JP2010222870A - ソイルセメントコラム山留壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、ソイルセメント改良体に山留壁としての強度を付与する。
【解決手段】ソイルセメントコラム山留壁10は、地山側16と掘削面側18を仕切る土留壁12を有している。土留壁12は、ソイルセメント改良体32で壁状に形成され、地山側16の地表面17と掘削面側18の地表面19との高低差を覆う高さを有し、地山側16から受ける土圧Pに抵抗する。土留壁12の地山側16には、倒壊防止壁14が複数個接合されている。倒壊防止壁14は土留壁12と直交する方向に設けられ、倒壊防止壁14が土留壁12を地山側16から支え、土留壁12が掘削面側18に倒壊するのを防止している。地山側16に延設されるソイルセメント改良体32の列数や、隣の倒壊防止壁14との間の間隔Dを変更することで、土留壁12の土圧Pに対する抵抗の強さを調整できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物の周囲に構築されたソイルセメントコラム山留壁に関する。
構造物の基礎工事や地下工事を行うとき、地山の崩壊を防ぐために、H型鋼横矢板やシートパイルを使用して山留壁が構築される。また、軟弱地盤や液状化の恐れがある地盤に建てられる構造物の基礎工事では、地盤改良工事と山留工事を行うことが多い。
しかし、地盤改良工事では、地中に連続してソイルセメントコラムを構築して、構造物を支持する壁状の支持体をつくり、また、山留工事では、H型鋼横矢板、若しくはシートパイルで山留壁を構築するため、内容が異なる2種類の工事をそれぞれ別個に行うことになり、作業効率が悪い。
ここに、ソイルセメント改良体は、構造物を支持する強度を備えており、この強度を生かし、簡単な構成で山留壁に利用する技術開発が望まれている。
ソイルセメント改良体を山留壁に利用する技術として特許文献1が提案されている。
図12に示すように、特許文献1に記載のソイルセメントコラム山留壁80は、ソイルセメント柱列82で掘削面側の地盤88aと、地山側の地盤88bを仕切っている。
ソイルセメント柱列82には、1つおきに、2本のソイルセメント柱列83が地山側の地盤88bに構築され、ソイルセメント柱列82と連接されている。
ソイルセメント柱列83、及びソイルセメント柱列83と連接されているソイルセメント柱列82には両者を貫通する芯材84が挿入され、ソイルセメント柱列83と連接されていないソイルセメント柱列82には、H型鋼86が挿入されている。
ここに、芯材84は、一定の間隔を開けて垂直に貫入された2本の弦材と、2本の弦材の間を連結する束材から成るトラス構造材で構成されている。
このように、ソイルセメントコラム山留壁80は、内部に芯材84及びH型鋼86を挿入することで、山留壁としての必要強度を確保している。
しかし、全てのソイルセメントコラム山留壁80に、芯材84若しくはH型鋼86が挿入されているため、構成が複雑で施工コストの低減が図れない。
特開2003−55959号公報
本発明は、上記事実に鑑み、簡単な構成で、ソイルセメント改良体に山留壁としての強度を付与することを目的とする。
請求項1に記載の発明に係るソイルセメントコラム山留壁は、地中に連続して柱体が構築された壁状のソイルセメント改良体で構成された土留壁と、前記土留壁と一体化され、地山側に延設した壁状のソイルセメント改良体の倒壊防止壁と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、壁状のソイルセメント改良体で構成された土留壁を、同じくソイルセメント改良体で構成された、複数の倒壊防止壁が地山側から支えている。これにより、地山の崩壊を土留壁と倒壊防止壁で防止する。
このとき、倒壊防止壁を構成するソイルセメント改良体の列数、又は隣り合う倒壊防止壁との間隔、の少なくとも一方を変更することで、地山側からの土圧に対する抵抗の強さを調整できる。即ち、簡単な構成で、ソイルセメント改良体に山留壁としての強度を付与することができる。
また、土留壁は、倒壊防止壁で地山側から支えられているため、掘削面側に、別途、倒壊防止用の腹起こし材を取り付ける工程が不要となる。また、土留壁と倒壊防止壁は同じソイルセメント改良体で構築されるため、同じ作業で対応でき作業効率がよい。更に、従来のようにH型鋼等の芯材を必要とせず、構成が簡単なため、工期の短縮や施工コストの低減につながる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のソイルセメントコラム山留壁において、平面視において、隣り合う2つの前記倒壊防止壁と前記土留壁で、前記地山を三角形状に取り囲んだことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、隣り合う2つの倒壊防止壁と、これらの倒壊防止壁に挟まれた土留壁で地山側に閉じた三角形が形成される。
