JP2021125120A - 貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラム - Google Patents

貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より多様な不整合の状況に対してその原因を推測することが可能な貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラムを提供する。
【解決手段】貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理装置と、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得部と、前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測部と、複数の前記原因の候補を表示可能な表示部と、を備える貨幣処理システムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラムに関する。
貨幣処理装置を含む貨幣処理システムは、銀行等の金融機関で構築され、各種の業務及び管理を行っている。通常、所定の期間毎に、システムで管理しているデータ上の通貨情報が、実際の現金通貨の状況と整合しているか否か精査される。ここでは、両者の総額の一致不一致のみならず、金種や札束の数、紙幣が新券か損券か否か、紙幣がバラ紙幣か否か、収納されている場所等についても確認される。そして、この精査時等において、データ上の通貨情報と現金通貨の状況との間に不整合の状況が発生し得る。
不整合の状況が発覚すると重大な現金事故を引き起こしている可能性が高く、早急に原因を突き止め復旧作業を行う必要がある。不整合の原因は、装置の異常だけではなく、操作者、例えば銀行員の操作ミス等、取引履歴やエラーログ等の所謂ログ情報を一見してもわからないことが多い。また、原因の候補はいくつも考えられる場合があり、その場合、どの原因の候補から調査していくべきかの判断が困難である。
不整合の原因追及を迅速化するための手法に関して、例えば、特許文献1には、装置のログ情報に含まれる入出金に係る金額情報と、その金額情報の累計と実際の現金との間の差額情報と、に基づいて、誤入力された可能性のある取引の候補を特定する装置が開示されている。また、特許文献2には、予め設定された条件により入手金に関するログデータの異常を判定し、異常であると判定された場合に、そのログデータを通常のログ蓄積部とは異なる異常ログ蓄積部に記憶する装置が開示されている。
特開2000−132613号公報 特許3495838号公報
データ上の通貨情報と現金通貨の状況との間における不整合は、ログ情報には含まれない、操作者、例えば銀行員の操作ミスや現金取扱間違い等によっても発生し得るが、特許文献1及び2記載の装置では、このようなログ情報からは特定又は推測できない不整合の状況に対応することができない。ログ情報からは特定又は推測できない不整合が発生する原因としては、例えば、貨幣処理装置でジャム等のエラーが発生した場合に取り出した現金の扱いを間違った場合や、貨幣処理装置内で現金が飛散した場合、貨幣処理装置の繰り出し不良による残置による数え間違い、帯封紙幣であるはずの紙幣がバラ紙幣である場合等、様々なものがある。また、貨幣処理装置外においても、手管理の現金の数え間違い等も不整合の原因となる。更に、特許文献1及び2記載の装置では、予め設定された所定の条件に従って異常なログを特定するものであり、不整合の原因を推測するものではない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、より多様な不整合の状況に対してその原因を推測することが可能な貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラムを提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、貨幣処理システムであって、貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理装置と、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得部と、前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測部と、複数の前記原因の候補を表示可能な表示部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記推測部は、前記不整合情報に基づいて、複数の前記原因の候補のそれぞれの発生確率を更に推測し、前記表示部は、前記発生確率を更に表示し得ることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記推測部による推測の結果、保守員が対応する必要があり、かつ、その発生確率が所定の確率を超える原因の候補が存在する場合、前記表示部は、所定の態様で報知情報を表示することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣処理システムは、前記貨幣処理装置における各処理の内容を特定するログ情報に基づいて、複数の前記原因の候補に対応する処理をそれぞれ抽出する抽出部を更に備え、1以上の原因の候補について前記抽出部により対応する処理が抽出された場合、前記表示部は、原因の候補を、当該原因の候補に対応する処理の内容とともに表示することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記表示部は、前記抽出部により対応する処理が抽出されなかった原因の候補を表示しないことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記推測部は、過去に発生した不整合の状況と、その原因とを教師データとして機械学習された推論モデルを用いて、複数の前記原因の候補を推測することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記取得部は、前記不整合情報として、不整合を発見したタイミングと、不整合が前記貨幣処理装置の監視により発覚したか否かと、不整合のバラ紙幣の枚数と、不整合の金額と、不整合の帯封紙幣の束数と、不整合のバラ硬貨の枚数と、不整合の発生箇所が前記貨幣処理装置内若しくは手許のいずれか、又は両者であることを示す情報と、違算の内容と、貨幣のバラと束の入り繰りが発生したか否かと、新券紙幣の有無と、損券、損貨及び/又は記念貨の有無と、データのみが異常であるか否かと、前記貨幣処理装置の種類と、前記貨幣処理装置内で不整合が発見された箇所と、不整合の包装硬貨の本数とのうち、少なくとも一種の情報を取得することