(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る現金処理装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る現金処理装置100の内部構成を示す内部構成図である。
図2において、第1の実施形態に係る現金処理装置100は、紙幣投入口1、紙幣一時保留部2、紙幣鑑別部3、紙幣カセット4、リジェクト部8、硬貨投入口9、硬貨鑑別部10、硬貨一時保留部11、硬貨返却箱12、出金ホッパ13、硬貨回収庫14、出金箱としての硬貨出金箱15、カードリーダ部16、操作表示部17を有する。
カードリーダ部16は、取引開始時に、利用者(オペレータ)のレジスタカード(以下、レジカードとも呼ぶ。)やIDカード等のカードに設けられている記録媒体(例えば、磁気ストライプ、ICチップ等)に格納されているデータを読み取るものである。
操作表示部17は、例えばLCD、テンキー、操作ボタン、タッチパネル等から構成されるものであり、利用者操作により取引種別の選択や、出金や入金に必要な情報の入力を受け付けたり、現金処理装置100の操作状態や誘導画面(例えば、出金硬貨受け取り誘導画面等)を表示したりする。
紙幣投入口1は、入金紙幣の投入口であると共に、売上入金の取り消しにより返却される紙幣、出金紙幣及び入金リジェクト紙幣の出金口である。
紙幣一時保留部2は、入金取引における入金計数の際や売上金作成の際に、紙幣投入口1に投入された紙幣を一時的に集積・保留する。
紙幣鑑別部3は、入金紙幣や出金紙幣の真偽判定、正損判定、計数処理等を行なう。紙幣鑑別部3は、偽券と判定するための基準情報を参照して、搬送路(図示しない)を搬送する紙幣が偽券であるか否かを判定する。また紙幣鑑別部3は、搬送する紙幣の画像データ等に基づいて損券として判定する。
紙幣カセット4は、紙幣を収納する紙幣収納部である。紙幣カセット4は、例えば入金された紙幣を出金紙幣として繰り出すため、集積機能及び繰り出し機能を有する還流型カセット(いわゆるリサイクルカセット)を適用できる。
紙幣カセット4は、図2に示すように、千円券紙幣を収納する紙幣カセット(千券カセット)4A、五千円券紙幣を収納する紙幣カセット(五千カセット)4B、万券紙幣を収納する紙幣カセット(万券カセット)4C、入金時や精算集計時に他の紙幣カセット4A〜4Cから売上金に相当する紙幣を移動して収納する回収カセット4Dを有する。
紙幣カセット4A〜4Cは、釣銭準備金としての紙幣を収納する。また、紙幣カセット4A〜4Cは、売上入金の際に、紙幣鑑別部3により正券と鑑別された紙幣を収納し、釣銭出金時には、収納している紙幣を出金紙幣として出金する。
リジェクト部8は、売上入金時に、紙幣一時保留部2から紙幣カセット4A〜4Cのいずれかに紙幣を収納する際に、紙幣鑑別部3によりリジェクト判定された紙幣や、紙幣カセット4A〜4Cのいずれかから釣銭出金する際に、紙幣鑑別部3によりリジェクト判定されたリジェクト紙幣や、売上金作成の際に、紙幣カセット4A〜4Cのいずれかから回収カセット4Dに移動する際に、紙幣鑑別部3によりリジェクト判定されたリジェクト紙幣を集積する。
硬貨投入口9は、入金硬貨の投入口である。
硬貨鑑別部10は、硬貨投入口9に投入された硬貨を鑑別したり計数したりする。
硬貨一時保留部11は、入金計数時に、硬貨投入口9から投入された硬貨を一時的に集積する。
硬貨返却箱12は、硬貨の計数及び売上入金の取り消しにより返却すべき硬貨を集積する。
出金ホッパ13は、釣銭準備金としての硬貨を収納する。出金ホッパ13は、売上入金の際に、硬貨鑑別部10により正常貨と鑑別された硬貨を収納し、釣銭出金時に、収納している硬貨を出金する。
硬貨回収庫14は、精算集計時に、出金ホッパ13から売上金としての硬貨を移動して収納する。
出金箱としての硬貨出金箱15は、釣銭出金時に、出金硬貨を収納する。
図3は、第1の実施形態に係る硬貨出金箱15を横から見たときの断面図である。図4は、第1の実施形態に係る硬貨出金箱15を上から見たときの図である。
図3に例示するように、硬貨出金箱15は、現金処理装置100の本体に対してスライド可能である。利用者が出金硬貨を受け取る際には、利用者により硬貨出金箱15が現金処理装置100から引き出され、利用者が硬貨を受け取ると、利用者により硬貨出金箱15が現金処理装置100の中に戻される。
硬貨出金箱15には、硬貨出金箱15に対して脱着可能な、複数(図3では6個)の小箱151〜156が設けられている。これら小箱は、金種別の現金(特に硬貨)を収納する金種別収納部とも呼ぶ。
各小箱151〜156は、出金硬貨を金種毎に収納するものであり、例えば小箱151は50円硬貨を収納し、小箱152は100円硬貨を収納し、小箱153は500円硬貨を収納し、小箱154は5円硬貨を収納し、小箱155は10円硬貨を収納し、小箱156は1円硬貨を収納する。
図4において、各小箱151〜156の近傍には、残留検知部としての残留硬貨検知部21及び22が設けられている。
残留硬貨検知部21及び22は、硬貨出金箱15が現金処理装置100内に戻されたときに、各小箱151〜156内に硬貨が残留しているか否かを検知する。
残留硬貨検知部21及び22は、例えば、送光部と受光部とからなる光学センサ等を適用することができる。また、受光部が送光部からの光を受光できるようにするため、各小箱151〜156には光を通過させる開口部(図示しない)が設けられている。
なお、図4では、残留硬貨検知部21及び22が、各小箱151〜156の両サイド(図4の左右端部側)に設けられている場合を例示している。しかし、残留硬貨検知部21及び22は、各小箱151〜156内の残留硬貨を検知できるのであれば、硬貨出金箱15を引き出したときの各小箱151〜156の奥側端部及び手前側端部に設けられてもよい。
図5は、第1の実施形態に係る現金処理装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、現金処理装置100は、制御部30、記憶部40、操作表示部17、カードリーダ部16、紙幣鑑別部3、硬貨鑑別部10、残留硬貨検知部21、22を有する。
