JP4074198B2 - 既設杭の撤去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物又は建造物を支持する杭の撤去方法に係り、詳しくはアンダーピーニング工事等における低空頭の空間内でも機械施工が可能な既設杭の引抜き撤去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物や建造物を支持する既設杭の撤去方法としては、従来より種々の方法が提案されている。これらの杭撤去方法は、杭長が短い場合には、ジャッキやバイブロハンマー、クレーン等を用いて直接、引き上げることが可能であるが、杭長が長い場合には、先ず最初に既設杭と地盤との周面摩擦力を切るために縁切りを行った後、杭を引き抜く方法が一般的である。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、二軸駆動式のアースオーガ機を使用して、その一方の軸には目的の杭の周囲を掘削できる先端にカッタを備える掘削ケーシングを取付け、他方の軸にはオーガスクリューを配して、前記掘削ケーシングで杭の周囲の地盤を切り込むと同時に隣接のオーガスクリューで掘削排土して、所要深さまで杭の周囲を掘削し、その後杭の引抜きを行う方法が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、既存コンクリート杭を、先にロックオーガーで中心部のコア抜きを行い、次いで、この既存コンクリート杭の周囲を囲むようにケーシングを回転させながら建込み、該ケーシングで既存コンクリート杭と地盤との縁を切っておいて、既存コンクリート杭を引き抜く方法が開示されている。
【0005】
下記引用文献3では、既設杭外径より大径のケーシングを、少なくとも既設杭の深度まで回転しながら、同既設杭を囲繞するようにして埋設し、次いで前記既設杭の中心軸に沿って貫通孔を穿設した後、上方から前記貫通孔内に長尺吊り材を挿入し、かつその長尺吊り材の下方先端を前記貫通孔最下部より若干先方まで挿入し、その後長尺吊り材下方先端を拡大して既設杭底部端に掛止した後、上方から長尺吊り材を引上げることにより同時に既設杭を引抜く撤去方法が開示されている。
【0006】
下記特許文献4では、断面が開口部が開いたコ字状を成し、鋼矢板又は形綱等により引き抜くべき杭の長さよりも長く、しかも杭の幅よりも狭く形成されている治具と、この治具の下端部に固定されたケーシングと、このケーシングの外周に取り付けられた複数の高圧水ノズルと、高圧水ノズルの上端部に接続される高圧水パイプとを有するウォータージェット装置を、引き抜くべき杭の外周面の一部分を囲むようにセットし、前記治具の上端部にバイブロハンマーを固定し、高圧水ノズルからウォータージェットを噴射させ、かつウォータージェット装置を杭の長さ方向に沿ってバイブロハンマーにより圧入し、杭と地山との周面摩擦力をカットした後、ウォータージェット装置を引き上げ、次いで杭を引き抜くようにした杭の引抜き工法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001-226967号公報
【特許文献2】
特開2001-303570号公報
【特許文献3】
特開2000-64283号公報
【特許文献4】
特開平9-268555号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既設杭と地山との周面摩擦力の縁切りを行うケーシング(特許文献4ではウォータージェット付きケーシング)等は、大型の揚重機あるいは二軸駆動式のアースオーガ機を用いての施工となるため、上空に制限のない空頭での施工は可能であっても、上部に障害物等がある低空頭空間では高さ寸法の制限から施工ができないなどの問題があった。具体的には、杭基礎によって支持された建築物又は建造物において、既設杭が新たに建設されるトンネル等の地下構造物の障害になる等の理由で既設杭から新たな杭に受け替えを行うアンダーピニングの場合、建築物又は建造物直下の地下に低空頭の空間をつくり、その中で既設杭を撤去することになるが、このような条件下での杭撤去の場合、前述した方法を採用することは実質的に不可能である。
【0009】
従って、上記アンダーピーニング工事における既設杭の撤去は、既設杭の廻りに人力によるはつり作業が可能なスペースを考慮した径の深礎工法により行われていた。具体的には、既設杭の周囲において、人力により深礎用ライナープレートにより山留めを行いながら、掘削および杭壊しを杭頭から順次深さ方向に沿って行い、全ての既設杭を撤去した後、埋め戻ししながら深礎用ライナープレートを撤去する手順で杭の撤去が行われていた。
