JP4786066B2 - 帯状ゴム板冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出し成形された帯状ゴム板を搬送機構を用いて搬送しながら冷却する帯状ゴム板冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
かかる帯状ゴム板の一例として、タイヤのトレッド部を構成する帯状ゴム板がある。この帯状ゴム板は、押出し成型機から連続的に帯状に押し出し成型される。この押出し成形された直後の帯状ゴム板は、加熱された状態であり、常温にまで冷却させる必要がある。そのため、加熱されている帯状ゴム板を冷却する帯状ゴム板冷却装置が知られている。
【0003】
この冷却装置は、連続的に成形される帯状ゴム板をベルトコンベアの上に搭載させて搬送する。そして、帯状ゴム板の上方から冷却水を噴霧し、帯状ゴム板を冷却する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、帯状ゴム板を冷却すると、冷却に伴い帯状ゴム板の寸法が縮もうとする。帯状ゴム板が収縮しようとすると、帯状ゴム板がベルトコンベアの上のその縮み分だけ動こうとする。しかし、帯状ゴム板をベルトコンベアの上に搭載していると、ベルトコンベアとの摩擦力により、動きが拘束されてしまい、収縮しにくいという問題がある。このように帯状ゴム板が拘束された状態で収縮をさせると、内部に残留歪みが発生する。かかる帯状ゴム板は、冷却された後に所定の寸法に切断されるが、切断後の帯状ゴム板は重量の分布が不均一となる。その結果、タイヤのアンバランスを引き起こし、品質低下の原因となる。
【0005】
そこで、搬送機構として単一のベルトコンベアではなく、搬送経路に沿って複数のベルトコンベアを配置していた。そして、ベルトコンベアとベルトコンベアの間に、帯状ゴム板がフリーになる領域( 拘束されない領域) を設け、この領域で帯状ゴム板を収縮させるようにしていた。
【0006】
しかしながら、帯状ゴム板の冷却は徐々に行われるものであり、上記フリー領域でのみ帯状ゴム板を収縮させることは難しい。そして、帯状ゴム板がフリー領域を通過する際に、帯状ゴム板が屈曲し、これが原因で別の歪みが残留する。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、押出し成形後の帯状ゴム板を冷却するに際し、内部に歪みが発生しにくい帯状ゴム板冷却装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る帯状ゴム板冷却装置は、
押出し成形された帯状ゴム板を搬送機構を用いて搬送しながら冷却する帯状ゴム板冷却装置であって、
前記搬送機構は、
循環経路に沿って循環駆動される多数のローラ軸と、
前記多数のローラ軸にそれぞれ設けられており、前記ローラ軸の軸方向に沿って間隔をあけて複数配置され、かつ、前記ローラ軸に対して回転自在に取り付けられるローラとを備え、
前記ローラの上に前記帯状ゴム板を搭載して搬送するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
この構成による帯状ゴム板冷却装置の作用・効果は、以下の通りである。
ローラ軸の軸方向に沿って間隔をあけて複数配置され、かつ、ローラ軸に対して回転自在に取り付けられるローラに搭載した状態で、帯状ゴム板が搬送される。そして、帯状ゴム板が冷却する時に、帯状ゴム板がローラ上で収縮しようとする。このとき、ローラはローラ軸に対して回転自在に取り付けられているから、帯状ゴム板が収縮する動きにローラが追従することができる。つまり、帯状ゴム板が収縮する動きが拘束されることがない。その結果、押出し成形後の帯状ゴム板を冷却するに際し、内部に歪みが発生しにくい帯状ゴム板冷却装置を提供することができる。
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る別の帯状ゴム板冷却装置は、
