以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
<1.現金取扱い装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る現金取扱い装置1の構成を示す説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態に係る現金取扱い装置1は、紙幣投入口101と、紙幣一時保留部103と、紙幣鑑別部105と、万券還流庫107と、五千券還流庫109と、千券還流庫111と、紙幣回収庫113と、紙幣リジェクト庫115と、硬貨投入口117と、硬貨鑑別部119と、硬貨一時保留部121と、硬貨返却箱123と、硬貨還流庫125と、硬貨回収庫127と、硬貨出金箱129と、硬貨リジェクト庫130と、カードリーダ部131と、操作表示部133と、制御部150と、記憶部160と、を備える。
なお、装置の前面(図1の手前側の面)にフロント扉が設けられている。フロント扉の電磁ロックが施錠されているときには、フロント扉を開けることができず、外部から装置内にアクセスできないが、フロント扉の電磁ロックが解錠されているときには、フロント扉を開けることができ、外部から装置内にアクセス可能となる。
紙幣投入口101は、現金取扱い装置1に入金される紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入口101は、紙幣の出金口でもあり、紙幣投入口101から、売上金の入金(以下、単に「売上入金」とも言う。)の取り消しにより返却される紙幣、出金される紙幣、および、紙幣鑑別部105により正常ではないとしてリジェクトされた紙幣が出金される。
紙幣一時保留部103には、入金計数時および売上金作成時に、一時的に紙幣が集積される。また、紙幣鑑別部105は、投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを各種センサによって鑑別する。
万券還流庫107、五千券還流庫109、および千券還流庫111は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を収納する現金収納部である。具体的に、万券還流庫107、五千券還流庫109、および、千券還流庫111(各紙幣還流庫)には、バラ状態の各種紙幣が釣銭準備金として収納される。また、各紙幣還流庫には、売上として入金され、紙幣鑑別部105で正常と鑑別された各種紙幣が収納される。さらに、釣銭出金時には、各紙幣還流庫から各種紙幣が出金される。釣銭準備金とは、店舗での取引に釣銭として使用するために確保する現金である。
紙幣回収庫113は、売上回収のための還流庫として主に用いられる。具体的に、紙幣回収庫113には、精算集計時に、各紙幣還流庫から移動された紙幣が売上金として収納される。
紙幣リジェクト庫115には、紙幣鑑別部105によって正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣、すなわちリジェクトされた紙幣が集積される。具体的に、紙幣リジェクト庫115には、売上入金時に紙幣一時保留部103から各紙幣還流庫に紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、各紙幣還流庫から釣銭出金を行う過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、精算集計時に各紙幣還流庫から紙幣回収庫113に紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣などが集積される。
硬貨投入口117は、硬貨が投入される開口である。また、硬貨鑑別部119は、投入された硬貨が正常な硬貨であるか否かを各種センサによって鑑別する。さらに、硬貨一時保留部121には、入金計数時および精算集計時に、一時的に硬貨が集積される。
硬貨返却箱123は、硬貨の返却箱であり、計数が行われた硬貨、売上入金の取り消しがなされた硬貨が硬貨返却箱123から返却される。また、硬貨還流庫125(現金収納部)には、売上入金によって投入された各種硬貨が収納されており、釣銭出金時には硬貨還流庫125から各種硬貨が出金される。
硬貨回収庫127は、売上回収のための収納庫として主に用いられる。具体的に、硬貨回収庫127には、精算集計時に硬貨還流庫125から移動された硬貨が売上金として収納される。また、硬貨出金箱129は、釣銭出金時に硬貨を出金するための硬貨出金口である。
硬貨リジェクト庫130には、正常に出金できなかった硬貨が集積される。具体的には、硬貨リジェクト庫130には、硬貨還流庫125から釣銭出金を行う過程で障害が発生した場合や、精算集計時に硬貨還流庫125から硬貨回収庫127に硬貨を搬送する過程で障害が発生した場合に、搬送中で枚数が正確に把握できない硬貨が集積される。
カードリーダ部131は、レジカードやIDカード、回収用カード等に書き込まれた情報を読み取る。レジカードやIDカード、回収用カード等に書き込まれる情報として、例えば、カードを利用する操作者を識別するための情報、および許可されている取引の種類を示す情報が挙げられる。このカードリーダ部131から読み取られる情報が事前に登録されている情報と一致する場合、現金取扱い装置1の利用が制御部150により許可される。なお、現金取扱い装置1は、カードリーダ部131に加えて、あるいはカードリーダ部131に代えて、指紋認識を行う指紋認識部、または暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部を有してもよい。
操作表示部133は、操作者による操作を検出する操作部としての機能、および各種画面を表示する表示部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作部としての機能は、例えば、タッチパネルにより実現される。なお、表示部および操作部の機能は分離して構成されてもよい。
制御部150は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)装置などのデータ格納用記憶装置等で構成される。
制御部150は、現金取扱い装置1の動作全般を制御する。例えば、制御部150は、各紙幣還流庫および硬貨還流庫125に収納されている現金の枚数を記憶部160に記憶させる管理部としての機能を包含する。制御部150は、操作者のレジカード、IDカードまたは回収用カードによる認証が終了すると、操作者が所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させ、メニュー画面において操作者により選択された処理を制御する。レジカード、IDカードまたは回収用カードによる認証はどのようにして行われてもよい。
例えば、店員は、IDカードとカードリーダ部131とを接触させることにより認証を実行させる。IDカードに記録されている店員の識別情報が、記憶部160によってあらかじめ記憶されている店員の識別情報と一致する場合に、店員のログインが成功する。しかし、店員は、テンキー入力によりログインを行うことも可能である。
例えば、店員のログインが成功すると、制御部150は、店員が所望の処理を選択するための取引用メニュー画面を操作表示部133に表示させ、取引用メニュー画面において店員により選択された処理を制御する。取引用メニュー画面は、釣銭出金ボタン、売上入金ボタンなどを含む。
(釣銭出金)
