次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての現金自動取引装置200の概略構成を示す説明図である。現金自動取引装置200は、銀行などに設置され、ユーザの操作に応じて入出金処理を無人で行うための装置である。
第1実施例の現金自動取引装置200(以下、ATMという)は、紙幣取扱機構100と、操作部210と、カード取扱機構220と、明細票取扱機構230と、紙幣入出金口240と、ジャーナル取扱機構250と、設定パネル260と、制御ユニット300と、を備えている。なお、ATM200の構成は、必ずしもこの限りでない。例えば、ATM200に、これらの各機構に加えて、通帳を取り扱う通帳取扱機構を設けるものしても良い。
操作部210は、入出金取引のための情報表示および入出金のための操作入力を行うためのユーザとのインタフェースである。操作部210は、情報の表示と操作入力が可能であれば、任意の構成を取ることができる。例えば、操作部210をタッチパネルを用いて構成してもよく、ディスプレイと押しボタンスイッチなどの組み合わせることにより構成してもよい。
カード取扱機構220は、磁気ストライプカードなどのキャッシュカードに記録された情報を読み取る機能を有している。キャッシュカードには、金融機関番号、科目、口座番号等の取引に使用されるユーザの情報が記録されている。ATM200を使用した取引は、これらの情報に基づいて行われる。明細票取扱機構230は、ATM200において行われた取引の内容を記録した明細票を発行する。
ユーザとの紙幣の授受は、開閉可能な扉である紙幣入出金口240を通じて行われる。入金時にユーザが紙幣入出金口240を通して入れた紙幣は、紙幣取扱機構100によって、鑑別され、金種ごとに分類されて保管される。出金時には、紙幣取扱機構100は、ユーザの指示した金額に応じた紙幣を用意する。用意された紙幣は、紙幣入出金口240を通してユーザに受け渡される。
ジャーナル取扱機構250は、ATM200における個々の取引内容を記録したジャーナルを印字し、格納する機構である。ジャーナルには、個々の取引内容についての情報が、累積的に記録される。
設定パネル260は、ATM200の背面扉内側に設けられたタッチパネルである。ATM200のオペレータ(係員)は、この設定パネル260を操作することで、ATM全体や紙幣取扱機構100について動作状況を確認したり、動作設定を行ったりすることができる。
以上で説明したATM200の各ユニットは、制御ユニット300により制御される。制御ユニット300は、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータとして構成されている。制御ユニット300は、図中に矢印で示す通り、各ユニットと情報の授受を行い、ATM200全体の動作を制御する。なお、制御ユニット300の具体的な構成や機能については、後述する。
制御ユニット300は、また、ホストコンピュータ500と通信回線で接続されている。制御ユニット300とホストコンピュータ500との間で、通信回線を介して取引に関する情報が転送される。取引に関する情報の授受を行うことにより、ホストコンピュータ500は、ユーザの口座への入出金等の処理を行う。
図2は、紙幣取扱機構100の概略構成を示す説明図である。紙幣取扱機構100は、金庫部150と、上部ユニット110と、を有している。第1実施例の紙幣取扱機構100は、入金された紙幣を以後の出金に再利用する、いわゆる環流型の紙幣取扱機構である。
金庫部150は、厚板の金属で覆われ、堅牢に構成されている。金庫部150には、出金に使用できる正常な紙幣(以下、「真券」と呼ぶ)を保管するための入出金ボックス172〜176、損傷等により再使用に不適当な真券(以下、「リジェクト券」と呼ぶ)や偽券、真偽不明な不明券を混在して保管するためのリジェクトボックス160が備えられている。以下では、入出金ボックス172〜176とリジェクトボックス160とを、併せて「紙幣ボックス」とも呼ぶ。
入出金ボックス172〜176に保管される金種は、入出金ボックス単位で予め決められている。入出金ボックス172には、庫内での紙幣の配列順序が混乱しないよう、紙幣を整然と保持するための可動式の押板182が設けられている。他の入出金ボックス174、176にも同様の押板が設けられている。リジェクトボックス160は、入出金ボックス172〜176と異なり、紙幣の繰り出しはできないが、繰り入れされた紙幣を繰り入れ順に保持することが可能な構造となっている。但し、リジェクトボックス160の構造を、他の入出金ボックス172〜176と同様の構造としても良い。
上部ユニット110は、入出金口112と、一時スタッカ122と、鑑別部126と、を有している。入出金口112は、ユーザからの紙幣の受け付け、ユーザへの紙幣の受け渡しを行うための空隙である。入出金口112の入り口には、シャッタ116が設けられている。このシャッタ116は、ATM200の紙幣入出金口240と連動して自動的に開閉する。
一時スタッカ122は、入出金の過程で紙幣を一時的に保管する機能を有している。第1実施例の一時スタッカ122は、回転ドラムにベルトを巻き付けつつ、そのベルトによって紙幣を搬送されてきた順序で一枚ずつ保持する、巻き取り式の紙幣保管機構である。但し、一時スタッカ122としては、巻き取り式に限らず、搬送されてきた順序通りに紙幣を保管可能な種々の機構を用いることができる。
入出金口112と、紙幣ボックス160,172〜176および一時スタッカ122との間の紙幣の搬送は、搬送路140によって行われる。搬送路140は、ローラ、ベルトなどの搬送機構を利用して、紙幣を搬送するための機構である。搬送路140の経路には、紙幣の搬送先を切り換えるためのゲートが設けられている。ゲート142は、一時スタッカ122と入出金口112との切り換えを行う。ゲート144は、搬送先をリジェクトボックス160に切り換える。ゲート146、148は、それぞれ搬送先を各入出金ボックス172〜176に切り換える。