この、倒壊防止壁と土留壁で形成されたトラス構造により、ソイルセメントコラム山留壁が地山側から受ける土圧に対する耐力を強くできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のソイルセメントコラム山留壁において、前記土留壁に囲まれた領域に前記土留壁と一体化して設けられた壁状のソイルセメント改良体で構成された支持壁と、前記支持壁の頭部に支持され、構造物の荷重を前記支持壁に伝える基礎部と、を有することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、土留壁に囲まれた領域に、ソイルセメント改良体の支持壁が土留壁と一体化に構築されており、地山側から受ける土圧を土留壁と支持壁で負担できる。この結果、地山側から受ける土圧に対する耐力を強くできる。
また、支持壁は、構造物の基礎部を頭部で支持し、構造物の荷重の一部を負担している。このとき、支持壁の側面を基礎部の底面が囲んで支持壁と基礎部が接合されている。これにより、支持壁と基礎部を強く接合できる。
更に、支持壁、土留壁及び倒壊防止壁が、全て同じソイルセメント改良体で形成されている。これにより、基礎工事の作業工程の数が減らせ、施工コストが低減できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソイルセメントコラム山留壁において、前記倒壊防止壁及び前記土留壁の頂面に擁壁を構築したことを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、倒壊防止壁及び土留壁の頂面に擁壁が構築されている。これにより、倒壊防止壁の高さを低く押さえることができ、倒壊防止壁に要求される強度が低減される。また、擁壁の重量が、倒壊防止壁及び土留壁に下向きの力を作用させるため、ソイルセメントコラム山留壁が地山側から受ける土圧に対する耐力を強くできる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のソイルセメントコラム山留壁において、前記ソイルセメント改良体に、引張強度を高めるファイバー材を混入させたことを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、ソイルセメント改良体に引張強度を高めるファイバー材が混入されている。これにより、ソイルセメント改良体の引張強度を高めることができる。即ち、ソイルセメント改良体で構築される土留壁、倒壊防止壁、及び支持壁の引張強度を高めることができる。
本発明は、上記構成としてあるので、簡単な構成で、ソイルセメント改良体に山留壁としての強度を付与できる。
本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の掘削側から見た基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の地山側から見た基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の他の構成の掘削側から見た基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の他の構成の地山側から見た基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の施工方法を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の他の施工方法を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の基本構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の基本構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の支持壁と基礎部の接合部の構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の基本構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁の基本構成を示す図である。 従来例のソイルセメントコラム山留壁の基本構造を示す図である。
(第1の実施の形態)
図1、図2に示すように、第1の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁10は、地山側16と掘削面側18を仕切る土留壁12を有している。
土留壁12は、ソイルセメント改良体32で壁状に形成され、地山側16の地表面17と、掘削された掘削面側18の地表面19との高低差を覆う高さを有している。これにより、地山側16から受ける土圧Pに抵抗する。