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記取得部は、前記不整合情報として、不整合を発見したタイミングと、不整合が前記貨幣処理装置の監視により発覚したか否かと、不整合のバラ紙幣の枚数と、不整合の金額と、不整合の帯封紙幣の束数と、不整合のバラ硬貨の枚数と、不整合の発生箇所が前記貨幣処理装置内若しくは手許のいずれか、又は両者であることを示す情報と、違算の内容とのうち、少なくとも一種の情報を取得することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、複数の前記原因の候補は、前記貨幣処理装置に係る不良と、エラー現金の取り扱いミスと、リジェクト現金の取り扱いミスと、精査又は全回収の操作ミスと、通常の操作ミスと、現金の確認ミスと、前記表示部に表示された指示の無視とのうち、少なくとも2つの項目の中から推測されることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理装置であって、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得部と、前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測部と、複数の前記原因の候補を表示可能な表示部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理方法であって、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得ステップと、前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理プログラムであって、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得処理と、前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測処理と、を貨幣処理装置に実行させることを特徴とする。
本発明の貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラムによれば、より多様な不整合の状況に対してその原因を推測することができる。
実施形態1における貨幣処理システムの概要を説明するための模式図である。 実施形態1に係る貨幣処理システムの全体構成を説明する斜視模式図である。 実施形態1に係る貨幣処理装置の斜視模式図である。 実施形態1に係る貨幣処理装置の構成を説明するブロック図である。 実施形態1において、推測部によって推測される原因の候補(大項目)を説明するための図である。 実施形態1において、推測部によって推測される原因の候補(小項目)を説明するための図であり、大項目が機械不良である場合の小項目を示す。 実施形態1に係る貨幣処理装置のターミナル部に表示される操作画面の一例を示す模式図であり、不整合の状況の入力から復旧手段の表示までを行う画面である。 図7の操作画面中の不整合状況入力領域の一例を示す模式図であり、操作者が不整合の状況を入力するための画面領域を示す。 図7の操作画面中の原因推測領域の一例を示す模式図であり、推測部によって推測された原因の候補等を表示する画面領域を示す。 実施形態1に係る評価試験1において入力された各項目の重みを示すグラフである。
以下、本発明に係る貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及び貨幣処理プログラムの好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、貨幣又は通貨とは、硬貨と、紙幣等の紙葉類とを包含するものを意味する。また、本発明の対象となる紙葉類としては、紙幣(銀行券)、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能である
<本実施形態の概要>
まず、図1を用いて、実施形態1における貨幣処理システムの概要について説明する。図1に示しように、本実施形態では、不整合の状況を実際に復旧した過去の実績を教師データとして機械学習し、発生している不整合の状況に基づいて、その原因が何であるかを推測する推論モデルを作成する。そして、その推論モデルを貨幣処理装置100に組み込み、不整合の状況を入力することで、その原因の候補を推測する。これにより、装置異常ではなく操作ミス等を含む不整合の原因の推測が可能になる。すなわち、より多様な不整合の状況に対してその原因を推測することが可能になる。また、銀行員等の操作者がその場で不整合の原因を推測できるため、原因特定と復旧作業の時間を削減することができる。更に、銀行等の現地からの復旧支援依頼を削減できるため、保守員の対応工数を削減することができる。
また、本実施形態では、不整合の原因の候補を複数推測し、表示部に表示する。これにより、全ての原因の候補となる可能性を一度に確認することができるため、各原因の候補と、その日の作業記憶とを照らし合わせて、効率よく原因究明を進めることができる。
また、本実施形態では、推測された複数の原因の発生確率を表示する。これにより、優先順位をつけて原因の特定作業ができるため、より効率よく原因究明を進めることができる。
更に、本実施形態では、推測された原因の候補とともに、それに関連する貨幣処理装置100のログ情報を合わせて原因の特定を行う。これにより、原因の候補に対応する取引等の処理を操作者が認識できるため、原因の特定精度を更に向上することができる。
なお、教師データの入力と推測結果との相関の具体例には、例えば以下のような特徴が存在する。
(I)帯封紙幣として100枚(1束)あるべきものがバラ紙幣として100枚あり、機内で入り繰りが発生している状態では、帯封紙幣の搬送中にエラーが発生し、帯封紙幣で機内に戻すべきところをバラ紙幣の状態で機内に戻していることが多い。
(II)精査にて、硬貨の各金種がそれぞれ数枚ずつ多く計数され、現金がデータより多い状態では、精査における計数処理において、一度計数された硬貨を再計数してしまい、その分二重計数となっていることが多い。
(III)精査にて、硬貨が1枚足りず、現金がデータより少ない状態では、硬貨搬送中のエラーが発生し、機内から取り出す必要のある硬貨を見落として機内に残ったままになっていることが多い。
機械学習の結果から上記のような特徴が得られる。
また、後述するように、実際に機械学習して生成した推論モデルを用いた評価試験を行ったところ、不整合の状況とその原因との間に相関関係が存在することが確認できた。
<貨幣処理システムの全体構成>
