前述のバイブロハンマーを用いたシートパイル埋設方法は、施工時にその振動や音が激しく、これを街中で使用すれば、騒音や振動の問題が生じ、近年の住環境配慮重視という流れに逆行するものであり、騒音や振動対策を別途十分に行う必要があった。
また、バイブロハンマーを用いるものは勿論、油圧によるシートパイル埋設方法であっても、従来、シートパイルを埋設するためには大型装置を用いる必要があると考えられており、街中の道路上での工事では、道路を通行止めにしなければ工事ができなかった。特に、シートパイルは、前述のとおり河川の氾濫を防ぐ役割で用いられ、河川の堤防において埋設することになるが、河川の堤防の上部(天端部分)は道路と比較してその幅がさらに狭く、大きな油圧装置やバイブロハンマーが設けられた土木機械を堤防上に乗せてシートパイルを埋設することができない場合もある等、狭い場所でのシートパイルの埋設作業は極めて困難を伴うものであった。
本発明者は、バイブロハンマー式や油圧式のような大型装置を用いるのではなく、小型装置を用いてシートパイルを埋設することを想起したが、この場合でも、以下のような問題点が浮かび上がった。
たとえば、小型装置を用いてシートパイルを埋設する場合、小型装置では動力が小さく、固い地盤に直接シートパイルを圧入により埋設することができないことから、通常、シートパイルを埋設する前にオーガー等を備えた穴掘機を用いて先行堀を行うことが考えられる。この先行堀とは、シートパイルを埋設する場所の地中を、オーガーを用いて予め掘削した後、オーガーを引き抜くことで近接地中に穴をあけ、又は土を戻し、さらに場所をずらして同じ作業を繰り返すことによって、地中に多数の穴をあけることでシートパイルを埋設する位置に穴を開けると共に、地中の土の状態を柔らかくしておき、その後のシートパイルの埋設を小型装置のような動力が小さい装置で実現するという工法である。本発明者は、この先行堀を繰り返し行い、シートパイルを適切に埋設する方法について鋭意検証を行い、次の結果を得た。
まずオーガーを用いて1つ目の穴を地中にあける際は、地中内の土の硬さは概ね均一であることから、オーガーを用いれば地中に垂直に穴をあけることができ、オーガーにより掘削された部分の土が掘り返され、掘削された箇所は穴があき、又は土を戻すと、その周辺の領域7の土が柔らかい状態となる。もっとも、オーガーは、上部から押し込むように回転して掘削していくという性質があるため、地中内に固い層と柔らかい層とがある場合、柔らかい層の方向に掘削が進む傾向がある。たとえば、一本のオーガーを用いて二つ目の穴を一つ目の穴の近くに続けてあけようとすると、図17(a)に示すように、一つ目の穴7a付近は掘削により柔らかい層となっているため、二回目の掘削では、オーガー2は柔らかい層である一つ目にあけた穴7aの方向へ傾斜するように進み、二つ目の穴は所望の位置にあけることができなかった。また、これを避けるため、三回目、四回目の掘削において、穴と穴との間の間隔をあけて行ったが、この場合、間隔が広いため垂直方向に穴7b、7cをあけることが可能であったが、図17(b)に示されるように、地中全体を見ると、オーガーで掘削した箇所の周囲、すなわち、穴があけられた部分は柔らかい層となっているが、間隔をあけた部分については、固い層(図17(b)の黒色部分)が残ってしまい、地中では固い層と柔らかい層とが互い違いの状態となってしまった。このように、固さが均一でない地中の状態において、小型装置を用いてシートパイルを埋設しようとしても動力が小さいため、固い層によってシートパイルの埋設を妨げられてしまい、シートパイルを所望の位置に埋設することができなかった。
しかしながら、本発明者は、上記の検証結果を踏まえ発想を転換し、シートパイルを埋設する際にシートパイルを埋設する位置の土を全て柔らかい層、すなわち、シートパイルを埋設する部分の地中の土を全て柔らかい状態にさえしておけば、シートパイルの埋設は、油圧式やバイブロハンマー式等で用いられる大型装置を用いることなく、小型装置を用いても、シートパイルを埋設できるということに気が付いた。
さらに、本発明者が鋭意検討したところ、1本のオーガーを用いた先行掘では、オーガーに掘削する深さが把握できるよう目印をつけて掘削することになるが、掘削を何度も繰り返し行うと、オーガーに付けた目印が土との接触等で消えてしまい、その後は熟練の勘に頼って掘削せざるを得ず、複数回行う場合、余裕をもって少し深めに掘削、すなわち余堀が必要となる。しかしながら、このような余堀した状態で、連結式のシートパイルを順次埋設しようとすると、後に掘削された領域に埋設されるシートパイルは、最初の頃と比較して余堀されている分だけ、以前に埋設したシートパイルよりも沈み込んでしまい、シートパイルの高さが不揃いとなり、連結式のシートパイルを同じ高さで連結できないという問題があることに気が付いた。
