ところが、操作卓に表示される誘導画面を見ないで、操作者が障害復旧操作を行ったり、操作者が誘導画面の内容を勘違いしたりすることにより、誤った障害復旧操作が行われる場合がある。特許文献1に記載の現金処理装置は、誘導画面に従って操作がされたことをスイッチ等により検知することによって、次の誘導画面を操作卓に表示するが、誤った障害復旧操作が行われると、誘導画面は切り替わらない。しかしながら、操作者が誘導画面を見ていないときには、誘導画面の切り替わらないことにも気づかない。
誤った障害復旧操作を行いながら障害復旧操作を進めてしまうと、障害から復旧することができなくなる。そればかりか、新たな障害を招く恐れもある。
さらに、本来は開ける必要がない紙幣収納庫を誤って開けてしまい、現金処理装置の在高異常の原因となってしまうこともある。
ここに開示する技術はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、有価媒体の処理を行う有価媒体処理装置において、操作者がエラーの解除操作を適切に行うことができるようにすることにある。
ここに開示する技術は、有価媒体処理装置に係る。この装置は、有価媒体の処理を行う処理部と、前記有価媒体の処理中に、エラーが発生したことを検知するエラー検知部と、前記エラーを解除するための手順を記憶している記憶部と、前記エラー検知部が検知したエラーの解除操作を操作者が行っているときに、前記記憶部が記憶している手順とは異なる誤操作が行われたことを検知する誤操作検知部と、前記誤操作検知部が誤操作を検知したことを受けて、誤操作があったことを、出力部を通じて出力する制御部と、を備えている。
前記制御部は、前記誤操作検知部が誤操作を検知した後、所定の権限を有する管理者が、前記操作者に代わって誤操作の対応をするために、当該操作者が前記エラーの解除操作を行うことを禁止する。
ここで、「有価媒体」は、紙幣及び硬貨を含む貨幣の他に、小切手や手形、及び、商品券等の媒体を含む。
この構成によると、有価媒体の処理中にエラーが発生したときには、エラー検知部が、エラーが発生したことを検知する。操作者は、エラーの解除操作を行うことによって、エラーを解除する。例えば有価媒体の詰まりを解除する場合、操作者は、有価媒体処理装置における所定の部位を開けたり、所定の部位を移動したりする操作を、順次行うと共に、詰まっている有価媒体を、手で取り除く。その後、操作者が、有価媒体処理装置の各部位を元に戻すことにより、エラーの解除操作が完了し、有価媒体処理装置は、再び動作が可能になる。
前記の構成では、エラーを解除するための手順とは異なる誤操作が行われたことを、誤操作検知部が検知したときに、制御部は、誤操作があったこと出力部を通じて出力する。このことにより、操作者は、誤操作をしたことがわかる。操作者が、誤操作に気づかずに、エラーの解除操作を進めてしまうことが防止される。その結果、操作者は、エラーの解除操作を適切に行うことができるようになる。
誤操作の内容によっては、仮に誤操作の状態から復旧することができたとしても、操作者がそのままエラーの解除操作を行うことが適切でないこともある。例えば、紙幣等を収納する収納部を、誤って開けてしまったときには、在高異常になる可能性があるため、収納部を、そのまま閉めることができるとしても、操作者が、エラーの解除操作を進めることは適切でない。操作者がエラーの解除操作を行うことを禁止することによって、有価媒体処理装置を、適切に運用することができる。
前記エラー検知部は、複数種類のエラーを検知し、前記記憶部は、前記エラー検知部が検知する複数種類のエラーそれぞれについて、解除のための手順を記憶している、としてもよい。
こうすることで、エラーの解除操作を行う操作者は、有価媒体処理装置において発生し得る複数種類のエラーそれぞれの解除操作を適切に行うことができる。
前記出力部は、誤操作があったことを表示する表示部である、としてもよい。操作者は、表示部を見ることによって、誤操作をしたことを認識することができる。
前記表示部は、前記記憶部が記憶しているエラー解除の手順に係る案内画面を表示する、としてもよい。
操作者が、案内画面を見ながらエラー解除の操作を行っている場合、誤操作があれば、誤操作があったことが表示部に表示されるため、操作者は、誤操作をしたことに、確実に気づくことができる。
前記出力部は、誤操作があったときに音を発する、としてもよい。こうすることで、操作者は、エラーの解除操作を行いながら、誤操作をしたことが確実にわかる。
前記出力部は、誤操作があったときに外部装置に通知する、としてもよい。外部装置は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末としてもよいし、PC等の端末としてもよい。これらの端末は、エラーの解除操作を行っている操作者が使用する端末であってもよいし、エラーの解除操作を行っている操作者以外の者が使用する使用する端末であってもよい。
前記の構成により、操作者は、外部装置を通じて、誤操作をしたことを認識することができる。操作者は、不適切なエラーの解除操作を進めてしまうことを回避することができる。
前記記憶部は、前記誤操作検知部が誤操作を検知したときに、当該誤操作の情報を記憶する、としてもよい。
こうすることで、記憶している誤操作の情報を、後で解析することができるようになる。解析の結果、発生頻度が高い誤操作に対して、対策を施すことが可能になる。例えば案内画面の内容を修正することによって、誤操作を招かないようにすることができる。
前記記憶部は、前記誤操作の情報を、前記エラーの解除操作を行っている操作者の情報と紐付けて記憶する、としてもよい。
こうすることで、例えば誤操作の多い操作者を特定することが可能になる。管理者は、当該操作者が誤操作をしないように指導等を行うことが可能になる。
前記制御部は、前記エラーの解除操作を行う操作者に応じて、前記出力部を通じた出力態様を変更する、としてもよい。
例えば経験の浅い操作者(初心者)に対しては、軽微な誤操作であっても、誤操作があったことを、出力部を通じて出力する。こうすることで、経験の浅い操作者が重大な誤操作をしてしまうことを未然に回避することができる。経験の浅い操作者は、エラーの解除操作を適切に進めることが可能になる。
これに対し、経験が豊富な操作者(熟練者)に対しては、軽微な誤操作は、自らが直ぐに気づいて復旧可能と考えられるため、当該誤操作があったことは、出力部を通じて出力せず、重大な誤操作(例えば、有価媒体処理装置の在高異常を招く誤操作や、有価媒体処理装置の破損を招く誤操作等)があったときに限り、誤操作があったことを、出力部を通じて出力する。こうすることで、経験が豊富な操作者は、エラーの解除操作をスムースに進めることができると共に、適切にエラーの解除操作を行うことができる。
