しかしながら、かかる特許文献1及び2に代表される従来技術によれば、係員が表示操作部等に表示された復旧操作を行ったにも係わらず依然として障害が除去されない場合には、この表示操作部上に同じ案内表示しかなされないため実効的な障害対処を行うことができず、結果的に障害対処が遅延したり専門家であるメンテンス員に頼らざるを得なくなるといった問題がある。
例えば、ATMの一部をなす硬貨ユニットに硬貨詰まりらしき障害が発生した場合には、表示操作部上に「コインを取り除いてください」という旨の表示がなされるが、係員がコインを取り除いたとしても障害から回復せず、繰り返し同じエラーコードが発生する場合がある。このような場合に、上記特許文献1及び2を用いたとしても、表示操作部には依然として「コインを取り除いてください」との表示がなされるため係員には実効的な対応策が分からないため、係員はマニュアルを見比べながら障害対処操作を行わねばならず障害対処に時間を要する結果となる。加えて、マニュアルに精通していない係員の場合には、たとえセンサを清掃すれば回復する場合であってもメンテナンス員を呼ばざるを得ない状況が生ずる。なお、かかる場合の対応策を表示操作部上にすべて表示することも考えられるが、いたずらに多くの対応策を表示したのでは却って係員の混乱を招き、結果的に障害対処が遅延する原因となる。
これらのことから、自動取引機に障害が発生した場合に、この障害から復旧するまでの実効性ある案内表示をいかに行うか、いかにして係員に適正な障害復旧行為を行わせるかが極めて重要な課題となっている。なお、かかる課題は、自動取引機のみに生ずるものではなく、この自動取引機の一部をなす硬貨ユニット等について生ずる課題でもある。
この発明は、上記課題(問題点)に鑑みてなされたものであり、障害が発生した場合に、この障害から復旧するまでの実効性ある案内表示を行い、もって係員に適正な障害復旧行為を行わせることができる自動取引機及び硬貨入出金機の係員取扱案内装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、自動取引機を形成する複数のユニットのいずれかに障害が発生した場合に、該ユニットの障害に対処するための取扱操作を所定の操作表示部に表示して係員による取扱操作を案内する自動取引機の係員取扱案内装置であって、前記複数のユニットのいずれかに生じた障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶する発生回数記憶手段と、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を前記発生回数記憶手段を参照して算定する算定手段と、前記算定手段により算定された当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には前記操作表示部に第1の案内表示を行い、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上である場合には前記操作表示部に前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を行うよう表示制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記表示制御手段は、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には前記操作表示部に前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を行い、前記エラーコードの発生回数が前記第2のしきい値以上である場合には、前記操作表示部に前記第2の案内表示とは異なる第3の案内表示を行うよう表示制御することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、エラーコードごとに設定可能な第1のしきい値若しくは第1のしきい値及び第2のしきい値を各エラーコードに対応付けて記憶するしきい値テーブルをさらに備え、前記表示制御手段は、前記しきい値テーブルから取り出した前記第1のしきい値若しくは前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値と前記算定手段により算定された当該エラーコードの発生回数とを比較することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記エラーコードに対応する障害が復旧した時点で、前記発生回数記憶手段に記憶した当該エラーコードに対応する発生回数を0に初期化する初期化手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、最初にエラーコードが発生してから所定の期間経過後に前記発生回数記憶手段に記憶した当該エラーコードに対応する発生回数を0に初期化する初期化手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明は、自動取引機の一部を形成し、障害が発生した場合に該障害に対応するコードを自動取引機本体に送信し、該自動取引機本体に配設された所定の操作表示部に前記コードに対応する取扱操作を表示させる硬貨入出金機の係員取扱案内装置であって、前記障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶する発生回数記憶手段と、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を前記発生回数記憶手段を参照して算定する算定手段と、前記算定手段により算定された当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には第1の案内表示に対応する第1の復旧コードを前記自動取引機本体に送信し、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上である場合には前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示に対応する第2の復旧コードを前記自動取引機本体に送信するよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御手段は、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示に対応する第2の復旧コードを前記自動取引機本体に送信し、前記エラーコードの発生回数が前記第2のしきい値以上である場合には、前記第2の案内表示とは異なる第3の案内表示に対応する第3の復旧コードを前記自動取引機本体に送信するよう制御することを特徴とする。
また、本発明は、障害が発生した場合に該障害に対応する取扱操作を所定の操作表示部に表示する硬貨入出金機の係員取扱案内装置であって、前記障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶する発生回数記憶手段と、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を前記発生回数記憶手段を参照して算定する算定手段と、前記算定手段により算定された当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には前記操作表示部に第1の案内表示を表示制御し、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上である場合には前記操作表示部に前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を表示制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記表示制御手段は、前記エラーコードの発生回数が前記第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には前記操作表示部に前記第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を表示制御し、前記エラーコードの発生回数が前記第2のしきい値以上である場合には、前記操作表示部に前記第2の案内表示とは異なる第3の案内表示を表示制御することを特徴とする。
本発明によれば、複数のユニットのいずれかに生じた障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶しておき、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を算定し、算定した当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には操作表示部に第1の案内表示を行い、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上である場合には操作表示部に第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を行うよう表示制御するよう構成したので、係員が第1の案内表示の操作を行ったにも係わらず障害復旧できない場合に別の観点から実効性の高い案内表示(第2の案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性を高めることが可能になり、係員が有効でない操作を繰り返し行う事態を防ぐことができる。
また、本発明によれば、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には操作表示部に第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を行い、エラーコードの発生回数が第2のしきい値以上である場合には、操作表示部に第2の案内表示とは異なる第3の案内表示を行うよう表示制御するよう構成したので、係員による第2の案内表示に対応する操作でも障害が復旧できない場合に、さらに観点を変えて実効性の高い案内表示(第3の案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性をさらに高めることが可能となる。
また、本発明によれば、エラーコードごとに設定可能な第1のしきい値若しくは第1のしきい値及び第2のしきい値を各エラーコードに対応付けてしきい値テーブルに記憶しておき、このしきい値テーブルから取り出した第1のしきい値若しくは第1のしきい値及び第2のしきい値と算定された当該エラーコードの発生回数とを比較するよう構成したので、障害の種別(エラーコードの種別)ごとに表示案内すなわち係員に行わせる操作の繰り返し回数を規制できるため、より実効性ある障害復旧を行うことができる。
