以下に添付図面を参照して、本実施例に係る有価媒体処理装置、有価媒体処理システム及び有価媒体処理方法について説明する。
<用語の定義>
まず、本実施例で用いる用語について説明する。本実施例に示す「有価媒体」は、損券や旧券等を含む紙幣と、紙幣以外の特定の有価証券とを含むものである。この「損券」とは、損傷又は汚損の程度が大きい紙幣を意味し、「旧券」とは、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い紙幣を意味する。いずれも、後述するバラ紙幣処理装置100等で自動的に処理することができない、もしくは困難な紙幣である。また、「特定の有価証券」とは、小切手や手形等の予め設定された種類の有価証券を意味する。なお、「新券」とは、中央銀行から銀行等の金融機関に配送され、未だ市場流通していない紙幣を意味する。
「券種」とは、紙幣の金種及び新旧に関する種類のことをいい、発行年代を示すアルファベット(A〜E)と、金種とを兼ね合わせたものをいう。例えば、券種「D一万円券」の後に発行された金種「一万円」の紙幣の券種が「E一万円券」である。
<有価媒体処理装置の特徴>
本実施例に係る有価媒体処理装置500の特徴について説明する。図1は、本実施例に係る有価媒体処理装置500の特徴を説明するための説明図である。ここでは、貨幣処理システム1の一部をなすバラ紙幣処理装置100に収納されなかった損券を有価媒体処理装置500に入金する場合を示すこととする。
図1に示すように、有価媒体処理装置500は、投入された損券を一枚ずつ繰り出して損券収納部40、42まで搬送する途中で、撮像部16により損券の両面を撮像し、入力画像データを取得する。有価媒体処理装置500は、正規の紙幣の画像データである正券画像データを予め記憶しており、入力画像データと正券画像データとを比較することで投入された損券の正券画像データに対する適合率を算出する。なお、この正券画像データは、特許請求の範囲の「参照画像データ」に対応する。
ここで、入力画像データとの比較には、投入された損券と同一券種の正券画像データを用いる。投入された損券の券種は、入力画像データに対する画像認識等を用いて特定され、操作員によって確定入力される。但し、損券には汚れや欠損がある為、券種を特定できなかったり、誤った券種に特定された場合があり、操作員は画像認識等により識別された券種を修正したり、新たに入力したりすることができる。
有価媒体処理装置500は、投入された複数の損券から取得した複数の入力画像データと、各損券の正券画像データに対する適合率とを対応付けて記憶する。また、有価媒体処理装置500は、記憶した複数の入力画像データを所定の表示部に一覧表示させることができる。
図1では、有価媒体処理装置500が9枚の損券の入力画像データを一覧表示した状態を示している。また、有価媒体処理装置500は、各入力画像データの表示に券種が「D一万円券」であることを示す表示「D券:万」と、適合率の表示とを対応付けている。適合率は、券種の確認に利用可能な確認支援情報の一種として用いることができる。なお、操作員により券種の修正や新たな入力(まとめて「修正」と表現する)が行われた入力画像データについては、適合率に変えて「修正有」との表示を行っている。券種の修正が行われたことを示す表示も、券種の確認の必要性を示す情報であるため、確認支援情報の一種となる。
さらに、有価媒体処理装置500は、複数の入力画像データのうち、重点的に確認すべき入力画像データについて、他の入力画像データと表示態様を異ならせている。具体的には、適合率が所定値より低い入力画像データと、操作員により券種の修正が行われた入力画像データを強調する表示態様としている。
有価媒体処理装置500は、一覧表示した複数の入力画像データのいずれかを選択されたならば、選択された入力画像データを拡大して表示する。このため、操作員は、任意の入力画像データについて券面を詳細に確認することができる。
このように、有価媒体処理装置500は、損券の券面を撮像して入力画像データを取得し、複数の損券から取得した入力画像データを一覧表示するので、投入された複数の損券を効率的に確認することができる。
また、有価媒体処理装置500は、入力画像データと正券画像データとを比較して適合率を算出し、適合率を確認支援情報として入力画像データとともに表示する。さらに、有価媒体処理装置500は、複数の入力画像データのうち、重点的に確認すべき入力画像データについて、他の入力画像データと表示態様を異ならせる。これらのことから、投入された複数の損券をさらに効率的に確認することができる。
<貨幣処理システム全体の概要>
次に、本実施例に係る有価媒体処理装置500を含む貨幣処理システム1について説明する。図2は、本実施例に係る有価媒体処理装置500を含む貨幣処理システムを示す全体構成図である。ここでは、本実施例に係る有価媒体処理装置500が貨幣処理システム1の一部をなす場合を示している。
図2に示すように、貨幣処理システム1は、バラ紙幣処理装置100、束紙幣処理装置200、バラ硬貨処理装置300、包装硬貨処理装置400、有価媒体処理装置500、操作表示部600及びプリンタ700を有する。図2に示すように、バラ紙幣処理装置100、束紙幣処理装置200、バラ硬貨処理装置300、包装硬貨処理装置400及び有価媒体処理装置500は並列に配置され一体的に設けられている。
ここで、バラ紙幣処理装置100及び束紙幣処理装置200は、装置間で紙幣を受渡可能に構成されている。また、バラ硬貨処理装置300及び包装硬貨処理装置400は、装置間で硬貨を受渡可能に構成されている。また、バラ硬貨処理装置300及び包装硬貨処理装置400の上面に、操作表示部600及びプリンタ700が配設されている。
操作表示部600は、タッチパネル等の入出力デバイスであり、各種情報の入力又は各種情報の表示出力を行うことができる。操作員は、この操作表示部600を用いて有価媒体の入金操作及び新券の出金操作を行う。なお、ここでは1台の操作表示部600のみを設けた場合を図示したが、複数台の操作表示部600を設け、入出力内容に応じて使い分けることもできる。
バラ紙幣処理装置100は、その内部に、バラ紙幣を金種別に収納できるようになっており、操作員は、このバラ紙幣処理装置100を利用してバラ紙幣の入金処理又は出金処理を行う。
また、束紙幣処理装置200の内部には束紙幣形成部(図示せず)が設けられており、バラ紙幣処理装置100から所定の枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣が束紙幣処理装置200に送られると、この束紙幣形成部により束紙幣が形成される。束紙幣形成部により形成された束紙幣は、束紙幣処理装置200から機体外に投出される。
バラ硬貨処理装置300は、その内部に、バラ硬貨を金種別に収納できるようになっており、このバラ硬貨処理装置300を利用してバラ硬貨の入金処理や出金処理を行う。また、包装硬貨処理装置400の内部には包装硬貨形成部(図示せず)が設けられており、バラ硬貨処理装置300から所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨が包装硬貨処理装置400に送られると、包装硬貨形成部により包装硬貨が形成される。包装硬貨形成部により形成された包装硬貨は、包装硬貨処理装置400から機体外に投出される。