このようにエラーの解除操作を行う操作者に応じて出力態様を変更すれば、エラーの解除操作を適切に行うことができると共に、有価媒体処理装置の使い勝手が向上する。尚、エラーの解除操作を行う操作者は、有価媒体処理装置において認証処理を行うことによって特定することができる。
ここで、出力態様を変更することには、前述の通り、出力を行うこと、出力を行わないことの変更の他にも、(1)表示内容を変更すること、(2)表示タイミングを変更すること、(3)警告音を変更すること、(4)警告音を発するタイミングを変更すること、(5)外部装置に通知する内容を変更すること、(6)外部装置に通知するタイミングを変更すること、(7)通知をする外部装置を変更すること等が含まれる。また、出力部が、表示、音、及び、通知といった複数の手段を有する構成において、出力する手段の組み合わせを変更すること(例えば、表示のみ、表示と音、及び、表示と音と通知、を切り替えること)も出力態様を変更することの1つである。
前記制御部は、前記有価媒体処理装置の設置環境に応じて、前記出力部を通じた出力態様を変更する、としてもよい。
有価媒体処理装置の1つとしてのATM(Automatic Teller Machine)や、オートキャッシャーは、金融機関の店舗において、一般客が近くにいるところに設置される。誤操作があったときに出力部が音(警告音)を発すると、一般客が不安を感じたり、不快に感じたりする恐れがある。そこで、例えば、有価媒体処理装置が、一般客が近くにいるところに設置されると、出力部は音を発せずに、表示のみを行うようにする一方、有価媒体処理装置が、一般客が近くに居ないところに設置されると、出力部は音を発すると共に、表示を行うようにする、としてもよい。尚、出力態様の変更は、前述した様々な態様を含む。
このように有価媒体処理装置の設置場所に応じて出力態様を変更すれば、エラーの解除操作を適切に行うことができると共に、有価媒体処理装置の使い勝手が向上する。
前記誤操作検知部が検知する誤操作について誤操作の内容に応じたレベルが予め設定されており、前記制御部は、前記誤操作のレベルに応じて、前記出力部を通じた出力態様を変更する、としてもよい。
例えば、軽微な誤操作があったときには、出力部は音を発せずに、表示のみを行うようにする一方、重大な誤操作があったときには、出力部は音を発すると共に、表示を行うようにする、としてもよい。尚、出力態様の変更は、前述した様々な態様を含む。
このように誤操作のレベルに応じて出力態様を変更すれば、不適切なエラーの解除操作が進行してしまうことを確実に防止することができ、エラーの解除操作を適切に行うことができると共に、有価媒体処理装置の使い勝手が向上する。
前記制御部は、前記誤操作検知部が誤操作を検知したときには、前記エラーが解除された後に、前記有価媒体を収納する収納部の精査処理への誘導処理を実行する、としてもよい。
前述したように、誤操作によって、収納部の在高異常が発生する恐れがあるときには、収納部の在高を確定するための精査処理を行われなければならない。制御部が、精査処理への誘導処理を実行すれば、エラーが解除された後に、有価媒体処理装置は、精査処理にスムースに移行をすることができる。誘導処理としては、具体的には、有価媒体処理装置の表示部に、精査処理を開始するためのアイコンを表示したり、ポップアップ画面を表示したりしてもよい。また、エラーが解除された後、対象となる収納部の精査処理を自動的に開始してもよい。
ここに開示する有価媒体処理システムは、有価媒体の処理を行う有価媒体処理装置と、前記有価媒体処理装置と通信を行う外部装置と、を備え、前記有価媒体処理装置は、前記有価媒体の処理中に、エラーが発生したことを検知するエラー検知部と、前記エラーを解除するための手順を記憶している記憶部と、前記エラー検知部が検知したエラーの解除操作を操作者が行っているときに、前記記憶部が記憶している手順とは異なる操作が行われたことを検知する誤操作検知部と、前記誤操作検知部が誤操作を検知したことを受けて、誤操作があったことを、前記外部装置に送信する通信部と、を有している。
前記有価媒体処理装置はまた、前記誤操作検知部が誤操作を検知した後、所定の権限を有する管理者が、前記操作者に代わって誤操作の対応をするために、当該操作者が前記エラーの解除操作を行うことを禁止する制御部を有している。
この構成によると、エラーの解除操作を行っているときに誤操作があれば、誤操作があったことが外部装置に送信されるから、操作者は、誤操作をしたことがわかる。操作者は、エラーの解除操作を適切に行うことができるようになる。また、操作者がエラーの解除操作を行うことを禁止することによって、有価媒体処理装置を、適切に運用することができる。
ここに開示する有価媒体処理装置のエラー解除監視方法は、有価媒体処理装置が有価媒体を処理している最中に、エラーが発生したことを検知する工程と、操作者が前記エラーの解除操作を行っているときに、予め定めているエラー解除の手順とは異なる誤操作が行われたことを検知する工程と、前記誤操作を検知したときに、誤操作があったことを出力する工程と、を備えている。
前記エラー解除監視方法は、誤操作を検知した後、所定の権限を有する管理者が、前記操作者に代わって誤操作の対応をするために、当該操作者が前記エラーの解除操作を行うことを禁止する工程をさらに備えている。
この方法によると、エラーの解除操作を行っている操作者は、誤操作をしたことがわかり、操作者は、エラーの解除操作を適切に行うことができるようになる。また、操作者がエラーの解除操作を行うことを禁止することによって、有価媒体処理装置を、適切に運用することができる。
以上説明したように、前記の有価媒体処理装置、有価媒体処理システム、及び、有価媒体処理装置のエラー解除監視方法によると、操作者は、エラーの解除操作を適切に行うことができる。
以下、有価媒体処理装置、有価媒体処理システム、及び、有価媒体処理装置のエラー解除監視方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、有価媒体処理装置、有価媒体処理システム、及び、有価媒体処理装置のエラー解除監視方法の一例である。図1は、有価媒体処理システムとしての、貨幣処理システム100の全体構成例を示している。貨幣処理システム100は、例えば銀行等の金融機関に構築される。貨幣処理システム100は、貨幣処理装置1を備えている。貨幣処理装置1は、金融機関における出納機として設定されている。尚、貨幣処理システム100は、金融機関に構築されることには限定されない。また、貨幣処理装置1も、金融機関の出納機として設定されることには限定されない。
(貨幣処理装置の構成)
