以下、紙葉類処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙葉類処理装置の一例である。図1は、紙幣処理機10を含む貨幣処理装置1の全体構成例を示している。紙幣処理機10は、紙葉類処理装置の一例である。貨幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関における出納機として設置される。貨幣処理装置1は、金融機関の行員等により利用される。尚、紙葉類処理装置は、金融機関の出納機に含まれる装置に限定されない。紙葉類処理装置は、様々な用途の処理装置を含む。また、紙葉類処理装置は、単独で機能する装置であってもよい。
(貨幣処理装置の全体構成)
図1は貨幣処理装置1の外観を示している。貨幣処理装置1は、紙幣処理機10及び硬貨処理機110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。紙幣処理機10は、バラ紙幣の入出金処理を実行可能である。また、紙幣処理機10は、帯封紙幣(つまり、帯封紙葉類)の作成や、帯封紙幣の出金処理を実行可能である。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣を帯封紙によって帯封することによって作成される。硬貨処理機110は、バラ硬貨の入出金処理を実行可能である。硬貨処理機110はまた、包装硬貨の作成や、包装硬貨の出金処理を実行可能である。包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことによって作成される。
操作表示部302は、硬貨処理機110の筐体112の上部に設けられた、例えばタッチパネル等からなる。操作表示部302は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者はこの操作表示部302を介して、様々な操作を行うことができる。
印字部304は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。
図2は紙幣処理機10の内部構成を概略的に示す構成図である。図2において、左側が紙幣処理機10の前面側であり、左右方向が紙幣処理機10の奥行き方向である。図1及び図2を用いて、紙幣処理機10の構成について説明する。なお、硬貨処理機110に関しては、その構成の詳細については説明を省略する。
図1及び図2に示すように、紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、バラ紙幣を入金するための投入部14、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣払出部24、及び、帯封紙幣を出金するための帯封紙幣払出部48がそれぞれ設けられている。投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。一方、バラ紙幣払出部24にはシャッター24aが設けられている。帯封紙幣払出部48には、払出口48cを開閉するシャッター48aが設けられている。シャッター24a,48aは後述するシャッター駆動部24b,48bによりそれぞれ駆動される。シャッター24a,48aによりバラ紙幣払出部24や帯封紙幣払出部48の払出口48cが開口されると、操作者はバラ紙幣払出部24に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣払出部48に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。なお、バラ紙幣払出部24は、バラ紙幣の出金処理における出金部として機能するとともに、入金処理時において識別できなかったバラ紙幣や正常ではないと識別されたバラ紙幣を排出するための入金リジェクト部としても機能する。
また、バラ紙幣払出部24の下方には、バラ紙幣の出金処理において、バラ紙幣払出部24から出金すべきではないと判断されたバラ紙幣(つまり、リジェクト紙幣)が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前カバーは、通常、閉鎖されており、出金リジェクト部26の内部にアクセスすることができない。所定の権限を有する管理者が操作をすることによって、前カバーが開放され、出金リジェクト部26の内部のリジェクト紙幣を回収することができる。
図2に示すように、投入部14には、投入されたバラ紙幣を1枚ずつ繰り出すための繰出部16が設けられている。繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は、搬送部18により筐体12内で搬送される。搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられており、識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。
搬送部18には、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び複数(図2では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されている。入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ、上下方向に移動可能となっているステージ30a,32a,34aが設けられており、ステージ30a,32a,34a上でバラ紙幣が積層状態で集積される。ここで、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣や損券、オーバーフロー紙幣等が混合状態で収納される。また、各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納される。
