以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態において、第1損券収納部160および第2損券収納部170が、特許請求の範囲に記載の「収納部」に対応する。また、装置制御部210が、特許請求の範囲に記載の「制御部」に対応する。さらに、操作表示部310が、特許請求の範囲に記載の「表示部」に対応する。有価媒体処理装置6と操作端末7とからなるシステムが、特許請求の範囲に記載の「有価媒体処理システム」に対応する。さらに、取引選択画面S3が特許請求の範囲に記載の「一覧画面」に対応し、媒体選択画面S4が特許請求の範囲に記載の「選択画面」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る、出納システム1の外観を示す正面図である。
出納システム1は、バラ紙幣処理装置2と、束紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、操作端末7とで構成される。
バラ紙幣処理装置2は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置3は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。束紙幣処理装置3は、バラ紙幣処理装置2と接続されており、バラ紙幣処理装置2から送られてきたバラ紙幣を束紙幣形成部で束紙幣に変換して外部に投出したり束紙幣収納部に収納したりする。
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨を包装硬貨形成部で包装硬貨に変換して外部に投出したり包装硬貨収納部に収納したりする。
有価媒体処理装置6は、貨幣、有価証券などの有価媒体のうち、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4および包装硬貨処理装置5で扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券、汚れや破れによってバラ紙幣処理装置2で処理できない損傷券、および、小切手や手形などの特定の有価証券の入金処理および出金処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、未使用の紙幣である新券の出金処理を行う。以下、旧券、損券および損傷券を総称する場合は「損券等」と言い、旧券、損券、損傷券および特定の有価証券を総称する場合は「特定有価媒体」と言うものとする。
操作端末7は、操作表示部310と、プリンタ320とを含む。ユーザは、操作端末7を用いて、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5および有価媒体処理装置6に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
次に、有価媒体処理装置6の詳細な構成について説明する。図2は、本実施形態に係る、有価媒体処理装置6の内部構成を示す概要図である。
有価媒体処理装置6は、筐体100内に、投入部110と、搬送部120と、読取部130と、一時保留部140と、有価証券収納部150と、第1損券収納部160と、第2損券収納部170と、新券収納部180と、投出部190とを備える。
投入部110は、筐体100の前面上部に設けられる。投入部110には、繰出機構111が設けられ、投入部110に束状態で投入された特定有価媒体が、繰出機構111によって、一枚ずつ搬送部120に繰り出される。
搬送部120は、第1搬送部121と第2搬送部122とを含む。第1搬送部121は、投入部110と、一時保留部140と、有価証券収納部150と、第1損券収納部160と、第2損券収納部170と、投出部190とを結び、投入部110に投入された特定有価媒体を、一時保留部140や有価証券収納部150、第1損券収納部160、第2損券収納部170へ搬送したり、第1損券収納部160や第2損券収納部170に収納された損券等を投出部190へ搬送したりする。第2搬送部122は、新券収納部180と投出部190とを結び、新券収納部180に収納された新券を投出部190へ搬送する。第1搬送部121と第2搬送部122は、投出部190の近傍の搬送路120aが共通する。
読取部130は、投入部110と一時保留部140の間の第1搬送部121に設けられる。読取部130は、一時保留部140へと搬送される特定有価媒体の画像を読み取り、その画像データを取得する。読取部130は、特定有価媒体の表面と裏面の双方の画像を読み取れるようになっている。
筐体100内(後面側)において、上から順に、一時保留部140、有価証券収納部150、第1損券収納部160および第2損券収納部170が配置される。
一時保留部140は、投入部110に投入された特定有価媒体を一時的に保留する。一時保留部140は、テープ巻取り方式の保留部であり、正転および逆転が可能なドラム141を有し、このドラム141に一対のテープが巻き取られる構成とされる。ドラム141が正転すると、第1搬送部121で搬送されてきた特定有価媒体が、一枚ずつ一対のテープの間に挟まれた状態で、順次、ドラム141に巻き取られる。これにより、特定有価媒体が、順次、一時保留部140に保留される。一方、ドラム141が逆転すると、巻き取られた特定有価媒体が一枚ずつ一時保留部140から第1搬送部121へ繰り出される。
有価証券収納部150は、小切手等の特定の有価証券を収納する。有価証券収納部150は、第1収納部151、第2収納部152および第3収納部153から構成される。これら収納部151、152、153は、スタッカ方式の収納部であり、第1搬送部121から送出された小切手等が上下に積み重ねられる構成とされる。たとえば、第1収納部151には、出納システム1が設置された銀行と同じ銀行における他の支店で発行された小切手等が収納され、第2収納部152には、出納システム1が設置された銀行の近辺の場所で発行された小切手等が収納され、第3収納部153には、出納システム1が設置された銀行から遠方の場所で発行された小切手等が収納される。なお、本実施形態では、各収納部151、152、153に繰出機構が設けられていないため、収納された小切手等を第1搬送部121へ繰り出すことができない。しかしながら、各収納部151、152、153に繰出機構を設けて、収納された小切手等を第1搬送部121へ繰り出せるようにしてもよい。
第1損券収納部160および第2損券収納部170は、後述する収納媒体情報DBによって、損券等を、その収納順序(取出順序)が管理された状態で収納する。以下、第1損券収納部160および第2損券収納部170を総称する場合は、損券収納部160(170)と記載する。