各ゲートは、搬送路140の経路上に設けられた鑑別部126での鑑別結果に基づいて切り換えられる。鑑別部126は光学センサその他のセンサによって、通過する紙幣について金種、真偽を一枚ずつ鑑別し、その結果を出力する。鑑別は、紙幣をスキャンして得られる画像データ、磁気特性、紫外線などに対する光学特性など種々の情報を利用して行うことができる。
図3は、制御ユニット300の機能的な構成を示すブロック図である。制御ユニット300は、ATM200が有する種々の機構を制御する制御部として、通信制御部302、主制御部304、鑑別実行部312、入出金制御部314、利用者インタフェース制御部316、カード・通帳取扱制御部318、ジャーナル取扱制御部320、および設定パネル制御部322を有している。これらの各制御部の機能は、制御ユニット300に設けられたCPU(図示しない)が、図示しないメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
取引履歴格納部308は、後述する取引履歴を格納する記憶装置である。取引履歴は、取引の完了毎に、図示しないログ格納部に格納された、取引ログと紙幣ログと障害ログとから生成される。取引ログは、取引の時刻と内容を記録したログ(履歴情報)である。紙幣ログは、繰入・繰出の時刻と使用した紙幣ボックスや2枚検知などの鑑別異常の発生時刻を記録したログであり、障害ログは、ジャムやミスフィードなどの障害の発生時刻を記録したログである。これらのログ(履歴情報)から生成された取引履歴は、取引履歴登録部306により取引履歴格納部308に登録される。
取引情報抽出部310は、取引履歴格納部308に格納された取引履歴から、所定の条件を満たす取引の情報を抽出し、抽出結果を設定パネル制御部322に供給する。なお、取引履歴の具体的内容と、取引情報抽出部310により行われる処理の内容については、後述する。
これらのログのうち紙幣ログおよび障害ログは、ATM200の設置場所において、ATM200のオペレータが閲覧できないように、通常の操作では表示されない。これらのログは、例えば、パスワード等による認証、専用の閲覧装置の使用、あるいは遠隔端末からの操作を行うことにより表示される。なお、本明細書等においては、設置場所における閲覧が不可能とは、このように、通常の操作では、設定パネル260への表示が行われないことを言う。また、設置場所において表示とは、オペレータに情報を提示するための設定パネル260に表示することを言う。このように、設定パネル260は、オペレータに情報を提示する機能を有しているので、「情報表示部」とも呼ぶことができる。
通信制御部302は、ホストコンピュータ500との通信を制御する。鑑別実行部312は、鑑別部126(図2)を用いて、紙幣の鑑別を行う。カード・通帳取扱制御部318は、キャッシュカード、通帳などから、取引対象となる金融機関番号、科目、ユーザの口座番号を入力し、通帳への記帳を行う。
利用者インタフェース制御部316は、操作部210(図1)への画面提示、ユーザやオペレータによる操作の入力を行う。設定パネル制御部322は、設定パネル260(図1)への画面提示、オペレータによる操作入力を行う。
設定パネル260を操作することにより、紙幣取扱機構100の各入出金ボックス172〜176は、入金のみが可能、あるいは、入金および出金の双方が可能の状態に設定される。また、設定パネル260からは、予め定められた金額の紙幣が格納された入出金ボックスの取付(「装填」と呼ばれる)の際に、格納された紙幣の枚数と金種が入力される。
入出金制御部314は、入出金ボックス毎に設定された金種に応じて、ゲート142〜148(図2)の切替を行うとともに、搬送路140の駆動状態を制御する。これにより、入金された紙幣は、入出金口112(図2)から金種に応じた入出金ボックスに搬入され、出金される紙幣は、金種に応じた入出金ボックスから入出金口112に搬出される。
ジャーナル取扱制御部320は、取引に関する情報から生成された印字指令をジャーナル取扱機構250に供給することにより、個々の取引内容等が記録されたジャーナルを作成する。
図4は、取引履歴格納部308に格納される取引履歴の一例を示す説明図である。取引履歴は、ATM200により行われた個々の取引について、取引における入出金の状況を表す入出金情報と、取引における紙幣の取扱状況を表す紙幣情報と、取引中の障害発生状況を表す障害情報と、を含んでいる。
図4の例では、入出金情報として、取引の日時、取引の種別、および取引が行われた口座の番号が、取引履歴に登録されている。入出金情報には、これらの取引履歴に加え、精査と装填とのそれぞれの操作が行われた日時が登録されている。精査とは、入出金ボックス172〜176(図2)に格納されている実際の紙幣の枚数と、入出金ボックス172〜176からの繰入枚数および入出金ボックス172〜176からの繰出枚数から算出される紙幣の枚数との突き合わせを行う操作である。装填とは、紙幣の投入および抜き出しのために取り外された入出金ボックス172〜176を紙幣取扱機構100に取り付ける操作である。
紙幣情報としては、取引に使用された入出金ボックスの番号と、鑑別部126(図2)において紙幣が2枚であると検知(2枚検知)されたか否かの情報とが取引履歴に登録されている。なお、紙幣が2枚であるか否かは、紙幣の厚みが所定の厚み上限値を超えているか否かにより判断される。
