JP2004339894A - 杭基礎構造物の耐震補強構造 - Google Patents

杭基礎構造物の耐震補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】地震時水平方向力作用時における既設あるいは新設の構造物の基礎フーチングの過大な変位を防止し、フーチングを支持する既設杭に作用する地震時水平方向力の低減を図る。
【解決手段】杭基礎構造物1のフーチング3の外周に設けられた杭基礎構造物の耐震補強構造であって、フーチング3の周囲を取り囲むように設けられ、地震時水平方向力作用時に杭基礎構造物1から伝達された水平変位の一部を吸収するとともに塊状体として変位する充填材21で満たされた緩衝層20と、緩衝層20内に生じた受働すべり面より上側の塊状体の変位を受けて剛体変位して地震時水平方向力を負担する水平変位抑止構造とを備えた。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は杭基礎構造物の耐震補強構造に係り、地震時水平方向力作用時における既設あるいは新設の構造物の基礎フーチングの過大な変位を防止し、フーチングを支持する既設杭に作用する地震時水平方向力の低減を図るようにした杭基礎構造物の耐震補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
高架橋の橋脚の杭基礎構造等では、設計当初の構造物重量及び地震時荷重に対して十分な耐力と靱性が確保できるように構造設計が行われ、基礎フーチングの寸法、杭径、本数等の諸元が決定されているが、供用後に従前より厳しく耐震設計基準が改正されたり、上部工の増設等により設定荷重が増加した場合、杭基礎構造における所要の地震時耐力等の確保が困難となる場合がある。
【0003】
このような場合に対して既設構造物基礎では既存構造に付加する形で各種の耐震補強が行われている。図9〜図11は従来の基礎構造物の耐震補強構造の一例を示した一部断面図である。図9は、既設フーチング50の外周を囲むように増設フーチング51を一体化させた増し杭構造による耐震補強構造の一例を示している。この増し杭構造では、既設杭52と同等耐力の新設杭53を打設するとともに、杭頭を固定するための増設フーチング51が既設フーチング50の側面に多数のアンカー筋等のせん断負担材54を介して一体的に接合されている。これにより既設部に加え、新設杭53及び一体的に拡幅されたフーチング50,51により鉛直荷重、地震時の水平荷重を負担するようになっている。
【0004】
図10は、増設フーチング51の下方の地中部に、既設杭52の杭頭周囲を囲むように地中連続壁55を造成した耐震補強構造の一例を示している。この耐震補強構造では同図に示したように、既設杭52を囲むように、増設フーチング51と一体的に造成された地中連続壁55が地震時に作用する水平方向力を負担し、地中連続壁55で囲まれた地盤内に位置する既設杭52の杭頭への水平方向力の作用を低減できるようになっている。
【0005】
これらの耐震補強構造例では、構造物に作用する水平力を新設杭や地中連続壁に伝達するため、杭や地中連続壁を既存のフーチングと剛結する必要があるため、多数のアンカー等を介して拡幅部の増設フーチングを既設フーチングに一体化させる必要があり、煩雑な増設工事を要する。また、増設フーチングによる基礎平面が拡幅されるため、土地の制限を受ける場合がある。さらに新設杭、地中連続壁の施工に、大型の施工機械が必要となり、特に高架橋下などのように工事のための架空制限を受ける場所では適切な施工ができないこともある。また、図15に示した地中連続壁では、地中連続壁が構造上十分な鉛直支持力を有しないため、耐震補強工の重量分だけ既設杭の軸力が増加し過度な応力状態が生じるという問題もある。
【0006】
これに対して、十分な水平方向支持力と鉛直支持力とを備えた耐震補強構造の例として既設フーチング60の周囲に、大径の地盤改良体62を造成するとともに、この地盤改良体62内に既製杭63を打設した複合杭を施工し、それらの杭頭を増設フーチング61で固定し、増設フーチング61を既設フーチング60に一体化させることで、水平方向、鉛直方向に十分な支持力が得られる耐震補強構造が提案されている(図11,たとえば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−188157公報(第4頁[0018]〜[0020])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の先行技術文献情報に開示された耐震補強構造は、図11に示したように、既設フーチングの外周に高圧噴射撹拌工法によって造成された大径の改良体内に既製杭を打設することで、既製杭の鉛直支持力を改良体で負担するようにしたので、新設杭を支持層まで到達させることなく、鉛直支持力を負担できるようにしている。