入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出部30bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部30bにより、入金一時保留部30から1枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から入金一時保留部30に1枚ずつ繰り入れられる。混合バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰入部32bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰入部32bにより、搬送部18から混合バラ紙幣収納部32に1枚ずつ繰り入れられる。各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出部34bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部34bにより、各金種別バラ紙幣収納部34から1枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から各金種別バラ紙幣収納部34に1枚ずつ繰り入れられる。バラ紙幣の出金処理が行われる際には、各金種別バラ紙幣収納部34から繰り出されたバラ紙幣が搬送部18により識別部20に送られ、識別部20により識別された後にバラ紙幣払出部24に送られる。
筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、操作者は、下部扉12aを開くことにより入金一時保留部30の内部にアクセスできる。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、手前側に(図2における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。操作者は、下部扉12aを開いて引出ユニット13を手前側に引き出し、混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34を引出ユニット13から取り外したり、引出ユニット13に装着したりできる。
また、搬送部18には複数(図2では2つ)の集積部40が接続されており、搬送部18から送られたバラ紙幣は、集積部40に積層状態で集積される。集積部40には、集積されているバラ紙幣を搬送部18に1枚ずつ繰り出す繰出部が設けられていてもよい。また、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が、集積部40の隣に設けられている。帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられている。アーム機構44は、集積部40、帯封部42及び帯封紙幣揚送部46の間で移動可能となっている。帯封紙幣揚送部46には、図2における上下方向に移動可能となっている昇降部46aが設けられている。帯封部42及びアーム機構44によって、紙幣結束機構が構成されている。
帯封処理が行われる際に、アーム機構44は、集積部40に集積された所定枚数のバラ紙幣を上下一対のアーム部により保持して、帯封部42に移動する。帯封部42において、アーム機構44に保持された所定枚数のバラ紙幣の外周面に帯封紙が巻かれる。帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、昇降部46a上に帯封紙幣を受け渡す。昇降部46aの上面は、帯封紙幣が載置される載置面46bに相当する(図4も参照)。
帯封紙幣払出部48は、帯封紙幣揚送部46の上側に位置している。帯封紙幣払出部48は、払出対象の帯封紙幣を保持する払出空間48dを有している。払出空間48dは、帯封紙幣揚送部46につながっている。払出空間48dはまた、払出口48cにつながっている。昇降部46aは、アーム機構44から昇降部46a上に帯封紙幣が受け渡された後、上方向に移動して、帯封紙幣を帯封紙幣払出部48に搬送する。
帯封紙幣払出部48の下部には、複数の爪部48eが配設されている(図4も参照)。詳細は後述するが、爪部48eは、昇降部46aから帯封紙幣を受け取る。爪部48eは、帯封紙幣を払出空間48d内で保持する。図5に例示するように、一つ又は複数の帯封紙幣は、爪部48eの上に積み重なる。
爪部48eの上に帯封紙幣が載置されている状態でシャッター48aが開くと、操作者は払出口48cを通じて、爪部48eの上に載置されている帯封紙幣を取り出すことができる。尚、帯封紙幣払出部48の構成の詳細は、後述する。
この紙幣処理機10は、帯封紙幣を収納する収納部を備えていない。これにより、紙幣処理機10は小型化している。