本発明は、以上の点に鑑み、簡単な方法により、複数のオーガーを使用して先行掘した後、シートパイルを埋設するシートパイル埋設方法を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するべく、本発明によるシートパイル埋設方法は、(1)シートパイルを埋設する位置の地上に埋設基準線を設け、(2)前記埋設基準線上に、複数のオーガーを近接する位置に地中の埋設し、(3)前記埋設基準線の一端側に埋設された一のオーガーを地上まで引き抜き、前記埋設基準線上であって、埋設されている他のオーガーに近接する位置に、前記一のオーガーを再度埋設し、(4)前記(3)の作業を複数回行うことでシートパイル埋設領域を形成し、(5)前記シートパイル埋設領域にシートパイルを建て込み、加重を与えて埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記(2)において、鋼管の外周面に鉄棒からなる掻揚機構が設けられた一のオーガーと、鋼管の外周面に掻揚機構が設けられていない他のオーガーとを交互に埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記他のオーガーは、その外周面に痩せ細り防止鉄板が巻き付けられていることを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記(2)において、鋼管の周囲に掻揚機構が設けられ、前記掻揚機構の周囲に絡み合い防止機構が設けられているオーガーを用いて埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記(3)及び(4)において、埋設されている他のオーガーに接する位置に接触防止治具を配置して一のオーガーを埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、先端位置を三次元方向に移動可能なブームを有する建設機械と、前記ブームの先端に垂下された鉛直回転軸を備えた回転駆動機構と、前記回転駆動機構の回転軸の下に設けられ、オーガー及び/又はシートパイルを挟持するためのシートパイル埋設具を着脱可能に係合するためのアタッチメントとを有するシートパイル埋設装置を用いて、オーガー及び/又はシートパイル埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記ブームの先端に押当部とフックを有する先端具を設け、該先端具の押当部をシートパイルに押し当て、加重を与えることでシートパイルを埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記アタッチメントは、円筒状の外形を有し、その外周面に貫通孔が設けられ、前記シートパイル埋設具は、前記アタッチメントの外形よりも小さい円筒状の外形を有し、その外周面に前記アタッチメントの貫通孔と略同一の大きさの貫通孔が設けられ、前記シートパイル埋設具と前記アタッチメントとが、前記各貫通孔を介して係合することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、前記シートパイル埋設具は、外周面の下端部に二つの溝が対向して設けられ、下端部の内面にシートパイルを固定するための固定部を有し、シートパイルを前記二つの溝に挿入し、固定部で固定して、シートパイルを埋設することを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、シートパイル埋設装置を複数台使用し、一のシートパイル埋設装置を用いて前記(1)乃至(4)を行い、他のシートパイル埋設装置を用いて前記(5)を行うことを特徴とする。
本発明によるシートパイル埋設方法では、河川の堤防の天端において、前記シートパイル埋設方法を使用してシートパイルを供給、埋設し、前記シートパイルを堤防の補強及び嵩上げの基礎パイルとして使用することを特徴とする。
本発明では、複数のオーガーを使用し、複数のオーガーを埋設基準線上の近接した位置に一旦埋設した後、埋設したオーガーのうち、埋設基準線の一端側の先に埋設した一本のオーガーを引き抜き、埋設されている他のオーガーに隣接するように再度埋設し、この作業を繰り返すことで、シートパイルを埋設する位置の地中に穴をあけると共に穴の周囲の土を柔らかい状態とすることが可能となり、従来、バイブロハンマーのように騒音、振動の公害を出すような工法や、大掛かりな油圧装置の機械でしか埋設できないシートパイル埋設を小型の埋設装置を使用して容易に行うことが可能となる。また、本発明では、少なくとも2本のオーガーを使用して交互に掘削を行うため、先に埋設したオーガーの近くに後から埋設するオーガーを埋設する場合、先のオーガーの一部が地上に出ているため、これが目印となり、目印を見ながら、後のオーガーを埋設することができるため、余堀する必要がなくシートパイルの高さを同一に保つことができる。
また、オーガーは、鋼管の外周面に掘削した土を地上へ運ぶための螺旋状の羽根等からなる掻揚機構が設けられていることが多いが、かかるオーガーを複数本使用し近接した位置に並べて埋設しようとすると、オーガーの掻揚機構同士が絡み合うおそれがあり、近接した位置にオーガーを並べて埋設することができない。しかしながら、本発明によれば、掻揚機構が設けられたオーガーと掻揚機構が設けられていないオーガーとを交互に埋設するため、掻揚機構同士の絡み合いがなく、近接した位置にオーガーを埋設することが可能となり、シートパイル埋設領域を柔らかい層として形成することが可能となる。さらに、絡み合い防止機構が設けられたオーガーを複数本用いて掘削すれば、先に埋設した1本目のオーガーの隣接する位置に後から2本目のオーガーを用いて回転させながら掘り進めても、オーガーが互いに絡み合うことなく、所望の近接する位置にオーガーを埋設することができる。
