを特徴とする請求項3または4に記載の杭基礎補強方法。
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