ここに、ソイルセメント改良体32は、スラリー状とされたセメント系固化材と、土留壁12の場所の土を、攪拌装置で攪拌して固化させた円筒状の柱体である。なお、ソイルセメント改良体32の施工方法については後述する。
土留壁12の地山側16には、同じくソイルセメント改良体32で壁状に形成された倒壊防止壁14が複数個接合されている。倒壊防止壁14は、土留壁12と直交する方向に設けられ、これにより、倒壊防止壁14が土留壁12を地山側16から支え、地山側16から受ける土圧Pで、土留壁12が掘削面側18に転倒するのを防止している。
このとき、地山側16に延設されるソイルセメント改良体32の列数や、隣り合う倒壊防止壁14との間隔Dを変更することで、倒壊防止壁14が土留壁12を支える力を調整でき、土留壁12の土圧Pに対する抵抗の強さを調整できる。
具体的には、地山側16の地表面17と掘削面側18の地表面19との高低差H1が大きいときは、地山側16から加えられる土圧Pが大きいため、ソイルセメント改良体32の列数を多く(図は5列)する。又は、隣の倒壊防止壁14との間の間隔Dを狭くして、倒壊防止壁14が土留壁12を支える力を強くする。
一方、図3、図4に示すように、地山側16と掘削面側18の高低差Hが小さいときは、地山側16から加えられる土圧Pも小さいため、倒壊防止壁14の列数を少なく(図は2列)する。又は、隣の倒壊防止壁14との間の間隔Dを広くして、倒壊防止壁14が土留壁12を支える力を弱くする。
このように、倒壊防止壁14の構成を変更することで、容易に、ソイルセメント改良体10に山留壁として必要な強度を付与できる。
また、土留壁12と倒壊防止壁14は、同じソイルセメント改良体32で構築されており、いずれも同じ作業で構築でき、作業効率がよい。また、土留壁12は、倒壊防止壁14で支えられているため、別途、倒壊防止用としての腹起こし材を取り付ける工程が不要となる。
更に、従来のようにH型鋼等の芯材を必要とせず構成が簡単であることから、工期の短縮や施工コストの低減ができる。
ここで、ソイルセメント改良体32の施工方法の一例について説明する。
シングルソイルセメント柱列工法は、図5(A)に示すように、クローラ杭打機54を用いて、先ず、オーガマシン56でオーガロッド58を回転させながら地盤60を穿孔する(a)。このとき、セメントミルクを注入しながら、セメントミルクと地盤の土砂を混合させながら所定の深さまで掘り下げる(b)。所定の深さに到達後は、引き続き、セメントミルクを注入しながら、セメントミルクと土砂を混合させながらオーガロッド58を引き抜く(c)。これで、ソイルセメント改良体32の柱体66の加工が終了する。
続いて、図5(B)に示すように、連続した柱列とするため、1本目の柱体66と所定の距離だけ離れた位置に2本目の柱体68を、同じ要領で加工する。そして、1本目と2本目のセメントが固まらないタイミングで、1本目と2本目の間に3本目の柱体70を加工する(d)。このとき、1本目の柱体66、2本目の柱体68及び3本目の柱体70を、周壁でオーバーラップさせて一体化させることで、連続した壁体が形成される。
なお、図6(A)に示すように、多軸ソイルオーガマシン62を用いれば、複数のオーガロッド64を、同時に回転させながら穿孔、引抜きの作業ができる(a)(b)(c)。
これにより、図6(B)に示すように、1回の穿孔、引き抜きの工程で、複数個(図では3個)の柱列72を同時に形成することができる。
(第2の実施の形態)
図7に示すように、第2の実施の形態の係るソイルセメントコラム山留壁20は、隣り合う2つの倒壊防止壁14A、14Bと、これらの倒壊防止壁14A、14Bに挟まれた土留壁12Cで、地山側16に三角形Sを形成している。
三角形Sを形成する倒壊防止壁14A、14B、及び土留壁12Cの端部は、3つの角部S1、S2、S3でそれぞれ接合され、閉じた三角形となっている。このように、倒壊防止壁14A、14B、及び土留壁12Cで、地山側16にトラス構造を形成することで、ソイルセメントコラム山留壁20が地山側16から受ける、土圧Pに対する耐力が強くなる。
その他の内容は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
(第3の実施の形態)
図8に示すように、第3の実施の形態の係るソイルセメントコラム山留壁40は、液状化層の地盤34に、建物30が建てられている。
建物30は、地盤34を深さHまで掘削して建てられている。建物30の周囲には、第1の実施の形態で説明したソイルセメントコラム山留壁10が構築され、地盤34の崩壊を防止している。また、土留壁12に囲まれた領域の内部には支持壁22が設けられ、建物30を支持すると共に、地盤34の液状化を防止している。
