以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態において、出納機1が特許請求の範囲に記載の「貨幣処理装置」に対応する。また、管理コンピュータ2が特許請求の範囲に記載の「管理装置」に対応する。さらに、プリンタ40が特許請求の範囲に記載の「出力部」および「印字部」に対応する。さらに、識別部160が特許請求の範囲に記載の「読取部」に対応する。さらに、一括収納部190および金種別収納部200が特許請求の範囲に記載の「収納部」に対応する。さらに、操作表示部310が特許請求の範囲に記載の「出力部」、「表示部」および「操作部」に対応する。さらに、端末制御部320が特許請求の範囲に記載の「制御部」に対応する。さらに、取引ログデータベース332が特許請求の範囲に記載の「第1データベース」に対応する。さらに、扉開ログデータベース333およびエラーログデータベース334が特許請求の範囲に記載の「第2データベース」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る、出納機1および出納機1が含まれる貨幣処理システム5の構成を示す図である。
出納機1は、銀行等の金融機関の店舗内に設置される。出納機1は、管理コンピュータ2および監視カメラ3に、店舗内LAN等のネットワーク回線4を介して通信可能に接続される。出納機1は、管理コンピュータ2および監視カメラ3とともに、店舗内に構築された貨幣処理システム5を構成する。貨幣処理システム5には、これら構成の他、金融業務に関係する取引に利用される他の機器、たとえば、窓口カウンタに設置され、テラーにより操作される貨幣入出金機(図示せず)および窓口端末(図示せず)が含まれ得る。
管理コンピュータ2は、出納機1および他の機器の管理を行う。管理コンピュータ2は、これら機器から送られてきた各種データを一元管理するため、制御部2aおよび記憶部2bを備える。また、管理コンピュータ2は、タッチパネルタイプのモニタディスプレイ2cを備える。
監視カメラ3は、出納機1に向けられており、出納機1の周辺の映像を撮影することが可能である。
出納機1は、紙幣処理ユニット10と、硬貨処理ユニット20と、操作端末30と、プリンタ40とを備える。操作端末30と、紙幣処理ユニット10、硬貨処理ユニット20およびプリンタ40とは、たとえば、通信ケーブル(図示せず)で接続される。なお、このような有線方式ではなく無線方式による接続がなされてもよい。
紙幣処理ユニット10は、外郭を構成する筐体11を備える。筐体11の正面には、中央部に入金口12および出金口13が上下に並んで設けられ、上部に束出金口14が設けられる。出金口13は、上下開きのシャッター13aによって開閉され、束出金口14は、左右開きのシャッター14aにより開閉される。入金口12にはバラ紙幣が投入され、出金口13にはバラ紙幣が払い出される。束出金口14には、束紙幣が払い出される。束紙幣は、所定の枚数(たとえば、100枚の)紙幣が帯封によって結束されることにより生成される。さらに、筐体11の正面には、下部に扉15が設けられる。この下部の扉15を開放させることにより、一時保留部180、一括収納部190および金種別収納部200を筐体11の外へ引き出すことができ、これらに対する紙幣の出し入れができる。なお、筐体11には、扉15の他にも扉(図示せず)が設けられる。
図2は、本実施形態に係る、紙幣処理ユニット10の内部構成を示す概要図である。
紙幣処理ユニット10は、入金部110と、出金リジェクト部120と、出金部130と、束出金部140と、搬送部150と、識別部160と、表裏揃え部170と、一時保留部180と、一括収納部190と、3つの金種別収納部200と、2つの集積部210と、結束部220と、揚送部230と、束搬送部240と、4つの金種別束収納部250とを備える。
入金部110は、入金口12に設けられる。入金部110は、繰出機構を備え、投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部150へ繰り出す。出金リジェクト部120は、主に、出金部130への出金時に、識別部160により属性(真偽、金種、表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
出金部130は、出金口13に設けられる。出金部130は、主に、一時保留部180から返却された紙幣や金種別収納部200から繰り出された紙幣を受け取る。出金部130は、入金リジェクト部としても機能し、入金部110からの入金時に、識別部160により属性(真偽、金種、表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。束出金部140は、束出金口14に設けられ、主に、金種別束収納部250から繰り出された束紙幣を受け取る。
搬送部150は、入金部110と、出金リジェクト部120と、出金部130と、一時保留部180と、一括収納部190と、3つの金種別収納部200と、2つの集積部210との間に巡らされ、これらの間において紙幣の搬送を行う。
識別部160は、搬送部150を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する機器制御部に出力する。識別される属性には、紙幣の真偽および金種、紙幣の表裏の向きが含まれる。また、識別部160は、紙幣に付された記番号を読み取り、機器制御部に出力する。記番号は、個々の紙幣を特定するための特定情報である。識別部160は、紙幣の画像を取り込み、取り込んだ画像に基づいて、紙幣の属性を識別したり、紙幣の記番号を読み取ったりする。さらに、識別部160は、紙幣の計数を行う。