図3は貨幣処理装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。図3に示すように、貨幣処理装置1には、各構成要素の制御を行う制御部300が設けられている。制御部300には、紙幣処理機10の構成要素、具体的には、投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(ステージ30aの駆動機構や紙幣繰出部30b)、混合バラ紙幣収納部32(ステージ32aの駆動機構や紙幣繰入部32b)、金種別バラ紙幣収納部34(ステージ34aの駆動機構や紙幣繰出部34b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46(後述する昇降部46aの昇降機構46c)、帯封紙幣払出部48(後述する帯封紙幣を検知するための第1センサ481及び第2センサ482を含む)、シャッター24a,48aを開閉させるシャッター駆動部24b,48b等がそれぞれ接続されている。そして、制御部300は、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る情報等を受け、また、紙幣処理機10の各構成要素に指令信号を送ることによりその動作を制御する。
また、制御部300には、硬貨処理機110の各構成要素が接続されており、硬貨処理機110の動作を制御する。さらに、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部310及び通信インターフェース部306がそれぞれ接続されている。
記憶部310は、貨幣処理装置1における処理履歴や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。
また、制御部300は、通信インターフェース部306を介して、上位端末である管理コンピュータ(図示省略)に対して様々な信号の送受信を行うことができる。
(帯封紙幣の出金処理)
次に、紙幣処理機10における帯封紙幣の出金処理について説明する。図2の矢印は、帯封紙幣の出金処理を実行しているときの、紙幣の流れを示している。帯封紙幣の出金処理を行う際には、出金対象の金種の紙幣が収納された金種別バラ紙幣収納部34から、紙幣繰出部34bにより紙幣が一枚ずつ繰り出される。搬送部18は、繰り出された紙幣を識別部20へ搬送し、識別部20は、紙幣の識別を行う。正常な紙幣であると識別された紙幣は、搬送部18によって集積部40へ搬送される。集積部40において、紙幣は積層状態で集積される。なお、識別部20により識別することができなかった紙幣や、重なって搬送されたり斜行して搬送されたりした紙幣は、搬送部18によって、出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26で集積される。
集積部40において集積されている所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣は、アーム機構44によって、帯封部42に搬送される。帯封部42においてバラ紙幣の外周面に帯封紙が巻かれることによって、帯封紙幣が作成される。帯封処理が行われた後、アーム機構44は、帯封紙幣を帯封部42から帯封紙幣揚送部46へ搬送し、昇降部46aの上に帯封紙幣を受け渡す。
その後、帯封紙幣は、昇降部46aによって帯封紙幣揚送部46から帯封紙幣払出部48に搬送され、爪部48e上に載せられることによって、払出空間48d内に保持される。払出空間48d内に、出金数分の帯封紙幣が保持されると、又は、払出空間48d内に最大数の帯封紙幣(後述するように、この構成例では最大五個)が保持されると、シャッター48aが開く。操作者は、払出空間48d内に保持されている帯封紙幣を、払出口48cを通じて取り出すことができる。最大数を超える数の帯封紙幣を出金するときには、シャッター48aが開いて帯封紙幣を取り出す出金動作が、複数回に分けて行われる。
(帯封紙幣払出部の構成)
図4は、帯封紙幣払出部48の構成を示している。図4の上図は、帯封紙幣払出部48の上から見た断面図であり、図4の下図は、帯封紙幣払出部48の横から見た断面図である。
帯封紙幣払出部48は、前述したように、払出空間48dを有している。払出空間48dは側壁48f及び上壁48gによって区画されている。払出空間48dの前側は、払出口48cにつながっている。払出口48cは、前述したように、シャッター48aによって開閉する。
複数の爪部48eは、払出空間48dの下部に配設されている。複数の爪部48eは、図4の上図に示すように、払出空間48dにおける、前部、後部及び側部のそれぞれに配設されている。各爪部48eは、その基端部が紙幣処理機10の筐体側に枢支されている。各爪部48eは、図4に実線で示すように、略水平方向に伸びることによって、側壁48fから払出空間48dの中に突出する状態と、上方に回動することによって、図4に一点鎖線で示すように、側壁48fに沿って上向きに起立する状態とに状態を変更する。爪部48eにはまた、図示は省略するが、例えば捩りバネからなる付勢部材が取り付けられている。付勢部材は、爪部48eを水平方向に伸びる状態に付勢している。後述するように、爪部48eを略水平方向に伸びる状態から上方に回動させる場合には、付勢部材の付勢力に逆らって爪部48eを回動させることとなる。
前述したように、昇降部46aは、帯封紙幣揚送部46から払出空間48dへ帯封紙幣を搬送すると共に、爪部48eへ帯封紙幣を受け渡す。帯封紙幣は、略水平方向に伸びる爪部48eの上に載置される。
昇降部46aは、図4の上図に示すように、上から見たときに略矩形状を有している。昇降部46aと側壁48fとの間隔は狭い。払出空間48dの中において、昇降部46aの上に載置された帯封紙幣Bが昇降部46aから落下してしまうことが防止される。
昇降部46aの縁部には、各爪部48eに対応して切欠部46eが形成されている。昇降部46aと爪部48eとが干渉しないため、昇降部46aは、爪部48eに衝突することなく爪部48eの高さ位置を通過して、帯封紙幣揚送部46から払出空間48dへと移動すると共に、払出空間48dから帯封紙幣揚送部46へと移動することができる。昇降部46aはまた、払出空間48d内を昇降することができる(図4の下図の矢印参照)。