【0010】
しかし、このような人力による杭の撤去方法の場合には、杭撤去に非常に多くの日数と手間とを要するため、低空頭の条件下であっても機械化施工が可能な方法が強く望まれていた。
【0011】
そこで本発明の主たる課題は、狭小な場所や低空頭空間であっても、小型の装置を用いた機械化施工によって、既設杭と地山との周面摩擦力を切るための縁切りを可能とした既設杭の撤去方法を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、撤去対象となる既設杭の周囲において、先端部分に超高圧水噴射口を備えた噴射ロッドを地盤中の複数の貫入点に挿入し、その貫入過程又は引上げ過程で超高圧水の噴射により隣接する貫入点間をパネル状に地盤を切削する工程を順次繰り返すことにより、前記既設杭の全周又はその大部分を囲むように多角形状の縁切り面を形成した後、前記既設杭を引抜いて撤去することを特徴とする既設杭の撤去方法が提供される。
【0013】
上記請求項1記載の本発明では、噴射ロッドからの超高圧水の噴射によって、隣接する貫入点間を繋ぐように、縁切り面を形成するようにした。噴射ロッドは継ぎ足し可能な構造となっており、低空頭や狭小な空間条件下であっても地盤中への貫入が可能であり、かつロッド貫入位置からパネル状の広い範囲に縁切り面を形成することができるため効率的に杭の撤去工事を行うことが可能となる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記噴射ロッドの貫入点を既設杭の外周に3点以上設定し、一つのロッド貫入点から隣接するロッド貫入点までの区間を超高圧水の噴射によってパネル状に切削を行う請求項1記載の既設杭の撤去方法が提供される。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記噴射ロッドの貫入点を既設杭の外周に2点以上設定し、ロッド貫入点間において、一方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面と、他方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面とを交差又は連続させることによりパネル状に切削を行う請求項1記載の既設杭の撤去方法が提供される。この方法によれば、噴射ロッドの貫入回数を低減できるようになる。
【0016】
請求項4に係る本発明として、前記超高圧水の噴射は、その周囲に圧縮空気を随伴させながら行うようにする請求項1〜3いずれかに記載の既設杭の撤去方法が提供される。圧縮空気を超高圧水の周りに随伴させることにより切削距離の増大を図ることが可能となる。
【0017】
請求項5に係る本発明として、前記噴射ロッドは単管、二重管あるいは三重管を使用する請求項1〜4いずれかに記載の既設杭の撤去方法が提供される。圧縮空気を随伴させない場合は単管とし、圧縮空気を随伴させる場合には二重管又は三重管が用いられる。前記二重管としてはJSG工法で使用される二重管を、前記三重管としてはコラムジェットグラウト工法で使用される三重管をそのまま使用することができる。
【0018】
請求項6に係る本発明として、前記既設杭の撤去は、引上げと、引上げ分の切断とを交互に繰り返しながら行うようにする請求項1〜5いずれかに記載の既設杭の撤去方法が提供される。低空頭空間では一気に既設杭の引上げ撤去はできないため、引上げと引上げ分の切断とを交互に繰り返しながら撤去を行うようにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0020】
(アンダーピニング)
本既設杭の撤去方法が好適に適用される例えばアンダーピニングは、地上に杭基礎によって支持されたビルや高架道路などの地上構造物が存在する条件下で、その地盤下にトンネルやカルバートなどを築造する場合、前記地上構造物の荷重を新設杭によって受替えるものであり、その際、既設杭を撤去するのに本発明が採用される。
【0021】
具体的に図1に基づいてアンダーピニングについて詳述すると、図1(A)に示されるように、杭基礎によって支持された建物2が存在する場合に、先ず図1(B)に示されるように、建物2の地盤下を掘削し、側部に新設杭3,3…を打設する。そして、図1(C)に示されるように、敷砂4によって埋戻しを行い、新設杭3,3…によって支持された受替版5を構築する。次いで、図1(D)に示されるように、敷砂4を撤去した後、ジャッキにより建物荷重を前記受替版5に受替えたならば、図1(E)に示されるように、受替版5と根切り底との間の空間内で既設杭1,1…の撤去を行い、その後、新設杭3,3…によって挟まれた地盤内にトンネル6が構築される。