表裏揃え部170は、搬送部150の一部を構成する反転部171および非反転部172を含み、搬送部150を流れる紙幣の表裏の向きを揃える。たとえば、裏を向く紙幣が反転部171に通され、表を向く紙幣が非反転部172に通されることにより、紙幣が表向きに揃えられる。
一時保留部180は、入金部110に投入され、識別部160により属性が識別された正常な紙幣を、一時的に保留する。一時保留部180は、繰出機構を備えており、保留された紙幣を搬送部150へ繰り出すことができる。
一括収納部190は、一時保留部180から繰り出された紙幣であって、識別部160により金種が識別できなかった紙幣や、2千円札など、金種別収納部200が割り当てられていない紙幣や、対応する金種別収納部200に収納しきれなかったオーバーフロー紙幣等を収納する。
金種別収納部200には、一時保留部180から繰り出された紙幣であって、識別部160により金種が識別された紙幣が、金種ごとに振り分けて収納される。金種別収納部200は、繰出機構を備えており、収納された紙幣を搬送部150へ繰り出すことができる。各金種別収納部200は、一括収納部190に近い側から第1収納部201、第2収納部202および第3収納部203とされる。たとえば、第1収納部201に1万円の金種が割り当てられ、第2収納部202に5千円の金種が割り当てられ、第3収納部203に千円の金種が割り当てられる。
集積部210は、搬送部150により搬送された紙幣を、帯封により結束される結束単位となる所定の枚数、たとえば、100枚となるまで集積する。結束部220は、アーム機構、結束機構および搬送機構を備え、集積部210に集積された紙幣の束をアーム機構により取り出し、取り出した紙幣の束に、結束機構により帯封を掛けて束紙幣を生成し、生成した束紙幣を搬送機構により揚送部230へ送り込む。
揚送部230は、上下方向に搬送路が形成されるとともに搬送路内にリフト機構を備え、結束部220から送り込まれた束紙幣をリフト機構によって揚送部230の上部に配置された束搬送部240へ送る。束搬送部240は、揚送部230から送られてきた束紙幣を、4つの金種別束収納部250のうち、その束紙幣の金種に対応する金種別束収納部250へ搬送する。また、束搬送部240は、各金種別束収納部250から繰り出された束紙幣を束出金部140へ搬送する。
4つの金種別束収納部250は、それぞれに割り当てられた金種の束紙幣を収納する。たとえば、2つの金種別束収納部250に1万円の金種が割り当てられ、残りの2つの金種別束収納部250に、千円および5千円の金種が割り当てられる。金種別束収納部250は、繰出機構を備えており、収納された束紙幣を束搬送部240へ繰り出すことができる。
図1に戻り、硬貨処理ユニット20は、外郭を構成する筐体20aを備える。筐体20aの上面には、入金口21が設けられる。また、筐体20aの正面には、左側に入金リジェクト口22、バラ一括箱23、返却箱24、出金箱25および袋取りシュート26が設けられ、右側に包装硬貨出金口27、包装硬貨一括箱28および機外投出口29が設けられる。バラ一括箱23、返却箱24、出金箱25、袋取りシュート26および包装硬貨一括箱28は、筐体20aから前方に引き出し自在に構成される。硬貨処理ユニット20の内部には、図示しないバラ硬貨一時保留部、バラ硬貨収納部、包装硬貨生成部および包装硬貨収納部が設けられる。
入金時には、バラ硬貨が入金口21に投入される。投入されたバラ硬貨は、一枚ずつ繰り出されて識別され、正常な硬貨でない場合は、入金リジェクト口22に返却され、正常な硬貨である場合は、バラ硬貨一時保留部に一時的に収納される。バラ硬貨一時保留部内のバラ硬貨は、承認操作がなされるとバラ硬貨収納部に収納され、返却操作がなされると返却箱24に返却される。バラ硬貨収納部にバラ硬貨が収納しきれなくなった場合、オーバーフローしたバラ硬貨がバラ一括箱23に収納される。
出金時には、バラ硬貨収納部内のバラ硬貨が出金箱25に払い出される。バラ硬貨を出金して袋詰めする場合には、筐体20aから引き出された袋取りシュート26に現金袋が接続され、バラ硬貨収納部内のバラ硬貨が袋取りシュート26を通じて現金袋に投出される。
包装硬貨を生成する場合、入金口21に投入されたバラ硬貨が包装硬貨生成部に送られる。包装硬貨生成部では、棒状に重ねられた複数枚(たとえば、50枚)のバラ硬貨が包装材で包装されることにより、包装硬貨が生成される。生成された包装硬貨は、包装硬貨収納部に収納されるか包装硬貨出金口27に払い出される。包装硬貨が大量に払い出される場合には、機外投出口29が利用される。この場合、機外投出口29の下方に包装硬貨を受ける現金箱等が置かれる。包装硬貨収納部に包装硬貨が収納しきれなくなった場合、オーバーフローした包装硬貨が包装硬貨一括箱28に収納される。
硬貨処理ユニット20の上部に、操作端末30とプリンタ40とが配置される。操作端末30には、正面に操作表示部310が設けられる。操作表示部310は、操作のための画面を表示するとともに、表示された画面への操作を受け付ける。プリンタ40は、入出金された紙幣の枚数、金額等、処理結果の情報を、ジャーナルとして用紙に印字する。なお、操作端末30は、テラー、その他の係員が所有するタブレット端末6や携帯電話端末7との間で、近距離無線による通信を行うことができる。
図3は、本実施形態に係る、出納機1の主たる構成を示すブロック図である。
紙幣処理ユニット10は、上述した各部110〜250の他、機器制御部260、機器記憶部270、開閉検出センサ280およびジャム検出センサ290を備える。