押出し成形された帯状ゴム板を搬送機構を用いて搬送しながら冷却する帯状ゴム板冷却装置であって、
搬送経路の上方に冷却水を噴霧する冷却水噴霧機構を備え、
前記搬送経路の下方に冷却水タンクを備え、
前記搬送機構は、
循環経路に沿って循環駆動される多数のローラ軸と、
前記多数のローラ軸にそれぞれ設けられており、前記ローラ軸の軸方向に沿って間隔をあけて複数配置され、かつ、前記ローラ軸に対して回転自在に取り付けられるローラとを備え、
前記ローラの上に前記帯状ゴム板を搭載し、上方から前記帯状ゴム板に冷却水を噴霧すると共に、前記帯状ゴム板の下面を前記冷却水タンクの冷却水により冷却しながら搬送するように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
この構成による帯状ゴム板冷却装置は、先ほど説明したように、帯状ゴム板が冷却する時に、帯状ゴム板がローラ上で収縮しようとするとき、ローラはローラ軸に対して回転自在に取り付けられているから、帯状ゴム板が収縮する動きにローラが追従することができる。また、帯状ゴム板の上面は、上方から噴霧される冷却水により冷却され、下面は、冷却水タンクの冷却水により冷却される。その結果、押出し成形後の帯状ゴム板を冷却水により冷却するに際し、内部に歪みが発生しにくい帯状ゴム板冷却装置を提供することができる。
【0011】
本発明の好適な実施形態として、前記ローラ軸に沿った複数の前記ローラの配置は、搬送方向の前後方向で交互にずれた千鳥状に配置されているものがあげられる。
【0012】
帯状ゴム板は、複数のローラに搭載されて支持されるが、ローラとローラの間の領域は、ローラによる支持が行われないため、その領域が大きくなりすぎると帯状ゴム板が落ち込み変形してしまう可能性がある。そこで、搬送方向の前後方向で交互にずれた千鳥状に配置する。 これにより、ローラとローラの間の領域に前後方向のローラが入り込むことができる。その結果、帯状ゴム板の落ち込みを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、本発明に適用できる帯状ゴム板の具体例について、 図1により説明する。この帯状ゴム板は、空気入りタイヤのトレッド部を形成するために用いられる。
まず、公知の押出し装置により帯状ゴム板1が連続的に成型される。連続成型される帯状ゴム板1は、不図示の搬送機構により図1の左から右側へと搬送される。押出し成型された帯状ゴム板は温度が高い状態であり、これを本発明にかかる帯状ゴム板冷却装置により常温まで冷却する。
【0014】
次に、この帯状ゴム板1を公知の切断装置を用いて、 所定の長さの帯状ゴム板2になるように切断する。この帯状ゴム板2は、搬送方向に沿って所定の長さを有すると共に、紙面垂直方向に所定の幅寸法を有している。また、切断装置により切断されることにより、前後方向に2箇所の切断面2aを有する。 この2箇所の切断面2aに夫々接着剤を塗布するために、接着剤塗布装置が設けられている。すなわち、 切断面2aは接着面でもある。
【0015】
切断面2aに接着剤が塗布されると、ドラム3の外周に巻きつけられ、切断面2aどうしがジョイントされる。その後は、所定の処理工程を実施することにより、 製品としての空気入りタイヤを製造することができる。
【0016】
<帯状ゴム板冷却装置の構成>
次に、押出し成形後の帯状ゴム板を冷却するための帯状ゴム板冷却装置の構成を説明する。図2は、帯状ゴム板冷却装置の概略構成を示す側面図、図3は、搬送方向視の断面図、図4は同じ搬送方向視のヘッド部の断面図、図5は搬送機構の斜視図、 図6はローラの構成を示す拡大断面図、図7は搬送機構の平面図である。
図2に示すように、帯状ゴム板冷却装置5は大きく分けて、帯状ゴム板1を搬送するための搬送機構6と、帯状ゴム板1を冷却するための冷却水噴霧機構7とに分けることができる。 搬送機構6は、搬送経路の幅方向両側に一対のチェーン10を備えている。一対のチェーン10は、搬送経路の前後で一対のスプロケット11に巻回されている。一対のチェーン10の間には、多数のローラ軸12が架け渡されている。多数のローラ軸12は、所定ピッチで配列され、チェーン10の駆動に伴い循環駆動される。