次に、図2を用いて、実施形態1に係る貨幣処理システムの全体構成について説明する。図2に示すように、この貨幣処理システム1は、例えば銀行等の金融機関の営業店舗を対象にして構築されるものであり、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する出納機である貨幣処理装置100と、貨幣処理装置100と通信可能に接続され、貨幣を所望の金種に両替する両替機200と、貨幣処理装置100と通信可能に接続され、金融機関の窓口にて入金処理及び出金処理を行う窓口キャッシャ300と、を備えている。
貨幣処理装置100、両替機200及び窓口キャッシャ300は、それぞれ、システムで管理しているデータ上の通貨情報が、機内で保管している実際の貨幣の状況と整合しているか否かを自動的に精査する自動精査の機能を備えている。
<貨幣処理装置の構成>
次に、図3及び4を用いて、貨幣処理装置100の構成について説明する。図3及び4に示すように、貨幣処理装置100は、バラ紙幣処理部11及び帯封紙幣処理部12を有する紙幣処理ユニット10と、バラ硬貨処理部31及び包装硬貨処理部32を有する硬貨処理ユニット30と、損貨・記念貨処理ユニット50と、有価媒体処理ユニット60と、貨幣保管ユニット70と、これらの各処理ユニット及び各処理部を統合制御する制御部80とを含んで構成されている。
バラ紙幣処理部11は、入金口に投入されたバラ紙幣を、ユニット内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ紙幣を、出金口に払い出す出金処理を行う。
帯封紙幣処理部12は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣を一つに束ねた帯封紙幣を作成し、かつ帯封紙幣をユニット内に収納するとともに、指定された金種及び束数の帯封紙幣を、ユニット外に出金する処理を行う。
バラ硬貨処理部31は、入金口に投入されたバラ硬貨を、ユニット内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ硬貨を、出金口に払い出す出金処理を行う。
包装硬貨処理部32は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨を円筒形状に包装した包装硬貨を自動的に作成し、かつ包装硬貨をユニット内に収納するとともに、指定された金種及び本数の包装硬貨を、ユニット外に出金する処理を行う。
なお、包装硬貨処理部32は、包装硬貨を自動的に作成する機能を有していなくてもよい。また、硬貨処理ユニット30は、包装硬貨処理部32を有していなくてもよい。
損貨・記念貨処理ユニット50は、傷みや汚れがひどいため、バラ硬貨処理部31で処理することができないバラ硬貨(損貨)や、バラ硬貨処理部31が処理対象としていない記念硬貨等の硬貨をユニット内に収納する入金処理を行う。損貨・記念貨処理ユニット50は、有価媒体処理ユニット60の上面に配置されている。
有価媒体処理ユニット60は、傷みや汚れがひどいため、バラ紙幣処理部11で処理することができないバラ紙幣(損券)や、バラ紙幣処理部11が処理対象としていない小切手等の有価媒体等の紙葉類をユニット内に収納する入金処理や、収納部に収納している未使用のバラ紙幣(新券)を、出金口に払い出す出金処理を行う。
なお、有価媒体処理ユニット60は、損券や紙葉類の入金処理を行わずに、新券の出金処理のみを行うものであってもよい。
貨幣保管ユニット70は、紙幣や硬貨、又は、有価証券類等を保管する収納ドロワを複数備えており、操作者が、収納ドロワを開閉することによって、収納ドロワに紙幣等を収納したり、収納ドロワから紙幣等を取り出したりする。
制御部80は、バラ紙幣処理部11、帯封紙幣処理部12、バラ硬貨処理部31、包装硬貨処理部32、損貨・記念貨処理ユニット50、有価媒体処理ユニット60、及び貨幣保管ユニット70を制御することによって、銀行の営業店舗における貨幣の出入の管理を行う。貨幣処理装置100は、当該貨幣処理装置100に収納されている紙幣、硬貨等の貨幣だけでなく、両替機200に収納されている貨幣の在高、窓口キャッシャ300に収納されている貨幣の在高、営業店舗に設けられている金庫に保管している貨幣の在高、及び担当者が手許で管理をする手許管理の貨幣の在高も管理する。
貨幣処理装置100はまた、ターミナル部91、プリンタ92、記憶部93、及び通信部94を備えている。
ターミナル部91は、包装硬貨処理部32の上面と、帯封紙幣処理部12の上面とのそれぞれに配置されている。各ターミナル部91は、例えばタッチパネル式の表示操作部を有し、操作者に向けて情報を表示するとともに、操作者の操作を受け付ける。すなわち、表示操作部は、表示を行う表示部と、操作者の操作を受け付ける操作部との機能を備えているが、表示操作部は、表示部と操作部とに分けてもよい。
プリンタ92は、例えば感熱式プリンタや、インクジェットプリンタによって構成され、取引を行う毎に伝票の印刷をしたり、各種のレシートの印刷を行ったりする。プリンタ92は、バラ紙幣処理部11の上面と、バラ硬貨処理部31の上面とのそれぞれに配置されている。
通信部94は、通信回線を通じて、貨幣処理装置100と両替機200との間、貨幣処理装置100と窓口キャッシャ300との間、及び貨幣処理装置100と管理コンピュータ95との間における通信を行う。通信部94は、制御部80に対して、信号の授受可能に接続されている。管理コンピュータ95は、貨幣処理装置100の管理を行う。貨幣処理装置100は、取引に関する情報を、管理コンピュータ95に出力する。
記憶部93は、例えばハードディスクドライブや、不揮発性メモリ等の記憶装置から構成されている。記憶部93は、貨幣処理装置100において収納している貨幣の在高情報、両替機200に収納されている貨幣の在高情報、窓口キャッシャ300に収納されている貨幣の在高情報、営業店舗に設けられている金庫に保管している貨幣の在高情報、及び手許管理の貨幣の在高情報を記憶している。
記憶部93はまた、貨幣処理装置100、両替機200及び窓口キャッシャ300における各処理の内容を特定するログ情報を記憶している。ログ情報は、貨幣処理装置100、両替機200及び窓口キャッシャ300が処理を実行する毎に更新される。ログ情報には、入金処理や出金処理、両替といった取引処理に係る取引履歴の他、装置の開閉の履歴や、エラーログも含まれる。
記憶部93は更に、過去に発生した不整合の状況と、その原因とを教師データとして機械学習された推論モデルを記憶している。推論モデルの詳細は、後述する。
<貨幣処理装置の処理>
以下、貨幣処理装置100が行う処理について説明をする。制御部80は、図4に示すように、取得部81と、推測部82と、抽出部83と、復旧手段特定部84との機能を備えている。制御部80は、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、該ソフトウェアプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。制御部80の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータは記憶部93に記憶される。