また、バラ紙幣処理装置100は、損券、旧券又は紙幣以外の有価媒体がバラ紙幣処理装置100の機体内に投入された場合には、このバラ紙幣処理装置100の内部に収納されず、機体外に排出される。かかるバラ紙幣処理装置100で受け付けることができない損券、旧券又は紙幣以外の有価媒体は、有価媒体処理装置500に投入され、有価媒体処理装置500の機体内に収納される。
図3は、図2に示す貨幣処理システム1の機能ブロック図である。図3に示すように、貨幣処理システム1は、図2に示すバラ紙幣処理装置100、束紙幣処理装置200、バラ硬貨処理装置300、包装硬貨処理装置400及び有価媒体処理装置500を有する。
また、貨幣処理システム1は、上記の各装置に共用される操作表示部600と、プリンタ700と、ROM(Read Only Memory)804と、RAM(Random Access Memory)806と、ハードディスク装置等の記憶部808と、操作員のID情報の入力装置であるIDカードリーダ810と、通信部802と、各構成部を制御する制御部800とを有する。
制御部800は、貨幣処理システム1全体を制御する制御部であり、バラ紙幣処理装置100、束紙幣処理装置200、バラ硬貨処理装置300、包装硬貨処理装置400及び有価媒体処理装置500を制御する。具体的には、この制御部800は、ROM804及び記憶部808内のプログラムをロードして実行し、RAM806をワークエリアとして使用する。なお、記憶部808には、貨幣処理システム1の設定情報、貨幣処理システム1を構成する各装置における貨幣の処理状況や在高に関する情報等が記憶される。
操作表示部600は、タッチパネル等の入出力デバイスであり、操作員が貨幣処理システム1の各装置に対して様々な指令を与える入力装置として機能するとともに、貨幣処理システム1を構成する各装置における貨幣の処理状況や在高に関する情報等を表示する出力装置としても機能する。
プリンタ700は、各種のデータを用紙に印字する出力デバイスであり、例えば、貨幣処理システム1を構成する各装置における貨幣の処理状況や在高に関する情報等が印字される。
通信部802は、ホストコンピュータ等の外部装置との間で通信を行うインタフェース部である。IDカードリーダ810は、操作員が所持するIDカードのID情報の読み取りを行うデバイスである。このIDカードリーダ810により読み取られたID情報に基づいて、操作員の権限等が認証される。
<有価媒体処理装置の構成>
次に、図1及び図2に示した有価媒体処理装置500について説明する。この有価媒体処理装置500は、損傷又は汚損の程度が大きい紙幣(損券)、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い紙幣(旧券)、小切手等の有価媒体を処理する装置であり、図2に示すバラ紙幣処理装置100に収納されずに機体外に排出された損券や小切手等の有価媒体を処理する場合に利用される。また、この有価媒体処理装置500には新券が収納されており、この新券を出金する場合に利用される。
図4は、有価媒体処理装置500の内部構成図である。図中の左側の側面が有価媒体処理装置500の前面となっており、図中の右側の側面が有価媒体処理装置500の背面となっている。
図4に示すように、この有価媒体処理装置500には、有価媒体を機体内に投入するための投入部10と、機体内に収納された新券等を機体外に投出するための払出部60とが設けられている。この投入部10及び払出部60は、有価媒体処理装置500の機体前面(図4における左側の側面)に設けられている。
また、投入部10には繰出機構12が設けられており、操作員によって投入部10に束状態で投入された有価媒体は、この繰出機構12により1枚ずつ機体内に繰り出される。また、図4に示すように、有価媒体処理装置500の機体内には搬送部14が設けられており、投入部10から繰出機構12により1枚ずつ繰り出された有価媒体は、搬送部14により1枚ずつ搬送される。
また、繰出機構12下流の搬送部14には撮像部16が設けられている。この撮像部16は、有価媒体処理装置500の機体内に投入された有価媒体の表裏両面を撮像して画像データを取得する。
また、搬送部14には一時保留部20が設けられており、有価媒体処理装置500の機体内に投入された有価媒体は、一時保留部20に一時的に保留される。なお、この一時保留部20には、新券収納部50に収納された新券を払い出す場合に、異常が検知された新券についても一時保留される。
この一時保留部20は、有価媒体をテープに挟んで巻き取るテープ巻取方式のものである。具体的には、この一時保留部20は、正逆両方向に回転可能なドラム20aを有しており、このドラム20aによって一対のテープの巻き取り及び送り出しが行われる。これにより、搬送部14から一時保留部20に送られた有価媒体は、一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム20aにより巻き取られて収納される。また、ドラム20aを逆転させると、巻き取られた有価媒体が1枚ずつ繰り出されて、搬送部14に送り出される。
また、有価媒体処理装置500の機体内には、小切手や手形等の特定の有価証券を収納する特定有価証券収納部30と、損券や旧券を収納する損券収納部40、42とがそれぞれ設けられている。具体的には、特定有価証券収納部30は、第1の収納部30a、第2の収納部30b及び第3の収納部30cの3つの収納部から構成されている。
第1の収納部30aには、貨幣処理システム1が設置されている銀行と同じ銀行における他の支店で発行された小切手等が収納される。また、第2の収納部30bと第3の収納部30cには、貨幣処理システム1が設置されている銀行とは異なる銀行で発行された小切手等が収納される。例えば、第2の収納部30bには、貨幣処理システム1が設置されている場所から比較的近い場所で発行された小切手等が収納され、第3の収納部30cには、貨幣処理システム1が設置されている場所から比較的遠い場所で発行された小切手等が収納される。
特定有価証券収納部30の各収納部30a、30b及び30cは集積方式の収納部であり、搬送部14からこれらの収納部30a、30b及び30cに送られた小切手等は、すでに収納部30a、30b、30cに収納された小切手等の上に積み重ねられるようにして収納される。
損券収納部40、42には、損券が収納される。例えば、搬送補助シートを適用された損券が損券収納部40に収納され、搬送補助シートを適用されない損券が損券収納部42に収納される。
損券収納部40は、集積方式の収納部であり、搬送部14から損券収納部40に送られた損券は、既に損券収納部40に収納されている損券の上に積み重ねられるようにして収納される。