このため、改良体頭部、既製杭頭部の固定を行うために十分剛性の高い増設フーチングを既設フーチングと一体的に構築する必要がある。既設フーチングの周囲に施工される改良体、既製杭、及び増設フーチングとが一体となった耐震補強構造とする各部材を施工し、さらにそれぞれを一体化させる多くの施工工程を要する。また、高架下等においては既製杭の長さ等の制限を受けるため、施工できないケースもあり得る。
【0009】
一方、出願人は上述した課題を解決可能な手段として、杭基礎構造物のフーチングの外周面を囲むように、絶縁層を介して地震時水平方向力を負担する水平変位抑止枠構造を構築した杭基礎構造物の耐震補強構造を提案している(特願2002−329071)。この発明によれば、既設構造物の基礎周辺に、アスファルト充填層等からなる絶縁層を介して、擁壁形状等からなる基礎水平変位抑止枠構造を構築し、この基礎水平変位抑止枠構造が地震時に作用する水平方向力を十分負担するため、既設構造物の杭基礎に対して鉛直荷重の増加を生じさせることなく、地震時に既設杭に作用する水平力を低減することができる。
【0010】
しかし、既設構造物の形状により応答が大きい場合や、既設構造物と自由地盤変位の位相差が大きい場合には、前述の手法では、フーチング部分の拘束が大きすぎ、杭基礎の防護は果たせても上部構造側に大きな加速度を生じさせる原因となるおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、簡易な耐震補強構造により既設構造物のフーチングの過大変位を防止し、これによりフーチングを支持する杭基礎に作用する地震時水平方向力の負担低減を図れるようにした杭基礎構造物の耐震補強構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、杭基礎構造物のフーチングの外周に設けられた杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記フーチングの周囲を取り囲むように設けられ、地震時水平方向力作用時に前記杭基礎構造物から伝達された水平変位の一部を吸収するとともに塊状体として変位する充填材で満たされた緩衝層と、該緩衝層内に生じた受働すべり面より上側の前記塊状体の変位を受けて剛体変位して前記地震時水平方向力を負担する水平変位抑止構造とを備えたことを特徴とする。
【0013】
このとき前記水平変位抑止構造は、前記緩衝層内に生じる前記塊状体の変位を保持可能な立壁部を有する、前記フーチングの外周面を囲むように構築された擁壁構造からなり、該立壁部と一体構築された底版の下面と地盤面との底面摩擦により地震時水平方向力に抵抗させるものである。
【0014】
また、前記緩衝層は、現地発生土または所定のせん断抵抗角が確保された混合改良土からなる充填材が所定密度で充填することが好ましい。
【0015】
前記水平変位抑止構造は、前記底版の下面を粗面に仕上げることで、底面摩擦を増加させることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造の一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は既設構造物としての橋脚基礎のフーチングの外周に構築された本発明の耐震補強構造の一部を切欠いて示した斜視図で、図2は同正面図及び平面図である。図1において、既設構造物1は、本実施の形態では、縦横に等間隔をあけて打設された9本の杭2(図2(b)参照)と、この杭2の杭頭を固定してなる平面視して矩形形状をなす鉄筋コンクリート製のフーチング3と、このフーチング3上に一体的に立設された鉄筋コンクリート柱4とからなる(上部工の図示は省略している)。そしてこの既設構造物1のフーチング3の外周を囲むようにして耐震補強構造が構築されている。なお、以下の説明では既設構造物1のフーチング3の耐震補強を例に説明を行っているが、新設構造物における同様の基礎フーチングに本発明の耐震補強構造を適用することも有効であることは言うまでもない。
【0017】
耐震補強構造は、図1に示したように耐震補強の対象となる既設杭基礎構造物1の基礎フーチング3の外周を取り囲むように構築された基礎水平変位抑止構造10と、該基礎水平変位抑止構造10の内側でフーチング3を所定幅で囲むように形成された緩衝層20とから構成されている。