障害情報としては、ジャム、ミスフィード、およびリジェクトのそれぞれの障害が、取引中に発生したか否かが取引履歴に登録されている。ここで、ジャムとは、紙幣取扱機構100の搬送路140で紙幣のつまりが発生する障害である。ミスフィードとは、入出金ボックスから搬送路140に紙幣が搬出されない障害である。また、リジェクトとは、鑑別部126において、偽券、あるいは損傷等のある真券が検出される障害である。但し、これらの障害が発生した場合においても、通常は自動的に復帰処理が行われ、実行中の処理が再度行われる。そして、自動的な復帰処理が失敗し、再実行の回数が所定のリトライ回数に到達した場合、ATM200は停止し、係員による復帰処置が行われる。
図5は、取引情報抽出部310(図3)により実行される精査不一致原因表示ルーチンを示すフローチャートである。図6は、精査不一致原因表示ルーチンの実行に当たって、設定パネル260(図1)に表示される表示画面を示す説明図である。なお、精査不一致とは、一般に、計算上の金額と、実際の入出金額とが食い違う状態をいう。精査不一致の一形態は、入出金ボックス172〜176について、装填時に登録された紙幣の枚数を繰出・繰入に伴って増減させた計数上の金額と、実際に入出金ボックス172〜176に格納されている金額とが一致しない状態である。また、精査不一致の別の一形態は、例えば、センタの情報と実際の入金額とが食い違う状態である。
図6(a)は、ATM200が正常に稼働している際に設定パネル260に表示される通常画面を示している。通常画面の左側には、ATM200に設けられた各機構部の動作状態と、紙幣ユニットの動作状態と紙幣の格納枚数と、が表示されている。通常画面の右側には、種々の操作を行うためのボタンが表示されている。係員がこれらのボタンを操作すると、ATM200は、操作されたボタンに応じた処理を実行する。図6(a)の通常画面が表示されている状態で、係員が「不一致調査」ボタンを操作すると、図5に示す精査不一致原因表示ルーチンが実行される。
図5のステップS102において、取引情報抽出部310は、精査不一致の調査対象となる入出金ボックスを指定する指示を取得する。具体的には、図6(b)に示す入出金ボックスの指定画面(ボックス指定画面)を表示する。そして、ボックス指定画面に表示されたボタンの係員による操作状態を取得して、入出金ボックスの指定指示を取得する。
図6(b)に示すボックス指定画面の左側には、入出金ボックス毎にその状態と紙幣の格納枚数が表示されている。そして、ハッチングで示す選択されている入出金ボックスについての表示領域は、反転表示など他の入出金ボックスの表示領域から区別可能に表示される。図6(b)に示す状態で、係員が「前ボックス」ボタンあるいは「次ボックス」ボタンを操作すると、入出金ボックスの選択状態が変更される。そして、係員が「調査実行」ボタンを操作すると、選択されている入出金ボックスが調査対象の入出金ボックス(対象ボックス)として指定される。
ステップS104(図5)において、取引情報抽出部310は、処理を始める取引履歴(始点取引履歴)を設定する。具体的には、入出金情報と紙幣情報とに基づいて、対象ボックスについて精査が行われたことを表す履歴が、最後から順次前に向かって検索される。そして、精査が行われたことを表す取引履歴が処理開始取引履歴に設定される。図4の例では、取引履歴の検索によりハッチングで示す3番目(#3)の取引履歴が前回の精査の履歴として検出される。そのため、ハッチングで示す精査の履歴が始点取引履歴に設定される。
ステップS106において、取引情報抽出部310は、最後の取引履歴に対して処理を行ったか否かを判断する。最後の取引履歴に対する処理が行われた場合、処理はステップS132に進む。一方、未処理の取引履歴がある場合、処理はステップS106に進む。
ステップS108において、取引情報抽出部310は、次の取引履歴を読み込む。図4の例では、始点取引履歴(#3)の次の、装填を表す取引履歴(#4)が読み込まれる。
ステップS110において、取引情報抽出部310は、取引において対象ボックスが使用されたか否かを判断する。取引が対象ボックスを使用している場合には、処理はステップS112に進む。一方、取引が対象ボックスを使用していない場合、処理はステップS106に戻る。
ステップS112において、取引情報抽出部310は、取引の種別が入金、出金およびその他のいずれであるかを判断する。取引の種別が出金である場合、処理はステップS114に進む。取引の種別が入金である場合、処理はステップS122に進む。また、取引の種別が入金と出金とのいずれでもない場合、処理はステップS106に戻る。
図4の例では、4番目の取引履歴(#4)は、装填を表す履歴である。そのため、ステップS112では、処理はステップS106に戻され、5番目の取引履歴(#5)について処理が行われる。そして、5番目の取引履歴(#5)では、第1の入出金ボックス(ボックス#1)が使用されていないため、処理はステップS110からステップS106に戻され、さらに、6番目の取引履歴(#6)が読み込まれる。そして、6番目の取引履歴について、ステップS114以降の処理が行われる。
ステップS114において、取引情報抽出部310は、出金取引において2枚検知が発生したか否かを判断する。2枚検知が発生していない場合、処理はステップS116に進む。一方、2枚検知が発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。入出金ボックスに格納された紙幣の枚数は、入出金ボックスへの紙幣の繰り入れおよび入出金ボックスからの紙幣の繰り出しによって、それぞれ1ずつ増減される。そのため、1回の繰り出し操作により、2枚の紙幣が繰り出された場合、紙幣の計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いが発生する。但し、上述のように、2枚検知は、紙幣の厚みが所定の厚み上限値を超えているか否かで判断される。そのため、紙幣の状態によっては、2枚検知とされた場合においても、実際に繰り出された紙幣が1枚である場合もある。そのため、対象ボックスから繰り出された実際の紙幣の枚数が不明となる。