本発明による方法では、接触防止治具を使用してオーガーを埋設することで、オーガーの位置決めを容易に行うことが可能となり、一定の間隔で順次埋め込むことができ、シートパイルを埋設する領域の状態をより均一な柔らかい層にすることができる。
本発明による方法では、アタッチメントを介してオーガーやシートパイル埋設具を簡単な構造で係合できるシートパイル埋設装置を使用したり、その構造を工夫したりすることで、さらには、ミニショベル等に適した治具を用いてシートパイルを埋設することにより、シートパイル埋設を小型機械で行うことができ、シートパイルをより所望の位置に容易に埋設することが可能となる。なお、地中の障害物等により一部のシートパイル埋設が高止まりした場合は、実用新案登録(登録第3199718号)に記載のようなモンケン打設等の処置をして所望の位置に埋設することが可能となる。
図1乃至図3は、本発明によるシートパイル埋設方法の一実施形態を示している。
図1に示されるように、地面に事前にシートパイルを埋設する位置を示す埋設基準線1を設ける。埋設基準線1とは、シートパイルを埋設する位置の地面に予め線等を引いておき、当該埋設基準線に沿って、以後、オーガー2、3を使用して埋設と引き抜き作業を交互に繰り返し、掘削を進めるための目印となるものであり、たとえば、地上部分に白線を引いたり、地上の土を削ること等により設ける。もっとも、これに限られず、シートパイルを埋設する位置を、地上から目視し得る形であれば、いかなる方法でもよい。
図2(a)で示されるように、図5等で示されるシートパイル埋設装置4等を用いて、オーガー2を埋設基準線1の一端側に回転させながら所定の深さまで掘削し、地中に一旦埋設する。埋設装置4からオーガー2を取り外した上、オーガー2とは別のオーガー3を埋設装置に接続し、埋設基準線1上に沿って既に埋設されたオーガー2に近接する位置に回転させながら所定の深さまで掘削し地中に埋設する。オーガー3の埋設では、オーガー2の上端部が地上に出ているため、これを目印にオーガー2と同じ深さまで埋設するとシートパイルの高さを同一に保つことができる。以後、オーガーを埋設する際にも、埋設する場所の横に埋設されているオーガーを目印に埋設することで、深さを一定にできる。
埋設するオーガーの本数は、後に埋設するシートパイルの種類、現場の状況等に応じて、2本又はそれ以上とする。シートパイルは、サイズが数種類あり、厚さ、幅も数種類あるため、オーガーの直径、本数、その長さも、シートパイルの種類によって適宜選択する。たとえば、オーガーを3本使用する場合は、前述のとおりオーガー2に続きオーガー3を地中に埋設した後、埋設装置4からオーガー3を取り外し、3本目のオーガーを接続した上で、埋設基準線に沿って既に埋設されているオーガー3の近接する位置に3本目のオーガーを埋設する。さらに、オーガーの本数を増やす場合も同様の手順で行う。
また、オーガー2を埋設した後、オーガー3を埋設するにあたり、接触防止治具5を用いれば、並列して埋設されているオーガー2、3の位置決めをより容易に行うことが可能となり、一定の間隔で埋め込むことができる。
接触防止治具5は、図4(a)に示されるように、地面に対して埋設固定するための2本の杭部51と、2本の杭部間にオーガーの径に合わせて湾曲させた半円弧状の本体部52と、本体部の下端にオーガーの間隔を調整するための調整板53とを備えている。接触防止治具は、この形状に限定されるものではなく、調整板の枚数を増やしたりしてもよいし、杭部を設けなくてもよいし、杭部の本数を増やすなど、種々のバリエーションが考えられる。要するに、埋設されるオーガーを一定の間隔で調整できる形状であればよい。
具体的な使用方法としては、たとえば、図4(b)にその使用状態の説明図で示されるように、オーガー2埋設後オーガー3を埋設するに際して、接触防止治具5の調整板53の一端をオーガー2に接するように埋設基準線に沿って配置し、杭部51を地面にハンマー等で打ち込む。その後、オーガー3を半円弧形状の本体部52の湾曲部分の上方に配置した上、オーガー3を埋設する。
オーガー3の埋設が終了した後、オーガー3をシートパイル埋設装置4から取り外し、埋設基準線1上の一端に既に埋設されているオーガー2を、シートパイル埋設装置4に再度接続する。オーガー2を再接続した上、シートパイル埋設装置4の回転駆動機構を埋設したときの回転方向と逆回転させることで、オーガー2を地上まで引き上げ、これを引き抜く。次いで、引き抜いたオーガー2をさらに埋設基準線1に沿って既に埋設されているオーガー3に近接する位置に、シートパイル埋設装置4を用いて所定の深さまで掘削し再度埋設する。オーガー2を再度埋設した後、オーガー3もオーガー2同様にシートパイル埋設装置4により地上に引き抜き、埋設基準線1に沿って再埋設されたオーガー2に近接する位置に所定の深さまで掘削し再埋設する。
この交互作業により、図2(b)のように、オーガー2及びオーガー3を地中に引き抜いた部分には穴とその周囲に残土からなる硬い地中を柔らかい地中に変え、シートパイル埋設領域7を形成することができ、埋設基準線1下の地中の領域7は地面に近い部分が空洞となり、地中深い部分は、掘削により発生した残土からなる柔らかい土で形成された領域となる。