【0018】
本実施の形態による基礎水平変位抑止構造10は、図1,図2に示したような断面形がL型をなす鉄筋コンクリート製の擁壁構造11からなる。立壁12の前面は、フーチング3の外周面に面し、その高さはフーチング厚さに等しく、所定の底版長さを有する。またフーチング3の外周面を完全に囲むように設けられている。なお、立て壁12の高さと底版13の長さとは基礎水平変位抑止構造10の目標抵抗値により適宜設定され、その断面形状が決定される。すなわち、基礎水平変位抑止構造10が、図1に示したような擁壁構造11である場合には、その立壁12の高さおよび底版13の底面積を、耐震補強構造において必要とされる水平抵抗力に応じて適宜に設定すればよい。すなわち、大きな水平抵抗力を必要とする場合には底版13の底面積を広くするか、底版13に作用する鉛直荷重を増やすか、立壁12の高さを高くすればよい。
【0019】
緩衝層20は、図1〜図3に示したように、フーチング3の側面の外周を、所定幅で平面視して□形状をなすように囲むように、基礎水平変位抑止構造10の立壁12の前面との間が所定粒度分布からなる充填材21で満たされた水平変位を一部減衰しつつ、水平方向力を立壁12に伝達する機能層である。充填材21としては、所定の一軸圧縮強さとせん断抵抗角φを有すれば現地発生土をそのまま利用でき、調整材料として、良質土を混合して所定のせん断抵抗角を有するようにした改良土、単粒砕石、発泡ビーズを混合して所定の密度、変形追従性を確保した混合軽量土等を用いることができる。混合する発泡ビーズとしては、粒径1〜10mm程度の発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等の公知樹脂材料を用いればよい。また、土材料を充填する代わりに大型の発泡スチロール(EPS)、硬質ウレタンブロック等を設置して緩衝層とすることもできる。
【0020】
[耐震補強構造の構築]
上述の基礎水平変位抑止構造10と緩衝層20とを構築する施工手順の一例としては、まず図2(b)に示したように、緩衝層の幅Dと、基礎水平変位抑止構造10の底版13の幅Dとを考慮して決定されたフーチング3の周囲の地盤の所定範囲で掘削する。このとき地盤状態に応じて土留め工等を施し、掘削空間の確保を図ることが好ましい。次いでフーチング3の外周を緩衝層の幅Dだけ離して取り囲むように、擁壁構造11を構築する。擁壁構造11は現場施工の鉄筋コンクリート構造としてもよいし、プレキャストコンクリート製品を搬入して長手方向に隣接する壁体間をPC鋼材等を用いて一体構造とさせることもできる。その後、フーチング3と擁壁構造11との間に充填材21を充填する。充填材21の積層高さと合わせて擁壁構造11の背面部分を埋戻して埋戻し土15と擁壁構造11とを一体化させ、基礎水平変位抑止構造10を完成させる。
【0021】
ここで、図2(a)、図3を参照して、地震時における緩衝層20と、基礎水平変位抑止構造10の挙動について説明する。緩衝層20と基礎水平変位抑止構造10とを有する耐震補強構造を設けた既設構造物に、地震力等の水平方向力が作用すると、地中に位置する既設構造物のフーチング3と基礎水平変位抑止構造10とには、それぞれの構造物の形状、質量、構造系に応じた応答変位が生じる。このとき既設構造物の質量は、フーチング、橋脚、橋脚で支持する上部工の総和であり、基礎水平変位抑止構造10は、上述の擁壁構造11とその背面の底版13上の埋戻し土15を合わせた質量を有する。この結果、フーチング3には、多大な上部の質量の影響を受けて地盤変位とほぼ一体に変位する基礎水平変位抑止構造10に比べ、位相差を持つ大きな水平変位が生じる。そして図3に示したように、フーチング3の移動方向前面でこの緩衝層20を押圧する。このとき緩衝層20内部では、充填材21の粒子間の噛み合いによって形成されている空隙が圧縮され、水平方向変位の一部が吸収され低減されるとともに、フーチング3の前面からの受働土圧に相当する一様水平方向力が作用した状態となり、緩衝層20内には充填材21のせん断抵抗角に応じた受働すべり面Sが生じる。そしてこの受働すべり面Sより上側の充填材21が塊状となって変位し、基礎水平変位抑止構造10の立壁12に水平荷重として作用する。このとき立壁12の脚部は作用する地震時水平方向力に応じた補強がなされている。また、擁壁底版13の底面13aは粗面となっており、底面13aと地盤との間には十分な摩擦力が生じ、この摩擦力の分だけ杭2が負担する水平方向力が低減される。すなわち既設の杭2の耐力を越えた分の水平方向力の負担が可能となり、既設杭基礎構造物1の耐震性が向上する。基礎水平変位抑止構造10としての擁壁構造11の底面13aに作用する摩擦力の限界値は、砂地盤では擁壁構造11の自重と埋戻し土15の重量の和に摩擦係数を乗じたものとなる。粘性土地盤では、地盤の粘着力と摩擦力の小さい方で決まる。