機器制御部260は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、機器記憶部270に記憶されたプログラムに従って、各部110〜250を制御する。機器記憶部270は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、機器制御部260の動作プログラムを記憶し、また、機器制御部260の制御処理の際にワーク領域として利用される。
開閉検出センサ280は、扉15等の各扉に設けられ、各扉の開閉を検出する。また、開閉検出センサ280は、搬送部150の開閉可能な各部位(たとえば、ジャム解除の際に開閉される部位)に設けられ、これら部位の開閉を検出する。開閉検出センサ280からの開放検出信号および閉鎖検出信号は、機器制御部260に出力される。ジャム検出センサ290は、搬送部150の各所に設けられ、搬送部150内で発生するジャム(紙幣詰まり)を検出し、ジャム検出信号を機器制御部260に出力する。
操作端末30は、上述した操作表示部310の他、端末制御部320、端末記憶部330および通信部340を備える。
操作表示部310は、ディスプレイ311とタッチセンサ312とからなるタッチパネルで構成される。ディスプレイ311は、各種の画像(画面)を表示する。タッチセンサ312は、ディスプレイ311に重ねられディスプレイ311に対するユーザのタッチ操作を検出する。
端末制御部320は、CPU等の演算回路を備え、端末記憶部330に記憶されたプログラムに従って、操作表示部310、プリンタ40等を制御する。また、端末制御部320は、紙幣処理ユニット10の機器制御部260および硬貨処理ユニット20の機器制御部(図示せず)との間で、各種情報(指令を含む)のやり取りを行う。
端末記憶部330は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、端末制御部320の動作プログラムを記憶し、また、端末制御部320の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、端末記憶部330には、収納紙幣データベース331(以下、「収納紙幣DB331」と略す)、取引ログデータベース332(以下、「取引ログDB332」と略す)、扉開ログデータベース333(以下、「扉開ログDB333」と略す)およびエラーログデータベース334(以下、「エラーログDB334」と略す)が設けられる。
通信部340は、管理コンピュータ2、監視カメラ3等の通信部(図示せず)との間で、ネットワーク回線4を介した信号(情報)の送受信を行う。
図4(a)は、本実施形態に係る、収納紙幣DB331の構成を示す図であり、図4(b)は、本実施形態に係る、取引ログDB332の構成を示す図である。
図4(a)に示すように、収納紙幣DB331には、一括収納部190、第1収納部201、第2収納部202および第3収納部203にそれぞれ収納された全ての紙幣の記番号および金種が収納順序に紐付けて登録される。また、図4(b)に示すように、取引ログDB332には、紙幣処理ユニット10において、入金処理、出金処理、装填処理等の取引処理が行われる度に、その取引処理に係る取引ログ情報(取引履歴情報)として、処理の種別(入金、出金、装填等)、処理日時、伝票金額、明細枚数、処理の対象となった紙幣の記番号等が、通番とともに登録される。なお、端末記憶部330には、図3には示されていないが、硬貨処理ユニット20での取引処理に関する取引ログデータベースも用意されている。
図5(a)は、本実施形態に係る、扉開ログDB333の構成を示す図であり、図5(b)は、本実施形態に係る、エラーログDB334の構成を示す図である。
図5(a)に示すように、扉開ログDB333には、出納機1の扉(紙幣処理ユニット10の扉15等)を開閉する処理が行われる度に、開閉処理に係る開閉ログ情報(開閉履歴情報)が登録される。扉開ログDB333には、「日時」、「担当者」、「処理部」、「ブロック名称」、「現金」等の登録欄(登録領域)が、各登録欄に対応する開閉ログ情報のために用意される。
「日時」の登録欄には、扉が開閉されたときの日時が登録される。「担当者」の登録欄には、扉を開閉した担当者(係員)の担当者番号が登録される。「処理部」の登録欄には、開閉された扉が紙幣処理ユニット10(紙幣部)および硬貨処理ユニット20(硬貨部)うち何れの処理ユニットに存在するのかが登録される。「ブロック名称」の登録欄には、開閉された扉を有する処理ユニットの中のその扉が存在するブロックの名称が登録される。「現金」の登録欄には、開閉された扉が、その扉の開放によって係員が出納機1の中の現金(貨幣)に触れることができるものである場合に、「触れる」の情報が登録される。
紙幣処理ユニット10内で扉15等が開放されたとき、機器制御部260は、対応する開閉検出センサ280から開放検出信号を受け取る。機器制御部260は、その開放検出信号に対応する扉が開いたことを端末制御部320に通知する。その際、機器制御部260は、併せて、開閉ログ情報を端末制御部320に送り、端末制御部320が、送られてきた開閉ログ情報を扉開ログDB333に登録する。
図5(b)に示すように、エラーログDB334には、出納機1内に取引処理が中断されるようなジャム等のエラーが発生し、エラー処理が行われる度に、そのエラー処理に係るエラーログ情報(エラー履歴情報)が登録される。エラーログ情報は、エラーの発生時や解除時に登録され得る。エラーログDB334には、「日時」、「担当者」、「処理部」、「エラーコード」、「エラー種別」、「対象金種」、「エラー現金戻し」、「アラート」等の登録欄(登録領域)が、各登録欄に対応するエラーログ情報のために用意される。