また、本発明によれば、エラーコードに対応する障害が復旧した時点で、発生回数記憶手段に記憶した当該エラーコードに対応する発生回数を0に初期化するよう構成したので、障害が発生してから障害から復旧するまでを一つの区切りとして適宜観点を変えつつ段階的に実効性ある案内表示を行うことができる。
また、本発明によれば、最初にエラーコードが発生してから所定の期間経過後に発生回数記憶手段に記憶した当該エラーコードに対応する発生回数を0に初期化するよう構成したので、障害が発生してから所定の期間までを一つの区切りとして適宜観点を変えつつ段階的に実効性ある案内表示を行うことができる。
また、本発明によれば、障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶しておき、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を算定し、算定した当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には第1の案内表示に対応する第1の復旧コードを自動取引機本体に送信し、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上である場合には第1の案内表示とは異なる第2の案内表示に対応する第2の復旧コードを自動取引機本体に送信制御するよう構成したので、自動取引機の一部を形成する硬貨入出金機に障害が発生した場合に、この障害から復旧するまでの実効性ある案内表示を自動取引機本体の操作表示部上で行い、もって係員に適正な障害復旧行為を行わせることができる。
また、本発明によれば、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には第1の案内表示とは異なる第2の案内表示に対応する第2の復旧コードを自動取引機本体に送信し、エラーコードの発生回数が第2のしきい値以上である場合には、第2の案内表示とは異なる第3の案内表示に対応する第3の復旧コードを自動取引機本体に送信制御するよう構成したので、係員による第2の案内表示に対応する操作でも障害が復旧できない場合に、さらに観点を変えて実効性の高い案内表示(第3の案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性をさらに高めることが可能となる。
また、本発明によれば、障害の種別を示すエラーコードの発生回数をエラーコード毎に記憶しておき、新たな障害が発生した場合に、該障害の種別を示すエラーコードの発生回数を算定し、算定した当該エラーコードの発生回数が第1のしきい値未満である場合には操作表示部に第1の案内表示を行い、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上である場合には操作表示部に第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を表示制御するよう構成したので、硬貨入出金機に障害が発生した場合に、この障害から復旧するまでの実効性ある案内表示を硬貨入出金機の操作表示部上で行い、もって装置単体で係員に適正な障害復旧行為を行わせることができる。
また、本発明によれば、エラーコードの発生回数が第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値未満である場合には操作表示部に第1の案内表示とは異なる第2の案内表示を行い、エラーコードの発生回数が第2のしきい値以上である場合には、操作表示部に第2の案内表示とは異なる第3の案内表示を表示制御するよう構成したので、係員による第2の案内表示に対応する操作でも障害が復旧できない場合に、さらに観点を変えて実効性の高い案内表示(第3の案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性をさらに高めることが可能となる。
まず、本実施例に係るATM1の概要について説明する。図1は、本実施例に係るATM1の装置構成を示す斜視図であり、ここではATM1の後部扉13を開いて硬貨ユニット20を引き出した状態を示している。
同図に示すように、このATM1は、硬貨の入出金を行う硬貨ユニット20と、紙幣の入出金を行う紙幣ユニット30と、通帳への記帳等の通帳に係る各種処理を行う通帳ユニット40と、伝票並びにキャッシュカードに係る処理を行う伝票・カードユニット50とが設けられるとともに、これら各ユニットをATM本体部10内に収納可能に形成されている。
ATM本体部10の後部扉13の内側には、ATM本体部10若しくは各ユニットのいずれかに障害が発生した場合の係員操作手順を表示する係員操作表示部10bが設けられている。例えば、硬貨ユニット20に硬貨詰まり等の障害が発生すると、この硬貨ユニット20がエラーコードに対応する復旧コードをATM本体部10に送信し、ATM本体部10では、この復旧コードに対応する案内表示(ガイダンス表示)をこの係員操作表示部10b上に表示する。このため、金融機関の係員は、この係員操作表示部10bに表示される案内表示を見ながら障害対処を行うことになる。
ここで、この復旧コードは、ATM本体部10若しくは各ユニットのいずれかに障害が発生した場合に、後述する復旧表示処理部11に受け渡されるコードであり、係員操作表示部10b上に表示する案内内容と一対一に対応する。その反面で、この復旧コードはエラーコードとは一対一に対応するものではない。同じエラーコードが繰り返し発生した場合には、観点を変えて案内を行うために異なる復旧コードを復旧表示処理部11に受け渡すこととしているからである。