釣銭出金は、各紙幣還流庫および硬貨還流庫125から釣銭準備金を出金するための処理である。例えば、取引用メニュー画面において店員により釣銭出金ボタンが選択されると、店員は、出金方法の選択画面において、金額指定出金、金種枚数指定出金およびパターン出金のいずれかを選択することができる。
金額指定出金においては、店員により出金金額が指定され、制御部150は、事前に用意されているルールに従って各金種の出金枚数を決定してもよい。例えば、上記ルールは、各金種の出金枚数の比率を規定するものであってもよいし、各金種の出金枚数の最低数を規定するものであってもよい。
金種枚数指定出金においては、店員により金種ごとの出金枚数が指定され、制御部150は、店員からの指定に従って各金種の出金を制御する。パターン出金においては、制御部150は、1または2以上の金種ごとの出金枚数を示す事前登録された出金パターンに従って出金を制御する。
いずれの出金方法においても、各紙幣還流庫から紙幣が排出され、当該紙幣が紙幣投入口101に集積される。また、硬貨還流庫125から硬貨が繰り出され、当該硬貨が硬貨出金箱129に搬送される。
(売上入金)
売上入金は、レジから回収された紙幣および硬貨を各紙幣還流庫および硬貨還流庫125に収納するための処理である。例えば、取引用メニュー画面において店員により売上入金ボタンが選択されると、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117のシャッタを開放し、紙幣および硬貨の投入を誘導する入金誘導画面を操作表示部133に表示させる。その後、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された紙幣および硬貨を計数する。ここで、紙幣鑑別部105により正常と判断された紙幣は紙幣一時保留部103に集積され、硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨は硬貨一時保留部121に集積される。また、紙幣鑑別部105によりリジェクトされた紙幣は紙幣投入口101から返却され、硬貨鑑別部119によりリジェクトされた硬貨は硬貨返却箱123から返却される。
さらに、制御部150は、計数により得られた入金合計金額を操作表示部133に表示させる。そして、店員により入金合計金額の確認操作が行われると、紙幣一時保留部103から各紙幣還流庫に紙幣が搬送され、各紙幣還流庫が当該紙幣を収納する。同様に、硬貨一時保留部121から硬貨還流庫125に硬貨が搬送され、硬貨還流庫125が当該硬貨を収納する。
本発明の実施形態においては、警送員(回収員)が回収用カードとカードリーダ部131とを接触させることにより認証を実行させる場合を主に想定する。回収用カードに記録されている警送員の識別情報が、記憶部160によってあらかじめ記憶されている警送員の識別情報と一致する場合に、警送員のログインが成功する。しかし、警送員は、テンキー入力によりログインを行うことも可能である。
警送員のログインが成功すると、制御部150は、警送員が所望の処理を選択するための回収用メニュー画面を操作表示部133に表示させ、回収用メニュー画面において警送員により選択された処理を制御する。
以下、図2を参照して、回収用メニュー画面の具体例を説明した上で、制御部150の制御により実現される各処理の概要を説明する。
<2.現金取扱い装置が回収時に実行可能な処理>
図2は、操作表示部133に表示される回収用メニュー画面の具体例を示す説明図である。図2に示したように、回収用メニュー画面G10は、回収ボタンB101、清掃ボタンB102、および、精査ボタンB103など、警送員が現金取扱い装置1に実行させることが可能な処理と関連付けられた選択ボタンを含む。警送員は、この回収用メニュー画面G10からの選択ボタンの選択により、所望の処理を現金取扱い装置1に実行させることが可能である。
(清掃)
清掃は、現金取扱い装置1の内部を清掃する処理である。例えば、回収用メニュー画面G10において警送員により清掃ボタンB102が選択されると、制御部150は、現金取扱い装置1の内部を清掃する処理を実行する。
(精査)
精査は、現金取扱い装置1の内部の有高を集計するための処理である。例えば、回収用メニュー画面G10において警送員により精査ボタンB103が選択されると、制御部150は、現金取扱い装置1の扉を解錠し、各紙幣還流庫からの紙幣の取り出し、および、硬貨還流庫125からの硬貨の取り出しを誘導する画面を操作表示部133に表示させる。その後、警送員により紙幣および硬貨の取り出しが行われ、現金取扱い装置1の扉が閉められると、制御部150は、紙幣および硬貨の投入を誘導する画面を操作表示部133に表示させる。
その後、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された紙幣および硬貨を計数する。ここで、紙幣鑑別部105により正常と判断された紙幣は紙幣一時保留部103に集積され、硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨は硬貨一時保留部121に集積される。また、紙幣鑑別部105によりリジェクトされた紙幣は紙幣投入口101から返却され、硬貨鑑別部119によりリジェクトされた硬貨は硬貨返却箱123から返却される。
さらに、制御部150は、計数により得られた合計金額を操作表示部133に表示させる。そして、操作者により合計金額の確認操作が行われると、紙幣一時保留部103から各紙幣還流庫に紙幣が搬送され、各紙幣還流庫が当該紙幣を収納する。同様に、硬貨一時保留部121から硬貨還流庫125に硬貨が搬送され、硬貨還流庫125が当該硬貨を収納する。
(回収)
回収は、警送員による売上金の回収を可能とするための処理である。例えば、回収用メニュー画面G10において警送員により回収ボタンB101が選択されると、制御部150は、回収取引を実行する。制御部150は、回収取引においては売上金の回収を可能とするための売上金回収方法に応じた処理を実行する。現金取扱い装置1によって売上金回収方法に応じた処理が実行され、警送員によって現金取扱い装置1から売上金が回収されると、警送員は、回収した売上金を金融機関などに入金する。
ここで、本発明の実施形態では、売上金回収方法があらかじめ一つに定められてしまっている訳ではなく、複数の売上金回収方法があらかじめ用意されている。そして、制御部150は、所定の情報に基づいて、当該複数の売上金回収方法のいずれかを選択する。そして、制御部150は、選択した売上金回収方法に応じた処理を実行する。より詳細に、制御部150は、選択した売上金回収方法に従って還流庫に収納されている現金から売上金が回収されるように制御する。
かかる構成によれば、売上金回収方法の選択の柔軟性が向上するため、売上金の回収の利便性が向上することが期待される。以下に説明する各実施形態では、複数の売上金回収方法から処理が実行される売上金回収方法を選択する技術のバリエーションについて順に説明する。なお、以下の説明においては、現金取扱い装置1を単に「装置」と呼ぶ場合がある。
<3.第1の実施形態>
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態では、制御部150は、複数の売上金回収方法から、「装置内の現金に応じて自動選択される回収方法」を実行する。すなわち、制御部150は、売上金が還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111および硬貨還流庫125)から出金可能である場合に、制御部150は、還流庫に存在する現金に応じて売上金回収方法を選択する。