「日時」の登録欄には、エラーが発生したときの日時またはエラーが解除されたときの日時が登録される。「担当者」の登録欄には、エラーの解除を担当した担当者(係員)の担当者番号が登録される。「処理部」の登録欄には、紙幣処理ユニット10(紙幣部)および硬貨処理ユニット20(硬貨部)うち何れの処理ユニットにエラーが発生したのかが登録される。「エラーコード」の登録欄には、各エラーに付されたエラーコードが登録される。「エラー種別」の登録欄には、「ジャム」、「セット不良」、残留エラー」などのエラーの種別が登録される。たとえば、搬送部150で紙幣の詰まりが生じた場合のエラーが「ジャム」であり、紙幣の搬送中に紙幣処理ユニット10における開閉可能な部位のロックが外れてしまった場合のエラーが「セット不良」であり、取引処理を開始しようとしたときに、本来存在すべきでない場所に紙幣が残留していた場合のエラーが「残留エラー」である。「対象金種」の登録欄には、エラーが発生したときの取引処理で扱われていた金種が登録される。「エラー現金戻し」の登録欄には、エラーの解除時に出納機1内への現金(貨幣)の戻しがあったか否かが登録される。即ち、現金を戻す必要があり、実際に戻された場合には「有り」の登録が行われ、現金を戻す必要があったが、実際に戻されていない場合には「未実施」の登録が行われ、現金を戻す必要がなかった場合には「無し」の登録が行われる。エラー発生時のエラーログDB334へのエラーログ情報が登録の際には、「エラー現金戻し」の登録欄への登録は行われない。「アラート」の登録欄には、エラーを解除した直後に行った精査処理で違算が生じた場合など、現金が正しく戻されていないような状況が発生している場合に、それを示すマーク(たとえば、「※」)が登録される。
なお、エラーログDB334にエラーログ情報が登録されるエラーには、図5(b)の「エラーの種別」の登録欄に例示したエラーの他、停電等によって取引処理中に強制的に出納機1の電源がオフとなるエラー等も含まれる。
紙幣処理ユニット10内において、エラーの一つであるジャムエラーが発生したとき、機器制御部260は、ジャム検出センサ290からジャム検出信号を受け取る。ジャム検出信号を受け取ると、機器制御部260は、ジャムエラーが発生したと判定して、入金処理、出金処理等、実行していた取引処理を中断し、ジャムエラーが発生したことを端末制御部320に通知する。また、ジャムエラーが解除されたときにも、機器制御部260は、ジャムエラーが解除されたことを端末制御部320に通知する。機器制御部260は、これらの通知と併せて、エラーログ情報を端末制御部320に送り、端末制御部320が、送られてきたエラーログ情報をエラーログDB334に登録する。
次に、出納機1の紙幣処理ユニット10で行われる、紙幣の入金処理および装填処理について説明する。
図6(a)および(b)は、本実施形態に係る、紙幣の入金処理について説明するための図である。
入金処理を行う際には、入金される紙幣が係員によって入金部110に投入される。係員による入金の開始操作が行われると、図6(a)に示すように、入金部110に投入されたバラ紙幣が、一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の属性が識別される。識別部160での識別の結果、正常と見做された紙幣が、表裏揃え部170で表裏が揃えられた後に一時保留部180に保留される。
紙幣が一時保留部180に一時的に保留された状態で、係員による入金の確定操作が行われると、図6(b)に示すように、一時保留部180から紙幣が一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の金種が識別される。そして、金種が識別された紙幣は、その金種が割り当てられた一括収納部190や金種別収納部200(201、202、203)に収納される。なお、確定操作でなく、キャンセル操作がなされた場合、一時保留部180内の紙幣は、全て出金部130に返却される。
何れかの金種別収納部200において、紙幣の残量が少なくなると、装填処理が行われる。装填処理を行う際には、補充される紙幣が係員の手によって直接一時保留部180に投入される。係員による装填の開始操作が行われると、入金処理時の確定操作後と同じように、一時保留部180から紙幣が一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の金種が識別される。そして、金種が識別された紙幣は、その金種が割り当てられた金種別収納部200に収納される(図6(b)参照)。
本実施形態では、入金処理、装填処理など、一括収納部190や金種別収納部200に紙幣が収納される取引処理において、紙幣が識別部160を通過する際、識別部160によって紙幣の記番号が読み取られる。なお、入金処理では、入金部110から一時保留部180へ搬送される際と、一時保留部180から一括収納部190や金種別収納部200へ搬送される際の2回に亘り、紙幣が識別部160を通過する。この場合、2回とも識別部160によって記番号が読み取られてもよいし、どちらか1回において識別部160により記番号が読み取られてもよい。
識別部160に読み取られた記番号は、その記番号の紙幣の金種とともに、機器制御部260から端末制御部320に通知される。通知された記番号および金種の情報は、端末制御部320によって、収納紙幣DB331および取引ログDB332に登録される。記番号を登録するための記番号登録処理が、端末制御部320によって実行される。
図7は、本実施形態に係る、記番号登録処理の制御動作を示すフローチャートである。