なお、オーガー2を再度埋設した後、オーガー3を引き抜き再埋設することなく、次のステップへ進んでもよいし、上記作業の繰り返し、すなわち、二本のオーガー2、3を埋設基準線1に沿って交互に埋設と引き抜きを何度も繰り返す作業を行ってもよい。また、オーガーを3本以上使用する場合には、全てのオーガーを前記(2)のとおり、一旦埋設し、その後、埋設基準線の一端側の一本のオーガーを引き抜き、埋設基準線1に沿って埋設されている他のオーガーの隣接する位置に再埋設する。さらに埋設基準線1上に沿って順次一本ずつ引き抜きと埋設を繰り返すことで柔らかい層からなる領域7を広く形成することができる。
次いで、図3に示すように、オーガーの埋設に使用したシートパイル埋設装置4や別の小型の埋設装置を使用して、シートパイル6を吊り上げ、同埋設基準線1上に所望の位置に配置し、シートパイル6を建て込んだ上、圧入等の方法で埋設する。
シートパイル6埋設後、埋設基準線1に沿ってオーガー2とオーガー3を引き抜き、さらにシートパイル6を埋設し、シートパイルを連結する。なお、2枚のシートパイルの埋設の場合はこれで終了となるが、さらにシートパイルの埋設を続ける場合には、オーガー2、3の埋設、引き抜き、シートパイルの埋設を繰り返す。
以上のとおり、本発明では、複数のオーガーの埋設と引き抜きを繰り返すことで、シートパイル埋設する領域を柔らかい土の状態とすることができ、小型の埋設装置を使用して、シートパイルを容易に埋設することが可能となる。また、複数のオーガーを交互に使用して掘削すると、先に埋設したオーガーの周りの土が柔らかく、二本目のオーガーが柔らかい土のほうへずれこもうとするが、先のオーガーが既に埋設されているため、埋設してあるオーガーに接触してそれ以上、オーガーがずれないため、先に埋設したオーガーがズレ防止の機能を果たすこともでき、より近接した位置に掘削することができる。また、接触防止治具を用いればより正確な位置に埋設でき、さらに、先に埋設したオーガーを目印に他のオーガーを埋設することができるため、シートパイル埋設領域の穴の深さも一定となり、連結式のシートパイル等も容易に同じ高さで埋設することが可能となる。
また、本発明では、一本のオーガーを引き抜き、他のオーガーに近接する位置に再埋設するまでの間、また、シートパイルを埋め込み圧入して埋設している間、他のオーガーが地中に埋設されているため、地中に残存するオーガーの周面が穴の表面を崩れないように押し続け山留の状態を形成し、穴の壁面が安定して崩れにくい状態とすることができ、オーガー1本で掘削した後、すぐにオーガーを引き抜き、次の穴を掘削する方法よりも、シートパイル埋設領域7の穴の崩れが少なくなるという副次的効果も生じる。
図5は、本発明によるシートパイル埋設方法のオーガーによる掘削やシートパイル埋設に使用するシートパイル埋設装置の一例の構成を示している。シートパイル埋設装置4は、たとえば、図5のように、先端位置を三次元方向に移動可能なブーム13を有する動力装置12と、ブーム13の先端に垂下された鉛直回転軸を備えた回転駆動機構14と、回転駆動機構14の回転軸15の下に設けられ、地中の土を掘削するオーガー2、3やシートパイル6を挟持するためのシートパイル埋設具17を着脱可能に係合するためのアタッチメント16とを有している。
シートパイル埋設装置4は、たとえば、図5に示されるとおり、四輪のタイヤ自走式のトラックであって、その荷台部分にオーガー及び/又はシートパイルを埋設するため動力装置12が搭載されていると共に、荷台部分の四隅付近には、荷台部分を地面に対して安定的に保持するためのアウトリガーが装備されている。図5に示されるものは穴掘建柱車を使用したものであるが、たとえば、図6に示されるミニショベル、ショベル、その他リーダー付き杭打設機械、車輛系建設機械、移動式クレーン建設機械等を使用したり、これらの車両を改造して使用することもできる。
動力装置12は、穴掘建柱車、ミニショベル、ショベル、リーダー付き杭打設機械、車輛系建設機械、移動式クレーン建設機械等の動力装置部分をそのまま使用したり、これらを改造してもよい。
回転駆動機構14は、ブーム13の先端に垂下された鉛直回転軸15を備えており、回転軸の下方に取付けるオーガーを回転させる機能を果たすものであり、既存の技術のものを利用できる。
ブーム13は、図5、図6に示されるように、伸縮、揺動、旋回等により吊り上げたものを三次元に移動可能な構成とされている。ブーム13は、動力装置12を介して、オーガー2、3やシートパイル6の位置決め機能を果たす。また、ブーム13には、図5、図6に示されるとおり、その先端部分にシートパイルを加重により地中に押し付けることが可能とする押当部81を有する先端具18が接続されている。
先端具18は、たとえば、図7に示されるように、両端に平鉄板の押当部81、中央付近にブームとの接続部82、円弧状に湾曲した電柱支持部83を有し、接続部を介して穴掘建柱車に接続される穴掘建柱車に付属されている電柱固定用治具を利用する。また、図8に示されるように、先端に下方に傾斜した押当部81が設けられると共に、中央付近にフック84が設けられた鉄柱からなり、他端側にブーム13との接続部82を有するものでもよい。これらを利用し、図3に示されるように、シートパイル埋設領域7内に建て込んだシートパイル6の上端部に押当部81を密着させ、ブームを操作し、押当部81を地面方向に加重を与え、シートパイル6を地中に押し込み、地中に安定して設置することができる。図7、図8の先端具の形状はあくまで例示であり、これに限定されるものではなく、適宜な形状とすることが可能である。