昇降部46aとは異なり、昇降部46aの載置面46bに載置された帯封紙幣Bは、図4の上図に破線で示すように、各爪部48eの先端部と干渉する。載置面46bに載置された帯封紙幣Bは、上昇するときには、爪部48eが上向きに回動することによって、帯封紙幣揚送部46から払出空間48dへと移動することができる一方で、下降するときには、爪部48eに引っかかることによって、払出空間48dから帯封紙幣揚送部46へと移動することができない。帯封紙幣Bは、爪部48eの上に載る。
昇降部46aを昇降させる昇降機構46cは、帯封紙幣揚送部46及び払出空間48dの外側に配設されている。昇降機構46cは、帯封紙幣払出部48よりも上方の位置と、帯封紙幣揚送部46よりも下方の位置とのそれぞれに配設されたプーリ461と、二つのプーリ461の間に巻き掛けられたベルト462と、プーリ461を回転させる電動モータ463(例えばステッピングモータや、DCモータ)と、を備えている。電動モータ463が正回転及び逆回転をすると、ベルト462が時計回り及び反時計回り方向に走行する。昇降部46aは、ベルト462に連結されており、二つのプーリ461の間でベルト462が走行するに伴い、昇降部46aが、帯封紙幣揚送部46及び払出空間48dの中を、昇降する。
ベルト462には、検知部材464が取り付けられている。検知部材464は、ベルト462が走行することに伴い、帯封紙幣揚送部46及び払出空間48dを昇降する。検知部材464を検知する第1センサ481が、ベルト462の走行経路の近傍における、所定位置に配設されている。検知部材464は、例えばフォトインタラプタや、リミットスイッチであり、検知部材464が、図4に一点鎖線で示す所定位置に到達したことを検出する。検知部材464が、第1センサ481の位置に到達すると、昇降部46aの載置面46bが、払出空間48dの中における所定の最上位位置に到達することになる。最上位位置は、この構成例では、上壁48gの位置である。つまり、第1センサ481は、図4の下図に二点鎖線で示すように、昇降部46aの載置面46bが上壁48gの位置に到達したことを検知する。尚、検知部材は、ベルト462に取り付ける代わりに、昇降部46aに取り付けてもよい。第1センサ481は、昇降部46aの位置を直接、検知するようにしてもよい。
ここで、帯封紙幣Bの出金処理のときに、帯封紙幣Bを、昇降部46aから爪部48e上に受け渡す手順について説明する。前述したように、帯封部42から帯封紙幣Bを渡された昇降部46aは、帯封紙幣揚送部46を上昇する。昇降部46aが、爪部48eの位置に到達すると、昇降部46aに載置された帯封紙幣Bは、各爪部48eの下面に接触する。昇降部46aがさらに上昇すると、帯封紙幣Bが各爪部48eを上方に押し上げ、各爪部48eを上方に回動させる。昇降部46aがさらに上昇すると、各爪部48eは、図4の下図に一点鎖線で示すように、上向きに起立した状態になり、昇降部46aの上に載置された帯封紙幣Bと昇降部46aとの両方が、各爪部48eの高さ位置を通過して、払出空間48dの中に進入する。昇降部46aが払出空間48dの中に進入し、昇降部46aと爪部48eとの係合が外れれば、爪部48eが付勢部材の付勢力によって回動し、爪部48eは水平方向に伸びる状態になる。その後、昇降部46aが下降することによって、昇降部46aは、爪部48eと干渉することなく、爪部48eの高さ位置を通過する一方、昇降部46aの上に載置された帯封紙幣Bは、爪部48eの上に載る。こうして、昇降部46aから爪部48eへ、帯封紙幣Bの受け渡しが完了する。
図5に例示するように、払出空間48d内において、複数の帯封紙幣Bは、爪部48eの上において、上下に積み重なる。爪部48eの上に、複数の帯封紙幣Bを積み重ねるときには、前述した昇降部46aの昇降を繰り返す。こうすることによって、昇降部46aの上に載っている新たな帯封紙幣Bは、爪部48eの上に載っている帯封紙幣Bの下側に重なるように、昇降部46aから爪部48eへ、帯封紙幣Bが受け渡される。払出空間48dは、爪部48eの上に、最大五個の帯封紙幣Bを積み重ねることができるように構成されている。
払出空間48dには、図4に示すように、複数の第2センサ482が配設されている。第2センサ482は、例えば発光素子と受光素子によって構成されている。第2センサ482は、払出空間48d内に、帯封紙幣Bが存在していることを検知する。帯封紙幣Bが払出空間48d内に存在していると、帯封紙幣Bが第2センサ482を遮光することにより、第2センサ482は、帯封紙幣Bが存在していることを検知することができる。第2センサ482は、帯封紙幣Bが昇降部46aの上に載っていること(つまり、払出空間48d内に帯封紙幣Bが保持されていること)だけでなく、払出空間48d内に帯封紙幣Bが存在しているか否かを、できるだけ正確に検知できるように、複数個、適宜の位置及び適宜の角度に配設されている。尚、図4に示す第2センサ482の配置や角度は、単なる例示である。
帯封紙幣Bが払出空間48d内に存在していても、例えば帯封紙幣Bが変形していたり、帯封紙幣Bの姿勢が正常でなかったりすると、帯封紙幣Bが、第2センサ482の光軸をかわしてしまうことが起こり得る。この紙幣処理機10は、払出空間48d内に残留している帯封紙幣Bの検知精度を高めるために、昇降部46aを昇降させることによる残留チェック処理を実行するよう構成されている。
(残留チェック処理)