なお、制御部80の図4に示した各部は、制御部80のCPUで本実施形態に係る貨幣処理プログラムを実行させることによって実現される。本実施形態に係る貨幣処理プログラムは、貨幣処理装置100に予め導入されてもよいし、汎用OS上で動作可能なアプリケーションプログラムとして、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、又は、ネットワークを介して、利用者に提供されてもよい。
取得部81は、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する。この不整合情報を手掛かりとして、推測部82が不整合の原因を推測することになる。ここでは、取得部81は、ターミナル部91にて操作者によって入力された情報に基づいて不整合情報を取得する。なお、現金通貨とは、現にその場(営業店舗)に存在する通貨を意味する。
また、不整合情報としては、例えば、違算の金額、金種、数、紙幣が新券か損券か、不整合のバラ紙幣の枚数、不整合箇所(機内、手許)等といった情報がある。
好ましくは、取得部81は、不整合情報として、下記(1)〜(15)の項目のうち、少なくとも一種の情報を取得する。
(1)不整合を発見したタイミング
(2)不整合が貨幣処理装置100の監視により発覚したか否か
(3)不整合のバラ紙幣の枚数
(4)不整合の金額
(5)不整合の帯封紙幣の束数
(6)不整合のバラ硬貨の枚数
(7)不整合の発生箇所が貨幣処理装置100内若しくは手許のいずれか、又は両者であることを示す情報
(8)違算の内容
(9)貨幣のバラと束の入り繰りが発生したか否か
(10)新券紙幣の有無
(11)損券、損貨及び/又は記念貨の有無
(12)データのみが異常であるか否か
(13)貨幣処理装置100の種類
(14)貨幣処理装置100内で不整合が発見された箇所
(15)不整合の包装硬貨の本数
なかでも、取得部81は、不整合情報として、上記(1)〜(8)の項目のうち、少なくとも一種の情報を取得することが好ましく、上記(1)〜(8)の全ての項目に係る情報を取得することがより好ましい。後述するように、上記(1)〜(8)の項目で示した情報は、推論モデルによる推測時における重みが大きい。すなわち、推論モデルは、(1)〜(8)の項目で示した情報をより重視して推測を行う。したがって、上記(1)〜(8)の項目で示した情報を取得することによって、推論モデルによる推測の精度を向上することが可能である。
なお、取得部81が、不整合情報として、複数の項目のうち、少なくとも一種の情報を取得するとは、それら複数の項目の全てを取得可能であることが前提ではない。すなわち、例えば、取得部81が、上記(1)〜(15)の項目のうち、少なくとも一種の情報を取得するとは、取得部81が上記(1)〜(15)の全ての項目に係る情報を取得可能な場合のみならず、上記(1)及び(2)の項目のみを取得可能な場合等、上記(1)〜(15)の項目のうちの1以上、14以下の項目を取得可能な場合を包含する。
なお、上記(1)の具体例としては、(1a)いずれかの装置の自動精査時、(1b)全回収時、(1c)運用中、(1d)他装置が挙げられる。ここで、全回収とは、現金通貨を機内から全て回収することを意味する。また、運用中とは、自動精査、全回収以外のタイミングで不整合に気付いた場合を意味する。そのなかでも、他装置からの現金を貨幣処理装置100で計数した場合に不整合に気付いた場合は他装置とする。具体的には、他装置に該当する場合としては、例えば、ATMからの回収金を貨幣処理装置100に入金した際に、回収伝票と計数した金額とに差異が発生した場合がある。
また、上記(2)における貨幣処理装置100の監視とは、貨幣処理装置100のエラー検知を意味する。すなわち、不整合が貨幣処理装置100の監視により発覚するとは、貨幣処理装置100が備えるエラー検知機能によって発覚された場合をいう。
また、上記(3)又は(6)における不整合のバラ紙幣又はバラ硬貨の枚数とは、データ上の通貨情報と一致していないバラ紙幣又はバラ硬貨の枚数を意味する。
また、上記(5)における不整合の帯封紙幣の束数とは、データ上の通貨情報と一致していない帯封紙幣の束数を意味する。
また、上記(7)の具体例としては、(7a)不整合が貨幣処理装置100内のみで発生した場合、(7b)不整合が手許のみで発生した場合、及び(7c)不整合が貨幣処理装置100内と手許でそれぞれ発生した場合が挙げられる。
また、上記(8)の具体例としては、(8a)入り繰りが発生した場合、(8b)現金通貨の在高がデータ上の在高より多い場合、及び(8c)現金通貨の在高がデータ上の在高より少ない場合が挙げられる。
また、上記(9)の貨幣のバラと束の入り繰りが発生するとは、(9a)バラ紙幣と帯封紙幣の間での入り繰り、及び(9b)バラ硬貨と包装硬貨の間での入り繰りの少なくとも一方が発生していることをいう。
また、上記(10)は、データ上の通貨情報と一致していない新券紙幣があるか否かということである。
また、上記(11)は、データ上の通貨情報と一致していない損券、損貨及び記念貨の少なくとも一つがあるか否かということである。
また、上記(12)は、現金通貨は正しく、データ上の通貨情報のみが異常であるか否かということである。
また、上記(13)の貨幣処理装置100の種類は、装置100全体のシステム名を意味する。システム名の具体例としては、例えば、WAVEProシリーズ(WAVEP)、WAVEAdvanceシリーズ(WAVEA)、WAVE700/600シリーズ(WAVE700/600)、WAVECompactシリーズ(WAVEC)等が挙げられる。
また、上記(14)の箇所とは、貨幣処理装置100のユニット10、30、50、60又は70のいずれかの箇所を意味する。
また、上記(15)における不整合の包装硬貨の本数とは、データ上の通貨情報と一致していない包装硬貨の本数を意味する。
推測部82は、取得部81が取得した不整合情報に基づいて、不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する。そして、推測部82によって推測された複数の原因の候補は、制御部80による制御のもと、ターミナル部91の表示操作部に表示されることによって、操作者は、不整合の原因の候補を一度に確認することができる。
不整合の原因としては、例えば、貨幣処理装置100内での現金通貨の飛散や、繰り出し不良による残置に起因した数え間違い、帯封紙幣であるはずの紙幣がバラ紙幣である場合等、様々なものがある。また、貨幣処理装置100外における手管理の現金通貨の数え間違い等も原因となる。