第1損券収納部160は、スタッカ方式の収納部であり、第1搬送部121から送出された損券等が上下に積み重ねられる構成とされる。第1損券収納部160には繰出機構が設けられており、この繰出機構によって、収納された損券等が上から順に一枚ずつ第1搬送部121へ繰り出される。
一方、第2損券収納部170は、テープ巻取り方式の収納部であり、正転および逆転が可能なドラム171を有し、このドラム171に一対のテープが巻き取られる構成とされる。ドラム171が正転すると、第1搬送部121で搬送されてきた損券等が、一枚ずつ一対のテープの間に挟まれた状態で、順次、ドラム171に巻き取られる。これにより、損券等が、順次、第2損券収納部170に収納される。一方、ドラム171が逆転すると、巻き取られた損券等が一枚ずつ第2損券収納部170から第1搬送部121へ繰り出される。
筐体100内において、一時保留部140、有価証券収納部150、第1損券収納部160および第2損券収納部170の前方に、新券収納部180が配置される。
新券収納部180は、新券を収納する。新券収納部180は、第1収納部181、第2収納部182、第3収納部183および第4収納部184から構成される。これら収納部181、182、183、184には、繰出機構181a、182a、183a、184aが設けられ、繰出機構181a、182a、183a、184aによって、収納部181、182、183、184内の新券が一枚ずつ第2搬送部122に繰り出される。たとえば、第1収納部181には、1万円の新券が収納され、第2収納部182には、1千円の新券が収納され、第3収納部183には、5千円の新券が収納される。また、第4収納部184に収納される新券については、操作者が選択できる。
第2搬送部122には、簡易識別部123が配置される。簡易識別部123は、第2搬送部122で搬送される新券の金種のみの識別を行う。
投出部190は、搬送部120に接続される。投出部190には、第1搬送部121で送られてきた損券等や第2搬送部122で送られてきた新券が積み重ねられた状態で投出される。投出部190には、羽根車191が設けられ、搬送部120で送られてきた損券等や新券は、これらが羽根車191の一対の羽根の間に挟まれた状態で羽根車191が図2における反時計回りの方向へ回転することにより、投出部190に送られる。また、投出部190には、取出し検出部192が設けられる。取出し検出部192は、たとえば、発光素子と受光素子とからなり、投出部190から損券等や新券が取り出されると発光素子から光が受光素子に到達するようになることで、損券等や新券が取り出されたことを検出する。
筐体100の前面には、投出部190の前方に、投出部190の開閉を行うシャッター101が設けられる。また、筐体100の前面には、扉102が設けられる。特定の権限を有する者が、この扉102を開けて筐体100の内部にアクセスできる。これにより、新券収納部180に新券を補充したり、新券収納部180から新券を取り出したりできる。さらには、有価証券収納部150から特定の有価証券を取り出すことができる。
図3は、本実施形態に係る、有価媒体処理装置6の主たる構成を示すブロック図である。
有価媒体処理装置6は、上述した各部110〜190の他、装置制御部210、装置記憶部220および装置通信部230を備える。
装置通信部230は、操作端末7の端末通信部(後述する)との間で無線方式あるいは有線方式による信号の送受信を行う。
装置制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、装置記憶部220に記憶されたプログラムに従って、各部110〜190を制御する。読取部130により取得された特定有価媒体の画像データは、読取部130から装置制御部210へ送られる。
装置記憶部220は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、装置制御部210の動作プログラムを記憶し、また、装置制御部210の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、装置記憶部220は、有価証券収納部150、第1損券収納部160および第2損券収納部170の収納部毎に、各収納部に収納される特定有価媒体(旧券、損券、損傷券、特定の有価証券)に係る情報(以下、「収納媒体情報」という)が記憶された収納媒体情報データベース(以下、「収納媒体情報DB」という)221を有する。装置記憶部220は、収納媒体情報DB221により、収納媒体情報とともに、各収納部に収納された特定有価媒体の収納順序(取出順序)を記憶する。
図4は、本実施形態に係る、損券収納部160(170)の収納媒体情報DB221の構成を示す図である。
損券収納部160(170)の収納媒体情報DB221には、各損券等に係る収納媒体情報が記憶される。たとえば、収納媒体情報は、図4に示されたとおり、「媒体コード」、「券種」、「入金日時」、「取引ID」、「入金者ID」、「画像データ」、「ステータス」、「取出者ID」、「取出時刻」、「戻入時刻」等を含む。収納媒体情報DB221において、収納媒体情報は、損券収納部160(170)からの取出順序を示す「順番」に対応付けられる。
「媒体コード」は、出納システム1で有価媒体が処理される際に有価媒体毎に付されるコードである。「券種」は、損券等の金種と発行時期(A〜E)を示す。「入金日時」は、一取引分の損券等の入金が確定され、一時保留部140の損券等が損券収納部160(170)へ収納されるときの日時である。同じ取引に含まれる損券等の入金日時は同じになる。「取引ID」は、一取引毎に付されるIDであり、同じ取引に含まれる損券等の取引IDは同じになる。「入金者ID」は、損券等の入金を行った者のIDであり、同じ取引に含まれる損券等の入金者IDは同じになる。「画像データ」は、読取部130から送られてきた損券等の画像データからある。「ステータス」は、損券等が損券収納部160(170)に収納された状態にあるか、損券収納部160(170)から取り出された状態にあるかを示す。「取出者ID」は、後述する損券取出し処理を行って損券収納部160(170)から損券等を取出した者のIDである。「取出時刻」は、損券収納部160(170)から損券等が取り出された時刻である。戻入時刻は、取り出された損券等が損券収納部160(170)に戻し入れられた時刻である。損券取出し処理によって取り出された損券等について、「取出者ID」、「取出時刻」および「戻入時刻」が記憶される。なお、図5には示されていないが、出納システム1の全て取引について、行われた順に付される通し番号である「通番」、取引の種別を示す「取引種別」も、収納媒体情報DB221に記憶される。
図5は、本実施形態に係る、操作端末7の主たる構成を示すブロック図である。