残留チェック処理は、払出空間48d内に、帯封紙幣Bが残留していないことを確認するための処理である。制御部300は、払出空間48d内に帯封紙幣Bが存在していないと考えられるタイミングに、残留チェック処理を実行する。残留チェック処理は、下記に記載する様々なタイミングの内の、少なくとも一つにおいて実行する。
つまり、制御部300は、例えば紙幣処理機10のリセット動作を行った時に残留チェック処理を実行する。リセット動作を行った時の具体例としては、紙幣処理機10の電源をオンにして紙幣処理機10がイニシャル動作を行った時、及び、紙幣処理機10に発生したエラーを解除し、リセット操作によって紙幣処理機10がイニシャル動作を行った時が挙げられる。
また、紙幣処理機10が、帯封紙幣Bの出金動作を行った時に、制御部300は、残留チェック処理を実行する。帯封紙幣の出金動作を行った時とは、具体的には、シャッター48aが開いて、操作者が払出空間48d内から帯封紙幣Bを取り出した後である。ここで、シャッター48aが開くのは、出金数分の帯封紙幣Bの払い出しが行われて出金処理が完了した時の他にも、払出空間48d内に最大数の帯封紙幣が積み重なったため、払出空間48d内から帯封紙幣Bが取り出された時(出金処理は継続する)も含まれる。
さらに、紙幣処理機10が、各種の処理を開始する前、及び/又は、各種の処理を終了した後に、制御部300は、残留チェック処理を実行する。ここで言う各種の処理には、例えば紙幣処理機10の在高を確認する精査処理や、入金処理及び出金処理等が含まれる。
残留チェック処理において、制御部300は、昇降部46aを、払出空間48d内において上昇させる。払出空間48d内に帯封紙幣Bが存在していないと、図6に示すように、昇降部46aの載置面46bは、上壁48gに到達する。つまり、載置面46bは、払出空間48d内における最上位位置に到達する。制御部300は、第1センサ481の検知信号に基づいて、載置面46bが払出空間48d内における最上位位置に到達したことを判断する。
例えば図7に例示するように、帯封紙幣Bが側壁48f等に引っかかること等によって、払出空間48d内に帯封紙幣Bが残留していると、昇降部46aが払出空間48d内において上昇したときに、残留している帯封紙幣Bは、昇降部46aの載置面46bの上に載るようになる。昇降部46aがさらに上昇すると、図8に例示するように、帯封紙幣Bは、上壁48gと載置面46bとの間に挟まる。帯封紙幣Bが上壁48gと載置面46bとの間に介在するため、載置面46bは、上壁48gまで到達しない。制御部300は、昇降部46aの上昇を開始してから、予め定めた所定時間が経過しても、第1センサ481が、載置面46bが最上位位置に到達したことを検知しないときに、載置面46bが最上位位置に到達しないと判断する。払出空間48d内に帯封紙幣Bが存在(つまり、残留)している、又は、存在している可能性がある。
ここで、載置面46bが上壁48gに到達したか否かは、第1センサ481の検知信号に基づいて判断すること以外にも、様々な手法を採用することができる。例えば昇降部46aの昇降機構46cの駆動源である電動モータ463の動作に基づき、昇降部46aの上昇を開始してから所定時間が経過する前に、電動モータ463の回転がロックしたときに、制御部300は、載置面46bが上壁48gに到達しないと判断してもよい。また、例えば昇降機構46cの駆動源がDCモータであれば、昇降部46aの上昇を開始してから所定時間が経過する前に、DCモータの供給電流値が所定以上になったときに、制御部300は、載置面46bが上壁48gに到達しないと判断してもよい。
残留チェック処理の結果、帯封紙幣Bが残留している、又は、残留している可能性があるときには、紙幣処理機10は、操作者に帯封紙幣Bを取り出させるための取出処理を実行する。具体的には、昇降部46aが下降して、払出空間48dから帯封紙幣揚送部46へ退避する。残留チェック処理時に、上壁48gと載置面46bとの間に挟まった帯封紙幣Bは、ほとんどの場合、昇降部46aの下降と共に下に降りてきて爪部48eの上に載るようになる。また、昇降部46aの下降と共に、帯封紙幣Bが下に降りて来なかったとしても、帯封紙幣Bの位置や姿勢が変化することによって、第2センサ482は、帯封紙幣Bを検知することができるようになる。第2センサ482が帯封紙幣Bを検知すれば、シャッター48aを開放する
残留チェック処理後の取出処理の実行時に、第2センサ482が帯封紙幣Bを検知しないときには、昇降部46aを上昇させて、残留チェック処理をもう一度、行うようにしてもよい。その結果、帯封紙幣Bの残留を検知することができなかったときには、帯封紙幣Bが存在していないとして残留チェック処理を終了してもよい。一方、再度の残留チェック処理においても、帯封紙幣Bの残留が検知されたときには、再び、取出処理へ移行すればよい。二回目以降の取出処理において、第2センサ482が帯封紙幣Bを検知することができないときには、紙幣処理機10をエラーダウンさせてもよい。
次に、図9のフローチャートを参照しながら、残留チェック処理を含む、帯封紙幣Bの出金処理の手順を説明する。先ず、スタート後のステップS1において、制御部300は、操作者IDの取得を行う。具体的には、操作表示部302に認証画面を表示し、操作者に、認証操作を実行させる。操作者の認証が完了すれば、プロセスは、ステップS2に進む。
ステップS2において、制御部300は、帯封紙幣Bの出金が指示されたか否かを判定する。認証操作の完了後、操作表示部302には、例えば図11に示すメニュー画面D2が表示される。操作者が、操作表示部302によって帯封紙幣Bの出金を選択して、出金貨幣の金種別枚数等を入力したときに、プロセスは、ステップS2からステップS3に進む。