損券収納部42は、テープ巻取方式の収納部である。具体的には、この損券収納部42は、上記の一時保留部20と同様に、正逆両方向に回転可能なドラム42aを有している。そして、搬送部14から損券収納部42に送られた損券は、一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム42aにより巻き取られて収納される。また、ドラム42aを逆転させると、巻き取られた損券が1枚ずつ繰り出されて、搬送部14に送出される。
図4に示すように、小切手等の特定の有価証券を収納する特定有価証券収納部30は、損券を収納する損券収納部40、42の上方に設けられる。また、一時保留部20は、特定有価証券収納部30や損券収納部40、42の上方に設けられる。
また、有価媒体処理装置500の機体内には、新券を収納する新券収納部50が設けられる。具体的には、この新券収納部50は、第1の収納部50a、第2の収納部50b、第3の収納部50c及び第4の収納部50dを有する。
例えば、第1の収納部50aには新券の1万円札が収納され、第2の収納部50bには新券の千円札が収納され、第3の収納部50cには新券の五千円札が収納される。また、第4の収納部50dに収納される新券の金種は、操作員により選択される。これらの各収納部50a、50b、50c、50dには、それぞれ繰出機構52a、52b、52c、52dが設けられ、収納部50a、50b、50c、50dに収納されている新券は、それぞれ繰出機構52a、52b、52c、52dにより搬送部14に1枚ずつ繰り出される。この新券収納部50は、図4に示すように、特定有価証券収納部30や損券収納部40の機体前方(図4における左側)に設けられる。
払出部60は、搬送部14に接続されている。新券収納部50から繰り出された新券は、この搬送部14によって払出部60に搬送され、この払出部60で積み重ねるようにして投出される。この払出部60には羽根車62が設けられており、搬送部14から羽根車62に送られた新券は、羽根車62を形成する一対の羽根の間に挟まれた状態で該羽根車62が図4における反時計回りの方向に回転することにより払出部60に送られる。かかる羽根車62を設けることにより、払出部60に集積される新券を整列させることができる。
また、払出部60にはシャッタ61aが設けられており、操作員は、このシャッタ61aが開放状態となったときに、払出部60に集積された新券を取り出すことができる。また、払出部60には抜き取り検知部61bが設けられており、払出部60に集積された新券が当該払出部60から抜き取られたことを検知する。
図4に示すように、有価媒体処理装置500の機体内で有価媒体を搬送する搬送部14には、第1の搬送部14a及び第2の搬送部14bが含まれる。第1の搬送部14aは、投入部10から機体内に投入された有価媒体を、一時保留部20、特定有価証券収納部30、損券収納部40に搬送する。第2の搬送部14bは、新券収納部50に収納された新券を払出部60に搬送する。
ここで、第1の搬送部14aにおける有価媒体の搬送路と、第2の搬送部14bにおける新券の搬送路とは、互いに独立に設けられる。すなわち、第1の搬送部14aは図4に示す仮想線Lの右側に設けられ、第2の搬送部14bは仮想線Lの左側に設けられる。第1の搬送部14a及び第2の搬送部14bは、接続箇所14pで接続されているが、それ以外の箇所では互いに独立している。
また、搬送部14における第2の搬送部14bには簡易識別部64が設けられている。簡易識別部64は、新券収納部50から第2の搬送部14bに繰り出された新券の金種を識別する。この簡易識別部64によって新券の異常が検知されたならば、この新券は第1の搬送部14a、接続箇所14p及び第2の搬送部14bを経由して一時保留部20に一時保留される。新券の繰り出しを行う場合に、複数枚の新券が繰り出されてしまい、これにより異常が発生する場合が多いためである。なお、新券の出金が終了したならば、この一時保留部20に一時保留された新券は、元の新券収納部50に戻される。
また、有価媒体処理装置500の前面(図4における左側の側面)には扉18が設けられており、特定の権限を有する者が、この扉18を開けて有価媒体処理装置500の機体内部にアクセスできるようになっている。この扉18を開くことにより、新券収納部50への新券の補充又は新券収納部50からの新券の取り出しを行うことができる。
<有価媒体処理装置の機能及び動作>
次に、有価媒体処理装置500の機能について説明する。図5は、図4に示す有価媒体処理装置500の機能ブロック図である。図5に示すように、この有価媒体処理装置500には制御部80が設けられており、この制御部80により有価媒体処理装置500の各構成部位が制御される。
制御部80には、図4に示した撮像部16、搬送部14、特定有価証券収納部30、損券収納部40,42、新券収納部50、投入部10、払出部60、一時保留部20、記憶部82及び通信部84等の構成部位が接続される。
制御部80は、撮像部16、搬送部14、特定有価証券収納部30、損券収納部40,42、新券収納部50、投入部10、払出部60、一時保留部20等の各構成部位に指令信号を送ることにより各構成部位を制御する。また、制御部80は、通信部84を介して貨幣処理システム1の制御部800に対して信号の送受信を行う。
記憶部82は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、有価媒体処理装置500に関する設定情報、特定有価証券収納部30、損券収納部40,42、新券収納部50等に収納された有価媒体の在高等に関する情報、一時保留部20のテープの送り量に関する情報などを記憶する。正規の紙幣の画像データである正券画像データ82aは、この記憶部82に格納される。また、投入された損券の入力画像データや適合率などは、損券入金データ82bとして記憶部82に格納されることになる。
制御部80は、適合率算出部80a及び表示制御部80bを有する。適合率算出部80aは、撮像部16により撮像された入力画像データと、対応する券種の正券画像データ82aとを用い、損券の正券に対する適合度合いを示す適合率を算出する処理部である。
表示制御部80bは、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種を、各損券の券種の確認に利用可能な確認支援情報とともに操作表示部600に一覧表示する処理を行う。確認支援情報としては、適合率や修正の有無などを用いることができる。
また、表示制御部80bは、適合率が所定値以下である入力画像データについては、他の入力画像データと異なる態様で操作表示部600に表示制御することができる。同様に、券種の修正が行われた入力画像データについても、他の入力画像データと異なる態様で操作表示部600に表示制御することができる。
また、表示制御部80bは、操作表示部600に一覧表示された複数の損券の入力画像データのいずれかが選択された場合に、該損券の詳細情報を操作表示部600に表示制御する。
なお、表示制御部80bは、所定の絞込条件が設定されたならば、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種のうち、該絞込条件を満たす損券の入力画像データ及び該損券の券種を確認支援情報とともに操作表示部600に一覧表示することができる。例えば、所定の券種が絞込条件として設定されたならば、該券種に合致する損券の入力画像データを操作表示部600に表示制御することになる。この他、特定の取引や特定の操作員を指定して絞込条件として用いることができる。