硬貨ユニット20は、スライドレール25に沿って引き出し可能に形成されており、係員は取手26を持ってこの硬貨ユニット20を引き出すことができる。この硬貨ユニット20には、硬貨を収納するカセット27、エラーコードの表示等を行う操作表示部20a及び図示しない硬貨の真偽判定処理部等が設けられている。なお、説明の便宜上図示省略したが、紙幣ユニット30、通帳ユニット40及び伝票・カードユニット50についても同様にスライドレール25に沿って引き出し可能に形成されている。
次に、ATM本体部10と硬貨ユニット20の内部構成について説明する。図2は、図1に示したATM1の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、ATM本体部10は、顧客操作表示部10a、係員操作表示部10b、音声案内部10c、通信部10d、ROM(Read Only Memory)10e、RAM(Randam Access Memory)10f及びCPU(Central Proseccing Unit)10gを有する。
顧客操作表示部10aは、顧客が現金の預け入れ操作や預金の引き出し等を行う際に用いる操作表示部である。図1では、ATM1を後部側から見た場合を示しているので、この顧客操作表示部10aは図1中に図示されていない。
係員操作表示部10bは、障害発生時に係員による操作手順(障害対処手順)を表示する表示部であり、ATM本体部10若しくは各ユニットから取得した復旧コードに対応する文字列や画像等がこの係員操作表示部10bに表示される。本実施例では、この操作手順を文字列で係員操作表示部10bに表示する場合を示すこととする。なお、この係員操作表示部10bには、図示しないリセットボタンも設けられている。
音声案内部10cは、顧客に対して顧客操作表示部10aの操作手順や入金指示等を音声ガイダンスする処理部であり、通信部10dは、硬貨ユニット20、紙幣ユニット30、通帳ユニット40及び伝票・カードユニット50とデータ通信する通信部である。なお、このATM本体部10には、顧客の預金データ等を管理するセンタと通信するための通信部も設けられるが、この点は本発明に直結する部分ではないので、ここでは図示省略している。
ROM10eは、ATM本体部10が動作するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。RAM10fは、CPU10g上でプログラムが実行される際の各種データ等を記憶するメモリであり、このRAM10f上には、復旧表示テーブル12が記憶される。
この復旧表示テーブル12とは、復旧コードと係員操作表示部10bに表示する文字列とを対応づけて記憶したテーブルであり、具体的には、図3に示すように、復旧コード41には、「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別ベルトノブを回して選別ベルト上の硬貨を除去して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列が対応付けられている。
また、復旧コード42には、「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別部のセンサを清掃して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列が対応付けられており、復旧コード43には、「(1)サービス員へ連絡して下さい。」という文字列が対応づけられている。また、他の復旧コードについても同様にして文字列が対応付けられている。
このため、この復旧表示テーブル12を参照すれば、ATM本体部10又は各ユニットから受信した復旧コードに対応する文字列を係員操作表示部10bに表示することが可能となる。
CPU10gは、ATM1の全体制御並びにATM本体部10の制御を行う制御プログラムを実行するCPUであり、このCPU10g上では、復旧表示処理部11のプログラムが動作実行する。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、このCPU10g上では、現金の預け入れや預金の引き出し等に係る本来のATM機能を発揮するプログラム等も実行される。
この復旧表示処理部11は、ATM本体部10又は各ユニットから取得した復旧コードに対応する文字列を復旧表示テーブル12から読み出して、係員操作表示部10b上に表示制御する処理部である。
また、図2に示すように、硬貨ユニット20は、操作表示部20a、エラー検知部20b、各センサ部20c、各駆動部20d、通信部20e、ROM20f、RAM20g及びCPU20hを有する。
操作表示部20aは、エラーコードや復旧コード等の表示を行うとともにリセットボタンや設定ボタンが設けられた入力/表示デバイスである。ATM1全体として障害対処する場合には、この操作表示部20aには復旧コードが表示されないが、硬貨ユニット20単体として障害復旧する場合(ATM本体部10と接続されていない場合)には、この操作表示部20aに復旧コードが表示され、リセットボタンの受け付けが可能となる。