操作端末7は、上述した操作表示部310およびプリンタ320の他、端末制御部330、端末記憶部340、端末通信部350およびIDカードリーダ360を備える。
操作表示部310は、ディスプレイ311とタッチセンサ312とからなるタッチパネルで構成される。ディスプレイ311は、各種の画像(画面)を表示する。タッチセンサ312は、ディスプレイ311に重ねられディスプレイ311に対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ320は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5および有価媒体処理装置6に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果の情報を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
端末通信部350は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4および包装硬貨処理装置5の各装置通信部との間で無線方式あるいは有線方式による信号の送受信を行う。また、端末通信部350は、有価媒体処理装置6の装置通信部230との間で無線方式あるいは有線方式による信号の送受信を行う。IDカードリーダ360は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを端末制御部330に送る。
端末制御部330は、CPU等の演算回路を備え、端末記憶部340に記憶されたプログラムに従って、操作表示部310、プリンタ320、端末通信部350、IDカードリーダ360等を制御する。さらに、端末制御部330は、端末通信部350を通じてバラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5および有価媒体処理装置6との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら処理装置2〜6の動作を制御する。
端末記憶部340は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、端末制御部330の動作プログラムを記憶し、また、端末制御部330の制御処理の際にワーク領域として利用される。
さて、バラ紙幣処理装置2において紙幣の入金処理が行われた結果、バラ紙幣処理装置2に収納できないような損券等がバラ紙幣処理装置2から排出された場合に、有価媒体処理装置6において、排出された損券等の入金処理が行われる。
損券等の入金処理では、投入部110に投入された損券等が、読取部130で画像が読み取られた後に一時保留部140に保留される。読み取られた損券等の画像データが操作端末7に送られ、損券等の画像が操作表示部310に表示される。操作表示部310では、操作者により券種等の入金データが入力され、それが終了すると承認操作がなされる。操作端末7から、承認操作に基づく承認指令と入力データが有価媒体処理装置6に送られる。承認指令に基づいて、一時保留部140から損券等が繰り出され、損券等の分類に応じて、第1損券収納部160または第2損券収納部170に収納される。第1損券収納部160または第2損券収納部170の収納媒体情報DB221に、収納された損券等に係る収納媒体情報が記憶される。
第1損券収納部160または第2損券収納部170に収納された損券等は、操作端末7において、読み取られた画像での確認を行うことができる。しかしながら、このような画像ではなく、損券等の現物を確認したい場合も生じ得る。このような場合に、従来の有価媒体処理装置では、確認対象となる損券等が収納された損券収納部の全ての損券等を投出部に排出させ、その中から対象の損券等を探し出す必要あった。もしくは、筐体内に通じる扉を開け、対象の損券等が収納された損券収納部を探って、対象の損券等を取り出す必要があった。このような作業は、大いに面倒である上、戻し入れを誤るなどして損券収納部への損券等の収納順序が変わってしまった場合、収納媒体情報DB等によるデータ管理が不正確になってしまう虞がある。
そこで、本実施形態の有価媒体処理装置6では、入金処理等の処理に加えて、確認対象となる損券等のみを第1損券収納部160または第2損券収納部170から繰り出して投出部190に排出させ、確認後の損券等を投入部110から第1損券収納部160または第2損券収納部170に戻し入れることができる損券取出し処理を行うことができる。
図6は、本実施形態に係る、操作端末7における端末制御部330の制御動作を示すフローチャートである。図7(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る、一般メニュー画面S1および権限者用メニュー画面S2を示す図である。
端末制御部330は、IDとパスワードの入力により操作者を認証するためのログイン画面を操作表示部310(ディスプレイ311)に表示させる(S101)。
ログイン画面においてIDとパスワードの入力があると(S102:YES)、端末制御部330は、入力されたIDに基づいて、操作者が上位権限のある者であるか否かを判定する(S103)。なお、入力されたIDまたはパスワードが操作端末7に登録されていないものであれば、S103には進まず、IDとパスワードの再入力を要求するメッセージがログイン画面に表示されることとなる。
操作者が上位権限のない者である場合(S103:NO)、端末制御部330は、一般メニュー画面S1を操作表示部310に表示させる(S104)。図7(a)に示すように、一般メニュー画面S1には、バラ紙幣の入金処理や出金処理など各種の処理が割り当てられた項目ボタンB1が含まれる。なお、この一般メニュー画面S1には、損券取出し処理が割り当てられた項目ボタンB2が含まれない。
一般メニュー画面S1において項目ボタンB1の押下により何れかの項目が選択されると(S105:YES)、端末制御部330は、選択された項目の処理を実行する(S106)。たとえば、バラ紙幣の入金処理の項目ボタンB1が押された場合、バラ紙幣処理装置2に入金処理のための指令や情報が送られ、バラ紙幣処理装置2側でバラ紙幣の入金処理が行われる。処理が終了すると、端末制御部330は、一般メニュー画面S1に表示を戻す(S104)。なお、一般メニュー画面S1には、終了操作に用いる終了ボタンB3が含まれる。項目が選択される前に、終了ボタンB3が押された場合(S107:YES)、端末制御部330は、ログイン画面に表示を戻す(S101)。