端末制御部320は、機器制御部260から紙幣の記番号および金種の情報を取得すると(S101)、これらの情報を端末記憶部330に用意された一時記憶領域に一時保存する(S102)。そして、その回の取引処理(入金処理、装填処理等)の全ての紙幣について、記番号および金種の情報の取得が完了すると(S103:YES)、端末制御部320は、確定操作およびキャンセル操作の何れが受け付けられたかを判定する(S104)。確定操作が受け付けられた場合(S104:確定)、端末制御部320は、一時保存された記番号および金種の情報を、収納紙幣DB331と取引ログDB332に登録する(S105)。一方、キャンセル操作が受け付けられた場合(S104:キャンセル)、端末制御部320は、一時保存された記番号および金種の情報を、収納紙幣DB331と取引ログDB332に登録せず、一時記憶領域から消去する(S106)。
収納紙幣DB331と取引ログDB332に登録された記番号は、本実施形態の出納機1で行われる紙幣の精査処理において利用される。
次に、出納機1で行われる紙幣の精査処理について説明する。この精査処理は、一括収納部190および金種別収納部200に収納されている実際の紙幣の数量(在高)が、収納紙幣DB331を用いて管理されている紙幣の数量(在高)と一致するか否かを精査する処理である。さらに、この精査処理では、紙幣の数量の不一致、特に紙幣の不足が検出された場合に、その不足の原因となり得る処理に係るログ情報が操作表示部310やプリンタ40によって出力される。なお、係員の開始操作により手動で開始される精査処理は、手動精査処理と称されることがあり、指定日時の到来など、開始条件の成立により自動で開始される精査処理は、自動精査処理と称されることがある。
図8は、本実施形態に係る、紙幣の精査処理の制御動作を示すフローチャートである。図9(a)および(b)は、本実施形態に係る、紙幣往復処理が実行されたときの紙幣処理ユニット10内での紙幣の流れを示す図である。図10(a)ないし(d)は、それぞれ、本実施形態に係る、操作表示部310に表示される精査画面S1、違算発生通知ウィンドウW1、確認通知ウィンドウW2および原因候補表示画面S2の一例を示す図である。図11(a)ないし図12(b)は、本実施形態に係る、違算発生原因の候補となる処理に係るログ情報を抽出する手順について説明するための図である。
たとえば、図10(a)に示す精査画面S1において、係員がチェックボックスC1へタッチし、精査処理の対象として「バラ紙幣部」を選択した後、開始ボタンB1を押すと、操作表示部310により開始操作が受け付けられ、端末制御部320により紙幣の精査処理が開始される。なお、指定日時の到来など、開始条件の成立により精査処理が開始される場合もある。
まず、端末制御部320は、紙幣往復処理を実行する(S201)。即ち、端末制御部320は、機器制御部260に対して指令を発し、図9(a)および(b)のように、一括収納部190や金種別収納部200と一時保留部180との間で紙幣を往復させ、その間に識別部160で読み取った記番号と金種の情報を送るようにさせる。そして、端末制御部320は、機器制御部260から受け取った記番号と金種の情報を端末記憶部330に記憶させる。
端末制御部320は、一括収納部190および全ての金種別収納部200に対して紙幣往復処理を実行し、これが終了すると(S202:YES)、記番号比較処理を実行して、紙幣往復処理で取得した全ての記番号と、収納紙幣DB331に登録された全ての記番号とを比較する(S203)。全ての記番号が一致する結果となった場合(S204:YES)、端末制御部320は、紙幣の数量(在高)に違算がなかったことを通知する精査の完了画面(図示せず)を操作表示部310に表示させて係員からの確認操作を待つ(S205)。そして、確認操作があると(S205:YES)、端末制御部320は、精査処理を終了する。
一方、全ての記番号が一致する結果とならなかった場合、即ち、紙幣の不足が生じた場合(S204:NO)、端末制御部320は、差分表示処理を実行する(S206)。即ち、端末制御部320は、図11(a)のように、収納紙幣DB331から不足する紙幣に係る記番号および金種の情報を抽出する。そして、端末制御部320は、操作表示部310での表示により紙幣の不足(差額)が生じていることを通知する。たとえば、図10(b)のように、違算発生通知ウィンドウW1が、精査画面S1上にポップアップ表示される。違算発生通知ウィンドウW1には、金種ごとに紙幣の不足枚数が表示される。たとえば、違算発生通知ウィンドウW1に含まれた完了ボタンB2が押されることにより、差分表示処理が完了する。
次に、端末制御部320は、取引特定処理を実行する(S207)。即ち、端末制御部320は、図11(b)のように、取引ログDB332を用いることにより、不足する紙幣の記番号に基づいて、不足する紙幣が一括収納部190または金種別収納部200に収納されたときの取引処理を特定する。そして、端末制御部320は、操作表示部310での表示により、特定した取引処理以降の出納機1への操作(出納機1で行われた処理)の確認を促す。たとえば、図10(c)のように、操作の確認を促すメッセージを含む確認通知ウィンドウW2が、精査画面S1上にポップアップ表示される。たとえば、確認通知ウィンドウW2に含まれた完了ボタンB3が押されることにより、取引特定処理が完了する。
次に、端末制御部320は、原因候補抽出処理を実行する(S208)。即ち、端末制御部320は、扉開ログDB333から、紙幣が不足することになった原因となり得る扉の開閉処理に係る開閉ログ情報を、今回の紙幣不足の原因候補として抽出する。また、端末制御部320は、エラーログDB334から、紙幣が不足することになった原因となり得るエラー処理に係るエラーログ情報を、今回の紙幣不足の原因候補として抽出する。