エラー検知部20bは、硬貨詰まり等の各種エラーを検知する処理部であり、検知したエラーに応じたエラーコードを発生する。各センサ部20cは、硬貨の通過検知等を行う各種センサであり、各駆動部20dは、硬貨を搬送する搬送ベルト等を駆動する駆動部であり、通信部20eは、復旧コードやエラーコード等のデータ通信をATM本体部10との間で行う通信部である。
ROM20fは、硬貨ユニット20が動作するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。RAM20gは、このCPU20h上でプログラムが実行される際の各種データ等を記憶するメモリであり、このRAM20g上には、コードテーブル22、発生回数テーブル23及びしきい値テーブル24が記憶される。
コードテーブル22は、図4に示すように、第1復旧コード、第2復旧コード、第3復旧コードをエラーコードに対応付けたテーブルである。第1復旧コードは、エラーコードが生じた場合に一般論として該エラーコードの原因を取り除ける可能性が最も高い案内内容に対応する復旧コードとし、第2復旧コードは、第1復旧コードに対応する処置を行ったとしても障害排除できない場合に次にエラーコードの原因を取り除ける可能性が高い案内内容に対応する復旧コードとし、第3復旧コードは、第2復旧コードに対応する処置を行ったとしても障害排除できない場合にエラーコードの原因を取り除ける可能性が次に高い案内内容に対応する復旧コードとする。
図4に示したコードテーブル22では、第1復旧コード「41」、第2復旧コード「42」、第3復旧コード「43」をエラーコード「3201」に対応付け、第1復旧コード「15」、第2復旧コード「16」、第3復旧コード「43」をエラーコード「3202」に対応付けた場合を示している。このように、エラーコードごとに最も適した復旧コードを対応付けることができる。
発生回数テーブル23は、図5に示すように、エラーコードとこのエラーコードの発生回数とを対応付けたテーブルである。ここでは、エラーコード「3201」の発生回数が「0回」であり、エラーコード「3202」の発生回数が「2回」である場合を示している。このように、エラーコードの発生回数を記憶しておけば、新たにエラーコードが発生して時点で該エラーコードの発生回数が算定できるため、このエラーコードの発生回数に応じて第1〜第3のいずれかの復旧コードを適宜選択させることができる。
なお、本実施例では、エラーコードに対応する障害が復旧した時点で、発生回数テーブル23に記憶した当該エラーコードに対応する発生回数を0クリアすることとしている。これにより、障害が発生してから障害から復旧するまでを一つの区切りとして適宜観点を変えつつ段階的に実効性ある案内表示を行うことができる。
しきい値テーブル24は、図6に示すように、エラーコード毎にしきい値K1及びK2を対応付けて記憶するテーブルである。ここでは、エラーコード「3201」にしきい値K1「3」としきい値K2「4」を対応付け、エラーコード「3202」にしきい値K1「4」としきい値K2「6」を対応付けた場合を示している。
このしきいK1は、第1復旧コード又は第2復旧コードのいずれを選択するかを決める際に用いられるしきい値であり、エラーコードの発生回数がしきい値K1未満である場合には第1復旧コードが選択され、エラーコードの発生回数がしきい値K1以上(かつしきい値K2未満)となった場合には第2復旧コードが選択される。
しきいK2は、第2復旧コード又は第3復旧コードのいずれを選択するかを決める際に用いられるしきい値であり、エラーコードの発生回数がしきい値K1以上でありかつしきい値K2未満である場合には第2復旧コードが選択され、エラーコードの発生回数がしきい値K2以上となった場合には第3復旧コードが選択される。
すなわち、かかるしきい値K1は最初に案内表示の観点を変える際に利用され、しきい値K2はその後に案内表示の観点を変える際に利用される。なお、3段階の表示態様を利用する場合には、かかるしきい値K1及びK2が用いられるが、例えば重大なエラーコードが発生し直ちにサービス員への連絡が必要となるような場合には、しきい値K1を「0」とし、しきい値K2を「1」にすれば良い。
図2の説明に戻ると、CPU20hは、硬貨ユニット20の全体制御を行う制御プログラムを実行するCPUであり、このCPU20h上では、復旧処理部21のプログラムが動作実行する。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、このCPU20h上では、硬貨の受け入れや真偽判定を行うプログラム等も実行される。
復旧処理部21は、硬貨ユニット20に障害が発生しエラーコードが発行された場合に、発生回数テーブル23に記憶した当該エラーコードの発生回数に1を加算して現時点の発生回数を算定し、この発生回数をしきい値テーブル24内の当該エラーコードに対応するしきい値K1及びK2と比較し、コードテーブル22内の当該エラーコードに対応する第1復旧コード、第2復旧コード又は第3復旧コードのいずれかを選択して、選択した復旧コードをATM本体部10に送信する処理部である。
この復旧処理部21により、エラーコードの発生回数に応じて観点の変えた案内表示を行う復旧コードを選択することができるため、ATM本体部10の係員操作表示部10b上に適宜観点を変えた案内表示を行うことができるため、効率的な障害復旧を行うことが可能となる。