かかる構成によれば、現金取扱い装置1内の現金に応じて適切な売上金回収方法が実行され得る。本発明の第1の実施形態では、制御部150が、条件Aが満たされる場合に、第1の売上金回収方法を選択し、条件Bが満たされる場合に、第2の売上金回収方法を選択し、条件Cが満たされる場合に、第3の売上金回収方法を選択し、条件Dが満たされる場合に、回収不可を選択する場合を想定する。しかし、制御部150による選択候補は、かかる例に限定されない。以下では、これらの条件および売上金回収方法の例を説明する。
図3は、売上金の回収取引が開始された時点の装置内の有高例を示す図である。
図4は、図3に示された各有高例に対応して釣銭準備金の作成を試みた結果の例を示す図である。まず、釣銭準備金とする総額が釣銭準備金額としてあらかじめ管理者によって指定されている。さらに、図4の「釣銭準備金の指定金種」に示されるように、釣銭準備金額を構成する釣銭準備金の金種(すなわち、金種ごとの枚数)があらかじめ管理者によって指定されている。すなわち、記憶部160には、釣銭準備金の指定金種(すなわち、金種ごとの指定枚数)があらかじめ登録されている。この例のように「釣銭準備金の指定金種」が指定された場合の釣銭準備金の金額は、図3にも示されているように、「11,000円」である。一方、図3に示されるように、売上金額は「100,000円」である場合を想定する。
ここで、還流庫に存在する現金に基づいて指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成可能であるという条件を「条件A」とする。図3の「A」の行に示されるように還流庫に現金が存在すれば、図4の「A」の行に示されるように、還流庫に存在する現金に基づいて、「釣銭準備金の指定金種」によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成可能であるため、「条件A」が満たされる。「条件A」が満たされる場合には、警送員は、釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を還流庫に残し、それ以外を売上金として回収することが可能である。
なお、リジェクト庫の金種ごとの収納枚数は搬送不良等により実際には不明であるのが一般的である。しかし、説明のために、図3には、条件Aを満たす還流庫内の有高の他に、リジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)の金種ごとの収納枚数の例も示されている。これらの収納枚数は、装置内の有高から論理的に求められるリジェクト枚数を利用することができる。条件B~Dについても、条件Aと同様にリジェクト庫の金種ごとの収納枚数の例が示されている。
次に、還流庫に存在する現金に基づいて指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成不可能である一方、釣銭準備金額を還流庫に存在する現金に基づいて指定金種とは異なる金種によって構成される釣銭準備金(第2の釣銭準備金)で作成可能であるという条件を「条件B」とする。図3の「B」の行に示されるように還流庫に現金が存在すれば、図4の「B」の行に示されるように、還流庫に存在する現金に基づいて、「釣銭準備金の指定金種」によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成不可能であるが、釣銭準備金額を還流庫に存在する現金に基づいて指定金種とは異なる金種によって構成される釣銭準備金(第2の釣銭準備金)で作成可能であるため、「条件B」が満たされる。「条件B」が満たされる場合には、警送員は、釣銭準備金(第2の釣銭準備金)を還流庫に残し、それ以外を売上金として回収することが可能である。
さらに、還流庫に存在する現金に基づいて釣銭準備金を作成不可能である一方、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成可能であるという条件を「条件C」とする。図3の「C」の行に示されるように還流庫に現金が存在すれば、図4の「C」の行に示されるように、還流庫に存在する現金に基づいて、釣銭準備金を作成不可能であるが、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成可能であるため、「条件C」が満たされる。「条件C」が満たされる場合には、警送員は、釣銭準備金を還流庫に残せないが、売上金を回収することが可能である。
また、還流庫に存在する現金に基づいて釣銭準備金を作成不可能であり、かつ、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成不可能であるという条件を「条件D」とする。図3の「D」の行に示されるように還流庫に現金が存在すれば、図4の「D」の上行に示されるように、還流庫に存在する現金に基づいて、釣銭準備金を作成不可能であり、かつ、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成不可能であるため、「条件D」が満たされる。「条件D」が満たされる場合には、警送員は、釣銭準備金を還流庫に残せない上に、売上金を回収することが不可能である。
しかし、図4の「D」の下行に示されるように、還流庫に存在する現金だけではなく、リジェクト庫に存在する現金(万券2枚、千券1枚、500円硬貨1枚)も合わせれば、「釣銭準備金の指定金種」によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成可能である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る現金取扱い装置1の動作例を示すフローチャートである。図5に示されるように、制御部150は、回収取引を開始すると、条件A~Dのいずれが満たされるかを判断する(S10)。
制御部150は、還流庫に存在する現金に基づいて指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成可能であるという条件Aが満たされる場合(S10において「A」)、条件Aに対応する選択画面を操作表示部133に表示させる。
図6は、条件Aに対応する選択画面A(G11)の例を示す図である。図6を参照すると、選択画面A(G11)には、回収ボタンB111および取消ボタンB112が含まれている。また、選択画面A(G11)には、釣銭準備金を指定金種の構成で還流庫に残して売上金を回収するかを問うメッセージが含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB112が選択された場合には(S11において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって回収ボタンB111が選択された場合には、(S11において「回収」)、第1の売上金回収方法を選択し、第1の売上金回収方法を実行する(S22)。