<データの一例>
次に、図5に示した損券入金データ82bの一例について説明する。図6は、図5に示した損券入金データ82bの一例の説明図である。図6に示すように、損券入金データ82bは、収納順、媒体コード、券種、入金日時、取引ID、操作員ID、入力画像データ、適合率、修正履歴、ステータス、上位者承認などの項目を有する。
収納順は、損券が収納された順序を示し、媒体コードは損券を特定する識別情報である。券種は、投入された損券の券種を示し、入金日時は損券が投入された日時を示す。取引IDは、損券の投入処理の識別情報であり、複数の損券を一括して投入された場合には同一の取引IDが付されることになる。操作員IDは、損券の投入処理を行った操作員の識別情報である。入力画像データは、損券の搬送中に撮像した表面と裏面の画像データである。適合率は、入力画像データと対応する券種の正券画像データ82aとの適合度合いを示す。修正履歴は、券種について操作員による修正入力が行われたか否かを示す。ステータスは、損券の状態、すなわち、収納、返却済、回収済などの状態を示す。上位者承認は、投入された損券について、上位者の承認が行われたか否かを示す。
具体的には、図6では、収納順「1」の損券が、媒体コード「A3579」、券種「E一千円券」、入金日時「2016/01/23 12:34」、取引ID「012356」、操作員ID「B456」、適合率「98%」、修正履歴「無し」、ステータス「収納」、上位者承認「未承認」である状態を示している。
また、収納順「2」の損券が、媒体コード「A3578」、券種「E一万円券」、入金日時「2016/01/23 12:34」、取引ID「012356」、操作員ID「B456」、適合率「96%」、修正履歴「無し」、ステータス「収納」、上位者承認「未承認」である状態を示している。
また、収納順「3」の損券が、媒体コード「A3577」、券種「E一千円券」、入金日時「2016/01/23 11:55」、取引ID「012349」、操作員ID「A111」、適合率「26%」、修正履歴「無し」、ステータス「収納」、上位者承認「承認済」である状態を示している。
また、収納順「4」の損券が、媒体コード「A3576」、券種「E一万円券」、入金日時「2016/01/23 11:23」、取引ID「012335」、操作員ID「B456」、適合率「94%」、修正履歴「有り」、ステータス「収納」、上位者承認「承認済」である状態を示している。
<損券入金時の処理手順>
次に、損券を入金する場合の有価媒体処理装置500の処理手順について説明する。図7は、損券を入金する場合の有価媒体処理装置500の処理手順を示すフローチャートである。
まず、操作員は、自身が所持するIDカードをIDカードリーダ810に読み取らせ(ステップS101)、制御部800は、IDカードのID情報に基づいて操作員の権限等を確認する。IDカードを読み取らせる代わりに、操作表示部600を操作してID情報を入力するようにしてもよい。
その後、操作員は、貨幣処理システム1の操作表示部600を操作して損券等の入金モードを選択する(ステップS102)。具体的には、操作表示部600には、入金モードとして「一枚取り込みモード(投入部10に一枚ずつ載置された有価媒体を取り込むモード)」、「一括取り込みモード(投入部10に載置された複数の有価媒体を一枚ずつ順次取り込むモード)」、「再取り込みモード(一旦取り込まれた損券等を取り出して、再び取り込むモード)」という3つのモードが表示され、操作員はこれらの3つのモードのうちから1つのモードを選択する。
その後、操作員が投入部10に収納対象の媒体、すなわち損券を投入すると、繰出機構12により損券が有価媒体処理装置500の機体内に1枚ずつ取り込まれ(ステップS103)、搬送部14の第1の搬送部14aにより撮像部16の位置まで搬送され、図10に示すように撮像部16により入力画像データが取得される。そして、有価媒体処理装置500の制御部80は、機体内に投入された損券や旧券に異常がないかどうかを判別する(ステップS104)。
損券や旧券に異常(機体内に受け入れられない状態、例えば、斜行や二重送り等の搬送異常)がない場合には(ステップS104;Yes)、損券や旧券の入力画像データが制御部80において取得され、記憶部82等に記憶される(ステップS107)。そして、異常が無いと判別された損券や旧券は一時保留部20に搬送され、この一時保留部20に一時的に保留される(ステップS108)。
一方、機体内に投入された損券や旧券に異常がある場合には(ステップS104;No)、この損券や旧券は搬送部14の第1の搬送部14aにより払出部60に搬送され、機体外に返却される(ステップS105)。ここで、入金モードを選択する際に一枚取り込みモードが選択されていた場合には(ステップS106;Yes)、有価媒体処理装置500における入金動作が終了する。一方、入金モードを選択する際に一枚取り込みモードが選択されておらず、代わりに一括取り込みモードや再取り込みモードが選択されていた場合には(ステップS106;No)、投入部10に投入された損券や旧券が繰出機構12により有価媒体処理装置500の機体内に1枚ずつ取り込まれて、引き続き各処理が行われる。
ステップS108で損券や旧券が一時保留部20に保留されると、該損券の入力画像データが操作表示部600に表示される(ステップS109)。ここで、操作員が券面確認を行って券種などの入金データを入力すると(ステップS110)、入金データ及び画像データが操作表示部600に表示される(ステップS111)。また、適合率算出部80aは、入力画像データと、対応する券種の正券画像データ82aとを用い、適合率を算出する(ステップS112)。
その後、制御部80は、入金データの確定操作が行われたか否かを判定する(ステップS113)。入金データの確定操作が行われなければ(ステップS113;No)、制御部80は、入金データを修正する入力を操作員から受け付けたか否かを判定する(ステップS114)。
入金データを修正する入力が行われたならば(ステップS114;Yes)、制御部80は、入金データを修正するとともに、初期値が「無し」である修正履歴を「有り」に更新し(ステップS116)、ステップS113に移行する。一方、入金データを修正する入力が行われていなければ(ステップS114;No)、当該媒体を返却する(ステップS115)。
ステップS115の後、若しくは入金データの確定操作が行われた場合(ステップS113;Yes)、制御部80は、全ての媒体を処理済であるか否かを判定する(ステップS117)。未処理の媒体が残っていれば(ステップS117;No)、ステップS103に移行し、次の媒体(損券)の取り込みを行う。
全ての媒体を処理済であれば(ステップS117;Yes)、一時保留部20に一時保留された全ての媒体を損券収納部40,42に搬送して収納し(ステップS118)、入金データ及び入力画像データを損券入金データ82bに登録することで損券入金データ82bを更新し(ステップS119)、上記一連の処理が終了する。