次に、図2に示した復旧処理部21の処理手順について説明する。図7は、図2に示した復旧処理部21の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この復旧処理部21は、まずエラーコードの取得待ちの状態にあり(ステップS101否定)、新たなエラーコードを取得したならば(ステップS101肯定)、しきい値テーブル24から該エラーコードに対応するしきい値K1及びK2を読み出す(ステップS102)。
その後、発生回数テーブル23から該エラーコードに対応する発生回数Nを読み出し(ステップS103)、この発生回数Nに1を加算するインクリメントを行って(ステップS104)、現時点でのエラーコードの発生回数を算定する。また、コードテーブル22からエラーコードに対応する第1〜第3復旧コードを取得する(ステップS105)。
そして、エラーコードの発生回数Nをしきい値K1と比較し(ステップS106)、エラーコードの発生回数Nがしきい値K1未満(N<K1)である場合には(ステップS106肯定)、第1復旧コードを選択する(ステップS108)。
これに対して、エラーコードの発生回数Nがしきい値K1以上(N≧K1)である場合には(ステップS106否定)、エラーコードの発生回数Nをしきい値K2と比較し(ステップS107)、エラーコードの発生回数Nがしきい値K2未満(K1≦N<K2)である場合には(ステップS107肯定)、第2復旧コードを選択し(ステップS109)、エラーコードの発生回数Nがしきい値K2以上(N≧K2)である場合には(ステップS107否定)、第3復旧コードを選択する(ステップS110)。
このようにして、第1〜第3のいずれかの復旧コードを選択したならば、選択した復旧コードをエラーコードとともにATM本体部10に送信し(ステップS111)、このエラーコードの発生回数を発生回数テーブル23の該当するエラーコードの欄に格納する(ステップS112)。
次に、図2に示した復旧表示処理部11の処理手順について説明する。図8は、図2に示した復旧表示処理部11の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この復旧表示処理部11が復旧コードを受信したならば(ステップS201)、復旧表示テーブル12から当該復旧コードに対応する文字列を読み出し(ステップS202)、読み出した文字列を係員操作表示部10b上に表示する(ステップS203)。
例えば、硬貨ユニット20から復旧コード41を受信したならば、復旧表示テーブル12からこの復旧コードに対応する文字列が読み出され、係員操作表示部10b上に「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別ベルトノブを回して選別ベルト上の硬貨を除去して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列が表示されることになる。
次に、硬貨ユニット20上でのエラーコードの発生に応じて係員操作表示部10b上の表示内容が遷移する具体例について説明する。図9は、硬貨ユニット20上でのエラーコードの発生に応じて係員操作表示部10b上の表示内容が遷移する具体例を説明するための説明図である。ここで図3〜図6に示す各テーブルを用いるとともにエラーコード「3201」が繰り返し発生した場合を示している。
図9に示すように、まずエラーコード「3201」の障害(エラー)が発生すると、発生回数テーブル23内の当該エラーコードの発生回数Nに1が加算され、N=1となる。ここで、このしきい値テーブル24を見ると、該エラーコード「3201」に対応するしきい値K1は3でありN<K1となり第1復旧コードが選択される。ここで、コードテーブル22を参照すると、このエラーコード「3201」に対応する第1復旧コードは「41」であるので、かかる復旧コード「41」がエラーコード「3201」とともにATM本体部10に送信される。
この復旧コード41を受信したATM本体部10は、該復旧コード41に対応する文字列を復旧表示テーブル12から読み出し、係員操作表示部10b上に「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別ベルトノブを回して選別ベルト上の硬貨を除去して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列を表示する。
このため、操作者である係員は、この案内内容を操作実施した後係員操作表示部10b上のリセットボタンを押下する。これにより、ATM1全体がリセット動作を行うが、硬貨ユニット20上の障害が復旧せず同じエラーコード「3201」が発生すると、発生回数テーブル23内の当該エラーコードの発生回数Nに1が加算され、N=2となる。
ここで、このしきい値テーブル24を見ると、該エラーコード「3201」に対応するしきい値K1は3でありN<K1となりやはり第1復旧コードが選択される。ここで、コードテーブル22を参照すると、このエラーコード「3201」に対応する第1復旧コードは「41」であるので、かかる復旧コード「41」がエラーコード「3201」とともにATM本体部10に送信される。
この復旧コード41を受信したATM本体部10は、該復旧コード41に対応する文字列を復旧表示テーブル12から読み出し、係員操作表示部10b上に前回と同様の案内表示である「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別ベルトノブを回して選別ベルト上の硬貨を除去して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列が表示される。