【0017】
図4に、チェーン10を駆動するための機構が示されている。図4は、前後のスプロケット11のうちの下流側のスプロケット11の中心線で切断した断面図である。搬送幅方向一対のスプロケット11は、ヘッド軸13により連結される。ヘッド軸13は、軸方向の両端部が一対のヘッド軸受14により支持され、このヘッド軸受14は、ヘッド軸受取付台15により取り付けられている。また、スプロケット11と連結されるギヤードモータ19が設けられている。ギヤードモータ19のモータ軸に結合されたスプロケット17と、ヘッド軸13と同軸に結合されたスプロケット16とをチェーン18により連結している。これにより、ギヤードモータ19を駆動することにより、チェーン10を駆動し、帯状ゴム板1を搬送することができる。
【0018】
次に、搬送機構6のうちのローラに関して詳しく説明する。図5〜7に分かりやすく示すように、ローラ軸12には軸方向に沿って、所定の間隔でローラ20,20’が取付けられる。各ローラ20,20’を所定間隔(ピッチ=P)に保持するために、各ローラ軸12の外周にはカラー21が嵌合する。また、搬送方向の前後方向で、図6(a)に示す構造のローラ軸と(b)に示す構造のローラ軸とが交互に(順番に)配置されている。つまり、図7に示すように、平面視で(搬送面を上方から見て)ローラ20,20’は千鳥状に配置されている。より具体的にいうと、搬送方向の前後のローラ20,20’は、ピッチがP/2ほどずれて配置される。
【0019】
各ローラ軸12はステンレス等の金属で形成され、これにより十分な強度を確保する。また、各ローラ20,20’は、合成樹脂で形成され、軽い力で回転できるようにしている。図6(a)のローラ軸12の場合は、軸方向に沿って5個のローラ20が配置され、(b)の場合は4個のローラ20’が配置される。ただし、ローラの個数はこれに限定されるものではなく、 ローラ20,20’の配置個数は任意に設定できるものである。
【0020】
また、各ローラ軸12の配列ピッチQと、ローラ20,20’の外径Dとを比較すると、外径Dの大きさよりも配列ピッチQのほうが小さくなるように設定されている(図7参照)。これにより、ローラ間のすき間ができるだけ小さくなるようにしている。帯状ゴム板1は、これら多数のローラ20,20’の上に搭載されるが、ローラ間のすき間を少なくすることにより、ローラ間に帯状ゴム板1が落ち込まないようにしている。その結果、帯状ゴム板1をスムーズに搬送させることができる。
【0021】
さらに、各ローラ20,20’は、ローラ軸12に対して相対的に回転自在になるように取付られる。図6に示すように、 一対のチェーン10の下部には、支持フレーム22が設けられており、チェーン10の変形を防ぎ、チェーン10の移動をスムーズに行えるようにしている。 支持フレーム22は、さらに別の支持フレーム23に取付支持される(図3参照)。
【0022】
搬送機構6のほぼ全体は、支持フレーム24,25により囲まれており(図3,4参照)、これら支持フレーム24,25により冷却水タンクが構成される。冷却水タンクには冷却水が保持されており、搬送される帯状ゴム板1の下面が接触する。これにより、帯状ゴム板1の下面が冷却される。また、水面調整板35が設けられており、水面調整板支持体34に対して上下方向に調整可能となっている。水面調整板35の上部を越えてあふれ出た冷却水は、排出管36から排出される。
【0023】
次に、 冷却水噴霧機構7について説明する。図2に模式的に示すように、シャワーノズル30が搬送経路の上方に所定間隔で配置されている。図3に示すように、搬送経路に沿って(図3の紙面に垂直方向)配管31が設けられており、水が供給される。この配管31に、多数のシャワーノズル30が連結されている。シャワーノズル30から、下方に向けて冷却水(チラー水)が噴霧される。この噴霧冷却水は、帯状ゴム板1の上面に噴霧され、帯状ゴム板1を冷却させる。以上のように、帯状ゴム板1は、上方と下方から冷却されるようになっている。シャワーノズル30及び配管31は、支持フレーム32,33により支持されており、支持フレーム33は、先ほど説明した支持フレーム24に固定されている。