なお、操作表示部17、カードリーダ部16、紙幣鑑別部3、硬貨鑑別部10、残留硬貨検知部21、22の構成について既に説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
記憶部40は、例えば、各種処理プログラム、レジスタを担当する利用者(オペレータ)の利用者情報(例えば、氏名、ID番号等)、各レジスタの識別番号、各レジスタを担当する利用者のシフト情報、各レジスタのシフトに応じて出金する金種毎の出金枚数の出金パターンを事前登録したパターン出金情報、釣銭出金や売上入金に関する情報、売上金や精査結果などを記憶する。
制御部30は、現金処理装置100において行なわれる各種機能を司るものである。制御部30のハードウェアは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等の装置であり、CPUが各処理プログラムを実行することにより、現金処理装置100の各種機能が行なわれる。なお、各処理プログラムがインストールされることにより、各種機能が実現されるようにしてもよい。
第1の実施形態に係る制御部30は、主として、取引処理部31、出金制御部としての硬貨出金制御部32を有する。
取引処理部31は、現金処理装置100における各取引処理を行なう。具体的には、取引処理部31は、「釣銭出金」、「売上入金」、「計数」、「両替」、「補充」、「抜き取り」、「精算集計」、「回収」等の取引を行なう。
釣銭出金取引は、釣銭準備金に相当する現金(紙幣、硬貨)を出金する取引である。取引処理部31は、事前に登録済みのレジカードやIDカードの格納データを読み出し、認証処理を行なう。認証結果が成功である場合、取引処理部31は、メニュー画面を操作表示部17に表示し、「釣銭出金」ボタンが選択されると、事前登録された「金種と枚数パターンの出金」、若しくは、「任意の金種と枚数を指定する出金」のサブメニューを表示する。金種毎の出金枚数が決定すると、取引処理部31は、指定された金種毎の出金枚数の現金を、紙幣カセット4や出金ホッパ13から出金する。
売上入金取引は、釣銭準備金と売上金とを含む現金を入金する取引である。紙幣鑑別部3や硬貨鑑別部10は、紙幣投入口1や硬貨投入口9から投入された現金(紙幣、硬貨)の金種判定や計数等を行ない、取引処理部31は、紙幣鑑別部3や硬貨鑑別部10からの判定結果に基づいて、投入された紙幣、硬貨を金種に対応する紙幣カセット4A〜4Cや出金ホッパ13に収納する。また取引処理部31は、紙幣鑑別部3によりリジェクト判定された紙幣を紙幣投入口1に返却し、硬貨鑑別部10によりリジェクト判定された硬貨を硬貨返却箱12に返却する。
計数取引は、紙幣投入口1や硬貨投入口9から投入された紙幣と硬貨の計数金額を操作表示部17に表示する取引である。取引処理部31は、紙幣鑑別部3や硬貨鑑別部10により計数された計数金額を操作表示部17に表示する。操作表示部17を通じて利用者が計数金額を確認すると、取引処理部31は、計数した紙幣を紙幣投入口1に返却し、硬貨を硬貨返却箱12に返却する。
両替取引は、紙幣投入口1や硬貨投入口9から投入された現金を両替する取引である。取引処理部31は、紙幣鑑別部3や硬貨鑑別部10により計数された計数金額を操作表示部17に表示して、指定された両替金種、枚数の紙幣を紙幣投入口1に出金し、硬貨を硬貨出金箱15に出金する。
補充取引は、紙幣カセット4A〜4Cや出金ホッパ13に釣銭用の紙幣や硬貨を補充する取引である。取引処理部31は、紙幣投入口1や硬貨投入口9から投入された紙幣や硬貨を、金種に対応する紙幣カセット4A〜4Cや出金ホッパ13に収納する。
抜き取り取引は、現金精査のために、現金処理装置100内の全ての紙幣・硬貨、もしくは、入金過多で溢れそうな紙幣カセット4A〜4Cの紙幣を紙幣投入口1に出金し、出金ホッパ13の硬貨を硬貨出金箱15に出金する。
精算集計取引は、メニュー画面から「精算集計」ボタンを選択すると、それまでの出金及び入金取引を集計し、売上額を算出(入金合計−出金合計)し、その結果を操作表示部17に表示する。
売上回収取引は、メニュー画面から「売上回収」ボタンを選択すると、売上額を売上移動金額として、各紙幣カセット4A〜4Cから回収カセット4Dに移動し、売上金を作成する。売上金の移動が完了したら、利用者はフロント扉を開けて、回収カセット4Dを抜き取り、回収カセット4Dから売上金が回収されて、空の回収カセット4Dが現金処理装置100にセットされたところで取引終了となる。利用者は、回収した現金を金融機関等に売上金として入金する。
硬貨出金制御部32は、現金としての硬貨を出金する処理動作を制御する。特に、第1の実施形態に係る硬貨出金制御部32は、硬貨出金箱15に出金硬貨を金種別に出金する動作を行なう。
図5において、硬貨出金制御部32は、出金枚数処理部321、出金処理部としての硬貨出金処理部322、残留確認部としての残留硬貨確認部323、誘導制御部としての誘導画面制御部324を有する。
出金枚数処理部321は、操作表示部17を通じて、利用者操作により指定された出金硬貨の金種枚数に関する情報を取得するものである。
なお、金種枚数の指定は、操作表示部17を通じて、利用者操作により個別に入力指定されたものであってもよいし、事前出金パターンとして登録された金種枚数であってもよい。
硬貨出金処理部322は、出金枚数処理部321により取得された金種枚数に関する情報に基づいて、指定された金種枚数の硬貨を、出金ホッパ13から硬貨出金箱15内の各小箱151〜156に出金(排出)する。
このとき、硬貨出金処理部322は、出金ホッパ13から移動させる硬貨の枚数が指定された金種枚数であるかを判断し、出金ホッパ13から繰り出す硬貨の枚数を金種毎に計数する。なお、硬貨出金処理部322は、出金ホッパ13からの硬貨の枚数を計数するようにしてもよいし、出金ホッパ13からの硬貨の重量を計測して、指定された金種枚数に応じた重量であるか否かを判断して硬貨を小箱151〜156に出金するようにしてもよい。
また、各小箱151〜156から硬貨が溢れないようにするため、予め各小箱151〜156に1度に収納する出金限度枚数が定められている。