制御部150は、第1の売上金回収方法の例として、以下の動作を行う。すなわち、制御部150は、還流庫に指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を残し、還流庫から釣銭準備金(第1の釣銭準備金)以外の現金を回収庫(硬貨回収庫127および紙幣回収庫113)に移動させる。そして、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを解錠する。警送員によってフロント扉が開けられ、回収庫に移動された現金が回収庫から売上金として回収され、フロント扉が閉められると、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを施錠し、回収庫内が空になったことを確認すると、回収取引を終了する。
第1の売上金回収方法によれば、指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を還流庫に残しつつ、指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)以外の現金を売上金として回収することが可能である。
一方、制御部150は、還流庫に存在する現金に基づいて指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成不可能である一方、還流庫に存在する現金に基づいて指定金種とは異なる金種によって構成される釣銭準備金(第2の釣銭準備金)を作成可能であるという条件Bが満たされる場合(S10において「B」)、条件Bに対応する選択画面を操作表示部133に表示させる。
図7は、条件Bに対応する選択画面B(G12)および釣銭準備金の構成確認画面G13の例を示す図である。図7を参照すると、選択画面B(G12)には、回収ボタンB122および取消ボタンB123の他、釣銭準備金の構成確認ボタンB121が含まれている。また、選択画面B(G12)には、釣銭準備金を指定金種の構成以外で還流庫に残して売上金を回収するかを問うメッセージが含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB123が選択された場合には(S12において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって回収ボタンB122が選択された場合には(S12において「回収」)、第2の売上金回収方法を選択し、第2の売上金回収方法を実行する(S22)。制御部150は、警送員によって釣銭準備金の構成確認ボタンB121が選択された場合には(S12において「釣銭準備金の構成確認」)、釣銭準備金の構成確認画面G13を操作表示部133に表示させる(S15)。
釣銭準備金の構成確認画面G13には、作成可能な釣銭準備金(第2の釣銭準備金)の構成(すなわち、金種ごとの枚数)が含まれている。また、釣銭準備金の構成確認画面G13には、回収ボタンB131および取消ボタンB132が含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB132が選択された場合には(S16において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって回収ボタンB131が選択された場合には(S16において「回収」)、第2の売上金回収方法を選択し、第2の売上金回収方法を実行する(S22)。
制御部150は、第2の売上金回収方法の例として、以下の動作を行う。すなわち、制御部150は、還流庫に指定金種とは異なる金種によって構成される釣銭準備金(第2の釣銭準備金)を残し、還流庫から釣銭準備金(第2の釣銭準備金)以外の現金を回収庫(硬貨回収庫127および紙幣回収庫113)に移動させる。そして、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを解錠する。警送員によってフロント扉が開けられ、回収庫に移動された現金が回収庫から売上金として回収され、フロント扉が閉められると、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを施錠し、回収庫内が空になったことを確認すると、回収取引を終了する。
第2の売上金回収方法によれば、指定金種によって構成される釣銭準備金(第1の釣銭準備金)を作成不可能な場合であっても、指定金種とは異なる金種によって構成される釣銭準備金(第2の釣銭準備金)を代わりに還流庫に残しつつ、釣銭準備金(第2の釣銭準備金)以外の現金を売上金として回収することが可能である。したがって、第2の売上金回収方法によれば、還流庫に残る釣銭準備金は、指定金種とは異なる金種によって構成されるものの、売上金の回収が効率良く行われ得る。
あるいは、制御部150は、還流庫に存在する現金に基づいて釣銭準備金を作成不可能である一方、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成可能であるという条件Cが満たされる場合(S10において「C」)、条件Cに対応する選択画面を操作表示部133に表示させる。
図8は、条件Cに対応する選択画面C(G14)および還流庫に残る釣銭準備金の構成確認画面G15の例を示す図である。図8を参照すると、選択画面C(G14)には、回収ボタンB142および取消ボタンB143の他、還流庫に残る釣銭準備金の確認ボタンB141が含まれている。また、選択画面C(G14)には、還流庫に釣銭準備金を残せないながらも売上金を回収するかを問うメッセージが含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB143が選択された場合には(S13において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって回収ボタンB142が選択された場合には(S13において「回収」)、第3の売上金回収方法を選択し、第3の売上金回収方法を実行する(S22)。制御部150は、警送員によって還流庫に残る釣銭準備金の確認ボタンB141が選択された場合には(S13において「還流庫に残る釣銭準備金の確認」)、還流庫に残る釣銭準備金の構成確認画面G15を操作表示部133に表示させる(S17)。
還流庫に残る釣銭準備金の構成確認画面G15には、還流庫に残る釣銭準備金の構成(すなわち、金種ごとの枚数)が含まれている。また、還流庫に残る釣銭準備金の構成確認画面G15には、回収ボタンB151および取消ボタンB152が含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB152が選択された場合には(S18において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって回収ボタンB151が選択された場合には(S18において「回収」)、第3の売上金回収方法を選択し、第3の売上金回収方法を実行する(S22)。
制御部150は、第3の売上金回収方法の例として、以下の動作を行う。すなわち、制御部150は、還流庫から売上金を回収庫(硬貨回収庫127および紙幣回収庫113)に移動させる。そして、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを解錠する。警送員によってフロント扉が開けられ、回収庫に移動された売上金が回収庫から回収され、フロント扉が閉められると、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを施錠し、回収庫内が空になったことを確認すると、回収取引を終了する。