ここで、不足する紙幣が一括収納部190や金種別収納部200に収納される前に行われた扉の開閉処理やエラー処理は全く関係しない。よって、端末制御部320は、先の取引特定処理で特定した取引処理の取引ログ情報に含まれる日時情報(たとえば、2016/06/02 14:30)を取得し、図12(a)、(b)のように、検索対象となる扉の開閉処理およびエラー処理を、取得した日時情報より遅い日時の処理に限定する。
また、紙幣が扱われるのは紙幣処理ユニット10である。さらに、係員が紙幣に触れられる状態となる扉が開放されなければ紙幣の不足には繋がりにくい。よって、端末制御部320は、扉開ログDB333の「処理部」の登録欄に「紙幣部」の登録があり、且つ「現金」の登録欄に「触れる」の登録があることを抽出条件に設定し、図12(a)のように、抽出条件を満たす開閉ログ情報を扉開ログDB333から抽出する。
さらに、エラー処理の対象となる金種が不足する紙幣の金種と同じでなければ、紙幣の不足の原因とはなりにくい。また、エラーを解除する際に紙幣を戻す必要があるエラー処理やエラー解除時に紙幣が正しく戻されていない可能性が高いエラー処理が、紙幣不足の原因となりやすい。よって、端末制御部320は、エラーログDB334の「処理部」の登録欄に「紙幣部」の登録があり、且つ「対象金種」の登録欄に、不足する紙幣の金種と同じ金種の登録があり、且つ「エラー現金戻し」の登録欄に「有り」または「未実施」の登録があるか「アラート」の登録欄にマークの登録があることを抽出条件に設定し、図12(b)のように、抽出条件を満たすエラーログ情報をエラーログDB334から抽出する。
紙幣不足の原因候補となる開閉ログ情報やエラーログ情報の抽出が完了すると、原因候補抽出処理が完了する。
次に、端末制御部320は、原因候補出力処理を実行する(S209)。即ち、端末制御部320は、操作表示部310に原因候補表示画面S2を表示させる。図10(d)に示すように、原因候補表示画面S2には、原因候補抽出処理で抽出された開閉ログ情報やエラーログ情報が含まれる。また、原因候補表示画面S2には、印字ボタンB4および終了ボタンB5が含まれる。印字ボタンB4が押されると、端末制御部320は、原因候補表示画面S2で示された開閉ログ情報やエラーログ情報が記入されたジャーナルをプリンタ40に出力させる。さらに、終了ボタンB5が押されると、端末制御部320は、原因候補表示画面S2を閉じて、精査処理を終了する。
係員は、原因候補表示画面S2やジャーナルに示された担当者に、開閉ログ情報やエラーログ情報を見せ、今回の紙幣不足(精査処理の違算)の原因となり得る扉の開閉処理やエラー処理の際の状況について問い合わせることにより、円滑に原因を究明することが可能となる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
(1)精査処理の結果、違算(紙幣不足)が生じた場合に、違算の原因となり得る処理(扉の開閉処理、エラー処理)に係るログ情報(開閉ログ情報、エラーログ情報)を確認することができ、ログ情報を原因究明に役立てることができる。しかも、不足する紙幣の記番号に基づいて、その紙幣が出納機1(一括収納部190、金種別収納部200)に収納された取引処理を特定し、その取引処理が行われた日時よりも遅くに発生したログ情報のみを原因候補として出力するようにしたので、係員は、有効なログ情報のみの取得を行うことができ、原因究明に要する時間や手間の削減が可能となる。
(2)出納機1内の紙幣への接触が可能となる処理(扉の開閉処理、エラー処理)に係るログ情報(開閉ログ情報、エラーログ情報)を、原因候補として抽出するようにしたので、係員は、そのログ情報を用いて的確に原因究明を行うことが可能となる。
(3)原因候補となるログ情報を、プリンタ40によりジャーナルとして出力するようにしたので、係員は、そのログ情報を手軽に自身で保持することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
<変更例1>
上記実施形態の出納機1において、係員、特にある程度の権限を有する者が、精査違算原因候補検索を行えるようにしてもよい。精査違算原因候補検索では、精査処理が終了した後において、係員が、違算が生じた精査処理を検索し、その違算(紙幣不足)の原因候補を確認できる。
図13は、変更例1に係る、精査ログデータベース335の構成を示す図である。
操作端末30の端末記憶部330には、精査ログデータベース335(以下、「精査ログDB335」と略す)が設けられる。精査ログDB335には、精査処理が行われる度に、その処理に係る精査ログ情報(精査履歴情報)が登録される。精査ログDB335には、「通番」、「日時」、「精査種別」、「処理部」、「担当者」、「精査結果」、「不足記番号」等の登録欄(登録領域)が、各登録欄に対応する開閉ログ情報のために用意される。
「通番」の登録欄には、精査処理における通番が登録される。「日時」の登録欄には、精査処理が実行された日時が登録される。「精査種別」の登録欄には、指定された紙幣の収納部を精査の対象とする指定精査であるか、出納機1の全ての紙幣の収納部を精査処理の対象とする全部精査であるかが登録される。「処理部」の登録欄には、「バラ紙幣収納部」、「全部」等、精査処理の対象となる収納部が登録される。「担当者」の登録欄には、精査処理を行った担当者(係員)の担当者番号が登録される。「精査結果」の登録欄には、精査処理の結果、差額が発生したか否かが登録される。「不足記番号」の登録欄には、不足する紙幣の記番号が登録される。
以下、精査違算原因候補検索について詳細に説明する。精査違算原因候補検索のために、端末制御部320によって原因候補検索処理が実行される。