このため、操作者である係員は、この案内内容を操作実施した後係員操作表示部10b上のリセットボタンを押下する。これにより、ATM1全体がリセット動作を行うが、硬貨ユニット20上の障害が復旧せず同じエラーコード「3201」が発生すると、発生回数テーブル23内の当該エラーコードの発生回数Nに1が加算され、N=3となる。
ここで、このしきい値テーブル24を見ると、該エラーコード「3201」に対応するしきい値K1は3でありしきい値K2は5であるのでK1≦N<K2となり第2復旧コードが選択される。ここで、コードテーブル22を参照すると、このエラーコード「3201」に対応する第2復旧コードは「42」であるので、かかる復旧コード「42」がエラーコード「3201」とともにATM本体部10に送信される。
この復旧コード42を受信したATM本体部10は、該復旧コード42に対応する文字列を復旧表示テーブル12から読み出し、係員操作表示部10b上に新たな案内表示である「(1)硬貨ユニットを引き出して下さい。(2)選別部のセンサを清掃して下さい。(3)リセットボタンを押して下さい。」という文字列が表示される。
このため、操作者である係員は、この案内内容を操作実施した後係員操作表示部10b上のリセットボタンを押下する。これにより、ATM1全体がリセット動作を行うが、硬貨ユニット20上の障害が復旧せず同じエラーコード「3201」が発生すると、発生回数テーブル23内の当該エラーコードの発生回数Nに1が加算され、N=4となる。
ここで、このしきい値テーブル24を見ると、該エラーコード「3201」に対応するしきい値K1は3でありしきい値K2は4であるのでK2≦Nとなり第3復旧コードが選択される。ここで、コードテーブル22を参照すると、このエラーコード「3201」に対応する第3復旧コードは「43」であるので、かかる復旧コード「43」がエラーコード「3201」とともにATM本体部10に送信される。
この復旧コード42を受信したATM本体部10は、該復旧コード43に対応する文字列を復旧表示テーブル12から読み出し、係員操作表示部10b上に新たな案内表示である「(1)サービス員へ連絡して下さい。」という文字列が表示される。
上述してきたように、本実施例では、エラーコードの発生回数をエラーコード毎に発生回数テーブル23に記憶しておき、復旧処理部21は、新たな障害が発生した場合に発生回数テーブル23を利用してエラーコードの発生回数を算定し、算定した発生回数がしきい値K1未満である場合には係員操作表示部10bに第1復旧コードの案内表示を行い、発生回数がしきい値K1以上である場合には操作表示部に第2復旧コードに対応する案内表示を表示制御するよう構成したので、係員が第1復旧コードの案内表示の操作を行ったにも係わらず障害復旧できない場合に別の観点から実効性の高い案内表示(第2復旧コードに対応する案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性を高めることが可能になり、係員が有効でない操作を繰り返し行う事態を防ぐことができる。
また、エラーコードの発生回数がしきい値K1以上であり、かつ、しきい値K2未満である場合には係員操作表示部10bに第2復旧コードに対応する案内表示を行い、発生回数がしきい値K2以上である場合には、係員操作表示部10bに第3復旧コードに対応する案内表示を行うよう表示制御するよう構成したので、係員による第2復旧コードの案内表示に対応する操作でも障害が復旧できない場合に、さらに観点を変えて実効性の高い案内表示(第2復旧コードの案内表示)を行うことができるため、障害から復旧できる可能性をさらに高めることが可能となる。
なお、本実施例では、硬貨ユニット20に障害が発生した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ATM1を形成する他のユニットに障害が発生した場合にも同様に適用できる。
また、本実施例では、2つのしきい値K1及びK2を用いて観点の異なる3段階の案内を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2段階若しくは4段階以上の案内を行うこともできる。
また、本実施例では、障害が復旧した時点で発生回数テーブル23内のエラーコードの発生回数を0クリアすることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、最初にエラーコードが発生してから所定期間経過後に発生回数テーブル23内のエラーコードの発生回数を0クリアすることもできる。
また、本実施例では、ATM1全体として障害対処する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、硬貨ユニット20単体として障害対処することもできる。この場合には、図10に示すように、ATM本体部10に設けていた復旧表示処理部11及び復旧表示テーブル12を硬貨ユニット60内に設ければ良い。
また、硬貨ユニット20に7セグメントLEDしか設けられない場合には、図中の復旧表示処理部11及び復旧表示テーブル12をなくすとともに、この復旧表示テーブル12の印刷物を後部扉13の裏面に貼り付け、復旧コードを7セグメントLEDに表示するよう構成することで、係員が7セグメントLED上の復旧コードに対応する対応を行うことが可能になる。