図1は貨幣処理装置1の外観を示している。貨幣処理装置1は、紙幣処理機10及び硬貨処理機110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。紙幣処理機10は、バラ紙幣の入出金処理を実行可能である。また、紙幣処理機10は、帯封紙幣(紙幣束ともいう)の作成や、帯封紙幣の出金処理を実行可能である。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣から作成される。硬貨処理機110は、バラ硬貨の入出金処理を実行可能である。硬貨処理機110はまた、包装硬貨の作成や、包装硬貨の出金処理を実行可能である。包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことによって作成される。紙幣処理機10及び硬貨処理機110は、有価媒体の処理を行う処理部を構成している。
操作表示部302は、例えば硬貨処理機110の筐体112の上部に設けられたタッチパネル等からなる。操作表示部302は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者はこの操作表示部302を介して、様々な操作を行うことができる。後述するように、操作表示部302は、エラーの解除操作を行うときに、エラー解除の手順を示す案内画面を表示すると共に、誤操作があったときには、警告画面を表示する。操作表示部302は、表示部の一例である。
印字部304は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。
図2は紙幣処理機10の内部構成を概略的に示す構成図である。図2において、左側が紙幣処理機10の前面側であり、左右方向が紙幣処理機10の奥行き方向である。図1及び図2を用いて、紙幣処理機10の構成について説明する。なお、硬貨処理機110に関しては、その構成の詳細については説明を省略する。
図1及び図2に示すように、紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、バラ紙幣を入金するための投入部14、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、及び、帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48がそれぞれ設けられている。投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。一方、バラ紙幣投出部24及び帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a,48aが設けられている。シャッター24a,48aは後述するシャッター駆動部24b,48b(図3参照)によりそれぞれ駆動される。シャッター24a,48aによりバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48が開口されると、操作者はバラ紙幣投出部24に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣投出部48に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。なお、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理における出金部として機能するとともに、入金処理時において識別できなかったバラ紙幣や正常ではないと識別されたバラ紙幣を排出するための入金リジェクト部としても機能する。
また、バラ紙幣投出部24の下方には、バラ紙幣の出金処理において、バラ紙幣投出部24から出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。通常、出金リジェクト部26の前カバーが閉鎖されており、出金リジェクト部26の内部にアクセスすることができない。所定の権限を有する操作者が操作することによって前カバーが開放され、内部の出金リジェクト紙幣を回収可能となる。
図2に示すように、投入部14には、投入されたバラ紙幣を1枚ずつ繰り出すための繰出部16が設けられている。繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は、搬送部18により筐体12内で搬送される。搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられており、識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。
搬送部18には、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び複数(図2では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されている。入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ、上下方向に移動可能となっているステージ30a,32a,34aが設けられており、ステージ30a,32a,34a上でバラ紙幣が積層状態で集積される。ここで、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣や損券、オーバーフロー紙幣等が混合状態で収納される。また、各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納される。
入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出部30bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部30bにより、入金一時保留部30から1枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から入金一時保留部30に1枚ずつ繰り入れられる。混合バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰入部32bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰入部32bにより、搬送部18から混合バラ紙幣収納部32に1枚ずつ繰り入れられる。なお、本実施形態では、混合バラ紙幣収納部32に収納されているバラ紙幣は搬送部18に繰り出せない。各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出部34bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部34bにより、各金種別バラ紙幣収納部34から1枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から各金種別バラ紙幣収納部34に1枚ずつ繰り入れられる。バラ紙幣の出金処理が行われる際には、各金種別バラ紙幣収納部34から繰り出されたバラ紙幣が搬送部18により識別部20に送られ、識別部20により識別された後にバラ紙幣投出部24に送られる。
筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、操作者は、下部扉12aを開くことにより入金一時保留部30の内部にアクセスできる。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、手前側に(図2における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。操作者は、下部扉12aを開いて引出ユニット13を手前側に引き出し、混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34を引出ユニット13から取り外したり、引出ユニット13に装着したりできる。
また、搬送部18には複数(図2では2つ)の集積部40が接続されており、搬送部18から送られたバラ紙幣は、集積部40に積層状態で集積される。集積部40には、集積されているバラ紙幣を搬送部18に1枚ずつ繰り出す繰出部が設けられていてもよい。また、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が、集積部40の隣に設けられている。帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられている。アーム機構44は、集積部40、帯封部42及び帯封紙幣揚送部46の間で移動可能となっている。帯封紙幣揚送部46には、図2における上下方向に移動可能となっているステージ46aが設けられている。帯封部42及びアーム機構44によって、紙幣結束機構が構成されている。
帯封処理が行われる際に、アーム機構44は、集積部40に集積された所定枚数のバラ紙幣を上下一対のアーム部により保持して、帯封部42に移動する。帯封部42において、アーム機構44に保持された所定枚数のバラ紙幣の外周面に帯封紙が巻かれる。帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、ステージ46a上に帯封紙幣を受け渡す。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させる。
そして、アーム機構44からステージ46a上に1または複数の帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが上方向に移動して帯封紙幣投出部48の下端と同じレベルに達する。この状態でシャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。また、ステージ46aがさらに上昇すると、ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を帯封紙幣搬送部60に受け渡して、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させることができる。
筐体12の内部における上部領域には、複数(図2では4つ)の帯封紙幣収納部70が設けられている。各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ、上下方向に移動可能であるステージ70aが設けられている。帯封部42により作成された帯封紙幣は、帯封紙幣収納部70の上端部に設けられた開口からステージ70a上に積層状態で集積される。各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇して、各帯封紙幣収納部70の開口から帯封紙幣が上方に出される。各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される。ただし、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも1つは、金種が異なる帯封紙幣を混合状態で収納するようにしてもよい。
各帯封紙幣収納部70の上方には、帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図2における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に循環移動可能である。帯封紙幣搬送部60によって搬送される帯封紙幣は、循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で左右いずれかの方向に移動する。また、帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間に識別部62が設けられている。識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種を、例えばその最下面の紙幣の撮像画像から識別する。識別部62はまた、帯封紙幣の紙幣や結束帯の状態、例えば破れや汚れの有無等を識別する。なお、図2の構成では識別部62は搬送路の下側に設けているが、例えば搬送路の上側に設けてもよいし、搬送路の上下に設けてもよい。搬送路の上側に設けた場合には、識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種をその最上面の紙幣の撮像画像から識別する。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70に収納させる際には、帯封紙幣は、アーム機構44から帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に受け渡された後に、ステージ46aの上昇によって帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで達する。循環ベルト60bは反時計回りの方向に循環移動する。これにより、ステージ46a上の最上位の帯封紙幣は突起60aに引っ掛けられて、循環ベルト60bの下面に沿って右方向に搬送され、識別部62によりその金種が判別された後、識別部62による識別結果に基づいて、対応する帯封紙幣収納部70に収納される。
一方、帯封紙幣収納部70に収納されている帯封紙幣を出金する際には、循環ベルト60bは時計回りの方向に循環移動する。帯封紙幣収納部70から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って左方向に搬送される。また、ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで達する。そして、搬送される帯封紙幣は、その金種が識別部62により識別された後、上方位置で待機していたステージ46a上、又は、ステージ46aの上に集積済みの帯封紙幣の上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせてステージ46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。ステージ46a上に所定数の帯封紙幣が集積されると、当該ステージ46aが帯封紙幣投出部48の下端と同じレベルまで下降し、シャッター48aが開く。これにより、操作者は帯封紙幣投出部48から帯封紙幣を取り出すことができる。