操作者が上位権限のある者である場合(S103:YES)、端末制御部330は、権限者用メニュー画面S2を操作表示部310に表示させる(S108)。図7(b)に示すように、権限者用メニュー画面S2には、一般メニュー画面S1と同じ項目ボタンB1と終了ボタンB3に加え、上位権限がなければ実行できない処理が割り当てられた項目ボタンB2が含まれる。損券取出し処理は、その実行が上位権限のある者に制限される処理であり、権限者用メニュー画面S2には、損券取出し処理が割り当てられた項目ボタンB2が含まれる。他に、収納媒体情報(例えば、券種)を変更する情報変更処理も、その実行が上位権限のある者に制限される。
項目ボタンB1、B2の押下により何れかの項目が選択されると(S109:YES)、端末制御部330は、選択された項目が、損券取出し処理の項目であれば(S110:YES)、損券取出し処理を実行し(S111)、他の項目であれば(S110:NO)、選択された項目の処理を実行する(S112)。処理が終了すると、端末制御部330は、権限者用メニュー画面S2に表示を戻す(S108)。なお、項目が選択される前に、終了ボタンB3が押された場合(S113:YES)、端末制御部330は、ログイン画面に表示を戻す(S101)。
次に、損券取出し処理について、詳細に説明する。損券取出し処理は、取出し処理と取出し処理に続く戻入れ処理とで構成される。取出し処理および戻入れ処理は、端末制御部330と装置制御部210とにより実行される。
まず、図8ないし図12を参照し、取出し処理について説明する。
図8(a)は、本実施形態に係る、端末制御部330が実行する取出し処理の制御動作を示すフローチャートであり、図8(b)は、本実施形態に係る、装置制御部210が実行する取出し処理の制御動作を示すフローチャートである。図9(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る、取引選択画面S3および媒体選択画面S4を示す図である。図10は、本実施形態に係る、取出し通知画面S5を示す図である。図11(a)ないし(c)は、本実施形態に係る、取出し処理が実行されたときの有価媒体処理装置6の動作の一例について説明するための図である。図12(a)は、本実施形態に係る、取出し処理が実行される前の収納媒体情報DB221の状態を示す図であり、図12(b)は、本実施形態に係る、取出し処理が実行された後の収納媒体情報DB221の状態を示す図であり、図12(c)は、本実施形態に係る、戻入れ処理が実行された後の収納媒体情報DB221の状態を示す図である。なお、一時保留部140および第2損券収納部170は、実際には、テープ巻取り方式であるが、図11(a)ないし(c)では、収納順序が分かりやすいように、一時保留部140内および第2損券収納部170内の損券等が上下に積み重ねられる形式で描かれている。この点は、後述する図17(a)ないし(d)においても同様である。
図8(a)参照し、操作端末7において、端末制御部330は、取引選択画面S3を操作表示部310に表示させる(S201)。図9(a)に示すように、取引選択画面S3には、損券等の取引の一覧が示される取引一覧表L1が含まれる。取引一覧表L1は、情報表示欄L1aとチェック欄L1bとで構成される。情報表示欄L1aには、各取引に係る情報が表示される。取引に係る情報は、「通番」、「取引種別」、「日時」、「取引金額」、「画像枚数」等を含む。チェック欄L1bには、取引毎にチェックボックスが設けられる。取引一覧表L1は、たとえば、収納媒体情報DB221から収納媒体情報を読み出すことにより作成できる。収納媒体情報DB221に記憶された収納媒体情報と同等の情報が端末記憶部340に記憶される場合には、その情報を読み出すことによって取引一覧表L1を作成することもできる。さらに、取引選択画面S3には、全て取引の選択に用いられる全選択ボタンB4および実行操作に用いられる実行ボタンB5が含まれる。タッチ操作によってチェックボックスにチェックが入れられることにより、そのチェックボックスに対応する取引が選択される。全選択ボタンB4がタッチされると、全てのチェックボックスにチェックが入れられ、全ての取引が選択される。なお、取引一覧表L1は、操作表示部310に対するスクロール操作(上下方向へのフリック操作やスライド操作)によりスクロールさせることができる。
取引選択画面S3において、全てあるいは一部の取引が選択された後、実行ボタンB5が押されると(S202:YES)、端末制御部330は、媒体選択画面S4を操作表示部310に表示させる(S203)。図9(b)に示すように、媒体選択画面S4には、選択された取引に含まれる損券等の画像P1が含まれる。各画像P1の上方には、その画像の損券等に係る所定の情報(通番、取引種別等)が表示される。また、媒体選択画面S4には、確定ボタンB6が含まれる。操作者は、何れかの画像P1へタッチした後に確定ボタンB6を押すことにより、その画像P1の損券等を、取出対象の損券等(以下、「取出対象損券」という)として指定できる。なお、媒体選択画面S4では、1つの取出対象損券の指定のみを行うことができる。また、媒体選択画面S4では、スクロール操作により、現在表示されていない次の画像P1群を表示させることができる。
媒体選択画面S4において、取出対象損券が指定されると(S204:YES)、端末制御部330は、損券取出指令および対象損券情報を、端末通信部350を通じて有価媒体処理装置6へ送信する(S205)。対象損券情報は、有価媒体処理装置6側で取出対象損券を特定するための特定情報であり、たとえば、媒体コードが対象損券情報とされ得る。
図8(b)を参照して、有価媒体処理装置6において、装置制御部210は、装置通信部230を通じて損券取出指令を受けると(S301:YES)、対象損券情報を取得する(S302)。装置制御部210は、収納媒体情報DB221を参照し、取得した対象損券情報から、取出対象損券の収納場所および位置、即ち、取出対象損券が、何れの損券収納部160(170)にあり、その順番が何番であるかを特定する(S303)。
収納場所と位置が特定されると、装置制御部210は、損券収納部160(170)および第1搬送部121を制御することにより、取出対象損券よりも手前側、即ち、取り出される順番が取出対象損券よりも早い損券等を、損券収納部160(170)から繰り出して一時保留部140に搬送する(S304)。その後、装置制御部210は、損券収納部160(170)および第1搬送部121を制御することにより、取出対象損券を、損券収納部160(170)から繰り出して投出部190に搬送する(S305)。こうして、取出対象損券のみが投出部190に投出される。
たとえば、図11(a)のように、第2損券収納部170における、取り出される順番が2番目の損券等(図では上から2番目の損券等)が対象損券として指定された場合、まず、図11(b)のように、取出対象損券の手前側にある、取り出される順番が1番目の損券等(図では上から1番目の損券等)が第2損券収納部170から繰り出されて一時保留部140に退避される。続いて、図11(c)のように、取出対象損券が第2損券収納部170から繰り出されて投出部190に投出される。