【0022】
(既設杭の撤去)
前記既設杭1の撤去に当たり、本方法では図2及び図3に示されるように、撤去対象となる既設杭1の周囲において、先端部分に超高圧水噴射口8aを備えた噴射ロッド8を地盤中に挿入し、その貫入過程又は引上げ過程で超高圧水の噴射によりパネル状に地盤を切削する工程を順次繰り返すことにより、前記既設杭1の全周を囲むように多角形状の縁切り面9,9…を形成した後、前記既設杭1を引抜いて撤去するものである。
【0023】
具体的に前記既設杭1と地盤との周面摩擦力を断ち切る縁切り面9を形成するには、図4及び図5に示されるように、ガイドホール7を既設杭1の外周に3点以上設け、一つのガイドホール7から隣接するガイドホール7までの区間を超高圧水の噴射によりパネル状に切削し、前記既設杭1を囲むように多角形状に縁切り面9,9…を形成するようにする。なお、図4例は前記ガイドホール7を3点設け、三角形状に縁切り面9,9…を形成した例であり、図5例は前記ガイドホール7を4点設け、四角形状に縁切り面9,9…を形成した例である。もちろん、五角形以上の多角形状に連続した縁切り面9,9…を形成するようにしてもよい。
【0024】
前記噴射ロッド8としては、地盤改良工法の1種である高圧噴射撹拌混合工法の内、JSG工法やコラムジェットグラウト工法で使用される噴射ロッドをそのまま使用することができる。なお、前者のJSG工法は、図10(A)に示される二重管噴射ロッド8Aを用い、空気を伴った超高圧硬化材液を地盤中に回転させながら噴射させ地盤を切削すると同時に、円柱体の固結体を造成する地盤改良工法であり、後者のコラムジェットグラウト工法は、図10(B)に示される三重管8Bを用い、空気を伴った超高圧水を地盤中に回転させながら噴射させて地盤切削し、そのスライムを地表に排出させることによって地中に人為的に空間を造り、その中に硬化材を同時充填させ円柱体の固結体を造成する工法である。なお、空気を随伴させるのは切削距離の増大を図るためであり、切削距離が短くて済むような場合には空気を随伴させること無く超高圧水のみを噴射させることでもよい。この場合には単管で十分である。
【0025】
本例では前記ガイドホール7は、噴射ロッド8の挿入に先行して別途ボーリングにより形成するようにしているが、前記JSG工法やコラムジェットグラウト工法で使用される噴射ロッドには図10(A)に示されるように、ロッド先端部分に切削ビットを有する構造のロッドもあり、この場合には地盤へ貫入させた後、その引上げ過程で地盤改良体を造成するようにしている。従って、これに準じて、噴射ロッド8により地盤を削孔した後、その引上げ過程で縁切り面9を形成するようにしてもよい。なお、切削部位にはベントナイト泥水等を充填し、孔壁の崩落を防止するようにする。
【0026】
また、屋外では上空制限が無いため所要長さに組立てた噴射ロッド8をクレーン等で吊り込みし、ガイドホール7に建て込むことができるが、アンダーピニングでは低空頭の条件下での施工となるため、単位ロッドの長さが50〜100cmのものを順次継ぎ足しながら、地盤中に貫入させるようにするとともに、引上げに際しても順次単位ロッドを継ぎ離しするようにする。
【0027】
既設杭1を囲む縁切り面9の形成に当たり、前記ガイドホール7の数や噴射ロッド8の貫入回数を少なくするためには、図6及び図7に示されるように、前記噴射ロッド8の貫入点を既設杭の外周に2点以上設定し、ロッド貫入点間において、一方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面9と、他方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面9とを交差又は連続させることによりパネル状に切削を行うようにしてもよい。なお、図6はロッド貫入点を2点として四角形状に縁切り面9,9…を形成した例であり、図7はロッド貫入点を4点として六角形状に縁切り面9,9…を形成し例である。もちろん、これ以上の多角形状に縁切り面9,9…を形成するようにしてもよい。
【0028】