図3は貨幣処理装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。図3に示すように、貨幣処理装置1には、各構成要素の制御を行う制御部300が設けられている。制御部300には、紙幣処理機10の構成要素、具体的には、投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(ステージ30aの駆動機構や紙幣繰出部30b)、混合バラ紙幣収納部32(ステージ32aの駆動機構や紙幣繰入部32b)、金種別バラ紙幣収納部34(ステージ34aの駆動機構や紙幣繰出部34b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣搬送部60、識別部62、帯封紙幣収納部70(ステージ70aの駆動機構)、シャッター24a,48aを開閉させるシャッター駆動部24b,48b等がそれぞれ接続されている。そして、制御部300は、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る情報や識別部62による帯封紙幣の金種の判別結果に係る情報等を受け、また、紙幣処理機10の各構成要素に指令信号を送ることによりその動作を制御する。
また、制御部300には、硬貨処理機110の各構成要素が接続されており、硬貨処理機110の動作を制御する。さらに、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部310及び通信インターフェース部306がそれぞれ接続されている。
記憶部310は、貨幣処理装置1における処理履歴や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。また、記憶部310は、後述するエラー解除の操作に関する情報であるエラー解除データベース311と、エラー解除の操作中に誤操作があった場合の警告に関する警告設定情報312と、を格納している。
また、制御部300は、通信インターフェース部306を介して、上位端末である管理コンピュータ400(図1参照)に対して様々な信号の送受信を行うことができる。通信インターフェース部306は、通信部の一例である。
貨幣処理装置1はまた、操作者を認証する処理を行う認証部307を備えており、認証部307も、制御部300に接続されている。認証部307は、例えばIDとパスワードの入力による認証、IDカードを利用した認証、及び、生体認証等、どのような方式の認証を採用してもよい。認証部307が操作者を認証することによって、貨幣処理装置1を操作する操作者を特定することができる。
貨幣処理装置1はさらに、警告部308を備えている。警告部308も、制御部300に接続されており、制御部300は、警告部308の動作を制御する。警告部308は、警告音や音声を発するよう構成されており、出力部の一例である。
紙幣処理機10には、紙幣の通過を検知するセンサや、紙幣の残留を検知するセンサを少なくとも含む、紙幣検知用のセンサ309が、所定の箇所に配設されている。また、紙幣処理機10には、各部位を開けたり、移動したりすることを検知するセンサ(又はスイッチ)309が、所定の箇所に配設されている。多数のセンサ309はそれぞれ、制御部300に接続されており、各センサ309は検知信号を制御部300に出力する。これらのセンサ309は、後述するように、紙幣の処理中に、エラーが発生したことを検知するエラー検知部、及び/又は、エラーの解除操作を操作者が行っているときに、誤操作が行われたことを検知する誤操作検知部を構成している。
貨幣処理システム100は、前述した貨幣処理装置1と、貨幣処理装置1に接続される管理コンピュータ400と、管理コンピュータ400に接続される、例えばPC401等の端末と、タブレット端末402及びスマートフォン403等の携帯端末と備えて構成されている。
管理コンピュータ400は、貨幣処理装置1が設置されている金融機関におけるシステムの管理を行うよう構成されている。管理コンピュータ400は、例えば汎用のコンピュータによって構成されている。貨幣処理装置1と管理コンピュータ400とは、有線又は無線の通信線404を介して、互いに接続されている。貨幣処理装置1と管理コンピュータ400とは相互に通信が可能である。貨幣処理装置1は、取引及び業務に関する情報を、管理コンピュータ400に、通信線404を介して出力する。
管理コンピュータ400と、PC401、タブレット端末402、及び、スマートフォン403とは、有線又は無線の通信線405を介して、互いに接続されている。管理コンピュータ400と各端末401、402、403とは通信が可能である。管理コンピュータ400は、各種の情報を、通信線405を介して、PC401、タブレット端末402、及び、スマートフォン403に出力する。
管理コンピュータ400、PC401、タブレット端末402、及び、スマートフォン403はそれぞれ、貨幣処理装置1に対する外部装置の一例である。
(エラー解除に関する制御)
貨幣処理装置1において貨幣の処理を行っているときに、貨幣の詰まりや、貨幣の残留等のエラーが発生する場合がある。制御部300は、センサ309の検知信号に基づいてエラーが発生したか否かを判定する。制御部300は、エラーが発生したときには、貨幣処理装置1の動作を停止すると共に、エラーが発生した旨、及び、エラーの解除を促す旨を操作表示部302に表示する。エラーの解除は、操作者が行う。
操作者は、予め定められた手順に従って、エラーを解除する。制御部300のエラー解除制御部301は、エラー解除データベース311に基づいて操作者のエラーの解除操作をアシストする。
図4は、エラー解除データベース311の構成を例示している。貨幣処理装置1におけるエラーは、エラーの発生した箇所毎に複数種類のエラーに分類されると共に、エラーの内容によって複数種類のエラーに分類される。エラー解除データベース311は、エラー毎にエラーコードを割り当てて記憶していると共に、エラーコード毎に、エラー解除の手順を記憶している。
エラー解除の手順は、複数のステップを含んでいる。図4の例において、エラーコードE0001のエラーは、紙幣処理機10のバラ搬送ユニットの搬送路Aにおいて、紙幣のジャムが発生したことである。その解除の手順は、6つのステップを含んでいる。また、エラーコードE0010のエラーは、硬貨処理機110のバラ入金部の繰出円盤において、硬貨の残留が発生したことである。その解除の手順も、6つのステップを含んでいる。