また、先端具18としてフック84が設けられているものを利用すれば、シートパイル6を吊り上げブームを操作することで、シートパイルを埋設する位置までシートパイルを移動させ建て込むことができる。なお、フック84の形状は適宜選択することができる。
押当部81は、シートパイル6を吊り上げて所望の位置に一旦埋め込んだ後、シートパイル6の地中の深さ方向の位置を調製するためのものであり、シートパイルに対して地面方向に加重を与え、シートパイルを地中で安定する位置まで押し込むためのものである。地面方向への加重は、ブーム13を操作し、押当部81に地面方向に加重がかかるように行う。また、図8に示される押当部81は、先端具18の先端に設けられ、下方に傾斜する形状とされている。これは、ブーム13の先端は通常上方に向かっているが、かかる状態でシートパイル6を下方(地面方向)に加重するために幾分下方に傾斜させている。また、先端具18を幾分下方へ傾斜させて押当部81を構成することにより、シートパイル6に加重をかける際に、押当部81からシートパイルが外れてしまうことも防止する。もっとも、この押当部81は、地面方向に加重を与えられる構造であれば、その構造は特に問わず、先端具以外の場所に設けられてもよい。
アタッチメント16は、図5、図6に示されるように、回転駆動機構14の回転軸15の下端に取り付けられており、下端側が開放された中空円筒状の鋼管から構成され、その内径は、後述するオーガー1、2、シートパイル埋設具17が下方から緩く嵌入する程度の内径に選定されている。
アタッチメント16は、図9にその詳細が六面図で示されているとおり、オーガー2、3の上端周面から半径方向外側に突出する係合凸部を受容するための係合溝61が設けられ、この係合溝61は、オーガーの係合凸部を受容して係合しえる形状であるが、これらの形状に限定されることなく、種々の形状をとることが可能である。また、アタッチメント16は、シートパイル埋設具17と係合するために、外周面の中心からやや上方の対向する位置にボルトを通しナットで締め込むための係合穴62が2箇所設けられている。アタッチメント16の上端側は、回転軸15と接続できるよう下端側よりも径が広い接続部63を有しており、回転軸15とは接続部63を介して接続される。
シートパイル埋設具17は、アタッチメント16に係合してシートパイル6の圧入に際して使用するものであり、アタッチメント16の円筒状の内周面より僅かに小さい外形で、図10にその詳細が六面図で示されるように、下部が開放された中空円筒状の外形を有し、アタッチメント16と係合するために、外周面の中心から上方の対向する位置に、ボルトを通しナットで締め込むための係合穴71が設けられている。アタッチメント16との係合はアタッチメントの周面とシートパイル埋設具の周面の係合穴61、71を合わせて、ボルトを通しナット等で止める。
さらに、シートパイル埋設具17の下端から中央方向に向かって、シートパイルの幅より僅かに広い二つの溝72が設けられている。溝72は、シートパイル6を挟みこむためのものである。さらに、二つの溝72に垂直方向で、下端近傍に二つの溝に挟み込まれたシートパイルを固定するための固定具73を有する。この固定具は、たとえば万力が考えられるが、溝72に上端が挿入されたシートパイルを固定できるものであればどのようなものでもよい。
オーガー2、3は、先行掘に利用するものであり、図11に示されるとおり、鋼管等からなり、その先端側(下端側)には掘削用の爪21(31)が設けられたものや、鋼管の外周面に掘削時に発生する土を掻揚げるための螺旋状の羽根等からなる掻揚機構22が設けられているようなものを用いることができ、鋼管の外径寸法なども適宜選択することができる。また、オーガーの上端部分は、円筒状の外形を有し、その上端周面から、半径方向外側に向かって突出した係合凸部23(33)を備えており、アタッチメント16の係合溝61と係合される。その他、既成のオーガーを使用することもできる。
オーガーの形状を選択するにあたっては、掘削しやすい形状、残土がでにくい形状であること、オーガーを引き抜いたとき、できるだけ大きな穴が保てるオーガーであることを考慮して選択する。たとえば、掘削しやすい形状としては、先端側(下端側)には掘削用の爪21(31)が設けられたものや外周面の掻揚機構が22設けられているほうが望ましい。また、掻揚機構22は、大きければ大きいほど、掘削は進みやすく、掻揚機構22の分だけ大きな形状の穴を形成できるが残土が多く出る。他方で、掻揚機構22を小さくすれば、残土は減るものの掘削スピードが低下し、形成される穴の大きさも小さくなる。鋼管の大きさについても、太くすれば、できる限り大きな穴を形成できるが、鋼管の大きさが太くなれば、それだけ回転して掘削させるために動力が必要となる。以上のような種々の点を考慮し、オーガーの形状は状況に応じて適宜選択する。