ステップS3において、制御部300は、前述したように、金種別バラ紙幣収納部34から繰り出したバラ紙幣によって、帯封紙幣Bを作成する処理を実行する。その後のステップS4において、制御部300は、作成した帯封紙幣Bの出金動作を行う。払出空間48d内には、出金数又は最大数の帯封紙幣Bが保持される。払出空間48d内に帯封紙幣Bが保持されると、シャッター48aが開放される。
ステップS5において、制御部300は、帯封紙幣Bが、払出空間48dから取り出されたか否かを判定する。制御部300は、具体的には、第2センサ482の検知信号に基づいて、ステップS5の判定を行う。操作者が払出空間48d内の帯封紙幣Bを取り出し、第2センサ482が帯封紙幣Bを検知しなくなると、ステップS5の判定がYESとなり、プロセスはステップS6に進む。第2センサ482が帯封紙幣Bを検知している間は、プロセスは、ステップS5を繰り返す。帯封紙幣Bの取り出しが行われない、又は、帯封紙幣Bの取り残しがある等のときに、制御部300は、必要に応じて、操作者に帯封紙幣Bの取り出しを促す報知や警報を行ってもよい(例えば操作表示部302に警報画面を表示したり、警報音を発したりしてもよい)。第2センサ482が帯封紙幣Bを検知しなくなると、シャッター48aが閉まる。
ステップS6において、制御部300は、残留チェック処理を実行する。具体的に制御部300は、前述の通り、昇降部46aを払出空間48d内において上昇させ、載置面46bが最上位位置に到達したか否かを、第1センサ481の検知信号に基づいて判断する(図6、7、8参照)。
続くステップS7において、制御部300は、残留チェック処理の結果、帯封紙幣Bが残留していなかったか否かを判断する。帯封紙幣Bが残留していないときには、プロセスは、ステップS11に進む。また、それ以外のときには、プロセスは、ステップS8に進む。
払出空間48d内に帯封紙幣Bが残留している、又は、残留している可能性があるため、ステップS8において制御部300は、操作者に対する警告報知を行う。制御部300は、例えば図10に例示するような警報画面D1を、操作表示部302に表示する。警報画面D1は、操作者に、払出空間48d内から帯封紙幣Bの取り出しを促すメッセージを含んでいる。
続くステップS9において制御部300は、残留している帯封紙幣Bを、操作者に取り出させるための取出処理を実行する。制御部300は、具体的には、昇降部46aを下降して、昇降部46aを払出空間48dから帯封紙幣揚送部46に退避させると共に、第2センサ482が帯封紙幣Bを検知しているときには、シャッター48aを開ける。
ステップS10において、制御部300は、第2センサ482の検知信号に基づいて、操作者が帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出したか否かを判断する。帯封紙幣が取り出されると、プロセスは、ステップS10からステップS11に進む。一方、帯封紙幣Bが取り出されないと、プロセスは、ステップS10からステップS8に戻り、操作者に、帯封紙幣の取り出しを促す。
前述したように、ステップS9の取出処理の際に、第2センサ482が、払出空間内に帯封紙幣が存在していることを検知しないときには、プロセスは、ステップS9からステップS6に戻り、制御部300は、残留チェック処理をもう一度実行すればよい。
ステップS7において、残留チェック処理の結果、帯封紙幣Bの残留が無かったと判定されたとき、又は、ステップS10において、残留していた帯封紙幣Bが払出空間48dから取り出されたときに、プロセスは、ステップS11に進む。ステップS11において制御部300は、未出金の帯封紙幣Bが無いか否かを判定する。未出金の帯封紙幣Bは、出金対象の帯封紙幣でありかつ、払出空間48dに保持することができる帯封紙幣Bの最大数の制限により未だ払い出されていない帯封紙幣Bを意味する。ステップS11の判定がNOのときには、プロセスは、ステップS3に戻り、帯封紙幣Bの作成及び払出を継続する。ステップS11の判定がYESのときには、出金処理が完了したことになるため、プロセスは、ステップS12に進む。ステップS12において、制御部300は、印字部304に出金ジャーナルを発行させる。
紙幣処理機10が実行する残留チェック処理は、昇降部46aを払出空間48d内において上昇させ、払出空間48d内に存在している帯封紙幣Bと昇降部46aとが係合することを利用して帯封紙幣Bの存在を検知する。払出空間48d内における帯封紙幣Bの検知漏れがなくなり、帯封紙幣Bの残留を検知する精度が高まる。また、多数のセンサ等が不要であるため、安価に実現することができる。
また、残留チェック処理は、第2センサ482が帯封紙幣Bを検知していない時に実行する。無駄な残留チェック処理を行わないことによって、時間が節約される。また、残留チェック処理は、帯封紙幣Bが載置面46bと上壁48gとの間に挟まれるため、帯封紙幣Bが破損したり、払出空間48d内の部材が破損したりする恐れがあるが、無駄な残留チェック処理を行わないことによって、そうした破損が発生することを回避することができる。
(払出パターンの設定)
前述したように、この構成例の紙幣処理機10における払出空間48dは、最大五個の帯封紙幣Bを保持することが可能に構成されている。しかしながら、最大数の帯封紙幣Bが払出空間48dに保持されると、払出空間48dが一杯になって、集積された帯封紙幣Bの周囲の空き空間が狭くなる結果、操作者は、払出口48cを通じて、帯封紙幣Bを取り出しにくくなる場合がある。
そこで、この紙幣処理機10は、払出空間48dに保持する帯封紙幣Bの最大数、言い換えると、一度に払い出される帯封紙幣Bの数を、操作者が変更可能に構成されている。