エラー解除制御部301は、エラー解除の操作を示す案内画面を、操作表示部302に、解除操作に進行に合わせて順次表示する。前述の通り、エラーコードE0001のエラーは、6つのステップを含んでいるが、エラー解除データベース311は、各ステップに対応する案内画面(つまり、「イメージ図」の、「イメージ1」、「イメージ2」…)が記憶されている。
エラー解除制御部301は、操作者が、各ステップの操作を実行したか否かを、センサ309の検知信号に基づいて判定する。エラー解除制御部301は、各ステップに対応するセンサ309の検知信号を受けたときに、当該ステップの操作が完了したと判定をし、次のステップに対応する案内画面を、操作表示部302に表示する。操作者は、操作表示部302に表示される案内画面に従って操作を行えば、エラーをスムースに解除することが可能である。
ここで、エラー解除データベース311は、エラー解除の操作を案内するための音声メッセージを記憶していてもよい。音声メッセージは、各案内画面に対応して記憶してもよい。エラー解除制御部301は、案内画面を、操作表示部302に表示するタイミングで、当該案内画面に対応する音声メッセージを出力してもよい。尚、案内画面の表示にあわせて音声メッセージを出力するか否かを、切り替え可能にしてもよい。
また、エラー解除データベース311は、案内画面と音声メッセージとの両方を記憶していてもよいが、音声メッセージのみを記憶していてもよい。
さらに、エラー解除制御部301は、エラー解除の操作を行う操作者に応じて、エラーの解除操作をアシストする態様を変更してもよい。例えば認証部307による認証結果に基づき、エラーの解除操作を行う操作者が経験の浅い初心者であるときには、エラー解除制御部301は、エラー解除データベース311に記憶されている全ての案内画面を、操作の進行に合わせて順次表示する一方、エラーの解除操作を行う操作者が経験の豊富な熟練者であるときには、エラー解除制御部301は、エラー解除データベース311に記憶されている案内画面の内、重要な案内画面のみを、操作の進行に合わせて表示してもよい。また、初心者と熟練者とで、表示する案内画面の数を増減する以外にも、初心者用の案内画面と熟練者用の案内画面とのそれぞれを、エラー解除データベース311に、予め記憶しておき、初心者と熟練者とで案内画面の内容を変更してもよい。
図5は、エラー解除制御部301が実行する、エラー解除に係る制御のフローチャートを示している。エラー解除制御部301は、操作者がエラーの解除操作を行っているときに、センサ309の検知信号に基づいて、エラー解除データベース311に記憶されている手順とは異なる誤操作が行われたことを検知する。エラー解除制御部301は、誤操作が行われたときには操作者に対し警告を行うことにより、操作者が、誤った操作のままでエラーの解除操作を進めてしまうことを防止する。ここで、エラー解除の誤操作の例を、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、帯封部42において帯封処理を行っている最中に、当該帯封部42において紙幣のジャムが発生したとき(ステップS61)の、エラー解除の流れを示している。このエラーを解除するためには、ステップS62に示すように、帯封部42においてジャム紙幣を取り出す。これにより、エラーの解除が完了する(ステップS63)。
これに対し、帯封部42においてジャム紙幣を取り出した後、操作者が、帯封部42に隣接する集積部40(図2参照)の紙幣を抜き取ってしまうことがある(ステップS64)。この操作は、誤操作である。その後、エラーの解除が完了しても(ステップS65)、集積部40から抜き取った紙幣(つまり、機内現金)が操作者の手元に残ってしまう(ステップS66)。このような誤操作は、違算を招く。
図7は、出金処理中に、特定の収納部において紙幣のジャムが発生したとき(ステップS71)の、エラー解除の流れを示している。操作者は、ジャムが発生した収納部からジャム紙幣を取り出し(ステップS72)、それによって、エラーの解除が完了する(ステップS73)。収納部付近のジャム紙幣を取り出したときには、当該収納部の在高を確定するための精査処理が必要となる。従って、この例では、ジャム紙幣を取り出した1つの収納部に対して、精査処理が実行される。尚、精査処理とは、収納部内の貨幣を繰り出して識別することによって収納部の在高を確認した後、収納部へ戻す処理である。更に、識別することによって取得された在高情報と、本来収納されているはずの在高情報を照合する処理まで含む場合もある。
これに対し、特定の収納部のジャム紙幣を取り出した後、操作者が、他の収納部において紙幣を抜き取ってしまうことがある(ステップS75)。この操作は、誤操作である。この場合も、ステップS76においてエラーの解除が完了した後に精査処理を行うが、ジャム紙幣を取り出した特定の収納部に加えて、紙幣を抜き取った収納部の精査処理も実行しなければならない。誤操作を行うことによって、本来は、精査処理が不要な収納部の精査処理が必要になってしまい、精査処理に要する時間が長くなってしまう。
また、操作者が、ジャム紙幣が発生した特定の収納部からジャム紙幣を取り出さずに、他の収納部から紙幣を抜き取ってしまう誤操作(ステップS78)も起こり得る。この場合は、ジャム紙幣が取り出されないため、エラーを解除することができない(ステップS79)。
エラー解除制御部301は、センサ309の検知信号に基づいて誤操作を検知したときに、警告を行うことにより、操作者に対し誤操作があったことを知らせる。
図5のフローは、貨幣処理装置1が貨幣の処理を開始することによってスタートする。スタート後のステップS51において、エラー解除制御部301は、センサ309の検知信号に基づいて、エラーを検出したか否かを判定する。ステップS51の判定がNOのときには、ステップS51が繰り返される。ステップS51の判定がYESのときには、ステップS52に進む。
ステップS52において、エラー解除制御部301は、発生したエラーの内容を特定すると共に、エラー解除データベース311を参照することにより、発生したエラーを解除するための手順を特定する。
ステップS53において、エラー解除制御部301は、エラー解除データベース311に記憶されている案内画面を、操作表示部302に表示する。例えば図8は、紙幣処理機10の中間ユニットを、筐体12から引き出す操作に係る案内画面D1を例示している。
次のステップS54において、エラー解除制御部301は、センサ309の検知信号に基づいて、操作者が、エラー解除操作を行ったか否かを判定する。ステップS54の判定がNOのときには、ステップS54が繰り返される。ステップS54の判定がYESのときには、ステップS55に進む。