本発明では、少なくとも二本のオーガーを近接した位置に埋設して使用することになるため、互いに干渉しない形状のものを用いることは本発明の効果を上げる意味でさらに好ましい。具体的には、一本目のオーガー2としては、図11(a)に示されるような鋼管の周囲に鉄棒からなる掻揚機構22が設けられているものを、それと隣接する位置に埋設される別のオーガー3は、図11(b)に示されるような鋼管の周囲に掻揚機構が設けられていないものを用いることが望ましい。一本目のオーガー2は、掻揚機構22を設けられているため、迅速に埋設でき、かつ穴を大きくすることが可能となり、他方で、二本目のオーガー3は、一本目のオーガー2に近接する位置に埋設することになるが、オーガー3には掻揚機構が設けられていないため、オーガー2の掻揚機構22と接触しても、オーガー同士が絡み合ってオーガー3の埋設が途中で止まってしまうことを防止でき、より近接した位置にオーガーを埋設することが可能となる。さらに、本発明で使用するオーガーは、大きな穴を形成でき、残土が出にくくするよう、鋼管が太く、掻揚機構はその大きさを小さくするために、鉄棒からなる掻揚機構を用いることがより望ましい。
また、掻揚機構を設けていないオーガー3を使用すると、繰り返しの使用によりオーガーの周囲が削れて細くなってしまうという問題、さらには、オーガーの外周面の掻揚機構が外周面に対して螺旋状に形成されていることから、外周面が歪な凸面となっており、オーガーを引き抜く際、壁面から崩れ落ち、崩れ落ちた土が穴の中に入り込むという問題もある。そこで、掻揚機構を設けていない二本目のオーガー3については、図11(c)に示されるように、その周面の数カ所に痩せ細りを防止するための鉄板34を巻き付ければ、これらの問題を回避することができる。具体的には、オーガー3の周面に鉄板34を巻き付けて、オーガー3の周面と鉄板34を溶接して一周し、溶接面と鉄板34の端の角をなめらかに加工したものを設ける。この鉄板34をオーガー3に設けることにより、オーガー3の外周面の凸部分の面積が大きくなるため、オーガー3を回転しながら引き抜くに際して、あたかも、左官工がセメントで壁を塗って壁を作っていくように、引き抜きの際に穴の壁面部分が整地され、穴の崩れを防止することが可能となる。
さらにオーガー2、3は、掻揚機構の周囲に絡み合い防止機構が設けられているものを用いることがより好ましい。たとえば、図12のように、鋼管の下端には掘削用の爪21(31)、外周面に螺旋状の羽根等からなる掻揚機構22(32)が設けられ、螺旋状の羽根の先端部付近に、各螺旋状の羽根を上下方向に貫通するよう、複数本の鉄棒からなる絡み合い防止機構25(35)を配置したものを用いることが考えられるが、これに限定されるものではなく、その形状、構造は適宜変更されてもよい。この場合、いずれのオーガーにも掻揚機構が設けられているため、迅速に大きな穴を形成することを可能としつつ、オーガーの絡み合いを防止するガード、すなわち、絡み合い防止機構25(35)が設けられていることから、近接した位置にオーガーを他のオーガーを埋設する場合でも、絡み合い防止機構によって掻揚機構が絡み合うことを避けることができる。なお、絡み合い防止機構(ガード)は、その本数、長さ、太さ等は自由に定めることができる。
シートパイル6は、一般的に両端にシートパイル同士を連結する装置が付いており、シートパイルの埋設時に、先に埋設したシートパイルの連結装置に後に埋設するシートパイルの連結装置同士を噛み合せ、後に埋設するシートパイルをシートパイル埋設機械で圧入し埋設される。なお、連結装置がないシートパイルの場合には、先に埋設したシートパイルに、後に埋設するものを並べて埋設される。
穴掘建柱車4を使用して2本のオーガーを使用して、それぞれ1回の埋設と引き抜きを繰り返して本発明を実施した場合について説明する。なお、オーガーを3本以上使用してもよいし、埋設と引き抜きの繰り返しを複数回行ってもよいし、穴掘建柱車以外の車両を用いてもよい。
まず、シートパイルを埋設する予定の位置の地上に、事前にシートパイルを埋設する位置決めをするための埋設基準線1として白線を引く。その後、埋設基準線の近くに図5(a)に示されるような穴掘建柱車4を準備する。穴掘建柱車4は、ブーム13の先端に垂下された鉛直回転軸15を備えた回転駆動機構14を取り付けられ、同回転駆動機構の下端に図9で示されるようなアタッチメント16が取り付けられている。さらにブームの先端に押当部81が取り付けられている。
作業開始にあたり、アタッチメント16に図11(a)で示されるような先端に掘削用の爪21が設けられ、外周面に螺旋状に溶接された鉄棒からなる羽根22を有した鋼管からなるオーガー2を、オーガー上端の係合凸部23をアタッチメント16の係合溝61に挿入することで係合する。ブーム13を操作し、オーガー2の下端を埋設基準線1の一端側であってシートパイルを埋設する位置の直上に移動させ、回転駆動機構14を作動させ、オーガー2を回転させ、オーガー2の先端に設けられた爪が掘削を開始し、所定の深さまで掘削し、オーガー2を地中に埋設する。
オーガー2埋設後、オーガー2の係合凸部23をアタッチメント16の係合溝61から取り外し、図4に示される接触防止治具5を準備し、同治具の調整板53をオーガー2に接するように埋設基準線1に沿って配置し、同治具の杭部51を地面に打ち込む。次いで、アタッチメント16に、図11(c)で示されるような、先端に掘削用の爪31が設けられ、周囲に掻揚機構が付加されておらず、外周部に痩せ細り防止用の鉄板34が溶接された鋼管からなるオーガー3を、オーガー2と同様の方法でアタッチメント16に係合し、ブーム13を操作し、オーガー3を、埋設基準線1上に沿って既に埋設されたオーガー2に近接し、オーガー3の外周が接触防止治具5の円弧上の本体部52の壁面に収まる位置まで移動させる。その後、オーガー2の埋設と同様の方法で所定の深さまで掘削し、オーガー3を地中に埋設し、図2(a)のような状態とする。また、オーガー2,3は、既に説明したとおり、図12に示されるような、周囲に掻揚機構と絡み合い防止機構(ガード)が設けられたものを使用してもよい。