<上位者による承認時の処理手順>
次に、上位者による承認時の有価媒体処理装置500の処理手順について説明する。図8は、上位者による承認時の有価媒体処理装置500の処理手順を示すフローチャートである。
まず、上位者は、自身が所持するIDカードをIDカードリーダ810に読み取らせ(ステップS201)、制御部800は、IDカードのID情報に基づいて上位者の権限等を確認する。IDカードを読み取らせる代わりに、操作表示部600を操作して上位者のID情報を入力するようにしてもよい。
その後、制御部800は、上位者による承認開始操作を受け付け(ステップS202)、損券入金データ82bから承認対象データを抽出する(ステップS203)。承認対象データは、損券入金データ82bのうち未承認のデータである。
また、制御部800は、処理単位の選択を行う(ステップS204)。処理単位とは、複数の入金画像データを一覧表示しつつ承認操作を受け付ける場合に、一覧表示する入金画像データをどのように決定するかを定めるものである。具体的には、券種、取引、操作員を処理単位として選択することができる。
例えば、承認対象データに複数の取引が含まれる場合に取引を処理単位として選択したならば、同一の取引IDに対応付けられた入金画像データを一覧表示することになる。このとき、同一の取引IDに対応付けられた入金画像データに複数の券種が混在している場合には、券種を下位の処理単位とする。すなわち、取引IDが同一で、かつ券種が同一の入金画像データを一覧表示し、その後、同一の取引IDを有する他の券種の入金画像データを一覧表示する。そして、取引IDが同一の入力画像データの一覧表示が終了した後に、次の取引IDに対応付けられた入金画像データを一覧表示するのである。
同様に、操作員を処理単位として選択したならば、同一の操作員IDに対応付けられた入金画像データを一覧表示することになる。このとき、同一の操作員IDに対応付けられた入金画像データに複数の券種が混在している場合には、券種を下位の処理単位とする。すなわち、操作員IDが同一で、かつ券種が同一の入金画像データを一覧表示し、その後、同一の操作員IDを有する他の券種の入金画像データを一覧表示する。そして、操作員IDが同一の入力画像データの一覧表示が終了した後に、次の操作員IDに対応付けられた入金画像データを一覧表示するのである。操作員を処理単位とする場合には、取引IDが異なる入力画像データが混在して一覧表示されてもよい。
券種を処理単位として選択したならば、券種が同一の入金画像データを一覧表示することになる。すなわち、券種が同一の入金画像データを一覧表示し、その後、他の券種の入金画像データを一覧表示する。このとき、異なる取引IDや異なる操作員IDが混在してもよい。
承認対象データの取引IDが全て同一である、すなわち、1つの取引のみを対象に承認を行う場合には、操作員IDも同一であるので、制御部80は券種を処理単位として選択する。承認対象データに取引IDの異なるデータが混在している、すなわち、複数の取引を対象に承認を行う場合には、上位者による入力を要求して処理単位を選択すればよい。
ステップS204で処理単位を選択した後、表示制御部80bは、処理単位毎に入力画像データを一覧表示する(ステップS205)。上位者は、一覧表示された入力画像データを確認し、必要に応じて修正入力を行う。表示制御部80bは、上位者の修正入力を受け付けたならば、その修正入力を反映する確認修正処理を行う(ステップS206)。
ステップS206の後、表示制御部80bは、承認対象データを全て処理したであるか否か、すなわち、全ての処理単位について一覧表示を行ったか否かを判定する(ステップS207)。その結果、一覧表示していない承認対象データが残っているならば(ステップS207;No)、ステップS205に移行し、次の処理単位の一覧表示を行う。
承認対象データを全て処理したならば(ステップS207;Yes)、表示制御部80bは、上位者による承認操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS208)。承認操作を受け付けていなければ(ステップS208;No)、表示制御部80bは承認操作を待機する。そして、承認操作を受け付けたならば(ステップS208;Yes)、承認対象データの上位者承認の項目を「承認済」に変更して損券入金データ82bを更新し(ステップS209)、処理を終了する。
<表示画面の具体例>
次に、上位者による承認時の画面例について説明する。図9〜図12は、上位者による承認時の画面例の説明図である。上位者が貨幣処理システム1の操作表示部600を操作して承認開始操作を行うと、図9に示す券面貨面入力確認画面が表示される。券面貨面入力確認画面は、有価媒体処理装置500が行った入出金などの処理を一覧表示する画面であり、選択ボタン、取引ID、通番、処理名、操作員ID及び上位者承認などの項目を表示する。
図9(a)では、取引ID「012357」について、通番「011」、処理名「入金」、操作員ID「B401」、上位者承認「未承認」である状態を示している。また、取引ID「012356」について、通番「002」、処理名「入金」、操作員ID「B456」、上位者承認「承認済」である状態を示している。通番は、当該取引における有価媒体の個別の処理について付与され、当該取引に含まれる有価媒体の枚数に対応する。また、上位者承認は、取引に含まれる全ての有価媒体について承認が行われた場合に「承認済」となり、承認されていない有価媒体が残っている場合に「未承認」となる。
上位者は、図9(a)の券面貨面入力確認画面から上位者承認「未承認」の取引を選択することになる。図9(a)では、上位者が取引ID「012357」を選択した状態を示している。なお、上位者が複数の取引を選択して開始ボタンを操作した場合には、処理単位の選択入力を受け付けるサブメニュー画面を表示する。このサブメニューでは、金種、操作員、取引を処理単位として選択可能である。
図9(a)の券面貨面入力確認画面により承認の対象となる取引を選択し、上位者による承認が行われたならば、図9(b)に示すように上位者承認の項目が「承認済」となる。
図10は、上位者による承認のための一覧表示画面の具体例である。図10では、選択された取引に含まれる11枚の損券のうち、9枚の損券の入力画像データを一覧表示した状態を示している。また、各入力画像データの表示に券種が「D一万円券」であることを示す表示「D券:万」と、適合率の表示とを対応付けている。適合率は、券種の確認に利用可能な確認支援情報の一種として用いることができる。図10では、適合率は数値とインジケータによる表示が行われている。また、数値の大小によりインジケータの色を異ならせている。例えば、適合率が40%未満であれば赤色、適合率が40%以上80%未満であれば黄色、適合率が80%以上であれば青色などとすればよい。
また、操作員により券種の修正が行われた入力画像データについては、適合率に変えて「修正有」との表示を行っている。券種の修正が行われたことを示す表示も、券種の確認の必要性を示す情報であるため、確認支援情報の一種となる。