硬貨出金処理部322は、金種毎に、指定された出金枚数と出金限度枚数とを比較し、指定された金種枚数が出金限度枚数以下である場合には、当該金種の硬貨を1回の出金動作で小箱151〜156に出金する。つまり、硬貨出金処理部322は、全ての金種の出金枚数が出金限度枚数を超えているか否かを判断する。
一方、指定された金種枚数が出金限度枚数を超えている場合には、その金種の硬貨を、複数回に分けて、対応する小箱151〜156に出金する。
ここで、複数の金種のうち、いずれか1種類以上の金種の枚数が出金限度枚数を超えている場合、硬貨出金処理部322は、金種枚数が出金限度枚数を超えている硬貨を、複数回に分けて小箱151〜156に出金するが、出金限度枚数を超えていない金種の硬貨については1回の出金動作となる。
利用者側から見ると、利用者が小箱151〜156から硬貨を受け取る場合、利用者は、現金処理装置100の本体から硬貨出金箱15を引き出して、各小箱151〜156から硬貨を取り出した後、硬貨出金箱15を現金処理装置100の本体に戻すという動作を行なう。従って、いずれか1種類以上の金種枚数が出金限度枚数を超えている場合には、複数回の出金動作となるため、利用者は、硬貨出金箱15を引き出して、硬貨受け取り後、硬貨出金箱15を戻すという動作を複数回行なうことになる。
また、硬貨出金処理部322が、複数回に分けて硬貨を小箱151〜156に出金するパターンは、様々な出金パターンで行なうことができる。例えば、出金限度枚数が50枚であり、1円硬貨の出金枚数が60枚であるとする。この場合、硬貨出金処理部133は、第1回目の出金動作において出金限度枚数である50枚を小箱156に出金し、第2回目の出金動作において残りの10枚を小箱156に出金するようにしてもよい。また例えば、硬貨出金処理部133は、第1回目の出金動作において残りの10枚を小箱156に出金し、第2回目の出金動作において出金限度枚数である50枚を小箱156に出金するようにしてもよい。
残留硬貨確認部323は、利用者により出金硬貨が受け取られた後に、硬貨出金箱15内の各小箱151〜156に硬貨が残留しているか否かを確認する。より具体的には、利用者により一度引き出された硬貨出金箱15が現金処理装置100の本体に戻されると、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22からの検知情報に基づいて、各小箱151〜156内に硬貨が残留しているか否かを確認する。なお、残留硬貨確認部323の処理動作については、後述する動作説明において詳細に説明する。
誘導画面制御部324は、利用者に対して出金硬貨の受け取りを誘導する出金硬貨受取り誘導画面や、残留硬貨確認部323による残留硬貨確認結果に基づいて、残留硬貨の受け取りを誘導する残留硬貨受取り画面を、操作表示部17に出力する。これにより、出金硬貨の受け取りを利用者に注意喚起させたり、残留硬貨があることを利用者に注意喚起させたりすることができる。なお、誘導画面制御部324の処理動作については、後述する動作説明において詳細に説明する。
(A−2)第1の実施形態の動作
図1は、第1の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
ここで、図1に例示する硬貨出金処理は、現金処理装置100が、各種取引において現金を出金する動作のうち、硬貨を出金する動作であり、更には、取引種類に関係なく、現金処理装置100が、硬貨出金箱15の各小箱151〜156に硬貨を金種別に出金することをいう。
図1では、硬貨出金処理の一例として釣銭出金取引を行なう場合を例示する。しかし、硬貨出金処理は、釣銭出金取引に限定されず、抜き取り取引、両替取引における硬貨出金処理にも適用できる。
例えば、現金処理装置100において、レジカード、ICカードに格納されている情報に基づいて所定の認証処理が行なわれる。認証成功後、利用者により、操作表示部17に表示されるメニュー画面から釣銭出金が選択されると、釣銭出金取引が開始する。
まず、硬貨出金取引開始時に、現金処理装置100におけるイニシャル処理として、残留硬貨確認部323は、硬貨出金箱15内の硬貨残留確認を行なう(S101)。より具体的には、各残留硬貨検知部21及び22が、硬貨出金箱15内の各小箱151〜156に残留硬貨の有無を検知する。残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22からの検知結果に基づいて、各小箱151〜156の残留硬貨確認を行なう。
そして、硬貨出金箱15内に残留硬貨がある場合(S102)、処理はS103に移行する。釣銭出金前の残留硬貨の受け取りを利用者に誘導するため、誘導画面制御部324は、出金硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に出力する(S103)。複数の小箱151〜156のうち、いずれか1以上の小箱内に硬貨が残留しているときに、出金硬貨受取り誘導画面が表示される。
硬貨出金箱15内に残留硬貨がない場合(S102)、処理はS104に移行する。出金硬貨の金種枚数を取得するため、操作表示部17における利用者操作により、出金パターンや出金硬貨の金種枚数が入力される(S104)。
出金枚数処理部321は、操作表示部17を通じて、指定された金種枚数を取得する。硬貨出金処理部322は、指定された金種枚数と出金限度枚数とを比較し、その比較結果に基づく各金種の硬貨を、出金ホッパ13から硬貨出金箱15内の各小箱151〜156に硬貨を出金する(S105)。このとき、硬貨出金処理部322は、金種毎に、指定された出金枚数と出金限度枚数とを比較し、出金枚数が出金限度枚数以下の場合には、その金種枚数の硬貨を小箱151〜156に出金する。また、出金枚数が出金限度枚数を超える場合には、複数回に分けて、その金種の硬貨を出金する。
硬貨出金処理部322により各小箱151〜156に硬貨が出金されると、誘導画面制御部324は、利用者に出金硬貨の受け取りを誘導するため、出金硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に出力する(S106)。