【0024】
<作用>
以上の構成による帯状ゴム板冷却装置5により帯状ゴム板1を冷却する場合を説明する。押出し成形装置から連続して押出し成形される帯状ゴム板1は、本発明による帯状ゴム板冷却装置5に送り込まれてくる。帯状ゴム板1は、搬送機構6の多数のローラ20,20’に搭載されて搬送される。一方、帯状ゴム板1は搬送されながら、冷却水タンク内の冷却水と、シャワーノズル30から噴霧される冷却水により冷却されていく。加熱された状態の帯状ゴム板1が冷却されていくと、寸法が収縮する方向に動こうとする。 帯状ゴム板は、回転自在に取り付けられたローラ20,20’に搭載されているので、帯状ゴム板は収縮動作を拘束されず、無理なく収縮することが可能である。また、ローラ20,20’は樹脂製であるので軽い力で回転することができる。したがって、帯状ゴム板の収縮動作に対して抵抗なく回転することができる。
【0025】
したがって、収縮に伴い帯状ゴム板の内部に残留歪みが発生することはほとんどない。また、収縮後の重量分布精度も大幅に向上する。その結果、品質のよいタイヤのトレッド部を製造することができる。
【0026】
さらに、帯状ゴム板冷却装置についても搬送機構としてコンベアを複数設けて並べる必要はなく、図2に示す構造のコンベアが1つ設けられていればよい。したがって、従来のようにベルトコンベア間の速度制御を行う必要はない。また、ベルトコンベア間のフリーの領域も設ける必要がない。したがって、装置全体を小型化できるという利点もある。
【0027】
<別実施形態>
(1)帯状ゴム板はトレッド部を形成するものに限定されず、タイヤの他の部分や他の任意の製品を形成する場合にも本発明は応用できる。
【0028】
(2)帯状ゴム板を冷却する構造は、本実施形態のものに限定されず、種々の冷却機構を採用することができる。また、帯状ゴム板冷却装置の構成についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用できる帯状ゴム板の処理工程の概略を示す図
【図2】帯状ゴム板冷却装置の概略構成を示す側面図
【図3】帯状ゴム板冷却装置の搬送方向視の断面図
【図4】帯状ゴム板冷却装置の搬送方向視のヘッド部の断面図
【図5】搬送機構の斜視図
【図6】搬送機構のローラの構成を示す拡大断面図
【図7】搬送機構の平面図
【符号の説明】
1 帯状ゴム板
5 帯状ゴム板冷却装置
6 搬送機構
7 冷却水噴霧機構
10 チェーン
12 ローラ軸
20,20’ ローラ
30 シャワーノズル
31 配管

Claims (2)

  1. 押出し成形された帯状ゴム板を搬送機構を用いて搬送しながら冷却する帯状ゴム板冷却装置であって、
    搬送経路の上方に冷却水を噴霧する冷却水噴霧機構を備え、
    前記搬送経路の下方に冷却水タンクを備え、
    前記搬送機構は、
    循環経路に沿って循環駆動される多数のローラ軸と、
    前記多数のローラ軸にそれぞれ設けられており、前記ローラ軸の軸方向に沿って間隔をあけて複数配置され、かつ、前記ローラ軸に対して回転自在に取り付けられるローラとを備え、
    前記ローラの上に前記帯状ゴム板を搭載し、上方から前記帯状ゴム板に冷却水を噴霧すると共に、前記帯状ゴム板の下面を前記冷却水タンクの冷却水により冷却しながら搬送するように構成したことを特徴とする帯状ゴム板冷却装置。
  2. 前記ローラ軸に沿った複数の前記ローラの配置は、搬送方向の前後方向で交互にずれた千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の帯状ゴム板冷却装置。
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