ステップS116において、取引情報抽出部310は、出金取引においてジャムが発生したか否かを判断する。ジャムが発生していない場合、処理はステップS118に進む。一方、ジャムが発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。出金時に発生するジャムは、種々の要因で発生するが、紙幣の折り癖等によりジャムが発生した場合には、紙幣の計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いは発生しない。しかしながら、例えば、複数の紙幣が繰り出されることによりジャムが発生した場合、上述の2枚検知と同様に、紙幣の計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いが発生する。従って、ジャムが発生した場合も、対象ボックスから繰り出された実際の紙幣の枚数が不明となる。
ステップS118において、取引情報抽出部310は、出金取引においてミスフィードが発生したか否かを判断する。ミスフィードが発生していない場合、処理はステップS120に進む。一方、ミスフィードが発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。上述のように、ミスフィードは、入出金ボックスから搬送路140に紙幣が搬送されない状態である。したがって、入出金ボックスからは紙幣が繰り出されていないと判断され、紙幣の枚数の減算が行われない。しかしながら、入出金ボックスと搬送路140との間で紙幣が拘束された場合、紙幣の拘束状態によってはセンサによる検知が行われず、ジャムの発生と判断されない場合もある。このような場合には、紙幣の繰り出しが実際に行われているにもかかわらず、紙幣の枚数の減算が行われないため、紙幣の計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いが発生する。
ステップS120において、取引情報抽出部310は、出金取引において出金リジェクトが発生したか否かを判断する。出金リジェクトが発生していない場合、処理はステップS106に戻る。一方、出金リジェクトが発生している場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。出金リジェクトも、2枚の紙幣が一部重なって搬送され、大きさ等の異常として発生する場合がある。そのため、出金リジェクトが発生した場合においても、2枚検知と同様に紙幣の計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いが生じる可能性がある。
図4の例において、6番目の取引履歴(#6)は、2枚検知の発生が「有」となっている。そのため、ステップS130において、6番目の取引履歴(#6)から取引情報が抽出される。6番目の取引履歴(#6)の処理の後、7番目の取引履歴(#7)の処理は、ステップS110により終了し、8番目の取引履歴(#8)の処理が行われる。この取引履歴(#8)は、取引種別が入金であるので、処理はステップS112からステップS122に移り、ステップS122以降の処理が行われる。
ステップS122において、取引情報抽出部310は、入金取引において2枚検知が発生したか否かを判断する。2枚検知が発生していない場合、処理はステップS124に進む。一方、2枚検知が発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。通常、入金取引においては、入金計数時における鑑別の後、紙幣は一時スタッカ122に保管される。そして、入金取引の確定の後、一時スタッカ122から、鑑別部126で鑑別が再度行われ、入出金ボックスに紙幣が繰り入れられる。この2度目の鑑別の際に、2枚検知が発生した場合、取引が確定しているにもかかわらず、実際の入金金額が不明となる。すなわち、入金取引において2枚検知が発生すると、センタのホストコンピュータ500に格納されている取引後の金額と、ATM200に入金された金額とに食い違いが生じる可能性がある。
ステップS124において、取引情報抽出部310は、入金取引においてジャムが発生したか否かを判断する。ジャムが発生していない場合、処理はステップS126に進む。一方、ジャムが発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。上述のように、ATM200では、ジャムが発生した場合、自動的に復帰処理が行われる。そのため、ジャムの発生から復帰した場合には、紙幣が入出金ボックスに正常に繰り入れされたと判断され、紙幣の枚数が加算される。しかしながら、ジャムにより紙幣がセンサで検知し得ない場所に拘束されている場合、入出金ボックスへの実際の繰り入れが行われず、計数上の枚数と実際の枚数とに食い違いが生じる。
ステップS126において、取引情報抽出部310は、入金取引において入金リジェクトが発生したか否かを判断する。入金リジェクトが発生していない場合、処理はステップS106に戻る。一方、入金リジェクトが発生していた場合、処理はステップS130に進み、当該取引についての取引情報が抽出される。上述の出金リジェクトの発生時と同様に、入金リジェクトも2枚の紙幣の一部が重なることにより発生する場合がある。そのため、入金取引における2枚検知と同様に、センタのホストコンピュータ500に格納されている取引後の金額と、ATM200に入金された金額とに食い違いが生じる可能性がある。