第3の売上金回収方法によれば、指定金種によって構成される釣銭準備金を作成不可能な場合である一方、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成可能である場合に、釣銭準備金の全部を還流庫内に残すことはできなくても、売上金を回収することが可能である。したがって、第3の売上金回収方法によれば、釣銭準備金の全部を還流庫内に残すことはできないものの、売上金の回収が効率良く行われ得る。
あるいは、制御部150は、還流庫に存在する現金に基づいて釣銭準備金を作成不可能であり、かつ、還流庫に存在する現金に基づいて売上金を作成不可能であるという条件Dが満たされる場合(S10において「D」)、条件Dに対応する選択画面を操作表示部133に表示させる。
図9は、条件Dに対応する選択画面D(G16)の例を示す図である。図9を参照すると、選択画面D(G16)には、精査ボタンB161および取消ボタンB162が含まれている。また、選択画面D(G16)には、回収ができないことを示すメッセージ、精査するかを問うメッセージ、および、リジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)の現金を精査すると売上金を回収できる可能性があることを示すメッセージが含まれている。制御部150は、警送員によって取消ボタンB162が選択された場合には(S14において「取消」)、回収取引を終了する。一方、制御部150は、警送員によって精査ボタンB161が選択された場合には(S14において「精査」)、リジェクト庫の現金を投入口(紙幣投入口101および硬貨投入口117)に投入することを促すメッセージを操作表示部133に表示させ、フロント扉の電磁ロックを解錠する。警送員によってフロント扉が開けられ、リジェクト庫から取り出された現金が投入口に投入され、フロント扉が閉められると、フロント扉の電磁ロックを施錠し、投入口に投入された現金の精査を行う(S19)。
続いて、制御部150は、S19と同様の判定を行う(S20)。制御部150は、条件Aが満たされる場合には、S11に進み、条件Bが満たされる場合には、S12に進み、条件Cが満たされる場合には、S13に進む(S20において「AorBorC」)。一方、制御部150は、条件Dが満たされる場合には、売上金の回収ができないことを操作表示部133に表示させ(S21)、回収取引を終了する。
本発明の第1の実施形態によれば、制御部150は、還流庫に存在する現金に応じて売上金回収方法を選択する。かかる構成によれば、現金取扱い装置1内の現金に応じて適切な売上金回収方法が実行され得る。さらに、本発明の第1の実施形態では、第1の売上金回収方法から第3の売上金回収方法までのいずれも、釣銭準備金の全部または一部を還流庫内に残し、還流庫から売上金のみを出金すれば済む方法であるため、売上回収時に出金に要する時間を抑制することができる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
<4.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態では、制御部150は、所定の情報に基づいて、複数の売上金回収方法から「釣銭準備金をリジェクト庫へ売上金を回収庫へ移動させる回収方法」を選択する。すなわち、制御部150は、所定の情報に基づいて、リジェクト庫から現金を抜き取り可能にする所定の動作を行い、還流庫から釣銭準備金をリジェクト庫に移動させ、還流庫から釣銭準備金以外の現金を回収庫に移動させる、第4の売上金回収方法を選択する。
なお、所定の情報の例については、後に説明する。また、以下では、リジェクト庫から現金を抜き取り可能にする所定の動作として、フロント扉の電磁ロックの解錠を例に挙げて説明する。しかし、リジェクト庫から現金を抜き取り可能にする所定の動作は、かかる例に限定されない。以下では、かかる第4の売上金回収方法の例を説明する。
図10および図11は、本発明の第2の実施形態に係る現金取扱い装置1の動作例を示すフローチャートである。図10に示されるように、制御部150は、回収取引を開始すると、フロント扉の電磁ロックを解錠する(S31)。警送員は、フロント扉が開け、リジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)内の現金を抜き取る(S32)。これによって、リジェクト庫内の現金は空にされる。
警送員によってリジェクト庫内の現金が抜き取られると、制御部150は、釣銭準備金を還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111および硬貨還流庫125)からリジェクト庫へ移動させる(S33)。なお、通常の運用では、釣銭準備金の量は、リジェクト庫をフルにしてしまうほどの量を有していない。仮に、釣銭準備金の量がリジェクト庫をフルにしてしまうほどの量を有している場合には、制御部150は、釣銭準備金をリジェクト庫へ移動させない。
そして、制御部150は、還流庫に残った釣銭準備金以外の現金(売上金に相当)を回収庫(すなわち、硬貨回収庫127および紙幣回収庫113)に移動させる(S34)。このとき、制御部150は、還流庫から回収庫に現金を移動させる過程において走行リジェクトが発生したとしても、リジェクト庫に既に存在する釣銭準備金と混在してしまうことを防ぐため、還流庫からリジェクト庫には現金を移動させずに、還流庫から回収庫に現金を強制的に移動させる。これによって、還流庫内の現金は空にされる。
続いて、図11に示されるように、警送員は、回収庫内の現金を売上金として回収する(S35)。さらに、警送員は、装置に保管されていた現金入りの封筒などを回収する(S36)。警送員は、リジェクト庫に移動された釣銭準備金を抜き取り(S37)、抜き取った釣銭準備金を投入口(紙幣投入口101および硬貨投入口117)へ投入する(S38)。制御部150は、投入口に投入された釣銭準備金を還流庫に移動させる(S39)。そして、制御部150は、回収取引を終了する。
本発明の第2の実施形態によれば、リジェクト庫内の現金および装置に保管されていた現金などを売上金として回収することができる。また、本発明の第2の実施形態によれば、釣銭準備金が装置内で移動されて管理されるため、釣銭準備金が紙幣投入口101および硬貨出金箱129から装置外に出金される場合と比較して、釣銭準備金が装置外に存在する時間を低減し、釣銭準備金の盗難または紛失の危険性を低下させることができる。
さらに、本発明の第2の実施形態によれば、釣銭準備金の硬貨が硬貨出金箱129から出金される場合と比較して、1回あたりの硬貨の出金枚数(例えば、硬貨の合計枚数または金種ごとの枚数)に制限がなくなるため、釣銭準備金の硬貨の出金に要する手間および時間を低減することができる。さらに、本発明の第2の実施形態によれば、釣銭準備金と売上金とが別の場所に移動されるため、釣銭準備金と売上金とを混在させてしまうミスが生じる可能性が低減される。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
<5.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態では、制御部150は、所定の情報に基づいて、複数の売上金回収方法から「装置内の現金を取り除き釣銭準備金を装置内に戻す回収方法」を選択する。すなわち、制御部150は、所定の情報に基づいて、装置から現金を取り除き可能にする所定の動作を行い、釣銭準備金が投入口に投入されると、投入口に投入された釣銭準備金を還流庫に移動させる、第5の売上金回収方法を選択する。