以上の要領によって既設杭1と地盤との縁切りを図ったならば、図8に示されるように、既設杭1の引上げと、引上げ分の切断とを交互に繰り返しながら撤去を行うようにする。引上げは、同図に示されるように、既設杭の周囲に油圧ジャッキ10,10等の揚重手段を配置しておき、既設杭1に貫通させた梁11を設け、この梁11の両端部をそれぞれ前記油圧ジャッキ10,10により上方に持上げ、既設杭1を所定長さ分だけ引上げたならば、ホイストクレーン12,12により既設杭1を吊持するとともに、前記油圧ジャッキ10,10を収縮させ、既設杭1を貫通させた梁11Bを設け、切断後に既設杭1が落下しないように支持するようにする。そして、この状態でワイヤーソーで既設杭1の上部を切断し、切断した既設杭塊1Aをホイストクレーン12により横方向に移動させるようにする。この手順を順次繰り返すことにより既設杭1を撤去する。なお、杭引き抜きの空洞部には、流動化処理土等の貧配合モルタルを充填するようにする。充填は杭を引き抜きながら、引き抜いた容積分だけ充填材を充填するようにするが、引き抜いた杭を小分割で切り離して撤去するのに長時間を要し、貧配合モルタルの充填材が杭の最下端で硬化し、引き抜きに支障をきたす場合には、杭の最下端に硬化付着しない泥水を注入した後、その下に流動化処理土等の貧配合モルタルの充填材を、杭を引き抜きながら充填する方法もある。さらに、杭の抜き中は泥水を注入して地山安定処理を行い、引き抜きを完了した後、充填材を水中打設する方法もある。
【0029】
(他の形態例)
(1)上記例では既設杭1は場所打ち杭としたが、PC杭、RC杭、鋼管杭、節杭等、杭形式は問わない。
【0030】
(2)既設杭を単独杭としたが、図9に示されるように、鋼管矢板等のように連続した杭であってもよい。この場合は、各鋼管矢板を完全に囲むように縁切り面9を形成することはできないが、周面摩擦力の大部分を縁切りすることは可能である。
【0031】
(3)上記例はアンダーピニングの低空頭空間での施工例であるが、本発明は上空制限のない場合にも適用が可能である。この場合には、噴射ロッドは組立てた状態で一気に建て込むことが可能であるとともに、既設杭についても一気に引き抜いて撤去することが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、既設杭を撤去するに当たり、狭小な場所や低空頭空間であっても、小型の装置を用いた機械化施工によって、確実に既設杭と地山との周面摩擦力をカットすることができるようになるとともに、効率的に杭の撤去が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アンダーピニングの施工手順図である。
【図2】 本発明に係る杭の撤去要領を示す全体図である。
【図3】 その拡大図である。
【図4】 既設杭1に対する縁切り要領を示す平面図である。
【図5】 既設杭1に対する他の縁切り要領を示す平面図である。
【図6】 既設杭1に対する他の縁切り要領を示す平面図である。
【図7】 既設杭1に対する他の縁切り要領を示す平面図である。
【図8】 縁切り後の杭の引上げ・撤去要領を示す図である。
【図9】 鋼管矢板の縁切り例を示す平面図である。
【図10】 (A)、(B)は共に噴射ロッド8の構造例を示す先端部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…既設杭、2…建物、3…新設杭、4…敷砂、5…受替版、7…ガイドホール、8…噴射ロッド、9…縁切り面
Claims (6)
- 撤去対象となる既設杭の周囲において、先端部分に超高圧水噴射口を備えた噴射ロッドを地盤中の複数の貫入点に挿入し、その貫入過程又は引上げ過程で超高圧水の噴射により隣接する貫入点間をパネル状に地盤を切削する工程を順次繰り返すことにより、前記既設杭の全周又はその大部分を囲むように多角形状の縁切り面を形成した後、前記既設杭を引抜いて撤去することを特徴とする既設杭の撤去方法。
- 前記噴射ロッドの貫入点を既設杭の外周に3点以上設定し、一つのロッド貫入点から隣接するロッド貫入点までの区間を超高圧水の噴射によってパネル状に切削を行う請求項1記載の既設杭の撤去方法。
- 前記噴射ロッドの貫入点を既設杭の外周に2点以上設定し、ロッド貫入点間において、一方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面と、他方のロッド貫入点から超高圧水噴射によって形成した縁切り面とを交差又は連続させることによりパネル状に切削を行う請求項1記載の既設杭の撤去方法。
- 前記超高圧水の噴射は、その周囲に圧縮空気を随伴させながら行うようにする請求項1〜3いずれかに記載の既設杭の撤去方法。
- 前記噴射ロッドは単管、二重管あるいは三重管を使用する請求項1〜4いずれかに記載の既設杭の撤去方法。
- 前記既設杭の撤去は、引上げと、引上げ分の切断とを交互に繰り返しながら行うようにする請求項1〜5いずれかに記載の既設杭の撤去方法。
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