利用者は、現金処理装置100の本体から硬貨出金箱15を引き出し、硬貨出金箱15から各小箱151〜156を取り出し、各小箱151〜156に収納されている硬貨を受け取る。利用者が各小箱151〜156から硬貨を受け取ると、利用者は、硬貨出金箱15を現金処理装置100の本体に戻す。
硬貨出金箱15が現金処理装置100の本体に戻されると、硬貨出金処理部322は、指定された金種枚数の硬貨を全て出金済みであるか否かを判断する(S107)。
全額出金済みでない場合(S107)、すなわち、いずれか1種類以上の金種を複数回に分けて出金する場合であって、まだ未出金硬貨が残っているとき、処理はS108に移行する。
残留硬貨確認部323は、前回出金した硬貨が各小箱151〜156に残留しているか否かを確認するため、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、硬貨出金箱15内の残留硬貨の有無を確認する(S108)。
そして、継続出金する金種の硬貨が小箱151〜156に残留していない場合(S109)、継続出金する金種の残りの硬貨を出金するため、処理はS105に移行し、硬貨出金処理部322は未出金の硬貨を継続出金する(S105〜S107)。
一方、継続出金する金種の硬貨が小箱151〜156に残留している場合(S109)、誘導画面制御部324は、残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示し(S110)、処理はS108に移行して、残留硬貨確認部323が残留硬貨を確認する。
ここで、S108〜S110における硬貨出金箱15内の残留硬貨確認処理、及び、誘導画面の出力動作を説明する。
S108〜S110では、残留硬貨確認部323が、継続出金する金種に対応する小箱151〜156内に残留硬貨があることを確認した場合に、誘導画面制御部324が残留硬貨誘導画面を操作表示部17に表示する。
複数回に分けて硬貨を出金する場合、継続出金する金種の小箱に硬貨が残っている状態で、硬貨を継続出金してしまうと、その金種の小箱から硬貨が溢れてしまう可能性がある。そのため、継続出金前に、継続出金する金種の小箱の残留確認を行なう。
第1の実施形態では、継続出金する金種に対応する小箱151〜156内に残留硬貨がある場合にのみ、誘導画面制御部324は残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する。
より具体的には、残留硬貨確認部323は、全ての残留硬貨検知部21及び22からの検知情報に基づいて、全ての小箱151〜156内に残留硬貨があるか否かを確認する。
誘導画面制御部324は、全ての小箱151〜156のうち、継続出金する金種の小箱151〜156内に残留硬貨ある場合にのみ、残留硬貨誘導画面を操作表示部17に表示する。
例えば、10円硬貨のみの出金枚数が出金限度枚数を超えており、10円硬貨が複数回に分けて出金する金種であるとする。この場合、残留硬貨確認部323は、全ての小箱151〜156内に残留硬貨があるか否かを確認する。
このとき、継続出金をしない金種である100円硬貨の小箱152に残留硬貨が確認されても、誘導画面制御部324は残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17には表示しない。この場合、後述するS111〜S113の処理により、100円硬貨の残留を利用者に知らせることができるからである。
すなわち、継続出金をしない金種の小箱に残留硬貨があっても、ここでは残留硬貨受取り誘導処理を行なわない。このようにすることで、従来のように継続出金前に、継続出金をしない金種の小箱に残留硬貨があっても、残留硬貨の受け取り誘導を利用者に行なうことなく、継続出金を行なうことができる。
一方、継続出金をする金種である10円硬貨の小箱155に残留硬貨が確認されたり、10円硬貨と継続出金をしない金種の硬貨(例えば100円硬貨)の小箱に残留硬貨が確認されたりする場合、誘導画面制御部324は残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する。
これにより、継続出金する金種の小箱に、更に未出金の硬貨を継続出金し、その小箱から硬貨が溢れてしまうことを防止できる。また、継続出金しない金種の小箱に残留硬貨があったとしても、その小箱には継続出金されないため、硬貨が溢れてしまうことはない。
また、S108〜S110の残留硬貨確認処理及び誘導画面の出力処理の変形実施形態を説明する。
例えば、残留硬貨確認部323は、全ての残留硬貨検知部21及び22からの検知情報に基づいて、継続出金をする金種の小箱151〜156のみ、残留硬貨があるか否かを確認する。
そして、残留硬貨確認部323により継続出金をする金種の小箱151〜156に残留硬貨がある場合、誘導画面制御部324は残留硬貨誘導画面を操作表示部17に表示する。
例えば、10円硬貨が複数回に分けて出金する金種であるとする。この場合、残留硬貨確認部323は、10円硬貨の小箱155のみに残留硬貨があるか否かを確認する。そして、10円硬貨の小箱155内に残留硬貨がある場合、誘導画面制御部324は残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する。
なお、この例の場合、残留硬貨確認部323は、継続出金をしない金種の小箱内の残留硬貨の有無を確認しないので、例えば、継続出金をしない金種である100円硬貨の小箱152に残留硬貨が確認されても、誘導画面制御部324は残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17には表示しない。
この例の場合も、継続出金する金種の小箱に、更に未出金の硬貨を継続出金し、その小箱から硬貨が溢れてしまうことを防止できる。また、継続出金しない金種の小箱に残留硬貨があったとしても、その小箱には継続出金されないため、硬貨が溢れてしまうことはない。