なお、所定の情報の例については、後に説明する。以下では、かかる第5の売上金回収方法の例を説明する。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る現金取扱い装置1の動作例を示すフローチャートである。図12に示されるように、制御部150は、回収取引を開始すると、装置から現金を取り除き可能にする所定の動作の動作を行う(S41)。これによって、装置内の現金は空にされる。ここで、装置から現金を取り除き可能にする所定の動作は、紙幣還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111)および紙幣リジェクト庫115から紙幣を取り除き可能にする動作、硬貨還流庫125および硬貨リジェクト庫130から硬貨を取り除き可能にする動作、および、装置に保管されていた現金入りの封筒などを取り除き可能にする動作を含む。
紙幣還流庫から紙幣を取り除き可能にする動作は、紙幣還流庫の紙幣を紙幣投入口101から出金させる動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員は紙幣投入口101から出金された紙幣を取り除けばよい。あるいは、紙幣還流庫から紙幣を取り除き可能にする動作は、紙幣還流庫の紙幣を紙幣回収庫113に移動させる動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員は紙幣回収庫113に移動された紙幣を取り除けばよい。あるいは、紙幣還流庫から紙幣を取り除き可能にする動作は、フロント扉の電磁ロックを解錠する動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員はフロント扉を開け、紙幣回収庫113から紙幣を直接取り除けばよい。
紙幣リジェクト庫115から紙幣を取り除き可能にする動作は、フロント扉の電磁ロックを解錠する動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員はフロント扉を開け、紙幣リジェクト庫115から紙幣を抜き取ればよい。
一方、硬貨還流庫125から硬貨を取り除き可能にする動作は、硬貨還流庫125の硬貨を硬貨回収庫127に移動させる動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員は硬貨回収庫127に移動された硬貨を取り除けばよい。あるいは、硬貨還流庫125から硬貨を取り除き可能にする動作は、フロント扉の電磁ロックを解錠する動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員はフロント扉を開け、硬貨回収庫127から硬貨を直接取り除けばよい。
硬貨リジェクト庫130から硬貨を取り除き可能にする動作は、フロント扉の電磁ロックを解錠する動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員は硬貨リジェクト庫130から硬貨を抜き取ればよい。
装置に保管されていた現金入りの封筒などを取り除き可能にする動作は、フロント扉の電磁ロックを解錠する動作を含んでもよい。かかる場合には、警送員は装置内から装置に保管されていた現金入りの封筒などを抜き取ればよい。
警送員は、装置内の現金を取り除くと(S42)、装置内から取り除いた現金のうち釣銭準備金を投入口(すなわち、紙幣投入口101および硬貨投入口117)へ投入する(S43)。このとき、制御部150は、釣銭準備金よりも多くの現金が投入口に投入された場合には、釣銭準備金よりも多く投入された現金をリジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)に移動させればよい。そうすれば、警送員は、釣銭準備金の金額を意識せずに、装置内から取り除いた現金を投入口に投入することができる。制御部150は、釣銭準備金のうち既に投入された分の金額を操作表示部133に表示させてもよい。あるいは、制御部150は、投入された現金では釣銭準備金に足りていない分の金額を操作表示部133に表示させてもよい。
さらに、釣銭準備金の金種(すなわち、金種ごとの枚数)があらかじめ指定されている場合も想定される。かかる場合には、制御部150は、指定枚数を超えて投入された金種の現金を、リジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)に移動させればよい。警送員は、釣銭準備金の金種ごとの枚数を意識せずに、装置内から取り除いた現金を投入口に投入することができる。制御部150は、釣銭準備金のうち既に投入された現金の枚数を金種ごとに操作表示部133に表示させてもよい。あるいは、制御部150は、投入された現金では釣銭準備金に足りていない分の金種ごとの枚数を操作表示部133に表示させてもよい。
制御部150は、投入口に投入された釣銭準備金を還流庫へ移動させる(S44)。そして、警送員は、装置外に残された現金(すなわち、S42において装置内から取り除いた現金のうち、投入口に投入された釣銭準備金以外の現金)を売上金として回収する(S45)。そして、制御部150は、回収取引を終了する。
本発明の第3の実施形態によれば、リジェクト庫内の現金および装置に保管されていた現金などを売上金として回収することができる。また、本発明の第3の実施形態によれば、警送員は、装置内から取り除いた現金を投入口に投入しさえすれば、装置内には釣銭準備金が戻り、装置外には回収すべき売上金が残るため、簡易な操作によって売上金の回収を行うことが可能になる。
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、釣銭準備金の硬貨が硬貨出金箱129から出金される場合と比較して、1回あたりの硬貨の出金枚数(例えば、硬貨の合計枚数または金種ごとの枚数)に制限がなくなるため、釣銭準備金の硬貨の出金に要する手間および時間を低減することができる。さらに、本発明の第3の実施形態によれば、最終的に装置外に残った現金の全部が回収すべき売上金となるため、釣銭準備金と売上金とを混在させてしまうミスが生じる可能性が低減される。
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
<6.第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態では、制御部150は、所定の情報に基づいて、複数の売上金回収方法から「釣銭準備金の硬貨を硬貨回収庫に移動させる回収方法」を選択する。すなわち、制御部150は、所定の情報に基づいて、硬貨回収庫127への硬貨の移動が可能な所定の条件が満たされる場合に釣銭準備金の硬貨を硬貨回収庫127に移動させる、第6の売上金回収方法を選択する。
なお、所定の情報の例については、後に説明する。また、以下の説明では、硬貨回収庫127への硬貨の移動が可能な所定の条件が成立する場合の例として、釣銭準備金の硬貨を硬貨出金箱129に出金した場合に硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が複数回となるという第1の条件、および、硬貨回収庫127において硬貨あふれ(すなわち、硬貨還流庫125がフルになってしまった場合に、売上確定分の硬貨を硬貨回収庫127に収納すること)が発生していないという第2の条件の双方が成立する場合を主に想定する。しかし、硬貨回収庫127への硬貨の移動が可能な所定の条件が成立する場合は、第1の条件および第2の条件のいずれか一方のみが成立する場合であってもよい。また、受け取り回数の閾値は、特に限定されない。また、硬貨出金箱へ出金可能な枚数は、硬貨回収庫へ出金可能な枚数より少ないことが前提となる。