【0022】
[基礎水平変位抑止構造の断面形状]
以上述べたように、緩衝層20と基礎水平変位抑止構造10の耐震作用を十分発揮させるためには、基礎水平変位抑止構造10としての鉛直荷重を十分大きくし、その底面と地盤面との間で十分大きな底面摩擦を確保することが重要である。図4各図は、基礎水平変位抑止構造20の断面形状として、想定される各種断面形状を示した断面図である。図4(a)に示した擁壁構造11は、もっとも基本的な断面を示しているが、図4(a)の例では、フーチング3の外面に絶縁層22が設けられている。この絶縁層22は鉛直方向に生じるフーチング3と緩衝層20間の鉛直変位を完全に吸収できる変形能力を有する。本実施の形態では、この絶縁層20はアスファルト充填層からなるが、絶縁材料としてはアスファルト等の瀝青材料の充填材料の他、せん断変形性が十分大きい各種ゴム系材料、ゴム系エラストマー等の弾性部材をフーチング3の側面に固着するようにしてもよい。
【0023】
このとき基礎水平変位抑止構造の底面に十分な鉛直荷重を作用させるのに、たとえば図4(b)に示したような矩形断面形状の中実重量構造18とすることが好ましい。この場合にも中実重量構造構造18は、その内側面が緩衝層20を介してフーチング3の外周面を囲むように構築されている。この中実重量構造18は、自重が擁壁構造11の重量と底版13上の埋戻し土15の土被り重量の和より大きくなるので、中実重量構造18の底面18aと地盤面との摩擦は、擁壁構造11(図4(a))底版13の底面13aと地盤面との摩擦より大きくなる。
【0024】
また、既設杭構造物に対して、設置される基礎水平変位抑止構造の水平方向力の負担が十分見込まれるならば、図4(c)に示したような地中スラブ構造19を基礎水平変位抑止構造10として採用することもできる。この場合、図4(c)に示した地中スラブ構造19では、埋戻し土15の重量との和により鉛直荷重が決定するが、地中スラブ構造19の底面19aと地盤面との摩擦が十分とれるようにするとともに、緩衝層20に生じる受働すべり面に沿った土塊変位を地中スラブ構造19が確実に負担できるようなスラブ厚にする。このように、基礎水平変位抑止構造の断面形状は、緩衝層20内に生じ受働すべり面より上側の土塊の変位を確実に伝達できる寸法を有し、また底面と地盤面との間の摩擦により得られる目標抵抗が満たされれば、種々の断面形状、寸法に設定できる。
【0025】
基礎水平変位抑止構造10としての擁壁構造11は、地震時に緩衝層20の充填材21の塊状体(すべり塊)の水平変位に抵抗しながら変位するように想定されている。このとき擁壁構造11の底面13aが地盤に対して十分な摩擦抵抗を発揮し、フーチング3を囲む枠体構造全体が一様に剛体変位できるような剛性が必要がある。そのため、上述したL型擁壁において立壁12の剛性が不足するおそれがある場合には立壁12の背面に控え壁16を設けることが好ましい(図5(a))。また、十分な剛性を確保するためには、上方が開放された箱形断面17とし、内部に埋戻し土15を充填させることが好ましい(図5(b))。
【0026】
[底面摩擦の増加、水平変位の拘束手段]
図6各図は基礎水平変位抑止構造10の底面摩擦の増加を図るための構成を示している。図6(a)は基礎水平変位抑止構造10の一実施の形態としての擁壁構造11において、その底版13下の地盤面に割栗石30を敷設し、底版13との摩擦増加を図った例を示している。図6(b)は、擁壁構造11の底版13との境界地盤に地盤改良層31を設け、底版13の底面にせん断キーとしての突起13bを形成して地盤面に対するせん断抵抗を増加させるようにした例を示している。上述の構成により底面摩擦の増加を図ることにより、フーチング3の杭2の水平抵抗負担分を大幅に低減することができる。また、地震時にフーチング3から緩衝層20を介して擁壁構造11に加わる水平方向力による基礎水平変位抑止構造10の変位を積極的に拘束する手段として、図7各図に示した構成を採用することもできる。すなわち、図7(a)は擁壁構造11の底版13下に短杭32を打設し、短杭の杭頭を底版13に固定した構造を示している。この場合、短杭32が鉛直荷重を支持して底面摩擦が減少しないように、杭周面に摩擦低減処理を行うことが好ましい。また、受働すべり面Sが杭断面を横切ることになるので、杭断面の水平せん断に対する安全性を確保することが必要である。図7(b)は比較的低い立壁12を有する擁壁構造11とし、底版13からその下部の地盤にかけてアンカーボルト33を所定の傾角で打設し、各アンカーボルト33に水平方向分力を負担させるようにした例を示している。なお、地震力作用時には、擁壁構造11から外周に向けて打設されたアンカーボルト33のうち、引張材として作用する方向に位置するアンカーボルト33が有効に機能する。またこの場合にもアンカー体34が受働すべり面Sより下側に位置し、アンカーの外的安定性を確保することが必要である。