さらに、有価媒体処理装置500は、複数の入力画像データのうち、重点的に確認すべき入力画像データについて、他の入力画像データと表示態様を異ならせている。具体的には、適合率が低い入力画像データと、操作員により券種の修正が行われた入力画像データを強調する表示態様としている。
また、図10では9枚までの損券について一覧表示することとしており、9枚を超える損券についてはスクロールや画面切換えにより表示可能である。図10では、9枚を超える損券の表示に対応するため「前へ」ボタンと「次へ」ボタンを設けて画面切換え可能としている。
また、図10の一覧表示画面では、「拡大」ボタンと「承認」ボタンを設けている。1又は複数の損券を選択して「拡大」ボタンを操作すると、選択された損券の入力画像データを拡大して表示する拡大表示画面に移行する。「承認」ボタンを操作すると、一覧表示されている損券が全て承認される。なお、一覧表示画面に投入された損券や取引に係る各種データを表示するデータ表示領域をさらに設けてもよい。
図11は、損券の拡大表示画面の具体例である。図11に示すように、拡大表示画面では、損券1枚について入力画像データを表示するとともに、対応する券種の正券画像データを表示する。また、拡大表示画面には、データ表示領域、「戻る」ボタン、「修正」ボタン、「前へ」ボタン、「次へ」ボタン、「承認」ボタンなどが設けられる。
データ表示領域は、損券や取引に係る各種データを表示する領域であり、図11では、「処理:入金、取引ID:012357、通番:002/011、担当者ID:B401、入金日時:2016/01/23 14:01、券種:D一万円券、適合率:30%、修正:無し、ステータス:収納」を表示した状態を示している。
「戻る」ボタンは、一覧表示画面に戻るために用いられる。「修正」ボタンを操作すれば、データ表示領域に示した各データを修正することができる。「前へ」ボタンと「次へ」ボタンは、拡大表示の対象として選択された複数の損券を切り替えて表示するために用いられる。「承認」ボタンを操作すると、一覧表示画面で表示されていた損券が全て承認される。
<表示画面の変形例>
次に、一覧表示画面の変形例について説明する。図10に示した一覧表示画面では、適合率を確認支援情報として入力画像データとともに一覧表示する場合を示したが、確認支援情報として正券画像データを用いてもよい。
図12は、確認支援情報として正券画像データを用いる一覧表示画面である。図12に示した一覧表示画面では、確認支援情報として正券画像データを表示し、正券画像データと券種が同一の9枚の損券について入力画面データを一覧表示している。また、各入力画像データの表示に券種が「D一万円券」であることを示す表示を対応付けている。
このように、図12に示した一覧表示画面では、1つの正券画像データと同一券種の複数の入力画像データを一覧表示するので、上位者は正券画像データと入力画像データを比較して確認を行うことができる。
また、図12では9枚までの損券について一覧表示することとしており、9枚を超える損券についてはスクロールや画面切換えにより表示可能である。図12では、9枚を超える損券の表示に対応するため「前へ」ボタンと「次へ」ボタンを設けて画面切換え可能としている。
また、図12の一覧表示画面では、「拡大」ボタンと「承認」ボタンを設けている。1又は複数の損券を選択して拡大ボタンを操作すると、選択された損券の入力画像データを拡大して表示する拡大表示画面に移行する。この拡大表示画面は、図11に示したものを用いればよい。「承認」ボタンを操作すると、一覧表示されている損券が全て承認される。なお、一覧表示画面に投入された損券や取引に係る各種データを表示するデータ表示領域をさらに設けてもよい。
図12では、正券画像データを画面上方に配置し、その下に9枚分の損券の入力画像データを配置しているが、画像の配置は任意に設定可能である。例えば、画面中央に正券画像データを配置し、その周囲(上、下、右、左、右上、右下、左上、左下)に8枚分の損券の入力画像データを配置してもよい。このように配置すれば、各入力画像データと正券画像データとの距離が均等になるので、比較確認が容易である。
<操作員による確認を行う変形例>
入力画像データの一覧表示による確認は、上位者の承認時に限らず、入金時に行うことも可能である。図13は、入金時に一覧表示による確認を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
まず、操作員は、自身が所持するIDカードをIDカードリーダ810に読み取らせ、制御部800は、IDカードのID情報に基づいて操作員の権限等を確認する。このステップは、図7のステップS101と同様である。この後、全ての媒体を処理済であると判定するまでは、図7に示したステップS117までと同様であるので説明を省略する。
全ての媒体を処理済であれば(ステップS117;Yes)、操作表示部600の表示制御部80bは、今回入金処理した損券について入力画像データの一覧表示による確認を行うか否かを判定する(ステップS301)。
一覧表示による確認を行う場合には(ステップS301;Yes)、表示制御部80bは、入力画像データを一覧表示する(ステップS302)。操作員は、一覧表示された入力画像データを確認し、必要に応じて修正入力を行う。表示制御部80bは、操作員の修正入力を受け付けたならば、その修正入力を反映する確認修正処理を行う(ステップS303)。
ステップS303の後、表示制御部80bは、操作員による確認操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS304)。確認操作を受け付けていなければ(ステップS304;No)、表示制御部80bは、操作員による返却操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS305)。
その結果、返却操作を受け付けていなければ(ステップS305;No)、ステップS304に移行する。一方、返却操作を受け付けたならば(ステップS305;Yes)、有価媒体処理装置500は、一時保留部20に一時保留された全ての媒体を返却して(ステップS306)、処理を終了する。
確認操作を受け付けた場合(ステップS304;Yes)、若しくは一覧表示による確認を行わない場合(ステップS301;No)、有価媒体処理装置500は、一時保留部20に一時保留された全ての媒体を損券収納部40,42に搬送して収納し(ステップS307)、入金データ及び入力画像データを損券入金データ82bに登録することで損券入金データ82bを更新し(ステップS308)、上記一連の処理が終了する。
<上位管理装置を有する構成の変形例>
次に、上位管理装置を有する構成について説明する。上位者は、操作表示部600を直接操作して承認処理を行ってもよいが、操作表示部600と通信接続された上位管理装置を用いて承認処理を行ってもよい。