オーガー3埋設後、オーガー3の係合凸部33をアタッチメント16の係合溝61から取り外し、ブームを操作して、埋設済みのオーガー2の直上にアタッチメント16を移動させ、アタッチメント16と埋設済みのオーガー2を再び接続した後、回転駆動機構を埋設したときと逆回転させることでオーガー2を地上まで引き抜く。
接触防止治具5の調整板53をオーガー3に接し埋設基準線1に沿って再び配置し、杭部51を地面に打ち込み、引き抜いて吊り上った状態のオーガー2を、埋設基準線1上に沿って既に埋設されたオーガー3に近接し、オーガー2の外周が接触防止治具5の円弧上の本体部の壁面に収まる位置まで移動させ、これまでと同様の方法で所定の深さまで掘削し、オーガー2を地中に再埋設する。さらに、同様の方法で、オーガー3も地上に引き抜き、埋設基準線1に沿って再埋設されたオーガー2に近接する位置に所定の深さまで掘削し再埋設する。この作業により、オーガー2、オーガー3を地中に引き抜いた部分には穴が形成され(もっとも、作業中に穴の一部が崩壊する。)、図2(b)のように、埋設基準線1下の地中は、穴の中には硬い土がない柔らかい土を含むシートパイル埋設領域7となる。
埋設基準線1の地中にシートパイル埋設領域7が形成され、内部の土が柔らかくなった状態にした上で、穴掘建柱車に装備されているフックを使用し、工事現場に平積みされているシートパイル6を吊り上げ、ブーム13を操作して同埋設基準線1上で、オーガー2、3によって穴があけられた領域7に移動させ、ブーム13を操作し、図3のようにシートパイル6を領域7に埋設し、フックをシートパイルから取り外す。
次いで、シートパイル6を安定させるために、ブーム13を操作し、ブームの先端に装置されている押当部81をシートパイル6の上端に接するようになるまで移動させ、ブームを地中方向へ動かすことで押当部に地中方向への圧力を加え、押当部を介してシートパイル6を圧入する。さらに、シートパイル6が地中に行って程度圧入され安定状態に入った段階で、アタッチメント16の外周面に設けられた係合穴62と、図10に示されるシートパイル埋設具17の外周面に設けられた係合穴71にボルトを通し、ナットで締め上げることで、アタッチメント16とシートパイル埋設具17を係合する。
シートパイル埋設具17の万力73を開放し、シートパイル埋設具の側面下端の二つの溝72にシートパイル6の上端部を挟み込み、万力73でシートパイル6を固定した後、ブームを操作し、地中方向へさらに圧力を加え、シートパイル6を所望の深さまでさらに圧入する。
シートパイル6埋設後、埋設基準線1に沿ってオーガー2とオーガー3をさらに引き抜き、同様の方法でシートパイル6を埋設し、シートパイルを連結する。2枚のシートパイルの埋設の場合はこれで終了となるが、さらにシートパイルの埋設を続ける場合には、オーガー2、3の埋設と引き抜き、シートパイルの埋設を繰り返す。
前述の実施例では、シートパイル6の埋設作業をする場合、押当部81で一旦加重し、その後、アタッチメント16にシートパイル埋設具17をセットして、所定の位置まで圧入する方法としたが、地盤の状況等によって埋設方法は適宜変更でき、たとえば、押当部81で地中に加重していき、シートパイル埋設具17を使用することなくそのまま最後まで所定の深さまで圧入することもできる。
前述の実施例では、穴掘建柱車をシートパイル埋設装置4として使用する方法を説明したが、他の装置を用いてもよい。たとえば、ショベルやミニショベルを使用する場合には、図6(a)に示されるように、ブームの先端のパケット19を外し、回転駆動機構14と、オーガーを着脱可能に係合するアタッチメント16を接続することで、オーガーの埋設、引き抜きを実現することができる。さらに、ミニショベルを用いてシートパイル6の圧入作業をする場合、図6(b)のようにブーム13にワイヤー又はクサリ等の回転駆動機構固定具20で固定すると、回転駆動機構9がブーム13の角度の変化により振り子のように移動して、作業に支障が生じることを防止することができる。さらに、ブームの先端に押当部81とフック84を備える先端具18を接続し、シートパイル6を安定させるためにブーム13を操作し、押当部81をシートパイル6の上端に接するようになるまで移動させ、ブーム13を地中方向へ動かすことで押当部81に地中方向への圧力を加え、押当部81を介してシートパイル6を圧入する。
さらに、ミニショベル等でシートパイル6を埋設する場合、図13に示されるように、ミニショベルのブーム13の先端にバケット19を取り付けて、シートパイルをバケット19で埋設することもできる。もっとも、バケット19の先端形状は大きすぎて、バケットで押し込むだけではシートパイル6を地中まで圧入することができないので、その場合は、以下の方法で行う。具体的には、バケット19でシートパイル6を押し当てシートパイル6の圧入を地面ぎりぎりまで行った上、地上部分に僅かに露出しているシートパイル6の上端部に、バケット用埋設具9を挟み込み、バケット用埋設具9にバケット19の爪20をはめ込み、ブームを操作し、パケット19を地中方向へ動かし、シートパイルを地中まで圧入する。