図11は、貨幣処理装置1の操作表示部302に表示されるメニュー画面D2の一例である。このメニュー画面D2は、設定ボタンB1を含んでいる。操作者が設定ボタンB1を操作することによって、貨幣処理装置1に関する各種の設定を行うことができる。
図12は、紙幣処理機10の帯封設定を行う設定画面D3を例示している。操作者は、前述した帯封紙幣の数の変更を、この設定画面D3において行うことができる。帯封紙幣Bの数の変更は、この構成例では、二つのパターンによって可能である。一つは、帯封紙幣払出部48から一度に払い出される帯封紙幣Bの上限を設定するパターンAである。パターンAを選択したときには、一度に払い出される帯封紙幣Bの上限数を、一個〜五個の範囲で変更することができる。
もう一つは、帯封紙幣払出部48からの払出回数を最小回数に制限した上で、一回の出金動作時に払い出される帯封紙幣Bの数を、略均等にするパターンBである。
パターンA及びパターンBについて、図13を参照しながら具体的に説明をする。ここで、帯封紙幣Bの出金処理において、合計七個の帯封紙幣Bが出金されると仮定する。払出パターンのデフォルト設定は、パターンAで、上限を五個(つまり、払出空間48dに保持可能な最大数)にすることである。この場合は、図13の上図に示すように、紙幣処理機10は、一回目の出金動作時に、払出空間48d内に五個の帯封紙幣Bを保持する。操作者は、五個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。紙幣処理機10は、二回目の出金動作時に、残りの二個の帯封紙幣Bを、払出空間48d内に保持する。操作者は、二個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。合計七個の帯封紙幣Bを出金する場合、払出回数の最小回数は二回である。
次に、パターンAで上限を三個に設定すると、図13の中図に示すように、紙幣処理機10は、一回目の出金動作時に、払出空間48d内に三個の帯封紙幣Bを保持する。操作者は、三個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。紙幣処理機10は、二回目の出金動作時にも、同じ三個の帯封紙幣Bを、払出空間48d内に保持する。操作者は、三個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。紙幣処理機10は、三回目の出金動作時に、残り一個の帯封紙幣Bを払出空間48d内に保持し、操作者は、一個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。図13からも明らかなように、帯封紙幣Bの数を少なくすることによって、払出空間48d内に集積された帯封紙幣Bの周囲の空き空間が広くなるため、操作者は、払出口48cを通じて、帯封紙幣Bを取り出しやすくなる。その一方で、一度に払い出される帯封紙幣Bの数を少なくすると、払出回数は、最小回数よりも増える場合がある。
パターンAにおいて上限数を設定すると、例えば図14に例示するように、帯封紙幣Bの出金処理の実行時に、操作表示部302に表示される画面D4において、一度に払い出される帯封紙幣Bの上限、例えば「上限3束」といったように表示するようにしてもよい。こうすることで、操作者の利便性が高まる。
次に、パターンBを選択すると、払出回数の最小回数は、前述したように二回であるため、七個の帯封紙幣Bは、四個と三個とに分けて払い出される。例えば図13の下図に示すように、紙幣処理機10は、一回目の出金動作時に、払出空間48d内に四個の帯封紙幣Bを保持する。操作者は、四個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。紙幣処理機10は、二回目の出金動作時に、三個の帯封紙幣Bを、払出空間48d内に保持する。操作者は、三個の帯封紙幣Bを、払出空間48dから取り出す。尚、一回目の出金動作時に、三個の帯封紙幣Bを払い出し、二回目の出金動作時に、四個の帯封紙幣Bを払い出してもよい。パターンBにおいては、取り出し回数を少なくしながら、帯封紙幣Bを取り出しやすくなる。
この紙幣処理機10は、払出パターンを変更可能に構成しているため、操作者の好みに応じて払出パターンを変えることができる。払出回数を少なくしたい場合は、パターンAにおいて上限数を大に設定するか、パターンBを選択すればよい。一方、払出空間48dからの帯封紙幣Bの取り出し易さを優先する場合は、パターンAにおいて上限数を小に設定するか、パターンBを選択すればよい。払出パターンの変更によって、紙幣処理機10の使い勝手が向上する。
(紙幣処理機の他の構成例)
図15は、図2とは異なる構成の紙幣処理機100の内部構成を概略的に示す構成図である。前述した残留チェック処理や、払出パターンの設定は、図15の紙幣処理機100にも適用することが可能である。紙幣処理機100は、帯封紙幣を搬送する帯封紙幣搬送部60及び帯封紙幣を収納する帯封紙幣収納部70を備えていることを除いて、紙幣処理機10と構成は、ほぼ同じである。