なかでも、推測部82によって推測される複数の原因の候補は、図5に示すように、貨幣処理装置100に係る不良(図5中の「機械不良」)と、エラー現金の取り扱いミス(図5中の「エラー現金ミス」)と、リジェクト現金の取り扱いミス(図5中の「リジェクト現金ミス」)と、精査又は全回収の操作ミス(図5中の「精査・全回収ミス」)と、通常の操作ミス(図5中の「通常操作ミス」)と、現金の確認ミス(図5中の「現金確認ミス」)と、ターミナル部91の表示操作部に表示された指示の無視(図5中の「画面指示無視」)とのうち、少なくとも2つの項目の中から推測される。図5に示したこれら7つの項目(原因の候補)を以下、大項目ともいう。
原因の特定精度をより向上する観点からは、これらの大項目を含む少なくとも7つの項目の中から推測部82が複数の原因の候補を推測することが好ましい。
なお、各大項目の説明は、図5中の「内訳」に記載した通りであり、各大項目に該当する具体例としては、例えば、図5中の「具体例」に記載したものが挙げられる。図5中の「内訳」に記載した通り、貨幣処理装置100に係る不良は、装置100の不調、不具合及び/又は故障の他、貨幣に係る不良(テープ貼付、粘着、変形貨等)を包含するものである。ここで、粘着とは、貨幣に何かしらの粘着物が付着した状態をいう。具体的には、例えば、テープをはがした後の粘着や、油汚れによる粘着、水にぬれたことによる粘着等が挙げられる。
また、図5中、端数巻きとは、所定枚数に満たない枚数のバラ紙幣を束ねて帯封紙幣を作成すること、又は所定枚数に満たない枚数のバラ硬貨を包装して包装硬貨を作成することをいう。また、再艦とは、端数巻きした紙幣又は硬貨をばらして、再度計数することをいう。また、金額が暫定状態、それを違算として通報(MRCの一括などのエラー)とは、エラー発生により該当収納庫内の金額を確定できていない状態で暫定的に金額を表示している場合、精査で現金を確認するしかないが、精査で数えた現金の金額と暫定的に表示した金額とが一致しないとして保守員に通報されるケースをいう。
各大項目は、更に小項目に分類することが可能であり、例えば、機械不良に係る大項目を小項目に分けると、図6に示すように6つの小項目になる。機械不良に係る各小項目の概略は、図6中の「原因明細」に記載した通りであり、各小項目が発生した場合に主に想定される不整合の状況は、図6中の「主な想定」に記載した通りであり、各小項目の説明とそれに該当する具体例は、図6中の「内訳/具体例」に記載した通りである。また、図6中の「結果系」には、当該原因によって引き起こされる結果が記載されており、不具合とは、装置の不具合を生じることを示す。
なお、図6中、あるだけ入金とは、事前に金額不定の入金処理をいう。あるだけ入金では、機械計数した金額を正として処理を完了させるため、機械計数のミスが現金の不整合に直接繋がることになる。また、「機内入り繰り 一方だけに気付いた場合:機内 現金>or<データ」とは、複数の収納庫間で同額の増減が発生したときに、一方の収納庫だけの増減に気付いた時は、その収納庫の現金が現金>データ、又は現金<データと認識されることを示す。なお、複数の収納庫間で同額の増減が発生したときに、その事象を同時に認識した場合は入り繰りとして把握することができる。
上記7つの大項目を全て小項目に分類すると、計48項目になる。すなわち、推測部82は、これらの小項目を含む少なくとも48個の項目の中から複数の原因の候補を推測することが好ましい。これにより、より詳細な原因を推測可能となり、原因究明の更なる効率化が可能となる。
推測部82はまた、取得部81が取得した不整合情報に基づいて、複数の原因の候補のそれぞれの発生確率を更に推測する。そして、推測部82によって推測された複数の原因の候補のそれぞれの発生確率は、制御部80による制御のもと、ターミナル部91の表示操作部に、対応する原因の候補とともに表示される。この結果、操作者は、不整合の原因の候補をその発生確率(その原因の候補が実際の原因である可能性)を確認することができる。
なお、発生確率に基づいて複数の原因の候補の優先順位を発生確率の高いものから順に決定し、複数の原因の候補をその優先順位の順でターミナル部91の表示操作部に表示してもよい。
また、推測部82による推測の結果、保守員(例えば貨幣処理システム1又は貨幣処理装置100の保守員)が対応する必要があり、かつ、その発生確率が所定の確率を超える原因の候補が存在する場合、制御部80による制御のもと、ターミナル部91の表示操作部に、所定の態様で報知情報を表示してもよい。これにより、操作者による不要な原因究明の手間を削減することができる。
より詳細には、例えば、所定の確率(閾値)を超えた場合に保守員の対応が必要な原因の候補の一覧と、対応する所定の確率とを示したテーブルを記憶部93に記憶しておき、推測部82によって推測される複数の原因の候補が当該テーブルの原因の候補に該当するか否かを制御部80において判定し、該当する原因の候補が有る場合、ターミナル部91の表示操作部に、所定の態様で報知情報を表示してもよい。
このような保守員の対応が必要な原因としては、貨幣処理装置100自体の不具合に起因するものが挙げられる。
なお、所定の態様で表示される報知情報の具体的内容としては、例えば、「保守員へ通知のほどよろしくお願いします」といった通知が挙げられる。また、「保守員へ通知中のため、しばらくお待ちください」といった通知であってもよい。この場合は、外部の保守端末において保守呼び出しの通知等を行う。
また、推測部82によって推測された原因の候補によっては機械のメンテナンスを行った方が良い場合は、ターミナル部91の表示操作部にて、予防保守のため保守員を呼び出してほしい旨の表示を行ってもよい。
推測部82は、推論モデルを用いて複数の原因の候補を推測する。すなわち、推測部82は、記憶部93に記憶された推論モデルを制御部80にて実行することによって、その機能、すなわち原因推測機能を実現する。
ここで、推論モデルについて説明する。推論モデルは、ラベル情報(正解データ)が付された学習用データ(データセット、教師データ)の教師あり機械学習により作成される。より具体的には、学習用データは、過去に発生した不整合の状況(不整合情報)と、その原因とを対応付けたデータであり、推論モデルは、学習用データを学習することによって作成される。機械学習の手法としては、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、決定木分析等を使用することが可能であるが、なかでも、推測精度の観点からは決定木分析が好ましい。
教師あり機械学習により作成された推論モデルは、学習済みパラメータが組み込まれた推論プログラム(学習済みモデル)として機能する。なお、学習済みパラメータは、学習用セットを用いた学習の結果、得られたパラメータ(係数)である。また。推論プログラムは、入力として与えられた不整合情報に対して、学習の結果として取得された学習済みパラメータを適用し、当該不整合情報の原因の候補を出力するための一連の演算手順を規定したプログラムである。
なお、推論モデルは、貨幣処理装置100において追加学習されてもよい。すなわち、推論モデルに異なるデータセットを適用し、更なる学習を行うことによって、新たに学習済みパラメータを生成し、この新たな学習済みパラメータが組み込まれた推論プログラムを推論モデルとして利用してもよい。これにより、推論モデルを各顧客により合わせたものに更新することができる。