図14は、上位管理装置を有するシステム構成の説明図である。図14に示した構成では、操作表示部600の通信部802は、例えば上位者の席に設置される上位管理装置1010と所定のネットワークを介して接続されている。上位管理装置1010は、表示部1011、入力部1012、通信部1013、記憶部1014及び制御部1015を有する。
表示部1011は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部1012は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部1013は、ローカルネットワーク等を介して操作表示部600と通信するためのインタフェース部である。
記憶部1014は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、正券画像データ1014a及び損券入金データ1014bを記憶する。正券画像データ1014a及び損券入金データ1014bは、有価媒体処理装置500から操作表示部600を介して取得したデータであり、正券画像データ82a及び損券入金データ82bと同様である。
制御部1015は、上位管理装置1010の全体を制御する制御部であり、表示制御部1015aを有する。表示制御部1015aは、記憶部1014に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種を、各損券の券種の確認に利用可能な確認支援情報とともに表示部1011に一覧表示する処理を行う。表示制御部1015aによる表示制御については、表示制御部80bと同様であるので説明を省略する。
このように、上位管理装置1010を用いて入力画像データの一覧表示、確認支援情報の表示、承認操作の受付を行うこととすれば、上位者は、遠隔操作で承認を行うことができる。また、他の操作員による操作表示部600の使用と並行して承認を行うことも可能である。
また、上位管理装置として、上位者が携帯するタブレット端末やスマートホンを使用すれば、出張中の上位者が承認処理を行うことができようになる。
<硬貨の種別の確認への適用>
次に、硬貨の種別の確認を行う硬貨処理装置について説明する。図15は、硬貨の種別の確認を行う硬貨処理装置910の外観を示す斜視図である。図15(a)は、上カバーを閉じた状態の硬貨処理装置910の外観を示す斜視図であり、図15(b)は上カバーを開いた状態の硬貨処理装置910の構成を示す斜視図である。
硬貨処理装置910は、現行の流通硬貨以外の特殊硬貨を取り扱う装置であり、具体的には、硬貨として変形貨、汚損貨、記念貨、旧貨等が硬貨処理装置910の機体内に投入され、当該硬貨処理装置910内に硬貨の種類毎に収納される。このような硬貨処理装置910は、略直方体形状からなる筐体912を有しており、この筐体912には上方に開くことができる上カバー914が設けられている。図15(b)に示すように、操作員は上カバー914を上方に開くことにより硬貨処理装置910の筐体912の内部にアクセスすることができる。
図15(a)及び図15(b)に示すように、硬貨処理装置910の前面上部には硬貨受入部922が設けられている。また、上カバー914の前面には入金口920が設けられており、操作員はこの入金口920を介して硬貨受入部922上における筐体912の内部にある入金位置924に変形貨、汚損貨、記念貨、旧貨等の硬貨を1枚ずつ載置することができる。また、上カバー914の前面には入金口920の開閉を行う入金扉921が設置されており、この入金扉921は入金口920から横方向にスライド可能である。そして、入金扉921が入金口920を塞いでいる位置から横方向にスライドして当該入金口920を開いたときに、操作員はこの入金口920を介して硬貨受入部922上における筐体912の内部にある入金位置924に硬貨を載置することができるようになる。
図15(a)及び図15(b)に示すように、硬貨処理装置910の筐体912内における下部前方には返却貨収納部950、損貨収納部952及び記念貨収納部954からなる3つの硬貨収納部が設けられている。ここで、損貨収納部952及び記念貨収納部954は、それぞれ、硬貨処理装置910の筐体912内に投入された硬貨を収納する収納部として機能する。また、返却貨収納部950は、硬貨処理装置910の筐体912内に投入された硬貨の返却を行う際に用いられる。これらの返却貨収納部950、損貨収納部952及び記念貨収納部954は硬貨処理装置910の筐体912の前面から前方に引き出すことができる。なお、返却貨収納部950は施錠されておらず硬貨処理装置910の筐体912の前面から自由に前方に引き出すことができるが、損貨収納部952及び記念貨収納部954は施錠されており、それぞれ所定の管理権限を有する操作員のみが解錠を行うことによりこれらの損貨収納部952及び記念貨収納部954を硬貨処理装置910の筐体912の前面から前方に引き出すことができる。
また、硬貨処理装置910の筐体912内において、硬貨受入部922上の入金位置924に載置された硬貨の撮像を行うカラーカメラ等の撮像部960が配設されている。このような撮像部960により、各硬貨収納部(具体的には、返却貨収納部950、損貨収納部952及び記念貨収納部954)に収納される前の硬貨の表面および裏面を撮像して当該硬貨の入力画像データを取得する。
また、図16に示すように、硬貨処理装置910には、当該硬貨処理装置910の各構成要素の制御を行う制御部980が設けられている。より詳細には、制御部980には、撮像部960、硬貨の搬送を行う搬送部940、返却貨収納部950、損貨収納部952、記念貨収納部954等がそれぞれ接続されている。そして、制御部980は、搬送部940に指令信号を送ることにより硬貨の搬送を制御する。また、撮像部960により取得された硬貨の入力画像データ等が制御部980に送られる。また、制御部980は、撮像部960により取得された硬貨の表面の入力画像データから当該硬貨の金額等に関する情報を取得できるように、OCR(光学文字認識)機能を有している。
また、図16に示すように、制御部980には、当該制御部980に対して操作員が様々な指令を入力するための入力部982、各硬貨収納部に収納された貨幣の在高等の様々な情報を表示するための表示部984、各硬貨収納部に収納された貨幣の在高等の様々な情報を記憶するための記憶部986、各硬貨収納部に収納された貨幣の在高等の様々な情報をレシート等のジャーナルに印字するためのプリンタ988、及び上位装置等の外部装置に対して信号の送受信を行う通信部990等が接続されている。
他の操作端末を通信部990に接続すると、この操作端末のキーボードやマウス等が入力部982として機能し、当該操作端末のモニタ等が表示部984として機能する。また、他の態様としては、タッチパネル等の操作表示部を硬貨処理装置910の筐体912の前面や上面に設置することも可能である。この場合には、タッチパネル等の操作表示部は、入力部982及び表示部984を兼用するようになる。このように、入力部982や表示部984は硬貨処理装置910の筐体912とは別に設けられていてもよく、あるいはこれらの入力部982や表示部984が硬貨処理装置910の筐体912の表面に設けられていてもよい。同様に、プリンタ988も硬貨処理装置910の筐体912とは別に設けられていてもよく、あるいは硬貨処理装置910の筐体912の表面にプリンタ988が設けられていてもよい。また、OCR(光学文字認識)機能によって金額等を特定できない場合や、誤判定した場合には、入力部982等を操作して、投入された特殊硬貨の種別情報(損貨/記念貨/旧貨、金額)が入力される。