図4の例において、8番目の取引履歴(#8)は、ジャムの発生が「有」となっている。そのため、ステップS130において、8番目の取引履歴(#8)から取引情報が抽出される。そして、最後の取引履歴の処理が行われるまで、ステップS106〜S130が繰り返し実行される。
ステップS106において、最後の取引履歴に対して処理が行われたと判断されると、ステップS132において、抽出された取引情報が表示される。図6(c)は、ステップS132において設定パネル260に表示される画面を示している。この画面の左側には、ステップS130において抽出された取引情報が取引の日時順に表示されている。上述のように、ステップS130では、計数上の枚数と実際の枚数とが食い違うATM200内における精査不一致が生じる可能性がある場合と、センタの情報と実際の入金額とが食い違うATM200とセンタとの間の精査不一致が生じる可能性がある場合に取引情報が抽出される。
このように、第1実施例では、抽出された取引情報(取引特定情報)を表示することにより、係員は精査不一致の原因の可能性がある取引を把握することができ、精査不一致の原因を速やかに調査することが可能となる。なお、取引情報の表示に際しては、精査不一致の原因と考えられる事象ごとに表示の色を変更するのがより好ましい。この場合、例えば、取引情報の表示の色は、精査不一致が発生する可能性が高い順に、赤色、黄色、青色に設定される。表示の色は、例えば、2枚検知が発生した取引については赤色、ジャムが発生した取引については黄色、その他の事象が発生した取引については青色に設定される。
なお、図6(c)に示すように、第1実施例では、取引の日時と種別、および取引を行った口座番号のみが表示されているが、2枚検知やジャムなどの精査不一致の原因と考えられる事象を併せて表示するのがより好ましい。
また、第1実施例では、ATM200の設置場所で閲覧可能な取引ログと、閲覧不可能な紙幣ログおよび障害ログと、から取引履歴を生成しているが、取引履歴の生成を省略し、精査不一致の調査の指示があった場合に、これらのログから表示する取引情報を生成するものとしてもよい。
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における精査不一致原因表示ルーチンを示すフローチャートである。第2実施例の精査不一致原因表示ルーチンは、ステップS112,S118,S122〜126が省略されている点と、ステップS102,S104がそれぞれステップS102a,S104aに置き換えられている点とで、図5に示す第1実施例の精査不一致原因表示ルーチンと異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
第2実施例において、精査不一致原因表示ルーチンは、ミスフィードが発生した場合に、係員の指示を待つことなく自動的に実行される。ステップS102aにおいて、取引情報抽出部310は、精査不一致原因の調査対象となる対象ボックスを、ミスフィードが発生した入出金ボックスに設定する。
ステップS104aにおいて、取引情報抽出部310は、処理を始める取引履歴(始点取引履歴)を設定する。具体的には、入出金情報と紙幣情報とに基づいて、対象ボックスについてミスフィードが発生したことを表す履歴が、最後から順次前に向かって検索される。そして、ミスフィードが発生したことを表す取引履歴が処理開始取引履歴に設定される。
ミスフィードは、1回の操出において複数枚の紙幣が繰り出されることにより、入出金ボックスの計数上の紙幣枚数が実際の紙幣の枚数よりも少なくなることにより発生する場合がある。そのため、ミスフィードが発生した入出金ボックスでは精査不一致が発生している可能性がある。
第2実施例では、ミスフィードが発生した場合に、精査不一致原因表示ルーチンを実行することにより、係員は設定パネル260の表示を見ることで精査不一致の発生とその原因の可能性がある取引を把握することができる。また、精査は、予定された日程で行われるのが通例である。そのため、予定された精査が行われるまで、精査不一致が把握されない状態が生じる可能性がある。第2実施例では、ミスフィードが発生し、精査不一致が発生している可能性がある状態で、自動的に精査不一致原因表示ルーチンが実行される。そのため、より早い段階で精査不一致の原因調査が開始できるので、精査不一致の原因調査がより容易となる。
このように、第2実施例は、より早い段階で精査不一致の原因調査が開始できる点で、第1実施例よりも好ましい。一方、第1実施例は、精査不一致の原因の取引が入金取引である場合においても、より確実に精査不一致の原因取引を特定することができる点で、第2実施例よりも好ましい。
C.第3実施例:
図8は、第3実施例における制御ユニット300bの機能的な構成を示すブロック図である。第3実施例の制御ユニット300bは、単一の取引履歴格納部308に換えて取引ログ格納部330、紙幣ログ格納部332および障害ログ格納部334の3つの別個のログ格納部が設けられている点と、取引履歴登録部306がログ登録部306bに置き換えられている点と、取引情報抽出部310が指示情報生成部310bに置き換えられている点とで、図2に示す第1実施例の制御ユニット300と異なっている。他の点は、第1実施例の制御ユニット300と同様である。
図9は、3つのログ格納部330〜334に格納される登録情報(ログ情報)の内容を示す説明図である。図9(a)は、取引ログ格納部330に格納されている取引ログの登録情報を示している。図9(b)は、紙幣ログ格納部332に格納されている紙幣ログの登録情報を示し、図9(c)は、障害ログ格納部334に格納されている障害ログの登録情報を示している。図9(a)ないし図9(c)の表の、1列目は、ログ情報の種類を表しており、2列目はログが記録されるタイミングを表している。3列目は、ログ情報に付加されるパラメータ(ログパラメータ)を表している。なお、上述のように、これらのログのうち、紙幣ログおよび障害ログは、ATM200の設置場所において閲覧が不可能となっている。