抽出部83は、記憶部93に記憶されたログ情報に基づいて、推測部82によって推測される複数の原因の候補に対応する処理をそれぞれ抽出する処理を行う。その結果、1以上の原因の候補について、対応する処理がログ情報から抽出された場合、制御部80による制御のもと、ターミナル部91の表示操作部に抽出されたその原因の候補を、当該原因の候補に対応する処理の内容とともに表示する。
ここで、「複数の原因の候補に対応する処理をそれぞれ抽出する」とは、各原因の候補に対応する処理を一括して抽出する態様のみならず、操作者によって選択された特定の原因の候補に対応する処理を抽出する態様も含むものである。後者の態様では、選択された原因の候補が変わるたびに、その原因の候補に対応する処理を抽出することとなる。
他方、抽出部83により対応する処理が抽出されなかった原因の候補は、ターミナル部91の表示操作部に表示されない。このような原因の候補は、実際の原因である可能性が低いため、表示しないことによって可能性の低い原因を確認する作業を省略することができる。
なお、ログ情報から原因の候補に対応する処理を抽出することは、エラーログ等から条件にあった処理を検索することによって機械的に実施することが可能である。
また、複数の原因の候補に対応する処理がログ情報から抽出されない(対応する処理がない)場合は、有用な原因の候補が存在しないとして、不整合情報に対応する原因の候補は存在しないと最終的に判定してもよい。
復旧手段特定部84は、複数の原因の候補の中から操作者によって特定された原因に対応する復旧手段(復旧方法)を特定する。そして、復旧手段特定部84によって特定された復旧手段は、制御部80による制御のもと、ターミナル部91の表示操作部に表示される。これにより、不整合の状況の解消までサポートすることが可能となる。
より詳細には、例えば、不整合の原因と、その原因に対応する復旧手段とを示したテーブルを記憶部93に記憶しておき、復旧手段特定部84が当該テーブルを参照することによって操作者によって特定された原因に対応する復旧手段を特定してもよい。
<不整合の原因特定に係る処理の手順>
次に、図7〜9に示す画面例を参照しながら、貨幣処理装置100で行われる貨幣処理の手順、主に不整合の原因特定に係る処理の手順について説明する。図7〜9に示す画面例は、貨幣処理装置100のターミナル部91に表示される画面である。
図7は、貨幣処理装置100における不整合の状況の入力から復旧手段の表示までを示す操作画面を例示している。図7に示すように、操作画面は、操作者が不整合の状況を入力するための画面領域である不整合状況入力領域R1と、推測部82によって推測された原因の候補等を表示する画面領域である原因推測領域R2と、推測された原因の候補に係る操作を行った場合にどのような不整合の状況が発生するかを表示する画面領域である確認項目領域R3と、抽出部83によって抽出された処理等を表示する画面領域である処理抽出領域R4と、復旧手段特定部84によって特定された復旧手段を表示する画面領域である復旧手段領域R5と、を含んでいる。なお、図7では、不整合状況入力領域R1及び原因推測領域R2の詳細は図示しておらず、これらについては図8及び9を用いて説明する。
図8は、不整合状況入力領域R1を例示している。本実施形態では、まず、図8に示すように、操作者が、不整合状況入力領域R1において不整合の状況を入力する。同時に制御部80が貨幣処理装置100のログ情報を読み込む。
不整合状況入力領域R1では、不整合金種入力の欄にて、不整合の状況にある各金種の保管状態毎のバラ紙幣又はバラ硬貨の枚数、帯封紙幣の数、及び包装硬貨の本数を、それぞれ、「バラ枚数」及び「束数/本数」の欄に入力する。この入力情報に基づいて所定の計算処理を行い、取得部81が不整合情報として上記(3)〜(6)及び(15)の項目を取得する。
また、貨幣のバラと束の入り繰りが発生しているときは、「バラ束入り繰り」のチェックボックスにフラグを入力する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(9)の項目を取得する。
不整合の貨幣に新券紙幣が含まれているときは、「新券」のチェックボックスにフラグを入力する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(10)の項目を取得する。
不整合の貨幣に損券、損貨及び/又は記念貨が含まれているときは、「損券損貨記念貨」のチェックボックスにフラグを入力する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(11)の項目を取得する。
不整合の発生箇所が貨幣処理装置100内(オープン出納機機内)のときは、不整合箇所の「機内」のチェックボックスにフラグを入力し、不整合の発生箇所が手許(オープン出納機機外)のときは、不整合箇所の「手許」のチェックボックスにフラグを入力する。これらのフラグは、同時に入力可能である。その場合は、不整合が貨幣処理装置100内と手許のどちらでも発生したことになる。これにより、取得部81が不整合情報として上記(7)の項目を取得する。
違算の内容を、「違算内容」のプルダウンメニューからから選択する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(8)の項目を取得する。なお、プルダウンメニューには、「入り繰り(入り繰りが発生した場合)」、「現物>データ(現金通貨の在高がデータ上の在高より多い場合)」、及び「現物<データ(現金通貨の在高がデータ上の在高より少ない場合)」が表示される。
現金通貨は正しく、データ上の通貨情報のみが異常であるときは、「データのみ異常」のチェックボックスにフラグを入力する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(12)の項目を取得する。
不整合を発見したタイミングを「発見タイミング」のプルダウンメニューから選択する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(1)の項目を取得する。なお、プルダウンメニューには、「自動精査(いずれかの装置の自動精査時)」、「全回収」、「運用中」、及び「他装置」が表示される。
不整合が貨幣処理装置100の監視により発覚したときは、「精査監視」のチェックボックスにフラグを入力する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(2)の項目を取得する。
貨幣処理装置100の種類を「システム名」の左側のプルダウンメニューから選択する。なお、プルダウンメニューには、複数のシステムが表示される。これにより、取得部81が不整合情報として上記(13)の項目を取得する。