支持壁22は、第1の実施の形態で説明したソイルセメント改良体32で形成されている。支持壁22は、建物30の基礎28の下部に設けられ、支持壁22の頭部22Hは基礎28の底面と接合されている。
具体的には、図9に示すように、頭部22Hと基礎部14の接合構造は、基礎部28に深さ寸法Hで埋め込まれた頭部22Hの両側面を、基礎部28のコンクリート27で両側から接合している。このとき、支持壁22の頂部22Sで、基礎部28の基礎梁38を支持している。
これにより、支持壁22と基礎部14の接合強度を強くできる。
このような接合構造とすることにより、支持壁22と基礎部14の接合部の長さ、又は支持壁22の埋め込み深さ22Hの少なくとも1つを変更することで、支持壁22と基礎部14の接合強度の調節が可能となる。この結果、支持壁22の断面積や杭26の断面積の最適化が図れ、施工コストの低減につながる。
また、支持壁22は、柱状のソイルセメント改良体32で、液状化層34の底面まで到達する深さに形成されている。支持壁22の外周部は土留壁12に沿って構築され、内部は、平面視において格子状に配置されている。
格子で囲まれた内部には、建物30の沈下を抑制する杭26が設けられている。杭26の先端は液状化層34の下の不透水層36に埋め込まれ、杭26の頭部は、建物30の基礎部28の底面に接合されている。
これにより、支持壁22の外周部が土留壁12を掘削面18側から支えるので、地山16側から受ける土圧Pに対する耐力を強くできる。
また、格子状とされた支持壁22が格子内部の液状化層34の液状化を防止する。液状化層34の液状化が防止されることで、杭26と液状化層34の間の摩擦力を維持でき、建物30の沈下が継続して抑制される。
更に、支持壁22、土留壁12、及び倒壊防止壁14が、全て同じソイルセメント改良体32で形成されている。これにより、基礎工事の作業工程の数が減らせ、施工コストが低減できる。
その他の内容は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
(第4の実施の形態)
図10に示すように、第4の実施の形態の係るソイルセメントコラム山留壁40は、倒壊防止壁14の上に擁壁42が構築されている。
擁壁42は、倒壊防止壁14の頂面に構築されて地盤34の崩壊を防止している。
これにより、倒壊防止壁14の高さ寸法を、擁壁42が負担する高さH分だけ低く押さえることができ、倒壊防止壁14に要求される強度が低減される。また、擁壁42の重量が、倒壊防止壁14に下向きの力を作用させ、土留壁12の耐力が向上する。
その他の内容は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
(第5の実施の形態)
図11に示すように、第5の実施の形態に係るソイルセメントコラム山留壁50は、例えばポリプロピレンやスチールファイバーなどの、セメントの引張強度を高めるファイバー材52が、ソイルセメント改良体32に混入されている。
ファイバー材52をセメントに混入することで、ソイルセメント改良体32の引張強度を高めることができ、この結果、ソイルセメント改良体32で構築される土留壁12、倒壊防止壁14の耐力をそれぞれ高めることができる。
その他の内容は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、本実施の形態は、第1の実施の形態に限定されることはなく、第2の実施の形態〜第4の実施の形態で使用するソイルセメント改良体32に適用してもよい。
10 ソイルセメントコラム山留壁
12 土留壁
14 倒壊防止壁
16 地山
22 支持壁
22S 凹凸部
28 基礎部
30 建物(構造物)
32 ソイルセメントコラム改良体
42 擁壁

Claims (5)

  1. 地中に連続して柱体が構築された壁状のソイルセメント改良体で構成された土留壁と、
    前記土留壁と一体化され、地山側に延設した壁状のソイルセメント改良体の倒壊防止壁と、
    を有するソイルセメントコラム山留壁。
  2. 平面視において、隣り合う2つの前記倒壊防止壁と前記土留壁で、前記地山を三角形状に取り囲んだ請求項1に記載のソイルセメントコラム山留壁。
  3. 前記土留壁に囲まれた領域に、前記土留壁と一体化して設けられた壁状のソイルセメント改良体で構成された支持壁と、
    前記支持壁の頭部に支持され、構造物の荷重を前記支持壁に伝える基礎部と、
    を有する請求項1又は2に記載のソイルセメントコラム山留壁。
  4. 前記倒壊防止壁及び前記土留壁の頂面に擁壁を構築した請求項1〜3のいずれか1項に記載のソイルセメントコラム山留壁。
  5. 前記ソイルセメント改良体に、引張強度を高めるファイバー材を混入させた請求項1〜4のいずれか1項に記載のソイルセメントコラム山留壁。
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