取出対象損券が投出部190に投出されると、装置制御部210は、装置通信部230を通じて取出対象損券の取り出しが完了したことを操作端末7に通知する(S306)。そして、装置制御部210は、損券収納部160(170)の収納媒体情報DB221の収納媒体情報を更新する(S307)。具体的には、取出対象損券の取出し前には、図12(a)のように、「ステータス」が「収納」の状態であり、「取出者ID」と「取出時刻」は登録されていなかったが、取出対象損券の取出し後は、図12(b)のように、「ステータス」が「取出」の状態に変更され、「取出者ID」と「取出時刻」が登録される。
収納媒体情報DB221の収納媒体情報が更新されると、装置制御部210は、有価媒体処理装置6側の取出し処理を終了させる。
図8(a)に戻り、操作端末7において、有価媒体処理装置6側から取出し完了の通知を受け取ると(S206:YES)、端末制御部330は、取出し通知画面S5を操作表示部310に表示させる(S207)。図10に示すように、取出し通知画面S5には、取出対象損券の投出場所を示す画像P2と、対象損券の取り出しを促すメッセージM1が含まれる。
投出部190から取出対象損券が取り出され、これが取出し検出部192により検出されると(S208:YES)、端末制御部330は、操作端末7側の取出し処理を終了させる。
操作者は、取り出された損券等を確認し、登録情報の変更(修正)が必要であれば、権限者メニュー画面から情報変更処理を選択して実行する。変更の必要が無ければ、確認だけで終了する。
続いて、戻入れ処理が実行される。図13ないし図17を参照し、取出し処理について説明する。
図13は、本実施形態に係る、端末制御部330が実行する戻入れ処理の制御動作を示すフローチャートである。図14は、本実施形態に係る、装置制御部210が実行する戻入れ処理の制御動作を示すフローチャートである。図15(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る、戻入れ通知画面S6および画像再読取画面S7を示す図である。図16(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る、終了画面S8および返却通知画面S9を示す図である。図17(a)ないし(d)は、本実施形態に係る、戻入れ処理が実行されたときの有価媒体処理装置6の動作の一例について説明するための図である。
図13を参照し、操作端末7において、端末制御部330は、戻入れ通知画面S6を操作表示部310に表示させる(S211)。図15(a)に示すように、戻入れ通知画面S6には、戻し入れの対象となる損券等(以下、「戻入対象損券」という)の投入場所を示すが画像P3と、戻入対象損券の戻し入れを促すメッセージM2と、実行操作に用いられる実行ボタンB7が含まれる。
操作者は、取り出した取出対象損券の確認が終了すると、その取出対象損券を有価媒体処理装置6に戻し入れるため、戻入対象損券として投入部110に投入し、実行ボタンB7を押す。実行ボタンB7が押されると(S212:YES)、端末制御部330は、損券読取指令を、端末通信部350を通じて有価媒体処理装置6へ送信する(S213)。
図14を参照し、有価媒体処理装置6において、装置制御部210は、装置通信部230を通じて損券読取指令を受けると(S311:YES)、投入部110(繰出機構111)および第1搬送部121を制御することにより、戻入対象損券を一時保留部140に搬送する。その搬送途中において、装置制御部210は、読取部130を作動させ、戻入対象損券の画像を読み取らせる(S312)。そして、装置制御部210は、読み取った画像の画像データを、装置通信部230を通じて操作端末7へ送信する(S314)。
図13に戻り、操作端末7において、端末制御部330は、戻入対象損券の画像データを受け取ると(S214:YES)、画像再読取画面S7を操作表示部310に表示させる(S215)。図15(b)に示すように、画像再読取画面には、戻入対象損券の表面の画像P4および裏面の画像P5と、実行操作に用いられる実行ボタンB8と、中止操作に用いられる中止ボタンB9が含まれる。
操作者は、戻入対象損券の画像P4、P5を確認した後、問題がなければ、実行ボタンB8を押す。実行ボタンB8が押されると(S216:YES)、端末制御部330は、損券戻入指令を、端末通信部350を通じて有価媒体処理装置6へ送信する(S217)。
図14に戻り、有価媒体処理装置6において、装置制御部210は、装置通信部230を通じて損券戻入指令を受けると(S315:YES)、新旧の2つの画像データ、即ちS313で取得した戻入対象損券の画像データと収納媒体情報DB221に記憶された取出対象損券の画像データとを照合する(S316)。装置制御部210は、新旧の画像データの照合結果から、戻入対象損券が取出象損券と同じであるか否かを判定する(S317)。装置制御部210は、新旧の画像データの適合度が所定の度合(たとえば、90%)を超える場合に、戻入対象損券が取出象損券と同じであるとみなす。
装置制御部210は、戻入対象損券が取出象損券と同じであると判定した場合(S317:YES)、一時保留部140および第1搬送部121を制御することにより、一時保留部140に保留された戻入対象損券と、取出し処理において一時保留部140に退避された損券等とを、これらが取り出された損券収納部160(170)へ搬送する(S318)。損券収納部160(170)では、戻入対象損券、退避された損券の順に収納が行われ、これにより、戻入対象損券と退避された損券等とが元(取出し前)の収納位置に収納される。
一方、装置制御部210は、戻入対象損券が取出象損券と同じでないと判定した場合(S317:YES)、一時保留部140および第1搬送部121を制御することにより、一時保留部140に保留された戻入対象損券を投出部190へ搬送する(S319)。
たとえば、図11(a)ないし(c)の例につづき、図17(a)のように、取出対象損券の手前側にあった損券等が一時保留部140に退避された状態において、戻入対象損券が投入部110に投入された場合、まず、図17(b)のように、一時保留部140における、退避された損券等の手前側に戻入対象損券が保留される。次に、戻入対象損券が取出対象損券と同じであると判断された場合、図17(c)のように、戻入対象損券、退避された損券等の順に、これらが一時保留部140から繰り出され、同じ順に第2損券収納部170に収納される。一方、戻入対象損券が取出対象損券と同じでないと判断された場合、図17(d)のように、戻入対象損券のみが一時保留部140から繰り出され、投出部190に返却される。なお、図15(b)に示す画像再読取画面S7において中止ボタンB9が押されたときも、戻入対象損券が投出部190に返却される。