以下では、かかる第6の売上金回収方法の例を説明する。
図13および図14は、本発明の第4の実施形態に係る現金取扱い装置1の動作例を示すフローチャートである。図13に示されるように、制御部150は、回収取引を開始すると、釣銭準備金の金種ごとの枚数と1回あたりの硬貨の出金枚数(例えば、硬貨の合計枚数または金種ごとの枚数)とに基づいて、釣銭準備金の硬貨を硬貨出金箱129に出金した場合に硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が複数回になってしまうか否かを判定する(S51)。
制御部150は、硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が複数回にならないと判定した場合(S51において「NO」)、受け取り回数が1回であれば、さほど時間を要さずに硬貨出金箱129への硬貨の移動が可能であると考えられるため、S55に動作を移行させる。一方、制御部150は、硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が複数回になると判定した場合(S51において「YES」)、硬貨出金箱129への硬貨の移動に多くの時間を要すると考えられるため、S52に動作を移行させる。
S52に動作が移行されると、制御部150は、硬貨回収庫127に硬貨あふれが発生していないか否かを判定する(S52)。制御部150は、硬貨回収庫127に硬貨あふれが発生していないと判断した場合には(S52において「YES」)、硬貨回収庫127への硬貨の移動が可能であると考えられるため、釣銭準備金の硬貨を硬貨還流庫125から硬貨回収庫127に移動させる(S53)。そして、警送員は、硬貨回収庫127に移動された釣銭準備金の硬貨を抜取る(S54)。その後、制御部150は、S57に動作を移行させる。
一方、制御部150は、硬貨回収庫127に硬貨あふれが発生していると判断した場合には(S52において「NO」)、硬貨回収庫127への硬貨の移動が不可能であると考えられるため、釣銭準備金の硬貨を硬貨還流庫125から硬貨出金箱129に移動させる(S55)。そして、警送員は、硬貨出金箱129に移動された釣銭準備金の硬貨を抜取る(S56)。その後、制御部150は、S57に動作を移行させる。
続いて、制御部150は、紙幣還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111)から紙幣投入口101へ、釣銭準備金の紙幣を出金する(S57)。警送員は、紙幣投入口101に出金された釣銭準備金の紙幣を抜取る(S58)。
図14に示されるように、制御部150は、還流庫に残った釣銭準備金以外の現金(売上金に相当)を回収庫(すなわち、硬貨回収庫127および紙幣回収庫113)に移動させる(S59)。これによって、還流庫内の現金は空にされる。
続いて、警送員は、回収庫内の現金を売上金として回収する(S60)。さらに、警送員は、装置に保管されていた現金入りの封筒などを回収する(S61)。そして、警送員は、リジェクト庫内の現金を回収する(S62)。警送員は、S54またはS56で抜取った硬貨及びS58で抜取った紙幣を釣銭準備金として投入口(すなわち、紙幣投入口101および硬貨投入口117)に投入する(S63)。制御部150は、投入口に投入された釣銭準備金を還流庫に移動させる(S64)。そして、制御部150は、回収取引を終了する。
本発明の第4の実施形態によれば、リジェクト庫内の現金および装置に保管されていた現金などを売上金として回収することができる。また、本発明の第4の実施形態によれば、釣銭準備金の硬貨が常に硬貨出金箱129から出金される場合と比較して、硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が少なくなるため、警送員にとって硬貨出金箱129から硬貨を取り出す手間が低減されるとともに、警送員が硬貨出金箱129の残留硬貨を目視によって確認する回数が低減され、警送員による確認ミスを減らすことが可能である。
また、硬貨出金箱129での硬貨の受け取り回数が少なくなることによって、装置に掛かる負担が低減され得る。装置に掛かる負担が低減されることは、装置の寿命を延ばすことにも繋がり得る。さらに、本発明の第4の実施形態によれば、釣銭準備金の硬貨が常に硬貨出金箱129から出金される場合と比較して、硬貨の出金枚数の制限を受けることが少なくなるため、釣銭準備金の硬貨の出金に要する手間および時間を低減することができる。
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
<7.第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。本発明の第5の実施形態では、制御部150は、所定の情報に基づいて、複数の売上金回収方法から「釣銭準備金を回収庫へ移動させ、売上金を還流庫から回収する回収方法」を選択する。すなわち、制御部150は、所定の情報に基づいて、還流庫から釣銭準備金を回収庫に移動させ、還流庫から釣銭準備金以外の現金を取り出し可能にする所定の動作を行う、第7の売上金回収方法を選択する。
なお、所定の情報の例については、後に説明する。また、以下では、還流庫から現金を取り出し可能にする所定の動作として、フロント扉の電磁ロックの解錠を例に挙げて説明する。しかし、還流庫から現金を取り出し可能にする所定の動作(すなわち、紙幣還流庫から紙幣を取り出し可能にするとともに、硬貨還流庫から硬貨を取り出し可能にする所定の動作)は、かかる例に限定されない。以下では、かかる第7の売上金回収方法の例を説明する。
図15は、本発明の第5の実施形態に係る現金取扱い装置1の動作例を示すフローチャートである。図15に示されるように、制御部150は、回収取引を開始すると、釣銭準備金を回収庫(すなわち、紙幣回収庫113および硬貨回収庫127)に移動させる(S71)。そして、制御部150は、フロント扉の電磁ロックを解錠する(S72)。警送員は、フロント扉が開け、還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111および硬貨還流庫125)とリジェクト庫(紙幣リジェクト庫115および硬貨リジェクト庫130)から現金を売上金として回収する(S73)。これによって、還流庫内およびリジェクト庫内の現金は空にされる。
警送員によって還流庫内およびリジェクト庫内の現金が回収されると、制御部150は、紙幣回収庫113から釣銭準備金の紙幣を紙幣還流庫(すなわち、万券還流庫107、五千券還流庫109、千券還流庫111)に戻す(S74)。これによって、紙幣回収庫113内の現金は空にされる。
一方、警送員は、硬貨回収庫127に移動された釣銭準備金の硬貨を抜き取る。これによって、硬貨回収庫127内の現金は空にされる。警送員は、硬貨回収庫127から抜き取った釣銭準備金の硬貨を硬貨投入口117に投入する(S75)。そして、制御部150は、硬貨投入口117に投入された釣銭準備金の硬貨を硬貨還流庫125に移動させる(S76)。そして、制御部150は、回収取引を終了する。