図10は、障害が発生した際に、紙幣の取扱等の処理を係員に指示する障害対応指示ルーチンを示している。第3実施例のATM200では、障害や準正常(後述する)が発生した場合には、必要に応じて紙幣の取扱等の処理を指示するメッセージが設定パネル260(図1)に表示される。障害からの復帰を行う係員は、設定パネル260に表示されたメッセージに従って処理を行うことにより、適切な処理を行うことができる。
ステップS302において、指示情報生成部310bは、取引ログ格納部330を参照して、取引ログ(図9(a))のうちの取引種別を取得し、障害が発生した際の取引の種別を特定する。障害発生時の取引が入金であった場合、処理はステップS304に進む。障害発生時の取引が出金であった場合、処理はステップS314に進む。障害発生時の取引が入金と出金とのいずれでもない場合、障害対応指示ルーチンの実行は終了する。
ステップS304において、指示情報生成部310bは、ATM200の搬送路140に紙幣が残留しているか否かを判断する。搬送路140に紙幣が残留しているか否かは、搬送路140内に設けられたセンサにより取得される。紙幣が残留している場合、処理はステップS306に進む。一方、紙幣が残留していない場合は、取扱が問題になる紙幣が存在しないので、図10の障害対応指示ルーチンは終了する。
ステップS306において、指示情報生成部310bは、障害が入金計数中に発生したか否かを判断する。障害が入金計数中に発生したか否かは、取引ログ格納部330に、取引ログ(図9(a))のうちの入金計数完了が記録されているか否かを判断する。障害の発生が入金計数中でない場合、処理はステップS308に進む。一方、障害の発生が入金計数中である場合、残留している紙幣はユーザの所有物である。そのため、ステップS312において紙幣の返却が指示される。
ステップS308において、指示情報生成部310bは、入金取引が確定しているか否かを判断する。入金取引が確定しているか否かは、取引ログ格納部330に、取引ログ(図9(a))のうちの取引確定が記録されているか否かにより判断する。取引が確定している場合、残留している紙幣の所有権は銀行等のATM200の設置者に移転しているので、処理はステップS310に進み、紙幣の回収が指示される。一方、取引が確定していない場合、残留している紙幣はユーザの所有物であるので、ステップS312において紙幣の返却が指示される。
図11は、ステップS310で実行される紙幣回収指示ルーチンを示すフローチャートである。図12は、紙幣回収指示ルーチンの実行により設定パネル260に表示される回収指示画面を表す説明図である。
図11のステップS404において、指示情報生成部310bは、取引ログ格納部330(図8)から入金額を取得する。次いで、ステップS406において、紙幣ログ格納部332(図8)から、入出金ボックスへの紙幣の繰入枚数を取得し、ステップS408において、リジェクトボックスに回収された紙幣の枚数(回収済枚数)を取得する。
ステップS410において、指示情報生成部310bは、一時スタッカ122および搬送路140内に残留している紙幣の枚数(残留枚数)を算出する。具体的には、入金額から求められる紙幣の枚数から、繰入枚数と回収済枚数とを減じた枚数が、紙幣の残留枚数となる。なお、残留枚数の算出は、入金額に換えて紙幣ログ(図9(b))の総計数枚数を使用しても良い。この場合、ステップS404では、指示情報生成部310bが、紙幣ログ格納部332から総計数枚数を取得する。
ステップS412において、指示情報生成部310bは、残留紙幣の回収を指示する。具体的には、残留紙幣の回収を指示するメッセージおよび紙幣の残留枚数を含む画面(回収指示画面)を設定パネル260に表示する。そして、回収指示画面の表示の後、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
図12は、紙幣の回収指示が表示されている状態を示している。図12の例は、ステップS410において算出された残留枚数が3枚である時の回収指示画面を示している。図12に示すように、回収指示画面には、残留紙幣の回収を指示するメッセージと、回収する残留紙幣の枚数と、が表示されている。係員は、このように表示されたメッセージに従って、残留紙幣を回収することにより、確実に紙幣を回収することができる。紙幣の回収の後、係員が図12に示す回収指示画面の「完了」ボタンを操作すると、障害の対応処理が終了し、設定パネル260には、図6(a)に示す通常画面が表示される。
図13は、図10のステップS312で実行される紙幣返却指示ルーチンを示すフローチャートである。図14(a)ないし図14(c)は、紙幣返却指示ルーチンの実行により設定パネル260(図1)に表示される返却指示画面を示す説明図である。
ステップS502において、指示情報生成部310bは、障害の発生が入金計数中であったか否かを判断する。障害の発生が入金計数中であったか否かは、ステップS306と同様に、取引ログ格納部330に入金計数完了が記録されているか否かで判断することが出来る。障害の発生が入金計数中でなかった場合、処理はステップS510に移る。一方、障害の発生が入金計数中であった場合、処理はステップS504に進む。
ステップS504において、指示情報生成部310bは、障害の種別を判別する。具体的には、指示情報生成部310bは、障害ログ格納部334を参照して、図9(c)の障害ログのいずれが記録されているかを取得し、障害の種別を判別する。障害が入出金口112のシャッタ116(図2)が閉まらない蓋閉異常である場合には、処理はステップS506に進む。障害がジャムである場合には、処理はステップS514に進む。また、障害がこれらの障害のいずれでもない場合には、図13の紙幣返却指示ルーチンは終了し、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