戻入対象損券と退避された損券等とが第2損券収納部170に収納されると、装置制御部210は、装置通信部230を通じて戻入対象損券の戻入れが完了したことを操作端末7に通知する(S320)。そして、装置制御部210は、損券収納部160(170)の収納媒体情報DB221の収納媒体情報を更新する(S321)。具体的には、戻入れ後は、図12(c)のように、「ステータス」が「取出」から「収納」の状態に変更され、「戻入時刻」が登録される。また、新しい画像データが収納媒体情報DB221(装置記憶部220)に登録される。このとき、新しい画像データが旧い画像データに置き換えられてもよいし、旧い画像データが残されてもよい。
一方、戻入対象損券が投出部190に返却されると、装置制御部210は、装置通信部230を通じて戻入対象損券の返却が完了したことを操作端末7に通知する(S322)。そして、装置制御部210は、再び、操作端末7からの損券読取指令を待つ(S311)。
再び図13に戻り、操作端末7において、有価媒体処理装置6側から戻入れ完了の通知を受け取ると(S218:YES)、端末制御部330は、終了画面S8を操作表示部310に表示させる(S219)。図16(a)に示すように、終了画面S8には、取出対象損券(戻入対象損券)に係る各種の情報の他、終了操作に用いられる終了ボタンB10が含まれる。終了ボタンB10が押されると(S220:YES)、端末制御部330は、終了画面S8に含まれた内容の情報をプリンタ320に出力させる(S221)。そして、端末制御部330は、操作端末7側の戻入れ処理を終了させる。
一方、有価媒体処理装置6側から返却完了の通知を受け取ると(S222:YES)、端末制御部330は、返却通知画面S9を操作表示部310に表示させる(S223)。図16(b)に示すように、返却通知画面S9には、戻入対象損券の返却場所を示す画像P6と、戻入対象損券の確認と戻し入れを促すメッセージM3が含まれる。投出部190から戻入対象損券が取り出され、これが取出し検出部192により検出されると(S224:YES)、端末制御部330は、再び、戻し入れ通知画面S6を操作表示部310に表示させる(S211)。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
(1)損券取出し処理を実行することにより、操作者は、損券収納部160(170)から所望の損券等のみを容易に取り出すことができる。また、損券収納部160(170)内の他の損券等が操作者に触れられないので、収納媒体情報DB221等によるデータ管理に狂いが生じにくい。
(2)操作者は、取引選択画面S3において所望の取引を選択でき、選択した取引の中から取出対象損券を選び出すことができるので、取出対象損券の選出を円滑に行うことができる。
(3)有価媒体処理装置6への戻入れの際に、戻入対象損券が取出対象損券と同じであるかチェックされ、同じと判断された戻入対象損券が元の損券収納部160(170)に戻されるので、誤った損券等が戻し入れられるのを防止でき、有価媒体処理装置6内の在高の適正な管理を維持できる。
(4)有価媒体処理装置6への戻入れの際に読み取られた戻入対象損券の画像データが装置記憶部220に記憶されるので、操作者は、必要に応じて、戻し入れられた損券等の新たな画像を確認することが可能となる。
(5)一定の権限を有する操作者のみが損券取出し処理を行うことができるので、操作ミス等による不具合の発生を抑えられ、損券取出し処理の適正な運用が図られやすい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
<変更例1>
上記実施形態では、戻し入れ処理において、新旧の画像データの照合により、戻入対象損券が取出対象損券と異なると判定された場合、一時保留部140に保留された戻入対象損券が返却される。
しかしながら、戻入対象損券が取出対象損券と同じものであっても、両者が異なっていると判断される場合もある。たとえば、一方の画像読み取り時に、損券等の一部が折れ曲がった状態にあったり損券等が傾いた状態にあったりした場合や、破れた部分をテープで張るなど、戻し入れる前に損券等が補修された場合などが考えられ得る。
そこで、本変更例では、戻入対象損券が取出対象損券と異なると判断された場合であっても、操作者によって、戻入れを承認する操作がなされた場合には、一時保留部140に保留された戻入対象損券が、元の損券収納部160(170)へ戻し入れられるようにされる。
図18は、変更例1に係る、装置制御部210が実行する戻入れ処理の制御動作を示すフローチャートである。図19は、変更例1に係る、端末制御部330が実行する戻入れ処理の制御動作を示すフローチャートである。図18に示す戻入れ処理では、図14に示す戻入れ処理と比較した場合に、S330ないしS332の処理が付加される。図19に示す戻入れ処理では、図13に示す戻入れ処理と比較した場合に、S230ないしS236の処理が付加される。なお、図18および図19のフローチャートでは、付加された処理を含む一部の処理のみが示されている。
図18を参照し、有価媒体処理装置6において、装置制御部210は、戻入対象損券が取出対象損券と異なると判定した場合(S218:NO)、両者が異なる旨の通知を、装置通信部230を通じて操作端末7に通知する(S330)。そして、装置制御部210は、操作端末7からの承認指令または不承認指令を待つ(S331、S332)。
図19を参照し、操作端末7において、端末制御部330は、戻入れ完了の通知を監視する他(S218)、両者が異なる旨の通知を監視する(S230)。有価媒体処理装置6側から両者が異なる旨の通知を受け取ると(S230:YES)、端末制御部330は、収納承認画面S10を操作表示部310に表示させる(S231)。
図20は、変更例1に係る、収納承認画面S10を示す図である。収納承認画面S10には、収納の可否を問い合わせるメッセージM4、承認操作に用いられる承認ボタンB11、および不承認操作に用いられる不承認ボタンB12が含まれる。操作者は、戻入れを承認する場合に承認ボタンB11を押し、戻入れを承認しない場合に不承認ボタンB12を押す。このとき、新旧の画像を並べて表示することで、戻入れを行うか否かの判断材料を提供するようにしてもよい。さらには、画像データが一致しない部分を示す表示を付加してもよい。
承認ボタンB11が押されると(S232:YES)、端末制御部330は、承認指令を、端末通信部350を通じて有価媒体処理装置6へ送信する(S233)。その後、有価媒体処理装置6側から戻入れ完了の通知を受け取ると(S234:YES)、端末制御部330は、終了画面S8を操作表示部310に表示させる(S220)。