S107において、全額出金済みである場合、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、各小箱151〜156内に硬貨残留の有無を確認する(S111)。
このとき、残留硬貨確認部323は、全ての小箱151〜156について残留硬貨の有無を確認する。そして、全ての小箱151〜156に硬貨が残留していない場合(S112)には、釣銭出金が正常に終了する(S114)。その後の処理に移行する。
一方、いずれかの小箱151〜156に残留硬貨がある場合(S112)、誘導画面制御部324は、残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する(S113)。S109において、継続出金をしない金種の小箱内に残留硬貨があったとしても、S112において残留硬貨の有無を確認するため、残留硬貨受取り誘導処理を行なうことができる。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、受取り完了後に硬貨出金箱の残留硬貨を検知した場合、継続出金する金種の小箱内に残留硬貨がある場合にのみ、残留硬貨受取り誘導処理を行なうため、利用者の操作性を向上させることができる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態に係る現金処理装置100は、硬貨出金制御部32による処理動作が異なり、基本的な構成は第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態においても、第1の実施形態の図2〜図5を用いて説明する。
例えば、利用者が小箱から出金硬貨を受け取る際に、別の金種の小箱に出金硬貨が紛れてしまうことがある。その別の小箱が継続出金する金種である場合、そのまま継続出金してしまうと、次回の継続出金の際に小箱から硬貨が溢れてしまうことがある。
そこで、第2の実施形態の硬貨出金制御部32は、全ての金種のうち、少なくとも1種類でも、複数回に分けて出金する金種がある場合、複数回に分けて出金する金種硬貨を、1回で出金できる金種硬貨よりも先に出金し、最後の出金処理で全ての金種硬貨を出金する。これにより、小箱から硬貨の溢れを防止したり、硬貨の取り忘れ等を防止したりできる。
図6は、第2の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図6は、硬貨出金処理の一例として釣銭出金取引を行なう場合を例示するが、硬貨出金処理は、釣銭出金取引に限定されず、抜き取り取引、両替取引における硬貨出金処理にも適用できる。
第2の実施形態に係る現金処理装置100において、第1の実施形態と同様に、レジカードやICカード等を用いた認証処理や、操作表示部17を通じて利用者により釣銭出金が選択されると、釣銭出金取引が開始する。
まず、現金処理装置100におけるイニシャル処理として、第1の実施形態と同様に、S101〜S104の処理が行なわれ、指定された金種枚数が入力される。
現金処理装置100において、硬貨出金処理部322は、指定された金種枚数と出金限度枚数とを比較し、金種毎に、1回で出金可能か否かを判断する(S201)。つまり、硬貨出金処理部322は、今回の1回の出金で、全ての金種硬貨を出金できるか否かを判断する。
今回の出金で全ての金種硬貨を出金可能である場合、硬貨出金処理部322は、全ての金種硬貨を、出金ホッパ13から硬貨出金箱15内の各小箱151〜156に硬貨を出金する(S202)。
一方、今回の出金で全ての金種硬貨を出金可能でない場合、すなわち、次回以降に継続出金する、少なくとも1種類以上の金種がある場合、硬貨出金処理部322は、継続出金する金種のみ、硬貨出金箱15内の対応する小箱151〜156に硬貨を出金する(S203)。
つまり、複数回に分けて出金する金種のうち、今回出金しても次回に継続出金する予定のある金種がある場合、硬貨出金処理部322は、継続出金しない金種よりも先に、当該金種硬貨を小箱151〜156に出金する。
そして、誘導画面制御部324が、硬貨出金箱15を引き出して出金硬貨の受け取りを誘導するために、出金硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する(S204)。
その後、硬貨出金箱15が現金処理装置100の本体に戻されると、硬貨の取り忘れを検知するため、残留硬貨確認部323が、各残留硬貨検知部21及び22からの検知情報に基づいて、各小箱151〜156内の硬貨残留を確認する(S205)。
いずれかの小箱151〜156に残留硬貨がある場合(S206)、処理はS204に戻り、誘導画面制御部324が、残留硬貨の受け取りを誘導するため、出金硬貨誘導画面を操作表示部17に表示する。
一方、全ての小箱151〜156に残留硬貨がない場合(S206)、処理はS207に移行する。硬貨出金処理部322は、指定された金種枚数の硬貨を全て出金済みであるか否かを判断し(S207)、全額出金済みでない場合、S201に移行して、処理を繰り返し行なう。一方、全額出金済みである場合、釣銭出金処理は正常に終了する。
(B−2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の硬貨に加えて、指定された金種枚数と出金限度枚数との比較結果に基づいて、継続出金をする金種硬貨を先に出金していき、最終回に全ての金種硬貨を出金する。これにより、継続出金をしない金種の出金硬貨受取り誘導をする必要がなくなる。また、出金硬貨が別の小箱に紛れてしまっても、継続出金する金種の小箱から硬貨が溢れ落ちることを防止できる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態に係る現金処理装置100は、硬貨出金制御部32による処理動作が異なり、基本的な構成は第1の実施形態と同様である。そのため、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態の図2〜図5を用いて説明する。
例えば、埃や紙片等が小箱151〜156にあることで、残留硬貨検知部21及び22が硬貨残留を検知してしまうことがあり、全ての金額を出金したにも拘わらず、硬貨出金処理が終了しない場合がある。