記憶部986には、各硬貨収納部に収納された貨幣の在高等に加え、正規の硬貨の画像データである正貨画像データ986aと、投入された損貨の入力画像データや種別情報や適合率などを示す損貨入金データ986bが記憶される。
制御部980は、適合率算出部980a及び表示制御部980bを有する。適合率算出部980aは、撮像部960により撮像された入力画像データと、対応する種別の正貨画像データ986aとを用い、損貨の正貨に対する適合度合いを示す適合率を算出する処理部である。
表示制御部980bは、記憶部986に記憶された複数の損貨の入力画像データ及び各損貨の種別を、各損貨の種別の確認に利用可能な確認支援情報とともに所定の表示部(表示部984や接続された他の装置の表示部)に一覧表示する処理を行う。確認支援情報としては、適合率や修正の有無などを用いることができる。
また、表示制御部980bは、適合率が所定値以下である入力画像データについては、他の入力画像データと異なる態様で表示制御することができる。同様に、種別の修正が行われた入力画像データについても、他の入力画像データと異なる態様で表示制御することができる。
また、表示制御部980bは、一覧表示された複数の損貨の入力画像データのいずれかが選択された場合に、該損貨の詳細情報を表示制御することができる。
なお、表示制御部980bは、所定の絞込条件が設定されたならば、記憶部986に記憶された複数の損貨の入力画像データ及び各損貨の種別のうち、該絞込条件を満たす損貨の入力画像データ及び該損貨の種別を確認支援情報とともに一覧表示することができる。例えば、所定の種別が絞込条件として設定されたならば、該種別に合致する損貨の入力画像データを表示制御することになる。この他、特定の取引や特定の操作員を指定して絞込条件として用いることができる。
<同一券種の一覧表示の変形例>
これまでの説明では、適合率や正券画像データを確認支援情報として入力画像データとともに一覧表示する場合を示したが、同一券種の入力画像データを抽出して一覧表示すれば、他の券種の損券の入力画像データが誤って混在している場合に、他の入力画像データとの比較で券種の誤りを検知することができる。換言するならば、券種が正しい入力画像データが確認支援情報の一種として機能することになる。
図17は、同一券種の入力画像データの一覧表示の具体例である。図17に示した一覧表示画面では、券種「D一万円券」が対応付けられた9枚の損券の入力画像データを表示している。この9枚の損券のうち、1枚の券種は正しくは「E一万円券」であるが、誤って券種「D一万円券」が対応付けられている。
このように、図17に示した一覧表示画面では、同一券種の入力画像データを一覧表示しているので、他と異なる入力画像データが存在すれば、上位者は券種の設定が誤っていることを一目で識別できる。
なお、一覧表示を行う際に、各入力画像データについて他の入力画像データとの相関値を算定し、相関値が所定値に満たない場合に強調表示を行ってもよい。また、算定した相関値を合わせて表示することとしてもよい。
また、図17では9枚までの損券について一覧表示することとしており、9枚を超える損券についてはスクロールや画面切換えにより表示可能である。図17では、9枚を超える損券の表示に対応するため「前へ」ボタンと「次へ」ボタンを設けて画面切換え可能としている。
また、図17の一覧表示画面では、「拡大」ボタンと「承認」ボタンを設けている。1又は複数の損券を選択して拡大ボタンを操作すると、選択された損券の入力画像データを拡大して表示する拡大表示画面に移行する。この拡大表示画面は、図11に示したものを用いればよい。「承認」ボタンを操作すると、一覧表示されている損券が全て承認される。なお、一覧表示画面に投入された損券や取引に係る各種データを表示するデータ表示領域をさらに設けてもよい。
上述してきたように、本実施例に係る有価媒体処理装置500では、投入された損券を撮像部16により撮像するとともに、撮像された損券の入力画像データと該損券の券種とを対応付けて記憶部82に記憶させ、所定の操作がなされた場合に、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種を、各損券の券種の確認に利用可能な確認支援情報とともに所定の表示部に一覧表示するよう構成したので、損券の券種を効率良く確認することができる。
また、本実施例では、所定の表示部に一覧表示された複数の損券の入力画像データのいずれかが選択された場合に、該損券の詳細情報を表示制御することができる。
また、本実施例では、投入された損券の入力画像データと、該損券の券種に対応する正券画像データとに基づいて、適合率を算出し、所定の操作がなされた場合に、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データを、各損券の券種及び確認支援情報としての適合率とともに一覧表示することができる。さらに、適合率が所定値以下又は所定値未満である場合に、該適合率に対応する入力画像データを他の入力画像データと異なる態様で表示制御することができる。
また、本実施例では、損券の券種が操作員により修正されていた場合に、該損券の入力画像データを他の入力画像データと異なる態様で表示制御することができる。
また、本実施例では、所定の絞込条件が設定された場合に、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種のうち、該絞込条件を満たす損券の入力画像データ及び該有価媒体の券種を、該損券の確認に利用可能な確認支援情報とともに一覧表示することができる。
また、本実施例では、所定の券種が絞込条件として設定された場合に、記憶部82に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種のうち、該券種に合致する損券の入力画像データ及び該損券の券種を、該券種の正規な損券の入力画像データとともに一覧表示することができる。
また、本実施例では、有価媒体処理装置500と通信可能に接続された上位管理装置1010が、撮像部16により撮像された損券の入力画像データと該損券の券種とを記憶部1014に記憶させ、所定の操作がなされた場合に、記憶部1014に記憶された複数の損券の入力画像データ及び各損券の券種を、各損券の券種の確認に利用可能な確認支援情報とともに所定の表示部に一覧表示することができる。
なお、本実施例では、損券や損貨の確認を行う場合を例に説明を行ったが、本発明は損券及び損貨に限定されるものではなく、任意の有価媒体を確認する場合に適用可能である。例えば、偽造の可能性のある偽券や偽貨の確認を行う場合に適用してもよい。
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。