また、貨幣処理装置100内のどのユニットで不整合が発見したかを「システム名」の右側のプルダウンメニューから選択する。これにより、取得部81が不整合情報として上記(14)の項目を取得する。なお、プルダウンメニューには、「MBL」、「MSW」、「MSE」、「MSC」、「MPN」、「MRC」及び「MCB」が表示される。ここで、MBLは、紙幣処理ユニット10を表し、MSWは、硬貨処理ユニット30(ただし、包装硬貨処理部32が包装硬貨を自動的に作成する機能がある場合)を表し、MSEは、硬貨処理ユニット30(ただし、包装硬貨処理部32が包装硬貨を自動的に作成する機能がない場合)を表し、MSCは、硬貨処理ユニット30(ただし、硬貨処理ユニット30が包装硬貨処理部32を有さずバラ硬貨処理部31のみを有する場合)を表し、MPNは、有価媒体処理ユニット60(ただし、有価媒体処理ユニット60が損券や紙葉類の入金処理を行わず新券の出金処理のみを行う場合)を表し、MRCは、有価媒体処理ユニット60(ただし、有価媒体処理ユニット60が損券や紙葉類の入金処理と新券の出金処理を行う場合)を表し、MCBは、損貨・記念貨処理ユニット50を表す。
なお、不整合状況入力領域R1では上述した項目以外の項目も入力され得るが、それらの項目は、推測部82による推測処理には使用されない情報である。
次に、推測部82が、取得部81が取得した不整合情報に基づいて、不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する。そして、図9に示すように、推測部82による推測結果(複数の候補)が原因推測領域R2に表示される。例えば、原因推測領域R2には、発生確率が高いものから順に原因の候補が表示される。
なお、図9において、「#」の列には、チェックボックスが表示され、「ID」の列には、各原因に対応させて予め設定されたエラーコードが表示され、「原因」の列には、原因の大項目が表示され、「結果」の列には、当該原因によって引き起こされる結果が表示され、「原因明細」の列には、原因の小項目が表示される。
次に、操作者が詳細を確認したい原因の候補のチェックボックスにフラグを入力すると、確認項目領域R3に、チェックされた原因に係る操作を行うと、どのような状態になるかが表示される。また、その原因の究明のために何を確認すべきかが表示する。このとき、操作者が不整合状況入力領域R1にて入力した情報から得られた情報も活用する。
また、抽出部83が、チェックされた原因に対応する処理をログ情報から抽出し、抽出部83による抽出結果(処理の一覧)が処理抽出領域R4に表示される。また、処理抽出領域R4には、直近に実施された精査の時期が表示される。更に、処理抽出領域R4には、検索条件として、エラー、手許、金額及び金種のチェックボックスが表示されており、これらはいずれも処理の絞り込みに使用される。エラーのチェックボックスにフラグを入力すると、エラー発生した処理のみが表示され、手許のチェックボックスにフラグを入力すると、手許現金を扱った処理のみが表示され、金額のチェックボックスにフラグを入力すると、不整合情報で入力した金額と同じ金額の処理のみが表示され、金種のチェックボックスにフラグを入力すると、不整合情報で入力した金種と同じ金種を扱った処理のみが表示される。
次に、操作者が抽出された処理の一覧から、原因に該当する処理を特定すると(例えば該当する処理の欄を選択すると)、チェックされた原因に対する復旧手段(復旧方法)を復旧手段特定部84が特定する。復旧手段領域R5に表示された「復旧手段表示」のボタンが操作者に押されると、当該復旧手段が別画面に表示される。
そして、表示された復旧手段に係る処置が終了すると、不整合の状況の復旧となり、不整合の原因特定に係る処理が終了する。
<評価試験1>
次に、推論モデルを実際に生成し、その推論モデルを用いて上述の7つの大項目を実際に推測した結果について説明する。ここでは、学習用データ1470件を学習用:テスト用=9:1に分け、学習用データを使用して推論モデルを作成した。機械学習の手法としては、決定木を用い、決定木を生成するためのアルゴリズムとしてC5.0を用いた。作成したモデルにテスト用データを入力し、推測された原因と、実際の原因(正解)とを比較した。その結果、正解率は略60.4%で、不正解率は略39.6%であり、良好な精度が得られた。
また、図10に示すように、不整合情報として入力される項目には重みにばらつきがあり、上位8つの項目a〜hが上述の(1)〜(8)の項目に対応している。すなわち、上述の(1)〜(8)の項目が推論モデルの精度向上の観点から重要であることが確認できた。なお、上述の(9)〜(15)の項目は、9位以降の項目i〜zに含まれている。また、ここでは、不整合情報として取得した項目を組み合わせて推論モデル内で変数を増やしているため、図10に示した項目数は、不整合情報として取得した項目よりも多くなっている。
<評価試験2>
最後に、推論モデルを実際に生成し、その推論モデルを用いて上述の48つの小項目を実際に推測した結果について説明する。ここでも、学習用データ1470件を学習用:テスト用=9:1に分け、学習用データを使用して推論モデルを作成した。機械学習の手法としては、決定木を用い、決定木を生成するためのアルゴリズムとしてC5.0を用いた。作成したモデルにテスト用データを入力し、推測された原因と、実際の原因(正解)とを比較した。その結果を下記表1に示す。
Figure 2021125120
上記表1に示されるように、確率1位で推測できたものは47.7%と、大項目を推測した場合に比べて低下はしたが、確率10位までに推測できたものは88.7%であり、非常に良好な精度が得られる結果となった。なお、確率1位の正解率(47.7%)も、48つの小項目からランダムに選択して正解となる確率(=1/48×100≒2.1%)に比べれば大幅な改善と言える。
以上説明したように、本実施形態では、現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得し、不整合情報に基づいて、当該不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測し、推測した複数の原因の候補を表示可能とすることから、装置異常ではなく操作ミス等を含む不整合の原因の推測が可能となり、より多様な不整合の状況に対してその原因を推測することが可能になる。また、各原因の候補と、その日の作業記憶とを照らし合わせて、効率よく原因究明を進めることができる。
なお、上記実施形態では、推論モデルを貨幣処理装置100の制御部80にて実行することによって推測部82として機能させる場合について説明したが、貨幣処理装置100の各機能を適宜複数の装置に分散した分散処理システムにより実現してもよい。具体的には、例えば、サーバに推論モデルを実装(webアプリ化)し、ネットワークを介して各端末から原因の推測結果を照会してもよい。また、抽出部83や復旧手段特定部84といった他の機能ブロックについても同様であり、貨幣処理装置100以外の装置に実装してもよい。