そこで、第3の実施形態において、硬貨出金制御部32は、硬貨出金箱15の硬貨残留確認の回数が、予め設定された回数又は変更可能な回数(以下、基準回数とも呼ぶ)に達したか否かを判断し、硬貨残留確認回数が基準回数(例えば、N回,Nは正の整数)に達した場合、硬貨出金取引を終了する。
残留硬貨確認部323は、第1の実施形態と同様に、引き出された硬貨出金箱15が現金処理装置100の本体に戻されると、各残留硬貨検知部21及び22からの検知情報に基づいて、各小箱151〜156内に硬貨が残留しているか否かを確認する。
また、残留硬貨確認部323は、硬貨出金箱15の各小箱151〜156内の残留硬貨の確認回数を計数する。さらに、残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数と基準回数と比較し、残留硬貨確認回数が基準回数に達している場合には、硬貨出金処理が正常に終了したと判断する。つまり、誘導画面制御部324による出金硬貨受取り誘導画面の出力を行なわず、硬貨出金処理を終了する。
一方、残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数が基準回数未満の場合、硬貨出金処理が正常に終了していないと判断する。つまり、誘導画面制御部324は、出金硬貨受取り誘導画面の操作表示部17に出力する。
ここで、残留硬貨確認回数は、硬貨出金取引開始後に、残留硬貨確認部323が硬貨出金箱15に対して行った残留硬貨の確認回数をいう。
また、基準回数は、現金処理装置100における硬貨出金取引開始後に、残留硬貨検知部21及び22、残留硬貨確認部323による硬貨出金箱15の残留硬貨確認処理が正常に行なわれているか否かを判断するための回数をいう。
なお、基準回数及び硬貨残留確認回数には、イニシャル処理で硬貨出金箱15の硬貨残留を確認する回数を含めるようにしてもよいし、含めないようにしてもよい。
また、基準回数は、複数回に分けて金種硬貨を出金する場合、その金種硬貨を出金する出金回数を考慮した回数としてよい。例えば、2回に分けて金種硬貨を出金する場合、基準回数(N回)は、予め設定された基準回数のデフォルト値(M回)に、金種硬貨を出金する複数回(2回)を加算した回数(N=M+2)としてもよい。逆に、複数回に分けて金種硬貨を出金しない場合、基準回数(N回)は、予め設定された基準回数のデフォルト値(M回)としてもよい。
図7は、第3の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、第1の実施形態の図1に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図7において、図1の各ステップと同一又は対応するステップには、図1に示す番号と同一番号を付している。
まず、現金処理装置100におけるイニシャル処理として、第1の実施形態と同様に、S101〜S104の処理が行なわれ、指定された金種枚数が入力される。また、S105〜S111の処理は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な動作説明を省略する。
S108、S111において、残留硬貨確認部323は、残留硬貨検知部21及び22からの検知結果に基づいて、硬貨出金箱15の各小箱151〜156内に残留硬貨の有無を確認すると共に、今回の硬貨出金取引における残留硬貨確認回数を計数(更新)する。
S112において、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、全ての小箱151〜156内に残留無しの場合(S301)、釣銭出金取引を正常終了する。
一方、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、いずれかの小箱151〜156内に残留ありの場合(S301)、残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数と基準回数とを比較する。そして、残留硬貨確認回数が基準回数に達している場合、釣銭出金取引を正常終了する。一方、残留硬貨確認回数が基準回数に達していない場合、処理はS113に移行し、残金硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に表示する(S113)。なお、それ以降の処理は第1の実施形態と同様であるため、詳細な動作説明を省略する。
図8は、第3の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、第2の実施形態の図6に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図8において、図6の各ステップと同一又は対応するステップには、図6に示す番号と同一番号を付している。
まず、現金処理装置100におけるイニシャル処理として、第1及び第2の実施形態と同様に、S101〜S104の処理が行なわれ、指定された金種枚数が入力される。また、S201〜S206の処理は、第2の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な動作説明を省略する。
S205において、残留硬貨確認部323は、残留硬貨検知部21及び22からの検知結果に基づいて、硬貨出金箱15の各小箱151〜156内に残留硬貨の有無を確認すると共に、今回の硬貨出金取引における残留硬貨確認回数を計数(更新)する。
S206において、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、全ての小箱151〜156内に残留ありの場合(S206)、処理はS301に移行する。
残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数と基準回数とを比較する(S301)。そして、残留硬貨確認回数が基準回数に達している場合(S301)、釣銭出金取引を終了するため、処理はS207に移行する。