【0027】
図8各図は、既設構造物に対して設けられる緩衝層20と基礎水平変位抑止構造10の変形例について示している。以上の説明では緩衝層20と基礎水平変位抑止構造10は既設構造物の外周を取り囲むように構成されていたが、図8(a)に示したように、臨海部における護岸工の背面に構築された杭構造物の場合、地震時の水平方向力は護岸構造物を海側に押し出すように作用し、この結果側方流動現象が生じることが多く確認されている。このように既設構造物の立地条件により作用する水平方向力が一方向に顕著な場合には、図8(b)に示したように、予想される水平変位方向に直交するように擁壁構造11を設け、フーチング3との間に、充填材21で満たされた緩衝層20を設けることが好ましい。このように荷重条件、構造条件によって特定方向の変位、作用力が顕著なことが予想される場合には、その方向に対して耐震性能を発揮するように耐震補強構造を採用することが経済上、好ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、比較的簡易に構築できる基礎水平変位抑止構造の底面摩擦抵抗及び緩衝層での変位吸収により、既設構造物等の地震時水平方向への過大な変位を防止することができ、これにより既設構造物に作用する水平方向力を低減させ、基礎フーチングを支持する杭への水平方向力を十分低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による杭基礎構造物の耐震補強構造の一実施の形態を示した斜視図。
【図2】本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造の一例を示した正面図、平面図。
【図3】緩衝層、基礎水平変位抑止構造の配置例を示した部分断面図。
【図4】緩衝層、基礎水平変位抑止構造の形状例を示した部分断面図。
【図5】基礎水平変位抑止構造の形状例を示した部分断面図。
【図6】擁壁構造の底版の底面摩擦の増加方法について示した部分断面図。
【図7】擁壁構造の底版の支持例について示した部分断面図。
【図8】緩衝層、基礎水平変位抑止構造の配置変形例を示した正面図、平面図。
【図9】従来の耐震補強構造(増し杭方式)の一例を示した部分断面図。
【図10】従来の耐震補強構造(連壁方式)の一例を示した部分断面図。
【図11】従来の耐震補強構造(複合杭方式)の一例を示した部分断面図。
【符号の説明】
1 既設構造物
2 杭
3 フーチング
10 基礎水平変位抑止構造
11 擁壁構造
12 立壁
13 底版
15 埋戻し土
18 中実重量構造
19 スラブ構造
20 緩衝層
21 充填材

Claims (4)

  1. 杭基礎構造物のフーチングの外周に設けられた杭基礎構造物の耐震補強構造であって、前記フーチングの周囲を取り囲むように設けられ、地震時水平方向力作用時に前記杭基礎構造物から伝達された水平変位の一部を吸収するとともに塊状体として変位する充填材で満たされた緩衝層と、該緩衝層内に生じた受働すべり面より上側の前記塊状体の変位を受けて剛体変位して前記地震時水平方向力を負担する水平変位抑止構造とを備えたことを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
  2. 前記水平変位抑止構造は、前記緩衝層内に生じる前記塊状体の変位を保持可能な立壁部を有する、前記フーチングの外周面を囲むように構築された擁壁構造からなり、該立壁部と一体構築された底版の下面と地盤面との底面摩擦により地震時水平方向力に抵抗することを特徴とする請求項1に記載の杭基礎構造物の耐震補強構造。
  3. 前記緩衝層は、現地発生土または所定のせん断抵抗角が確保された混合改良土からなる充填材が所定密度で充填されたことを特徴とする請求項1に記載の杭基礎構造物の耐震補強構造。
  4. 前記水平変位抑止構造は、前記底版の下面が粗面仕上げされたことを特徴とする請求項2に記載の杭基礎構造物の耐震補強構造。
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