一方、不承認ボタンB12が押されると(S235:YES)、端末制御部330は、不承認指令を、端末通信部350を通じて有価媒体処理装置6へ送信する(S236)。その後、有価媒体処理装置6側から返却完了の通知を受け取ると(S222:YES)、端末制御部330は、返却通知画面S9を操作表示部310に表示させる(S223)。
図18に戻り、有価媒体処理装置6において、操作端末7から承認指令があると(S331:YES)、装置制御部210は、一時保留部140および第1搬送部121を制御することにより、一時保留部140に保留された戻入対象損券と、取出し処理において一時保留部140に退避された損券等とを、これらが取り出された損券収納部160(170)へ搬送する(S318)。一方、操作端末7から不承認指令があると(S332:YES)、装置制御部210は、一時保留部140および第1搬送部121を制御することにより、一時保留部140に保留された戻入対象損券を投出部190へ搬送する(S319)。
本変更例によれば、補修等が原因で画像データの照合結果では取出対象損券とは異なると判断された取出対象損券と同じ戻入対象損券を、元の損券収納部160(170)に戻し入れることができる。
<変更例2>
有価媒体処理装置6では、有価媒体の種類や処理状態によって、投出部190に払い出された有価媒体の取り扱いが異なってくる。このため、操作者が不慣れなものであったり、処理の途中で他の操作者に操作が引き継がれたりした場合に、誤った有価媒体の取り扱いがなされることが懸念される。
そこで、本変更例では、有価媒体処理装置6の投出部190に、レシートプリンタ195が設けられる。レシートプリンタ195は、フルカット機能を有し、有価媒体(旧券、損券、損傷券、特定の有価証券、新券)の取り扱いに係る情報(以下、「取り扱い情報」という)を印字したレシート196を出力し、投出部190に払い出された有価媒体の束の上に添える。投出部190には、取り扱いが同じとなる複数の有価媒体が束となって一度に払い出される場合が多く、この場合、束の一番上の有価媒体の上にレシート196が添えられる。
図21は、変更例2に係る、有価媒体処理装置6の投出部190の周辺の構成を示す概要図である。
レシートプリンタ195は、ハウジング195a内に、ロール状のレシート196と、レシート196を送り出す送り部197と、レシート196に印字を行う印字部198と、印字されたレシート196を切断するカッター部199とを備える。ハウジング195aには、レシート196の排出口195bが、投出部190に払い出された有価媒体の上方であって有価媒体とほぼ平行な方向に向かってレシート196が排出されるような向きに形成される。レシートプリンタ195は、装置制御部210によって制御される。
図22(a)ないし(c)は、変更例2に係る、投出部190に払い出された有価媒体に、レシートプリンタ195によってレシート196が添えられる様子を示す図である。
たとえば、取り扱いが同じ有価媒体の束(束でなく1枚の場合もあり)が投出部190に払い出されると、装置制御部210は、レシートプリンタ195に、それら有価媒体の取り扱い情報が印字されたレシート196を出力させる。図22(a)に示すように、レシート196は、有価媒体の束の上に向かって出力される。レシート196が、その出力方向の有価媒体の長さと同程度(あるいは、やや長い程度)の長さになるまで出力されると、装置制御部210は、レシートプリンタ195に、レシート196を切断させる。図22(b)に示すように、切断されたレシート196が有価媒体の束の上に添えられる。引き続いて、投出部190に、先の有価媒体の束と異なる取り扱いの有価媒体の束が払い出される場合は、図22(c)に示すように、先の有価媒体の束に添えられたレシート196の上に、次の有価媒体の束が載せられる。その有価媒体の束の取り扱い情報が印字されたレシート196がレシートプリンタ195から出力されて、その有価媒体の束の上に添えられる。先に添えられたレシート196は、先の有価媒体の束と次の有価媒体の束とを仕切る役割も果たすため、先の有価媒体の束と次の有価媒体の束との区別がつきやすい。
図23(a)ないし(c)は、変更例2に係る、有価媒体に添えられるレシート196の例を示す図である。
損券や小切手などの有価媒体の入金時、投入された有価媒体のうち、有価媒体処理装置6に収納できない有価媒体は、投出部190に返却される。これら有価媒体には、枚数の計数等が行われず、これら有価媒体の取り扱いは、「未計数扱い」となる。また、有価媒体処理装置6に収納できる有価媒体は、枚数の計数等が行われた後に、一時保留部140に保留され、その後、有価証券収納部150等の収納部に収納される。この収納部への有価媒体の移動の際にジャム等のエラーが生じた場合には、第1搬送部121に残った有価媒体が投出部190に返却される。これら有価媒体の取り扱いは、「収納済み扱い」となる。この例の場合、「未計数扱い」の有価媒体の束が、先に投出部190に払い出され、その後に、「収納済み扱い」の有価媒体の束が投出部190に払い出される。図23(a)に示すように、「未計数扱い」の有価媒体の束には、「未計数扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196aが添えられ、「収納済み扱い」の有価媒体の束には、「収納済み扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196bが添えられる。
また、損券等の回収時、第1損券収納部160や第2損券収納部170から回収された損券等が投出部190に払い出される。これら損券等の取り扱いは、「回収済み扱い」となる。また、回収の際に正常に払い出されなかった損券等は、一時保留部140に一旦保留された後、第1損券収納部160や第2損券収納部170に戻される。損券等が戻される過程においてジャム等のエラーが生じた場合、第1搬送部121に残った損券等が投出部190に返却される。これら損券等の取り扱いは、「未回収扱い」となる。この例の場合、「回収済み扱い」の損券等の束が、先に投出部190に払い出され、その後に、「未回収扱い」の損券等の束が、投出部190に払い出される。図23(b)に示すように、「回収済み扱い」の損券等の束には、「回収済み扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196cが添えられ、「未回収扱い」の損券等の束には、「未回収扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196dが添えられる。