残留硬貨確認回数が基準回数に達していない場合(S301)、硬貨出金箱15内の残留硬貨を核にするため、処理はS204に移行する。
一方、S206において、残留硬貨確認部323は、各残留硬貨検知部21及び22による検知結果に基づいて、全ての小箱151〜156内に残留ありの場合(S206)、処理はS207に移行する。
(C−2)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、硬貨受取り完了後、硬貨出金箱の残留硬貨確認回数が任意の回数に達したとき、硬貨による残留以外の偽残留と判断することで、埃や紙片による偽残留があっても、取引を継続もしくは終了することができる。
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置100の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(D−1)第4の実施形態の構成及び動作
第4の実施形態に係る現金処理装置100は、硬貨出金制御部32による処理動作が異なり、基本的な構成は第1の実施形態と同様である。そのため、第4の実施形態においても、第1〜第3の実施形態の図2〜図5を用いて説明する。
上述した第3の実施形態では、例えば、硬貨出金箱15の小箱151〜156に、硬貨以外の偽残留と判断した場合に、硬貨出金取引を終了する場合を例示した。この場合、次回の硬貨出金取引開始時に、硬貨出金箱15に残留が検知されると、硬貨出金取引処理を行うことができないことが生じ得る。
そこで、第4の実施形態では、前回の硬貨出金取引で硬貨出金箱15に偽残留と判断した場合でも、次回の硬貨出金取引処理を行うようにするため、前回の偽残留有情報を記憶しておき、次回の硬貨出金取引では、偽残留有情報の有無に応じて、硬貨出金取引処理を開始する。
残留硬貨確認部323は、第1〜第3の実施形態で説明した処理に加えて、以下の処理を行う。残留硬貨確認部323は、硬貨以外の異物が硬貨出金箱15に残留している偽残留と判断した場合、偽残留有情報を記憶部40に記憶する。
また、残留硬貨確認部323は、硬貨出金取引を開始する際に、記憶部40から偽残留有情報が設定されているか否かを判断することで、イニシャル処理を行う。
図9は、第4の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、第1及び第3の実施形態の図1及び図7に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図9において、図1及び図7の各ステップと同一又は対応するステップには、図1及び図7に示す番号と同一番号を付している。
図9において、残留硬貨確認部323は、釣銭出金取引開始時に、前回の釣銭出金取引において、偽残留と判断された否かを示す偽残留有情報が設定(セット)されているか否かを確認する(S401)。
偽残留有情報がセットされている場合(S401:Yes)、処理はS104に移行し、残留硬貨確認部323は、釣銭出金取引開始時の残留硬貨確認処理を行わず、金種枚数の入力処理を行う。これにより、釣銭出金開始時の残留硬貨確認処理を行わずに、釣銭出金処理を進めることができる。なお、偽残留有情報がセットされていない場合(S401:No)、処理はS101に移行して、第1及び第3の実施形態で説明した処理を続行する。
S111において、残留硬貨確認部323が、硬貨出金箱15内の残留硬貨の確認を行い、硬貨出金箱15に残留があると判断すると(S112:Yes)、残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数が基準回数N回に達しているか否かを判断する(S301)。
残留硬貨確認回数が基準回数N回に達している場合(S301:Yes)、残留硬貨確認部323は、偽残留と判断し、偽残留有情報を記憶部40に設定(セット)する(S402)。
一方、残留硬貨確認回数が基準回数N回に達していない場合(S301:No)、硬貨出金箱15内の残留硬貨の受け取りを利用者に誘導するため、誘導画面制御部324は、残留硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に出力し(S113)、それ以降の処理を行う。
また、S111において、残留硬貨確認部323が、硬貨出金箱15内の残留硬貨の確認を行い、硬貨出金箱15に残留がないと判断すると(S112:No)、残留硬貨確認部323は、偽残留情報がセットされているか否かを判断し、偽残留情報がセットされている場合には、そのセットされている偽残留情報を削除(クリア)する(S403)。これは、何等かの原因により、硬貨出金箱15内から異物が取り除かれることがあるため、その場合に、偽残留情報をクリアすることにより、その後の釣銭出金取引を通常処理させることができる。
図10は、第4の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、第2及び第3の実施形態の図6及び図8に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図10において、図6及び図8の各ステップと同一又は対応するステップには、図6及び図8に示す番号と同一番号を付している。
図10においても、残留硬貨確認部323は、釣銭出金取引開始時に、前回の釣銭出金取引において、偽残留と判断された否かを示す偽残留有情報が設定(セット)されているか否かを確認する(S401)。
偽残留有情報がセットされている場合(S401:Yes)、処理はS104に移行し、残留硬貨確認部323は、釣銭出金取引開始時の残留硬貨確認処理を行わず、金種枚数の入力処理を行う。なお、偽残留有情報がセットされていない場合(S401:No)、処理はS101に移行して、第2及び第3の実施形態で説明した処理を続行する。
S206において、残留硬貨確認部323が、硬貨出金箱15内の残留硬貨の確認を行い、硬貨出金箱15に残留があると判断すると(S206:Yes)、残留硬貨確認部323は、残留硬貨確認回数が基準回数N回に達しているか否かを判断する(S301)。