また、上記実施形態では、貨幣処理装置100を金融機関に設置し、出納機として利用する場合について説明したが、貨幣処理装置100の設置場所と用途は特に限定されない。例えば、貨幣処理装置100は、入金機、入出金機、券売機、精算機等であってもよく、その場合であっても同様の処理を実行可能である。
また、上記実施形態では、推測部82が機械学習により作成された推論モデルから構築された場合について説明したが、推測部82は、機械学習により作成された推論モデルによって算出した計算式(より詳細には、上述の(1)〜(15)の項目それぞれに対する計算式)を用いたものであってもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
以上のように、本発明は、より多様な不整合の状況に対してその原因を推測するのに有用な技術である。
1:貨幣処理システム
10:紙幣処理ユニット
11:バラ紙幣処理部
12:帯封紙幣処理部
30:硬貨処理ユニット
31:バラ硬貨処理部
32:包装硬貨処理部
50:損貨・記念貨処理ユニット
60:有価媒体処理ユニット
70:貨幣保管ユニット
80:制御部
81:取得部
82:推測部
83:抽出部
84:復旧手段特定部
91:ターミナル部
92:プリンタ
93:記憶部
94:通信部
95:管理コンピュータ
100:貨幣処理装置
200:両替機
300:窓口キャッシャ

Claims (12)

  1. 貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理装置と、
    現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得部と、
    前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測部と、
    複数の前記原因の候補を表示可能な表示部と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
  2. 前記推測部は、前記不整合情報に基づいて、複数の前記原因の候補のそれぞれの発生確率を更に推測し、
    前記表示部は、前記発生確率を更に表示し得る
    ことを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
  3. 前記推測部による推測の結果、保守員が対応する必要があり、かつ、その発生確率が所定の確率を超える原因の候補が存在する場合、前記表示部は、所定の態様で報知情報を表示する
    ことを特徴とする請求項2記載の貨幣処理システム。
  4. 前記貨幣処理装置における各処理の内容を特定するログ情報に基づいて、複数の前記原因の候補に対応する処理をそれぞれ抽出する抽出部を更に備え、
    1以上の原因の候補について前記抽出部により対応する処理が抽出された場合、前記表示部は、原因の候補を、当該原因の候補に対応する処理の内容とともに表示する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貨幣処理システム。
  5. 前記表示部は、前記抽出部により対応する処理が抽出されなかった原因の候補を表示しない
    ことを特徴とする請求項4記載の貨幣処理システム。
  6. 前記推測部は、過去に発生した不整合の状況と、その原因とを教師データとして機械学習された推論モデルを用いて、複数の前記原因の候補を推測する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貨幣処理システム。
  7. 前記取得部は、前記不整合情報として、不整合を発見したタイミングと、不整合が前記貨幣処理装置の監視により発覚したか否かと、不整合のバラ紙幣の枚数と、不整合の金額と、不整合の帯封紙幣の束数と、不整合のバラ硬貨の枚数と、不整合の発生箇所が前記貨幣処理装置内若しくは手許のいずれか、又は両者であることを示す情報と、違算の内容と、貨幣のバラと束の入り繰りが発生したか否かと、新券紙幣の有無と、損券、損貨及び/又は記念貨の有無と、データのみが異常であるか否かと、前記貨幣処理装置の種類と、前記貨幣処理装置内で不整合が発見された箇所と、不整合の包装硬貨の本数とのうち、少なくとも一種の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の貨幣処理システム。
  8. 前記取得部は、前記不整合情報として、不整合を発見したタイミングと、不整合が前記貨幣処理装置の監視により発覚したか否かと、不整合のバラ紙幣の枚数と、不整合の金額と、不整合の帯封紙幣の束数と、不整合のバラ硬貨の枚数と、不整合の発生箇所が前記貨幣処理装置内若しくは手許のいずれか、又は両者であることを示す情報と、違算の内容とのうち、少なくとも一種の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項7記載の貨幣処理システム。
  9. 複数の前記原因の候補は、前記貨幣処理装置に係る不良と、エラー現金の取り扱いミスと、リジェクト現金の取り扱いミスと、精査又は全回収の操作ミスと、通常の操作ミスと、現金の確認ミスと、前記表示部に表示された指示の無視とのうち、少なくとも2つの項目の中から推測される
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の貨幣処理システム。
  10. 貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理装置であって、
    現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得部と、
    前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測部と、
    複数の前記原因の候補を表示可能な表示部と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
  11. 現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得ステップと、
    前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測ステップと、
    を含むことを特徴とする貨幣処理方法。
  12. 現金通貨の状況とデータ上の通貨情報との間における不整合の状況を示す不整合情報を取得する取得処理と、
    前記不整合情報に基づいて、前記不整合の状況が生じた原因の候補を複数推測する推測処理と、
    を貨幣処理装置に実行させることを特徴とする貨幣処理プログラム。
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