ステップS506において、指示情報生成部310bは、入出金口112に紙幣が残留しているか否かを判断する。入出金口112に紙幣が残留しているか否かは、入出金口112に設けられたセンサの出力をモニタすることにより判断することができる。入出金口112に紙幣が残留している場合、処理はステップS508に進む。一方、入出金口112に紙幣が残留していない場合、紙幣返却指示ルーチンは終了し、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
ステップS508において、指示情報生成部310bは、入出金口112内の紙幣の返却を指示する。具体的には、入出金口に残留している紙幣の返却を指示するメッセージを含む画面(返却指示画面)を設定パネル260に表示する。そして、返却指示画面の表示の後、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
図14(a)は、ステップS508において返却指示画面が表示されている状態を示している。図14(a)の返却指示画面には、入出金口に残留している紙幣の返却を指示するメッセージが表示されている。係員は、このように表示されたメッセージに従って、残留紙幣を返却することにより、適切に紙幣を取り扱うことができる。紙幣の返却の後、係員が図14(a)に示す返却指示画面の「完了」ボタンを操作すると、障害の対応処理が終了し、設定パネル260には、図6(a)に示す通常画面が表示される。
ステップS514において、指示情報生成部310bは、取引ログ格納部330から既に計数が行われた紙幣の枚数(計数済枚数)を取得する。そして、ステップS516において、搬送路140と一時スタッカ122に残留している紙幣の返却を指示する。具体的には、搬送路140と一時スタッカ122に残留している紙幣の返却を指示するメッセージと、搬送路140と一時スタッカ122に残留している紙幣の枚数(すなわち、計数済枚数)と、を含む画面(返却指示画面)を設定パネル260に表示する。そして、返却指示画面の表示の後、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
図14(b)は、ステップS508において返却指示画面が表示されている状態を示している。図14(b)の返却指示画面には、搬送路140と一時スタッカ122に残留している紙幣の返却を指示するメッセージと、計数済枚数と、が表示されている。係員は、このように表示されたメッセージに従って、残留紙幣を返却することにより、適切に紙幣を取り扱うことができる。紙幣の返却の後、係員が図14(b)に示す返却指示画面の「完了」ボタンを操作すると、障害の対応処理が終了し、設定パネル260には、図6(a)に示す通常画面が表示される。
図13のステップS510において、指示情報生成部310bは、取引ログ格納部330から、総計数枚数を取得する。そして、ステップS512において、一時スタッカに残留している紙幣の返却を指示する。具体的には、一時スタッカ122に残留している紙幣の返却を指示するメッセージと、一時スタッカ122に残留している紙幣の枚数(すなわち、総計数枚数)と、を含む画面(返却指示画面)を設定パネル260に表示する。そして、返却指示画面の表示の後、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。なお、返却指示は、図10の障害対応指示ルーチンに示すように、取引が確定する前に行われる。従って、ステップS512は、入金計数後から取引が確定するまでの期間に実行される。この期間中、入金された紙幣は一時スタッカ122に格納された状態に維持される。そのため、返却すべき紙幣は、全て一時スタッカ122に格納されている。
図14(c)は、ステップS512において返却指示画面が表示されている状態を示している。図14(c)の返却指示画面には、一時スタッカ122に残留している紙幣の返却を指示するメッセージと、返却すべき枚数として総計数枚数と、が表示されている。係員は、このように表示されたメッセージに従って、残留紙幣を返却することにより、適切に紙幣を取り扱うことができる。紙幣の返却の後、係員が図14(c)に示す返却指示画面の「完了」ボタンを操作すると、障害の対応処理が終了し、設定パネル260には、図6(a)に示す通常画面が表示される。
上述のように、図10のステップS302で、取引種別が出金と判断されると、処理はステップS314に移る。ステップS314では、ステップS304と同様に、指示情報生成部310bが、搬送路140に紙幣が残留しているか否かを判断する。紙幣が残留している場合、処理はステップS316に進む。一方、紙幣が残留していない場合は、取扱が問題になる紙幣が存在しないので、図10の障害対応指示ルーチンは終了する。
ステップS316において、指示情報生成部310bは、ステップS308と同様に、出金取引が確定しているか否かを判断する。取引が確定している場合、処理はステップS318に進む。一方、取引が確定していない場合、処理はステップS324に移り、紙幣の回収が指示される。
ステップS318において、指示情報生成部310bは、主制御部304および通信制御部302を介して、センタのホストコンピュータ500に取引の取消を要求する。そして、ステップS320において、取引の取消が成功したか否かを判断する。取消の成否は、取引ログ格納部330を参照して、センタ取消が成功したか否かの記録を取得することにより判断することができる。取消が成功した場合、処理はステップS324に移り、紙幣の回収が指示される。一方、取消が失敗した場合、処理はステップS322に進み、設定パネル260にセンタへの問い合わせを指示する画面が表示される。