残留硬貨確認回数が基準回数N回に達している場合(S301:Yes)、残留硬貨確認部323は、偽残留有情報を記憶部40に設定(セット)する(S402)。
一方、残留硬貨確認回数が基準回数N回に達していない場合(S301:No)、硬貨出金箱15内の残留硬貨の受け取りを利用者に誘導するため、誘導画面制御部324は、出金硬貨受取り誘導画面を操作表示部17に出力し(S204)、それ以降の処理を行う。
また、S206において、残留硬貨確認部323が、硬貨出金箱15内の残留硬貨の確認を行い、硬貨出金箱15に残留がないと判断すると(S206:No)、残留硬貨確認部323は、偽残留情報がセットされている場合には、そのセットされている偽残留情報を削除(クリア)する(S403)。
(D−2)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、前回の硬貨出金取引において、硬貨以外の異物が硬貨出金箱にあると判断した場合でも、次の硬貨出金取引開始時の残留硬貨確認を回避し、次の取引ができるようにする。これにより、一時的な偽残留でも運用を継続することができる。
また、第4の実施形態によれば、硬貨出金箱内の状態が変化し、埃や紙片の偽残留が解除されると、その次の硬貨出金取引から、再度、残留センサによる出金箱残留確認ができるようになる。
(E)第5の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置100の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(E−1)第5の実施形態の構成及び動作
第5の実施形態に係る現金処理装置100は、硬貨出金制御部32による処理動作が異なり、基本的な構成は第1の実施形態と同様である。そのため、第4の実施形態においても、第1〜第4の実施形態の図2〜図5を用いて説明する。
上述した第4の実施形態では、例えば、硬貨出金取引開始時に、偽残留有情報がセットされている場合でも、硬貨出金取引を続行する場合を例示した。しかし、偽残留又は残留硬貨検知部21及び22の故障などにより、偽残留が継続して発生した場合、硬貨出金箱15内の異物確認をしたり、又は装置故障の確認をしたりする必要がある。
そこで、第5の実施形態では、一時的な偽残留と判断したが、任意の回数を超えて解除できなかった場合、オペレータによる異物確認や装置故障の確認を促す。
残留硬貨確認部323は、第1〜第4の実施形態で説明した処理に加えて、以下の処理を行う。
残留硬貨確認部323は、硬貨出金取引開始時に偽残留有情報がセットされているか否かを判断し、偽残留情報がセットされている場合に、偽残留有情報の状態で硬貨出金取引を続行する回数を「偽残留有回数」とし、この偽残留有回数が所定回数(X回)を超えたときに、硬貨出金取引を障害終了する。これにより、偽残留に基づく障害、又は、残留硬貨検知部21及び22等の障害を、オペレータに知らせることができる。
図11は、第5の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図11に示す処理は、第1、第3及び第4の実施形態の図1、図7及び図9に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図11において、図1、図7及び図9の各ステップと同一又は対応するステップには、図1、図7及び図9に示す番号と同一番号を付している。
図12は、第5の実施形態に係る現金処理装置100における硬貨出金処理の動作を示すフローチャートである。
図12に示す処理は、第2、第3及び第4の実施形態の図6、図8及び図10に示す硬貨出金処理をベースにしたものである。図12において、図6、図8及び図10の各ステップと同一又は対応するステップには、図6、図8及び図10に示す番号と同一番号を付している。
図11及び図12において、残留硬貨確認部323は、釣銭出金取引開始時に、前回の釣銭出金取引において、偽残留と判断された否かを示す偽残留有情報が設定(セット)されているか否かを確認する(S401)。
偽残留有情報がセットされている場合(S401:Yes)、処理はS501に移行し、残留硬貨確認部323は、偽残留有回数の値を「+1」だけインクリメントする(S501)。
そして、偽残留有回数が所定値(X回)を超えていない場合(S502:No)、処理はS104に移行し、金種枚数の入力処理を行う。
一方、偽残留有回数が所定値(X回)を超えた場合(S502:YES)、オペレータに障害を知らせるために、現金処理装置100は障害終了する。
つまり、残留硬貨確認部323が硬貨出金箱15内において偽残留を判断し、偽残留有情報をセットした後、複数回の釣銭出金取引が続行され、偽残留有回数が所定値(X回)を超えた場合、オペレータに障害を知らせることができる。
(E−2)第5の実施形態の効果
以上のように、第5の実施形態によれば、異物の残留確認、または残留硬貨検知部の故障などで、偽残留の取引が所定回数に達したとき、障害としてオペレータに対して知らせることにより、異物の除去又は保守員による障害確認を行うことができる。よって、硬貨出金箱の残留確認が不正な状態で運用を継続することを防止できる。
(F)他の実施形態
上述した第1〜第5の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
第1〜第5の実施形態では、商業施設などに設置される現金処理装置を例示したが、現金処理装置はオンライン/オフラインに係わらず、現金の入出金を管理する装置に広く適用できる。例えば、現金処理装置は、入出金機、出納機などにも適用できる。
第1〜第5の実施形態では、金種別の硬貨を収納する複数の小箱を有する硬貨出金箱を一例として説明した。しかし、硬貨出金箱は、金種別の硬貨を収納することができる構造であれば、小箱を有していないものであってもよい。例えば、硬貨出金箱内に、複数の収納部が物理的に一体として形成されたものであってもよい。
第1〜第5の実施形態で示した図1、図6〜図12の処理フローは一例であり、これらの図面に限定されるものではない。