図14は、変更例1に係る、原因候補検索処理の制御動作を示すフローチャートである。図15(a)ないし(d)は、それぞれ、変更例1に係る、操作表示部310に表示されるメニュー画面S3、照会メニュー画面S4、処理選択画面S5および原因候補表示画面S6の一例を示す図である。なお、処理選択画面S5が特許請求の範囲に記載の「指定画面」に対応する。
係員が、図示しない待機画面から自身のログインIDを入力することにより、端末制御部320が、図15(a)に示すメニュー画面S3を操作表示部310に表示させる。メニュー画面S3の各種メニューボタンB6の中の一つに照会ボタンB6aが含まれる。照会ボタンB6aが押されると、端末制御部320は、操作表示部310に照会メニュー画面S4を表示させる。このとき、端末制御部320は、入力されたログインIDから、操作表示部310への操作者が、精査違算原因候補検索の操作を行える権限を有している者であるか否かの認証を行い、権限者であると認証した場合、図15(b)に示すように、精査違算原因候補検索を開始するための候補検索ボタンB7aを各種照会メニューボタンB7の中に含める。なお、権限者であると認証できない場合、端末制御部320は、候補検索ボタンB7aを含まない照会メニュー画面S4を操作表示部310に表示させる。
照会メニュー画面S4において、候補検索ボタンB7aが押されると、原因候補検索処理が開始される。
まず、端末制御部320は、違算案件抽出処理を実行する(S301)。即ち、端末制御部320は、精査ログDB335から、「精査結果」の登録欄に「差額有り」と登録された精査処理、即ち違算が生じた精査処理に係る精査ログ情報を抽出する。
次に、端末制御部320は、違算案件選択処理を実行する(S302)。即ち、端末制御部320は、抽出した精査ログ情報の一覧表L1が含まれる処理選択画面S5を操作表示部310に表示させ、一覧表L1から何れかの精査処理が指定されるのを待つ。
一覧表L1の中から何れかの精査処理が指定され、さらに、処理選択画面S5に含まれる候補表示ボタンB8が押されると、端末制御部320は、精査処理と同様に、取引特定処理(S303)、原因候補抽出処理(S304)、原因候補出力処理(S305)を順次実行する。但し、この原因候補検索処理では、取引特定処理において、指定された精査処理に係るログ情報に含まれる記番号、即ち、「不足記番号」の登録欄に登録された記番号が用いられる。
精査処理と同様、操作表示部310に、図15(d)に示すような原因候補表示画面S6が表示される。原因候補表示画面S6には、精査処理における原因候補表示画面S2と同様に印字ボタンB9が含まれる。また、原因候補表示画面S6には、原因候補表示画面S2に含まれた終了ボタンB5に代えて戻るボタンB10が含まれる。戻るボタンB10が押されると、端末制御部320は、操作表示部310の画面を処理選択画面S5に戻す。
以上、本変更例によれば、精査処理が終了した直後でなくとも、照会メニュー画面S4からの検索により、違算(紙幣不足)が生じた精査処理と、その違算の原因候補を確認することができる。そして、これら違算が生じた精査処理の分析を行うことで、違算を誘発しやすい処理、担当等の傾向を明らかにすることができる。これにより、違算が多発させる担当者への注意喚起、違算の原因を多発する処理ユニットの保守(メンテナンス、交換)の判断、違算の原因を多発する処理の操作ポイントの通達などに繋げることができる。
また、精査違算原因候補検索を行う操作は、その権限を有する者のみが行えるので、精査処理の違算の原因に関わるログ情報が、権限を有さない一般の係員に広く知れ渡ってしまうことを防止できる。
<変更例2>
上記実施形態の出納機1において、精査処理の違算(紙幣不足)の原因となり得る処理に係るログ情報が操作表示部310に表示される際に、併せて、その処理が行われているときの出納機1の様子を捉えた監視カメラ3の映像が見られるようにされるとよい。
図16(a)は、変更例2に係る、扉開ログDB333の構成を示す図であり、図16(b)は、変更例2に係る、エラーログDB334の構成を示す図である。
本変更例では、扉開ログDB333およびエラーログDB334に「監視動画」の登録欄が設けられる。扉開ログDB333における「監視動画」の登録欄には、扉の開閉処理が行われているときの様子を監視カメラ3で撮影した監視動画(映像情報)のファイル名が登録される。同様に、エラーログDB334における「監視動画」の登録欄には、エラーの解除処理が行われているときの様子を監視カメラ3で撮影した監視動画のファイル名が登録される。監視動画の動画データ自身は、たとえば、管理コンピュータ2の記憶部2bに保存される。なお、監視動画の動画データが、端末記憶部330に保存されてもよい。
図17(a)および(b)は、それぞれ、変更例2に係る、操作表示部310に表示される原因候補表示画面S2および動画再生画面S7の一例を示す図である。
精査処理において、端末制御部320は、原因候補表示画面S2を操作表示部310に表示させる際、図17(a)に示すように、原因候補表示画面S2中に、各原因候補の処理に係るログ情報(開閉ログ情報、エラーログ情報)に対応付けるようにして、動画ボタンB11を含める。このとき、各動画ボタンB11に対応する監視動画の動画データが、管理コンピュータ2の記憶部2bから読み出されて、端末記憶部330に一時的に保存される。動画ボタンB11が押されると、端末制御部320は、押された動画ボタンB11に対応する監視動画を再生するための動画再生画面S7を操作表示部310に表示させる。