本発明の第5の実施形態によれば、還流庫から回収庫に移動された売上金を回収する場合と比較して、還流庫およびリジェクト庫から売上金を直接回収すればよいため、売上金の回収に掛かる時間を短縮することが可能である。還流庫から回収庫に移動された売上金を回収する場合には、売上金が多くなるほど、還流庫から回収庫への売上金の移動に時間が掛かる上に、フロント扉を開いて回収庫を取り出す回数も増加するため、売上金が多くなるほど、本発明の第5の実施形態はより効果的に実施され得る。
さらに、本発明の第5の実施形態によれば、釣銭準備金と売上金とが別の場所に移動されるため、釣銭準備金と売上金とを混在させてしまうミスが生じる可能性が低減される。また、本発明の第5の実施形態によれば、釣銭準備金の紙幣が自動的に紙幣回収庫113から紙幣還流庫に戻される過程において紙幣鑑別部105によって釣銭準備金の紙幣の枚数が計数され、硬貨投入口117に投入された釣銭準備金の硬貨の枚数も硬貨鑑別部119によって計数されるため、最終的に還流庫に収納される釣銭準備金の正確性が保証され得る。
以上、本発明の第5の実施形態について説明した。
<8.第6の実施形態>
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態から本発明の第5の実施形態までの各実施形態では、制御部150が、所定の情報に基づいて、複数の売上金回収方法から実行すべき売上金回収方法を選択する場合を説明した。本発明の第6の実施形態では、所定の情報が、利用者による操作情報を含む場合について説明する。すなわち、本発明の第6の実施形態では、制御部150が、利用者による操作情報に基づいて、複数の売上金回収方法から実行すべき売上金回収方法を選択する場合を想定する。
図16は、設定画面の例を示す図である。図16に示されるように、制御部150は、管理者によって所定の設定操作が行われた場合に、設定画面G21を操作表示部133に表示させる。設定画面G21は、設定1に対応するボタンE11、設定2に対応するボタンE12、設定3に対応するボタンE13、設定4に対応するボタンE14、設定5に対応するボタンE15、設定6に対応するボタンE16、キャンセルボタンB211および確定ボタンB212を含む。管理者によってキャンセルボタンB211が選択された場合には、設定画面G21の表示がキャンセルされる。
管理者によって、設定1に対応するボタンE11が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、実行すべき売上金回収方法として、本発明の第1の実施形態において説明した「装置内の現金に応じて自動選択される回収方法」を実行するように設定を行う。すなわち、かかる設定が行われた場合には、制御部150は、回収取引を開始すると、還流庫に存在する現金に応じて、本発明の第1の実施形態において説明した、第1の売上金回収方法から第3の売上金回収方法のいずれかを選択する。
管理者によって、設定2に対応するボタンE12が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、実行すべき売上金回収方法として、本発明の第2の実施形態において説明した「釣銭準備金をリジェクト庫へ売上金を回収庫へ移動させる回収方法」を選択するように設定を行う。すなわち、かかる設定が行われた場合には、制御部150は、回収取引を開始すると、本発明の第2の実施形態において説明した、第4の売上金回収方法を選択する。
管理者によって、設定3に対応するボタンE13が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、実行すべき売上金回収方法として、本発明の第3の実施形態において説明した「装置内の現金を取り除き釣銭準備金を装置内に戻す回収方法」を選択するように設定を行う。すなわち、かかる設定が行われた場合には、制御部150は、回収取引を開始すると、本発明の第3の実施形態において説明した、第5の売上金回収方法を選択する。
管理者によって、設定4に対応するボタンE14が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、実行すべき売上金回収方法として、本発明の第4の実施形態において説明した「釣銭準備金の硬貨を硬貨回収庫に移動させる回収方法」を選択するように設定を行う。すなわち、かかる設定が行われた場合には、制御部150は、回収取引を開始すると、本発明の第4の実施形態において説明した、第6の売上金回収方法を選択する。
管理者によって、設定5に対応するボタンE15が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、実行すべき売上金回収方法として、本発明の第5の実施形態において説明した「釣銭準備金を回収庫へ移動させ、売上金を還流庫から回収する回収方法」を選択するように設定を行う。すなわち、かかる設定が行われた場合には、制御部150は、回収取引を開始すると、本発明の第5の実施形態において説明した、第7の売上金回収方法を選択する。
管理者によって、設定6に対応するボタンE16が選択され、確定ボタンB212が選択された場合には、回収取引開始時に売上金回収方法を選択できるように設定が行われる。すなわち、かかる設定が行われた場合には、警送員は、回収取引開始時に売上金回収方法を選択可能になる。
図17は、回収取引開始画面の例を示す図である。例えば、回収用メニュー画面G10(図2)において警送員によって回収ボタンB101が選択されると、制御部150は、回収取引開始画面G22を操作表示部133に表示させる。回収取引開始画面G22は、ボタンE21~E25およびキャンセルボタンB221を含む。警送員によってボタンE21が選択された場合には、制御部150は、還流庫に存在する現金に応じて、第1の売上金回収方法から第3の売上金方法のいずれかを選択する。
警送員によってボタンE22が選択された場合には、制御部150は、第4の売上金回収方法を選択する。警送員によってボタンE23が選択された場合には、制御部150は、第5の売上金回収方法を選択する。警送員によってボタンE24が選択された場合には、制御部150は、第6の売上金回収方法を選択する。警送員によってボタンE25が選択された場合には、制御部150は、第7の売上金回収方法を選択する。警送員によってキャンセルボタンB221が選択された場合には、回収取引開始画面G22の表示がキャンセルされる。
本発明の第6の実施形態によれば、制御部150が、利用者による選択に基づいて、複数の売上金回収方法から実行すべき売上金回収方法を選択する。本発明の第6の実施形態によれば、店舗の各種状況(例えば、店舗の運用など)に応じて、利用者が売上金回収方法を選択することが可能である。売上金回収方法は、管理者が設定時に選択することも可能である。あるいは、売上金回収方法は、警送員が回収取引時に選択するように設定することも可能である。
以上、本発明の第6の実施形態について説明した。
<9.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、現金取扱い装置1の例として、現金の入出金を行う入出金機が用いられる場合を主に想定した。しかし、現金取扱い装置1は、入出金機に限定されない。例えば、現金取扱い装置1は、装置内の売上金を回収する必要がある各種装置(例えば、釣銭機)などであってもよい。
また、現金取扱い装置1の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金取扱い装置1の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。