帯封紙幣収納部70は、筐体12の内部における上部領域に配設されている。帯封紙幣収納部70は、この構成例では、四つの帯封紙幣収納部70が設けられている。各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ、上下方向に移動可能であるステージ70aが設けられている。帯封部42により作成された帯封紙幣は、帯封紙幣収納部70の上端部に設けられた開口からステージ70a上に積層状態で集積される。各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇して、各帯封紙幣収納部70の開口から帯封紙幣が上方に出される。各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される。ただし、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも1つは、金種が異なる帯封紙幣を混合状態で収納するようにしてもよい。
帯封紙幣搬送部60は、各帯封紙幣収納部70の上方に設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図15における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に循環移動可能である。帯封紙幣搬送部60によって搬送される帯封紙幣は、循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で左右いずれかの方向に移動する。
紙幣処理機100の帯封紙幣揚送部46は、紙幣処理機10の帯封紙幣揚送部46と同様に上下方向に伸びている一方で、紙幣処理機10の帯封紙幣揚送部46とは異なり、帯封紙幣払出部48の払出空間48dを兼ねている。つまり、紙幣処理機100の帯封紙幣揚送部46は、帯封紙幣搬送部60の位置まで伸びている。
帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間に識別部62が設けられている。識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種を、例えばその最下面の紙幣の撮像画像から識別する。識別部62はまた、帯封紙幣の紙幣や帯封紙の状態、例えば破れや汚れの有無等を識別する。なお、図15の構成では識別部62は搬送路の下側に設けているが、例えば搬送路の上側に設けてもよいし、搬送路の上下に設けてもよい。搬送路の上側に設けた場合には、識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種をその最上面の紙幣の撮像画像から識別する。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70に収納させる際には、帯封紙幣は、アーム機構44から帯封紙幣揚送部46の昇降部46a上に受け渡された後に、昇降部46aの上昇によって帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで達する。循環ベルト60bは反時計回りの方向に循環移動する。これにより、昇降部46a上の帯封紙幣は突起60aに引っ掛けられて、循環ベルト60bの下面に沿って右方向に搬送され、識別部62によりその金種が判別された後、識別部62による識別結果に基づいて、対応する帯封紙幣収納部70に収納される。
一方、帯封紙幣収納部70に収納されている帯封紙幣を出金する際には、循環ベルト60bは時計回りの方向に循環移動する。帯封紙幣収納部70から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って左方向に搬送される。また、昇降部46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで達する。そして、搬送される帯封紙幣は、その金種が識別部62により識別(確認)された後、上方位置で待機していた昇降部46a上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせて昇降部46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。昇降部46a上に所定数の帯封紙幣が集積されると、当該昇降部46aが帯封紙幣払出部48の下端と同じレベルまで下降し、シャッター48aが開く。これにより、操作者は帯封紙幣払出部48から帯封紙幣を取り出すことができる。
また、投入部14に投入されたバラ紙幣から帯封紙幣を作成すると共に、当該帯封紙幣を帯封紙幣払出部48から出金する場合、及び、金種別バラ紙幣収納部34に収納されているバラ紙幣から帯封紙幣を作成すると共に、当該帯封紙幣を帯封紙幣払出部48から出金する場合には、図2に示す紙幣処理機10と同様に、帯封部42において帯封紙幣が作成されると、アーム機構44によって昇降部46aの上に、帯封紙幣が載置される。昇降部46aは、帯封紙幣を払出空間48dに搬送する。出金対象の帯封紙幣は、払出空間48d内に保持される。
シャッター48aが開くと、操作者は払出空間48dの内部にアクセスして保持されている帯封紙幣を取り出すことができる。
紙幣処理機100において残留チェック処理を行う時にも、制御部300は、昇降部46aを、払出空間48d内において上昇させる。払出空間48d内に帯封紙幣Bが存在していないと、昇降部46aの載置面46bは、帯封紙幣搬送部60に近接する高さ位置に到達する。紙幣処理機100において所定の最上位位置は、帯封紙幣搬送部60の循環ベルト60bの下面の位置である。制御部300は、第1センサ481の検知信号に基づいて、載置面46bが払出空間48d内における最上位位置に到達したことを判断する。紙幣処理機100においても、払出空間48d内における帯封紙幣Bの検知漏れがなくなり、帯封紙幣Bの残留を検知する精度を高めることができる。
尚、ここに開示する技術は、紙幣処理機に適用することに限らず、小切手や商品券等の各種の紙葉類を処理する紙葉類処理装置に広く適用することが可能である。