ステップS55において、エラー解除制御部301は、操作者が正しい操作を行ったか否かを判定する。エラー解除制御部301は、正しい操作であるか誤った操作であるかを、センサ309の検知信号に基づいて判定する。正しい操作を行ったときには、ステップS56に進む。誤った操作を行った時には、ステップS59に進む。具体的には、正しい操作が、中間ユニットを筐体から引き出す操作である場合、中間ユニットの引出しを検知するセンサから検知信号を取得すると、エラー解除制御部301は、正しい操作が行われたと判定する。一方、例えば引出ユニット13の引出しを検知するセンサから検知信号を取得すると、エラー解除制御部301は、誤った操作が行われたと判定する。
ステップS56において、エラー解除制御部301は、エラー解除データベース311の情報に基づいて、エラー解除のための次の手順があるか否かを判定する。次の手順があるときには、ステップS53に進む。エラー解除制御部301は、次の案内画面を操作表示部302に表示する。例えば図9は、帯封部42からジャム紙幣を取り出す操作に係る案内画面D2を例示している。また、図10は、ジャム紙幣を取り出した後、中間ユニットを、筐体12に押し込む操作に係る案内画面D3を例示している。操作者が、エラー解除の操作を進めることに伴い、操作表示部302は、案内画面D1、D2及びD3を、順次表示する。
ステップS56において次の手順がないときには、ステップS57に進む。ステップS57において、エラー解除制御部301は、エラーが解除されたか否かを判定する。貨幣処理装置1が予め設定されているイニシャル動作を行うことによって、エラーが解除されたか否かを判定することができる。エラーが解除されていないときには、ステップS52に戻る。エラーが解除されたときには、ステップS58に進む。
操作者がエラー解除の操作を行っているときに、誤操作があったときには、ステップS55からステップS59に進む。ステップS59において、エラー解除制御部301は、警告を出力する。
具体的に、エラー解除制御部301は、ステップS59において、操作表示部302に、警告画面を表示するようにしてもよい。例えば図11は警告画面D4の一例である。ここでは、図9に示す帯封部42からジャム紙幣を取り出す操作に係る案内画面D2が表示されているときに、操作者が、帯封部42に隣接する集積部40内に手を入れて紙幣を取り出そうとした(又は取り出した)ことを、センサ309が検知したときの警告画面D4を例示している。警告画面D4は、警告メッセージをポップアップ表示している。誤操作があったときに、このような警告が行われることにより、操作者は、誤操作があったことがわかり、誤った操作を進めてしまうことを防止することができる。
また、図12は、案内画面D5の一例である。この案内画面D5は、金種別バラ紙幣収納部34の1つである、「万円収納庫」のジャム紙幣を取り除くために、金種別バラ紙幣収納部34を開ける操作に係る案内画面である。図13は、警告画面D6の一例である。ここでは、図12に示す案内画面D5が表示されているときに、操作者が、「万円収納庫」ではなく、「千円収納庫」を誤って開けたことを、センサ309が検知したときの警告画面D6を例示している。警告画面D6は、警告メッセージをポップアップ表示していると共に、この警告画面D6は、誤操作を復旧するための操作(つまり、千円収納庫を閉める操作)を表示している。誤操作があったときに、このような警告が行われることにより、操作者は、誤操作があったことがわかり、誤った操作から復旧することができる。
また、エラー解除制御部301は、ステップS59において、警告部308を通じて、警告音又は音声を発するようにしてもよい。音による警告を行うことによって、操作者は、操作表示部302を目視していない場合であっても、誤操作があったことがわかり、誤った操作を進めてしまうことを防止することができる。
さらに、エラー解除制御部301は、ステップS59において、通信インターフェース部306を通じて、管理コンピュータ400、PC401、タブレット端末402、及び/又は、スマートフォン403に、貨幣処理装置1において誤操作があった旨を通知してもよい。こうすることによって、外部装置を使用する、例えば出納係等の管理者に、誤操作があったことを通知することができる。通知を行う外部装置は、警告設定情報312に予め設定しておけばよい。エラー解除の操作を行う操作者と、当該操作者が誤操作したときに通知を行う外部装置とを対応付けて、警告設定情報312に設定してもよい。
エラー解除制御部301は、操作表示部302に警告画面を表示すること、警告部308を通じて音を発すること、及び、外部装置に通知をすることのうちの、いずれか1つ、又は、2つ以上を組み合わせて警告を行ってもよい。
エラー解除制御部301は、記憶部310の警告設定情報312に予め設定した出力態様に応じて、ステップS59における警告を行ってもよい。
例えば、エラーの解除操作を行う操作者に応じて、警告の出力態様を変更してもよい。経験の浅い操作者(初心者)に対しては、軽微な誤操作であっても、当該誤操作があったことを警告する。こうすることで、経験の浅い操作者が重大な誤操作をしてしまうことを未然に回避することができる。経験の浅い操作者は、エラーの解除操作を適切に進行することが可能になる。
これに対し、経験が豊富な操作者(熟練者)に対しては、軽微な誤操作は、自らが直ぐに気づいて復旧可能と考えられるため、当該誤操作があったことは警告せず、重大な誤操作(例えば、貨幣処理装置1の在高異常を招く誤操作や、貨幣処理装置1の破損を招く誤操作等)があったときに限り、当該誤操作があったことを警告する。こうすることで、経験が豊富な操作者は、エラーの解除操作をスムースに進めることができると共に、適切にエラーの解除操作を行うことができる。
また、例えば通常の操作者に対しては、操作表示部302に警告画面を表示すると共に、警告部308を通じて音を発するのに対し、例えば研修中の操作者は、操作表示部302に警告画面を表示すると共に、警告部308を通じて音を発することに加えて、当該操作者の指導者が使用する外部装置に、誤操作があったことを通知してもよい。尚、通知先の外部装置の情報は、前述したように、研修中の操作者を特定する情報に紐付けて、警告設定情報312に、予め設定しておけばよい。
また、警告の出力態様を、誤操作のレベルに応じて変更するようにしてもよい。例えば、誤操作からの復旧を直ぐに行うことが可能な、軽微な誤操作が検知されたときには、操作表示部302に警告画面を表示することのみにする一方、違算が発生する恐れがある重大な誤操作が検知されたときには、操作表示部302に警告画面を表示すること、警告部308によって警告音を発することに加えて、外部装置への通知を行うようにしてもよい。
ステップS59に続くステップS510において、エラー解除制御部301は、異常対応処理を実行する。異常対応処理の1つは、誤操作からの復旧である。エラー解除制御部301は、操作者に対して、誤操作から復旧するための操作を行うように誘導してもよい。具体的に、制御部は、操作表示部302に、「誤ってレバーDが操作されました。レバーDを閉じて、レバーEを操作してください」等の表示を行ってもよい。また、前述したように、図13に示す警告画面D6を表示することも、操作者に、誤操作からの復旧を促すことができる。操作者は、正しい復旧操作を行うことができる。