さらに、新券の出金時、新券収納部180から繰り出された新券が投出部190に払い出される。これら新券の取り扱いは、「出金済み扱い」となる。また、出金の際に正常に払い出されなかった新券は、一時保留部140に一旦保留された後、新券収納部180に戻される。新券が戻される過程においてジャム等のエラーが生じた場合、第1搬送部121や第2搬送部122に残った新券が投出部190に返却される。これら新券の取り扱いは、「機内扱い」となる。この例の場合、「出金済み扱い」の新券の束が、先に投出部190に払い出され、その後に、「機内扱い」の新券の束が、投出部190に払い出される。図23(c)に示すように、「出金済み扱い」の新券の束には、「出金済み扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196eが添えられ、「機内扱い」の新券の束には、「機内扱い」の取り扱い情報が印字されたレシート196fが添えられる。
図23(a)ないし(c)に示すように、レシート196a〜196fには、取り扱い情報とともに、金種、枚数等の有価媒体に係る明細情報が印字される。よってレシート196a〜196fは、取扱説明兼明細書となる。
本変更例によれば、操作者が、投出部190に払い出された有価媒体の取り扱いを迷ったり、誤ったりしにくくなる。
<その他の変更例>
上記実施形態では、取出対象損券よりも手前側の損券が一時保留部140に退避された。しかしながら、これに限らず、手前側の損券が、有価証券収納部150や新券収納部180に退避される構成が採られてもよい。その際、有価証券収納部150には繰出機構が設けられる必要がある。この場合、有価証券収納部150や新券収納部180が特許請求の範囲の「他の収納部」に対応することとなる。また、第1損券収納部160および第2損券収納部170の双方ではなく、何れか一方の損券等の取出しのみが行えるような構成が採られてもよい。
また、上記実施形態では、第1損券収納部160や第2損券収納部170に収納された損券等の中から所望の損券等を取り出すために、損券取出し処理が実行された。しかしながら、有価媒体処理装置6において、損券取出し処理に替えて、あるいは加えて、損券取出し処理と同じ処理が、有価証券収納部150から所望の有価証券を取り出すために実行されてもよい。
さらに、上記実施形態では、損券取出し処理の実行が、通常の操作者よりも上位権限を有する者に制限された。しかしながら、この他の制限方法として、収納媒体情報DB221の入金者IDを利用することで、操作者が、自身が入金した損券等のみを取出対象損券として指定できる構成が採られてもよい。この場合、このような制限は、上位権限を有する者には課されないことが望ましい。
さらに、上記実施形態において、取出対象損券が取り出されてから戻入対象損券が投入されるまでの間に、有価媒体処理装置6以外の処理装置2〜5での処理を割り込ませることが可能とされてもよい。この場合、他の処理装置2〜5での処理のために操作端末7の操作表示部310に表示される画面に、取出対象損券が取り出された状態にあることを通知するアイコンを含める構成とすることができる。このアイコンは、戻入れ処理が完了すると消去される。また、アイコンをタッチすると、取出対象損券に係る情報(たとえば、取出対象損券の画像)が操作表示部310に表示されてもよい。また、アイコンをタッチすると、当該戻入対象損券の戻入れ通知画面にスキップされるようにしてもよい。さらに、取出対象損券が取り出されてからの期間の長さに応じて、アイコンの表示形態が変化してもよいし、警告情報が新たに表示されてもよいし、通知の方法が変えられてもよい。通知の方法を変える態様として、操作端末7以外の場所(たとえば、取出し処理を行った操作者や上位権限者が所有する携帯電話機やパーソナルコンピュータ)に通知がなされてもよい。
さらに、上記実施形態では、取り出された損券等が必ず戻し入れられることを前提しており、損券取出し処理が実行される場合、取出し処理が行われた後に戻入れ処理が実行される。しかしながら、有価媒体処理装置6が、取出し処理のみを行い、戻し入れ処理を行わない損券取出し処理を行うことができるような構成とされてもよい。この場合、権限者用メニュー画面S2に損券取出しのみに対応する項目ボタンB2が配される。この場合の取出し処理では、取出対象損券が投出部190に払い出された後、一時保留部140に退避された損券等が損券収納部160(170)に戻される。そして、収納媒体情報DB221の取出対象損券に係る情報が削除され、取出対象損券より大きな順番の損券等において「順番」の欄が一つ小さな番号に書き換えられる。このように、損券等の取出しを行う前に取出し処理のみからなる損券取出し処理を選択するのではなく、最初は通常の損券取出し処理が選択された場合であっても、取出し処理が終わった時点で、戻し入れを行わない選択が行えるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態において、所定期間内(1週間、1ヶ月等)に取り出された損券等のリスト、すなわち損券等の取出し履歴を操作表示部310に表示させたり、プリンタ320に出力させたりできてもよい。
さらに、上記実施形態において、入金日時、入金者ID、券種等を指定して検索を行うことにより、その検索条件に合致する損券等が操作表示部310にリストアップされ、その中から取出対象損券を指定できるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態において、戻入れ処理において、戻入対象損券が取出対象損券と異なる場合に、異なる要因(券種が異なる等)を操作表示部310に表示するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、操作端末7の操作表示部310において、損券取出し処理の実行操作と取出対象損券の指定操作が行われる。しかしながら、有価媒体処理装置6に操作表示部が設けられる場合には、この操作表示部において、損券取出し処理の実行操作と取出対象損券の指定操作が行われもよい。
さらに、上記実施形態では、収納媒体情報DB221が有価媒体処理装置6の装置記憶部220に備えられる。しかしながら、収納媒体情報DB221が操作端末7の端末記憶部340に備えられてもよい。
さらに、上記実施形態の有価媒体処理装置6では、新券の出金処理が行える。しかしながら、必ずしも、有価媒体処理装置6に新券の出金処理を行う機能が設けられなくてもよい。この場合、バラ紙幣処理装置2または束紙幣処理装置3に新券の出金処理を行う機能が設けられるとよい。
さらに、上記実施形態では、取出対象損券として指定される損券等は1枚であった。しかしながら、取出対象損券として複数枚の損券等を指定できるようにしてもよい。たとえば、取出し順番が3番目から6番目の3枚の損券等が取出対象損券として指定された場合、1番目と2番目の損券等が一時保留部140へ退避された後、3番目から6番目の損券等が投出部190に投出される。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。