バケット用埋設具9は、図14に示されるように、バケット1の爪20が挿入でき、かつ、シートパイルを挟み込める形状で、バケット19の圧力をシートパイルに伝えることができる形状であれば、形状は問わない。たとえば、図14のように、上部にバケットの爪20を包含できる容量を有する大きさのお椀型の爪挿入部91と、下部にシートパイルを挟み込むことができる隙間部92とを有しており、爪挿入部91にワイヤー等を通すための接続穴93が設けられ、隙間部92にも、シートパイルとの係合のための係合穴94が設けられる。図14のバケット用埋設具では、隙間部92に地面スレスレに位置するシートパイルの上端を挟み込み、バケット19によってさらに加重することで、地中にシートパイルが埋設されるが併せてバケット用埋設具の一部も地中に埋設される。もっとも、接続穴93にたとえばワイヤーを予め通しておけば、ワイヤーを引っ張ることにより地中に一部埋設したバケット用埋設具を取り出すことができる。さらに、シートパイル6の上部に穴をあけ、バケット用埋設具の隙間部の係合穴94を位置合わせし、ピン又はボルトを入れ込み、さらに接続穴93にワイヤーを通した上で、ワイヤーをフックに掛け、ミニショベルのブームを上げると、埋設に失敗したシートパイル6を引き抜くことができ、引き抜き具としても活用できる。
さらに、シートパイル6の埋設の方法として、2台のシートパイル埋設装置を利用して行うこともできる。たとえば、1台をオーガーで掘削することを専門に行う装置とし、もう一台をシートパイル6のシートパイル埋設領域7への建込み、圧入、埋設をする装置に分ける。このように2台一組で使用すれば、アタッチメント16にオーガーとシートパイル埋設具の付け外しが不要となり、時間の短縮、作業効率化を図ることができる。
その他、本発明の関連する事項としては、たとえば、以下の方法で、シートパイル埋設装置を河川の堤防の上部の道に設置して、堤防の上部(天端)の道から、シートパイル6を埋設することが可能となる。
たとえば、河川の堤防の周囲に道路がないような場合、シートパイルを狭い堤防の上部(天端)から埋設する必要があり、シートパイルをシートパイル埋設装置まで堤防の狭い上部の道を運送しなければならない。シートパイルを堤防の上部の道に持上げ、運送してシートパイル埋設装置のある埋設現場までの運送方法としては、たとえば図15に示されるように、堤防40の上部の道41にミニクレーン42を設置し、ミニクレーン42の後方にシートパイル6を乗せて運送する台車43を連結する。堤防の下部の道44にシートパイル6を積んだトラック45や堤防の下部のシートパイル置場(以下、併せて「シートパイル置場」という。)から、シートパイル6をミニクレーン42で吊り上げ台車43に積み込む。ミニクレーン42のアウトリガー46を畳み、ミニクレーン42が走行できる状態にした上で、ミニクレーン42を走行して台車43を引き、狭い堤防40の上部の道41を走行して埋設現場まで運送する。ミニクレーンでシートパイル6を台車43から降ろした後、シートパイル置場まで戻るため、台車43をミニクレーン42で吊り上げ、180度旋回し、ミニクレーン42の進行方向の後方側に台車43を連結する。ミニクレーン42は再び走行状態にし、ミニクレーン42で台車43を引き、シートパイル置場まで戻り、ミニクレーン42のアウトリガー46を張り出し設置し、台車43を吊り上げ、180度旋回し台車43を進行方向の後方へ移動し連結するということが考えられる。
上記以外にも、自走式の台車を用いて荷下ろしのためのミニクレーンと共に埋設現場まで自走し、埋設現場でミニクレーンを用いて台車上のシートパイルを積み下ろした後、ミニクレーンと自走式台車でシートパイル置場に戻ってくるという方法も考えられる。さらに、自走式の台車だけでシートパイルを埋設現場まで運送し、シートパイルをシートパイル埋設装置で吊り降ろしてもらうか、人力で荷下ろしする方法も考えられる。また、ミニクレーンをシートパイル置場と埋設現場にそれぞれ1台ずつ配置し、その間を自走する台車4で運送する方法や、シートパイル置場から、人力でシートパイルを台車に乗せ、自走台車又は人力で台車を押して動かし、埋設現場で人力又はシートパイル埋設機械で荷下ろしする方法なども考えられる。さらに、それぞれの方法を組み合わせて運送することもできる。この作業の繰り返しで、シートパイル埋設装置4にシートパイル6を供給しなければ、河川の堤防40の上部の道41からシートパイル6の打設はできない。
その他、本発明の関連する事項として、たとえば、堤防におけるシートパイル埋設後、堤防をさらに強化することができる。すなわち、シートパイル6の埋設終了後、オーガーで先行堀をした柔らかい穴の土と、シートパイル6との隙間とをセメントミルク、又は、土を固める薬物等を注入することで堤防40を補強する。また、堤防40を嵩上げする場合、シートパイルを圧入する際に、堤防40の嵩上げ47の高さ分だけシートパイル6を予め高止まりさせ、図16のようにシートパイル6の周囲を配筋48をし、型枠49を組み、コンクリート50を流し込み、堤防40の嵩上げ47の基礎パイルとして、シートパイル6が役目を果たし、強力な堤防40の嵩上げを行うことができる。また、トレンチパイル6を1列はもとより、複数列に埋設し、より強力な嵩上げ47にできる。