図15は、ステップS324で実行される、出金時の紙幣回収指示ルーチンを示すフローチャートである。
ステップS604において、指示情報生成部310bは、紙幣ログ格納部332から繰出枚数を取得する。次に、ステップS606において回収済枚数が取得される。そして、ステップS608において、指示情報生成部310bは、搬送路140内に残留している紙幣の枚数を算出する。残留枚数は、繰出枚数から回収済枚数を減じることにより算出することができる。
ステップS610において、指示情報生成部310bは、残留紙幣の回収を指示する。具体的には、ステップS412と同様に、指示情報生成部310bは、残留紙幣の回収を指示するメッセージと、ステップS608で算出された残留枚数を含む画面(回収指示画面)を設定パネル260に表示する。そして、回収指示画面の表示の後、制御は図10の障害対応指示ルーチンに戻される。
図16は、係員に準正常に対応するための指示を与える準正常対応指示ルーチンを示すフローチャートである。図16の準正常対応指示ルーチンは、例えば、取引の終了時に実行される。ここで、準正常とは、障害のようにATM200の運用に支障を来すことはないが、正常な状態とは異なる状態を言う。
ステップS702において、指示情報生成部310bは、取引種別を判別する。取引種別が入金である場合、処理はステップS704に進む。取引種別が出金である場合、処理はステップS710に進む。また、取引種別が入金と出金とのいずれでもない場合、図16の準正常対応指示ルーチンは終了する。
ステップS704において、指示情報生成部310bは、取引において偽券検知が発生したか否かを判断する。偽券検知の発生は、指示情報生成部310bが紙幣ログ格納部332を参照して、紙幣ログ(図9(b))のうちの偽券検知が記録されているか否かで判断することができる。偽券検知が発生していた場合、処理はステップS706に進む。一方、偽券検知が発生していない場合、準正常対応指示ルーチンは終了する。
ステップS706において、指示情報生成部310bは、取引ログ格納部330に準正常の内容、すなわち、偽券検知の発生を記録する。但し、準正常の内容の記録は、取引ログ格納部330の他に記録するものとしてもよい。準正常の内容は、例えば、準正常のログを格納するために別個に設けられたログ格納部に記録するものとしてもよい。
ステップS708において、指示情報生成部310bは、リジェクトボックス内の紙幣の確認を指示する。具体的には、設定パネル260にリジェクトボックス内の紙幣の確認を指示するメッセージを表示する。紙幣の確認指示の後、図16の準正常対応指示ルーチンは終了する。
図17は、ステップS708において紙幣の確認が指示された状態を示している。図17の画面は、図6(a)に示す通常画面に、紙幣の確認を指示するメッセージが重ね合わせて表示されている。この状態で、係員がリジェクトボックスの確認のためにリジェクトボックスを取り外し、リジェクトボックスを再度取り付けることにより、設定パネル260の表示は通常画面に復帰する。
ステップS704において、指示情報生成部310bは、取引において2枚検知と偽券検知との少なくとも一方が発生したか否かを判断する。2枚検知あるいは偽券検知の発生は、指示情報生成部310bが紙幣ログ格納部332を参照して、紙幣ログ(図9(b))のうちの2枚検知あるいは偽券検知が記録されているか否かで判断することができる。2枚検知と偽券検知との少なくとも一方が発生していた場合、処理はステップS712に進む。一方、2枚検知と偽券検知とのいずれもが発生していない場合、準正常対応指示ルーチンは終了する。
ステップS712およびステップS714において、指示情報生成部310bは、ステップS706,S708と同様に、ログに準正常の内容を記録し、リジェクトボックス内の紙幣の確認を指示する。紙幣の確認指示の後、図16の準正常対応指示ルーチンは終了する。
このように、第3実施例によれば、指示情報生成部310bは、取引ログ、紙幣ログおよび障害ログに記録されたログ情報に基づいて、紙幣の取扱等に関する指示情報(残留紙幣取扱指示情報)を生成する。そして、生成された指示情報を設定パネル260に表示する。そのため、ATM200の障害からの復旧を行う係員は、設定パネル260に表示された指示情報を参照して復旧作業を行うことにより、より適切に紙幣と取り扱うことができる。また、設定パネル260には、取引ログ、紙幣ログおよび障害ログから生成された指示情報が表示され、紙幣ログおよび障害ログは表示されない。そのため、ATM200の設置場所において、紙幣ログおよび障害ログの閲覧が不可能な状態に維持されるので、ATM200のセキュリティを維持することが容易となる。
また、第3実施例によれば、2枚検知や偽券検知などの紙幣の鑑別異常が発生した場合、鑑別異常のために回収された紙幣の確認を指示する情報(回収紙幣確認指示情報)が設定パネル260に表示される。そのため、係員は、設定パネル260に表示された回収紙幣確認指示情報に従って回収紙幣の確認を行うことにより、鑑別異常の原因をより速やかに把握することができる。
なお、第3実施例では、ATM200は、残留紙幣取扱指示情報と回収紙幣確認指示情報との双方を表示するように構成されているが、ATMをこれらの情報の一方のみを表示するようにしても良い。
D.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記各実施例では、第1ないし第3実施例をそれぞれ別個のものとして説明したが、これらの実施例は、任意に組み合わせることも可能である。例えば、第1実施例と第2実施例とを組み合わせてもよく、第1実施例ないし第3実施例を組み合わせるものとしてもよい。