図17(b)に示すように、動画再生画面S7は、動画再生領域R1と、再生ボタンB12と、停止ボタンB13と、戻るボタンB14とを含む。再生ボタンB12が押されると、端末制御部320は、動画再生領域R1において監視動画を再生する。また、監視動画の再生中に停止ボタンB13が押されると、端末制御部320は、監視動画を停止させる。さらに、戻るボタンB14が押されると、端末制御部320は、操作表示部310の画面を原因候補表示画面S2に戻す。なお、動画再生画面S7に、動画を巻き戻すための巻き戻しボタンや動画をスロー再生するためのスロー再生ボタンが含まれてもよい。
以上、本変更例によれば、違算の原因となり得る処理(扉の開閉処理、エラー処理)に係るログ情報(開閉ログ情報、エラーログ情報)とともに、その処理が行われているときの出納機1の様子を監視動画により確認することができる。
<その他の変更例>
上記実施形態では、収納紙幣DB331、取引ログDB332、扉開ログDB333およびエラーログDB334が端末記憶部330に備えられた。しかしながら、収納紙幣DB331、取引ログDB332、扉開ログDB333およびエラーログDB334が、出納機1の外部の装置の記憶部、たとえば、管理コンピュータ2の記憶部2bに備えられてもよい。同様に、上記変更例1に係る出納機1の精査ログDB335についても、出納機1の外部の装置の記憶部、たとえば、管理コンピュータ2の記憶部2bに備えられてもよい。これらの場合、端末制御部320は、ネットワーク回線4を通じて、これらデータベース331〜335との間でデータ(ログ情報等)のやり取りを行うこととなる。
また、出納機1の操作端末30ではなく、管理コンピュータ2で、記番号登録処理、精査処理および原因候補検索処理が行われてもよい。即ち、収納紙幣DB331、取引ログDB332、扉開ログDB333およびエラーログDB334が、管理コンピュータ2の記憶部2bに設けられるとともに、管理コンピュータ2の制御部2aが、記番号登録処理、精査処理および原因候補検索処理を実行するような構成が採られてもよい。この場合、管理コンピュータ2のモニタディスプレイ2cに、精査処理に関係する画面等(精査画面S1、違算発生通知ウィンドウW1、確認通知ウィンドウW2、原因候補表示画面S2)および原因候補検索処理に関係する画面等(メニュー画面S3、照会メニュー画面S4、処理選択画面S5、原因候補表示画面S6)が表示される。さらに、管理コンピュータ2に付属するプリンタ(図示せず)から違算の原因候補が記されたジャーナルが出力される。
さらに、上記実施形態では、違算(紙幣不足)の原因候補となる処理に係るログ情報(開閉ログ情報、エラーログ情報)が、操作表示部310に表示されたり、プリンタ40で印字されたりした。しかしながら、これらログ情報が、タブレット端末6や携帯電話端末7に送信され、タブレット端末6や携帯電話端末7のディスプレイに表示されてもよい。
さらに、上記実施形態では、精査処理において、紙幣往復処理で取得した全ての記番号と収納紙幣DB331に登録された全ての記番号とを比較することにより、精査処理の違算の有無と、不足する紙幣とを一度に調べるようにした。しかしながら、紙幣往復処理において紙幣の記番号を読み取るとともに枚数も計測するようにし、まず、枚数の比較によって違算の有無を調べ、違算が生じた場合に、記番号の比較によって不足する紙幣を調べる、というような制御が行われてもよい。
さらに、上記変更例1では、違算案件選択処理(S302)において何れかの精査処理が指定されると、指定された精査処理に関して取引特定処理(S303)および原因候補抽出処理(S304)が実行され、違算の原因となり得る処理に係るログ情報が抽出された。しかしながら、端末制御部320が、精査処理の際に抽出されたログ情報を精査処理の通番に紐付けて端末記憶部330に記憶させておき、指定された精査処理の通番に紐付けられたログ情報を端末記憶部330から読み出すような構成が採られてもよい。
さらに、上記実施形態では、違算の原因となり得る処理(扉の開閉処理、エラー処理)に係るログ情報、即ち対象ログ情報のみを原因候補表示画面S6を用いて表示するようにした。しかしながら、対象期間(不足した紙幣の取引処理より遅い期間)内の対象ログ情報以外の非対象ログ情報も対象ログ情報とともに表示するようにしてもよい。この場合、非対象ログ情報は、グレーアウト表示などにより、対象ログ情報と区別されて表示される。また、グレーアウト表示された非対象ログ情報は選択できないがグレーアウト表示されていない対象ログ情報は選択できるようにし、選択に基づく処理が行われるようになされてもよい。
さらに、出納機1内の紙幣への接触が可能となる扉以外の開放可能部位の開放処理に係るログ情報が登録されるログテータベースを用意し、扉開ログDB333とともにこのログデータベースを検索することにより、紙幣不足の原因となり得る開放処理に係るログ情報を抽出し、表示するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、本発明の貨幣処理装置として、出納機1が例示され、本発明の貨幣処理システムとして、出納機1と管理コンピュータ2とを含む貨幣処理システム5が例示された。しかしながら、本発明は、出納機1以外の貨幣処理装置、たとえば、貨幣入出金機に適用されてもよい。また、本発明は、出納機1と管理コンピュータ2を含む貨幣処理システム5以外の貨幣処理システムに適用されてもよい。たとえば、本発明が、貨幣入出金機と管理コンピュータとを含む貨幣処理システム、貨幣入出金機と出納機(貨幣入出金機を管理する管理装置となる)とを含む貨幣処理システム、釣銭機とPOSレジスタ(釣銭機を管理する管理装置となる)とを含む貨幣処理システムに適用されてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。