エラー解除制御部301は、センサ309の検知信号に基づいて、誤操作から復旧したか否かを判断する。操作者が、正しい復旧操作を行うことによって、エラー解除の操作を再開することができる場合、フローは、ステップS53に戻る。エラー解除制御部301は、操作者がエラーの解除操作を行うことを許容する。
一方、誤操作の内容によっては、所定の権限を有する管理者が誤操作の対応をすべきこともある。例えば、開ける必要がない収納部を開けてしまう誤操作は、店舗の出納係が対応をすべきである。エラー解除制御部301は、誤操作の内容によっては、権限を有しない操作者がエラーの解除操作を継続することを禁止し、管理者に通知する。この場合、図5のフローは、そのまま終了する。
ステップS57でエラーが解除した後のステップS58において、エラー解除制御部301は、警告が必要か否かを判定する。例えば図6のステップS64のように、集積部40の紙幣を抜き取ってしまった場合や、図7のステップS75のように、他の収納部の紙幣を抜き取ってしまった場合等には、エラーの解除後の警告が必要であると判断して、ステップS59に進む。
ステップS59では、前述の通り、警告を出力し、続くステップS510で、異常対応処理を行う。例えば集積部40の紙幣を抜き取ってしまった場合は、抜き取った紙幣を投入し直すようにする。また、他の収納部の紙幣を抜き取ってしまった場合は、当該収納部の精査処理を行う。
図14は、エラー解除が完了した後に表示される警告画面D7を例示している。ここでは、精査処理の実行を、操作者に促すメッセージが表示されている。この警告画面D7には、精査処理を開始するためのボタンがあり、操作者がボタンを操作すると、貨幣処理装置1は、精査対象の収納部について、精査処理を開始する。このように、エラー解除制御部301は、精査処理への誘導処理を実行する。このことによって、スムースに精査処理に移行をすることができる。
尚、精査処理への誘導は、図14に示すようなポップアップ表示に限らず、精査処理を開始するためのアイコンを操作表示部302に表示してもよい。また、図14に示す警告画面D7にボタンを設けるのではなく、エラー解除が完了した後に、精査処理を自動的に開始するようにしてもよい。
このように、貨幣処理装置1は、操作車がエラー解除の操作を行っているときに、誤操作が行われたことを検知すると共に、誤操作が行われたときには警告を出力する。これにより、エラーの解除操作が行われるときに、誤った操作が行われること、及び、誤った操作のままで操作が進むことが、それぞれ防止される。
尚、エラー解除制御部301は、誤操作があったときに、当該情報(つまり、誤操作ログ情報)を、エラー解除データベース311に記憶するようにしてもよい。こうすることで、記憶している誤操作の情報を解析することができるようになる。解析の結果、発生頻度が高い誤操作に対して、対策を施すことが可能になる。例えば案内画面の内容を修正することによって、誤操作を招かないようにすることができる。
また、エラー解除制御部301は、誤操作ログ情報を記憶するときに、誤操作をした操作者の情報と対応付けて、誤操作ログ情報を記憶してもよい。こうすることで、例えば誤操作の多い操作者を特定することが可能になる。管理者は、誤操作の多い操作者に対して、指導等を行うことによって改善が期待できる。
尚、前記の説明では主に、紙幣処理機10を例に、ここに開示する技術を説明したが、硬貨処理機110についても同様に、ここに開示する技術を適用することができる。また、貨幣処理装置1に限らず、ここに開示する技術は、小切手や手形、又は、商品券等の有価媒体を処理する装置に広く適用することができる。
図15は、有価媒体処理システムの別の構成例を示している。この有価媒体処理システム50は、有価媒体処理装置としての紙幣釣銭機51及び硬貨釣銭機52と、POSレジスタ53とによって構成されている。この有価媒体処理システム50は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所において構築される。
紙幣釣銭機51は、詳細な構成の図示は省略するが、紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、及び回収処理等を実行することが可能に構成されている。同様に、硬貨釣銭機52は、硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、及び回収処理等を実行することが可能に構成されている。
POSレジスタ53は、紙幣釣銭機51及び硬貨釣銭機52に対して接続されており、商品の購入情報を登録すると共に、紙幣釣銭機51及び硬貨釣銭機52に指令を出力することによって、紙幣釣銭機51及び/又は硬貨釣銭機52に、入金処理、出金処理、精査処理、及び回収処理等を実行させる。POSレジスタ53はまた、POS操作表示部531を有している。POS操作表示部531に様々な情報が表示されると共に、操作者は、POS操作表示部531を通じて、様々な操作をすることができる。
紙幣釣銭機51及び/又は硬貨釣銭機52においてエラーが発生したときに、エラーの解除操作に係る案内画面は、POS操作表示部531に表示してもよい。POS操作表示部531は、画面のサイズが比較的大きいため、案内画面の表示に適している。
また、エラーを解除する操作時に、誤操作があったときには、POS操作表示部531に警告画面を表示してもよい。こうすることで操作者は、誤操作があったことがわかり、誤った操作を進めてしまうことが防止される。また、誤操作があったときに、警告音又は音声を発したり、外部装置(POSレジスタの管理コンピュータ、その他のPC、タブレット端末、又はスマートフォン)に通知を行ったりしてもよい。
前記の説明では、操作者に応じて警告の出力態様を変更したり、誤操作のレベルに応じて警告の出力態様を変更したりしているが、さらに、貨幣処理装置の設置環境に応じて、警告の出力態様を変更してもよい。
例えばPOSレジスタ53が、近くに顧客がいる場所に設置される場合、警告音が発せられると、顧客が不安を感じたり、不快に感じたりする恐れがある。そこで、POSレジスタ53が、近くに顧客がいる場所に設置される場合は、警告音を発せず、POSレジスタ53が、近くに顧客がいない場所に設置される場合は、警告音を発するように、出力態様を変更してもよい。
また、金融機関に設置される貨幣処理装置についても、図1に示す出納機は、顧客から離れた場所に設置されるため、警告音を発する一方、例えば顧客が操作を行うATMや、金融機関の窓口に設置されるオートキャッシャーは、顧客の近くに設置されるため、警告音を発しないようにしてもよい。
貨幣処理装置の設置環境に応じた警告の出力態様を変更設定も、例えば警告設定情報312に、予め設定しておけばよい。